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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140105
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】印刷装置および印刷方法
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051103
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 直樹
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA08
2C056EB27
2C056EC07
2C056EC72
2C056ED01
2C056FA10
2C056FA13
2C056HA22
(57)【要約】
【課題】ノズル列の繋ぎ部の画質を向上させるための改善が求められている。
【解決手段】印刷装置は、複数のノズルがノズル並び方向に並ぶノズル列である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる液体の吐出を制御する制御部と、を備え、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記ノズル並び方向において隣り合い、前記ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複しておらず、前記制御部は、前記第1ノズル列の前記第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、前記第2ノズル列の前記第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを媒体へ印刷させ、前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドによる液体の吐出を制御する制御部と、を備え、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記ノズル並び方向において隣り合い、前記ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複しておらず、
前記制御部は、
前記第1ノズル列の前記第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、前記第2ノズル列の前記第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷させ、
前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列を有する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドを搭載して前記ノズル並び方向に交差する交差方向に沿って往復移動可能なキャリッジと、
前記ノズル並び方向における前記媒体と前記印刷ヘッドとの相対移動を行う副走査部と、
前記交差方向に沿う前記キャリッジの移動に伴う前記印刷ヘッドによる液体の吐出である主走査と、前記相対移動である副走査と、を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
第1の前記主走査による前記ノズル列の一方の端部に位置する第1端部ノズルからの液体の吐出と、前記ノズル並び方向における前記ノズル列の長さ以上の所定距離の前記副走査と、第2の前記主走査による前記ノズル列の他方の端部に位置する第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷させ、
前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる、ことを特徴とする印刷装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ノズルとして前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルのみを用いて前記テストパターンを印刷する、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記テストパターンの印刷結果に基づいて前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増加させる場合は、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルと異なる前記ノズルである、前記第1端部ノズルの隣の第1隣接ノズルおよび前記第2端部ノズルの隣の第2隣接ノズルによる液体の吐出量を、前記増加の量よりも少ない量だけ減らし、
前記テストパターンの印刷結果に基づいて前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を減少させる場合は、前記第1隣接ノズルおよび前記第2隣接ノズルによる液体の吐出量を、前記減少の量よりも少ない量だけ増やす、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッドを制御する印刷方法であって、
前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記ノズル並び方向において隣り合い、前記ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複しておらず、
前記第1ノズル列の前記第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、前記第2ノズル列の前記第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷するテストパターン印刷工程と、
前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる補正工程と、を備えることを特徴とする印刷方法。
【請求項6】
媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列を有する印刷ヘッドを制御する印刷方法であって、
前記ノズル並び方向に交差する交差方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させながら前記印刷ヘッドに液体の吐出をさせる主走査と、前記ノズル並び方向における前記媒体と前記印刷ヘッドとの相対移動である副走査と、を実行可能であり、
第1の前記主走査による前記ノズル列の一方の端部に位置する第1端部ノズルからの液体の吐出と、前記ノズル並び方向における前記ノズル列の長さ以上の所定距離の前記副走査と、第2の前記主走査による前記ノズル列の他方の端部に位置する第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷するテストパターン印刷工程と、
前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる補正工程と、を備えることを特徴とする印刷方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置および印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出可能な複数のノズルが並ぶノズル列を有する印刷ヘッドを用いて媒体へ印刷を行うプリンターでは、あるノズル列で印刷した領域と、当該ノズル列と隣り合う別のノズル列で印刷した領域との繋ぎ部の画質が問題となっていた。同様に、ある主走査によりノズル列で印刷した領域と、次の主走査により当該ノズル列で印刷した領域との繋ぎ部の画質も問題となっていた。
