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特開2024-140098液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140098
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241003BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B41J2/165 207
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/165 205
B41J2/165 301
B41J2/01 129
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051093
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】辻村 佐和子
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB25
2C056EB29
2C056EC24
2C056EC41
2C056EC54
2C056EC56
2C056EE17
2C056EE18
2C056FA15
2C056HA22
2C056HA44
2C056JB05
2C056JC23
(57)【要約】
【課題】吸収部材を効率的に消費できる液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法を提供する。
【解決手段】液体吐出ヘッドと、吸収部材34と、制御部と、を備え、液体吐出ヘッドおよび吸収部材34は、走査方向Dxと副走査方向に相対移動可能であり、複数のノズル列は、走査方向Dxに所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ副走査方向に延びて構成され、受容領域Arは、複数の第1分割受容領域Ar1と、複数の第2分割受容領域Ar2と、を有し、制御部は、1つ以上のノズル列によるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行った場合に第1受容限度を超える第1分割受容領域Ar1がない場合は、フラッシングを1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行わせ、第1受容限度を超える第1分割受容領域Ar1がある場合は、フラッシングを1つ以上の第2分割受容領域Ar2に対して行わせる。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出可能な複数のノズルにより複数のノズル列が形成されるノズル面を有する液体吐出ヘッドと、
複数の前記ノズルからフラッシングとして受容領域に吐出される液体を受容可能な吸収部材と、
制御部と、
を備え、
前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材は、走査方向と副走査方向に相対移動可能であり、
複数の前記ノズル列は、前記走査方向に所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記副走査方向に延びて構成され、
前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第1分割受容領域と、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第2分割受容領域と、を有し、
前記制御部は、
1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせ、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に前記第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第3分割受容領域を有し、
前記制御部は、
1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせ、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に前記第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第3分割受容領域に対して行わせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記第1受容限度は、それぞれの前記第1分割受容領域で受容可能な液体の量であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記第1受容限度は、それぞれの前記第1分割受容領域に行うことができる前記フラッシングの回数であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記吸収部材の前記走査方向における一端側から他端側まで前記フラッシングを行わせた後、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材を前記副走査方向に相対移動させてから、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
媒体に吐出された液体に対して処理を行う処理部を更に備え、
液体は、前記処理によって硬化する成分を含み、
前記制御部は、
前記吸収部材に受容された液体に対して前記処理部に前記処理を行わせることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記液体吐出ヘッド内を加圧可能な加圧部を更に備え、
前記制御部は、
前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材を前記副走査方向に相対移動させて前記吸収部材の未使用部を前記受容領域に位置させた後、前記液体吐出ヘッド内を前記加圧部に加圧させて複数の前記ノズルから前記受容領域に液体を排出することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記制御部は、
払拭領域に位置する前記吸収部材により前記ノズル面の払拭を行うことを特徴とする請求項1~請求項7のうち何れか一項に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
液体を吐出可能な複数のノズルにより複数のノズル列が形成されるノズル面を有する液体吐出ヘッドと、
複数の前記ノズルからフラッシングとして受容領域に吐出される液体を受容可能な吸収部材と、
を備え、
前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材は、走査方向と副走査方向に相対移動可能であり、
複数の前記ノズル列は、前記走査方向に所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記副走査方向に延びて構成され、
前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第1分割受容領域と、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第2分割受容領域と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、
1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせることと、
1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に前記第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせることと、
を含むことを特徴とする液体吐出装置の制御方法。
【請求項10】
前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第3分割受容領域を有し、
1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせることと、
1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に前記第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第3分割受容領域に対して行わせることと、
を含むことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1のように、液体吐出ヘッドの一例である液体噴射部から液体を噴射して印刷する液体吐出装置の一例である液体噴射装置がある。液体噴射部は、液体を噴射するノズルが形成されたノズル面を有する。
【0003】
