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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140122
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】充電口のリッド装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B60K15/05 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051121
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】丸矢 航平
(72)【発明者】
【氏名】毛利 康裕
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】大塚 晋
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA07
3D038CB01
3D038CC16
3D038CD03
(57)【要約】
【課題】積雪や凍結があった場合にもリッドを閉じることができる充電口のリッド装置を提供する。
【解決手段】車両10の車体外面11に取付けられ、充電口13の充電ソケットに対応する開口部21が形成されたボックス20と、充電口13を開閉すると共に、車両10の下方向に開くリッド50と、リッド50とボックス20に連結され、リッド50を車両10の上下方向に、且つ車両10の車体外面11に沿うように移動可能に支持する第1支持アーム39及び第1支持アーム35より車両10の下方向に位置する第2支持アーム39と、ボックス20において第1支持アーム35と連結する第1支持アームボックス側連結部26の車両10の下方向には、異物排出部57と、を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車体外面に取付けられ、充電口の充電ソケットに対応する開口部が形成されたボックスと、
前記充電口を開閉すると共に、前記車両の下方向に開くリッドと、
前記リッドと前記ボックスに連結され、前記リッドを前記車両の上下方向に、且つ前記車両の前記車体外面に沿うように移動可能に支持する第1支持アーム及び前記第1支持アームより前記車両の下方向に位置する第2支持アームと、
前記ボックスにおいて前記第1支持アームと連結する第1支持アームボックス側連結部の前記車両の下方向には、異物排出部と、を備えていることを特徴とする充電口のリッド装置。
【請求項2】
前記異物排出部は、スリットが形成された弾性体で構成される請求項1に記載の充電口のリッド装置。
【請求項3】
前記スリットは、略十字形状であり、前記略十字形状の交差部は、前記第1支持アーム連結部と前記第2支持アームと連結する第2支持アームボックス側連結部との間に位置する請求項2に記載の充電口のリッド装置。
【請求項4】
前記異物排出部は、蓋部材であり、前記蓋部材は、前記リッドが開く時に、前記ボックスの前記第1支持アームボックス連結部の前記車両の下方向が開く請求項1に記載の充電口のリッド装置。
【請求項5】
前記第2支持アームの前記リッドと反対側の先端部分には、突条部が形成され、前記リッドが開く時に、前記突条部が前記蓋部材に当接することによって前記蓋部材が開く請求項4に記載の充電口のリッド装置。
【請求項6】
前記第1支持アームと前記第2支持アームは、リッド開閉モータに連結し、前記リッドは、前記リッド開閉モータの駆動によって行われる請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の充電口のリッド装置。
【請求項7】
前記第1支持アームと前記第2支持アームは、リッド開閉モータに連結し、前記蓋部材は、蓋部材開閉モータに連結し、前記リッドの開閉は、前記リッド開閉モータの駆動によって行われ、前記蓋部材は、前記蓋部材開閉モータの駆動によって行われる請求項4に記載の充電口のリッド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電プラグが接続される充電ソケットが設けられる車両の充電口を開閉するリッド装置であり、特に寒冷地で使用される車両に適した充電口のリッド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電気モータにより走行する電気自動車や、電気モータとエンジンの併用により走行するプラグインハイブリッド車(PHV、PHEV)に搭載されたバッテリーに車外の充電施設(家庭用電源、充電専用施設の電源)から電気を充電する場合には、リッドを開き、充電ソケットである急速充電ソケット又は普通充電ソケットに充電プラグを差し込んで接続して充電する。