【0003】
ノズル列同士をノズルの並び方向において一部重複させ、ノズル列を有するヘッド同士の組付け誤差があったとしても、そのような重複領域における濃度を調整して白スジが発生しないように印刷をすることが開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011‐73186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記文献1のようにノズル列同士の重複領域を設けることで、印刷結果において白スジが発生することは抑制し易くなる。しかしながら、重複領域とそれ以外の非重複領域とでは、1つのラスターラインの形成に要するノズル数が異なったり、インクの乾燥時間が異なったりするため、印刷の画質差をゼロにすることは困難である。
このような状況に鑑みて、上述の繋ぎ部の画質を向上させるための改善が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
印刷装置は、媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドによる液体の吐出を制御する制御部と、を備え、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記ノズル並び方向において隣り合い、前記ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複しておらず、前記制御部は、前記第1ノズル列の前記第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、前記第2ノズル列の前記第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷させ、前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる。
【0007】
印刷装置は、媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列を有する印刷ヘッドと、前記印刷ヘッドを搭載して前記ノズル並び方向に交差する交差方向に沿って往復移動可能なキャリッジと、前記ノズル並び方向における前記媒体と前記印刷ヘッドとの相対移動を行う副走査部と、前記交差方向に沿う前記キャリッジの移動に伴う前記印刷ヘッドによる液体の吐出である主走査と、前記相対移動である副走査と、を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、第1の前記主走査による前記ノズル列の一方の端部に位置する第1端部ノズルからの液体の吐出と、前記ノズル並び方向における前記ノズル列の長さ以上の所定距離の前記副走査と、第2の前記主走査による前記ノズル列の他方の端部に位置する第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷させ、前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる。
【0008】
媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッドを制御する印刷方法であって、前記第1ノズル列と前記第2ノズル列とは、前記ノズル並び方向において隣り合い、前記ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複しておらず、前記第1ノズル列の前記第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、前記第2ノズル列の前記第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷するテストパターン印刷工程と、前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる補正工程と、を備える。
【0009】
媒体へ液体を吐出可能な複数のノズルが所定のノズル並び方向に並ぶノズル列を有する印刷ヘッドを制御する印刷方法であって、前記ノズル並び方向に交差する交差方向に沿って前記印刷ヘッドを移動させながら前記印刷ヘッドに液体の吐出をさせる主走査と、前記ノズル並び方向における前記媒体と前記印刷ヘッドとの相対移動である副走査と、を実行可能であり、第1の前記主走査による前記ノズル列の一方の端部に位置する第1端部ノズルからの液体の吐出と、前記ノズル並び方向における前記ノズル列の長さ以上の所定距離の前記副走査と、第2の前記主走査による前記ノズル列の他方の端部に位置する第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、前記ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを前記媒体へ印刷するテストパターン印刷工程と、前記テストパターンの印刷結果に基づいて、前記第1端部ノズルおよび前記第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる補正工程と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】装置構成を簡易的に示す図。
図2】第1実施形態の印刷ヘッドと媒体との関係性を上方からの視点により示す図。
図3】印刷方法を示すフローチャート。
図4図4A,4B,4Cはそれぞれ媒体へ印刷されたテストパターンの例を示す図。
図5図5Aは第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を増加させる補正の例を説明するための図、図5Bは第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を減少させる補正の例を説明するための図。
図6】第2実施形態の印刷ヘッドと媒体との関係性を上方からの視点により示す図。
図7図7Aは第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を増加させる第4実施形態にかかる補正の例を説明するための図、図7Bは第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を減少させる第4実施形態にかかる補正の例を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、各図を参照しながら本発明の実施形態を説明する。なお各図は、本実施形態を説明するための例示に過ぎない。各図は例示であるため、比率や形状や濃淡が正確でなかったり、互いに整合していなかったり、一部が省略されていたりする場合がある。
【0012】
1.装置構成:
図1は、本実施形態にかかる印刷装置10の構成を簡易的に示している。印刷装置10は、制御部11、表示部13、操作受付部14、通信IF15、記憶部16、搬送部17、印刷ヘッド18等を備える。IFは、インターフェイスの略である。制御部11は、プロセッサーとしてのCPU11a、ROM11b、RAM11c等を有する一つ又は複数のICや、その他の不揮発性メモリー等を含んで構成される。
【0013】
制御部11では、プロセッサーつまりCPU11aが、ROM11bや、その他のメモリー等に保存された一つ以上のプログラム12に従った演算処理を、RAM11c等をワークエリアとして用いて実行することにより、印刷装置10を制御する。なお、プロセッサーは、一つのCPUに限られることなく、複数のCPUや、ASIC等のハードウェア回路により処理を行う構成であってもよいし、CPUとハードウェア回路とが協働して処理を行う構成であってもよい。