液体吐出装置は、払拭部の一例である液体収集装置を備える。液体収集装置は、液体を吸収可能な吸収部材の一例である帯状部材を備える。液体収集装置は、帯状部材によってノズル面を払拭するワイピングを行うとともに、加圧クリーニングにより排出された液体を帯状部材に受容させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-59088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ノズル面をワイピングするための吸収部材でノズルから排出された液体も受容する場合、帯状部材を効率的に消費するという点で改善する余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する液体吐出装置は、液体を吐出可能な複数のノズルにより複数のノズル列が形成されるノズル面を有する液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルからフラッシングとして受容領域に吐出される液体を受容可能な吸収部材と、制御部と、を備え、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材は、走査方向と副走査方向に相対移動可能であり、複数の前記ノズル列は、前記走査方向に所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記副走査方向に延びて構成され、前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第1分割受容領域と、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第2分割受容領域と、を有し、前記制御部は、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせ、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に前記第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせる。
【0007】
上記課題を解決する液体吐出装置の制御方法は、液体を吐出可能な複数のノズルにより複数のノズル列が形成されるノズル面を有する液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルからフラッシングとして受容領域に吐出される液体を受容可能な吸収部材と、を備え、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材は、走査方向と副走査方向に相対移動可能であり、複数の前記ノズル列は、前記走査方向に所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記副走査方向に延びて構成され、前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第1分割受容領域と、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第2分割受容領域と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせることと、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に前記第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせることと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】液体吐出装置の一実施形態の模式正面図である。
図2】移動機構の模式平面図である。
図3】液体吐出ヘッドの模式底面図である。
図4】払拭部の模式側面図である。
図5】第1分割受容領域にフラッシングが行われる吸収部材の模式平面図である。
図6】第2分割受容領域にフラッシングが行われる吸収部材の模式平面図である。
図7】第3分割受容領域にフラッシングが行われる吸収部材の模式平面図である。
図8】第4分割受容領域にフラッシングが行われる吸収部材の模式平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施形態]
以下、液体吐出装置、液体吐出装置の制御方法の一実施形態を、図面を参照して説明する。液体吐出装置は、例えば、用紙、布帛、ビニール、プラスチック部品、金属部品などの媒体に液体の一例であるインクを吐出して記録するインクジェット式のプリンターである。
【0010】
図面では、液体吐出装置11が水平面上に置かれているものとして重力の方向をZ軸で示し、水平面に沿う方向をX軸とY軸で示す。X軸、Y軸、及びZ軸は、互いに直交する。以下の説明では、Z軸と平行な方向を鉛直方向ともいう。
【0011】
<液体吐出装置>
図1に示すように、液体吐出装置11は、筐体12を備えてもよい。筐体12は、液体吐出装置11が備える各種構成を収容する。
【0012】
液体吐出装置11は、制御部13を備える。制御部13は、液体吐出装置11における各機構の駆動を統括的に制御し、液体吐出装置11で実行される各種動作を制御する。
制御部13は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。ハードウェア回路は、例えば特定用途向け集積回路である。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる可読媒体を含む。
【0013】
液体吐出装置11は、支持部15を備えてもよい。支持部15は、媒体16を支持するように構成される。
液体吐出装置11は、キャリッジ18と、液体収容部19と、加圧部20と、処理部21と、液体吐出ヘッド22と、払拭部23と、を備えてもよい。
【0014】
キャリッジ18は、液体収容部19と、加圧部20と、処理部21と、液体吐出ヘッド22と、を移動可能に保持してもよい。すなわち、液体収容部19、加圧部20、処理部21、および液体吐出ヘッド22は、キャリッジ18に搭載されてもよい。
【0015】
液体収容部19は、液体を収容するように構成される。液体収容部19は、図示しない流路を介して液体吐出ヘッド22に接続される。液体収容部19に収容される液体は、液体吐出ヘッド22に供給される。
【0016】
加圧部20は、液体吐出ヘッド22内を加圧可能に構成される。加圧部20は、液体吐出ヘッド22内の液体を加圧してもよいし、加圧した液体を液体吐出ヘッド22に供給してもよい。加圧部20は、液体吐出ヘッド22内を加圧することにより、液体を液体吐出ヘッド22から排出させる加圧排出を実行してもよい。
【0017】
処理部21は、媒体16に吐出された液体に対して処理を行ってもよい。処理部21は、紫外線を照射する発光素子を有してもよい。処理部21が行う処理は、紫外線を照射することで液体を硬化させる硬化処理であってもよい。処理部21は、媒体16に吐出された液体を硬化させることで、液体を媒体16に定着させてもよい。
【0018】
例えば液体は、UVインクである。液体は、処理部21の処理によって硬化する成分を含んでもよい。例えば液体は、紫外線のエネルギーによって重合を開始させる光重合開始剤を含む。光重合開始剤としては、例えば光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤を使用することができる。
【0019】
液体吐出ヘッド22と処理部21は、走査方向Dxに並んで設けられてもよい。液体吐出ヘッド22と処理部21は、走査方向Dxの異なる位置に、走査方向Dxに互いに間隔を空けて設けられてもよい。
【0020】
図2に示すように、液体吐出装置11は、移動機構25を備えてもよい。移動機構25は、横軸26と、縦軸27と、を備えてもよい。本実施形態の移動機構25は、一対の縦軸27を備える。
【0021】
横軸26は、走査方向Dxに延びてもよい。一対の縦軸27は、副走査方向Dyに延びるように互いに平行に設けられてもよい。本実施形態の走査方向Dxは、X軸に平行な方向である。本実施形態の副走査方向Dyは、X軸に垂直な方向であって、Y軸に平行な方向である。
【0022】
移動機構25は、キャリッジ18を横軸26に沿って往復移動させる。移動機構25は、キャリッジ18を支持する横軸26を、縦軸27に沿って往復移動させる。したがって、移動機構25は、キャリッジ18に搭載された液体吐出ヘッド22及び処理部21を、走査方向Dxおよび副走査方向Dyに移動可能である。
【0023】
移動機構25は、液体吐出ヘッド22を走査方向Dxおよび副走査方向Dyに同時に移動させてもよい。すなわち、移動機構25は、液体吐出ヘッド22を水平面に沿うように、走査方向Dxおよび副走査方向Dyに対して斜めに移動させてもよい。
【0024】
液体吐出装置11は、媒体16に対してキャリッジ18が走査する。液体吐出ヘッド22は、キャリッジ18と共に走査しながら液体を吐出することで、媒体16に画像を記録する。本実施形態のキャリッジ18は、媒体16に対して走査するうえに、走査する走査方向Dxと交差する副走査方向Dyにも移動するように構成される。すなわち、本実施形態の液体吐出装置11は、いわゆるラテラルプリンターである。