【0003】
例えば、上記の電気自動車やプラグインハイブリッド車に、家庭用のAC100VやAC200Vを電源として充電を行う普通充電のためには、10時間以上リッドを開けた状態で車両を放置する必要がある。又、充電専用施設の電源により急速充電を行う場合も、概ね30分程度車両を放置する必要がある。したがって、従来のガソリン等の燃料を給油する場合や、水素を充填する場合に比較してリッドを開いている時間が長い。
【0004】
図11は、上記の充電を説明する特許文献1に記載された技術である。図11の充電装置101は、図示しない充電用プラグが挿入、又は差し込まれるソケット120を含んで構成されている。ソケット120は、車両100に形成される凹部130に配設される。又、凹部130とソケット120を覆うように、リッド400が設けられる。
【0005】
リッド400は、ソケット120が充電プラグに対してアクセス可能である図示の解放位置(全開位置)から閉鎖位置(全閉位置)まで移動させることができる。閉鎖位置では、リッド400がソケット120を覆っている。リッド400を移動させるために、ボタン700の形態の作動要素が設けられている。例えば、ボタン700を押すことによって、キネマティックモジュール(運動学モジュール)310が移動し、リッド400を全閉位置から全開位置に移動させることができる。このリッド400の移動のためにボタン700を押すことで起動できる電気駆動装置(例えば、モータ)が設けられる。なお、特許文献1には、キネマティックモジュール(運動学モジュール)310の具体的構造は記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第102016013774号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特に寒冷地では、充電中にリッド400を開けたまま屋外に長時間放置すると、充電口内に雪が積もり、又、積もった雪が凍結するおそれがある。そのため、充電後に積雪や凍結した雪を除去する必要があるが、寒い中での作業は辛く、特に、キネマティックモジュール(運動学モジュール)310に付着した雪が凍結し、氷になった場合は、除去することが難しい。
【0008】
又、キネマティックモジュール(運動学モジュール)310が、リッド400と凹部130に連結し、リッド400を車両の上下方向に、且つ車両の車体外面110に沿うように移動可能に支持する、車両の上下方向に配置された複数の支持アームで構成されている場合は、凍結した氷が、支持アーム間に挟まり、リッド400を閉鎖位置に移動することを妨害する。
そこで、本発明は、リッドの開閉が、車両の上下方向に配置された複数の支持アームにより、車両の上下方向、且つ車両の車体に沿うように行われる充電口のリッド装置に関し、積雪や凍結があった場合にもリッドを閉じることができる充電口のリッド装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車両の車体外面に取付けられ、充電口の充電ソケットに対応する開口部が形成されたボックスと、充電口を開閉すると共に、車両の下方向に開くリッドと、リッドとボックスに連結され、リッドを車両の上下方向に、且つ車両の車体外面に沿うように移動可能に支持する第1支持アーム及び第1支持アームより車両の下方向に位置する第2支持アームと、ボックスにおいて第1支持アームと連結する第1支持アームボックス側連結部の車両の下方向には、異物排出部と、を備えていることを特徴とする充電口のリッド装置である。
【0010】
請求項1の本発明では、リッドとボックスに連結され、リッドを車両の上下方向に、且つ車両の車体外面に沿うように移動可能に支持する第1支持アーム及び第1支持アームより車両の下方向に位置する第2支持アームと、ボックスにおいて第1支持アームと連結する第1支持アームボックス側連結部の車両の下方向には、異物排出部と、を備えているので、充電中にリッドを開けたまま屋外に長時間放置し、第1支持アームと第2支持アーム間に付着した雪が残っている場合、又はこの雪が凍結して氷として残っている場合であっても、リッドが車両上方に移動して閉じる過程において、第2支持アームが、第1支持アームと第2支持アーム間に残っている雪、又は氷を異物排出部方向に押し、異物排出部から排出することができる。その結果、積雪や凍結した氷がある場合にもリッドを閉じることができる。
【0011】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、異物排出部は、スリットが形成された弾性体で構成される充電口のリッド装置である。ここで、「スリット」とは、隙間や切れ目をいい、「弾性体」とは、ゴムや樹脂のように力を加えていると変形するが,力を除くと元に戻る性質を有する物体をいう。
