(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140127
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】接続状況分析システム
(51)【国際特許分類】
H04M 11/00 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H04M11/00 301
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051127
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-09
(71)【出願人】
【識別番号】591101434
【氏名又は名称】株式会社ビデオリサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】柳田 哲一
(72)【発明者】
【氏名】森 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】松本 圭一
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BA02
5K201CC01
5K201CC09
5K201DC04
5K201EC06
5K201ED05
(57)【要約】
【課題】ユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる接続状況分析システムを提供することを目的とする。
【解決手段】接続状況分析システム1は、スマートディバイス10,10´のインターネットの接続状況を分析するシステムであって、ログ取得部11と、作動状況取得部12と、行動様式推定部13と、不要ログ峻別部14とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スマートディバイスのインターネットの接続状況を分析する接続状況分析システムにおいて、
前記接続状況として前記スマートディバイスとサーバとの通信内容を記録した通信ログを取得するログ取得部と、
前記スマートディバイスの作動状況を取得する作動状況取得部と、
前記作動状況取得部により取得された前記スマートディバイスの作動状況から、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する不要ログ峻別部と
を備えることを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項2】
請求項1記載の接続状況分析システムにおいて、
前記作動状況取得部は、前記スマートディバイスの作動状況として、該スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値を取得し、
前記不要ログ峻別部は、前記作動状況取得部が取得した前記センサの検出値から、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項3】
請求項2記載の接続状況分析システムにおいて、
前記作動状況取得部は、前記センサの検出値として、加速度センサとジャイロセンサとのいずれか一方または両方の検出値を取得し、
前記不要ログ峻別部は、前記作動状況取得部が取得した前記加速度センサと前記ジャイロセンサとの少なくともいずれかの検出値が一定時間動いていない場合に、前記ログ取得部により取得された通信ログから、再生系アプリ以外のログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項4】
請求項2記載の接続状況分析システムにおいて、
前記作動状況取得部は、前記センサの検出値として画面ロックと画面ロック解除との遷移を取得し、
前記不要ログ峻別部は、前記作動状況取得部が取得した前記遷移が画面ロック解除から画面ロックとなっている状態での通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項5】
請求項1記載の接続状況分析システムにおいて、
前記作動状況取得部は、前記ログ取得部に取得された通信ログから把握される通信周期と通信量とのいずれか一方または両方を前記スマートディバイスの作動状況として取得し、取得した通信周期と通信量とのいずれか一方または両方に基づいて、ユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項6】
請求項5記載の接続状況分析システムにおいて、
前記不要ログ峻別部は、前記ログ取得部により取得された通信ログのうち再生系アプリの通信ログに対して、特定閾値以下のパケットサイズの通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項7】
請求項2記載の接続状況分析システムにおいて、
前記作動状況取得部より取得された前記スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値から、ユーザの行動様式を推定する行動様式推定部を備え、
前記不要ログ峻別部は、前記行動様式推定部が推定したユーザの行動様式から、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【請求項8】
請求項7記載の接続状況分析システムにおいて、
