IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アズビル株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-設定システム 図1
  • 特開-設定システム 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140154
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】設定システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
G05B23/02 Z
G05B23/02 301Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051170
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】小松 雅弘
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BB01
3C223BB03
3C223BB06
3C223BB08
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF14
3C223FF15
3C223GG01
(57)【要約】
【課題】設定装置の操作の間違えの発生を抑制する。
【解決手段】読出機能121が、記憶媒体101から操作を読み出し、取得機能122が、読出機能121が読み出した操作に対応する実行プログラムを取得し、制御機能123が、取得機能122が取得した実行プログラムを実行する。制御機能123が受信した実行プログラムを実行することで、接続機能126により接続されたフィールド機器104に対し、例えば、対応する設定情報を設定することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶媒体と端末装置とを備え、
前記記憶媒体は、対象となる機器の設定をするための操作を記憶し、
前記端末装置は、
前記記憶媒体から前記操作を読み出すように構成された読出機能と、
前記読出機能が読み出した前記操作に対応する実行プログラムを取得する取得機能と、
前記取得機能が取得した実行プログラムを実行するように構成された制御機能と
を備える設定システム。
【請求項2】
請求項1記載の設定システムにおいて、
前記端末装置は、
前記機器を識別するための識別情報を含む機器情報を前記機器から取得するように構成された機器情報取得機能を備え、
前記取得機能は、前記識別情報で特定される機器情報に対応した前記実行プログラムを取得する設定システム。
【請求項3】
請求項1記載の設定システムにおいて、
複数の前記操作に対応して複数の前記記憶媒体を備え、
複数の前記記憶媒体の各々は、記憶する前記操作を識別する媒体識別情報を備える設定システム。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の設定システムにおいて、
前記実行プログラムを記憶するサーバをさらに備え、
前記取得機能は、ネットワークを介して前記サーバより前記実行プログラムを取得する設定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システムおよび機器管理装置などに用いるフィールド機器などのパラメータ変更などを行う設定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、建築物に付帯している各設備の監視制御やプラントなどの制御には、制御システムが用いられ、さらに機器管理装置が用いられている場合がある。例えば、機器管理装置は、フィールドバスなどのネットワークにより接続している現場に設置されたプロセス機器や各種センサなどのフィールド機器との間で信号をやりとりし、従来では可搬型端末を現場でフィールド機器に直結して実施していた較正を上位からのパラメータ設定で行い、また、フィールド機器が正常に動作している状態に関する診断結果を表示している。
【0003】
このような制御システムや機器管理装置において、例えば制御対象の構成が変更された場合などは、システムに設定する制御プログラムを変更し、また機器管理装置に設定するフィールド機器構成を変更するなどのエンジニアリング作業が発生する。また、機器構成が変更されたフィールド機器においては、記憶されている設定ファイルを変更することになる。この場合、設定ファイルを構成しているパラメータなどを変更し、変更したパラメータなどで構成される設定ファイルを、設定装置によりフィールド機器に転送して反映させている(特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-193506号公報
【特許文献2】特開2009-199526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述したような制御においては設定項目が多岐にわたり、多くのパラメータが必要となる。また、巡回検査の場合などは、多くのフィールド機器に対して同じ設定手順を繰り返す必要がある。例えば「ゼロ点調整」という作業に対し、毎回、設定機器の設定の項目から設定コマンドを辿る必要があり、フィールド機器の各々において、手順の最初から操作する。
【0006】
一方、設定装置の小型化が進んでおり、上述したような設定操作のためのボタンが相対的に小さくなり、操作が難しくなっている。このため、多くの設定を実施していると、ボタンを押し間違えることが発生しやすくなり、意図しない設定指示を送信実行するおそれがある。
【0007】
本発明は、以上のような問題点を解消するためになされたものであり、設定装置の操作の間違えの発生抑制を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る設定システムは、記憶媒体と端末装置とを備え、記憶媒体は、対象となる機器の設定をするための操作を記憶し、端末装置は、記憶媒体から操作を読み出すように構成された読出機能と、読出機能が読み出した操作に対応する実行プログラムを取得する取得機能と、取得機能が取得した実行プログラムを実行するように構成された制御機能とを備える。