【0012】
請求項2の本発明では、異物排出部は、スリットが形成された弾性体で構成されるので、リッドを閉じる時に、第2支持アームが、ボックスの第1支持アームと第2支持アーム間に残っている雪、又は氷を押し、押された雪又は氷によってスリットの隙間が広げられることにより、雪や氷をボックスからスムーズに排出することができる。その結果、積雪や凍結した氷がある場合にもリッドを閉じることができる。又、スリットは弾性体で構成されているので、雪や氷を排出した後は、スリットの間隔が元の間隔に狭まり、ボックスの裏側から、土や埃等の異物がリッド装置内に浸入することを抑制することができる。
【0013】
なお、弾性体で構成される異物排出部は、ボックスとは別体として作製し、異物排出部を取付けるためにボックスに形成した開口部に取付けてもよく、異物排出部を含む樹脂製のボックスとして一体化して成形してもよい。異物排出部を含む樹脂製のボックスとする場合に、異物排出部を、硬度を下げた樹脂で成形することより、ボックス全体の剛性を維持しつつ、異物排出部におけるスリットの隙間を容易に広げ、雪や氷を異物排出部からスムーズに排出することができる。
【0014】
請求項3の本発明は、請求項2の発明において、スリットは、略十字形状であり、略十字形状の交差部は、第1支持アーム連結部と第2支持アームと連結する第2支持アームボックス側連結部との間に位置する充電口のリッド装置である。ここで、「略十字形状」とは、2つの直線が直角に交わる+(プラス)形状のみならず、直角以外に交わるX字形状を含む。
【0015】
請求項3の本発明では、スリットは、略十字形状であり、略十字形状の交差部は、第1支持アーム連結部と第2支持アームと連結する第2支持アームボックス側連結部との間に位置するので、リッドを閉じる時に、第2支持アームが、ボックスの第1支持アームと第2支持アーム間に残っている雪、又は氷を押し、押された雪又は氷によってスリットが、略十字形状の交差部を中心に四方に開き、大きな氷が残っている場合であっても。氷をボックスからスムーズに排出することができる。又、スリットは弾性体で構成されるので、スリットが、略十字形状の交差部を中心に四方に開いた時も、氷の排出後は、スリットの間隔が排出前に戻り、ボックスの裏側から、土や埃等の異物がリッド装置内に浸入することを抑制することができる。
【0016】
請求項4の本発明は、請求項1の発明において、異物排出部は、蓋部材であり、蓋部材は、リッドが開く時に、ボックスの第1支持アーム連結部の車両の下方向が開く充電口のリッド装置である。
【0017】
請求項4の本発明では、異物排出部は、蓋部材であり、蓋部材は、リッドが開く時に、ボックスの第1支持アームボックス側連結部の車両の下方向が開くので、充電中も雪を蓋部材から車両の下方に排出することができ、ボックスの第1支持アームと第2支持アーム間に付着した雪が凍ることによるリッドが閉じなくなることを防止することができる。又、リッドが閉じる時に蓋部材も閉じるので、ボックスの裏側から、土や埃等の異物がリッド装置内に浸入することを抑制することができる。
【0018】
請求項5の本発明は、請求項4の発明において、第2支持アームのリッドと反対側の先端部分には、突条部が形成され、リッドが開く時に、突条部が蓋部材に当接することによって蓋部材が開く充電口のリッド装置である。
【0019】
請求項5の本発明では、第2支持アームのリッドと反対側の先端部分には、突条部が形成され、リッドが開く時に、突条部が蓋部材に当接することによって蓋部材が開くので、簡単な構造で、蓋部材の開閉を行うことができる。
【0020】
請求項6の本発明は、請求項1から請求項5の発明において、第1支持アームと第2支持アームは、リッド開閉モータに連結し、リッドは、リッド開閉モータの駆動によって行われる充電口のリッド装置である。
【0021】
手動で、リッドを車両の上下方向に、且つ車両の車体に沿うように移動させる場合は、従来から採用されている片方の端部が固定され、車両の前後方向に、且つ充電者側に開くタイプのリッドに比較して、力の加え方が難しく、強い力で開けば、第2支持アームがボックスの下方端部に衝突して、第2支持アーム、第1支持アームやリッドを破損させる可能性がある。
【0022】
請求項6の本発明では、第1支持アームと第2支持アームは、リッド開閉モータに連結し、リッドの開閉は、リッド開閉モータの駆動によって行われるので、リッドの開閉時に、第2支持アーム、リッドや第1支持アームを破損させることを防止することができる。又、雪又は氷を異物排出部から排出することができるので、リッドを確実に閉じることができる。
【0023】