【0025】
<液体吐出ヘッド>
図3に示すように、液体吐出ヘッド22は、液体を吐出するように構成される。液体吐出ヘッド22は、複数のノズル29を有する。各ノズル29は、液体を吐出可能である。液体吐出ヘッド22は、支持部15に支持される媒体16に対して、移動しながら液体を吐出することにより、媒体16に画像を記録する。
【0026】
液体吐出ヘッド22は、ノズル面31を有する。ノズル面31には、複数のノズル29により複数のノズル列Lが形成される。本実施形態では、ノズル面31に形成される8つのノズル列Lをそれぞれ第1ノズル列L1~第8ノズル列L8ともいう。第1ノズル列L1~第8ノズル列L8は、第1ノズル列L1から順に走査方向Dxに並ぶ。1つのノズル列Lは、副走査方向Dyに並ぶ複数のノズル29により形成される。複数のノズル列Lは、それぞれ副走査方向Dyに延びて構成される。
【0027】
複数のノズル列Lは、走査方向Dxに所定の間隔をあけて配置される。複数のノズル列Lは、走査方向Dxに等間隔で形成されてもよいし、異なる間隔で形成されてもよい。例えば、第1ノズル列L1~第8ノズル列L8は、一部のノズル列Lが走査方向Dxに接近して並んでもよい。
【0028】
本実施形態では、互いに接近して並ぶ2つのノズル列Lをノズル群ともいう。本実施形態の液体吐出ヘッド22は、4つのノズル群を有する。4つのノズル群は、それぞれ第1ノズル群G1~第4ノズル群G4ともいう。第1ノズル群G1~第4ノズル群G4は、走査方向Dxに等間隔で並んでもよい。
【0029】
第1ノズル群G1は、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2を含む。第2ノズル群G2は、第3ノズル列L3と第4ノズル列L4を含む。第3ノズル群G3は、第5ノズル列L5と第6ノズル列L6を含む。第4ノズル群G4は、第7ノズル列L7と第8ノズル列L8を含む。
【0030】
走査方向Dxにおいて、接近して並ぶノズル列L同士の第1間隔S1は、ノズル群同士の第2間隔S2より狭い。すなわち、第1ノズル列L1と第2ノズル列L2の第1間隔S1は、第2ノズル列L2と第3ノズル列L3の第2間隔S2より狭い。複数のノズル列Lは、走査方向Dxに所定の間隔の一例である第1間隔S1もしくは所定の間隔の一例である第2間隔S2をあけて形成される。
【0031】
液体吐出ヘッド22は、全てのノズル29から同じ種類の液体を吐出してもよい。液体吐出ヘッド22は、ノズル群ごと、もしくはノズル列Lごとなど、任意の単位で同じ種類の液体を吐出してもよい。
【0032】
液体吐出ヘッド22は、複数種類の液体を吐出してもよい。種類の異なる液体とは、例えば色の異なるインクである。例えば、液体吐出ヘッド22は、第1ノズル列L1~第4ノズル列L4からそれぞれマゼンタ、イエロー、シアン、ブラックのインクを吐出してもよい。例えば、液体吐出ヘッド22は、第5ノズル列L5および第6ノズル列L6からクリアインクを吐出してもよい。例えば、液体吐出ヘッド22は、第7ノズル列L7および第8ノズル列L8からホワイトインクを吐出してもよい。
【0033】
<払拭部>
図2に示すように、払拭部23は、例えば、支持部15と隣り合う位置に設けられてもよい。払拭部23は、液体吐出ヘッド22から排出される液体を、廃液として回収するように構成される。廃液とは、媒体16に記録される画像に寄与しない液体である。廃液は、例えば、液体吐出ヘッド22のメンテナンスによって発生する。払拭部23は、例えば、直上に位置する液体吐出ヘッド22から廃液を回収する。
【0034】
液体吐出ヘッド22のメンテナンスとして、例えば、フラッシング、クリーニング、ワイピングが挙げられる。
フラッシングとは、ノズル29の目詰まりを抑制するために液体をノズル29から適宜吐出する動作である。フラッシングは、1もしくは複数のノズル列Lごとに実行されてもよいし、全てのノズル列Lがまとめて実行されてもよい。フラッシングが実行される場合、液体吐出ヘッド22は、払拭部23に向けて液体を吐出する。
【0035】
制御部13は、フラッシングにより排出する液体の排出量を、フラッシングごとに変更してもよい。制御部13は、フラッシングにより排出する液体の排出量を、ノズル列Lごと、もしくは複数のノズル列Lごとに変更してもよい。制御部13は、フラッシングにより吐出する液滴の大きさ、液滴の数などを変更することで、排出量を変更してもよい。
【0036】
例えば、記録前にフラッシングを行う場合、制御部13は、記録を行わない待機時間が長い場合に、待機時間が短い場合よりも排出量を多くしてもよい。例えば、記録中もしくは記録後にフラッシングを行う場合、制御部13は、記録に用いていない、もしくは用いた液体の量が少ないノズル列Lからの排出量を、記録に用いた液体が多いノズル列Lからの排出量より多くしてもよい。例えば、制御部13は、目詰まりしやすい液体を吐出するノズル列Lからの排出量を、目詰まりしにくい液体を吐出するノズル列Lからの排出量より多くしてもよい。
【0037】
クリーニングとは、液体吐出ヘッド22内の異物、気泡などを排出するために液体をノズル29から強制的に排出する動作である。本実施形態ではクリーニングとして、加圧排出を実行する。加圧排出は、加圧部20が液体吐出ヘッド22内の液体を加圧することによって、ノズル29から液体を強制的に排出するクリーニングである。加圧排出が実行される場合、液体吐出ヘッド22は、払拭部23に向けて液体を排出する。加圧排出は、例えば、記録前、記録後に実行される。加圧排出は、記録を行わない待機時に定期的に実行されてもよい。
【0038】
制御部13は、1以上のノズル列Lを選択して加圧排出を行ってもよい。加圧排出は、1もしくは複数のノズル列Lごとに実行されてもよい。加圧排出は、全てのノズル列Lをまとめて実行されてもよい。制御部13は、液体を加圧するタイミング、液体を加圧する時間の長さ、および液体を加圧する圧力の大きさなどを、1もしくは複数のノズル列Lごとに変更してもよい。
【0039】
ワイピングとは、液体吐出ヘッド22に付着する液体を除去するために液体吐出ヘッド22を払拭する動作である。ワイピングは、例えば、クリーニング後に実行される。ワイピングが実行される場合、液体吐出ヘッド22は、払拭部23によって払拭される。
【0040】
図4に示すように、払拭部23は、ケース33と、吸収部材34と、繰出部35と、巻取部36と、を有してもよい。繰出部35は、繰出軸38を有する。巻取部36は、巻取軸39を有する。払拭部23は、第1ガイドローラー41と、第2ガイドローラー42と、第3ガイドローラー43と、押付ローラー44と、を有してもよい。
【0041】
ケース33は、払拭部23が備える各種構成を収容してもよい。ケース33は、繰出軸38、巻取軸39、第1ガイドローラー41~第3ガイドローラー43、および押付ローラー44を、走査方向Dxに延びるように支持してもよい。ケース33は、例えば、筐体12に対して着脱可能に構成される。そのため、払拭部23は、液体吐出装置11に対して交換できる。
【0042】
吸収部材34は、液体を吸収可能である。吸収部材34は、液体吐出ヘッド22から排出される液体を受容可能である。吸収部材34は、廃液を吸収する。吸収部材34は、例えば、布でもよいし、スポンジでもよい。本実施形態の吸収部材34は、長尺の部材である。走査方向Dxにおいて、吸収部材34の幅は、両端のノズル列Lである第1ノズル列L1から第8ノズル列L8までの間隔より大きい。走査方向Dxにおいて、吸収部材34の幅は、ノズル面31の幅より大きくてもよい。
【0043】
繰出部35は、ロール状に巻かれた未使用の吸収部材34を回転可能に保持してもよい。繰出部35は、繰出軸38が回転することにより、帯状の吸収部材34を解いて送り出す。
【0044】
巻取部36は、使用済の吸収部材34を保持してもよい。巻取部36は、巻取軸39が回転することにより、吸収部材34をロール状に巻き取る。巻取部36は、繰出部35より副走査方向Dyの上流に位置する。
【0045】
繰出軸38と巻取軸39は、正回転および逆回転可能であってもよい。正回転する繰出軸38および巻取軸39は、吸収部材34を繰出部35から巻取部36に向けて送り方向Dsに送る。逆回転する繰出軸38および巻取軸39は、吸収部材34を巻取部36から繰出部35に向けて戻し方向Drに送る。戻し方向Drは、送り方向Dsとは反対の方向である。送り方向Dsと戻し方向Drは、吸収部材34が通る経路に沿う方向である。
【0046】
第1ガイドローラー41、第2ガイドローラー42、押付ローラー44、および第3ガイドローラー43は、送り方向Dsの上流側からこの順に設けられる。第1ガイドローラー41~第3ガイドローラー43は、それぞれ巻き掛けられた吸収部材34をガイドすることで、吸収部材34が通る経路を決める。
【0047】
押付ローラー44は、吸収部材34を液体吐出ヘッド22に押し付け可能である。押付ローラー44は、副走査方向Dyおよび送り方向Dsにおいて繰出軸38と巻取軸39との間に位置する。押付ローラー44には、吸収部材34が巻き掛けられる。押付ローラー44は、例えば、上下に移動するように構成されてもよい。押付ローラー44は、例えば図示しないばねにより上方に押されてもよい。