【0009】
上記設定システムの一構成例において、端末装置は、機器を識別するための識別情報を含む機器情報を機器から取得するように構成された機器情報取得機能を備え、取得機能は、識別情報で特定される機器情報に対応した実行プログラムを取得する。
【0010】
上記設定システムの一構成例において、複数の操作に対応して複数の記憶媒体を備え、複数の記憶媒体の各々は、記憶する操作を識別する媒体識別情報を備える。
【0011】
上記設定システムの一構成例において、実行プログラムを記憶するサーバをさらに備え、取得機能は、ネットワークを介してサーバより実行プログラムを取得する。
【発明の効果】
【0012】
以上説明したように、本発明によれば、端末装置が、対象となる機器の設定をするための操作を記憶する記憶媒体から操作を読み出すようにしたので、設定装置の操作の間違えの発生が抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の実施の形態に係る設定システムの構成を示す構成図である。
図2図2は、本発明の実施の形態に係る端末装置のハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態に係る設定システムについて図1を参照して説明する。このシステムは、記憶媒体101と端末装置102とを備える。また、このシステムは、端末装置102とインターネット(ネットワーク)151を介して接続可能とされたサーバ103を備える。
【0015】
記憶媒体101は、端末装置102を用いたエンジニアリング作業の対象となるフィールド機器104の設定をするための操作を記憶する。記憶媒体101は、例えば、操作が、バーコードや2次元バーコードで記載されたカードとすることができる。また、記憶媒体101は、操作が磁気記録層に記録された磁気カードとすることができる。また、記憶媒体101は、操作がICチップに記録されたNFC(Near Field Communication)機能を備えるICカードとすることができる。
【0016】
端末装置102は、読出機能121、取得機能122、制御機能123を備える。
【0017】
読出機能121は、記憶媒体101から操作を読み出す。記憶媒体101が、バーコードや2次元バーコードで記載されたカードの場合、読出機能121は、カメラと復号回路などを備え、カメラで撮像したコード情報を復号回路で復号して操作とする。また、記憶媒体101が、磁気カードの場合、読出機能121は、磁気読み取り装置とすることができる。また、記憶媒体101がICカードの場合、読出機能121は、NFC機能によりICカードに記憶された操作を読み出す。
【0018】
取得機能122は、読出機能121が読み出した操作に対応する実行プログラムを取得する。例えば、端末装置102は、記憶部に操作に対応して実行プログラムを記憶している。取得機能122は、端末装置102の記憶部に記憶されている実行プログラムを取得する。また、実行プログラムは、サーバ103に記憶することができる。この場合、取得機能122は、通信機能124により接続するインターネット151を介してサーバ103より実行プログラムを取得する。
【0019】
また、端末装置102は、フィールド機器104を識別するための識別情報を含む機器情報をフィールド機器104から取得する機器情報取得機能125を備える。機器情報取得機能125は、接続機能126により接続されたフィールド機器104より機器情報を取得する。このようにフィールド機器104より機器情報(識別情報)を取得することで、取得機能122は、識別情報で特定される機器情報に対応した実行プログラムを、サーバ103より取得することができる。
【0020】
制御機能123は、取得機能122が取得した実行プログラムを実行する。制御機能123が受信した実行プログラムを実行することで、接続機能126により接続されたフィールド機器104に対し、例えば、対応する設定情報を設定することができる。
【0021】
例えば、「現在値を0%入力としてレンジ設定する」という操作Aが記憶されている記憶媒体101を用いる場合、端末装置102の読出機能121が、この操作Aを読み出す。次いで、端末装置102の取得機能122が、読出機能121が読み出した操作Aに対応する実行プログラムを取得する。次いで、端末装置102の制御機能123が、取得した実行プログラムを実行する。この結果、「現在値を0%入力としてレンジ設定する」指示がフィールド機器104に送信され、この指示を受信したフィールド機器104では、現在値を0%入力としてレンジ設定を実施する。
【0022】
また、一例として、フィールド機器104に対するエンジニアリング作業として、次に示す操作Bがある。
【0023】
手順1:現在の測定値を100%入力としてレンジ設定する。
手順2:機種毎に定められた秒数だけ待つ。
手順3:測定値を取得し、100%でない場合、手順2以降を繰り返す。
【0024】
この例では、上述した操作Bが記憶されている記憶媒体101を用い、端末装置102の読出機能121が、この操作Bを読み出す。次いで、端末装置102の取得機能122が、読出機能121が読み出した操作Bに対応する実行プログラムを取得する。次いで、端末装置102の制御機能123が、取得した実行プログラムを実行する。
【0025】
この結果、端末装置102は、まず、「現在の測定値を100%入力としてレンジ設定する」指示をフィールド機器104に送信する(第1ステップ)。この指示を受信したフィールド機器104では、現在値を100%入力としてレンジ設定する。次いで、端末装置102は、機種毎に定められた秒数の待機を実施した後、フィールド機器104から測定値を取得する(第2ステップ)。次いで、端末装置102は、取得した測定値が100%であるか否かを判定し(第3ステップ)、100%となっている場合、プログラムの実行を終了する。一方、取得した測定値が100%となっていない場合、第1ステップ~第3ステップを繰り返す。
