(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140099
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】三次元造形装置
(51)【国際特許分類】
B29C 64/205 20170101AFI20241003BHJP
B29C 64/106 20170101ALI20241003BHJP
B29C 64/209 20170101ALI20241003BHJP
B29C 64/295 20170101ALI20241003BHJP
B33Y 30/00 20150101ALI20241003BHJP
【FI】
B29C64/205
B29C64/106
B29C64/209
B29C64/295
B33Y30/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051094
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】坂井 勇太
(72)【発明者】
【氏名】橋本 大毅
【テーマコード(参考)】
4F213
【Fターム(参考)】
4F213AP05
4F213AR06
4F213WA25
4F213WB01
4F213WL02
4F213WL32
4F213WL73
4F213WL74
4F213WL85
(57)【要約】
【課題】三次元造形物の造形精度を高めることができる三次元造形装置を提供する。
【解決手段】第1ヒーターを有し、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料を吐出するノズルと、を有する吐出部と、前記可塑化材料が積層されるステージと、前記ステージに積層された前記可塑化材料を加熱する第2ヒーターを有する加熱部と、前記ノズルと前記加熱部との相対的な位置を変化させる駆動部と、前記駆動部を制御する制御部と、を含み、三次元造形物の造形時において、前記ノズルの先端は、前記加熱部の下方に位置し、前記制御部は、前記駆動部を制御して、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記吐出部の温度、前記加熱部の温度、および前記ステージと前記ノズルの先端との間の距離の少なくとも1つに基づいて、設定する、三次元造形装置。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ヒーターを有し、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料を吐出するノズルと、を有する吐出部と、
前記可塑化材料が積層されるステージと、
前記ステージに積層された前記可塑化材料を加熱する第2ヒーターを有する加熱部と、
前記ノズルと前記加熱部との相対的な位置を変化させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を含み、
三次元造形物の造形時において、前記ノズルの先端は、前記加熱部の下方に位置し、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記吐出部の温度、前記加熱部の温度、および前記ステージと前記ノズルの先端との間の距離の少なくとも1つに基づいて、設定する、三次元造形装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、前記第1ヒーターの温度を第1温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第1距離に設定し、前記第1ヒーターの温度を前記第1温度よりも高い第2温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記第1距離よりも小さい第2距離に設定する、三次元造形装置。
【請求項3】
請求項1において、
前記制御部は、前記第2ヒーターの温度を第3温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第3距離に設定し、前記第2ヒーターの温度を前記第3温度よりも高い第4温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第3距離よりも大きい第4距離に設定する、三次元造形装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記ステージは、第3ヒーターを有し、
nを自然数、mをnよりも大きな自然数として、前記制御部は、前記三次元造形物の第n層目を造形する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第5距離に設定し、前記三次元造形物の第m層目を造形する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記第5距離よりも小さい第6距離に設定する、三次元造形装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記加熱部と前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部を含み、
前記吐出部は、前記位置変更部によって、前記加熱部の移動に伴って移動され、
nを2以上の自然数として、前記三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第n層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に第7距離だけ離す方向に移動させ、
前記三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第m層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に前記第7距離よりも小さい第8距離だけ離す方向に移動させる、三次元造形装置。
【請求項6】
請求項1において、
前記ステージに積層された前記可塑化材料の温度を測定する温度センサーを含み、
前記制御部は、前記温度センサーの測定結果に基づいて、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を設定する、三次元造形装置。
【請求項7】
請求項1において、
前記加熱部と前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部を含み、
前記ステージは、第3ヒーターを有し、
nを2以上の自然数、mをnよりも大きな自然数として、前記三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第n層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に第9距離だけ離す方向に移動させ、
前記三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第m層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に前記第9距離よりも小さい第10距離だけ離す方向に移動させる、三次元造形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元造形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
可塑化された材料をステージに向けて吐出し、硬化させることによって三次元造形物を造形する三次元造形装置が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、造形材料が積層されるステージと、ステージ上の造形領域に向かって造形材料を吐出するノズルと、ステージ上の造形領域に積層された造形材料を加熱する加熱部と、を備えた三次元造形装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような加熱部を備えた三次元造形装置では、加熱部の温度に応じて、加熱部の熱膨張量が変わるため、ステージと加熱部との間の距離が変化して、三次元造形物の造形精度に影響を与える場合があった。このような加熱部以外にも、温度によって造形精度に影響を与える因子が存在し得る。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る三次元造形装置の一態様は、
第1ヒーターを有し、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料を吐出するノズルと、を有する吐出部と、
前記可塑化材料が積層されるステージと、
前記ステージに積層された前記可塑化材料を加熱する第2ヒーターを有する加熱部と、
前記ノズルと前記加熱部との相対的な位置を変化させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を含み、
三次元造形物の造形時において、前記ノズルの先端は、前記加熱部の下方に位置し、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記吐出部の温度、前記加熱部の温度、および前記ステージと前記ノズルの先端との間の距離の少なくとも1つに基づいて、設定する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示す斜視図。
