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特開2024-140137非水二次電池の製造方法、及び非水二次電池の製造装置
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  • 特開-非水二次電池の製造方法、及び非水二次電池の製造装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140137
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】非水二次電池の製造方法、及び非水二次電池の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/0585 20100101AFI20241003BHJP
   H01M 10/0562 20100101ALI20241003BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20241003BHJP
【FI】
H01M10/0585
H01M10/0562
H01M10/052
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051142
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】宮田 航成
(72)【発明者】
【氏名】梅津 健太
(72)【発明者】
【氏名】豊嶋 崇
(72)【発明者】
【氏名】市原 大輝
(72)【発明者】
【氏名】蜂谷 誠
【テーマコード(参考)】
5H029
【Fターム(参考)】
5H029AJ11
5H029AJ12
5H029AK01
5H029AK03
5H029AL01
5H029AL02
5H029AL03
5H029AL04
5H029AL06
5H029AL07
5H029AL11
5H029AL12
5H029AM12
5H029CJ02
5H029CJ03
5H029DJ14
5H029HJ03
5H029HJ15
(57)【要約】
【課題】積層体の変形を抑制できる、非水二次電池の製造方法を提供すること。
【解決手段】非水二次電池の製造方法であって、正極活物質を含む正極層、及び固体電解質を含む電解質層を積層して積層体を得る、積層工程と、前記積層体の面方向における一方から他方に向けて、前記積層体の厚み方向に圧力を加えながら、前記一方から前記他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部を形成する、凹凸形成工程と、前記積層体に厚み方向への圧力を加えながら、前記凹部、及び/又は前記凸部を平坦化する、加圧平坦化工程と、をこの順に有する、非水二次電池の製造方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
非水二次電池の製造方法であって、
正極活物質を含む正極層、及び固体電解質を含む電解質層を積層して積層体を得る、積層工程と、
前記積層体の面方向における一方から他方に向けて、前記積層体の厚み方向に圧力を加えながら、前記一方から前記他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部を形成する、凹凸形成工程と、
前記積層体に厚み方向への圧力を加えながら、前記凹部、及び/又は前記凸部を平坦化する、加圧平坦化工程と、をこの順に有する、非水二次電池の製造方法。
【請求項2】
前記凹凸形成工程において、基部から突出した突出部を有する加圧部材を前記積層体に接触させて加圧することで、前記積層体に前記凹部、及び/又は前記凸部が形成され、この際に、前記加圧部材の前記突出部のみが前記積層体に接触する、請求項1に記載の非水二次電池の製造方法。
【請求項3】
前記凹凸形成工程の前段に、前記積層体を加温する加温工程を有する、請求項1又は2に記載の非水二次電池の製造方法。
【請求項4】
前記凹凸形成工程、及び前記加圧平坦化工程は、前記積層体をローラーに挟み通すことにより行われ、
前記凹凸形成工程で用いられるローラーの径よりも、前記加圧平坦化工程で用いられるローラーの径の方が大きい、請求項1又は2に記載の非水二次電池の製造方法。
【請求項5】
非水二次電池の製造装置であって、
正極活物質を含む正極層、及び固体電解質を含む電解質層を積層して積層体を得る積層部と、
前記積層体の面方向における一方から他方に向けて、前記積層体の厚み方向に圧力を加えながら、前記一方から前記他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部を形成する、凹凸形成部と、
前記積層体に厚み方向への圧力を加えながら、前記凹部、及び/又は前記凸部を平坦化する、加圧平坦化部と、を有する、非水二次電池の製造装置。
【請求項6】
前記凹凸形成部、及び前記加圧平坦化部は、前記積層体を挟み通すローラーを有し、