前記不要ログ峻別部は、前記行動様式推定部が推定したユーザの行動様式生活の就寝時間において、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする接続状況分析システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スマートディバイスのインターネットの接続状況を分析する接続状況分析システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スマートフォンをはじめとするスマートディバイスのインターネットへの接続状況を監視するシステムとしては、下記特許文献1に示すように、ユーザが意図的に使用しているフォアグラウンドアプリか、ユーザが意図的には使用していないバックグラウンドアプリかを識別し、ユーザが使用するアプリケーションにて発生したパケットデータを、通信制限状態であっても、送信することを一時的に許可する通信処理装置が知られている。
【0003】
かかる従来の通信処理装置では、アプリケーション状態認識機能により、パケットデータを送信した通信アプリケーションが、フォアグラウンドアプリケーション(つまり、ユーザが、起動した通信アプリであり、当該移動機等の通信処理装置の表示画面上で使用しているアプリケーション)であるか、あるいは、そうではなく、バックグラウンドのアプリケーション(つまり、ユーザの操作とは無関係に動作し、表示画面上に表示されないアプリケーション)であるかを識別する動作を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、近年のスマートディバイスの高機能化により、当該ディバイス上では、複数のアプリケーションが、ユーザの操作に起因して、表示画面上で複数同時に使用され得る。
【0006】
また、ユーザの操作に起因しないアプリケーションであっても、例えば、SNSアプリケーションのように、新着のメッセージなどに応じて自動的にアプリケーションが立ち上がって表示画面上に表示され、ユーザの使用に供される場合もあり得る。
【0007】
そのため、単に、表示画面上での表示の有無によっては、ユーザが操作を行う通信であるかを判定することは困難であり、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することが望まれていた。
【0008】
以上の事情に鑑みて、本発明は、ユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる接続状況分析システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明の接続状況分析システムは、スマートディバイスのインターネットの接続状況を分析する接続状況分析システムにおいて、
前記接続状況として前記スマートディバイスとサーバとの通信内容を記録した通信ログを取得するログ取得部と、
前記スマートディバイスの作動状況を取得する作動状況取得部と、
前記作動状況取得部により取得された前記スマートディバイスの作動状況から、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する不要ログ峻別部と
を備えることを特徴とする。
【0010】
第1発明の接続状況分析システムによれば、作動状況取得部を介して取得するスマートディバイスの作動状況との関係からユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0011】
すなわち、(アプリケーションの状態ではなく)スマートディバイスの作動状況に基づいてインターネットの接続状況を把握して、ユーザの使用に供しない通信ログを峻別することができる。
【0012】
このように、第1発明の接続状況分析システムによれば、ユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0013】
第2発明の接続状況分析システムは、第1発明において、
前記作動状況取得部は、前記スマートディバイスの作動状況として、該スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値を取得し、
前記不要ログ峻別部は、前記作動状況取得部が取得した前記センサの検出値から、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする。
【0014】
第2発明の接続状況分析システムによれば、作動状況取得部を介して取得するスマートディバイスの作動状況として、スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値を取得することで、センサの検出値との関係からユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0015】
このように、第2発明の接続状況分析システムによれば、具体的に、スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値に基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0016】
第3発明の接続状況分析システムは、第2発明において、
前記作動状況取得部は、前記センサの検出値として、加速度センサとジャイロセンサとのいずれか一方または両方の検出値を取得し、
前記不要ログ峻別部は、前記作動状況取得部が取得した前記加速度センサと前記ジャイロセンサとの少なくともいずれかの検出値が一定時間動いていない場合に、前記ログ取得部により取得された通信ログから、再生系アプリ以外のログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別することを特徴とする。
【0017】
第3発明の接続状況分析システムによれば、スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値として、加速度センサとジャイロセンサとのいずれか一方または両方の検出値を取得することで、これらのセンサの検出値であるスマートディバイスの物理的な動きとの関係からユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0018】
