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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140103
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】基板連結具
(51)【国際特許分類】
   F16B 21/06 20060101AFI20241003BHJP
   F16B 5/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16B21/06 A
F16B5/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051100
(22)【出願日】2023-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)「ONE TOUCH HOOK LOCK」パンフレット(PMP株式会社発行、令和5年2月2日) (2)サンプル品の配布日:令和5年2月2日~同年2月4日、同年2月6日、同年2月9日、同年2月10日、同年2月14日~同年2月17日、同年2月24日、同年2月27日、同年3月1日 (3)ウェブサイトの掲載日 令和5年2月9日 ウェブサイトのアドレス https://www.j-pmp.com/ https://j-pmp.com/news/2023/02/09/%e6%96%b0%e8%a3%bd%e5%93%81%e3%80%80one-touch-hook-lock/ https://j-pmp.com/product/onetouch.html
(71)【出願人】
【識別番号】507380610
【氏名又は名称】PMP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001391
【氏名又は名称】弁理士法人レガート知財事務所
(72)【発明者】
【氏名】中尾 純之
【テーマコード(参考)】
3J001
3J037
【Fターム(参考)】
3J001FA02
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001JD02
3J001JD25
3J001KA19
3J037AA02
3J037BB03
3J037BB04
3J037DA13
3J037DC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】対向する2枚の基板を容易に着脱可能に連結できるとともに、意図せずに連結状態が解除されてしまうことのない基板連結具を得る。
【解決手段】対向する2枚の基板を連結するための基板連結具であって雄部材1と雌部材2とからなり、雄部材は一の基板に固着される基板固着部11と雌部材に係脱可能に係合される係合凸部12とを有し係合凸部の外周には周溝123が形成され、雌部材は他の基板に固着される基板固着部21と雄部材の係合凸部が係脱可能に係合される係合受け部22とを有し、係合受け部は断面凸状又は断面凹状に反転可能でかつ反転後の状態が保持される天板221と天板の周縁から垂下して設けられその先端223が内側に屈曲した複数の係止爪222とを備え、係止爪は天板が断面凸状のときに内側方向に閉じて先端が係合凸部の周溝に係合し、天板が断面凹状のときに外側方向に開いて先端と係合凸部の周溝との係合が解除される
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する2枚の基板を連結するための基板連結具であって、
雄部材と雌部材とからなり、
前記雄部材は、一の基板に固着される基板固着部と、前記雌部材に係脱可能に係合される係合凸部とを有し、前記係合凸部の外周には周溝が形成され、
前記雌部材は、他の基板に固着される基板固着部と、前記雄部材の係合凸部が係脱可能に係合される係合受け部とを有し、
前記係合受け部は、断面凸状又は断面凹状に反転可能でかつ反転後の状態が保持される天板と、前記天板の周縁から垂下して設けられその先端が内側に屈曲した複数の係止爪とを備え、
前記係止爪は、前記天板が断面凸状のときに内側方向に閉じて前記先端が前記係合凸部の周溝に係合し、前記天板が断面凹状のときに外側方向に開いて前記先端と前記係合凸部の周溝との係合が解除されるようにした、
基板連結具。
【請求項2】
雄部材の係合凸部の天面は凹陥状に形成した、
請求項1記載の基板連結具。
【請求項3】
雌部材の係合受け部の天板の上方に小孔を備えた硬質カバーを配設し、前記係合受け部の天板を指で直接押下操作できないようにした、
請求項1記載の基板連結具。
【請求項4】