【0014】
表示部13は、視覚情報を表示するための手段であり、例えば、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等により構成される。表示部13は、ディスプレイと、ディスプレイを駆動するための駆動回路とを含む構成であってもよい。操作受付部14は、ユーザーによる操作を受け付けるための手段であり、例えば、物理的なボタンや、タッチパネルや、マウスや、キーボード等によって実現される。むろん、タッチパネルは、表示部13の一機能として実現されるとしてもよい。
【0015】
通信IF15は、印刷装置10が公知の通信規格を含む所定の通信プロトコルに準拠して有線又は無線で外部装置と接続するための一つまたは複数のIFの総称である。外部装置とは、例えば、パーソナルコンピューター、サーバー、スマートフォン、タブレット型端末といった各種通信装置である。図1の例では、印刷装置10は、外部装置の一種である読取装置40と、通信IF15を介して通信可能に接続している。むろん、通信IF15を介して接続可能な外部装置の台数は1台に限られない。読取装置40は、印刷装置10に含まれる構成の一部であってもよい。
【0016】
記憶部16は、例えば、ハードディスクドライブや、ソリッドステートドライブといった記憶装置により構成される。記憶部16は、制御部11が有するメモリーの一部であってもよい。また、記憶部16を制御部11の一部と解してもよい。記憶部16には、印刷装置10の制御に必要な各種情報が記憶される。
【0017】
搬送部17は、所定の搬送方向へ媒体を搬送するための手段であり、回転するローラーや、ローラー等を回転させるモーターを含む。搬送の上流、下流を、以下では単に、上流、下流と言う。媒体は、代表的には用紙であるが、用紙の他、生地やフィルム等、液体による印刷の対象となり得る様々な素材を媒体として採用可能である。搬送部17は、媒体をベルトやパレットに載せて搬送する機構であってもよい。
【0018】
搬送方向を副走査方向とも呼ぶ。搬送部17による媒体の搬送は、副走査方向における媒体と印刷ヘッド18との相対移動に該当し、この相対移動を副走査とも言う。搬送部17は副走査部の一例である。
【0019】
印刷ヘッド18は、媒体へ液体を吐出可能な複数のノズル20を有する。印刷ヘッド18は、制御部11による制御下で、画像を印刷するための印刷データに基づいて各ノズル20から液滴であるドットを吐出する。知られているように、制御部11は、各ノズル20が備える不図示の駆動素子への駆動信号の印加を、印刷データに従って制御することで、各ノズル20からドットを吐出させたり吐出させなかったりして媒体へ画像を印刷する。
【0020】
印刷ヘッド18は、例えば、シアン(C)インク、マゼンタ(M)インク、イエロー(Y)インク、ブラック(K)インク等の各色インクを吐出可能である。印刷データは、画素毎かつインクの色毎にドットの吐出またはドットの非吐出を規定したデータである。ドットの吐出をドットオン、ドットの非吐出をドットオフとも言う。むろん、印刷ヘッド18が吐出するインクの色はCMYKに限定されない。また、印刷ヘッド18は、インクやインクに該当しない液体を含めて各種液体を吐出可能である。
【0021】
知られているように、ノズル20は異なる複数のサイズのドットを吐出することも可能である。例えば、ノズル20は、大ドット、中ドット、小ドットと呼ばれる3種類のサイズのドットを吐出可能である。大ドット>中ドット>小ドットである。この場合、印刷データにおけるある画素のドットオンの情報はさらに、大ドットオン、中ドットオン、小ドットオンのいずれかに分かれる。
【0022】
図1に示す印刷装置10の構成は、一台のプリンターによって実現されてもよいし、互いに通信可能に接続した複数の装置により実現されてもよい。つまり、印刷装置10は、実態として印刷システム10であってもよい。印刷システム10は、例えば、制御部11として機能する印刷制御装置と、搬送部17や印刷ヘッド18等を有するプリンターと、を含む。このような印刷装置10または印刷システム10により、印刷方法が実現される。
【0023】
2.第1実施形態:
図2は、第1実施形態にかかる印刷ヘッド18と媒体30との関係性を上方からの視点により簡易的に示している。図2~5を参照して説明する実施形態を、第1実施形態と呼ぶ。図2に示す個々の丸が個々のノズル20を示している。印刷ヘッド18は、複数のノズル20が所定のノズル並び方向D1に並ぶノズル列19を複数有する。ノズル並び方向D1は搬送方向D2と交差している。第1実施形態では、搬送方向D2がノズル並び方向D1に交差する交差方向に該当する。ノズル並び方向D1と搬送方向D2との交差は、直交あるいはほぼ直交と解してよい。
【0024】
共通のノズル列19を構成する各ノズル20は、同じ色のインクを吐出する。図2では、いずれもKインクを吐出するノズル20からなる複数のノズル列19として、ノズル列19K1,19K2,19K3を示している。図2では同様に、いずれもCインクを吐出するノズル20からなる複数のノズル列19としてノズル列19C1,19C2,19C3を示し、いずれもMインクを吐出するノズル20からなる複数のノズル列19としてノズル列19M1,19M2,19M3を示し、いずれもYインクを吐出するノズル20からなる複数のノズル列19としてノズル列19Y1,19Y2,19Y3を示している。
【0025】
同じ色のインクを吐出する複数のノズル列19の集合を、ノズル列群と呼んだりノズル列ユニットと呼んだりしてもよい。1つのノズル列群は、ノズル並び方向D1における媒体30の幅以上の範囲に亘って、複数のノズル列19がノズル並び方向D1に並ぶことにより構成されている。図2によれば、印刷ヘッド18はCMYKインクそれぞれのノズル列群を有する。これら複数のノズル列群は、搬送方向D2に沿って並んでおり、ノズル並び方向D1において同じ位置に配設されている。このような構成により、搬送方向D2に搬送される媒体30が印刷ヘッド18の下を通過するとき、各ノズル列群から各色のインクが吐出されて媒体30へ印刷が行われる。
【0026】
なお、ノズル列19を構成する複数のノズル20が並ぶ実際の方向は、図2の視点で見たとき、搬送方向D2に直交するノズル並び方向D1に対して斜めであっても構わない。本実施形態では、ノズル列19を構成する複数のノズル20が並ぶ実際の方向がノズル並び方向D1に対して斜めであっても、ノズル列19を構成する複数のノズル20はノズル並び方向D1にも並んでいると見なす。複数のノズル列群は、吐出するインク以外は互いに同じと解してよいため、以下では、Kインクの吐出に対応するノズル列群に注目して説明を続ける。
【0027】
ノズル列群において、ある1つのノズル列19を「第1ノズル列」と呼んだとき、ノズル並び方向D1に第1ノズル列と隣り合う別のノズル列19を「第2ノズル列」と呼ぶ。例えば、ノズル列19K1を第1ノズル列と捉えると、ノズル列19K2が第2ノズル列に該当する。同様に、ノズル列19K2を第1ノズル列と捉えると、ノズル列19K3が第2ノズル列に該当する。ノズル列19内で隣り合うノズル20同士のノズル並び方向D1における間隔をノズルピッチPと呼ぶ。微小な製造誤差は有り得るものの、ノズルピッチPは所定値であり、一定と解してよい。
【0028】