このように、第3発明の接続状況分析システムによれば、より具体的に、加速度センサとジャイロセンサとのいずれか一方または両方の検出値に基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0019】
第4発明の接続状況分析システムは、第2発明において、
前記作動状況取得部は、前記センサの検出値として画面ロックと画面ロック解除との遷移を取得し、
前記不要ログ峻別部は、前記作動状況取得部が取得した前記遷移が画面ロック解除から画面ロックとなっている状態での通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別することを特徴とする。
【0020】
第4発明の接続状況分析システムによれば、スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値として、画面ロックと画面ロック解除との遷移を取得することで、これらの遷移である画面上での動きとの関係からユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0021】
このように、第4発明の接続状況分析システムによれば、より具体的に、画面ロックと画面ロック解除との遷移に基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0022】
第5発明の接続状況分析システムは、第1発明において、
前記作動状況取得部は、前記ログ取得部に取得された通信ログから把握される通信周期と通信量とのいずれか一方または両方を前記スマートディバイスの作動状況として取得し、取得した通信周期と通信量とのいずれか一方または両方に基づいて、ユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする。
【0023】
第5発明の接続状況分析システムによれば、作動状況取得部を介して取得するスマートディバイスの作動状況として、ログ取得部に取得された通信ログから把握される通信周期と通信量とのいずれか一方または両方に着目することで、センサの検出値との関係からユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0024】
このように、第5発明の接続状況分析システムによれば、具体的に、通信ログから把握される通信周期と通信量とのいずれか一方または両方に基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0025】
第6発明の接続状況分析システムは、第5発明において、
前記不要ログ峻別部は、前記ログ取得部により取得された通信ログのうち再生系アプリの通信ログに対して、特定閾値以下のパケットサイズの通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0026】
第6発明の接続状況分析システムによれば、通信ログから把握される通信周期と通信量として、再生系アプリの通信ログに対して、特定閾値以下のパケットサイズの通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0027】
このように、第6発明の接続状況分析システムによれば、より具体的に、再生系アプリの通信ログに対して、特定閾値以下のパケットサイズであるか否かに基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0028】
第7発明の接続状況分析システムは、第2発明において、
前記作動状況取得部より取得された前記スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値から、ユーザの行動様式を推定する行動様式推定部を備え、
前記不要ログ峻別部は、前記行動様式推定部が推定したユーザの行動様式から、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする。
【0029】
第7発明の接続状況分析システムによれば、スマートディバイスに搭載されたセンサの検出値によれば、スマートディバイスの作動状況から把握されるユーザの行動様式(例えば、生活パターン)を推定することができるところ、かかるユーザの行動様式との関係から、ユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0030】
このように、第7発明の接続状況分析システムによれば、具体的に、ユーザの行動様式に基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0031】
第8発明の接続状況分析システムは、第7発明において、
前記不要ログ峻別部は、前記行動様式推定部が推定したユーザの行動様式生活の就寝時間において、前記ログ取得部により取得された通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別することを特徴とする。
【0032】
第8発明の接続状況分析システムによれば、ユーザの行動様式生活として、特に、就寝時間を把握することで、就寝時間との関係からユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0033】
このように、第8発明の接続状況分析システムによれば、より具体的に、ユーザの行動様式生活としての就寝時間に基づいてユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の実施形態の接続状況分析システムの構成図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明の一実施形態を以下に
