(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140155
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】作業工具用補助ハンドル
(51)【国際特許分類】
B25D 17/04 20060101AFI20241003BHJP
B25D 16/00 20060101ALI20241003BHJP
B25G 1/01 20060101ALI20241003BHJP
B25G 3/00 20060101ALI20241003BHJP
B25D 17/24 20060101ALI20241003BHJP
B25F 5/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B25D17/04
B25D16/00
B25G1/01 C
B25G3/00 A
B25D17/24
B25F5/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051171
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 吉隆
(72)【発明者】
【氏名】久野 太郎
【テーマコード(参考)】
2D058
3C064
【Fターム(参考)】
2D058AA14
2D058BB02
2D058BB05
2D058CA05
2D058CB06
2D058DA15
3C064AA04
3C064AB01
3C064AB02
3C064AC03
3C064BA07
3C064BA13
3C064BB47
3C064BB62
3C064BB64
3C064CB17
3C064CB46
3C064CB62
3C064CB64
3C064CB67
3C064CB68
3C064CB69
3C064CB71
(57)【要約】
【課題】グリップ部への振動を抑制できる作業工具用補助ハンドルを提供すること。
【解決手段】サイドハンドル10は、ハンマドリルの外周に巻かれる長尺状でかつ弾性変形可能な金属バンド22を有する。金属バンド22の両端にねじ軸30の基部31が連結される。ねじ軸30が筒状のベース40に通される。ベース40の先方に先端部材60が位置し、先端部材60にねじ軸30の先端が螺合される。ベース40を筒状のグリップ50が覆う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業工具に取外し可能に装着される作業工具用補助ハンドルであって、
前記作業工具の外周に巻かれる長尺状でかつ弾性変形可能な取付部材と、
前記取付部材の両端に連結された基部を有するねじ軸と、
前記ねじ軸が通される筒状のベースと、
前記ベースの先方に位置しかつ前記ねじ軸の先端が螺合される先端部材と、
前記ベースを覆う筒状のグリップを有する作業工具用補助ハンドル。
【請求項2】
請求項1に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記ベースの外周面と前記グリップの内周面の間に弾性体が設けられる作業工具用補助ハンドル。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記グリップを前記ベースに対して回転可能に連結する連結機構を有する作業工具用補助ハンドル。
【請求項4】
請求項3に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記グリップが前記ベースに対して前記作業工具の作業方向に沿って傾動するように前記連結機構が前記グリップを前記ベースに連結する作業工具用補助ハンドル。
【請求項5】
請求項2に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記弾性体は、前記先端部材とは反対側の前記グリップの基部に設けられる作業工具用補助ハンドル。
【請求項6】
請求項3~5のいずれか1つに記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記連結機構は、前記グリップと前記ベースの2部材の一つに設けられた回転軸と、2部材の他の1つに形成されかつ前記回転軸を回転可能に保持する軸受け部を有する作業工具用補助ハンドル。
【請求項7】
請求項6に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記先端部材が前記軸受け部の開口を塞いで前記回転軸を前記軸受け部に保持する作業工具用補助ハンドル。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記回転軸は、前記グリップの内周面から内側に突出する凸部であり、
前記軸受け部は、前記ベースの先端に開口する凹部であり、
前記ベースの前記先端が前記先端部材の当接面と面当たりする作業工具用補助ハンドル。
【請求項9】
請求項2に記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記ベースは、円筒状のベース本体を有し、
前記弾性体は、前記ベースの前記ベース本体の外周に接着される作業工具用補助ハンドル。