【0048】
本実施形態の液体吐出ヘッド22は、走査方向Dxと副走査方向Dyに移動可能である。すなわち、液体吐出ヘッド22および吸収部材34は、走査方向Dxと副走査方向Dyに相対移動可能である。液体吐出ヘッド22は、吸収部材34がノズル面31に押し付けられた状態で、払拭部23に対して副走査方向Dyの下流に向けて移動することでノズル面31が払拭される。
【0049】
払拭部23は、払拭領域Awと、受容領域Arと、が異なる位置に設定される。払拭領域Awは、受容領域Arより副走査方向Dyの下流に位置してもよい。受容領域Arは、払拭領域Awよりも送り方向Dsの下流に位置してもよい。
【0050】
払拭領域Awは、液体吐出ヘッド22と吸収部材34の副走査方向Dyへの相対移動において、液体吐出ヘッド22のノズル面31を吸収部材34で払拭する領域である。払拭領域Awは、押付ローラー44に押される領域でもある。払拭領域Awは、押付ローラー44とノズル面31で吸収部材34を挟む領域でもある。
【0051】
<受容領域>
受容領域Arは、複数のノズル列Lから排出される液体を、吸収部材34が受容する領域である。本実施形態の受容領域Arは、押付ローラー44と第3ガイドローラー43との間の領域である。吸収部材34は、複数のノズル29からフラッシングとして受容領域Arに吐出される液体を受容可能である。吸収部材34は、複数のノズル29から受容領域Arに加圧排出される液体を受容可能である。
【0052】
図5に示すように、受容領域Arは、複数の第1分割受容領域Ar1を有する。図5図8では、複数の第1分割受容領域Ar1を実線で示す。複数の第1分割受容領域Ar1は、走査方向Dxにおいて複数のノズル列Lそれぞれに対応する。受容領域Arは、ノズル列Lと同数の第1分割受容領域Ar1を有する。図5図8では、液体吐出ヘッド22の図示を省略してノズル29のみを図示する。複数の第1分割受容領域Ar1は、液体吐出ヘッド22が第1位置P1に位置するとき、第1ノズル列L1~第8ノズル列L8がそれぞれ対向する領域である。図5では、複数のノズル列Lが第1位置P1に位置する状態を示す。走査方向Dxにおいて、第1分割受容領域Ar1の第1幅W1は、第1間隔S1より小さい。例えば走査方向Dxにおいて、第1幅W1は、第1間隔S1の半分であってもよい。
【0053】
図6示すように、受容領域Arは、複数の第2分割受容領域Ar2を有する。図6図8では、複数の第2分割受容領域Ar2を実線で示す。複数の第2分割受容領域Ar2は、走査方向Dxにおいて複数のノズル列Lそれぞれに対応する。受容領域Arは、ノズル列Lと同数の第2分割受容領域Ar2を有する。複数の第2分割受容領域Ar2は、液体吐出ヘッド22が第2位置P2に位置するとき、第1ノズル列L1~第8ノズル列L8がそれぞれ対向する領域である。図6では、複数のノズル列Lが第2位置P2に位置する状態を示す。走査方向Dxにおける第2分割受容領域Ar2の第2幅W2は、第1幅W1と同じであってもよい。第2位置P2は、例えば1つの第1分割受容領域Ar1の分だけ第1位置P1より走査方向Dxにずれた位置である。
【0054】
図5図6に示すように、第1ノズル列L1に対応する第2分割受容領域Ar2は、第1ノズル列L1に対応する第1分割受容領域Ar1と、第2ノズル列L2に対応する第1分割受容領域Ar1と、の間に位置してもよい。第2ノズル列L2に対応する第1分割受容領域Ar1は、第1ノズル列L1に対応する第2分割受容領域Ar2と、第2ノズル列L2に対応する第2分割受容領域Ar2と、の間に位置してもよい。
【0055】
図7に示すように、受容領域Arは、複数の第3分割受容領域Ar3を有してもよい。図7図8では、複数の第3分割受容領域Ar3を実線で示す。複数の第3分割受容領域Ar3は、走査方向Dxにおいて複数のノズル列Lそれぞれに対応する。受容領域Arは、ノズル列Lと同数の第3分割受容領域Ar3を有する。複数の第3分割受容領域Ar3は、液体吐出ヘッド22が第3位置P3に位置するとき、第1ノズル列L1~第8ノズル列L8がそれぞれ対向する領域である。図7では、複数のノズル列Lが第3位置P3に位置する状態を示す。走査方向Dxにおける第3分割受容領域Ar3の第3幅W3は、第1幅W1と同じであってもよい。第3位置P3は、例えば1つの第1分割受容領域Ar1と、1つの第2分割受容領域Ar2と、の分だけ第2位置P2より走査方向Dxにずれた位置である。
【0056】
図5図7に示すように、第1ノズル列L1および第2ノズル列L2に対応する第3分割受容領域Ar3は、第2ノズル列L2に対応する第2分割受容領域Ar2と、第3ノズル列L3に対応する第1分割受容領域Ar1の間に位置してもよい。
【0057】
図8に示すように、受容領域Arは、複数の第4分割受容領域Ar4を有してもよい。図8では、複数の第4分割受容領域Ar4を実線で示す。複数の第4分割受容領域Ar4は、走査方向Dxにおいて複数のノズル列Lそれぞれに対応する。受容領域Arは、ノズル列Lと同数の第4分割受容領域Ar4を有する。複数の第4分割受容領域Ar4は、液体吐出ヘッド22が第4位置P4に位置するとき、第1ノズル列L1~第8ノズル列L8がそれぞれ対向する領域である。図8では、複数のノズル列Lが第4位置P4に位置する状態を示す。走査方向Dxにおける第4分割受容領域Ar4の第4幅W4は、第1幅W1と同じであってもよい。
【0058】
第4位置P4は、例えば1つの第3分割受容領域Ar3の分だけ第3位置P3より走査方向Dxにずれた位置である。第1ノズル列L1に対応する第4分割受容領域Ar4は、第1ノズル列L1に対応する第3分割受容領域Ar3と、第2ノズル列L2に対応する第3分割受容領域Ar3と、の間に位置してもよい。
【0059】
<実施形態の作用>
本実施形態の作用について説明する。
フラッシングを実行させる場合、制御部13は、フラッシングによって排出する排出量をノズル列Lごとに設定する。複数のノズル列Lにおける各排出量は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。制御部13は、複数のノズル列Lのうち、一部のノズル列Lがフラッシングを行うように設定してもよい。すなわち、排出量がゼロのノズル列Lがあってもよい。
【0060】
制御部13は、まず1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行った場合に、第1分割受容領域Ar1の第1受容限度を超えるものがあるかを判断する。制御部13は、フラッシングによって第1受容限度を超えるか否かを、フラッシングを行わせる前に判断する。
【0061】
第1受容限度は、例えば第1限度量と、第1限度回数と、のうち少なくとも一方により示されてもよい。本実施形態の制御部13は、第1限度量と第1限度回数の何れかを超える場合、もしくは両方を超える場合に、第1受容限度を超えると判断する。
【0062】
第1限度量とは、それぞれの第1分割受容領域Ar1で受容可能な液体の量である。第1限度量は、複数の第1分割受容領域Ar1において共通する量であってもよいし、それぞれの第1分割受容領域Ar1ごとに設定される量であってもよい。第1限度量は、例えば液体を第1分割受容領域Ar1内に留めることが可能な量である。第1分割受容領域Ar1が第1限度量を超える液体を受容した場合、第1分割受容領域Ar1から液体が溢れてしまう虞がある。
【0063】
第1限度回数とは、それぞれの第1分割受容領域Ar1に行うことができるフラッシングの回数である。第1限度回数は、複数の第1分割受容領域Ar1において共通する回数であってもよいし、それぞれの第1分割受容領域Ar1ごとに設定される回数であってもよい。第1限度回数は、例えば液体吐出ヘッド22との間に適切な空間を確保できる回数である。第1分割受容領域Ar1に対してフラッシングを複数回行う場合、先のフラッシングで吐出されて固まった液体の上に、後のフラッシングで吐出される液体が載ることがある。第1限度回数を超えてフラッシングが行われた場合、積み重なった液体により、液体吐出ヘッド22との間に液体の吐出に必要な空間を確保することが難しくなる虞がある。
【0064】
制御部13は、フラッシングによって第1受容限度を超えるか否かの判断を、1つの第1分割受容領域Ar1ごとに行う。
具体的には、まず制御部13は、第1ノズル列L1からフラッシングにより排出させる第1排出量を設定する。同様に、制御部13は、第2ノズル列L2~第8ノズル列L8からそれぞれフラッシングにより排出させる第2排出量~第8排出量を設定する。
【0065】
制御部13は、第1ノズル列L1に対応する第1分割受容領域Ar1が既に受容している液体の受容済量を、例えば図示しない記憶部から取得する。第1限度量と受容済量との差が、第1排出量以上の場合、制御部13は、第1ノズル列L1のフラッシングを対応する第1分割受容領域Ar1に行っても、この第1分割受容領域Ar1は第1限度量を超えないと判断する。
【0066】
