(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140107
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニット
(51)【国際特許分類】
B25J 19/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B25J19/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051105
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】寺中 僚祐
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS15
3C707CY34
3C707CY36
3C707JS05
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることができるロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットを提供すること。
【解決手段】ロボットを制御するロボット制御装置であって、ロボットの作動を制御する制御部と、空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、制御部を収容する筐体と、筐体の外側に設けられ、吸気口と排気口とを接続し、排気口から排出された空気を吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、流路形成部材に設置され、流路を流れる空気を流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とするロボット制御装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ロボットの作動を制御する制御部と、
空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、前記制御部を収容する筐体と、
前記筐体の外側に設けられ、前記吸気口と前記排気口とを接続し、前記排気口から排出された空気を前記吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設置され、前記流路を流れる空気を前記流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とするロボット制御装置。
【請求項2】
前記流路形成部材は、前記吸気口を覆う第1被覆部と、前記排気口を覆う第2被覆部と、前記第1被覆部と前記第2被覆部とを接続する接続部とを有し、
前記冷却部は、前記接続部に設置されている請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
前記筐体は、互いに離間する底面および天面と、前記底面および前記天面と直交し、互いに離間する正面および背面と、前記正面および前記背面の間に位置する一対の側面と、を有し、
前記正面には、前記ロボットとの通信を行うケーブルを接続するケーブル接続部が設けられている請求項2に記載のロボット制御装置。
【請求項4】
前記吸気口は、前記正面に設けられ、
前記排気口は、前記背面に設けられ、
前記第1被覆部は、前記正面側に設けられ、
前記第2被覆部は、前記背面側に設けられ、
前記接続部は、前記天面側に設けられている請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項5】
前記吸気口は、前記正面に設けられ、
前記排気口は、前記背面に設けられ、
前記第1被覆部は、前記正面側に設けられ、
前記第2被覆部は、前記背面側に設けられ、
前記接続部は、前記一対の側面のうちのいずれか一方の側面側に設けられている請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項6】
前記吸気口および前記排気口は、前記正面に設けられ、
前記第1被覆部、前記第2被覆部および前記接続部は、前記正面側に設けられている請求項3に記載のロボット制御装置。
【請求項7】
前記第1被覆部および前記接続部は、前記正面側から見た平面視で、前記ケーブル接続部と重ならない位置に配置されている請求項3ないし6のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項8】
前記流路形成部材は、前記流路が蛇行した蛇行部を有し、
前記冷却部は、前記流路形成部材の前記蛇行部に対応する部分に設置されている請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項9】
前記流路形成部材は、前記流路を流れる空気の熱を吸収し放熱する放熱フィンを有し、
前記冷却部は、前記放熱フィンを冷却する請求項1ないし6のいずれか1項に記載のロボット制御装置。
【請求項10】
ロボットと、
前記ロボットを制御するロボット制御装置と、を備え、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットの作動を制御する制御部と、
空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、前記制御部を収容する筐体と、
前記筐体の外側に設けられ、前記吸気口と前記排気口とを接続し、前記排気口から排出された空気を前記吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設置され、前記流路を流れる空気を前記流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とするロボットシステム。
【請求項11】
ロボットを制御するロボット制御装置に装着される冷却ユニットであって、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットの作動を制御する制御部と、
空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、前記制御部を収容する筐体と、
を備え、
前記冷却ユニットは、
前記筐体の外側に設けられ、前記吸気口と前記排気口とを接続し、前記排気口から排出された空気を前記吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設置され、前記流路を流れる空気を前記流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とする冷却ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロボットの作動を制御するロボット制御装置が記載されている。このロボット制御装置は、制御基板と、制御基板を収容するケーシングと、を有する。また、特許文献1では、ロボット制御装置の冷却を行う冷却システムとして、ロボット制御装置全体を筐体で収容し、筐体の内部に冷却用ファンを設け、冷却用ファンの作動により生じる気流により、筐体内でロボット制御装置を冷却する構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されている冷却システムでは、ロボット制御装置よりも大きい筐体内で冷却を行う構成であるため、冷却システム全体として大型になってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のロボット制御装置は、ロボットを制御するロボット制御装置であって、