雄部材の基板固着部と係合凸部との間にスペーサー部を設けた、
請求項1記載の基板連結具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、対向する2枚の基板を着脱可能に連結する基板連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、対向する2枚の基板を連結する場合、所望の箇所にビス孔が設けられた2枚の基板のビス孔の位置を合せてビスを挿通し、このビスにナットを螺合して締め付けることにより行っていた。しかしながら、この手法によれば、2枚の基板のビス孔の位置を合わせてビスを挿通させた上で、さらにナット止めをしなければならず、基板の連結作業に手間がかかるものであった。
【0003】
かかる問題点を解決するものとして、例えば、特開平7-151126号公報に記載されたナットのように、ナットの片面側に形成されたローレット部を金属製基板の孔の周縁部に当接させた状態で圧入して孔の周縁部を塑性変形させることにより、ナットと基板とをかしめ合わせて固着できるようにしたクリンチングナットが従来より提案されている。
【0004】
このクリンチングナットによれば、対向する2枚の基板を連結する際、一方の基板に予めナットが固着されているので、このナットの位置に他方の基板に形成されたビス孔の位置を合わせてビス止めすることにより、2枚の基板を連結することができる。ナットは一方の基板に予め固着されているから、他方の基板を連結する際には、他方の基板側からビス止めするだけでよく、作業を簡略化することができる。
【0005】
しかしながら、このクリンチングナットは、他方の基板をビス止めにより固定しているから、ビスを回転させて締め付ける作業が必須であり、依然として連結作業には時間がかかる。また、ビス止め作業において、締め付けトルクが大きすぎると基板を破損するおそれがあり、逆に小さすぎると緩みが生じるおそれがある。加えて、ナットにはネジ溝を形成するための高さがどうしても必要となることから、ナットの高さ分のスペースが確保できないような場合には使用することができない。
【0006】
この点、出願人は、実用新案登録第3165606号に係る考案において、スペーサーと雌スナップとからなる基板連結具であって、前記スペーサーの一端に一の基板に固着される固着部を形成し、他端に他の基板に挿通され前記雌スナップが着脱可能に嵌合される凸部と、前記挿通された他の基板の受け部となる基板受け部とを形成し、前記雌スナップを前記凸部に嵌合することで前記雌スナップと前記基板受け部とで前記他の基板を挟持して固定するようにした基板連結具を提案した。この考案によれば、ビスやナットを用いることなく2枚の基板を着脱可能に連結することができる。
【0007】
しかしながら、この考案にあっては、雌スナップをスペーサーの凸部から離脱する際、先端に向かって次第に肉薄に形成された板状の工具を雌スナップと基板との間に押し入れ、てこの原理を用いて一定以上の力を雌スナップに加える必要があるところ、雌スナップと基板受け部とによって常時付勢された状態で基板が挟持されているため、雌スナップと基板との間に板状の工具を押し入れにくく、雌スナップを凸部から外しにくい反面、雌スナップは、凸部に形成されたテーパー部の途中に雌スナップの係止部が係止することにより凸部と係合されているので、雌スナップと基板受け部とによって挟持されている状態の基板に力が加わるなどして意図せず雌スナップが外れる方向に強い力が加わると、雌スナップが凸部から外れてしまうおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平7-151126号公報
【特許文献2】実用新案登録第3165606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この発明は、対向する2枚の基板を容易に着脱可能に連結できるとともに、意図せずに連結状態が解除されてしまうことのない基板連結具を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の基板連結具は、対向する2枚の基板を連結するための基板連結具であって、雄部材と雌部材とからなる。前記雄部材は、一の基板に固着される基板固着部と、前記雌部材と係脱可能に係合される係合凸部とを有し、前記係合凸部の外周には周溝が形成されている。前記雌部材は、他の基板に固着される基板固着部と、前記雄部材の係合凸部が係脱可能に係合される係合受け部とを有し、前記係合受け部は、断面凸状又は断面凹状に反転可能でかつ反転後の状態が保持される天板と、前記天板の周縁から垂下して設けられその先端が内側に屈曲した複数の係止爪とを備えている。そして、前記係止爪は、前記天板が断面凸状のときに内側方向に閉じて前記先端が前記係合凸部の周溝に係合し、前記天板が断面凹状のときに外側方向に開いて前記先端と前記係合凸部の周溝との係合が解除されるように構成する。