【
図2】本実施形態に係る三次元造形装置を模式的に示す断面図。
【
図3】本実施形態に係る三次元造形装置のフラットスクリューを模式的に示す斜視図。
【
図4】本実施形態に係る三次元造形装置のバレルを模式的に示す図。
【
図5】本実施形態に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するためのフローチャート。
【
図6】本実施形態に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図7】本実施形態に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図8】本実施形態に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図9】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するためのフローチャート。
【
図10】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図11】本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図12】本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するためのフローチャート。
【
図13】本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図14】本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図15】本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するためのフローチャート。
【
図16】本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【
図17】本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置の制御部の処理を説明するための断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0009】
1. 三次元造形装置
1.1. 全体の構成
まず、本実施形態に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態に係る三次元造形装置100を模式的に示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る三次元造形装置100を模式的に示す
図1のII-II線断面図である。なお、
図1および
図2では、互いに直交する3つの軸として、X軸、Y軸、およびZ軸を示している。X軸方向およびY軸方向は、例えば、水平方向である。Z軸方向は、例えば、鉛直方向である。
【0010】
三次元造形装置100は、
図1および
図2に示すように、例えば、吐出部10と、ステージ20と、位置変更部30と、支持部40と、加熱部50と、駆動部60と、温度センサー70と、制御部80と、を含む。
【0011】
三次元造形装置100は、吐出部10からステージ20に向けて可塑化された可塑化材料を吐出させつつ、位置変更部30を駆動して、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させる。これにより、三次元造形装置100は、ステージ20上に所望の形状の三次元造形物を造形する。三次元造形装置100は、FDM(Fused Deposition Modeling)(登録商標)方式の三次元造形装置である。
【0012】
三次元造形装置100は、吐出部10として、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bを含む。図示の例では、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bは、X軸方向に並んでいる。第1吐出部10aおよび第2吐出部10bの構成は、例えば、同じである。第1吐出部10aおよび第2吐出部10bは、ともに三次元造形物を構成する可塑化材料を吐出してもよいし、一方が可塑化材料を吐出し、他方が三次元造形物を支持するサポート材を吐出してもよい。なお、図示はしないが、第1吐出部10aおよび第2吐出部10bのうちの一方は、設けられていなくてもよい。
【0013】
吐出部10は、
図2に示すように、例えば、材料貯留部110と、可塑化部120と、基部160と、ノズル170と、を有している。
【0014】
材料貯留部110は、ペレット状や粉末状の材料を貯留する。材料貯留部110は、可塑化部120に材料を供給する。材料貯留部110は、例えば、ホッパーによって構成されている。材料貯留部110に収容される材料は、例えば、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)樹脂である。
【0015】
材料貯留部110と可塑化部120とは、材料貯留部110の下方に設けられた供給路112によって接続されている。材料貯留部110に投入された材料は、供給路112を介して、可塑化部120に供給される。
【0016】
可塑化部120は、例えば、スクリューケース122と、駆動モーター124と、フラットスクリュー130と、バレル140と、ヒーター150と、を有している。可塑化部120は、材料貯留部110から供給された固体状態の材料の少なくとも一部を可塑化し、流動性を有するペースト状の可塑化材料を生成して、ノズル170に供給する。
【0017】
なお、可塑化とは、溶融を含む概念であり、固体から流動性を有する状態に変化させることである。具体的には、ガラス転移が起こる材料の場合、可塑化とは、材料の温度をガラス転移点以上にすることである。ガラス転移が起こらない材料の場合、可塑化とは、材料の温度を融点以上にすることである。
【0018】
スクリューケース122は、フラットスクリュー130を収容する筐体である。スクリューケース122の下面には、バレル140が設けられている。スクリューケース122とバレル140とによって囲まれた空間に、フラットスクリュー130が収容されている。
【0019】
駆動モーター124は、スクリューケース122の上面に設けられている。駆動モーター124は、例えば、サーボモーターである。駆動モーター124のシャフト126は、フラットスクリュー130の上面131に接続されている。駆動モーター124は、制御部80によって制御される。なお、図示はしないが、減速機を介して、駆動モーター124のシャフト126と、フラットスクリュー130の上面131とが、接続されていてもよい。
【0020】
フラットスクリュー130は、回転軸R方向の大きさが、回転軸R方向と直交する方向の大きさよりも小さい略円柱形状を有している。図示の例では、回転軸Rは、Z軸と平行である。駆動モーター124が発生させるトルクによって、フラットスクリュー130は、回転軸Rを中心に回転する。
【0021】
フラットスクリュー130は、上面131と、上面131とは反対側の溝形成面132と、上面131と溝形成面132とを接続する側面133と、を有している。溝形成面132には、第1溝134が形成されている。側面133は、例えば、溝形成面132に対して垂直である。ここで、
図3は、フラットスクリュー130を模式的に示す斜視図である。なお、便宜上、
図3では、
図2に示した状態とは上下の位置関係を逆向きとした状態を示している。
【0022】
フラットスクリュー130の溝形成面132には、
図3に示すように、第1溝134が形成されている。第1溝134は、例えば、中央部135と、接続部136と、材料導入部137と、を有している。中央部135は、バレル140に形成された連通孔146と対向している。中央部135は、連通孔146と連通している。接続部136は、中央部135と材料導入部137とを接続している。図示の例では、接続部136は、中央部135から溝形成面132の外周に向かって渦状に設けられている。材料導入部137は、溝形成面132の外周に設けられている。すなわち、材料導入部137は、フラットスクリュー130の側面133に設けられている。材料貯留部110から供給された材料は、材料導入部137から第1溝134に導入され、接続部136および中央部135を通って、バレル140に形成された連通孔146に搬送される。第1溝134は、例えば、2つ設けられている。
【0023】
なお、第1溝134の数は、特に限定されない。図示はしないが、第1溝134は、3つ以上形成されていてもよいし、1つだけ形成されていてもよい。
【0024】
また、図示はしないが、可塑化部120は、フラットスクリュー130ではなく、側面に螺旋溝を有する長尺のインラインスクリューを有していてもよい。そして、可塑化部120は、インラインスクリューの回転によって材料を可塑化してもよい。
【0025】
バレル140は、
図2に示すように、フラットスクリュー130の下方に設けられている。バレル140は、フラットスクリュー130の溝形成面132に対向する対向面142を有している。対向面142の中心には、第1溝134と連通する連通孔146が形成されている。ここで、