前記ロボットの作動を制御する制御部と、
空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、前記制御部を収容する筐体と、
前記筐体の外側に設けられ、前記吸気口と前記排気口とを接続し、前記排気口から排出された空気を前記吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設置され、前記流路を流れる空気を前記流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明のロボットシステムは、ロボットと、
前記ロボットを制御するロボット制御装置と、を備え、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットの作動を制御する制御部と、
空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、前記制御部を収容する筐体と、
前記筐体の外側に設けられ、前記吸気口と前記排気口とを接続し、前記排気口から排出された空気を前記吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設置され、前記流路を流れる空気を前記流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の冷却ユニットは、ロボットを制御するロボット制御装置に装着される冷却ユニットであって、
前記ロボット制御装置は、
前記ロボットの作動を制御する制御部と、
空気を取り入れる吸気口と、空気を排出する排気口とを有し、前記制御部を収容する筐体と、を備え、
前記冷却ユニットは、
前記筐体の外側に設けられ、前記吸気口と前記排気口とを接続し、前記排気口から排出された空気を前記吸気口に戻す流路を形成する流路形成部材と、
前記流路形成部材に設置され、前記流路を流れる空気を前記流路形成部材を介して冷却する冷却部と、を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1実施形態に係るロボット制御装置を備えるロボットシステムの全体図である。
【
図2】
図1に示すロボット制御装置の斜視図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係るロボット制御装置の斜視図である。
【
図8】本発明の第3実施形態に係るロボット制御装置の斜視図である。
【
図9】本発明の第4実施形態に係るロボット制御装置が備える流路形成部材の断面図である。
【
図10】本発明の第5実施形態に係るロボット制御装置が備える流路形成部材の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボット制御装置を備えるロボットシステムの全体図である。
図2は、
図1に示すロボット制御装置の斜視図である。
図3は、
図2中矢印A方向から見た図である。
図4は、
図2中B-B線断面図である。
図5は、
図2に示す冷却部の断面図である。
【0011】
図1~
図5中には、互いに直交する3軸であるX軸、Y軸およびZ軸が設定されている。3軸のうちZ軸方向は鉛直方向を示し、X-Y平面は水平面を示す。X軸、Y軸およびZ軸において、図中矢印の指す方向を「+側」、その反対方向を「-側」と言う。このことは、
図6~
図10に関しても同様である。
【0012】
図2、
図6~
図9において、ロボット制御装置9の構造の理解を容易にするために、ダクト3は、透明な材料で構成されているものとして記載されているが、ダクト3の構成はこれに限定されない。
【0013】
図1~
図8および
図10中の上下方向(Z軸方向)は、鉛直方向と一致している。
図1~
図8および
図10中において、上側を「上」、下側を「下」とも言う。ロボットアーム22、第1アーム23および第2アーム24等については、
図1中の右側を「基端部」、左側を「先端部」と言う。
【0014】
本明細書において、「鉛直」とは、鉛直と一致している場合のみならず、鉛直に対して若干、例えば±10°以内傾斜している場合も含む意味である。また、本明細書において、「平行」とは、2つの対象が平行と一致している場合のみならず、平行から若干、例えば±10°以内傾斜している場合も含む意味である。
【0015】
図1に示すロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2の駆動を制御するロボット制御装置9と、を有している。
【0016】
本実施形態におけるロボット2は、スカラロボットであり、ロボットアーム22を所望の動作で駆動し、例えば、電子部品等のワークの搬送、組立、検査等の作業、または工具によりワークに対し各種の加工、塗装等の作業を行う。ただし、ロボット2の用途は、特に限定されない。また、本発明に係るロボットは、スカラロボット以外、例えば、6軸多関節ロボット、双腕ロボット等であってもよい。
【0017】
図1に示すように、ロボット2は、基部であるベース21と、ベース21に対し回転可能に接続されているロボットアーム22と、を有している。ベース21は、水平面と平行な床面10に固定されている。
【0018】
ロボットアーム22は、基端部がベース21に接続され、ベース21に対して鉛直方向に沿う第1回転軸J1まわりに回転する第1アーム23と、基端部が第1アーム23の先端部に接続され、第1アーム23に対して鉛直方向に沿う第2回転軸J2まわりに回転する第2アーム24と、を有している。
【0019】
第2アーム24の先端部には作業ヘッド25が設けられている。作業ヘッド25は、第2アーム24の先端部に同軸的に配置されているスプラインナット251およびボールネジナット252と、スプラインナット251およびボールネジナット252に挿通されているスプラインシャフト253と、を有している。スプラインシャフト253は、第2アーム24に対して、その中心軸であり鉛直方向に沿う第3回転軸J3まわりに回転可能で、かつ、第3回転軸J3に沿って昇降可能である。
【0020】
スプラインシャフト253の下端部には、エンドエフェクター26が装着されている。エンドエフェクター26は、スプラインシャフト253に対し着脱自在に装着され、目的の作業に適したものが適宜選択され、装着される。エンドエフェクター26としては、例えばワークや工具を保持することができるものが挙げられる。エンドエフェクター26の下端部には、ツールセンターポイントTCPが設定されている。このツールセンターポイントTCPの位置に基づいて、ロボットアーム22の各部の駆動制御がなされる。
【0021】