前記凹凸形成部のローラーの径よりも、前記加圧平坦化部のローラーの径の方が大きい、請求項5に記載の非水二次電池の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水二次電池の製造方法、及び非水二次電池の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する二次電池に関する研究開発が行われている。
【0003】
このような二次電池としては、正極層と負極層との間に電解質層が配置された、リチウムイオン二次電池等の非水二次電池が知られている。上記非水二次電池は、製造工程において、密度向上等の目的でロールプレス等の方法で加圧される。
【0004】
例えば、ロール圧延時に正極板前駆体の形状不良の発生および正極活物質合剤の脱落を抑制しつつ、正極活物質合剤の充填密度を均一に高めることができる正極板の製造方法として、正極板前駆体を、一対のエンボスロールを備えたエンボスロール対によりロール圧延する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-204915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示された技術は、エンボスロールを用いて正極板前駆体を2段階でロール圧延することで、ロール圧延時に正極板前駆体の形状不良の発生および正極活物質合剤の脱落を抑制するものである。しかし、上記の方法を電極積層体に適用した場合、均一な厚みの電極積層体を得ることができず、しかも、ロール圧延時の積層体の幅方向の変形を十分に抑制することができない。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、積層体の変形を抑制できる、非水二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明は、非水二次電池の製造方法であって、正極活物質を含む正極層、及び固体電解質を含む電解質層を積層して積層体を得る、積層工程と、前記積層体の面方向における一方から他方に向けて、前記積層体の厚み方向に圧力を加えながら、前記一方から前記他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部を形成する、凹凸形成工程と、前記積層体に厚み方向への圧力を加えながら、前記凹部、及び/又は前記凸部を平坦化する、加圧平坦化工程と、をこの順に有する、非水二次電池の製造方法に関する。
【0009】
(1)の発明によれば、積層体の変形を抑制できる、非水二次電池の製造方法を提供できる。
【0010】
(2) 前記凹凸形成工程において、基部から突出した突出部を有する加圧部材を前記積層体に接触させて加圧することで、前記積層体に前記凹部、及び/又は前記凸部が形成され、この際に、前記加圧部材の前記突出部のみが前記積層体に接触する、(1)に記載の非水二次電池の製造方法。
【0011】
(2)の発明によれば、加圧部材と積層体との接触面積が低減され、応力を局所的に高めることができるため、突出部が積層体に接触する箇所の密度を高めやすい。
【0012】
(3) 前記凹凸形成工程の前段に、前記積層体を加温する加温工程を有する、(1)又は(2)に記載の非水二次電池の製造方法。
【0013】
(3)の発明によれば、凹凸形成工程に際して、積層体の温度ムラが低減できることから、加圧に伴う積層体の均質性を高めることができる。
【0014】
(4) 前記凹凸形成工程、及び前記加圧平坦化工程は、前記積層体をローラーに挟み通すことにより行われ、前記凹凸形成工程で用いられるローラーの径よりも、前記加圧平坦化工程で用いられるローラーの径の方が大きい、(1)~(3)いずれかに記載の非水二次電池の製造方法。
【0015】
(4)の発明によれば、凹凸形成工程において凹部、及び/又は凸部を容易かつ精密に加工できるため、凹部、及び/又は凸部の精度を高めることができる。また、加圧平坦化工程におけるローラーの曲率を平坦に近づけて均質に加圧できるため、積層体のうねりに起因する変形をより抑制できる。
【0016】
(5) また、本発明は、非水二次電池の製造装置であって、正極活物質を含む正極層、及び固体電解質を含む電解質層を積層して積層体を得る積層部と、前記積層体の面方向における一方から他方に向けて、前記積層体の厚み方向に圧力を加えながら、前記一方から前記他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部を形成する、凹凸形成部と、前記積層体に厚み方向への圧力を加えながら、前記凹部、及び/又は前記凸部を平坦化する、加圧平坦化部と、を有する、非水二次電池の製造装置に関する。
【0017】
(5)の発明によれば、(1)の製造方法を実行できる。
【0018】