制御部13は、第1ノズル列L1に対応する第1分割受容領域Ar1に行われたフラッシングの回数である受容済回数を、例えば図示しない記憶部から取得する。第1限度回数と受容済回数との差が1以上である場合、制御部13は、第1ノズル列L1のフラッシングを対応する第1分割受容領域Ar1に行っても、この第1分割受容領域Ar1は第1限度回数を超えないと判断する。
【0067】
第1限度量と第1限度回数の双方を超えない場合、制御部13は、第1ノズル列L1のフラッシングを第1分割受容領域Ar1に行っても、この第1分割受容領域Ar1は第1受容限度を超えないと判断する。
【0068】
第1ノズル列L1に対応する第1分割受容領域Ar1と同様に、制御部13は、第2ノズル列L2~第8ノズル列L8に対応するそれぞれの第1分割受容領域Ar1について、第1受容限度を超えるか否かを判断する。
【0069】
全ての第1分割受容領域Ar1において第1受容限度を超えない場合、制御部13は、第1分割受容領域Ar1にフラッシングを行わせる。すなわち、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行った場合に第1受容限度を超える第1分割受容領域Ar1がない場合は、制御部13は、フラッシングを1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行わせる。
【0070】
図5に示すように、第1分割受容領域Ar1にフラッシングを行わせる場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22を移動させてノズル列Lを第1位置P1に位置させる。制御部13は、それぞれのノズル列Lから設定された排出量の液体を排出させる。排出される液体は、それぞれのノズル列Lに対向する第1分割受容領域Ar1に受容される。
【0071】
制御部13は、複数の第1分割受容領域Ar1のそれぞれの受容済量を、対応するノズル列Lから排出された排出量を加えた値に更新する。制御部13は、フラッシングを行ったノズル列Lに対応する第1分割受容領域Ar1の受容済回数を、1を加えた値に更新する。排出量がゼロのノズル列Lがある場合、制御部13は、このノズル列Lに対応する第1分割受容領域Ar1の受容済量と受容済回数を据え置く。
【0072】
1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行った場合に第1受容限度を超える第1分割受容領域Ar1がある場合、制御部13は、第1分割受容領域Ar1へのフラッシングを行わせない。制御部13は、第1分割受容領域Ar1以外にフラッシングが可能な分割受容領域を探す。具体的には、制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第2分割受容領域Ar2に対して行った場合に、第2分割受容領域Ar2の第2受容限度を超えるものがあるかを判断する。制御部13は、フラッシングによって第2受容限度を超えるか否かを、フラッシングを行わせる前に判断する。
【0073】
第2受容限度は、例えば第2限度量と、第2限度回数と、のうち少なくとも一方により示されてもよい。本実施形態の制御部13は、第2限度量と第2限度回数の何れかを超える場合、もしくは両方を超える場合に、第2受容限度を超えると判断する。
【0074】
第2限度量とは、それぞれの第2分割受容領域Ar2で受容可能な液体の量である。第2限度量は、複数の第2分割受容領域Ar2において共通する量であってもよいし、それぞれの第2分割受容領域Ar2ごとに設定される量であってもよい。第2限度量は、第1限度量と同じであってもよい。
【0075】
第2限度回数とは、それぞれの第2分割受容領域Ar2に行うことができるフラッシングの回数である。第2限度回数は、複数の第2分割受容領域Ar2において共通する回数であってもよいし、それぞれの第2分割受容領域Ar2ごとに設定される回数であってもよい。第2限度回数は、第1限度回数と同じであってもよい。
【0076】
制御部13は、フラッシングによって第2受容限度を超えるか否かの判断を、第2分割受容領域Ar2ごとに行う。第2分割受容領域Ar2において第2受容限度を超えるか否かの判断の仕方は、第1分割受容領域Ar1において第1受容限度を超えるかの判断の仕方と同じである。
【0077】
すなわち、制御部13は、各第2分割受容領域Ar2について、第2限度量と受容済量との差が排出量以上であり、第2限度回数と受容済回数との差が1以上であるかを確認する。
【0078】
全ての第2分割受容領域Ar2において、第2限度量と第2限度回数の双方を超えない場合、制御部13は、各ノズル列Lのフラッシングを第2分割受容領域Ar2に行っても第2受容限度を超えないと判断する。
【0079】
全ての第2分割受容領域Ar2において第2受容限度を超えない場合、制御部13は、第2分割受容領域Ar2にフラッシングを行わせる。すなわち、制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行った場合に第1受容限度を超える第1分割受容領域Ar1がある場合は、フラッシングを1つ以上の第2分割受容領域Ar2に対して行わせる。制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第2分割受容領域Ar2に対して行った場合に第2受容限度を超える第2分割受容領域Ar2がない場合は、フラッシングを1つ以上の第2分割受容領域Ar2に対して行わせる。
【0080】
図6に示すように、第2分割受容領域Ar2にフラッシングを行わせる場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22を移動させてノズル列Lを第2位置P2に位置させる。制御部13は、それぞれのノズル列Lから設定された排出量の液体を排出させる。排出される液体は、それぞれのノズル列Lに対向する第2分割受容領域Ar2に受容される。制御部13は、第1分割受容領域Ar1にフラッシングを行う時と同様に、複数の第2分割受容領域Ar2のそれぞれの受容済量と受容済回数を更新する。
【0081】
第2受容限度を超える第2分割受容領域Ar2がある場合、制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第3分割受容領域Ar3に対して行った場合に、第3分割受容領域Ar3の第3受容限度を超えるものがあるかを判断する。制御部13は、フラッシングによって第3受容限度を超えるか否かを、フラッシングを行わせる前に判断する。
【0082】
第3受容限度は、例えば第3限度量と、第3限度回数と、のうち少なくとも一方により示されてもよい。本実施形態の制御部13は、第3限度量と第3限度回数の何れかを超える場合、もしくは両方を超える場合に、第3受容限度を超えると判断する。第3限度量は、第1限度量と同じであってもよい。第3限度回数は、第1限度回数と同じであってもよい。
【0083】
制御部13は、フラッシングによって第3受容限度を超えるか否かの判断を、第3分割受容領域Ar3ごとに行う。第3分割受容領域Ar3において第3受容限度を超えるか否かの判断の仕方は、第1分割受容領域Ar1において第1受容限度を超えるかの判断の仕方と同じであるため説明を省略する。
【0084】
全ての第3分割受容領域Ar3において第3受容限度を超えない場合、制御部13は、第3分割受容領域Ar3にフラッシングを行わせる。すなわち、制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第2分割受容領域Ar2に対して行った場合に第2受容限度を超える第2分割受容領域Ar2がある場合は、フラッシングを1つ以上の第3分割受容領域Ar3に対して行わせる。制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第3分割受容領域Ar3に対して行った場合に第3受容限度を超える第3分割受容領域Ar3がない場合は、フラッシングを1つ以上の第3分割受容領域Ar3に対して行わせる。
【0085】
図7に示すように、第3分割受容領域Ar3にフラッシングを行わせる場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22を移動させてノズル列Lを第3位置P3に位置させる。制御部13は、それぞれのノズル列Lから設定された排出量の液体を排出させる。排出される液体は、それぞれのノズル列Lに対向する第3分割受容領域Ar3に受容される。制御部13は、第1分割受容領域Ar1及び第2分割受容領域Ar2にフラッシングを行う時と同様に、複数の第3分割受容領域Ar3のそれぞれの受容済量と受容済回数を更新する。
【0086】
第3受容限度を超える第3分割受容領域Ar3がある場合、制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第4分割受容領域Ar4に対して行った場合に、第4分割受容領域Ar4の第4受容限度を超えるものがあるかを判断する。制御部13は、フラッシングによって第4受容限度を超えるか否かを、フラッシングを行わせる前に判断する。
【0087】