ロボット2は、ベース21と第1アーム23とを連結し、ベース21に対して第1アーム23を第1回転軸J1まわりに回転させる第1関節アクチュエーター27と、第1アーム23と第2アーム24とを連結し、第1アーム23に対して第2アーム24を第2回転軸J2まわりに回転させる第2関節アクチュエーター28と、を有している。
【0022】
第1アーム23は、第1関節アクチュエーター27によって、ベース21の上面220に対し、離間した状態でベース21に接続されている。第2アーム24は、第2関節アクチュエーター28によって、第1アーム23の上面230に対し、離間した状態で第1アーム23に接続されている。
【0023】
また、ロボット2は、スプラインナット251を回転させてスプラインシャフト253を第3回転軸J3まわりに回転させる第1駆動機構291と、ボールネジナット252を回転させてスプラインシャフト253を第3回転軸J3に沿った方向に昇降させる第2駆動機構292と、を有する。
【0024】
第1関節アクチュエーター27は、モーター27Aと、図示しない減速機、エンコーダー等を有する。第2関節アクチュエーター28は、モーター28Aと、図示しない減速機、エンコーダー等を有する。第1駆動機構291は、モーター291Aと、図示しない減速機、エンコーダー等を有する。第2駆動機構292は、モーター292Aと、図示しない減速機、エンコーダー等を有する。
【0025】
モーター27A、モーター28A、モーター291Aおよびモーター292Aは、それぞれ、図示しないモータードライバーを介してロボット制御装置9と電気的に接続されている。ロボット制御装置9は、各モータードライバーを介して、図示しない電源から各モーター27A、モーター28A、モーター291Aおよびモーター292Aへの通電の通電条件、すなわち通電量、通電タイミング等を制御する。これにより、各アームを所望の姿勢に変更するようロボットアーム22の作動を制御することができる。
【0026】
各エンコーダーは、それぞれ、ロボット制御装置9と電気的に接続されている。各エンコーダーは、対応するモーターの回転位置情報を検出し、ロボット制御装置9に送信する。ロボット制御装置9は、各エンコーダーから受信した各モーターの回転位置情報に基づいて、モーター27A、モーター28A、モーター291Aおよびモーター292Aへの通電条件を制御する。各モーター27A、モーター28A、モーター291Aおよびモーター292Aへの回転位置を把握しつつ、ロボットアーム22の作動を制御することにより、所望の動作を正確に行うことができる。
【0027】
図2および
図3に示すように、ロボット制御装置9は、制御基板51と、制御基板51に電力を供給する電源基板52と、制御基板51の指令に基づいて駆動制御を行う駆動制御基板53と、駆動制御基板53の駆動制御に基づいて各駆動部を駆動する駆動基板54と、これらを収容する筐体6と、流路形成部材の一例であるダクト7と、送風ファン8と、を備える。
【0028】
制御基板51、電源基板52、駆動制御基板53および駆動基板54は、例えば所定間隔をあけて、任意の順番で、平行に並んで配置され、これらが並んでいる方向は、例えばX軸方向、Y軸方向またはZ軸方向とすることができる。なお、以下では、制御基板51、電源基板52、駆動制御基板53および駆動基板54を総称して、「制御部5」とも言う。
【0029】
制御基板51は、ロボット2の駆動を制御する図示しない制御回路を有する。制御回路は、CPU等のプロセッサー、RAM等の揮発性メモリーおよびROM等の不揮発性メモリー等を含み、ロボット2の各部の駆動の制御や各種演算および判断等の処理を行う。例えば、制御回路は、所定の制御プログラムを実行可能であり、当該制御プログラムに従って、駆動制御基板53に対して制御信号を出力することで、ロボット2に所定の動作を実行させる。
【0030】
電源基板52は、制御基板51および駆動制御基板53のそれぞれに対して供給する電力を生成する図示しない電源回路を有する。電源回路は、変圧器やノイズフィルターを備えており、例えば商用電源等の図示しない外部電源から供給される電力の周波数および電圧を変換し、制御基板51および駆動制御基板53に供給する。
【0031】
駆動制御基板53は、制御基板51からの制御信号を受け、第1関節アクチュエーター27、第2関節アクチュエーター28、第1駆動機構291および第2駆動機構292を駆動する駆動基板54を制御するための駆動制御信号を生成する。
【0032】
駆動基板54は、上述したモータードライバーが搭載される基板であり、駆動制御基板53からの駆動制御信号を受け、第1関節アクチュエーター27、第2関節アクチュエーター28、第1駆動機構291および第2駆動機構292の各モータードライバーを駆動する。駆動基板54は、第1関節アクチュエーター27、第2関節アクチュエーター28、第1駆動機構291および第2駆動機構292に供給するための電力に変換する図示しない駆動回路を有している。駆動回路は、例えば、直流電力)から交流電力に変換するインバーター回路を備えている。なお、図示の構成では、1枚の基板に第1関節アクチュエーター27、第2関節アクチュエーター28、第1駆動機構291および第2駆動機構292用の駆動回路が設けられている構成であるが、2枚以上の基板に第1関節アクチュエーター27、第2関節アクチュエーター28、第1駆動機構291および第2駆動機構292用の駆動回路が振り分けられている構成であってもよい。
【0033】
図2および
図3に示すように、筐体6は、天板61と、底板62と、側壁63と、側壁64と、側壁65と、側壁66と、を備える直方体で構成されており、ロボット制御装置9のハウジングとして機能するものである。天板61は、Z軸方向を厚さ方向とする板材で構成される。底板62は、Z軸方向を厚さ方向とする板材で構成される。側壁63は、+X軸側に位置し、X軸方向を厚さ方向とする板材で構成される。側壁64は、-X軸側に位置し、X軸方向を厚さ方向とする板材で構成される。側壁65は、-Y軸側に位置し、Y軸方向を厚さ方向とする板材で構成される。側壁66は、+軸Y側に位置し、Y軸方向を厚さ方向とする板材で構成される。
【0034】
なお、本実施形態では、筐体6は、側壁63側を正面とし、側壁64側を背面とする向きで使用される。以下、側壁63の外表面を正面631と言い、側壁64の外表面を背面641と言い、天板61の外表面を天面611と言い、底板62の外表面を底面621と言い、側壁65の外表面を側面651と言い、側壁66の外表面を側面661と言う。
【0035】
正面631と背面641とは、互いに離間して平行に配置され、天面611と底面621とは、互いに離間して平行に配置され、側面651と側面661とは、互いに離間して平行に配置されている。側面651および側面661は、正面631および背面641の間に位置し、正面631と背面641とを接続している。同様に、天面611および底面621は、正面631および背面641の間に位置し、正面631と背面641とを接続している。
【0036】