本実施形態では、第1ノズル列と第2ノズル列とはノズル並び方向D1に交差する交差方向から見て重複していない。つまり、第1ノズル列と第2ノズル列とは、ノズル並び方向D1において重複していない。ノズル並び方向D1において第1ノズル列と第2ノズル列とが重複しないとは、最も接近し合っている互いの端のノズル20同士が重ならないと言う意味である。例として、ノズル列19K1を第1ノズル列、ノズル列19K2を第2ノズル列と捉える。ノズル列19K1のノズル列19K2側の端部に位置するノズル20を第1端部ノズル20a、ノズル列19K2のノズル列19K1側の端部に位置するノズル20を第2端部ノズル20bと呼び、ノズル並び方向D1における第1端部ノズル20aと第2端部ノズル20bとの間隔を端部ノズルピッチQと呼ぶ。同様に、ノズル列19K2を第1ノズル列、ノズル列19K3を第2ノズル列と捉えると、ノズル列19K2のノズル列19K3側の端部に位置するノズル20を第1端部ノズル20c、ノズル列19K3のノズル列19K2側の端部に位置するノズル20を第2端部ノズル20d、と捉えることができる。
【0029】
印刷ヘッド18の製造時、端部ノズルピッチQがノズルピッチPと等しくなるように、各ノズル列19が配設される。ただし、製造誤差を0にすることは困難であるため、印刷ヘッド18の個体毎に端部ノズルピッチQにばらつきが生じ得る。例えば、図2に示すように、端部ノズルピッチQがノズルピッチPより大きいこともある。あるいは、端部ノズルピッチQがノズルピッチPより小さいこともある。ただし本実施形態では、端部ノズルピッチQがノズルピッチPより小さい場合であっても、第1端部ノズル20aと第2端部ノズル20bとがノズル並び方向D1において一部重複するほど端部ノズルピッチQが小さい製品は、除外する。
【0030】
図2の見方として、ノズル並び方向D1における位置が共通するCMYKそれぞれのノズル列19は、1つのノズルチップを構成すると解してもよい。つまり、印刷ヘッド18は複数のノズルチップがノズル並び方向D1に並んで構成され、ノズル並び方向D1におけるノズルチップ間の距離を調整することで端部ノズルピッチQが調整されると解してもよい。
【0031】
図3は、制御部11がプログラム12に従って実行する本実施形態の印刷方法をフローチャートにより示している。
ステップS100では、制御部11は、テストパターンを印刷するための印刷データであるテストパターン印刷データに基づき印刷ヘッド18を制御して、第1ノズル列の第1端部ノズルと、第2ノズル列の第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、ノズル並び方向D1において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを媒体30へ印刷させる。ステップS100は「テストパターン印刷工程」に該当する。
【0032】
テストパターン印刷データは予め用意されており、例えば記憶部16に記憶されている。テストパターン印刷データは、一様な濃度のベタ画像を少なくとも第1端部ノズルおよび第2端部ノズルを含むノズル20に印刷させるデータである。一様な濃度の画像とは、全画素をドットオンとする100%の濃度の画像に限らず、その他の濃度、例えば50%の画素をドットオンとする50%の濃度の画像であってもよい。
【0033】
図4A,4B,4Cはそれぞれ、ステップS100により媒体30へ印刷されたテストパターン31の例を示している。図4A,4B,4Cの見方は、図2の見方を踏襲する。図4A,4B,4Cに示すテストパターン31は、Kインクを吐出するノズル列群によってKインクで印刷されたテストパターンであり、いずれも同じテストパターン印刷データに基づいて印刷されている。ただし、図4A,4B,4Cでは、ノズル並び方向D1におけるノズル列19同士の位置関係が異なっている。具体的には、図4Aでは端部ノズルピッチQがノズルピッチPと等しく、ノズル列19同士のアライメントが理想的である。一方、図4Bでは端部ノズルピッチQがノズルピッチPよりも狭く、図4Cでは端部ノズルピッチQがノズルピッチPよりも広くなっている。そのため、図4A,4B,4Cを比較すると、テストパターン31の印刷結果に相違が生じている。
【0034】
テストパターン31は、第1端部ノズルを含む第1ノズル列の第2ノズル列側の数個のノズル20および、第2端部ノズルを含む第2ノズル列の第1ノズル列側の数個のノズル20を用いて印刷される。そのため、テストパターン31は、ノズル列群におけるノズル列19の繋ぎ部毎に印刷されると解してよい。本実施形態では、ノズル列19同士の繋ぎの部分や、媒体30においてノズル列19により印刷された領域同士の繋ぎの部分のいずれについても、適宜、繋ぎ部という表現を用いる。1つのテストパターン31内において、第1端部ノズルによって印刷されたラスターラインが第1パターンであり、第2端部ノズルによって印刷されたラスターラインが第2パターンである。ラスターラインとは、ノズル並び方向D1の交差方向に沿って複数の画素が並ぶ画素列や、このような画素列の印刷結果である。
【0035】
テストパターン印刷データにおいては、どのノズル20に割り当てた画素列が第1パターン、第2パターンに該当するかは明確である。ただし、媒体30に印刷されたテストパターン31においては、どの部分が第1パターン、第2パターンの夫々に該当するか明確である必要は無い。むしろ、テストパターン31において目視では第1パターン、第2パターンの区別がし難い方が自然であり、印刷結果も良好と言える。
【0036】
図4Aの例では、テストパターン31は、ノズル列19の繋ぎ部に対応する部分を含めて一様で濃度むらが無く、印刷結果の画質が良好である。一方、図4Bの例では、端部ノズルピッチQが狭いため、第1パターンのドットと第2パターンのドットとがより多く重なり、テストパターン31のうちノズル列19の繋ぎ部に対応する部分は相対的に濃度が高く黒スジが生じている。図4Cの例では、端部ノズルピッチQが広いため、第1パターンのドットと第2パターンのドットとの重なりが少ないか若しくは無く、テストパターン31のうちノズル列19の繋ぎ部に対応する部分は相対的に濃度が低く白スジが生じている。黒スジとは、周囲の濃度よりも相対的に濃い筋状の濃度むらの呼び名であり、必ずしも黒色である必要は無い。同様に白スジとは、周囲の濃度よりも相対的に淡い筋状の濃度むらの呼び名であり、必ずしも白色である必要は無い。
【0037】
ステップS110では、制御部11は、ステップS100で印刷したテストパターンの評価を行う。ユーザーは、テストパターン31が印刷された媒体30を読取装置40にセットし、テストパターン31の読取を読取装置40に実行させる。読取装置40は、対象を読み取って、対象の色や輝度の情報を読取データとして生成可能な手段であり、例えばスキャナーである。制御部11は、例えば、通信IF15を介してテストパターン31の読取データであるテストパターン読取データを読取装置40から取得し、テストパターン読取データを解析することにより評価する。
【0038】
制御部11によるテストパターンの評価方法は様々である。制御部11は、例えば、テストパターン読取データから、テストパターン31におけるノズル並び方向D1に沿う輝度変動を取得して、白スジまたは黒スジに該当する輝度変動が有るか否か、つまり白スジや黒スジの有無を判定する。白スジや黒スジに該当する輝度変動を判定するために必要なしきい値等の情報は予め記憶部16等に用意されているものとする。また、制御部11は、白スジが有る場合、その輝度変動の大きさに応じて白スジの程度を評価してもよい。同様に、制御部11は、黒スジが有る場合、輝度変動の大きさに応じて黒スジの程度を評価してもよい。
【0039】