図4は、バレル140を模式的に示す平面図である。
【0026】
バレル140の対向面142には、
図4に示すように、第2溝144と、連通孔146と、が形成されている。第2溝144は、複数形成されている。図示の例では、6つの第2溝144が形成されているが、第2溝144の数は、特に限定されない。複数の第2溝144は、Z軸方向からみて、連通孔146の周りに形成されている。第2溝144は、一端が連通孔146に接続され、連通孔146からバレル140の外周に向かって渦状に延びている。第2溝144は、可塑化された可塑化材料を連通孔146に導く機能を有している。
【0027】
なお、第2溝144の形状は、特に限定されず、例えば、直線状であってもよい。また、第2溝144は、一端が連通孔146に接続されていなくてもよい。さらに、第2溝144は、対向面142に形成されていなくてもよい。ただし、連通孔146に可塑化された材料を効率よく導くことを考慮すると、第2溝144は、対向面142に形成されていることが好ましい。
【0028】
ヒーター150は、
図2に示すように、バレル140に設けられている。ヒーター150は、フラットスクリュー130とバレル140との間に供給された材料を加熱する。ヒーター150の出力は、制御部80によって制御される。可塑化部120は、フラットスクリュー130、バレル140、およびヒーター150によって、材料を連通孔146に向かって搬送しながら加熱して、可塑化された可塑化材料を生成する。そして、可塑化部120は、生成された可塑化材料を連通孔146から流出させる。
【0029】
なお、Z軸方向からみて、ヒーター150の形状は、リング状であってもよい。また、ヒーター150は、バレル140ではなく、バレル140の下方に設けられていてもよい。
【0030】
基部160は、バレル140の下方に設けられている。基部160は、バレル140に固定されている。基部160は、ノズル170と嵌合している。基部160は、例えば、ヒーター150の熱によって熱膨張する。具体的には、ヒーター150が高温になると、基部160は、熱膨張し、Z軸方向の長さが大きくなる。これにより、吐出部10のZ軸方向の長さが大きくなる。基部160の材質は、金属である。なお、吐出部10は、基部160を有していなくてもよく、この場合であっても、吐出部10は、熱膨張により、Z軸方向の長さが大きくなる。
【0031】
ノズル170は、基部160の下方に設けられている。ノズル170には、ノズル流路172が形成されている。ノズル流路172は、連通孔146に連通している。ノズル流路172には、連通孔146から可塑化材料が供給される。ノズル170は、ノズル先端174から、ノズル流路172に供給された可塑化材料を、ステージ20に向けて吐出する。ノズル先端174は、ノズル170の-Z軸方向の端である。
【0032】
ステージ20は、ノズル170の下方に設けられている。ステージ20は、例えば、断熱部材21と、下部プレート22と、ヒーター23と、上部プレート24と、造形プレート25と、を有している。
【0033】
断熱部材21は、位置変更部30上に設けられている。断熱部材21は、位置変更部30と下部プレート22との間に設けられている。断熱部材21の形状は、例えば、板状である。断熱部材21としては、例えば、ロスリムボード(登録商標)を用いる。断熱部材21は、断熱部材21よりも下方に伝わるヒーター23の熱を低減できる。
【0034】
下部プレート22は、断熱部材21上に設けられている。下部プレート22は、断熱部材21とヒーター23との間に設けられている。下部プレート22の材質は、例えば、アルミニウムである。下部プレート22の上面および下面は、例えば、研磨処理された鏡面である。これにより、下部プレート22は、ヒーター23からの輻射熱を造形プレート25側に反射できる。
【0035】
ヒーター23は、下部プレート22上に設けられている。ヒーター23は、下部プレート22と上部プレート24との間に設けられている。ヒーター23は、例えば、板状のヒータープレートである。ヒーター23としては、例えば、ラバーヒーターを用いる。ヒーター23は、上部プレート24および造形プレート25介して、造形プレート25上に積層された可塑化材料を加熱する。ヒーター23の出力は、制御部80によって制御される。
【0036】
上部プレート24は、ヒーター23上に設けられている。上部プレート24は、ヒーター23と造形プレート25との間に設けられている。上部プレート24の材質は、例えば、アルミニウムである。上部プレート24の上面および下面には、例えば、酸化膜が設けられている。酸化膜によって、ヒーター23からの輻射熱がこもり易くすることができ、効率よく造形プレート25を加熱できる。造形プレート25は、例えば、着脱可能に構成されている。上部プレート24は、造形プレート25が取り外された場合に、ヒーター23が露出することを防ぐことができる。
【0037】
造形プレート25は、上部プレート24上に設けられている。造形プレート25は、上部プレート24と加熱部50との間に設けられている。造形プレート25の材質は、例えば、アルミニウムである。造形プレート25は、可塑化材料が積層される材料積層面26を有している。材料積層面26は、造形プレート25の上面である。
【0038】
位置変更部30は、ステージ20を支持している。位置変更部30は、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変更する。図示の例では、位置変更部30は、ステージ20をX軸方向およびY軸方向に移動させることによって、X軸方向およびY軸方向において、ノズル170とステージ20との相対的な位置を変更する。さらに、位置変更部30は、吐出部10をZ軸方向に移動させることによって、Z軸方向において、ノズル170とステージ20との相対的な位置を変更する。
【0039】
位置変更部30は、例えば、第1電動アクチュエーター32と、第2電動アクチュエーター34と、第3電動アクチュエーター36と、を有している。第1電動アクチュエーター32は、ステージ20をX軸方向に移動させる。第2電動アクチュエーター34は、ステージ20をY軸方向に移動させる。第3電動アクチュエーター36は、吐出部10をZ軸方向に移動させる。
【0040】
なお、位置変更部30は、吐出部10とステージ20との相対的な位置を変更することができれば、その構成は、特に限定されない。位置変更部30は、例えば、ステージ20をZ軸方向に移動し、吐出部10をX軸方向およびY軸方向に移動させる構成であってもよい。または、位置変更部30は、ステージ20または吐出部10をX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向に移動させる構成であってもよい。
【0041】
支持部40は、第3電動アクチュエーター36に接続されている。支持部40は、吐出部10を支持している。位置変更部30は、第3電動アクチュエーター36によって支持部40をZ軸方向に移動させることにより、吐出部10をZ軸方向に移動させる。
【0042】
加熱部50は、造形プレート25の材料積層面26よりも上方に設けられている。加熱部50は、支持部40に支持されている。図示はしないが、支持部40は、Y軸方向に延在する一対の支持椀を有し、加熱部50は、当該一対の支持椀に吊り下げられて支持されていてもよい。加熱部50は、位置変更部30によって、吐出部10と連動して移動される。すなわち、位置変更部30は、加熱部50とステージ20との相対的な位置を変更する。吐出部10は、位置変更部30によって、加熱部50と連動して移動される。加熱部50の形状は、例えば、板状である。加熱部50は、Z軸方向からみて、材料積層面26と重なっている。
【0043】
加熱部50には、貫通孔52が形成されている。貫通孔52は、加熱部50をZ軸方向に貫通している。三次元造形物の造形時において、貫通孔52に、吐出部10のノズル170が位置する。三次元造形物の造形時において、ノズル先端174は、加熱部50の下方に位置する。図示例では、貫通孔52は、2つの吐出部10に対応して、2つ形成されている。
【0044】
加熱部50は、例えば、プレート54と、ヒーター56と、断熱部材58と、を有している。
【0045】
プレート54は、材料積層面26と対向している。プレート54は、材料積層面26とヒーター56との間に設けられている。プレート54の材質は、例えば、アルミニウムである。プレート54は、例えば、図示せぬアルミニウム製のねじによって、ヒーター56に固定されている。当該ねじおよびプレート54は、例えば、ヒーター56の熱によって熱膨張する。具体的には、ヒーター56が高温になると、ねじおよびプレート54が熱膨張し、Z軸方向の大きさが長くなる。これにより、加熱部50のZ軸方向の長さが大きくなる。
【0046】
ヒーター56は、プレート54上に設けられている。ヒーター56は、プレート54と断熱部材58との間に設けられている。ヒーター56は、例えば、板状のヒータープレートである。ヒーター56としては、例えば、ラバーヒーターを用いる。ヒーター56は、プレート54を介して、材料積層面26に積層された可塑化材料を加熱する。ヒーター56の出力は、制御部80によって制御される。
【0047】