図1を参照して説明する。本実施形態の接続状況分析システム1は、スマートディバイス10,10´のインターネットの接続状況を分析するシステムであって、ログ取得部11と、作動状況取得部12と、行動様式推定部13と、不要ログ峻別部14とを備える。
【0036】
スマートディバイスは、スマートフォン10のほか、タブレット端末10´などのインターネットに接続されるユーザインターフェースであって、インターネットへの接続は、モバイルデータ通信による接続ほか、ローカルエリアネットワークをルータを介してインターネットに接続するWiFi接続等であってもよい。
【0037】
スマートディバイス10,10´には、これらのインターネットへの接続状況をトラッキングするソフトウェアメータのほか、これらに搭載された各種センサのセンシング値をモニタするセンシングモニタのソフトウェアがインストールされている。
【0038】
より具体的には、ソフトウェアメータでは、ユーザがスマートディバイス10,10´を介してインターネットに接続した通信ログ(より、正確には、当該ディバイス10,10´とサーバとの通信内容を記録した通信ログ)が取得され、取得した通信ログが、当該システムに送信される。
【0039】
同様に、センシングモニタでは、スマートディバイス10,10´に搭載された加速度センサ、ジャイロセンサ、画面のタッチセンサ(タッチパネル)のセンシング値のほか、当該ディバイス10,10´の作動状況として、画面ロックと画面ロック解除との遷移などの状態値が、当該システム送信される
なお、ソフトウェアメータによる通信ログやセンシングモニタによるセンシング値、状態値の当該ディバイスへの送信は、モバイルデータ通信による直接送信であっても、インターネットを介した送信であってもよい。また、送信周期は、リアルタイムに近い逐次送信であっても、一定のデータを蓄積した後に時間単位または日単位で保持データをまとめて送信する形態であってもよい。
【0040】
ログ取得部11は、ソフトウェアメータから送信される通信ログを取得する。
【0041】
作動状況取得部12は、センシングモニタから送信されるセンシングデータを取得する。
【0042】
行動様式推定部13は、ログ取得部11と作動状況取得部12とのいずれか一方または両方から、当該ディバイス10,10´のユーザの行動様式(生活パターン)を推定する。
【0043】
不要ログ峻別部14は、ログ取得部11により取得された通信ログからユーザの当該スマートディバイス10,10´の使用に供しない通信ログを峻別する。
【0044】
以上が本実施形態の接続状況分析システム1の構成である。なお、以上の構成において、ログ取得部11と、作動状況取得部12と、行動様式推定部13と、不要ログ峻別部14との各処理部は、それぞれ例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のハードウェアにより構成され、後述する各種処理を実行するプログラムをメモリ(不図示)に記憶保持し、そのプログラムを実行することにより、各種処理を実行するための演算装置(シーケンサ)として機能する。
【0045】
また、ログ取得部11と、作動状況取得部12と、行動様式推定部13と、不要ログ峻別部14との一部または全部は、他のサーバ(外部サーバ)により構成し、分散処理により接続状況分析システム1を実現してもよい。
【0046】
次に、接続状況分析システム1による処理内容の詳細を説明する。
【0047】
接続状況分析システム1の基本処理内容は次の通りである。
【0048】
作動状況取得部12がスマートディバイス10,10´の作動状況としてのセンシングデータを取得し、取得されたスマートディバイス10,10´のセンシングデータに基づいて、不要ログ峻別部14が、ログ取得部11により取得された通信ログから当該ユーザのスマートディバイス10,10´の使用に供しない通信ログを峻別する。
【0049】
(1)ここで、具体的な処理態様の第1としては、以下の通りである(第1処理態様)。
【0050】
作動状況取得部12は、センシングデータとして、スマートディバイス10,10´に搭載された加速度センサとジャイロセンサとの検出値を取得し、不要ログ峻別部14は、例えば、加速度センサとジャイロセンサとの検出値がいずれも一定時間動いていない場合に、ログ取得部11により取得された通信ログから、再生系アプリ以外のログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0051】
ここで、加速度センサとジャイロセンサとの検出値がいずれも一定時間動いていない場合には、ユーザが就寝しているなど、ユーザの操作がされていない(ユーザが触れていない・携帯していない)作動状況であるため、ユーザの使用に供しない通信ログとして峻別する。なお、加速度センサとジャイロセンサとのいずれかの検出値のみ取得される場合には、取得したいずれかの検出値に基づいて、同様の判定処理を実行してもよい。
【0052】
ただし、ユーザの操作がされていない場合でも、再生系アプリの場合には、ユーザの視聴等が一定時間継続してなされているため、再生系アプリ以外の通信ログに限定して峻別する。
【0053】
すなわち、加速度センサやジャイロセンサが稼働していなくても再生系アプリのログはスマホスタンドで固定して見ている時があるので解析や分析の対象となる通信ログとして排除しない。
【0054】
なお、再生系アプリには、動画再生のアプリ、音楽再生のアプリのほか、スライドショーアプリなど、ユーザの操作を必要としないがユーザの視聴等が一定時間継続して行われるアプリが含まれる。
【0055】
(2)具体的な処理態様の第2としては、以下の通りである(第2処理態様)。
【0056】