請求項7の本発明は、請求項4の発明において、第1支持アームと第2支持アームは、リッド開閉モータに連結し、蓋部材は、蓋部材開閉モータに連結し、リッドの開閉は、リッド開閉モータの駆動によって行われ、蓋部材は、蓋部材開閉モータの駆動によって行われる充電口のリッド装置である。
【0024】
上記の通り、第1支持アームと第2支持アームをリッド開閉モータに連結し、リッドの開閉は、リッド開閉モータの駆動によって行うことにより、リッドの開閉時に、第2支持アーム、リッドや第1支持アームを破損させることを防止することができる。又、雪又は氷を蓋部材である異物排出部から排出することができるので、リッドを確実に閉じることができる。
【0025】
請求項7では、それに加え、蓋部材は、蓋部材開閉モータの駆動によって行われるので、例えば、蓋部材は、リッドが開いた後に開き始め、リッドが閉じた後に、閉じ始めるなど、リッドの開閉と蓋部材の開閉のタイミングを調整することができる。又、例えば、車両に搭載された温度センサや雨滴センサなどと連動し、蓋部材を開く必要のない場合は、蓋部材開閉モータを駆動させないなどの制御を行うことができる。
【発明の効果】
【0026】
車両の車体外面に取付けられ、充電口の充電ソケットに対応する開口部が形成されたボックスと、充電口を開閉すると共に、車両の下方向に開くリッドと、リッドとボックスに連結され、リッドを車両の上下方向に、且つ車両の車体外面に沿うように移動可能に支持する第1支持アーム及び第1支持アームより車両の下方向に位置する第2支持アームと、ボックスにおいて第1支持アームと連結する第1支持アームボックス側連結部の車両の下方向には、異物排出部と、を備えているので、充電中にリッドを開けたまま屋外に長時間放置し、ボックスの第1支持アームと第2支持アーム間に付着した雪が残っている場合、又はこの雪が凍結して氷として残っている場合であっても、リッドが閉じる過程において、第2支持アームが、ボックスの第1支持アームと第2支持アーム間に残っている雪、又は氷を押え、異物排出部から排出することができる。その結果、リッドを閉じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】リッドが開いた状態の充電口のリッド装置の正面図である。
図2】本発明の第1の実施形態であり、図1から第1支持アームを取り外した状態の充電口のリッド装置の正面図である。
図3】本発明の第1の実施形態であり、リッドを閉じた状態の図1のA-A断面である。
図4】本発明の第1の実施形態の図1のA-A断面であり、リッドが開いた状態(全開)で、充電中に第1支持アームと第2支持アーム間に氷が存在する場合を説明する模式図である。
図5】本発明の第1の実施形態の図1のA-A断面であり、リッドが閉じる過程で、氷の排出を説明する模式図である。
図6】本発明の第2の実施形態であり、図1の後側ボックス凹部を裏面側から見た拡大図である。
図7】本発明の第2の実施形態であり、リッドが閉じた状態の図1のA-A断面である。
図8】本発明の第2の実施形態であり、リッドが開いた状態の図1のA-A断面である。
図9】本発明の第3の実施形態であり、リッドが閉じた状態の図1のA-A断面である。
図10】本発明の第3の実施形態であり、リッドが開いた状態の図1のA-A断面である。
図11】従来の充電装置の斜視図である(特許文献1)。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の第1の実施形態を図1から図5に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、電気自動車やハイブリッド車用として設計された、車両10の左側の前側フェンダー(車体外面11)に配設された充電口13のリッド装置1に関し説明するものであるが、充電口13が、右側の前側フェンダーやその他の部位に配設される場合にも適用することができる。又、図1において、紙面の上側が車両の上方、下側が車両の下方、左側が車両の前方、右側が車両の後方である。
【0029】
図1図3に示すように、充電口13のリッド装置1は、車両10の左側の前側フェンダー(以下、「車体外面11」という)に形成されている。リッド装置1は、車体外面11の凹部12に取付けられるボックス20と、ボックス20の車外側空間を開閉するリッド50と、リッド50とボックス20に連結され、リッド50を移動可能に支持する第1支持アーム35及び第1支持アーム35より車両10の下方向に位置する第2支持アーム39を備えている。
【0030】