底面621は、筐体6を設置する対象物に臨む設置面として用いられる。筐体6を設置する対象としては、特に限定されないが、例えば、床面10や、床面10上に置かれた台、棚、ラック等の設置面等が挙げられる。ただし、この構成に限定されず、壁部、天井等に筐体6を設置してもよい。
【0037】
これら天板61、底板62、側壁63、側壁64、側壁65および側壁66で囲まれた内部空間Sに、制御基板51、電源基板52、駆動制御基板53および駆動基板54が、互いに離間して平行に配置される。本実施形態では、制御部5は、+Z軸側から-Z軸側に向かって、駆動基板54、電源基板52、制御基板51および駆動制御基板53の順番で並んでいる。これらは、Z軸方向を厚さ方向とする向きで互いに平行に配置されている。制御基板51、電源基板52、駆動制御基板53および駆動基板54は、通電により作動すると、ジュール熱が生じて昇温するが、これら各基盤は隙間をあけて配置されているため、後述する送風ファン8の作動により内部空間Sに生じた気流80がこの隙間を通過する。これにより、制御部5を効率良く冷却することができる。
【0038】
図2に示すように、筐体6の側壁63は、吸気口71と、ケーブル接続部72とを有する。換言すれば、吸気口71およびケーブル接続部72は、筐体6の正面631に設けられている。
【0039】
吸気口71は、外部の空気を筐体6の内部空間Sに取り入れる。吸気口71は、側壁63の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成され、筐体6の正面631に開放している。吸気口71は、側壁63において、-Y軸側に偏在した位置に位置している。
【0040】
吸気口71には、メッシュ部材711が配置されている。メッシュ部材711は、通気性を有する。メッシュ部材711は、例えばダクト3を筐体6から取り外した際に、吸気口71から手指等が誤って内部空間Sに入るのを防止する機能を有する。また、メッシュ部材711は、内部空間Sに塵、埃、ダニ、昆虫等の異物が侵入するのを防止する機能を有するものでもよい。これにより、筐体6の内部空間Sに塵、埃等の異物が入って制御部5や送風ファン8へ悪影響を及ぼすことを防止することができる。
【0041】
また、
図2に示すように、側壁63には、ロボット2との通信を行うケーブル200を接続するケーブル接続部72が設けられている。ケーブル接続部72は、ケーブル200の先端部の形状、構造に対応する規格の接続部(コネクター)である。ケーブル200の先端部は、ケーブル接続部72に対し、着脱可能となっている。ケーブル接続部72に接続されたケーブル200を介して、制御部5とロボット2とが電気的に接続される。
【0042】
ケーブル接続部72は、吸気口71の-Z軸側、すなわち、側壁63の-Z軸側で、かつ、+Y軸側に偏在した位置に設けられている。ただし、ケーブル接続部72の筐体6に対する設置位置は、これに限定されない。また、ケーブル接続部72には、着脱できない、すなわち固定的に接続されたケーブルが接続されていてもよい。
【0043】
このように、筐体6は、互いに離間する底面621および天面611と、底面621および天面611と直交し、互いに離間する正面631および背面641と、正面631および背面641の間に位置する一対の側面651、661と、を有し、正面631には、ロボット2との通信を行うケーブル200を接続するケーブル接続部72が設けられている。これにより、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作や、ケーブル200の接続位置、接続状態の確認等を正面631側から容易かつ円滑に行うことができる。
【0044】
なお、図示の構成と異なり、ケーブル接続部72は、筐体6の正面631以外の面、例えば、天面611、側面651または側面661に設けられていてもよい。
【0045】
筐体6の側壁64は、排気口73を有する。換言すれば、排気口73は、筐体6の背面641に設けられている。
【0046】
排気口73は、筐体6の内部空間Sから外部に空気を排出する。排気口73は、側壁64の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成され、筐体6の背面641に開放している。排気口73は、側壁64において、中央部よりも若干-Y軸側に偏在した位置に位置している。
【0047】
排気口73には、メッシュ部材731が配置されている。メッシュ部材731は、通気性を有する。メッシュ部材731は、例えばダクト3を筐体6から取り外した際に、排気口73から手指等が誤って内部空間Sに入るのを防止する機能を有する。また、メッシュ部材731は、内部空間Sに塵、埃、ダニ、昆虫等の異物が侵入するのを防止する機能を有するものでもよい。これにより、筐体6の内部空間Sに塵、埃等の異物が入って制御部5や送風ファン8へ悪影響を及ぼすことを防止することができる。また、内部空間Sから筐体6の外部に異物が排出されるのを防止することができ、後述する流路30内の空気を清浄に保つことができる。
【0048】
なお、メッシュ部材711、731は、設置されていなくてもよく、あるいはメッシュ部材に代えて、例えば、枠状部材、ルーバーのような整流板等が設置されていてもよい。排気口73に整流板を設置する場合、排気される空気の風向が接続部33のある方向に向くように設置するのが好ましい。これにより、気流35の流れが円滑、良好となり、流路30における通気効率が向上する。吸気口71に整流板を設置する場合も同様である。
【0049】
排気口73には、送風ファン8が設置されている。送風ファン8は、筐体6の内部空間Sにおいて、吸気口71から排気口73に向かう気流80を形成する。本実施形態では、送風ファン8は、筐体6の内部の排気口73近傍に設置されているが、これに限らず、送風ファン8は、筐体6の外部に設置されていてもよい。また、送風ファン8の設置場所としては、これらに限定されず、例えば、筐体6内の任意の位置に設置されていてもよく、吸気口71に設置されていてもよい。また、送風ファン8はロボット制御装置9に設けられなくてもよい。
【0050】
このようなロボット制御装置9では、吸気口71から空気を取り入れ、排気口73に向かう気流80を形成することができる。この気流80により、筐体6の内部空間Sに設置され、発熱により昇温した制御部5を冷却することができる。
【0051】
図2および
図3に示すように、ダクト3は、筐体6の外側に設けられている。ダクト3は、その内部に、吸気口71と排気口73とを接続し、排気口73から排出された空気を吸気口71に戻す気流35を形成する流路30を有する。ダクト3は、第1被覆部31と、第2被覆部32と、これらを接続する接続部33とを有する。
【0052】
第1被覆部31は、吸気口71を覆う部位である。第1被覆部31は、正面631側から見た平面視で、吸気口71よりも大きい。第1被覆部31は、正面631側に開放しており、外気と吸気口71側とを仕切っている。
【0053】
第2被覆部32は、排気口73を覆う部位である。第2被覆部32は、背面641側から見た平面視で、排気口73よりも大きい。第2被覆部32は、背面641側に開放しており、外気と背面641側とを仕切っている。
【0054】