【請求項10】
請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の作業工具用補助ハンドルであって、
前記先端部材は、前記グリップよりも大径である作業工具用補助ハンドル。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1つに記載の補助ハンドルを有するハンマドリル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハンマドリルなどの作業工具に取外し可能に装着される補助ハンドルに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2,3に開示されているハンマドリルは、使用者が一方の手で把持するメインハンドルと他方の手で把持する補助ハンドルを備える。補助ハンドルはドリル本体の外周に取り付けられる取付部と、取付部から延びる棒状のグリップ部を有する。特許文献1の補助ハンドルは、取付部とグリップ部が単一の部材として一体的に形成される。特許文献2と3の補助ハンドルは、取付部に組み付いたねじとグリップ部に組み付いた締込部とが互いに螺合されて一体的に形成される。このため、作業工具で発生する振動が取付部及び締込部を介してグリップ部に伝達しやすい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6612157号公報
【特許文献2】特許第5280934号公報
【特許文献3】特許第5345988号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従ってグリップ部への振動を抑制できる作業工具用補助ハンドルが従来、必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の1つの局面によると、作業工具用補助ハンドルは、作業工具の外周に巻かれる長尺状でかつ弾性変形可能な取付部材を有する。取付部材の両端にねじ軸の基部が連結される。ねじ軸が筒状のベースに通される。ベースの先方に先端部材が位置し、先端部材にねじ軸の先端が螺合される。ベースを筒状のグリップが覆う。
【0006】
従ってねじ軸が先端部材に螺合される。先端部材とは別部材としてグリップが設けられる。このため作業工具の振動は、取付部材、ねじ軸および先端部材に伝達される。そして振動は、取付部材からねじ軸に伝わり、ねじ軸の基部から先方に伝わり、ねじ軸の先方の先端部材を経由した後にグリップに伝えられる。そのため従来の構造に比べて振動が減衰された状態でグリップに伝わる。かくしてグリップに振動が伝わり難い。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の実施例に係るハンマドリルの側面図である。
【
図3】
図1のIII-III線矢視におけるサイドハンドルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の他の局面によると、ベースの外周面とグリップの内周面の間に弾性体が設けられる。このため弾性体によりグリップがベースに保持される。そして弾性体によりベースからグリップに伝わる振動が抑制される。
【0009】
本開示の他の局面によると、グリップをベースに対して連結機構が回転可能に連結する。このためグリップがベースに対して回転することでベースからグリップに伝わる振動を抑制できる。
【0010】
本開示の他の局面によると、グリップがベースに対して作業工具の作業方向に沿って傾動するように連結機構がグリップをベースに連結する。このためグリップが、作業工具の向きに沿って生じる振動を効率よく抑制できる。
【0011】
本開示の他の局面によると、弾性体は、先端部材とは反対側のグリップの基部に設けられる。従って弾性体を先端部材よりも取付部材に近い位置に設けられる。このためグリップの一端は、先端部材側に設けられた連結機構によってベースに回転可能に連結される。グリップの他端は、弾性体によりベースに保持される。そのためグリップは、ベースに対して安定良く保持される。しかも作業工具からの振動がグリップに伝わり難い。
【0012】
本開示の他の局面によると、連結機構は、グリップとベースの2部材の一つに設けられた回転軸と、2部材の他の1つに形成されかつ回転軸を回転可能に保持する軸受け部を有する。従って回転軸と軸受け部により、グリップがベースに対して回転可能となる。
【0013】
本開示の他の局面によると、先端部材が軸受け部の開口を塞いで回転軸を軸受け部に保持する。従って先端部材が連結機構の一部を構成する。
【0014】
本開示の他の局面によると、回転軸はグリップの内周面から内側に突出する凸部である。軸受け部はベースの先端に開口する凹部である。ベースの先端が先端部材の当接面と面当たりする。従って凸部と凹部の簡便な構成でグリップをベースに対して回転できる。また先端部材がベースの先端に面当たりすることで凹部の開口を塞ぐ。これにより、凸部の脱落を効率よく抑制できる。
【0015】
本開示の他の局面によると、ベースは、円筒状のベース本体を有する。弾性体は、ベースのベース本体の外周に接着される。従って弾性体をベースに接着しやすくなり、弾性体の位置ずれを抑制できる。