ボックス20には、図示しない充電ソケットに対応する開口部21が形成されている。充電ソケットには、国際規格として承認されている「チャデモ方式」、「コンボ方式(アメリカ式・ドイツ式)」、「中国のGB/T」の3つの方式があるので、開口部21の形状は、使用する方式に対応する形状となる。ボックス20の外周には、シール部材22が取付けられ、ボックス20が、車体外面11の凹部12に取付けられた時に、車体外面11の凹部12とボックス20間をシールする。ボックス20は、ポリプロピレン(PP)にガラス繊維を混合した材料により形成した。又、シール部材22は、ポリプロピレン(PP)にEPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)を混合した材料により形成した。なお、ボックス20とシール部材22は、上記の材料には限定されない。
【0031】
リッド50は、充電ソケットが充電ソケットに接続される充電設備側の充電プラグに対してアクセス可能である図1の全開位置から図3の全閉位置まで、車両10の上方向に、且つ車両10の車体外面11に沿うように移動させることができる。全閉位置(図3)では、リッド50が充電ソケットを覆う。したがって、リッド50は、車両10の下方に開く。
【0032】
第1支持アーム35と第1支持アーム35より車両10の下方向に位置する第2支持アーム39は、リッド50とボックス20に連結し、リッド50を車両10の上下方向に、且つ車両10の車体外面11に沿うように移動可能に支持する。図3図4から明らかなように、リッド50は、開く過程で、車体外面11の車外側に持ち上がり、車体外面11に沿って上下方向に移動する。
【0033】
ボックス20において、第1支持アーム35及び第2支持アーム39と連結する部分は、開口部21の前側と後側に位置し、開口部21より車内側に凹んだ前側ボックス凹部24と、後側ボックス凹部25が形成されている。前側ボックス凹部24と、後側ボックス凹部25を総称してボックス凹部23という。
【0034】
第1支持アーム35は、ボックス20の前側ボックス凹部24に形成された前側第1支持アームボックス側連結部27に連結する前側第1支持アーム36と、後側ボックス凹部25に形成された後側第1支持アームボックス側連結部28に連結する後側第1支持アーム37から構成されている。前側第1支持アームボックス側連結部27と後側第1支持アームボックス側連結部28を総称して第1支持アームボックス側連結部26という。
【0035】
又、第1支持アーム35のリッド50側は、前側第1支持アーム36の先端部分と後側第1支持アーム37の先端部分が第1支持アーム連結部38で連結され、第1支持アーム連結部38がリッド50に形成された前側第1支持アームリッド側連結部52と後側第1支持アームリッド側連結部53に連結されている。前側第1支持アームリッド側連結部52と後側第1支持アームリッド側連結部53を総称して、第1支持アームリッド側連結部51という。なお、前側第1支持アーム36と後側第1支持アーム37は、第1支持アーム連結部38で連結されていなくてもよく、個別にリッド50に連結されていてもよい。図1に示すように、第1支持アーム35は、リッド50側において、前側第1支持アーム36と後側第1支持アーム37との間隔が狭まるように形成されている。これは、図1において、ボックス20の第1支持アーム35の上方が、上方に向かい狭まるように形成されているため、リッド50の開閉において、第1支持アーム35がボックス20に干渉することを防止するためである。そのため、図3において、後側第1支持アーム37のリッド50側は、断面図に現れないので、破線で示した。
【0036】
第2支持アーム39は、ボックス20の前側ボックス凹部24に形成された前側第2支持アームボックス側連結部30に連結する前側第2支持アーム40と、後側ボックス凹部25に形成された後側第2支持アームボックス側連結部31に連結する後側第2支持アーム41から構成されている。第2支持アーム39は、車内側に凸状に湾曲する湾曲部43を有している。前側第2支持アームボックス側連結部30と後側第2支持アームボックス側連結部31を総称して第2支持アームボックス側連結部29という。
【0037】
第2支持アーム39のリッド50側は、前側第2支持アーム40の先端部分と後側第2支持アーム41の先端部分が第2支持アーム連結部42で連結され、第2支持アーム連結部42がリッド50に形成された前側第2支持アームリッド側連結部55と後側第2支持アームリッド側連結部56に連結されている。前側第2支持アームリッド側連結部55と後側第2支持アームリッド側連結部56を総称して、第2支持アームリッド側連結部54という。なお、前側第2支持アーム40と後側第2支持アーム41は、第2支持アーム連結部42で連結されていなくてもよく、個別にリッド50に連結されていてもよい。
【0038】
第1支持アーム35の第1支持アームボックス側連結部26側と第2支持アーム39の第2支持アームボックス側連結部29側は、図示しないリッド開閉モータに接続されており、リッド開閉モータの駆動によって、第1支持アーム35が第1支持アームボックス側連結部26を中心に、第2支持アーム39が第2支持アームボックス側連結部29を中心に回転し、リッド50の開閉が行われる。