接続部33は、第1被覆部31と第2被覆部32とを接続する部位である。接続部33は、天面611側に設けられており、天面611側に開放しておらず、閉じた管状の構造物で構成されていている。接続部33と第1被覆部31とは、直角に折れ曲がった形状をなし、接続部33と第2被覆部32とは、直角に折れ曲がった形状をなしている。なお、接続部33は、天面611側に開放していてもよい。
【0055】
接続部33と天面611との間の空間、第1被覆部31と正面631との間の空間、および第2被覆部32と背面641との間の空間が連通しており、これらの空間によって、流路30が形成される。
【0056】
接続部33は、+X軸側に行くに従ってY軸方向の幅が狭くなっている。このため、流路30は、+X軸側に行くに従ってY軸方向の幅が狭くなっている。このような構成により、排気口73から排出された空気が、接続部33における流路30を流れる際、吸気口71に向かうに連れて流速が速くなる。
【0057】
以上述べたようなダクト3によれば、排気口73から排出された比較的暖かい空気を、外部に漏れることなく、流路30を介して、冷却した状態で吸気口71に戻すことができる。
【0058】
ダクト3の構成材料としては、特に限定されないが、各種金属材料、各種樹脂材料、各種セラミックス材料等を用いることができる。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、その他鉄系合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅系合金が挙げられる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル系樹脂、PET等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリアミドが挙げられる。
【0059】
ダクト3は、筐体6に対して固定されていてもよく、筐体6に対して着脱自在に構成されていてもよい。
【0060】
ダクト3は、本実施形態では、可視光透過性を有する、すなわち、内部視認性を有する。ただし、この構成に限定されず、ダクト3は、内部視認性を有していなくてもよい。
【0061】
図1~
図5に示すように、ダクト3には、冷却部4が設置されている。冷却部4は、流路30を流れる空気、すなわち気流35を冷却するものである。図示の構成では、冷却部4は、接続部33の上面331に設置されている。冷却部4は、空冷により接続部33の壁部332を介して流路30を流れる空気を冷却する。ただし、この構成に限定されず、冷却部4は、水冷を行うものであってもよく、空冷および水冷を組み合わせたものであってもよい。なお、ダクト3および冷却部4によって、本発明に係る冷却ユニット100が構成される。
【0062】
図4および
図5に示すように、冷却部4は、ケーシング41と、ケーシング41内に設けられた熱交換部42と、ファン43と、ファン44と、を有する。
【0063】
ケーシング41は、直方体をなすケーシング本体411と、ケーシング本体411を接続部33の壁部332に対し離間した状態で設置するスペーサー412と、を有する。ケーシング本体411の底板413は、吸気口414と、排気口415と、を有する。
ケーシング本体411の天板416は、吸気口417と、排気口418と、を有する。
【0064】
吸気口414および排気口415は、それぞれ、底板413の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成される。吸気口414および排気口415は、ケーシング本体411の+X軸側に偏在した位置に形成されている。吸気口414には、ファン43が設置されており、ファン43の作動により、ケーシング41外からケーシング41内に空気を取り入れ、再びケーシング41外に排出される気流45が形成される。
【0065】
吸気口417および排気口418は、それぞれ、天板416の厚さ方向に貫通する貫通孔で構成される。吸気口417および排気口418は、ケーシング本体411の-X軸側に偏在した位置に形成されている。吸気口417には、ファン44が設置されており、ファン44の作動により、ケーシング41外からケーシング41内に空気を取り入れ、再びケーシング41外に排出される気流46が形成される。
図5に示すように、ファン43は、ケーシング本体411の-Z軸側でかつ+X軸側に偏在した位置に設置され、ファン44は、ケーシング本体411の+Z軸側でかつ-X軸側に偏在した位置に設置されている。
【0066】
熱交換部42は、熱伝導性の高い材料、例えば、金属材料で構成されている。熱交換部42は、通気性を有し、表面および内部を気流45および気流46が通過することができる。熱交換部42は、全体形状が例えば板状またはブロック状をなしている。熱交換部42は、例えば、板材がZ軸方向に互いに離間して積層された構成や、網状体がZ軸方向に積層された構成とすることができる。熱交換部42は、気流45および気流46の経路の途中に設置されている。本実施形態では、熱交換部42は、Z軸方向から見たとき、排気口415および排気口418と重なった位置に設置されている。
【0067】
ファン43の作動により吸気口414を介してケーシング本体411内に導入された空気は、気流45を形成し、熱交換部42を通過して排気口415から排出される。同様に、ファン44の作動により吸気口417を介してケーシング本体411内に導入された空気は、気流46を形成し、熱交換部42を通過して排気口418から排出される。熱交換部42は、これを通過する気流45、46から吸熱し、冷却する作用を生じる。
【0068】
接続部33の壁部332を介して流路30内を流れる空気の熱がダクト3の外側に伝達されるため、吸気口414からは、暖められた空気が吸入され、ケーシング本体411内に供給される。この暖められた空気による気流45は、熱交換部42を通過する際に冷却され、冷風として排気口415から排出される。これにより、接続部33の壁部332を介して流路30内を流れる空気を冷却することができる。なお、熱交換部42で生じた熱は、熱交換部42全体に伝達される。
【0069】
一方、吸気口417からは、比較的温度の低い外気が吸入され、ケーシング本体411内に供給される。この吸気口417から導入された空気による気流46は、熱交換部42を通過する際に熱交換部42の熱を奪い、排気口418から温風として排出される。これにより、熱交換部42に蓄熱された熱を外部に放出することができる。このような冷却部4により、流路30内を流れる空気を冷却することができる。
【0070】
冷却部4は、図示の構成のものに限定されず、例えばペルチェ素子のような、本実施形態とは冷却方式が異なるものを用いることもできる。
【0071】
このようなダクト3および冷却部4によれば、筐体6の外面をダクト3で部分的に覆い、帰還用の流路30を形成することで、吸気口71から筐体6の内部空間Sを通って排気口73へ向かう気流80と、排気口73から排出され、ダクト3内の流路30を経て吸気口71へ戻る気流35とによる循環流を形成することができ、この循環流を冷却部4により効率良く冷却することができる。これにより、従来のような、ロボット制御装置9に相当するロボットコントローラー全体をケーシングで覆う構成に比べ、小型化を図りつつ、制御部5、送風ファン8駆動用のモーター類等の装置内蔵物、特に発熱する装置内蔵物(以下「制御部5」で代表する。)の冷却を効率良く行うことができる。