第4受容限度は、例えば第4限度量と、第4限度回数と、のうち少なくとも一方により示されてもよい。本実施形態の制御部13は、第4限度量と第4限度回数の何れかを超える場合、もしくは両方を超える場合に、第4受容限度を超えると判断する。第4限度量は、第1限度量と同じであってもよい。第4限度回数は、第4限度回数と同じであってもよい。
【0088】
制御部13は、フラッシングによって第4受容限度を超えるか否かの判断を、第4分割受容領域Ar4ごとに行う。第4分割受容領域Ar4において第4受容限度を超えるか否かの判断の仕方は、第1分割受容領域Ar1において第1受容限度を超えるかの判断の仕方と同じであるため説明を省略する。
【0089】
全ての第4分割受容領域Ar4において第4受容限度を超えない場合、制御部13は、第4分割受容領域Ar4にフラッシングを行わせる。すなわち、制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第3分割受容領域Ar3に対して行った場合に第3受容限度を超える第3分割受容領域Ar3がある場合は、フラッシングを1つ以上の第4分割受容領域Ar4に対して行わせる。制御部13は、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第4分割受容領域Ar4に対して行った場合に第4受容限度を超える第4分割受容領域Ar4がない場合は、フラッシングを1つ以上の第4分割受容領域Ar4に対して行わせる。
【0090】
図8に示すように、第4分割受容領域Ar4にフラッシングを行わせる場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22を移動させてノズル列Lを第4位置P4に位置させる。制御部13は、それぞれのノズル列Lから設定された排出量の液体を排出させる。排出される液体は、それぞれのノズル列Lに対向する第4分割受容領域Ar4に受容される。制御部13は、第1分割受容領域Ar1~第3分割受容領域Ar3にフラッシングを行う時と同様に、複数の第4分割受容領域Ar4のそれぞれの受容済量と受容済回数を更新する。
【0091】
第4受容限度を超える第4分割受容領域Ar4がある場合、制御部13は、吸収部材34の走査方向Dxにおける一端側から他端側までフラッシングを行わせたと判断してもよい。すなわち、制御部13は、最も一端側に位置する第1分割受容領域Ar1から、最も他端側に位置する第4分割受容領域Ar4まで使用済みであると判断する。
【0092】
制御部13は、液体吐出ヘッド22および吸収部材34を副走査方向Dyに相対移動させる。具体的には、制御部13は、吸収部材34を送り方向Dsに送る。制御部13は、吸収部材34の未使用部を受容領域Arに位置させる。制御部13は、液体吐出ヘッド22および吸収部材34を副走査方向Dyに相対移動させた後、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行わせる。
【0093】
制御部13は、吸収部材34に受容された液体に対して処理部21に処理を行わせてもよい。制御部13は、例えば吸収部材34を送る前に処理部21に硬化処理を行わせてもよい。制御部13は、例えばフラッシングを行う度に処理部21に硬化処理を行わせてもよい。制御部13は、第1分割受容領域Ar1~第4分割受容領域Ar4の何れかが受容限度を超えた場合に、硬化処理を行わせてもよい。
【0094】
硬化処理を行う場合、制御部13は、処理部21を受容領域Arの上に位置させる。本実施形態の処理部21は、受容領域Arに向けて紫外線を照射することにより、吸収部材34に吸収された液体を硬化させる。制御部13は、吸収部材34を送り方向Dsと戻し方向Drの少なくとも一方に移動させながら液体を硬化させてもよい。
【0095】
図4に示すように、制御部13は、液体吐出ヘッド22のメンテナンスを、例えばクリーニング、ワイピング、硬化処理、およびフラッシングの順に行ってもよい。
クリーニングを行う場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22を受容領域Arの上に位置させる。制御部13は、液体吐出ヘッド22および吸収部材34を副走査方向Dyに相対移動させて吸収部材34の未使用部を受容領域Arに位置させてもよい。本実施形態の制御部13は、繰出軸38と巻取軸39を正回転させて吸収部材34を送り方向Dsに送ることにより、液体吐出ヘッド22及び吸収部材34を副走査方向Dyに相対移動させる。制御部13は、液体吐出ヘッド22を受容領域Arの上に移動させる動作と、吸収部材34を送り方向Dsに送る動作を別々に行ってもよいし、一緒に行ってもよい。
【0096】
制御部13は、吸収部材34の液体を吸収した部分を受容領域Arより送り方向Dsの下流に移動させる。制御部13は、ノズル面31と、吸収部材34の液体を吸収していない部分と、鉛直方向に対向させる。
【0097】
続いて制御部13は、液体吐出ヘッド22内を加圧部20に加圧させる。液体吐出ヘッド22は、ノズル29から受容領域Arに液体を排出する。排出された液体は、吸収部材34の受容領域Arに位置する部分に吸収される。
【0098】
ワイピングを行う場合、制御部13は、払拭領域Awに位置する吸収部材34によりノズル面31の払拭を行ってもよい。制御部13は、液体吐出ヘッド22および払拭部23を副走査方向Dyに相対移動させることによりワイピングを行ってもよい。本実施形態の制御部13は、液体吐出ヘッド22を副走査方向Dyに移動させる。制御部13は、払拭部23を副走査方向Dyとは反対の方向に移動させてもよい。液体吐出ヘッド22は、吸収部材34の払拭領域Awに位置する部分にノズル面31を接触させるように移動する。
【0099】
制御部13は、処理部21に硬化処理を行わせることで、吸収部材34に吸収された液体を硬化させてもよい。硬化処理が終了すると、制御部13は、吸収部材34を送り方向Dsに送ることで、吸収部材34の未使用部を受容領域Ar及び払拭領域Awに位置させる。
【0100】
フラッシングを行う場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22を受容領域Arの上に位置させる。受容領域Arには吸収部材34の未使用部が位置している。そのため、制御部13は、液体吐出ヘッド22を第1位置P1に位置させると共に、各ノズル列Lから第1分割受容領域Ar1に対して液体を吐出させる。
【0101】
制御部13は、1度に第1許容量を超える量のフラッシングを行わせてもよい。すなわち、少なくとも1つのノズル列Lにおいて、フラッシングにより排出させる排出量は、第1許容量より多くてもよい。この場合、制御部13は、第1分割受容領域Ar1に対して第1許容量の液体を吐出させた後、液体吐出ヘッド22を第2位置P2に移動させる。
【0102】
排出量が第1許容量と第2許容量の合計以下のノズル列Lについて、制御部13は、排出量から第1許容量を引いた量を、第2分割受容領域Ar2に対して吐出させる。
排出量が第1許容量と第2許容量の合計より多いノズル列Lについて、制御部13は、第2許容量の液体を、第2分割受容領域Ar2に対して吐出させた後、液体吐出ヘッド22を第3位置P3に移動させる。
【0103】
同様に、制御部13は、設定された排出量が排出されるまで、第3分割受容領域Ar3、第4分割受容領域Ar4の順に液体を受容させる。第4分割受容領域Ar4にフラッシングをおこなっても排出量の液体を排出しきれない場合、制御部13は、液体吐出ヘッド22及び吸収部材34を副走査方向Dyに相対移動させてもよい。すなわち、制御部13は、吸収部材34を送り方向Dsに送って未使用部分を受容領域Arに位置させた後、再び第1分割受容領域Ar1に対するフラッシングから行ってもよい。
【0104】
<実施形態の効果>
本実施形態の効果について説明する。
(1-1)制御部13は、複数の第1分割受容領域Ar1に対し、第1受容限度を超えないようにフラッシングを行う。そのため、例えば複数の第1分割受容領域Ar1に対して1回ずつフラッシングを行う場合に比べて吸収部材34を効率的に消費できる。
【0105】
(1-2)制御部13は、複数の第2分割受容領域Ar2に対し、第2受容限度を超えないようにフラッシングを行う。そのため、例えば複数の第2分割受容領域Ar2に対して1回ずつフラッシングを行う場合に比べて吸収部材34を効率的に消費できる。
【0106】
(1-3)制御部13は、複数の第1分割受容領域Ar1に対し、受容可能な量を超えないようにフラッシングを行わせる。そのため、フラッシングにより吐出された液体を吸収部材34に吸収させることができる。
【0107】
(1-4)第1分割受容領域Ar1にフラッシングを複数回行う場合、先のフラッシングで吐出された液体が固まると、後のフラッシングで吐出される液体は固まった液体の上に載る。そのため、フラッシングの回数が増えるにつれ、液体が積み重なってしまう虞がある。その点、制御部13は、複数の第1分割受容領域Ar1に対し、フラッシング可能な回数を超えないようにフラッシングを行わせる。そのため、液体の吐出に必要な空間を確保することができる。
【0108】