【0016】
本開示の他の局面によると、先端部材は、グリップよりも大径である。従ってグリップを把持する手が先端部材に引っ掛かることで抜け止めができる。
【0017】
本開示の他の局面によると、ハンマドリルが補助ハンドルを有する。従って補助ハンドルを把持してハンマドリルを使用する使用者への振動を抑制できる。これにより使用者の負担が低減される。
【0018】
次に、本開示の実施例の1つを
図1~4に基づいて説明する。
図1に示すハンマドリル1は、本体ハウジング2と、ドリルチャック3と、メインハンドル4と、サイドハンドル10を有する。本体ハウジング2には、モータや回転伝達機構が内蔵されている。ドリルチャック3は、本体ハウジング2の前部から本体ハウジング2の前方へ突出して設けられる。
【0019】
図1に示すように本体ハウジング2の前部には、円筒状のハンドル取付部2aが形成される。サイドハンドル10はハンドル取付部2aに取り付けられる。ハンドル取付部2aは、本体ハウジング2よりも小径である。これによりハンドル取付部2aは、本体ハウジング2に対して凹んだ形状となる。このためハンドル取付部2aに取り付けられたサイドハンドル10は、本体ハウジング2へ軸方向に移動することが規制される。本体ハウジング2の前端部には、略L字状の係止爪2bが形成される。係止爪2bは前端部の外周に沿って一定の間隔で設けられる。係止爪2bには不図示の集塵カップが係止される。集塵カップは、ドリルビット3aによって生じた粉塵が本体ハウジング2へ飛ぶことを抑制する。
【0020】
ドリルチャック3は、本体ハウジング2から前方へ突出する不図示のツールホルダに取り付けられる。ツールホルダにドリルビット3aが着脱自在に取り付けられる。これによりドリルビット3aは、ドリルチャック3から前方に突出する。メインハンドル4は、本体ハウジング2の後端部から本体ハウジング2の下方へ延設される。メインハンドル4はスイッチレバー4aを有する。スイッチレバー4aの後側にはスイッチ本体が内装されている。メインハンドル4を把持した手の指先でスイッチレバー4aを後方側へ引き操作するとスイッチ本体がオンしてモータが起動する。
【0021】
ハンマドリル1は使用者が一方の手(例えば右手)でメインハンドル4を把持し、他方の手(例えば左手)でサイドハンドル10を把持して用いられる。
図1に示すようにサイドハンドル10は、ハンマドリル1の打撃方向(出力軸線P)に交差する方向に延出される。なお
図1においては、明瞭化のためサイドハンドル10が本体ハウジング2から下方へ延びる縦姿勢で取り付けられる状態を示した。しかしサイドハンドル10は通常、本体ハウジング2から左方又は右方に延びる横姿勢で取り付けられて使用される。
【0022】
図2に示すようにサイドハンドル10は、取付部11と把持部12を備える。
図3に示すように取付部11は、カバー部材21と金属バンド22を有する。把持部12は、円筒状のベース40とベース40を覆うグリップ50を有する。金属バンド22は両端部を備えた略リング状に形成される鉄製部材である。金属バンド22の両端部には、係止孔23が形成されている。この係止孔23には、ねじ軸30の基部31が係合される。ねじ軸30は円筒状のベース40に通される。ねじ軸30の雄ねじ部32は、先端部材60の雌ねじ部63に螺合される。これにより金属バンド22が、ねじ軸30を介して把持部12に立設される。
【0023】
図3に示すように金属バンド22の両端部及びねじ軸30の基部31は、カバー部材21に収容される。先端部材60を締めることで、金属バンド22がカバー部材21の内部に引き込まれる。これにより、金属バンド22のリング状部の径が絞られる。このリング状部をハンドル取付部2aに嵌め付けることで、サイドハンドル10がハンマドリル1に装着される。カバー部材21の端部には、金属バンド22の内側に向かって突出する突起部24が形成される。突起部24は、金属バンド22を挟んで前後に3つずつ形成される。各突起部24は、ハンマドリル1のハンドル取付部2aに形成された窪み(不図示)に嵌り込む。突起部24により、ハンドル取付部2aに取り付けられたサイドハンドル10が周方向に回り止めされる。カバー部材21の把持部12と隣接する端部(図中下端部)には、径方向の外側に張り出すフランジ25が形成される。
【0024】
図3に示すようにカバー部材21の側方にはロック部80が一体に形成される。ロック部80は、図中上方に開口する内部空間を形成するガイド部材82を有する。ガイド部材82の内部には、ロック部材83が収容される。ガイド部材82の内壁面とロック部材83との間には、コイルばね81が装着される。コイルばね81の弾性力によって、ロック部材83は把持部12から遠ざかる方向へ付勢される。
図2、3に示すようにガイド部材82には、ハンマドリル1の打撃方向に貫通するガイド孔Hが形成される。ガイド孔Hは六角形状とされる。ガイド孔Hには断面六角形状の金属から成る棒状のストッパポール(不図示)を、ドリルビット3aと平行に移動自在に貫通させることができる。使用者は、ロック部材83をコイルばね81に抗して押し込んだ状態でストッパポールをガイド孔Hに差し込むことができる。
【0025】