【0011】
前記雄部材の基板固着部及び前記雌部材の基板固着部は、何れも基板に圧入することで基板に形成された孔の周縁部を塑性変形させて雄部材又は雌部材と基板とをかしめ合わせるようにして固着できるものであればよく、例えば、基板に形成された孔の周縁部に当接して基板を塑性変形させるフランジ部と、塑性変形した基板が入り込む溝部とを備え、固着される基板よりも硬度の高い素材で構成することが考えられる。また、前記フランジ部は、周縁を弧状や鋸刃状に形成することが考えられる。
【0012】
請求項2の発明は、雄部材の係合凸部の天面を凹陥状に形成したことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、雌部材の係合受け部の天板の上方に小孔を備えた硬質カバーを配設し、前記係合受け部の天板を指で直接押下操作できないようにしたことを特徴とする。前記硬質カバーは、前記係合受け部の天板の上方を覆うことができるものであればよく、例えば、前記雌部材の本体ケースを用いることが考えられる。また、前記硬質カバーが備える小孔は、この小孔を通して前記係合受け部の天板を指で直接押下操作することを阻止できる程度の大きさのものであればよい。
【0014】
請求項4の発明は、雄部材の基板固着部と係合凸部との間にスペーサー部を設けたことを特徴とする。前記スペーサー部は、前記係合凸部の基端側を所望の高さに延設して設けることが考えられる。
【0015】
この発明において、基板とは、電気回路が組み込まれた回路基板の他、板金や各種パネルなど薄手の板体を含むものとする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、雄部材、雌部材には、何れも基板に固着される基板固着部を備えているので、この基板固着部を用いて、雄部材、雌部材ともに、予め基板に固着しておくことができる。そして、雄部材の係合凸部の外周には周溝が形成され、他方、雌部材の係合受け部は、断面凸状又は断面凹状に反転可能でかつ反転後の状態が保持される天板と、この天板の周縁から垂下して設けられその先端が内側に屈曲した複数の係止爪とを備えており、この係止爪は、係合受け部の天板が断面凸状のときに内側方向に閉じて先端が係合凸部の周溝に係合し、係合受け部の天板が断面凹状のときに外側方向に開いて先端と係合凸部の周溝との係合が解除されるようにしてあるので、天板が断面凹状であるときの雌部材の係合受け部に雄部材の係合凸部を嵌挿し、係合受け部の天板を係合凸部の天面で押し上げて断面凸状に反転させると、係合受け部の係止爪が内側方向に閉じ、その先端が係合凸部の周溝に係合する。これにより、雄部材と雌部材とが係合され、雄部材が固着された基板と、雌部材が固着された基板とを連結することができる。しかも、このとき、係合受け部の天板は断面凸状の状態で保持されているので、雄部材と雌部材との係合状態がロックされた状態となる。他方、雄部材の係止凸部と係合して断面凸状となっている雌部材の係合受け部の天板を上方から押下して断面凹状に反転させると、係合受け部の係止爪が外側方向に開き、雄部材の係合凸部の周溝との係合が解除される。これにより、雄部材と雌部材との係合が解除され、雄部材が固着された基板と、雌部材が固着された基板との連結を解除することができる。すなわち、対向する2枚の基板を連結する際には、雄部材の係合凸部を雌部材の係合受け部に嵌挿して係合受け部の天板を押し上げるだけでよく、他方、連結を解除する際には、雌部材の係合受け部の天板を押し下げるだけでよい。しかも、2枚の基板が連結された状態において、雄部材と雌部材との係合状態はロックされており、係合受け部の天板を押し下げて断面凹状に反転させないかぎり外れることがない。したがって、この基板連結具を用いれば、対向する2枚の基板を容易に着脱可能に連結できるだけでなく、意図せず連結状態が解除されてしまうことも防止することができる。
【0017】
請求項2の発明によれば、雄部材の係合凸部の天面を凹陥状に形成したので、雄部材と雌部材の係合状態を解除する際、係合受け部の天板を断面凹状に反転させやすい。すなわち、雄部材の係合凸部の天面が凹陥状に形成されているので、雄部材の係合凸部が係合されて断面凸状となっている雌部材の係合受け部の天板を上方から押し下げて断面凹状に反転させる際に、係合受け部の天板の下面側が係合凸部の天面に接触すること回避でき、スムーズに断面凹状に反転させることができる。
【0018】