作動状況取得部12は、センシングデータとして、スマートディバイス10,10´の画面ロックと画面ロック解除との遷移を取得し、不要ログ峻別部14は、取得した遷移が画面ロック解除から画面ロックとなっている状態での通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0057】
画面ロック解除から画面ロックとなっている状態では、ユーザの操作がされていない(ユーザが触れていない)作動状況であるため、ユーザの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0058】
(3)具体的な処理態様の第3としては、以下の通りである(第3処理態様)。
【0059】
作動状況取得部12は、センシングデータとして、ログ取得部11に取得された通信ログから把握される通信周期と通信量とのいずれか一方または両方をスマートディバイスの作動状況として取得し、取得した通信周期と通信量とのいずれか一方または両方に基づいて、ユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0060】
(3-1)例えば、前記第1処理態様の加速度センサやジャイロセンサの動きに関わらず、通信周期として、同じ周期(時間帯やログとログの間の発生時間等を含む)で発生しているログはバックグラウンドで動いているログとして、ユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0061】
(3-2)また、例えば、特定閾値以下のパケットサイズの通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。
【0062】
さらに、この場合に、特に、再生系アプリの通信ログに対して、特定閾値以下のパケットサイズの通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログとして峻別する。これにより、再生系アプリのログの中から、バックグラウンドで動いているログを峻別して排除すること可能となり、再生系アプリのログであることを以って一律に峻別されないといった事態を回避することができる。
【0063】
(4)具体的な処理態様の第4としては、以下の通りである(第4処理態様)。
【0064】
作動状況取得部12により取得されたセンシングデータから、まず、行動様式推定部13がユーザの行動様式(生活パターン)を推定する。そして、推定した行動様式に基づいて、不要ログ峻別部14が通信ログからユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0065】
(4-1)例えば、加速度センサの検出値とジャイロセンサの検出値と画面タッチセンサの検出値との一部または全部を取得し、これらの一部または全部の過去データからユーザの行動様式(生活パターン)を推定し、推定した行動様式(生活パターン)から、例えば、就寝時間に相当する時間の通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
【0066】
また、この場合に、加速度センサの検出値とジャイロセンサの検出値と画面タッチセンサの検出値に加えてまたは代えて、バッテリー残量(充電状態を含む)を加味して、行動様式(生活パターン)を推定してもよい。これにより、後述する就寝時間等をより精度よく推定することが可能となる。
【0067】
(4-2)また、センシングデータに加えてまたは代えて、ログ取得部により取得された通信ログ(通信周期と通信量)から、ユーザの行動様式(生活パターン)を推定し、推定した行動様式(生活パターン)から、例えば、就寝時間に相当する時間の通信ログをユーザの該スマートディバイスの使用に供しない通信ログを峻別する。
(4-3)なお、第4処理態様において、推定した行動様式(生活パターン)において、就寝時間に限らず、例えば、通勤時間帯や勤務時間帯(出社における勤務時間帯と在宅における勤務時間帯の別を含む)を推定し、推定内容に応じて、峻別する通信ログを変更してもよい。
【0068】
例えば、勤務時間帯(出社における勤務時間帯と在宅における勤務時間帯の両方を含む)における再生系アプリの通信ログは、通信周期として、同じ周期(時間帯やログとログの間の発生時間等を含む)で発生しているログは峻別する。
【0069】
また、出社における勤務時間帯における再生系アプリの通信ログは一律に排除する一方、在宅における勤務時間帯における再生系アプリの通信ログは、同じ周期(時間帯やログとログの間の発生時間等を含む)で発生しているログのみ峻別するなど、処理内容に差をつけてもよい。
【0070】
以上が本実施形態の接続状況分析システム1による処理内容の詳細であり、かかる接続状況分析システム1によれば、ユーザに起因する通信であるかを判定して、スマートディバイスのインターネットの接続状況を正確に分析することができる。
【0071】
なお、本実施形態の接続状況分析システム1では、不要ログ峻別部14により、通信ログからユーザのスマートディバイス10,10´の使用に供しない通信ログを峻別する処理を実行する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、峻別した不要ログについて、次なる処理、例えば、ログ取得部11により取得した通信ログから峻別した不要ログを実際に除外(排除)する処理を実行してもよく、逆に、峻別した不要ログだけを抽出する処理等を実行してもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…接続状況分析システム、10,10´…スマートディバイス(10…スマートフォン,10´…タブレット端末)、11…ログ取得部、12…作動状況取得部、13…行動様式推定部、14…不要ログ峻別部。