【0039】
図2は、図1から第1支持アーム35を取り外した状態の充電口のリッド装置1の正面図である。ボックス20の前側ボックス凹部24には前側異物排出部58が、後側ボックス凹部25には後側異物排出部59が形成されている。前側異物排出部58と後側異物排出部59を総称して異物排出部57という。図3に示すように、後側異物排出部59は、後側ボックス凹部25の後側第1支持アームボックス側連結部28の下方に形成されている。異物排出部57は、ボックス20を成形する時に、同時に成形され一体化されている。異物排出部57は、ポリプロピレン(PP)にEPDMを混合した材料により形成した。なお、弾性体で構成される異物排出部57は、例えば、EPDMによりボックス20とは別体として作製し、異物排出部57を取付けるためにボックス20に形成した開口部に取付けてもよい。
【0040】
図2に示すように、異物排出部57は、2つの直線が直角に交わる+(プラス)形状の十字形状のスリット60であり、2つの直線の交差部61は、第1支持アームボックス側連結部26と第2支持アームボックス側連結部29との間に位置している。又、スリット60の2つの直線は、車両10の上下方向が車両10の前後方向に比較して長く形成されている。これにより、車両10の上下方向が長い氷に対しても、異物排出部57から排出することができる。
【0041】
図4は、図1のA-A断面であり、リッド50が開いた状態(全開)で、充電中に後側第1支持アーム37と後側第2支持アーム41間に氷70が存在する場合を説明する模式図である。なお、断面から後方、すなわち、車両10の前方側は記載されていない。図1図4から明らかなように、充電は、リッド50を開けたまま屋外に長時間放置して行われることが多いので、充電口13内に雪が積もり、又、積もった雪が凍結するおそれがある。そして、後側第1支持アーム37と後側第2支持アーム41間に凍結した氷70は取り除くことが難しく、充電後も残ってしまう可能性がある。
【0042】
図5は、リッド50が閉じる過程であり、リッド50が全閉に近い状態において、氷70の排出を説明する模式図である。なお、断面から後方は記載されていない。リッド開閉モータの駆動によってリッド50が閉じると、後側第2支持アーム41の湾曲部43の近傍が氷70に当接し、さらにリッド50が閉じる方向に移動すると、後側第2支持アーム41の湾曲部43が、氷70を押し、押された氷70が、後側異物排出部59を車内側に押し、スリット60の交差部61が押し開かれるように変形する。その結果、リッド50の閉じる方向の移動が継続して可能になるので、後側第1支持アーム37と後側第2支持アーム41との間に氷70が存在する場合であっても、リッド50を確実に閉じることができる。これは、前側第1支持アーム36と前側第2支持アーム40との間に氷70が存在する場合も同様である。
【0043】
後側異物排出部59から氷70が排出された後は、氷70の排出時に押し開かれたスリット60が元の形状に戻る。したがって、ボックス20の裏側から、土や埃等の異物がリッド装置1内に浸入することを抑制することができる。
【0044】
なお、氷70の大きさや形状によっては、図5の状態、つまり、氷70が押し開かれた異物排出部57に止まった状態でリッド50が閉じることがあるが、この場合は、その後に氷70が溶けることによって消滅し、氷70の排出時に押し開かれたスリット60が元の形状に戻る。
【0045】
次に、本発明の第2の実施形態について、図6から図8に基づいて説明する。本第2の実施形態と上記第1の実施形態の相違点は、第1に、異物排出部57は、2つの直線が直角に交わる+(プラス)形状の十字形状のスリット60ではなく、ボックス20の第1支持アームボックス側連結部26、第2支持アームボックス側連結部29の車両10の下方向が開く蓋部材62である点、第2に、第2支持アーム39のリッド50との反対側の先端部分には、突条部44が形成されている点にあり、リッド50が開く時に、突条部44が蓋部材62である異物排出部57に当接し、蓋部材62の車両10の下方を開く点にある。
【0046】
本第2の実施形態では、氷70の排出は、の車両10の下方を開くことによって行われるので、蓋部材62である異物排出部57自体が変形する必要がなく、蓋部材62は、ボックス20と同じポリプロピレン(PP)にガラス繊維を混合した材料により形成されている。図6に示すように、ボックス20の後側ボックス凹部25には、車両10の下方部分を切欠く下方開口部32が形成され、切欠かれた形状に相当する蓋部材62が下方開口部32の上端部33を中心に車内側に回転可能に取付けられている。なお、上端部33の回転機構については、リッド50が開く時に突条部44の当接によって蓋部材62が開き、突条部44の当接が解除された時に蓋部材62が閉じれば、その方式は問わない。例えば、ボックス凹部23と蓋部材62の間に、ねじりコイルばねを取付け、蓋部材62が突条部44によって開いた時に、ねじりコイルばねの両腕間の角度が変化し、ばねに荷重が加わり、ばね応力が発生し、突条部44の当接が解除される時には、ねじりコイルばねの両腕間の角度が元に戻る付勢力を利用して蓋部材62を閉じることができる。