制御部11は、ユーザーによる目視評価の結果を取得してもよい。つまり、ユーザーは、媒体30に印刷されたテストパターン31を目視し、白スジや黒スジの有無を判定する。そして、ユーザーは操作受付部14を操作することにより、例えば、白スジ有り、黒スジ有り、濃度むら無しといった評価結果を印刷装置10へ入力する。このようにユーザーがテストパターン31を目視評価する場合、制御部11にとっては、ユーザーによる評価結果の入力を受け付けることがステップS110に該当する。ユーザーは、単に白スジや黒スジの有無だけでなく、例えば、弱めの白スジ有り、強めの白スジ有り、弱めの黒スジ有り、強めの黒スジ有り、といったような白スジや黒スジの程度も評価結果として入力してもよい。
【0040】
このように制御部11は、テストパターン読取データを評価することにより、あるいはユーザーから評価結果の入力を受け付けることにより、テストパターン31毎の評価を取得する。なお、図3のフローチャートの説明では、Kインクによるテストパターン31の印刷と、当該テストパターン31の評価に基づくKインクの吐出量の補正を説明するが、言うまでもなく当該フローチャートでは、CMY等の他の色のインクについても同様にテストパターン31の印刷や評価、吐出量の補正を実行する。
【0041】
ステップS120では、制御部11は、ステップS110における評価に応じた補正を伴う印刷を実行する。ステップS120は、テストパターンの印刷結果に基づいて第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる「補正工程」を含んでいる。ステップS120で印刷する画像は、ユーザーが操作受付部14の操作を通じて任意に選択した画像である。制御部11は、ユーザーによって選択された画像を表現する画像データを取得し、この画像データを印刷データに変換するための画像処理を実行する。ここで言う画像処理とは、知られているように、例えば、解像度変換処理、色変換処理、ハーフトーン処理である。そして、制御部11は、ハーフトーン処理を経て生成された印刷データに基づいて、印刷ヘッド18から媒体30へインクを吐出させて画像を印刷する。制御部11は、このようなステップS120の過程で、ステップS110で取得したテストパターン31毎の評価に応じて、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させるために必要な補正を行う。
【0042】
例えば、Kインクで印刷したあるテストパターン31に関して、白スジ有りの評価をしたとする。この場合、制御部11は、当該テストパターン31の印刷に用いたノズル20のうち、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルについては、Kインクの吐出量を増やす補正をする。補正対象は、例えば、ハーフトーン処理後の印刷データである。上述したように、印刷データは、画素毎にインクのドットオンやドットオフが規定されたデータである。そのため、制御部11は、印刷データのうち第1端部ノズルに割り当てるラスターラインおよび第2端部ノズルに割り当てるラスターラインについては、ドットオンの比率を増やしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより大きなサイズに変更したりした上で、印刷データに基づいて印刷をする。
【0043】
また、Kインクで印刷したあるテストパターン31に関しては、黒スジ有りの評価をしたとする。この場合、制御部11は、当該テストパターン31の印刷に用いたノズル20のうち、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルについては、Kインクの吐出量を減らす補正をする。つまり、制御部11は、印刷データのうち第1端部ノズルに割り当てるラスターラインおよび第2端部ノズルに割り当てるラスターラインについては、ドットオンの比率を減らしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより小さなサイズに変更したりした上で、印刷データに基づいて印刷する。
【0044】
図5Aは、ステップS120における、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を増加させる補正の例を説明するための図である。図5Aでは、補正前の印刷データ50の一部と、これを補正した後の印刷データ50´とを示している。印刷データ50,50´は、矩形で示す複数の画素が方向D1,D2に対応して並ぶビットマップデータであり、画素毎に、ここではKインクのドットのオンまたはオフを規定している。図5Aにおいて、ドットオンを模した丸は、その大きさの違いにより大ドットオン、中ドットオン、小ドットオンのいずれかを表現している。
【0045】
印刷データ50は、ステップS120において上述の画像処理を経て生成された印刷データであり、仮に、テストパターン31の印刷結果に対して白スジや黒スジが認められない濃度むら無しの評価がなされている場合は、印刷データ50がそのまま印刷ヘッド18に供されて、印刷が実行される。印刷データ50は、画素が搬送方向D2に対応して並ぶラスターライン51a,51b,51c,51dを有する。図5Aは、Kインクで印刷したあるテストパターン31に関して白スジ有りの評価をした場合を想定しており、ラスターライン51bは、当該テストパターン31の印刷に用いたノズル20のうちの第1端部ノズルに割り当てる位置のラスターラインであり、ラスターライン51bに隣接するラスターライン51cは、当該テストパターン31の印刷に用いたノズル20のうちの第2端部ノズルに割り当てる位置のラスターラインである。
【0046】
従って、制御部11は、印刷データ50のラスターライン51b,51cについては、ドットオンの比率を増やしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより大きなサイズに変更したりする補正をして、ラスターライン51b´,51c´とする。ラスターライン51b,51cがラスターライン51b´,51c´となることで、印刷データ50が印刷データ50´となる。制御部11は、図5Aの印刷データ50´に基づく印刷を印刷ヘッド18に実行させることで、テストパターン31においては生じていた白スジが濃くなって目立たなくなった印刷結果を出力する。
【0047】
一方、図5Bは、ステップS120における、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を減少させる補正の例を説明するための図である。図5Bの見方は、図5Aの見方と同じである。図5Bは、Kインクで印刷したあるテストパターン31に関して黒スジ有りの評価をした場合を想定しており、ラスターライン51bは、当該テストパターン31の印刷に用いたノズル20のうちの第1端部ノズルに割り当てるラスターラインであり、ラスターライン51cは、当該テストパターン31の印刷に用いたノズル20のうちの第2端部ノズルに割り当てるラスターラインである。従って、制御部11は、印刷データ50のラスターライン51b,51cについては、ドットオンの比率を減らしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより小さなサイズに変更したりする補正をして、ラスターライン51b´,51c´とする。制御部11は、このような図5Bの印刷データ50´に基づく印刷を印刷ヘッド18に実行させることで、テストパターン31においては生じていた黒スジが淡くなって目立たなくなった印刷結果を出力する。
【0048】
むろん、制御部11は、評価された白スジの程度に応じて、第1端部ノズル、第2端部ノズルのインク量を増加させる程度を変えたり、評価された黒スジの程度に応じて、インク量を減少させる程度を変えたりしてもよい。