断熱部材58は、ヒーター56上に設けられている。断熱部材58は、例えば、支持部40に接続されている。断熱部材58の材質は、例えば、断熱部材21の材質と同じである。断熱部材58は、断熱部材58よりも上方に伝わるヒーター56の熱を低減できる。
【0048】
駆動部60は、支持部40に支持されている。駆動部60は、例えば、吐出部10に接続されている。駆動部60は、ノズル170と加熱部50との相対的な位置を変化させる。駆動部60は、例えば、吐出部10をZ軸方向において移動させることによって、ノズル170と加熱部50とのZ軸方向における相対的な位置を変化させる。駆動部60は、例えば、2つの吐出部10に対応して、2つ設けられている。
【0049】
駆動部60は、三次元造形物の造形時において、ノズル先端174を、加熱部50の下方に位置させる。駆動部60は、三次元造形物の造形時ではない場合に、ノズル先端174を加熱部50の上方に移動させてもよい。ノズル先端174は、加熱部50の上方に位置している状態で、図示せぬクリーニング機構によってクリーニングされてもよい。クリーニング機構は、例えば、ブラシ、ブレードを含んで構成されている。駆動部60は、例えば、ボールねじ、ステッピングモーター、およびリニアガイドを含んで構成されている。
【0050】
なお、駆動部60は、吐出部10を移動させずに加熱部50をZ軸方向に移動させて、ノズル170と加熱部50とのZ軸方向における相対的な位置を変化させてもよい。または、駆動部60は、吐出部10および加熱部50の両方をZ軸方向に移動させて、ノズル170と加熱部50とのZ軸方向における相対的な位置を変化させてもよい。
【0051】
温度センサー70は、ステージ20の上方に設けられている。温度センサー70は、加熱部50に形成された貫通孔53に位置している。貫通孔53は、加熱部50をZ軸方向に貫通している。貫通孔53は、例えば、Z軸方向からみて、2つの貫通孔52の間に形成されている。温度センサー70は、加熱部50の移動に伴って移動する。温度センサー70は、例えば、加熱部50に支持されている。温度センサー70は、ステージ20に積層された可塑化材料の温度を測定する。温度センサー70は、例えば、熱電対、サーミスター、赤外線センサーなどである。
【0052】
制御部80は、例えば、プロセッサーと、主記憶装置と、外部との信号の入出力を行う入出力インターフェースと、を有するコンピューターによって構成されている。制御部80は、例えば、主記憶装置に読み込んだプログラムをプロセッサーが実行することによって、種々の機能を発揮する。具体的には、制御部80は、吐出部10、位置変更部30、加熱部50、および駆動部60を制御する。なお、制御部80は、コンピューターではなく、複数の回路の組み合わせによって構成されてもよい。
【0053】
なお、材料積層面26、加熱部50の下面、およびノズル先端174のZ軸方向における位置は、ステージ20に支持された図示せぬタッチセンサーと、加熱部50に支持された図示せぬタッチセンサーと、によって、測定されてもよい。
【0054】
また、位置変更部30の第3電動アクチュエーター36に加わる負荷トルクを監視することにより、材料貯留部110に貯留された材料の残量が検出されてもよい。材料の残量が減ると、第3電動アクチュエーター36に加わる負荷トルクが小さくなる。材料貯留部110は、例えば、2リットル程度の材料を貯留可能である。
【0055】
1.2. 制御部の処理
図5は、三次元造形装置100の制御部80の処理を説明するためのフローチャートである。ユーザーは、例えば、図示せぬ操作部を操作して、制御部80に処理を開始するための処理開始信号を出力する。操作部は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネルなどによって構成されている。制御部80は、処理開始信号を受けると処理を開始する。
【0056】
まず、制御部80は、
図5に示すように、ステップS1として、三次元造形物を造形するための造形データを取得する処理を行う。
【0057】
造形データは、例えば、材料貯留部110に貯留されている材料の種類、ステージ20に対する吐出部10の移動経路、吐出部10から吐出される可塑化材料の量などに関する情報を含む。
【0058】
造形データは、例えば、三次元造形装置100に接続されたコンピューターにインストールされたスライサーソフトに、形状データを読み込ませることによって作成される。形状データは、三次元CAD(Computer Aided Design)ソフトや三次元CG(Computer Graphics)ソフトなどを用いて作成された三次元造形物の目標形状を表すデータである。形状データとしては、例えば、STL(Standard Triangulated Language)形式やAMF(Additive Manufacturing File Format)などのデータを用いる。スライサーソフトは、三次元造形物の目標形状を所定の厚さの層に分割して、層ごとに造形データを作成する。造形データは、GコードやMコードなどによって表される。制御部80は、三次元造形装置100に接続されたコンピューターや、USB(Universal Serial Bus)メモリーなどの記録媒体から造形データを取得する。
【0059】
次に、制御部80は、ステップS2に示すように、駆動部60を制御して、ノズル先端174と加熱部50との間の距離を、吐出部10の温度、加熱部50の温度、およびステージ20とノズル先端174との間の距離の少なくとも1つに基づいて、設定する処理を行う。以下では、ノズル先端174と加熱部50との間の距離を、吐出部10の温度に基づいて、設定する場合について説明する。
【0060】
ここで、
図6および
図7は、三次元造形装置100の制御部80のステップS2の処理を説明するための断面図である。なお、便宜上、
図6および
図7では、吐出部10および加熱部50を簡略化して図示している。
【0061】
制御部80は、吐出部10のヒーター150の温度を、次のステップS3で第1温度に設定する場合、駆動部60を制御して、
図6に示すように、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを、第1距離D1に設定する。制御部80は、ヒーター150の温度を、次のステップS3で第1温度よりも高い第2温度に設定する場合、駆動部60を制御して、
図7に示すように、距離Dを、第1距離D1よりも小さい第2距離D2に設定する。距離Dは、Z軸方向におけるノズル先端174と加熱部50との間の最短距離である。距離Dは、ノズル170の加熱部50から下方に向けた飛び出し量である。
【0062】
ヒーター150の温度を第2温度に設定した場合は、ヒーター150の温度を第1温度に設定した場合に比べて、ヒーター150の熱によって、吐出部10のZ軸方向における熱膨張量が大きくなる。したがって、距離Dを第1距離D1よりも小さい第2距離D2に設定することにより、造形層を造形する処理において、ヒーター150の温度を第1温度に設定した場合の距離Dと、ヒーター150の温度を第2温度に設定した場合の距離Dと、の差を小さくすることができる。制御部80は、ヒーター150の設定温度が高いほど、距離Dを小さく設定してもよい。
【0063】
制御部80は、ヒーター150の温度と、ヒーター150の熱による吐出部10の熱膨張量と、の関係を示す相関テーブルに基づいて、距離Dを設定してもよい。制御部80は、第1距離D1および第2距離D2を当該テーブルに基づいて決定してもよい。当該テーブルは、図示せぬ記憶部に記憶されていてもよい。記憶部は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などで構成されている。
【0064】
次に、制御部80は、
図5に示すように、ステップS3に示すように、造形データに基づいて、ヒーター23,56,150の温度を設定する処理を行う。具体的には、制御部80は、造形データに含まれる材料の種類に関する情報に基づいて、ヒーター23,56,150の温度を設定する。
【0065】
次に、制御部80は、ステップS4として、ステージ20の材料積層面26に、可塑化材料を吐出して造形層を造形する処理を行う。
【0066】
具体的には、制御部80は、フラットスクリュー130とバレル140との間に供給された材料を可塑化して可塑化材料を生成させ、吐出部10のノズル170から可塑化材料を吐出させる。制御部80は、例えば、造形層を造形する処理が終了するまで可塑化材料を生成させ続ける。
【0067】
ここで、
図8は、三次元造形装置100の制御部80の造形層を造形する処理を説明するための断面図である。
【0068】
制御部80は、
図8に示すように、取得した造形データに基づいて、位置変更部30を制御して吐出部10とステージ20との相対的な位置を変化させつつ、吐出部10を制御してノズル170からステージ20に向けて可塑化材料を吐出させる。
【0069】
具体的には、造形層形成処理が開始される前、すなわち、第1層目の造形層である造形層L1の形成が開始される前では、ノズル170は、ステージ20の-X軸方向の端部よりも-X軸方向の初期位置に配置されている。造形層を造形する処理が開始されると、
図7に示すように、制御部80は、位置変更部30を制御することによって、例えば、ステージ20に対してノズル170を+X軸方向に相対移動させる。ノズル170がステージ20上を通過する際、ノズル170から可塑化材料が吐出される。これにより、造形層L1が形成される。