【0026】
ここで、上述した「機種毎に定められた秒数」は、機種毎に異なるため、取得機能122は、機器情報取得機能125が取得した機器情報(識別情報)で特定される機器情報に対応した実行プログラムを取得する。識別情報で特定される機器情報に対応した実行プログラムでは、例えば、「機種毎に定められた秒数」として、「3秒」が設定されている。
【0027】
上述した操作Bを手作業で実施する場合、まず、操作手順1として、端末装置102を操作することで、初期画面において「レンジ設定」を選択して実行する。この設定により、端末装置102の画面には、レンジ設定のための様々な設定ボタンが表示される。次に、操作手順2として、端末装置102を操作することで、レンジ設定のための様々な設定ボタンの中で「100%点設定」を選択して実行する。これにより、端末装置102は、「現在の測定値を100%入力としてレンジ設定する」指示をフィールド機器104に送信する。
【0028】
次いで、「100%点設定」を選択して実行してから3秒待機した後、操作手順3として、端末装置102を操作することで、所定の設定画面に遷移し、この設定画面のなかで「メモリ内設定表示」を選択して実行する。これにより、端末装置102は、フィールド機器104から測定値を取得する。この結果、端末装置102の画面には、取得した測定値が表示される。このようにして表示された測定値が100%となっている場合、作業が終了する。
【0029】
一方、表示された測定値が100%となっていない場合、端末装置102の画面を初期画面とし、上述した操作手順1~操作手順3ステップを、表示される測定値が100%となるまで繰り返す。このように、操作を手作業で実施する場合、多数の操作を端末装置102に対して行うことになり、非常に手間がかかる。また、設定ボタンを押し間違えることが発生しやすくなり、意図しない設定指示を送信実行するおそれがある。
【0030】
これに対し、実施の形態によれば、端末装置102の操作をすることなく、フィールド機器104に対するエンジニアリング作業が実施できるので、手間がかからず、また、意図しない設定指示の送信実行が防げるようになる。
【0031】
ところで、複数の設定が存在する場合、エンジニアリング作業の対象となるフィールド機器の設定をするための操作を記憶する記憶媒体も、設定の種類に合わせて複数用意する。この場合、設定の種類が識別できるように、記憶されている設定の種類が識別できる媒体識別情報を記憶媒体が備えることができる。
【0032】
例えば、記憶媒体がカード形状の場合、カードに設けた切り欠きの位置により、記憶されている設定の種類を識別する構成とすることができる。この場合、切り欠きの位置が媒体識別情報となる。また、記憶媒体がカード形状の場合、カードに設けた穴または突起の大きさ、位置、および数により、記憶されている設定の種類を識別する構成とすることができる。この場合、カードに設けた穴または突起の大きさ、位置、および数が媒体識別情報となる。記憶媒体がカード形状の場合、カードに記載した文字、カードの色、カードに記載した記号などにより、記憶されている設定の種類を識別する構成とすることができる。この場合、カードに記載した文字、カードの色、カードに記載した記号が、媒体識別情報となる。
【0033】
なお、上述した実施の形態に係る端末装置は、図2に示すように、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理装置)201と主記憶装置202と外部記憶装置203と通信機能204となどを備えたコンピュータ機器とし、主記憶装置202に展開されたプログラムによりCPU201が動作する(プログラムを実行する)ことで、上述した各機能が実現されるようにすることもできる。通信機能204は、インターネットなどのネットワーク205に接続する。また、各機能は、複数のコンピュータ機器に分散させることもできる。
【0034】
以上に説明したように、本発明によれば、端末装置が、対象となる機器の設定をするための操作を記憶する記憶媒体から操作を読み出すようにしたので、設定装置の操作の間違えの発生が抑制できるようになる。
【0035】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されるが、以下には限られない。
【0036】
[付記1]
記憶媒体と端末装置とを備え、前記記憶媒体は、対象となる機器の設定をするための操作を記憶し、前記端末装置は、前記記憶媒体から前記操作を読み出すように構成された読出機能と、前記読出機能が読み出した前記操作に対応する実行プログラムを取得する取得機能と、前記取得機能が取得した実行プログラムを実行するように構成された制御機能とを備える設定システム。
【0037】
[付記2]
付記1記載の設定システムにおいて、前記端末装置は、前記機器を識別するための識別情報を含む機器情報を前記機器から取得するように構成された機器情報取得機能を備え、前記取得機能は、前記識別情報で特定される機器情報に対応した前記実行プログラムを取得する設定システム。
【0038】
[付記3]
付記1または2記載の設定システムにおいて、複数の前記操作に対応して複数の前記記憶媒体を備え、複数の前記記憶媒体の各々は、記憶する前記操作を識別する媒体識別情報を備える設定システム。
【0039】
[付記4]
付記1~3のいずれか1項に記載の設定システムにおいて、前記実行プログラムを記憶するサーバをさらに備え、前記取得機能は、ネットワークを介して前記サーバより前記実行プログラムを取得する設定システム。
【0040】
なお、本発明は以上に説明した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想内で、当分野において通常の知識を有する者により、多くの変形および組み合わせが実施可能であることは明白である。
【符号の説明】
【0041】
101…記憶媒体、102…端末装置、103…サーバ、104…フィールド機器、121…読出機能、122…取得機能、123…制御機能、124…通信機能、125…機器情報取得機能、126…接続機能、151…インターネット(ネットワーク)。
図1
図2