補正対象は、印刷データではなく、ハーフトーン処理を施す前かつ色変換処理後の、画素毎にインク毎の階調値を有する状態の画像データであってもよい。階調値は、例えば、0~255の256階調で表現されており、インク量を示している。制御部11は、このような画像データのうち、第1端部ノズルに割り当てるラスターラインおよび第2端部ノズルに割り当てるラスターラインについては、白スジ有りや黒スジ有りの評価に応じて階調値を増やしたり減らしたりすることで、結果的にインクの吐出量を増減させてもよい。あるいは、色変換処理後の画像データやハーフトーン処理後の印刷データを補正した場合と結果的に同様の効果を奏するのであれば、補正対象は、色変換処理を施す前の、画素毎に例えばRGB(レッド、グリーン、ブルー)毎の階調値を有する状態の画像データであってもよい。
【0049】
3.第2実施形態:
次に第2実施形態を説明する。第1実施形態が、媒体30の搬送方向D2に対して交差する方向に長尺な、いわゆるラインヘッドと呼ばれる構成の印刷ヘッド18を使用するのに対し、第2実施形態では、搬送方向D2に対して交差する交差方向に移動する、いわゆるシリアルヘッドと呼ばれる構成の印刷ヘッド18を使用する。第2実施形態の説明においては、基本的に第1実施形態を準用しつつ、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0050】
第2実施形態では、印刷ヘッド18はキャリッジ21に搭載されている。図1には、キャリッジ21をごく簡単に記載している。キャリッジ21は、搬送方向D2に対する交差方向である主走査方向に沿って往復移動可能である。キャリッジ21の移動と印刷ヘッド18の移動とは同義である。搬送方向D2と主走査方向との交差は、直交あるいはほぼ直交と解してよい。また、第2実施形態では、搬送方向D2を「ノズル並び方向D2」とも捉える。搬送部17による媒体30の搬送は、ノズル並び方向D2における媒体30と印刷ヘッド18との相対移動、すなわち副走査に該当し、搬送部17は副走査部に該当する。
【0051】
図6は、第2実施形態にかかる印刷ヘッド18と媒体30との関係性を上方からの視点により簡易的に示している。図2と同様に、図6に示す個々の丸が個々のノズル20を示している。印刷ヘッド18は、複数のノズル20がノズル並び方向D2に並ぶノズル列19を複数有する。図6では方向D1が主走査方向である。また、図6ではキャリッジ21を省略しているが、印刷ヘッド18を印刷ヘッド18およびキャリッジ21の一体物と見なしてよい。
【0052】
図6では、Kインクを吐出するノズル20からなるノズル列19として、ノズル列19Kを示している。図6では同様に、Cインクを吐出するノズル20からなるノズル列19としてノズル列19Cを示し、Mインクを吐出するノズル20からなるノズル列19としてノズル列19Mを示し、Yインクを吐出するノズル20からなるノズル列19としてノズル列19Yを示している。ノズル列19内で隣り合うノズル20同士のノズル並び方向D2における間隔がノズルピッチPである。図6では示していないが、ノズル列19C,19M,19Y,19Kそれぞれが、複数のノズル列により構成されていてもよい。
【0053】
複数のノズル列19C,19M,19Y,19Kは、主走査方向D1に沿って並んでおり、ノズル並び方向D2において同じ位置に配設されている。このような構成により、制御部11は、主走査方向D1に沿うキャリッジ21の移動に伴う印刷ヘッド18による液体の吐出である主走査と、前記相対移動である副走査と、を制御して媒体30へ印刷を行う。主走査をパスとも呼ぶ。ノズル列19を構成する複数のノズル20が並ぶ実際の方向は、図6の視点で見たとき、ノズル並び方向D2に対して斜めであっても構わない。第2実施形態では、ノズル列19を構成する複数のノズル20が並ぶ実際の方向がノズル並び方向D2に対して斜めであっても、ノズル列19を構成する複数のノズル20はノズル並び方向D2にも並んでいると見なす。
【0054】
図6において、符号18の傍に括弧書きで示すN、N+1、N+2は、印刷ヘッド18が実行するパスが何回目のパスであるかを示している。つまり図6では、N回目のパスとN+1回目のパスとの間、N+1回目のパスとN+2回目のパスとの間…というようなパス間で1回の副走査が実行されることにより、パスの度にノズル並び方向D2における媒体30と印刷ヘッド18との位置関係が変化しており、印刷ヘッド18はあくまで1つである。
【0055】
搬送部17は、パス間の副走査として、ノズル並び方向D2におけるノズル列19の長さにほぼ相当する「送り量」分の搬送を、搬送方向D2の上流から下流に向けて行う。このようなパスと副走査との繰り返しにより、いわゆるバンド印刷が実行される。
ただし、副走査は搬送部17による媒体30の搬送に限られない。キャリッジ21が、主走査方向D1だけでなくノズル並び方向D2においても往復移動可能な装置であってもよい。この場合、キャリッジ21あるいはキャリッジ21を移動させる機構が副走査部に該当し、パス間にキャリッジ21が上述の下流から上流に向けて前記送り量分移動することで副走査が実行される。
【0056】
第2実施形態においても、複数のノズル列は、吐出するインク以外は互いに同じと解してよいため、以下では、Kインクに対応するノズル列19Kに注目して説明を続ける。
ノズル列19Kの一方の端部、ここでは搬送方向D2の上流側の端部に位置するノズル20を第1端部ノズル20aと呼ぶ。また、ノズル列19Kの他方の端部、つまり搬送方向D2の下流側の端部に位置するノズル20を第2端部ノズル20bと呼ぶ。1回の副走査を挟んで連続する2回のパスのうち、先に実行するパスを第1の主走査、後に実行するパスを第2の主走査と呼ぶ。例えば、N回目のパスが第1の主走査であるとき、N+1回目のパスが第2の主走査である。同様に、N+1回目のパスが第1の主走査であるとき、N+2回目のパスが第2の主走査である。
【0057】
第1の主走査による第1端部ノズル20aからの液体吐出により印刷されるラスターラインと、第2の主走査による第2端部ノズル20bからの液体吐出により印刷されるラスターラインとは、ノズル並び方向D2において隣り合う。言うまでもなく第2実施形態では、ラスターラインは、主走査方向D1に沿って複数の画素が並ぶ画素列や、このような画素列の印刷結果を意味する。
【0058】
制御部11は、上述の送り量を、ノズル並び方向D2におけるノズル列19の長さ以上の所定距離とする。ノズル並び方向D2におけるノズル列19の長さとは、ノズル列19を構成するノズル数×ノズルピッチPと考えらえるため、この所定距離は、ノズル列19を構成するノズル数×ノズルピッチPと同じ距離か、ノズル列19を構成するノズル数×ノズルピッチPをやや上回る距離である。第2実施形態では、第1の主走査の第1端部ノズル20aによる媒体30への印刷位置と、第2の主走査の第2端部ノズル20bによる媒体30への印刷位置との、ノズル並び方向D2における距離を、端部ノズルピッチQと称する。端部ノズルピッチQは、媒体30の位置を不変とみなしたときの、第1の主走査時の第1端部ノズル20aと、第2の主走査時の第2端部ノズル20bとの、ノズル並び方向D2における距離とも言える。
【0059】
端部ノズルピッチQは、ノズルピッチPと等しくなることが理想であるが、制御部11が搬送部17等の副走査部に前記所定距離の副走査を指示しても、実際に行われる副走査には誤差が生じ得る。そのため、実際の端部ノズルピッチQは、図6の例のようにノズルピッチPより大きくなることもあれば、ノズルピッチPより小さくなることもある。ただし第2実施形態では、端部ノズルピッチQがノズルピッチPより小さくなるとしても、0になること、つまり第1の主走査の第1端部ノズル20aによる媒体30への印刷位置と、第2の主走査の第2端部ノズル20bによる媒体30への印刷位置とが重なることはないように、前記誤差も考慮して前記所定距離が予め設定されている。