(6) 前記凹凸形成部、及び前記加圧平坦化部は、前記積層体を挟み通すローラーを有し、前記凹凸形成部のローラーの径よりも、前記加圧平坦化部のローラーの径の方が大きい、(5)に記載の非水二次電池の製造装置。
【0019】
(6)の発明によれば、(4)の製造方法を実行できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る非水二次電池の製造装置の構成を示す図である。
図2】本発明の一実施形態に係る凹凸形成部を示す図である。
図3】本発明の一実施形態に係る積層体の構成を示す図である。
図4】本発明の非水二次電池の製造方法により積層体に凹凸を形成したシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[非水二次電池]
本実施形態に係る非水二次電池の製造方法により製造される非水二次電池しては、例えば、ゲル状の電解質を有する半固体リチウムイオン電池、固体状の電解質を有する全固体リチウムイオン電池等が挙げられる。
【0022】
本実施形態に係る非水二次電池は、電極層と、その間に配置される電解質層と、が積層された積層体Sを有する。積層体Sは、例えば、図3に示すように、負極層S1と、正極層S2と、これらの層の間に配置される電解質層S3と、を有する。なお、図3は、最終的に製造される非水二次電池の積層体の構成を例示している。本実施形態に係る非水二次電池の製造方法の一工程である凹凸形成工程によって凹部、及び/又は凸部が形成される対象である積層体については後述する。
【0023】
(正極層)
正極層S2は、正極活物質層S21と、正極集電体S22と、を有する。本実施形態においては、正極集電体S22の両面に正極活物質層S21が積層される。なお、正極層S2の構成は上記には限定されず、正極集電体の片面に正極活物質層が積層されてもよい。
【0024】
正極活物質層S21は、正極活物質を必須として含む層である。正極活物質は、特に限定されず、非水二次電池の正極活物質として公知の物質を用いることができる。正極活物質としては、例えば、LiCoO、LiNiO、NCM(Li(NixCoyMnz)O、(0<x<1、0<y<1、0<z<1、x+y+z=1))等の三元系正極材料、LiVO、LiCrO等の層状正極活物質粒子、LiMnO4、Li(Ni0.25Mn0.75、LiCoMnO、LiNiMn等のスピネル型正極活物質、LiCoPO、LiMnPO、LiFePO等のオリビン型正極活物質等を用いることができる。
【0025】
正極活物質層S21は、正極活物質以外に、固体電解質、導電助剤、バインダ等をさらに含んでいてもよい。固体電解質、導電助剤、バインダ等は、特に限定されず、非水二次電池の電極材料として公知の物質を適用することができる。
【0026】
正極集電体S22は、特に限定されず、非水二次電池の正極集電体として公知の物質を用いることができる。正極集電体S22としては、例えば、ステンレス(SUS)箔、アルミニウム(Al)箔等の金属箔が挙げられる。
【0027】
(電解質層)
電解質層S3は、負極層S1と、正極層S2との間に配置され、固体電解質を必須として含む層である。電解質層には、上記以外に、バインダ等が含まれていてもよい。
【0028】
固体電解質としては、特に限定されないが、硫化物系固体電解質、酸化物系固体電解質、窒化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質等が挙げられる。
【0029】
(負極層)
負極層S1は、負極活物質層S11と、負極集電体S12と、を有する。本実施形態において、負極活物質層S11は、電解質層S3と接するように積層される。
【0030】
負極活物質層S11は、負極活物質を必須として含む層である。負極活物質は、特に限定されず、非水二次電池の負極活物質として公知の物質を用いることができる。負極活物質としては、例えば、チタン酸リチウム(LiTi12)等のリチウム遷移金属酸化物、TiO、Nb及びWO等の遷移金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物、グラファイト、ソフトカーボン及びハードカーボン等の炭素材料、シリコン単体、シリコン合金、シリコン化合物等のシリコン系材料、並びにリチウム金属、リチウム合金及び金属インジウム等が挙げられる。
【0031】
負極活物質層S11は、負極活物質以外に、固体電解質、導電助剤、バインダ等をさらに含んでいてもよい。固体電解質、導電助剤、バインダ等は、特に限定されず、非水二次電池の電極材料として公知の物質を適用することができる。
【0032】
負極集電体S12は、特に限定されず、非水二次電池の負極集電体として公知の物質を用いることができる。負極集電体としては、銅(Cu)箔、ステンレス(SUS)箔、アルミニウム(Al)箔等の金属箔が挙げられる。
【0033】
<非水二次電池の製造方法>