【0072】
以上説明したように、ロボット制御装置9は、ロボット2を制御するロボット制御装置であって、ロボット2の作動を制御する制御部5と、内部に空気を取り入れる吸気口71と、空気を外部に排出する排気口73とを有し、制御部5を収容する筐体6と、筐体6の外側に設けられ、吸気口71と排気口73とを接続し、排気口73から排出された空気を吸気口71に戻す流路30を形成する流路形成部材としてのダクト3と、ダクト3に設置され、流路30を流れる空気をダクト3を介して冷却する冷却部4と、を備える。これにより、装置の小型化を図りつつ、制御部5の冷却を良好に行うことができる。
【0073】
また、ロボットシステム1は、ロボット2と、ロボット2を制御するロボット制御装置9と、を備え、ロボット制御装置9は、ロボット2の作動を制御する制御部5と、内部に空気を取り入れる吸気口71と、空気を外部に排出する排気口73とを有し、制御部5を収容する筐体6と、筐体6の外側に設けられ、吸気口71と排気口73とを接続し、排気口73から排出された空気を吸気口71に戻す流路30を形成する流路形成部材としてのダクト3と、ダクト3に設置され、流路30を流れる空気をダクト3を介して冷却する冷却部4と、を備える。これにより、装置の小型化を図りつつ、制御部5の冷却を良好に行うことができる。
【0074】
また、冷却ユニット100は、ロボット2を制御するロボット制御装置9に装着されるものであって、ロボット制御装置9は、ロボット2の作動を制御する制御部5と、内部に空気を取り入れる吸気口71と、空気を外部に排出する排気口73とを有し、制御部5を収容する筐体6と、を備える。また、冷却ユニット100は、筐体6の外側に設けられ、吸気口71と排気口73とを接続し、排気口73から排出された空気を吸気口71に戻す流路30を形成する流路形成部材としてのダクト3と、ダクト3に設置され、流路30を流れる空気をダクト3を介して冷却する冷却部4と、を備える。これにより、装置の小型化を図りつつ、制御部5の冷却を良好に行うことができる。
【0075】
なお、本実施形態では、冷却部4は、1つ設置されている構成であったが、本発明ではこれに限定されず、2つ以上設置されていてもよい。この場合、各冷却部4は、冷却能が異なっていてもよく、同じであってもよい。また、各冷却部4は、冷却方式が異なっていてもよく、同じであってもよい。
【0076】
流路形成部材としてのダクト3は、吸気口71を覆う第1被覆部31と、排気口73を覆う第2被覆部32と、第1被覆部31と第2被覆部32とを接続する接続部33とを有し、冷却部4は、接続部33に設置されている。接続部33は、第1被覆部31および第2被覆部32に比べ、流路30を流れる気流35が比較的安定しているため、冷却部4による冷却をより効率的、安定的に行うことができる。
【0077】
なお、冷却部4は、接続部33に設置されている構成に限定されず、第1被覆部31に設置されていてもよく、第2被覆部32に設置されていてもよい。冷却部4が複数設置されている場合、第1被覆部31および接続部33に設置されていてもよく、第1被覆部31および第2被覆部32に設置されていてもよく、第2被覆部32および接続部33に設置されていてもよく、第1被覆部31、第2被覆部32および接続部33の全てに設置されていてもよい。
【0078】
前述したように、筐体6において、吸気口71は、正面631に設けられ、排気口73は、背面641に設けられ、第1被覆部31は、正面631側に設けられ、第2被覆部32は、背面641側に設けられている。一般に、このような筐体6の構成は、多用されているため、本実施形態のダクト3および冷却部4を適用可能な既存の機種が多い。よって、このような構成であると汎用性に優れる。
【0079】
また、接続部33は、天面611側に設けられているため、側面651および側面661側は、ダクト3のような構造物の設置を回避することができる。よって、複数のロボット制御装置9をY軸方向に沿って並べて配置したい場合、隣り合うロボット制御装置9を接近して配置することができる。その結果、このような場合に省スペース化を図ることができる。
【0080】
このように、吸気口71は、正面631に設けられ、排気口73は、背面641に設けられ、第1被覆部31は、正面631側に設けられ、第2被覆部32は、背面641側に設けられ、接続部33は、天面611側に設けられている。これにより、汎用性に優れ、省スペース化を図ることができる。
【0081】
また、ダクト3のうち、第1被覆部31および接続部33は、正面631側から見た、すなわち
図2中矢印B方向から見た平面視でケーブル接続部72と重ならない位置に配置されている。換言すれば、第1被覆部31および接続部33は、ケーブル接続部72を避けるように設置されている。具体的には、第1被覆部31は、正面631においてケーブル接続部72の上方に位置し、接続部33は、ケーブル接続部72の上方である天面611に位置している。これにより、ダクト3が、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作を阻害しないように配置されることとなる。また、ケーブル接続部72の視認性も確保される。従来のような構成では、ケーブル接続部72もケーシングで覆われるため、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作や、ケーブル200の接続位置、接続状態の確認等が難しいという問題や、ケーシングにケーブル接続部72およびケーブル200と接続する端子を設ける手間が生じるという問題が起こりえる。従来のような構成と比べ、簡素な構成で、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作や、ケーブル200の接続位置、接続状態の確認等を容易かつ円滑に行うことができる。
【0082】
このように、第1被覆部31および接続部33は、正面631側から見た平面視で、ケーブル接続部72と重ならない位置に配置されている。これにより、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作や、ケーブル200の接続位置、接続状態の確認等を容易かつ円滑に行うことができる。なお、ダクト3の一部が、ケーブル接続部72の一部を覆う構成であってもよい。
【0083】
<第2実施形態>
図6は、本発明の第2実施形態に係るロボット制御装置の斜視図である。
図7は、
図6中矢印C方向から見た図である。
【0084】
以下、
図6および
図7を参照しつつ本発明のロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットの第2実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0085】
図6および