図8では、nを任意の自然数として、第n層目の造形層Lnまでを図示している。
【0070】
制御部80は、ステップS4の造形層を造形する処理を行っている間に、温度センサー70の測定結果に基づいて、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを設定してもよい。制御部80は、造形層を造形する処理が終了するまで、温度センサー70に基づく距離Dの設定を繰り返してもよい。
【0071】
例えば、温度センサー70で測定した温度が所定値よりも高かった場合、制御部80は、駆動部60を制御して、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを大きくする。これにより、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層と、加熱部50と、の間の距離を大きくすることができるので、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層の温度を所望の値に近づけることができる。
【0072】
例えば、温度センサー70で測定した温度が所定値よりも低かった場合、制御部80は、駆動部60を制御して、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを小さくする。これにより、ステージ20に積層された造形材料の最上層と、加熱部50と、の間の距離を小さくすることができるので、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層の温度を所望の値に近づけることができる。
【0073】
次に、制御部80は、
図5に示すように、ステップS5として、造形データに基づいて、全ての造形層の造形が完了したか否か判定する判定処理を行う。
【0074】
全ての造形層の造形が完了していないと判定した場合(ステップS5で「NO」)、制御部80は、処理をステップS4に戻す。制御部80は、ステップS5において、全ての造形層の造形が完了したと判定するまで、ステップS4とステップS5とを繰り返す。
【0075】
一方、全ての造形層の造形が完了したと判定した場合(ステップS5で「YES」)、制御部80は、処理を終了する。
【0076】
なお、造形層を造形する処理の前であれば、制御部80は、ヒーター23,56,150の温度を設定する処理の後に、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを設定する処理を行ってもよい。この場合、制御部80は、ヒーター150によって吐出部10が熱膨張した後の距離Dが、第1距離D1や第2距離D2になるように駆動部60を制御するのではなく、吐出部10がヒーター150によって熱膨張する前の状態における距離Dが第1距離D1や第2距離D2になるように駆動部60を制御する。このように、距離Dを所定の距離に設定するとは、三次元造形装置100を構成する部材が熱膨張する前の状態における距離Dが、所定の距離になるように制御することである。
【0077】
1.3. 作用効果
三次元造形装置100では、制御部80は、駆動部60を制御して、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを、吐出部10の温度、加熱部50の温度、およびステージ20とノズル先端174との間の距離の少なくとも1つに基づいて、設定する。そのため、三次元造形装置100では、例えば、吐出部10の温度、加熱部50の温度、およびステージ20とノズル先端174との間の距離のいずれも考慮せずに距離Dを設定する場合に比べて、距離Dを所望の値に近づけることができる。これにより、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0078】
三次元造形装置100では、制御部80は、第1ヒーターとしてのヒーター150の温度を第1温度に設定する場合、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを第1距離に設定し、ヒーター150の温度を第1温度よりも高い第2温度に設定する場合、距離Dを第1距離よりも小さい第2距離に設定する。そのため、三次元造形装置100では、上記のように、造形層を造形する処理において、ヒーター150の温度を第1温度に設定した場合の距離Dと、ヒーター150の温度を第2温度に設定した場合の距離Dと、の差を小さくすることができる。例えば当該差を、20μm以内に抑えることができる。これにより、ヒーター150の温度による吐出部10の熱膨張が、三次元造形物の造形精度に与える影響を小さくすることができる。したがって、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0079】
三次元造形装置100では、制御部80は、温度センサー70の測定結果に基づいて、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを設定する。そのため、三次元造形装置100では、上記のように、ステージ20に積層された可塑化材料の温度を、所望の値に近づけることができる。
【0080】
2. 三次元造形装置の変形例
2.1. 第1変形例
次に、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図9は、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置200の制御部80の処理を説明するためのフローチャートである。
図10および
図11は、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置200の制御部80の処理を説明するための断面図である。なお、便宜上、
図10および
図11では、吐出部10および加熱部50を簡略化して図示している。
【0081】
以下、本実施形態の第1変形例に係る三次元造形装置200において、上述した本実施形態に係る三次元造形装置100の構成部材と同様の機能を有する部材については同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。このことは、後述する本実施形態の第2~第4変形例に係る三次元造形装置おいて、同様である。
【0082】
上述した三次元造形装置100では、
図5に示すステップS2において、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを設定する処理では、距離Dを、吐出部10の温度に基づいて、設定した。
【0083】
これに対し、三次元造形装置200では、
図9に示すステップS12において、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを、加熱部50の温度に基づいて、設定する。なお、ステップS11,S13~S15は、それぞれ、
図5で示したステップS1,S3~S5と、基本的に同様である。
【0084】
制御部80は、加熱部50のヒーター56の温度を、次のステップS13で第3温度に設定する場合、駆動部60を制御して、
図10に示すように、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを第3距離D3に設定する。制御部80は、ヒーター56の温度を、次のステップS13で第3温度よりも高い第4温度に設定する場合、駆動部60を制御して、
図11に示すように、距離Dを第3距離D3よりも大きい第4距離D4に設定する。
【0085】
ヒーター56の温度を第4温度に設定した場合は、ヒーター56の温度を第3温度に設定した場合に比べて、ヒーター56の熱によって、加熱部50のZ軸方向における熱膨張量が大きくなる。したがって、距離Dを第3距離D3よりも大きい第4距離D4に設定することにより、造形層を造形する処理において、ヒーター56の温度を第3温度に設定した場合の距離Dと、ヒーター56の温度を第4温度に設定した場合の距離Dと、の差を小さくすることができる。制御部80は、例えば、ヒーター56の設定温度が高いほど、距離Dを大きく設定をしてもよい。
【0086】
制御部80は、ヒーター56の温度と、ヒーター56の熱による加熱部50の熱膨張量と、の関係を示す相関テーブルに基づいて、距離Dを設定してもよい。制御部80は、第3距離D3および第4距離D4を当該テーブルに基づいて決定してもよい。当該テーブルは、図示せぬ記憶部に記憶されていてもよい。
【0087】
三次元造形装置200では、例えば、以下の作用効果を有する。
【0088】
三次元造形装置200では、制御部80は、第2ヒーターとしてのヒーター56の温度を第3温度に設定する場合、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを第3距離D3に設定し、ヒーター56の温度を第3温度よりも高い第4温度に設定する場合、距離Dを第3距離D3よりも大きい第4距離D4に設定する。そのため、三次元造形装置200では、上記のように、造形層を造形する処理において、ヒーター56の温度を第3温度に設定した場合の距離Dと、ヒーター56の温度を第4温度に設定した場合の距離Dと、の差を小さくすることができる。これにより、ヒーター56の温度による加熱部50の熱膨張が、三次元造形物の造形精度に与える影響を小さくすることができる。したがって、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0089】