非水二次電池の製造方法は、少なくとも正極層と、電解質層と、が積層された積層体を得る積層工程と、上記得られた積層体に凹部、及び/又は凸部を形成する凹凸形成工程と、上記凹部、及び/又は凸部を平坦化する加圧平坦化工程と、をこの順に有する。なお、上記各工程は、非水二次電池の製造方法の工程の少なくとも一部であり、本実施形態に係る非水二次電池の製造方法には、上記以外の工程が含まれていてもよい。例えば、積層工程と、凹凸形成工程との間に、積層工程により得られた積層体全体を加温する加温工程が含まれていてもよい。
【0034】
積層工程は、少なくとも正極層と、電解質層とを積層する工程である。積層工程は、それぞれ単独で成形されたシート状の正極層、及び電解質層を積層する工程であってもよい。上記以外に、積層工程は、正極層上に電解質層を構成する材料を含む電解質層スラリーを塗工、及び乾燥する工程であってもよく、電解質層上に正極層を構成する材料を含む正極層スラリーを塗工、及び乾燥する工程であってもよい。上記塗工、及び乾燥する方法としては特に限定されず、非水二次電池の製造方法として公知の方法を適用することができる。上記に加えて、積層工程は、正極層と、電解質層と、負極層とを積層する工程であってもよい。
【0035】
加温工程は、積層工程により得られた積層体全体を加温する工程である。加温工程により、積層体の温度のムラを低減できるため、凹凸形成工程において積層体の均質性を高めることができる。加温工程により積層体を加温する方法としては、特に限定されず、セラミックヒーター、シーズヒーター、ハロゲンランプヒーター、誘導加熱ヒーター等の公知の加熱装置による方法を適用できる。
【0036】
凹凸形成工程は、積層工程により得られた積層体に凹部、及び/又は凸部を形成する工程である。凹凸形成工程では、積層体の面方向における一方から他方に向けて、積層体の厚み方向に圧力を加えながら、積層体に凹部、及び/又は凸部を形成する。この結果、積層体の上記一方から他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部が形成される。即ち、凹凸形成工程において積層体に圧力を加えていく方向と、形成される凹部、及び/又は凸部が延在する方向とは同一の方向である。積層体を加圧して高密度化する際に、凹凸形成工程を経ずに単に厚み方向に対して均一に加圧した場合、積層体の幅方向に変位(うねり)が生じ、これに起因して積層体の反りが生じる場合がある。凹凸形成工程と、加圧平坦化工程とをこの順に行うことで、上記積層体の幅方向の変位を抑制できる。
【0037】
凹凸形成工程により形成される凹部、及び/又は凸部の形状としては、特に限定されず、例えば溝状、又はドット状に形成される凹部同士の間に凸部が形成される態様が挙げられる。上記の場合、凹部の形状としては、断面視で方形状、楔状、半円状、又は上記を組み合わせた形状が挙げられるが、上記の形状には特に限定されない。凹部、及び/又は凸部は、積層体の幅方向において均一に形成されることが好ましい。
【0038】
凹凸形成工程は、例えば、図1及び図2に示すような、加圧部材としての一対のローラー20、21を有するロールプレス装置2におけるローラー間に積層体を挟み通すことにより行われる。なお、図1及び図2において、上記積層体の厚み方向はZ方向で表される。凹凸形成工程において積層体に圧力を加えていく方向、即ち、積層体の面方向の一方から他方に向かう方向はX方向で表される。積層体の幅方向はY方向で表される。加圧部材としては上記一対のローラーには限定されず、例えば、1つのローラーであってもよい。加圧部材が一対のローラー20、21である構成について以下に説明する。
【0039】
加圧部材としてのローラー20は、図2に示すように、基部からZ方向に突出した突出部20aを有する。突出部20aは、ローラー20の周方向に沿って形成される。突出部20aは、Y方向において複数形成されていてもよい。突出部20aが複数形成される場合、突出部20a同士の間に陥没部20bが形成される。ローラー20の突出部20aが積層体Sに接触してローラー20がZ方向に加圧されることで、積層体Sに凹部Saが形成される。突出部20aが複数形成される場合、積層体Sにおいて、凹部Sa同士の間が凸部Sbとなる。
【0040】
図4は、加圧部材としての上記突出部を有するローラーによって、積層体Sを加圧した際の応力分布を示すシミュレーション結果である。シミュレーションは、有限要素法によって行った。図4に示すように、X方向に向けて応力が低い箇所が延在しており、積層体Sに一方から他方に向けて延在する凹部、及び/又は凸部が形成されることが明らかである。
【0041】
図2において、積層体Sの上部に配置されるローラー20に突出部20aが形成される構成を示しているが、積層体Sの下部に配置されるローラー21にも同様の突出部が形成されることが好ましい。即ち、凹凸形成工程において、積層体Sの両面に凹部、及び/又は凸部が形成されることが好ましい。積層体Sの両面に凹部、及び/又は凸部が形成されることで、積層体Sの反り等の変形をより抑制することができる。
【0042】