(1-5)制御部13は、吸収部材34の走査方向Dxにおける一端側から他端側までフラッシングを行わせた後に、液体吐出ヘッド22と吸収部材34を副走査方向Dyに相対移動させる。そのため、走査方向Dxにおいて吸収部材34の一部にフラッシングを行わせる場合に比べて吸収部材34を効率的に消費できる。
【0109】
(1-6)処理部21は、吸収部材34に受容された液体に処理を行うことで、液体を硬化させる。そのため、吸収部材34に受容された液体により周囲が汚染される虞を低減できる。
【0110】
(1-7)吸収部材34は、加圧部20が排出させる液体を受容する。そのため、フラッシングにより吐出される液体の受容と、加圧部20により排出される液体の受容と、を吸収部材34により兼用させることができる。
【0111】
(1-8)吸収部材34は、払拭領域Awに位置する部分でノズル面31の払拭を行う。そのため、フラッシングにより吐出される液体の受容と、ノズル面31の払拭と、を吸収部材34により兼用させることができる。
【0112】
[変更例]
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0113】
・液体吐出装置11は、液体吐出ヘッド22を複数有してもよい。複数の液体吐出ヘッド22は、ノズル列Lの配置が同じであってもよい。
・制御部13は、複数の液体吐出ヘッド22によるフラッシングを、同じ分割受容領域に対して行わせてもよい。すなわち、1つ目の液体吐出ヘッド22が第1分割受容領域Ar1にフラッシングを行う場合、2つ目の液体吐出ヘッド22も第1分割受容領域Ar1にフラッシングを行ってもよい。複数の液体吐出ヘッド22における同じ番号のノズル列Lは、排出量が同じであってもよいし異なっていてもよい。フラッシングによる各ノズル列Lの排出量は、複数の液体吐出ヘッド22における合計量であってもよい。具体的には、制御部13は、1つ目の液体吐出ヘッド22の第1ノズル列L1の排出量および2つ目の液体吐出ヘッド22の第1ノズル列L1の排出量の合計と、第1限度量と、を比較してもよい。
【0114】
・制御部13は、複数の液体吐出ヘッド22によるフラッシングを、異なる分割受容領域に対して行わせてもよい。
・副走査方向Dyにおいて、受容領域Arの大きさは、ノズル列Lの2倍以上あってもよい。副走査方向Dyにおいて、第1分割受容領域Ar1~第4分割受容領域Ar4の大きさは、ノズル列Lの2倍以上あってもよい。受容領域Arにおいて第1分割受容領域Ar1~第4分割受容領域Ar4はそれぞれ、複数が副走査方向Dyに並んで設定されてもよい。制御部13は、上記実施形態と同様に、吸収部材34の走査方向Dxにおける一端側から他端側までフラッシングを行わせる。その後、制御部13は、液体吐出ヘッド22を副走査方向Dyに移動させてから、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行わせてもよい。払拭部23は、副走査方向Dyに往復移動可能に設けられてもよい。制御部13は、払拭部23を副走査方向Dyに移動させてから、1つ以上のノズル列Lによるフラッシングを対応する1つ以上の第1分割受容領域Ar1に対して行わせてもよい。
【0115】
・制御部13は、複数のノズル列Lを1つずつフラッシングさせてもよい。制御部13は、一部のノズル列Lをまとめてフラッシングさせてもよい。例えば、制御部13は、奇数番目のノズル列Lにフラッシングをさせた後、偶数番目のノズル列Lにフラッシングをさせてもよい。制御部13は、全てのノズル列Lをまとめてフラッシングさせてもよい。
【0116】
・制御部13は、処理部21が第1分割受容領域Ar1に対して処理を行った処理回数に基づいて、第1受容限度を超えるかを判断してもよい。第1受容限度は、処理回数により示されてもよい。制御部13は、受容した液体の量、フラッシングの回数、処理回数のうち、少なくとも1つに基づいて第1受容限度を超えるかを判断してもよい。処理部21が処理を行うと液体が硬化する。そのため、処理された液体の上にフラッシングを行うと、積み重なった液体により、液体吐出ヘッド22との間に液体の吐出に必要な空間を確保することが難しくなる虞がある。第1処理限度回数は、それぞれの第1分割受容領域Ar1に行うことができる処理の回数である。制御部13は、第1処理限度回数と、処理回数と、の差が1以上である場合、第1ノズル列L1のフラッシングを第1分割受容領域Ar1に行っても、第1受容限度を超えないと判断してもよい。制御部13は、他の分割受容領域についても、処理限度回数を用いて、受容限度を超えるか否かを判断してもよい。
【0117】
・受容領域Arは、複数の第1分割受容領域Ar1と、複数の第2分割受容領域Ar2と、を有してもよい。走査方向Dxにおいて、第1分割受容領域Ar1が最も一端側に位置し、第2分割受容領域Ar2が最も他端側に位置してもよい。
【0118】
・受容領域Arは、複数の第1分割受容領域Ar1、複数の第2分割受容領域Ar2、および第3分割受容領域Ar3を有してもよい。走査方向Dxにおいて、第1分割受容領域Ar1が最も一端側に位置し、第3分割受容領域Ar3が最も他端側に位置してもよい。
【0119】
・上記実施形態において、走査方向Dxは反対の方向であってもよい。同じノズル列Lに対応する第1分割受容領域Ar1と第2分割受容領域Ar2は、第2分割受容領域Ar2が、第1分割受容領域Ar1より支持部15に近い位置に位置してもよい。
【0120】
・液体吐出装置11は、払拭部23とは別にワイパーを備えてもよい。液体吐出装置11は、ワイパーによりノズル面31の払拭を行ってもよい。
・液体吐出装置11は、払拭部23とは別に受容部を備えてもよい。液体吐出装置11は、加圧部20が液体吐出ヘッド22内を加圧してノズル29から排出させる液体を受容部により受容してもよい。
【0121】
・液体吐出装置11は、加圧部20を備えない構成としてもよい。液体吐出装置11は、ノズル面31に接触することで複数のノズル29を覆うキャップを備えてもよい。液体吐出装置11は、キャップ内を負圧にすることでノズル29から液体を排出させる吸引クリーニングを行ってもよい。
【0122】
・液体吐出装置11は、媒体16に吐出された液体に対して処理を行う処理部21と、吸収部材34に受容された液体に対して処理を行う処理部21と、を別々に備えてもよいし、一方もしくは両方を備えない構成としてもよい。
【0123】
・処理部21は、ヒーターや送風機などを有してもよい。処理部21は、液体を乾燥させることで、液体を硬化させてもよい。
・処理部21は、液体に含まれる成分を凝集させる反応液を、媒体16もしくは吸収部材34に付着させることで、液体を硬化させてもよい。処理部21は、例えば液体吐出ヘッド22から反応液を吐出してもよい。
【0124】
・液体吐出装置11は、インク以外の他の液体を噴射したり吐出したりする液体吐出装置であってもよい。液体吐出装置から微小量の液滴となって吐出される液体の状態としては、粒状、涙状、糸状に尾を引くものも含むものとする。ここでいう液体は、液体吐出装置から吐出させることができるような材料であればよい。例えば、液体は、物質が液相であるときの状態のものであればよく、粘性の高い又は低い液状体、ゾル、ゲル水、その他の無機溶剤、有機溶剤、溶液、液状樹脂、液状金属、金属融液、のような流状体を含むものとする。液体は、物質の一状態としての液体のみならず、顔料や金属粒子などの固形物からなる機能材料の粒子が溶媒に溶解、分散又は混合されたものなども含むものとする。液体の代表的な例としては上記実施形態で説明したようなインクや液晶等が挙げられる。ここで、インクとは一般的な水性インク及び油性インク並びにジェルインク、ホットメルトインク等の各種液体組成物を包含するものとする。液体吐出装置の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルターの製造等に用いられる電極材や色材等の材料を分散又は溶解のかたちで含む液体を吐出する装置がある。液体吐出装置は、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を吐出する装置、捺染装置やマイクロディスペンサー等であってもよい。液体吐出装置は、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ、光学レンズ、などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に吐出する装置であってもよい。液体吐出装置は、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を吐出する装置であってもよい。
【0125】
[定義]
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0126】
[付記]
以下に、上述した実施形態及び変更例から把握される技術的思想及びその作用効果を記載する。
【0127】