【0047】
又、蓋部材62は、後側ボックス凹部25の下方部分を切欠く下方開口部32を形成するのではなく、上端部33を除く3辺にスリットを形成し、例えば、上端部33を薄肉にすることにより、上端部33を中心に車内側に回転可能にしてもよい。
【0048】
図7は、図1のA-A断面であり、リッド50が閉じた状態を説明する図である。なお、断面から後方は記載されていない。図7に示すように、後側第2支持アーム41のリッド50と反対側の先端部分には、断面において、先細り形状の突条部44が形成されている。突条部44の先端部は、面取りされている。リッド50が閉じた状態において、突条部44は、蓋部材62に当接していない。
【0049】
図8は、図1のA-A断面であり、リッド50が開いた状態を説明する図である。なお、断面から後方は記載されていない。図8から明らかなように、リッド50が開いた状態では、突条部44は、蓋部材62に当接し、蓋部材62を押し開いている。したがって、充電中も、開かれた蓋部材62とボックス20との隙間から雪や氷70を、車両10の下方(図内の矢印方向)に排出することができるので、ボックス20の後側第1支持アーム37と後側第2支持アーム41間に付着した雪が凍ることによるリッド50が閉じなくなることを防止することができる。これは、前側第1支持アーム36と前側第2支持アーム40の場合も同様である。
【0050】
又、リッド50が閉じる時には、突条部44との当接が解除された時に異物排出部57が閉じ、図7に戻るので、ボックス20の裏側から、土や埃等の異物がリッド装置1内に浸入することを抑制することができる。
【0051】
次に、本発明の第3の実施形態について、図9図10に基づいて説明する。本第3の実施形態と上記第2の実施形態の相違点は、第1に、第2支持アーム39のリッド50との反対側の先端部分には、突条部44が形成されていない点、第2に、蓋部材62は、蓋部材開閉モータに連結し、リッド50の開閉は、リッド開閉モータの駆動によって行われ、蓋部材62の開閉は、蓋部材開閉モータの駆動によって行われる点にある。
【0052】
図9は、図1のA-A断面であり、リッド50が閉じた状態を説明する図である。又、図10は、図1のA-A断面であり、リッド50が開いた状態を説明する図である。なお、図9図10共に、断面から後方は記載されていない。
【0053】
図10から明らかなように、リッド50が開いた状態では、蓋部材である異物排出部57は、上端部33を中心に下方が図示しない蓋部材開閉モータの駆動によって車内側に開かれている。したがって、充電中も、開かれた蓋部材62とボックス20の隙間から雪を車両10の下方(図内の矢印方向)に排出することができるので、ボックス20の後側第1支持アーム37と後側第2支持アーム41間に付着した雪が凍ることによるリッド50が閉じなくなることを防止することができる。これは、前側第1支持アーム36と前側第2支持アーム40の場合も同様である。又、リッド50が閉じる時に蓋部材62も閉じるので、ボックス20の裏側から、土や埃等の異物がリッド装置1内に浸入することを抑制することができる。
【0054】
蓋部材62の開閉は、蓋部材開閉モータの駆動によって行われるので、例えば、蓋部材62は、リッド50が開いた後に開き始め、リッド50が閉じた後に、閉じ始めるなど、リッド50の開閉と蓋部材62の開閉のタイミングを調整することができる。又、例えば、車両10に搭載された温度センサや雨滴センサなどと連動し、蓋部材62を開く必要のない場合は、蓋部材開閉モータを駆動させないなどの制御を行うことができる。
【0055】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0056】
1 リッド装置
10 車両
11 車体側面
12 凹部
13 充電口
20 ボックス
23 ボックス凹部
26 第1支持アームボックス側連結部
29 第2支持アームボックス側連結部
32 下方開口部
35 第1支持アーム
39 第2支持アーム
43 湾曲部
44 突条部
50 リッド
51 第1支持アームリッド側連結部
54 第2支持アームリッド側連結部
57 異物排出部
60 スリット
61 交差部
62 蓋部材
70 氷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11