なお、吐出部10のヒーター150の温度が加熱部50のヒーター56の温度よりも高い場合は、加熱部50の熱膨張量よりも、吐出部10の熱膨張量が大きくなるため、三次元造形装置100で説明した制御部80の処理を優先させてもよい。
【0090】
また、吐出部10のヒーター150の温度、および加熱部50のヒーター56の温度が同程度であって、吐出部10の熱膨張量による距離Dの変化量と、加熱部50の熱膨張量による距離Dの変化量とが、相殺されることにより距離Dを所定の範囲に収めることができる場合は、制御部80は、距離Dの調整を行わなくてもよい。
【0091】
2.2. 第2変形例
次に、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図12は、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置300の制御部80の処理を説明するためのフローチャートである。
図13および
図14は、本実施形態の第2変形例に係る三次元造形装置300の制御部80の処理を説明するための断面図である。なお、便宜上、
図13および
図14では、吐出部10、ステージ20、および加熱部50を簡略化して図示している。
【0092】
三次元造形装置300の制御部80は、全ての造形層の形成が完了していないと判定した場合(ステップS25で「NO」)、
図12に示すように、ステップS26に移行する点において、上述した三次元造形装置100と異なる。なお、ステップS21~S25は、それぞれ、
図5で示したステップS1~S5と、基本的に同様である。
【0093】
制御部80では、ステップS26において、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを、ステージ20とノズル先端174との間の距離Eに基づいて、設定する。
【0094】
ここで、nを自然数、mをnよりも大きな自然数とする。nは、例えば、2以上の自然数である。
【0095】
制御部80は、次回のステップS24で三次元造形物の第n層目を造形する場合、駆動部60を制御して、
図13に示すように、ノズル先端174と加熱部50と距離Dを第5距離D5に設定する。制御部80は、次回のステップS24で三次元造形物の第m層目を造形する場合、駆動部60を制御して、
図14に示すように、距離Dを第5距離D5よりも小さい第6距離D6に設定する。第m層目を造形する場合は、第n層目を造形する場合に比べて、ステージ20とノズル先端174との間の距離Eが大きい。このように、制御部80は、距離Dを、距離Eに基づいて、設定する。距離Eは、Z軸方向におけるステージ20とノズル先端174との間の最短距離である。
【0096】
第m層目を造形する場合は、第n層目を造形する場合に比べて、三次元造形物の最上層と、ステージ20と、の間の距離が大きくなる。そのため、第m層目を造形する場合は、第n層目を造形する場合に比べて、ステージ20のヒーター23によって三次元造形物の最上層が加熱され難い。したがって、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを、第5距離D5よりも小さい第6距離D6に設定することにより、三次元造形物の最上層に対する加熱部50の加熱の影響を大きくする。その結果、造形層を造形する処理において、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ20上に積層された三次元造形物の最上層の温度の差を小さくすることができる。さらに、例えば、第n層目を造形する場合は、第m層目を造形する場合に比べて、距離Dが大きいので、加熱部50のヒーター56と、ステージ20のヒーター23と、によって、三次元造形物の最上層が必要以上に加熱されることを抑制できる。
【0097】
制御部80は、三次元造形物の造形層数が多くなるほど、距離Dを小さくしてもよい。この場合、制御部80は、三次元造形物の造形層数が多くなるにつれて、一定の割合で距離Dを小さくしてもよいし、2次関数的に距離Dを小さくしてもよい。
【0098】
制御部80は、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dと、ステージ20とノズル先端174との間の距離Eと、の関係を示す相関テーブルに基づいて、距離Dを設定してもよい。当該テーブルは、図示せぬ記憶部に記憶されていてもよい。
【0099】
次に、制御部80は、
図12に示すように、ステップS27として、加熱部50をステージ20に対して移動させる処理を行う。
【0100】
制御部80は、前回のステップS24で、三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、位置変更部30を制御して、
図13に示すように、加熱部50をステージ20に対して相対的に第7距離F7だけ離す方向に移動させる。図示の例では、制御部80は、加熱部50を第7距離F7だけ上方に移動させる。
図13では、移動される前の状態の加熱部50を破線で示している。そして、制御部80は、ステップS24において、三次元造形物の第n層目を造形する。
【0101】
制御部80は、前回のステップS24で、三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、位置変更部30を制御して、
図14に示すように、加熱部50をステージ20に対して相対的に第7距離F7よりも小さい第8距離F8だけ離す方向に移動させる。図示の例では、制御部80は、加熱部50を第8距離F8だけ上方に移動させる。
図14では、移動される前の状態の加熱部50を破線で示している。そして、制御部80は、ステップS24において、三次元造形物の第m層目を造形する。
【0102】
上述したステップS26において、三次元造形物の第m層目を造形する場合、制御部80は、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを第5距離D5よりも小さい第6距離D6に設定したため、第(m-1)層目が造形された後に、加熱部50をステージ20に対して第7距離F7だけ上方に移動させてしまうと、第m層目を造形する場合は、第n層目を造形する場合に比べて、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層と、ノズル先端174と、の間の距離が大きなってしまう。したがって、三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合に、加熱部50をステージ20に対して第7距離F7よりも小さい第8距離F8だけ上方に移動させることにより、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層と、ノズル先端174と、の間の距離の差を小さくすることができる。
【0103】
なお、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dが所定値に到達するまでは、加熱部50をZ軸方向に移動させずに、駆動部60によって、吐出部10をZ軸方向に移動させることにより、三次元造形物の造形層を造形してもよい。
【0104】
三次元造形装置300では、例えば、以下の作用効果を有する。
【0105】
三次元造形装置300では、制御部80は、三次元造形物の第n層目を造形する場合、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを第5距離D5に設定し、三次元造形物の第m層目を造形する場合、距離Dを第5距離D5よりも小さい第6距離D6に設定する。そのため、三次元造形装置300では、上記のように、造形層を造形する処理において、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ20上に積層された三次元造形物の最上層の温度の差を小さくすることができる。これにより、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0106】
三次元造形装置300では、三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、制御部80は、三次元造形物の第n層目を造形する前に、位置変更部30を制御して、加熱部50をステージ20に対して相対的に第7距離F7だけ離す方向に移動させる。三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、制御部80は、三次元造形物の第m層目を造形する前に、位置変更部30を制御して、加熱部50をステージ20に対して相対的に第7距離F7よりも小さい第8距離F8だけ離す方向に移動させる。そのため、三次元造形装置300では、上記のように、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層と、ノズル先端174と、の間の距離の差を小さくすることができる。これにより、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0107】