ローラー20を積層体Sに接触させて加圧する際に、図2に示すように、突出部20aのみが積層体Sに接触することが好ましい。即ち、陥没部20bの底面が積層体Sに接触しないことが好ましい。これにより、ローラー20と積層体Sとの接触面積が低減され、応力が突出部20aに集中することから、凹部Saにおける積層体Sの密度をより高めることができる。ローラー21にもローラー20と同様の突出部が形成される場合、積層体Sの加圧時に、X方向及びY方向におけるローラー21とローラー20の突出部の位置が合っていることが好ましい。これにより、凹部における積層体Sの密度を更に高めることができる。
【0043】
加圧平坦化工程は、凹凸形成工程により凹部、及び/又は凸部が形成された積層体Sの、凹部、及び/又は凸部を平坦化し、厚みが均一化されるように積層体Sを加圧する工程である。加圧平坦化工程により、積層体Sが均一に高密度化される。加圧平坦化工程において、積層体Sの厚みが厚い箇所に応力が集中し、平坦化される。この際に、積層体Sの厚みが厚い箇所(例えば、図2における凸部Sb)が潰れると、積層体Sの厚みが薄い箇所(例えば、図2における凹部Sa)に逃げることができる。これにより、積層体SのY方向への伸びが、凹凸形成工程を設けない場合と比較して減少し、積層体Sのうねりが抑制される。
【0044】
加圧平坦化工程は、例えば、図1に示すような、一対のローラーを有するロールプレス装置3におけるローラー間に積層体を挟み通すことにより行われる。ロールプレス装置3におけるローラーの積層体に接触する面は平面であり、突出部は形成されない。加圧平坦化工程の具体的な方法としては、上記一対のローラーを用いた方法には限定されず、例えば、1つのローラーによる方法であってもよいし、平面プレスによる方法であってもよい。
【0045】
加圧平坦化工程を、図1に示すようなロールプレス装置3によって行う場合、ロールプレス装置3のローラーの径R3は、凹凸形成工程を行うロールプレス装置2のローラーの径R2よりも大きいことが好ましい。これにより、ロールプレス装置3のローラーの曲率がより小さくなるため、より均一に積層体Sを加圧でき、積層体Sのうねりに起因する変形をより抑制することができる。なお、ロールプレス装置2のローラーの径R2が、ロールプレス装置3のローラーの径R3よりも小さいことにより、積層体Sの凹部、及び/又は凸部を精密かつ容易に形成できる。
【0046】
上記凹凸形成工程により凹部、及び/又は凸部が形成され、加圧平坦化工程により凹凸が平坦化される積層体は、少なくとも正極層と、電解質層とが積層された積層体であればよい。上記積層体は、図3に示されるような、正極層と、電解質層と、負極層とが積層された積層体であってもよい。
【0047】
<非水二次電池の製造装置>
上記非水二次電池の製造方法を実行する非水二次電池の製造装置100は、図1に示すように、積層部1と、凹凸形成部としてのロールプレス装置2と、加圧平坦化部としてのロールプレス装置3と、を有する。図1は、シート体Sxと、シート体Syとを積層させてロールプレスにより加圧するロールトゥロールの装置の一部を例示している。上記は一例であり、製造装置100は、ベルトコンベア等の搬送装置により搬送されるシート体を積層し、加圧する装置であってもよい。
【0048】
積層部1は、例えば、図1に示すように、シート状に形成された正極層を含むシート体Sxと、シート状に形成された電解質層を含むシート体Syとを積層ロールによって積層する。積層部1の構成は上記には限定されず、予め形成された上記シート体Sx又はシート体Sy上に、正極層スラリーや電解質層スラリーを塗工する塗工装置等により構成されるものであってもよいし、上記を組み合わせてもよい。
【0049】
凹凸形成部としてのロールプレス装置2の構成は上述の凹凸形成工程の説明の通りであり、ロールプレス装置2は、例えば、積層体の厚み方向の上下に設けられる一対のローラーを有する。上記ローラーのうち少なくとも一方には突出部が形成される。一対のローラー間に積層体を挟み通すことで、積層体に凹部、及び/又は凸部が形成される。凹凸形成部の構成は上記には限定されず、例えば、1つのローラーを備える装置であってもよい。
【0050】
加圧平坦化部としてのロールプレス装置3の構成は上述の加圧平坦化工程の説明の通りであり、ロールプレス装置3は、例えば、積層体の厚み方向の上下に設けられる一対のローラーを有する。上記一対のローラーの積層体に接触する面は平面であり、突出部は形成されない。加圧平坦化部の構成は上記には限定されず、例えば、1つのローラーを備える装置であってもよいし、平面プレス装置であってもよい。
【0051】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良は本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
100 非水二次電池の製造装置
1 積層部
2 凹凸形成部
3 加圧平坦化部
S 積層体
図1
図2
図3
図4