請求項3の発明によれば、雌部材の係合受け部の天板の上方に小孔を備えた硬質カバーを配設し、前記係合受け部の天板を指で直接押下操作できないようにしたので、基板の連結状態を解除する際には、小孔を挿通可能な手段を用いなければ係合受け部の天板を押下操作することができず、いたずらや誤操作によって連結が解除されてしまうことを防止することができる。
【0019】
請求項4の発明によれば、雄部材の固着部と係合凸部との間にはスペーサー部を設けたので、対向する2枚の基板を所定間隔を介して連結することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明の実施例の概要を示す一部切欠断面図
図2】同じく雄部材、雌部材を基板に固着した状態を示す一部切欠断面図
図3】同じく基板を連結する過程を示す一部切欠断面図
図4】同じく基板が連結されてロックされた状態を示す一部切欠断面図
図5】同じく基板の連結を解除する様子を示す一部切欠断面図
図6】同じく雌部材の変形例の概要を示す一部切欠断面図
図7】同じく雄部材の変形例の概要を示す一部切欠断面図
図8】同じく雄部材の変形例を用いて基板を連結した状態を示す一部切欠断面図
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、この発明の実施例を説明する。図1ないし図5は、この発明の実施例を示す図であり、図1(a)は雌部材2の、(b)は雄部材1の概要を示す一部切欠断面図である。
【0022】
雄部材1は、ステンレスなどの金属で構成されており、基板P1に固着される基板固着部11と、略円柱状の係合凸部12とを備えている。基板固着部11は、係合凸部12の径よりも大きな径としたフランジ部111と、係合凸部12の径よりも小さな径とした溝部112とを備えており、フランジ部111の外周縁は鋸刃状に形成されている。他方、係合凸部12は、その上部が中心方向に傾斜したテーパー状に形成されており、天面121の内側には凹陥部122が形成されている。また、係合凸部12の外周には、全周に亘って周溝123が形成されている。
【0023】
雌部材2は、雄部材1と同様にステンレスなどの金属で構成されており、基板P2に固着される基板固着部21と、雄部材1の係合凸部12が係脱可能に係合される係合受け部22とを備えている。基板固着部21は、フランジ部211と溝部212とを備えており、フランジ部211の外周縁は鋸刃状に形成されている。係合受け部22は、略円盤状の天板221と、この天板221の周縁から等間隔に垂下して設けられた6つの係止爪222を備えており、係止爪222の先端223は内側方向に屈曲している。この係合受け部22は、天板221が断面凸状又は断面凹状に反転可能かつ反転後の状態が保持されるように構成してあり、断面凸状のときには係止爪222が外側方向に開き、断面凹状のときには係止爪222が内側方向に閉じるようになっている。雄部材1の係合凸部12が係合受け部22に係合されていない状態にあっては、天板221が断面凹状で、係止爪222が開いた状態となっている。
【0024】
係合受け部22は、上面側開口部231及び下面側開口部232を備えた環状の本体ケース23に内装されている。この実施例において、本体ケース23の上面側開口部231は、内装された係合受け部22の天板221を人の指で押下操作できる程度の大きさに形成され、柔軟素材で構成された軟性カバー24で閉塞されている。また、本体ケース23の下面側開口部232は、雄部材1の係合凸部12を挿脱可能な程度の大きさに形成してある。
【0025】
図2ないし図5は、この発明の基板連結具を用いて対向する2枚の基板P1、P2を連結する様子並びに連結を解除する様子を示す図である。
【0026】
雄部材1は、基板P1に予め形成されている挿通孔に基板固着部11を圧入し、挿通孔の周縁部を塑性変形させて基板固着部11とかしめ合わせることによって基板P1と固着されており、雌部材2も、基板P2に予め形成されている挿通孔に基板固着部21を圧入し、挿通孔の周縁部を塑性変形させて基板固着部21とかしめ合わせることによって基板P2と固着されている。基板P1と基板P2とを連結する場合、図2に示すように、基板P1に固着された雄部材1の係合凸部12側と、基板P2に固着された雌部材2の基板固着部21側とを対向させ、雄部材1の係合凸部12を雌部材2の係合受け部22に下方から嵌挿する。
【0027】