【0060】
第2実施形態においても、制御部11は、図3に示すフローチャートを実行する。
ステップS100では、制御部11は、テストパターン印刷データに基づき印刷ヘッド18を制御して、第1の主走査による第1端部ノズルからの液体の吐出と、前記所定距離の副走査と、第2の主走査による第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、ノズル並び方向D2において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターンを媒体30へ印刷させる。
【0061】
第2実施形態のステップS100により媒体30に印刷されるテストパターン32は、図4A,4B,4Cに示すようなテストパターン31を90度回転させたものと解せばよい。図6ではテストパターン32の一例も示している。テストパターン32は、第1の主走査における第1端部ノズル20aを含むノズル列19Kの一方の端部側の数個のノズル20と、第2の主走査における第2端部ノズル20bを含むノズル列19Kの他方の端部側の数個のノズル20とを用いて印刷される。そのため、テストパターン32は、媒体30における第1の主走査で印刷される領域と第2の主走査で印刷される領域との繋ぎ部毎に印刷される。むろん、1つのテストパターン32において、第1端部ノズル20aによって印刷されたラスターラインが第1パターンであり、第2端部ノズル20bによって印刷されたラスターラインが第2パターンである。
【0062】
副走査の誤差により、媒体30における実際の端部ノズルピッチQは変動し得るため、テストパターン32の第1パターンと第2パターンとの間には、図6に例示するような白スジが生じたり、あるいは黒スジが生じたりすることがある。
第2実施形態のステップS110,S120については、第1実施形態のテストパターン31、ノズル並び方向D1を、テストパターン32、ノズル並び方向D2と読み替えればよい。また、第2実施形態では、図5A,5Bや後述の図7A,7Bに示す印刷データ50,50´のそれぞれを、時計回り方向に90度回転させて、画素が主走査方向D1に沿って並ぶラスターライン51a,51b,51c,51dを有すると解せばよい。
次に説明する第3実施形態および第4実施形態は、第1実施形態、第2実施形態のいずれにも適用可能である。
【0063】
4.第3実施形態:
ステップS100において、制御部11は、ノズル20として第1端部ノズルおよび第2端部ノズルのみを用いてテストパターンを印刷する、としてもよい。つまり、テストパターン31やテストパターン32は、第1端部ノズルからのインク吐出により印刷される第1パターンおよび第2端部ノズルからのインク吐出により印刷される第2パターンのみで構成されるとしてもよい。
【0064】
5.第4実施形態:
ステップS120において、制御部11は、テストパターンの印刷結果に基づいて第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増加させる場合は、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルと異なるノズル20である、第1端部ノズルの隣の「第1隣接ノズル」および第2端部ノズルの隣の「第2隣接ノズル」による液体の吐出量を、前記増加の量よりも少ない量だけ減らす。前記増加の量は、ドットの増加数や、ドットサイズの変更に応じて算出できる。前記増加の量よりも少ない量とは、例えば、前記増加の量に、0より大きく1より小さい所定の係数を掛けて得られる量である。また、テストパターンの印刷結果に基づいて第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を減少させる場合は、第1隣接ノズルおよび第2隣接ノズルによる液体の吐出量を、前記減少の量よりも少ない量だけ増やす。前記減少の量は、ドットの減少数や、ドットサイズの変更に応じて算出できる。前記減少の量よりも少ない量とは、例えば、前記減少の量に前記所定の係数を掛けて得られる量である。
【0065】
第1実施形態であれば、第1隣接ノズルは、第1ノズル列内において第1端部ノズルに隣り合うノズル20であり、第2隣接ノズルは、第2ノズル列内において第2端部ノズルに隣り合うノズル20である。第2実施形態であれば、第1隣接ノズルは、ノズル列19内において第1端部ノズルに隣り合うノズル20であり、第2隣接ノズルは、当該ノズル列19内において第2端部ノズルに隣り合うノズル20である。
【0066】
図7Aは、第4実施形態のステップS120における、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を増加させる補正の例を説明する図である。また、図7Bは、第4実施形態のステップS120における、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによるインクの吐出量を減少させる補正の例を説明する図である。図7A,7Bの見方は、図5A,5Bの見方と同じである。図7Aは、図5Aと比較すると、ラスターライン51a,51dの補正をしている点だけが異なる。同様に、図7Bは、図5Bと比較すると、ラスターライン51a,51dの補正をしている点だけが異なる。
【0067】
印刷データ50において、ラスターライン51aは第1隣接ノズルに割り当てる位置のラスターラインであり、ラスターライン51dは第2隣接ノズルに割り当てる位置のラスターラインである。従って、制御部11は、図7Aに示すように、印刷データ50のラスターライン51b,51cについてドットオンの比率を増やしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより大きなサイズに変更したりする補正をしてラスターライン51b´,51c´とする場合は、ラスターライン51a,51dについては、ドットオンの比率を減らしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより小さなサイズに変更したりする補正をしてラスターライン51a´,51d´とする。これにより、印刷データ50が印刷データ50´となる。なお、図7Aによれば、ラスターライン51b,51cからラスターライン51b´,51c´へのインク量の増加量よりも、ラスターライン51a,51dからラスターライン51a´,51d´へのインク量の減少量の方がやや少ない。
【0068】
また、制御部11は、図7Bに示すように、印刷データ50のラスターライン51b,51cについてドットオンの比率を減らしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより小さなサイズに変更したりする補正をしてラスターライン51b´,51c´とする場合は、ラスターライン51a,51dについては、ドットオンの比率を増やしたり、ドットオンの画素のドットサイズをより大きなサイズに変更したりする補正をしてラスターライン51a´,51d´とする。これにより、印刷データ50が印刷データ50´となる。なお、図7Bによれば、ラスターライン51b,51cからラスターライン51b´,51c´へのインク量の減少量よりも、ラスターライン51a,51dからラスターライン51a´,51d´へのインク量の増加量の方がやや少ない。
【0069】
6.まとめ:
このように本実施形態によれば、印刷装置10は、媒体30へ液体を吐出可能な複数のノズル20が所定のノズル並び方向に並ぶノズル列19である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッド18と、印刷ヘッド18による液体の吐出を制御する制御部11と、を備え、第1ノズル列と第2ノズル列とは、ノズル並び方向において隣り合い、ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複していない。制御部11は、第1ノズル列の第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、第2ノズル列の第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターン31を媒体30へ印刷させ、テストパターン31の印刷結果に基づいて、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる。
【0070】
前記構成によれば、ノズル列同士が一部重複する重複領域を有さないようにすることで、重複領域と非重複領域とが併存するために印刷結果に生じる画質差を、生じさせない。その上で、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルを用いて印刷したテストパターン31の印刷結果に基づく補正により、ノズル列同士の繋ぎ部による白スジや黒スジと言った濃度むらが抑制された、良好な画質の印刷結果を得ることができる。
【0071】
また、本実施形態によれば、印刷装置10は、媒体30へ液体を吐出可能な複数のノズル20が所定のノズル並び方向に並ぶノズル列19を有する印刷ヘッド18と、印刷ヘッド18を搭載してノズル並び方向に交差する交差方向に沿って往復移動可能なキャリッジ21と、ノズル並び方向における媒体30と印刷ヘッド18との相対移動を行う副走査部と、交差方向に沿うキャリッジ21の移動に伴う印刷ヘッド18による液体の吐出である主走査と、前記相対移動である副走査と、を制御する制御部11と、を備える。制御部11は、第1の主走査によるノズル列19の一方の端部に位置する第1端部ノズルからの液体の吐出と、ノズル並び方向におけるノズル列19の長さ以上の所定距離の副走査と、第2の主走査によるノズル列19の他方の端部に位置する第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターン32を媒体30へ印刷させ、テストパターン32の印刷結果に基づいて、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる。
【0072】
前記構成によれば、媒体30に対するノズル列19の第1端部ノズルの位置と第2端部の位置とが副走査を経て重複する重複領域を媒体30上に作らないようにすることで、そのような重複領域と非重複領域とが併存するために印刷結果に生じる画質差を、生じさせない。その上で、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルを用いて印刷したテストパターン32の印刷結果に基づく補正により、第1の主走査により印刷した領域と第2の主走査により印刷した領域との繋ぎ部による白スジや黒スジと言った濃度むらが抑制された、良好な画質の印刷結果を得ることができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、制御部11は、ノズル20として第1端部ノズルおよび第2端部ノズルのみを用いてテストパターンを印刷する、としてもよい。
前記構成によれば、最小限のテストパターンを印刷することで、テストパターンの印刷に要する時間と液体量を最小化しつつ、上述したような繋ぎ部に関する画質の良化を奏することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、制御部11は、テストパターンの印刷結果に基づいて第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増加させる場合は、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルと異なるノズル20である、第1端部ノズルの隣の第1隣接ノズルおよび第2端部ノズルの隣の第2隣接ノズルによる液体の吐出量を、前記増加の量よりも少ない量だけ減らし、テストパターンの印刷結果に基づいて第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を減少させる場合は、第1隣接ノズルおよび第2隣接ノズルによる液体の吐出量を、前記減少の量よりも少ない量だけ増やす、としてもよい。
前記構成によれば、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体吐出量の増加または減少を、第1隣接ノズルおよび第2隣接ノズルによる液体吐出量の減少または増加によりある程度打ち消すことで、画像の印刷に使用する液体量全体の変動を抑制することができる。
【0075】
なお、特許請求の範囲においては、請求項同士の組み合わせの一部のみを記載しているが、本実施形態は、独立請求項と従属請求項との一対一の組み合わせだけでなく、当然に、複数の従属請求項の各種組み合わせを開示範囲に含める。
本実施形態は、印刷装置10以外にも、方法や、当該方法をプロセッサーと協働して実現するためのプログラム12を開示する。
【0076】
つまり、媒体30へ液体を吐出可能な複数のノズル20が所定のノズル並び方向に並ぶノズル列19である第1ノズル列および第2ノズル列を有する印刷ヘッド18を制御する印刷方法によれば、第1ノズル列と第2ノズル列とは、ノズル並び方向において隣り合い、ノズル並び方向に交差する交差方向から見て重複しておらず、第1ノズル列の第2ノズル列側の端部に位置する第1端部ノズルと、第2ノズル列の第1ノズル列側の端部に位置する第2端部ノズルとのそれぞれに液体を吐出させることにより、ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターン31を媒体30へ印刷するテストパターン印刷工程と、テストパターンの印刷結果に基づいて、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる補正工程と、を備える。
【0077】
また、媒体30へ液体を吐出可能な複数のノズル20が所定のノズル並び方向に並ぶノズル列を有する印刷ヘッド18を制御する印刷方法によれば、ノズル並び方向に交差する交差方向に沿って印刷ヘッド18を移動させながら印刷ヘッド18に液体の吐出をさせる主走査と、ノズル並び方向における媒体30と印刷ヘッド18との相対移動である副走査と、を実行可能であり、第1の主走査によるノズル列19の一方の端部に位置する第1端部ノズルからの液体の吐出と、ノズル並び方向におけるノズル列19の長さ以上の所定距離の副走査と、第2の主走査によるノズル列19の他方の端部に位置する第2端部ノズルからの液体の吐出とにより、ノズル並び方向において隣り合う第1パターンと第2パターンとを含むテストパターン32を媒体30へ印刷するテストパターン印刷工程と、テストパターンの印刷結果に基づいて、第1端部ノズルおよび第2端部ノズルによる液体の吐出量を増減させる補正工程と、を備える。
【符号の説明】
【0078】
10…印刷装置、11…制御部、12…プログラム、13…表示部、14…操作受付部、15…通信IF、16…記憶部、17…搬送部、18…印刷ヘッド、19…ノズル列、20…ノズル、20a,20c…第1端部ノズル、20b,20d…第2端部ノズル、21…キャリッジ、30…媒体、31,32…テストパターン、40…読取装置、50,50´…印刷データ、51a,51b,51c,51d,51a´,51b´,51c´,51d´…ラスターライン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7