図7に示すように、ダクト3は、側面661側に引き回されている。ダクト3は、第1被覆部31、第2被覆部32およびこれらを接続する接続部33を有し、接続部33は、正面631、側面661および背面641に跨って配置されている。すなわち、接続部33は、側面661に設けられている部分333を有する。
【0086】
冷却部4は、接続部33のうち、部分333に設けられている。ただし、この構成に限定されず、接続部33の正面631側の部分や、接続部33の背面641側の部分に設けられていてもよい。また、前記第1実施形態で述べたのと同様に、冷却部4は、第1被覆部31や第2被覆部32に設置されていてもよい。冷却部4が複数設置されている場合も同様である。
【0087】
このような構成の第2実施形態によれば、天面611側に、ダクト3のような構造物が設置されるのを回避することができる。よって、複数のロボット制御装置9をZ軸方向に重ねて配置したい場合、隣り合うロボット制御装置9を接近して配置することができる。その結果、このような場合に省スペース化を図ることができる。
【0088】
図6に示すように、ダクト3の第1被覆部31および接続部33は、正面631側から見た平面視でケーブル接続部72と重ならない位置に配置されている。これにより、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作や、ケーブル200の接続位置、接続状態の確認等を容易かつ円滑に行うことができる。
【0089】
また、本実施形態では、筐体6において、吸気口71は、正面631に設けられ、排気口73は、背面641に設けられ、第1被覆部31は、正面631側に設けられ、第2被覆部32は、背面641側に設けられている。一般に、このような筐体6の構成は、多く用いられる率が高いため、本実施形態のダクト3および冷却部4を適用可能な既存の機種が多い。よって、このような構成であると汎用性に優れる。
【0090】
なお、上記構成に限定されず、ダクト3は、側面651側に引き回されていてもよい。。吸気口71および排気口73は、筐体6に対し-Y軸側に偏在した位置にあるため、かかる構成の場合、ダクト3内の流路30の流路長をより短くすることができるという利点がある。
【0091】
また、ダクト3の接続部33、特に部分333は、側面661と天面611とに跨って配置されていてもよい、側面651と天面611とに跨って配置されていてもよい。
【0092】
このように、吸気口71は、正面631に設けられ、排気口73は、背面641に設けられ、第1被覆部31は、正面631側に設けられ、第2被覆部32は、背面641側に設けられ、接続部33は、一対の側面651、661のうちのいずれか一方の側面側に設けられている。これにより、汎用性に優れ、省スペース化を図ることができる。
【0093】
<第3実施形態>
図8は、本発明の第3実施形態に係るロボット制御装置の斜視図である。
【0094】
以下、
図8を参照しつつ本発明のロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットの第3実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0095】
図8に示すように、吸気口71および排気口73は、筐体6の正面631に設けられている。吸気口71および排気口73は、Z軸方向に延在する長尺形状をなしている。吸気口71は、正面631において、-Y軸側に偏在した位置に位置している。排気口73は、正面631において、+Y軸側に偏在した位置に位置している。
【0096】
ダクト3は、第1被覆部31、第2被覆部32およびこれらを接続する接続部33を有し、第1被覆部31、第2被覆部32および接続部33は、いずれも正面631側に設けられている。
【0097】
このような構成の第3実施形態によれば、天面611、側側面651側および側面661側に、ダクト3のような構造物が設置されるのを回避することができる。よって、複数のロボット制御装置9をZ軸方向に重ねて配置したい場合、または複数のロボット制御装置9をY軸方向に並べて配置したい場合、隣り合うロボット制御装置9を接近して配置することができる。その結果、これら場合に省スペース化を図ることができる。特に、複数のロボット制御装置9をZ軸方向およびY軸方向のそれぞれに並べて配置したい場合にも、同様の効果を発揮する。
【0098】
このように、吸気口71および排気口73は、正面631に設けられ、第1被覆部31、第2被覆部32および接続部33は、正面631側に設けられている。これにより、複数のロボット制御装置9を並べて設置する場合、十分に省スペース化を図ることができる。
【0099】
また、本実施形態では、ケーブル接続部72は、筐体6の正面631側の、中央部よりも+Y軸側に偏在した位置でかつ排気口73の-Y軸側に位置している。ケーブル接続部72は、カバー721により覆われている。これにより、ケーブル接続部72を保護することができる。また、接続部33は、カバー721の一部を覆っている。このような構成によれば、ケーブル接続部72が吸気口71および排気口73の間に位置していたとしても、
図8中矢印D方向から見た平面視で、ケーブル接続部72と重なる位置に接続部33を設けることができる。
【0100】
なお、
図8に示す構成に限らず、
図2に示す構成と同様に、ケーブル接続部72は、筐体6の正面631であってダクト3の下方の位置に設置されていてもよい。すなわち、
図8中矢印D方向から見た平面視で、ダクト3は、ケーブル接続部72と重ならない位置に配置されていてもよい。この場合には、ケーブル接続部72に対するケーブル200の着脱操作や、ケーブル200の接続位置、接続状態の確認等を正面631側から容易かつ円滑に行うことができる。
【0101】
<第4実施形態>
図9は、本発明の第4実施形態に係るロボット制御装置が備える流路形成部材の断面図である。
【0102】
以下、
図9を参照しつつ本発明のロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットの第4実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0103】
図9に示すように、ダクト3は、接続部33を有し、接続部33は、流路30が蛇行した蛇行部34を有する。蛇行部34は、流路30の途中に設けられ、流路30を仕切る複数の仕切部材341を有する。図示の構成では、仕切部材341は、板状をなし、4枚設けられている。各仕切部材341は、Y軸方向に延在し、X軸方向を厚さ方向とする向きでX軸方向に沿って等間隔に並んで配置されている。
【0104】
2枚の仕切部材341は、-Y軸側の端部が、接続部33の-Y軸側に位置する側壁334に接続されている。他の2枚の仕切部材341は、+Y軸側の端部が、接続部33の+Y軸側に位置する側壁335に接続されている。各仕切部材341は、X軸方向に所定間隔をおいて離間し、互い違いに配置されている。このように配置された仕切部材341により、蛇行部34には、蛇行した気流36が形成される。
【0105】