雄部材1の係合凸部12が雌部材2の係合受け部22の奥まで嵌挿されると、係合凸部12の天面121が係合受け部22の断面凹状の天板221に当接する。その状態で係合凸部12をさらに押し上げると、係合受け部22の天板221が上方に押圧されて反転し、断面凸状となる。そして、天板221が断面凸状に反転すると同時に、天板221の外周縁から垂下して設けられた係止爪222が内側方向に閉じ、その先端223が係合凸部12の周溝123に挿入される(図3,4)。これにより、雄部材1と雌部材2とが係合された状態となる。また、断面凸状に反転した天板221は、反転後の状態が保持されるので、係止爪222の先端223が係合凸部12の周溝123に挿入された状態も保持されることとなり、係合凸部12と係合受け部22の係合状態がロックされる。ここで、係止爪222の先端223は、係合凸部12の周溝123に挿入されて係合凸部12に食い込むような形で係合しているので、係合凸部12が係合受け部22から抜ける方向に力が加わっても、係止爪222の先端223が周溝123の壁面に引っかかり、係合凸部12が係合受け部22から抜けてしまうおそれがない。このようにして基板P1と基板P2とを連結することができ、しかも、連結された状態にあっては、基板P1、P2に力が加わっても外れてしまうおそれがない。
【0028】
雄部材1と雌部材2を用いた基板P1、基板P2の連結状態を解除する場合には、雄部材1の係合凸部12と雌部材2の係合受け部22との係合状態を解除する操作を行う。すなわち、雌部材2の上面側開口部231を閉塞する軟性カバー24に指を当て、断面凸状となっている係合受け部22の天板221を押下すると、図5に示すように、天板221が断面凹状に反転して係止爪222が外側方向に開く。これにより、係止爪222の先端223が係合凸部12の周溝123から引き抜かれ、係合凸部12と係合受け部22の係合が解除されるので、係合凸部12を係合受け部22から下方に引き抜くことができる。ここで、係合凸部12の天面121には凹陥部122が形成されているので、係合受け部22の天板221を押下して断面凹状に反転する際に、断面凹状に反転した天板221が係合凸部12の凹陥部122に入り込み、スムーズに反転させることができる。そして、断面凹状に反転した天板221は、反転後の状態(断面凹状)が保持され、係止爪222が開いた状態が保持されることになるので、雌部材2の係合受け部22は、再び雄部材1の係合凸部12を受け入れることができる。
【0029】
図6は、雌部材2の変形例の概要を示す一部切欠断面図である。この変形例は、雌部材2の本体ケース23の上面側開口部231を直径3mm程度の小孔として形成することで、雄部材1との係合状態を解除する際に、この小孔を挿通可能な手段によってしか天板221を押下操作できないようにしたものである。その他の構成は上記実施例における雌部材2と同様である。
【0030】
この変形例にあっては、金属製の本体ケース23の上面側開口部231が直径3mm程度の大きさに形成され、係合受け部22の天板221の上方は、その大部分が本体ケース23で構成された硬質カバーで覆われているので、係合受け部22の天板221を指で直接押下して操作することができない。雄部材1との係合状態を解除する際には、直径3mm未満のピンなどの操作手段を上面側開口部231に上方から挿通し、軟性カバー24とともに係合受け部22の天板221を押下操作すればよい。雌部材1をこのように構成することで、雄部材1と雌部材2との係合状態を誤って解除してしまったり、いたずらによって解除されてしまうことを防止することができる。
【0031】
図7は、雄部材1の変形例の概要を示す一部切欠断面図である。この変形例は、雄部材1の係合凸部12の基端側を延設して基板固着部11と係合凸部12の間にスペーサー部13を設けたものであり、その他の構成は、上記実施例における雄部材1の構成と同様である。
【0032】
図8は、雄部材1の変形例を用いて基板P1、P2を連結した状態を示す一部切欠断面図である。雄部材1には、係合凸部12の基端側を延設して基板固着部11と係合凸部12の間にスペーサー部13が設けられているので、このスペーサー部13の高さに相当する間隔を介して基板P1、P2を連結することができる。この変形例を用いた場合にあっても、雄部材1と雌部材2による係合操作及び係合解除操作は上記実施例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
この発明は、対向する2枚の基板を着脱可能に連結する基板連結具に関するものであり、産業上の利用可能性を有するものである。
【符号の説明】
【0034】
1 雄部材
11 基板固着部
111 フランジ部
112 溝部
12 係合凸部
121 天面
122 凹陥部
123 周溝
13 スペーサー部
2 雌部材
21 基板固着部
211 フランジ部
212 溝部
22 係合受け部
221 天板
222 係止爪
223 先端
23 本体ケース
231 上面側開口部
232 下面側開口部
24 軟性カバー
P1 基板
P2 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8