2.3. 第3変形例
次に、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置について、図面を参照しながら説明する。
図15は、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置400の制御部80の処理を説明するためのフローチャートである。
図16および
図17は、本実施形態の第3変形例に係る三次元造形装置400の制御部80の処理を説明するための断面図である。なお、便宜上、
図16および
図17では、吐出部10、ステージ20、および加熱部50を簡略化して図示している。
【0108】
三次元造形装置400の制御部80は、全ての造形層の形成が完了していないと判定した場合(ステップS35で「NO」)、
図15に示すように、ステップS36に移行する点において、上述した三次元造形装置100と異なる。なお、ステップS31~S35は、それぞれ、上述したステップS1~S5と、基本的に同様である。
【0109】
制御部80は、前回のステップS34で、三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、ステップS36において、位置変更部30を制御して、
図16に示すように、加熱部50をステージ20に対して相対的に第9距離F9だけ離す方向に移動させる。図示の例では、制御部80は、加熱部50を第9距離F9だけ上方に移動させる。
図16では、移動される前の状態の加熱部50を破線で示している。そして、制御部80は、ステップS34において、三次元造形物の第n層目を造形する。
【0110】
制御部80は、前回のステップS34で、三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、ステップS36において、位置変更部30を制御して、
図17に示すように、加熱部50をステージ20に対して相対的に第9距離F9よりも小さい第10距離F10だけ離す方向に移動させる。図示の例では、制御部80は、加熱部50を第10距離F10だけ上方に移動させる。
図17では、移動される前の状態の加熱部50を破線で示している。そして、制御部80は、ステップS34において、三次元造形物の第m層目を造形する。
【0111】
第m層目を造形する場合は、第n層目を造形する場合に比べて、ステージ20と加熱部50との間の距離が大きくなる。そのため、第m層目を造形する場合は、第n層目を造形する場合に比べて、ステージ20のヒーター23による加熱部50のZ軸方向における熱膨張量が小さくなる。したがって、三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、加熱部50をステージ20に対して相対的に第9距離F9よりも小さい第10距離F10だけ離す方向に移動させることにより、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層と、加熱部50と、の間の距離の差を小さくすることができる。
【0112】
三次元造形装置400では、例えば、以下のような作用効果を有する。
【0113】
三次元造形装置400では、三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、制御部80は、三次元造形物の第n層目を造形する前に、位置変更部30を制御して、加熱部50をステージ20に対して相対的に第9距離F9だけ離す方向に移動させる。三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、制御部80は、三次元造形物の第m層目を造形する前に、位置変更部30を制御して、加熱部50をステージ20に対して相対的に第9距離F9よりも小さい第10距離F10だけ離す方向に移動させる。そのため、三次元造形装置400では、上記のように、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ20に積層された可塑化材料の最上層と、加熱部50と、の間の距離の差を小さくすることができる。これにより、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0114】
2.4. 第4変形例
次に、本実施形態の第4変形例に係る三次元造形装置について説明する。
【0115】
上述した三次元造形装置100では、材料貯留部110に貯留される材料は、ABS樹脂であった。
【0116】
これに対し、本実施形態の第4変形例に係る三次元造形装置では、材料貯留部110に貯留される材料は、ABS樹脂以外の材料、または、ABS樹脂に他の成分が加えられた材料である。
【0117】
材料貯留部110に貯留される材料としては、熱可塑性を有する材料、金属材料、セラミック材料等の種々の材料を主材料とした材料を挙げることができる。ここで、「主材料」とは、三次元造形装置で造形される造形物の形状を形作っている中心となる材料を意味し、造形物において50質量%以上の含有率を占める材料を意味する。上述した材料には、それらの主材料を単体で溶融したものや、主材料とともに含有される一部の成分が溶融してペースト状にされたものが含まれる。
【0118】
熱可塑性を有する材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、汎用エンジニアリングプラスチック、スーパーエンジニアリングプラスチックが挙げられる。
【0119】
汎用エンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアセタール(POM )、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリアミド(PA)、ポリ乳酸(PLA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
【0120】
スーパーエンジニアリングプラスチックとしては、例えば、ポリサルフォン(PSU)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアリレート(PAR)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)が挙げられる。
【0121】
熱可塑性を有する材料には、顔料や、金属、セラミック、その他に、ワックス、難燃剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤等が混入されていてもよい。熱可塑性を有する材料は、可塑化部120において、フラットスクリュー130の回転と、ヒーター150の加熱と、によって可塑化されて溶融した状態に転化される。また、そのように生成された可塑化材料は、ノズル170から堆積された後、温度の低下によって硬化する。熱可塑性を有する材料は、そのガラス転移点以上に加熱されて完全に溶融した状態でノズル170から吐出されることが望ましい。
【0122】
可塑化部120では、上述した熱可塑性を有する材料の代わりに、例えば、金属材料が主材料として用いられてもよい。この場合には、金属材料を粉末状にした粉末材料に、可塑化材料の生成の際に溶融する成分が混合されて、可塑化部120に投入されることが望ましい。
【0123】
金属材料としては、例えば、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、コバルト(Co)やクロム(Cr)、アルミニウム (Al)、チタン(Ti)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)の単一の金属、もしくはこれらの金属を1つ以上含む合金、また、マルエージング鋼、ステンレス鋼、コバルトクロムモリブデン、チタニウム合金、ニッケル合金、アルミニウム合金、コバルト合金、コバルトクロム合金が挙げられる。
【0124】
可塑化部120においては、上記の金属材料の代わりに、セラミック材料を主材料として用いることが可能である。セラミック材料としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムなどの酸化物セラミックや、窒化アルミニウムなどの非酸化物セラミックなどが挙げられる。
【0125】
材料貯留部110に貯留される金属材料やセラミック材料の粉末材料は、単一の金属の粉末や合金の粉末、セラミック材料の粉末を、複数種類、混合した混合材料であってもよい。また、金属材料やセラミック材料の粉末材料は、例えば、上述の熱可塑性樹脂、あるいは、それ以外の熱可塑性樹脂によってコーティングされていてもよい。この場合には、可塑化部120において、その熱可塑性樹脂が溶融して流動性が発現されるものとしてもよい。
【0126】
材料貯留部110に貯留される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、溶剤を添加することもできる。溶剤としては、例えば、水;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸iso-プロピル、酢酸n-ブチル、酢酸iso-ブチル等の酢酸エステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン、エチル-n-ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、アセチルアセトン等のケトン類;エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラアルキルアンモニウムアセテート類;ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;ピリジン、γ-ピコリン、2,6-ルチジン等のピリジン系溶剤;テトラアルキルアンモニウムアセテート(例えば、テトラブチルアンモニウムアセテート等);ブチルカルビトールアセテート等のイオン液体等が挙げられる。