ダクト3の接続部33には、冷却部4が設置されている。この場合、冷却部4は、Z軸方向から見たとき、蛇行部34と重なった位置に設置されている。すなわち、冷却部4は、蛇行部34により流路30が蛇行した部分を流れる気流36を冷却する。このような蛇行部34により、気流36が通過する流路30の流路長をより長く確保することができる。よって、流路30を流れる空気の冷却をより効率良く行うことができる。
【0106】
このように、流路形成部材としてのダクト3は、流路30が蛇行した蛇行部34を有し、冷却部4は、ダクト3の蛇行部34に対応する部分に設置されている。これにより、流路30を流れる空気の冷却をより効率良く行うことができる。
【0107】
なお、蛇行部34は、ダクト3の第1被覆部31または第2被覆部32に設けられていてもよい。また、蛇行部34は、ダクト3に複数設けられていてもよい。この場合、冷却部4が設置されていない蛇行部34があってもよい。
【0108】
このような蛇行部34は、前記第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態のいずれの実施形態におけるダクト3に設けられていてもよい。
【0109】
<第5実施形態>
図10は、本発明の第5実施形態に係るロボット制御装置が備える流路形成部材の断面図である。
【0110】
以下、
図10を参照しつつ本発明のロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットの第5実施形態について説明するが、以下では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項については説明を省略する。
【0111】
図10に示すように、ダクト3は、接続部33を有し、接続部33は、上面331から
図10中上方に向かって突出した放熱フィン336を有する。放熱フィン336は、例えば、金属材料等の熱伝導性が高い材料で構成されており、ヒートシンクとも言える。金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、その他鉄系合金、アルミニウムまたはアルミニウム合金、銅または銅系合金が挙げられる。
【0112】
また、本実施形態では、接続部33は、放熱フィン336が形成された部位が、前述したような金属材料で構成されている。これにより、流路30を流れる空気の熱は、放熱フィン336の形成部位および放熱フィン336に効率良く伝達され、よって、放熱フィン336より効率良く放熱される。
【0113】
また、冷却部4は、Z軸方向から見たとき、放熱フィン336と重なる位置に配置されており、放熱フィン336の冷却を行う。これにより、流路30を流れる空気を効率良く冷却することができる。
【0114】
なお、放熱フィン336の下端部は、流路30内に突出していてもよい。これにより、流路30を流れる空気を、より効率良く冷却することができる。
【0115】
また、ダクト3は、前記第4実施形態で説明した蛇行部34と放熱フィン336とを併せ持つ構成であってもよい。特に、蛇行部34に放熱フィン336を設置することにより、流路30を流れる空気を、さらに効率良く冷却することができる。
【0116】
このように、流路形成部材としてのダクト3は、流路30を流れる空気の熱を吸収し放熱する放熱フィン336を有し、冷却部4は、放熱フィン336を冷却する。これにより、流路30を流れる空気の冷却を、より効果的に行うことができる。
【0117】
以上、本発明のロボット制御装置、ロボットシステムおよび冷却ユニットを図示の各実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、各実施形態のロボット制御装置に他の任意の構成が付加されていてもよい。
【0118】
また、第1実施形態に、第2実施形態~第5実施形態のうちの少なくとも1つを任意に組み合わせてもよく、第2実施形態~第5実施形態のうちの少なくとも2つを任意に組み合わせてもよい。例えば、第1実施形態の接続部33に蛇行部34および放熱フィン336のうちの少なくとも一方を設けてもよい。また、第2実施形態の接続部33に蛇行部34および放熱フィン336のうちの少なくとも一方を設けてもよい。また、第3実施形態の接続部33に蛇行部34および放熱フィン336のうちの少なくとも一方を設けてもよい。
【0119】
また、本発明において、吸気口71および排気口73の形成位置は、各実施形態のものに限定されない。例えば、吸気口71および排気口73の一方が正面631、他方が天面611、底面621、側面651または側面661に形成されていてもよい。また、吸気口71および排気口73の一方が背面641、他方が天面611、底面621、側面651または側面661に形成されていてもよい。また、吸気口71および排気口73の一方が側面651、他方が側面661、天面611または底面621に形成されていてもよい。この場合、吸気口71を覆う第1被覆部31および排気口73を覆う第2被覆部32は、それぞれ、筐体6の吸気口71および排気口73の形成位置に対応した位置に設置されることとなる。
【0120】
また、熱交換部42は、吸気口71に設けられていてもよく、排気口73に設けられていてもよい。
【0121】
また、各実施形態において、ダクト3の接続部33は、流路30が複数に分岐する分岐部を有していてもよく、あるいは、複数の分岐流路が合流する合流部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0122】
1…ロボットシステム、2…ロボット、3…ダクト、4…冷却部、5…制御部、6…筐体、7…ダクト、8…送風ファン、9…ロボット制御装置、10…床面、21…ベース、22…ロボットアーム、23…第1アーム、24…第2アーム、25…作業ヘッド、26…エンドエフェクター、27…第1関節アクチュエーター、27A…モーター、28…第2関節アクチュエーター、28A…モーター、30…流路、31…第1被覆部、32…第2被覆部、33…接続部、34…蛇行部、35…気流、36…気流、41…ケーシング、42…熱交換部、43…ファン、44…ファン、45…気流、46…気流、51…制御基板、52…電源基板、53…駆動制御基板、54…駆動基板、61…天板、62…底板、63…側壁、64…側壁、65…側壁、66…側壁、71…吸気口、72…ケーブル接続部、73…排気口、80…気流、100…冷却ユニット、200…ケーブル、220…上面、230…上面、251…スプラインナット、252…ボールネジナット、253…スプラインシャフト、291…第1駆動機構、291A…モーター、292…第2駆動機構、292A…モーター、331…上面、332…壁部、333…部分、334…側壁、335…側壁、336…放熱フィン、341…仕切部材、411…ケーシング本体、412…スペーサー、413…底板、14…吸気口、415…排気口、416…天板、417…吸気口、418…排気口、611…天面、621…底面、631…正面、641…背面、651…側面、661…側面、711…メッシュ部材、721…カバー、731…メッシュ部材、J1…第1回転軸、J2…第2回転軸、J3…第3回転軸、S…内部空間、TCP…ツールセンターポイント