(A)液体吐出装置は、液体を吐出可能な複数のノズルにより複数のノズル列が形成されるノズル面を有する液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルからフラッシングとして受容領域に吐出される液体を受容可能な吸収部材と、制御部と、を備え、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材は、走査方向と副走査方向に相対移動可能であり、複数の前記ノズル列は、前記走査方向に所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記副走査方向に延びて構成され、前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第1分割受容領域と、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第2分割受容領域と、を有し、前記制御部は、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせ、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に前記第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせる。
【0128】
この構成によれば、制御部は、複数の第1分割受容領域に対し、第1受容限度を超えないようにフラッシングを行う。そのため、例えば複数の第1分割受容領域に対して1回ずつフラッシングを行う場合に比べて吸収部材を効率的に消費できる。
【0129】
(B)(A)に記載の液体吐出装置において、前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第3分割受容領域を有し、前記制御部は、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせ、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に前記第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第3分割受容領域に対して行わせてもよい。
【0130】
この構成によれば、制御部は、複数の第2分割受容領域に対し、第2受容限度を超えないようにフラッシングを行う。そのため、例えば複数の第2分割受容領域に対して1回ずつフラッシングを行う場合に比べて吸収部材を効率的に消費できる。
【0131】
(C)(A)又は(B)に記載の液体吐出装置において、前記第1受容限度は、それぞれの前記第1分割受容領域で受容可能な液体の量であってもよい。
この構成によれば、制御部は、複数の第1分割受容領域に対し、受容可能な量を超えないようにフラッシングを行わせる。そのため、フラッシングにより吐出された液体を吸収部材に吸収させることができる。
【0132】
(D)(A)~(C)に記載の液体吐出装置において、前記第1受容限度は、それぞれの前記第1分割受容領域に行うことができる前記フラッシングの回数であってもよい。
第1分割受容領域にフラッシングを複数回行う場合、先のフラッシングで吐出された液体が固まると、後のフラッシングで吐出される液体は固まった液体の上に載る。そのため、フラッシングの回数が増えるにつれ、液体が積み重なってしまう虞がある。その点、この構成によれば、制御部は、複数の第1分割受容領域に対し、フラッシング可能な回数を超えないようにフラッシングを行わせる。そのため、液体の吐出に必要な空間を確保することができる。
【0133】
(E)(A)~(D)に記載の液体吐出装置において、前記制御部は、前記吸収部材の前記走査方向における一端側から他端側まで前記フラッシングを行わせた後、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材を前記副走査方向に相対移動させてから、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせてもよい。
【0134】
この構成によれば、制御部は、吸収部材の走査方向における一端側から他端側までフラッシングを行わせた後に、液体吐出ヘッドと吸収部材を副走査方向に相対移動させる。そのため、走査方向において吸収部材の一部にフラッシングを行わせる場合に比べて吸収部材を効率的に消費できる。
【0135】
(F)(A)~(E)に記載の液体吐出装置は、媒体に吐出された液体に対して処理を行う処理部を更に備え、液体は、前記処理によって硬化する成分を含み、前記制御部は、前記吸収部材に受容された液体に対して前記処理部に前記処理を行わせてもよい。
【0136】
この構成によれば、処理部は、吸収部材に受容された液体に処理を行うことで、液体を硬化させる。そのため、吸収部材に受容された液体により周囲が汚染される虞を低減できる。
【0137】
(G)(A)~(F)に記載の液体吐出装置は、前記液体吐出ヘッド内を加圧可能な加圧部を更に備え、前記制御部は、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材を前記副走査方向に相対移動させて前記吸収部材の未使用部を前記受容領域に位置させた後、前記液体吐出ヘッド内を前記加圧部に加圧させて複数の前記ノズルから前記受容領域に液体を排出してもよい。
【0138】
この構成によれば、吸収部材は、加圧部が排出させる液体を受容する。そのため、フラッシングにより吐出される液体の受容と、加圧部により排出される液体の受容と、を吸収部材により兼用させることができる。
【0139】
(H)(A)~(G)に記載の液体吐出装置において、前記制御部は、払拭領域に位置する前記吸収部材により前記ノズル面の払拭を行ってもよい。
この構成によれば、吸収部材は、払拭領域に位置する部分でノズル面の払拭を行う。そのため、フラッシングにより吐出される液体の受容と、ノズル面の払拭と、を吸収部材により兼用させることができる。
【0140】
(I)液体吐出装置の制御方法は、液体を吐出可能な複数のノズルにより複数のノズル列が形成されるノズル面を有する液体吐出ヘッドと、複数の前記ノズルからフラッシングとして受容領域に吐出される液体を受容可能な吸収部材と、を備え、前記液体吐出ヘッドおよび前記吸収部材は、走査方向と副走査方向に相対移動可能であり、複数の前記ノズル列は、前記走査方向に所定の間隔をあけて配置されるとともに、それぞれ前記副走査方向に延びて構成され、前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第1分割受容領域と、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第2分割受容領域と、を有する液体吐出装置の制御方法であって、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行わせることと、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第1分割受容領域に対して行った場合に前記第1受容限度を超える前記第1分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせることと、を含む。この方法によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
【0141】
(J)(I)に記載の液体吐出装置の制御方法において、前記受容領域は、前記走査方向において複数の前記ノズル列それぞれに対応する複数の第3分割受容領域を有し、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がない場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行わせることと、1つ以上の前記ノズル列による前記フラッシングを対応する1つ以上の前記第2分割受容領域に対して行った場合に前記第2受容限度を超える前記第2分割受容領域がある場合は、前記フラッシングを1つ以上の前記第3分割受容領域に対して行わせることと、を含んでもよい。この方法によれば、上記液体吐出装置と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0142】
11…液体吐出装置、12…筐体、13…制御部、15…支持部、16…媒体、18…キャリッジ、19…液体収容部、20…加圧部、21…処理部、22…液体吐出ヘッド、23…払拭部、25…移動機構、26…横軸、27…縦軸、29…ノズル、31…ノズル面、33…ケース、34…吸収部材、35…繰出部、36…巻取部、38…繰出軸、39…巻取軸、41~43…第1ガイドローラー~第3ガイドローラー、44…押付ローラー、Ar…受容領域、Ar1~Ar4…第1分割受容領域~第4分割受容領域、Aw…払拭領域、Dr…戻し方向、Ds…送り方向、Dx…走査方向、Dy…副走査方向、G1~G4…第1ノズル群~第4ノズル群、L…ノズル列、L1~L8…第1ノズル列~第8ノズル列、P1~P4…第1位置~第4位置、S1…第1間隔、S2…第2間隔、W1~W4…第1幅~第4幅。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8