【0127】
その他に、材料貯留部110に貯留される金属材料やセラミック材料の粉末材料には、例えば、バインダーが添加されていてもよい。バインダーとしては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、セルロース系樹脂或いはその他の合成樹脂またはPLA、PA、PPS、PEEK、あるいはその他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
【0128】
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0129】
例えば、制御部80は、ノズル先端174と加熱部50との間の距離Dを、吐出部10の温度、加熱部50の温度、およびステージ20とノズル先端174との間の距離Eに基づいて、設定してもよい。または、制御部80は、距離Dを、吐出部10の温度および加熱部50の温度に基づいて設定してもよい。または、制御部80は、距離Dを、加熱部50の温度および距離Eに基づいて設定してもよい。
【0130】
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成できる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0131】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0132】
三次元造形装置の一態様は、
第1ヒーターを有し、材料を可塑化して可塑化材料を生成する可塑化部と、前記可塑化材料を吐出するノズルと、を有する吐出部と、
前記可塑化材料が積層されるステージと、
前記ステージに積層された前記可塑化材料を加熱する第2ヒーターを有する加熱部と、
前記ノズルと前記加熱部との相対的な位置を変化させる駆動部と、
前記駆動部を制御する制御部と、
を含み、
三次元造形物の造形時において、前記ノズルの先端は、前記加熱部の下方に位置し、
前記制御部は、前記駆動部を制御して、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記吐出部の温度、前記加熱部の温度、および前記ステージと前記ノズルの先端との間の距離の少なくとも1つに基づいて、設定する。
【0133】
この三次元造形装置によれば、三次元造形物の造形精度を高めることができる。
【0134】
三次元造形装置の一態様において、
前記制御部は、前記第1ヒーターの温度を第1温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第1距離に設定し、前記第1ヒーターの温度を前記第1温度よりも高い第2温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記第1距離よりも小さい第2距離に設定してもよい。
【0135】
この三次元造形装置によれば、造形層を造形する処理において、第1ヒーターの温度を第1温度に設定した場合のノズルの先端と加熱部との間の距離と、第1ヒーターの温度を第2温度に設定した場合のノズルの先端と加熱部との間の距離と、の差を小さくすることができる。
【0136】
三次元造形装置の一態様において、
前記制御部は、前記第2ヒーターの温度を第3温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第3距離に設定し、前記第2ヒーターの温度を前記第3温度よりも高い第4温度に設定する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第3距離よりも大きい第4距離に設定してもよい。
【0137】
この三次元造形装置によれば、造形層を造形する処理において、第2ヒーターの温度を第3温度に設定した場合の前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離と、第2ヒーターの温度を第4温度に設定した場合の前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離と、の差を小さくすることができる。
【0138】
三次元造形装置の一態様において、
前記ステージは、第3ヒーターを有し、
nを自然数、mをnよりも大きな自然数として、前記制御部は、前記三次元造形物の第n層目を造形する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、第5距離に設定し、前記三次元造形物の第m層目を造形する場合、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を、前記第5距離よりも小さい第6距離に設定してもよい。
【0139】
この三次元造形装置によれば、造形層を造形する処理において、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージ上に積層された三次元造形物の最上層の温度の差を小さくすることができる。
【0140】
三次元造形装置の一態様において、
前記加熱部と前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部を含み、
前記吐出部は、前記位置変更部によって、前記加熱部の移動に伴って移動され、
nを2以上の自然数として、前記三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第n層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に第7距離だけ離す方向に移動させ、
前記三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第m層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に前記第7距離よりも小さい第8距離だけ離す方向に移動させてもよい。
【0141】
この三次元造形装置によれば、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージに積層された可塑化材料の最上層と、ノズルの先端と、の間の距離の差を小さくすることができる。
【0142】
三次元造形装置の一態様において、
前記ステージに積層された前記可塑化材料の温度を測定する温度センサーを含み、
前記制御部は、前記温度センサーの測定結果に基づいて、前記ノズルの先端と前記加熱部との間の距離を設定してもよい。
【0143】
この三次元造形装置によれば、ステージに積層された可塑化材料の温度を、所望の値に近づけることができる。
【0144】
三次元造形装置の一態様において、
前記加熱部と前記ステージとの相対的な位置を変更する位置変更部を含み、
前記ステージは、第3ヒーターを有し、
nを2以上の自然数、mをnよりも大きな自然数として、前記三次元造形物の第(n-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第n層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に第9距離だけ離す方向に移動させ、
前記三次元造形物の第(m-1)層目が造形された場合、前記制御部は、前記三次元造形物の第m層目を造形する前に、前記位置変更部を制御して、前記加熱部を前記ステージに対して相対的に前記第9距離よりも小さい第10距離だけ離す方向に移動させてもよい。
【0145】
この三次元造形装置によれば、第n層目を造形する場合と、第m層目を造形する場合とで、ステージに積層された可塑化材料の最上層と、加熱部と、の間の距離の差を小さくすることができる。
【符号の説明】
【0146】
10…吐出部、10a…第1吐出部、10b…第2吐出部、20…ステージ、21…断熱部材、22…下部プレート、23…ヒーター、24…上部プレート、25…造形プレート、26…材料積層面、30…位置変更部、32…第1電動アクチュエーター、34…第2電動アクチュエーター、36…第3電動アクチュエーター、40…支持部、50…加熱部、52,53…貫通孔、54…プレート、56…ヒーター、58…断熱部材、60…駆動部、70…温度センサー、80…制御部、100…三次元造形装置、110…材料貯留部、112…供給路、120…可塑化部、122…スクリューケース、124…駆動モーター、126…シャフト、130…フラットスクリュー、131…上面、132…溝形成面、133…側面、134…第1溝、135…中央部、136…接続部、137…材料導入部、140…バレル、142…対向面、144…第2溝、146…連通孔、150…ヒーター、160…基部、170…ノズル、172…ノズル流路、174…ノズル先端、200,300,400…三次元造形装置