図3に示すようにロック部材83には、金属製の係合爪部84及びストッパ85が形成される。コイルばね81がロック部材83を把持部12から遠ざける方向へ付勢することで、係合爪部84がガイド孔Hを通ったストッパポールに係合する。またストッパ85によりストッパポールが抑えられる。
【0026】
図3に示すようにベース40は、直線状に延びる円筒状のベース本体41を有する。ベース本体41の基端(図中上端)には、ベース本体41から取付部11に向けて徐々に径が大きくなる拡径部42が形成される。
図4に示すようにベース本体41の先端(図中下端)には、先端部材60に向けて開口する凹部43が2つ形成される。
【0027】
図3に示すようにグリップ50は、円筒状のグリップ本体51を有する。グリップ本体51の基端(図中上端)には、径方向の外側に向けて張り出すフランジ52が形成される。グリップ本体51の先端(図中下端)には、径方向の内側に向けて突出する円柱状の凸部53が2つ形成される。各凸部53は互いに向かい合う方向に突出する。グリップ50のグリップ本体51は、軸方向の中央部が両側部と比べて拡径された樽形状とされる。このため使用者がグリップ50を把持しやすい。
【0028】
図3に示すようにグリップ50は、ベース40の先端側から差し込まれてベース40の外周面を覆う。
図4に示すようにグリップ50の凸部53が、ベース40の凹部43に入り込む。これによりグリップ50は、凸部53を中心としてベース40に対して回転する。凸部53と凹部43が連結機構Lを形成する。凸部53が連結機構Lの回転軸を成すことで、回転軸が別部材から成る構成と比べて部品点数を減らすことができる。凸部53の軸方向(回転軸線Q)は、ハンマドリル1の打撃方向(出力軸線P)と交差する。これにより、グリップ50は、ベース40に対してハンマドリル1の打撃方向に沿って傾動する。このため、グリップ50がハンマドリル1の打撃方向に沿って生じる振動を効率よく抑制する。
【0029】
図3に示すようにグリップ50とベース40の間には弾性体70が設けられる。弾性体70はシート状のスポンジから成る。弾性体70はベース本体41の基端側の外周に巻き付けるようにして接着される。弾性体70の接着は、両面テープや接着剤等の任意の接着方法が用いられる。グリップ50の基端は、弾性体70を介してベース40に支持される。弾性体70はベース40からグリップ50に伝達される振動を抑制する。弾性体70はグリップ50の連結機構Lと反対側の端部に設けられる。グリップ50は連結機構Lを中心にベース40に対して傾動するため、グリップ50の基端側は先端側に比べてより大きく傾動する。弾性体70は、このグリップ50の基端側の傾動を安定良く支持して振動を抑制する。
【0030】
図2に示すように先端部材60は、グリップ50の外周面と面一状に面を成す。先端部材60の先端(図中下端)には、先端に向けて徐々に径が大きくなる拡径部61が形成される。拡径部61により先端部材60は、側面視で略台形状となる円錐形状を成す。グリップ50を把持する使用者の手が先端方向に移動した際に、先端部材60の拡径部61に引っ掛かる。このため拡径部61により、グリップ50を持つ手が先端方向に抜け止めされる。拡径部61の外周面には、複数の突出部62が周方向に沿って一定の間隔で形成される。突出部62により先端部材60を持つ手が滑り止めされる。このため使用者が先端部材60を回しやすい。
【0031】
図3に示すように先端部材60の中心部には、ねじ軸30が通される貫通孔66が形成される。貫通孔66の先端には雌ねじ部63が設けられる。先端部材60は、ベース40及びグリップ50の先端面(図中下端面)に当接する当接面64を有する。先端部材60は、グリップ50がベース40に対して外れないように支持する。
図4に示すように当接面64はベース40の凹部43を覆う。これにより凹部43の内部空間は、凹部43の内壁面と先端部材60の当接面64で閉じられた状態となる。このため、グリップ50の各凸部53がベース40の凹部43から外れることなく回転できる。当接面64の中心部には、ベース40に向かって張り出す張出部65が形成される。張出部65はベース40の内側に差し込まれる。これにより、先端部材60を取り付ける際に先端部材60をベース40に対して位置決めしやすい。
【0032】
以上のように
図2に示すようにサイドハンドル10は、ハンマドリル1の外周に巻かれる長尺状でかつ弾性変形可能な金属バンド22を有する。金属バンド22の両端にねじ軸30の基部31が連結される。ねじ軸30が筒状のベース40に通される。ベース40の先方に先端部材60が位置し、先端部材60にねじ軸30の先端が螺合される。ベース40を筒状のグリップ50が覆う。
【0033】
従ってねじ軸30が先端部材60に螺合される。先端部材60とは別部材としてグリップ50が設けられる。このためハンマドリル1の振動は、金属バンド22、ねじ軸30および先端部材60に伝達される。そして振動は、取付部材からねじ軸に伝わり、ねじ軸の基部から先方に伝わり、ねじ軸の先方の先端部材を経由した後にグリップ50に伝えられる。そのため従来の構造に比べて振動が減衰された状態でグリップ50に伝わる。かくしてグリップ50に振動が伝わり難い。
【0034】
図3に示すようにベース40の外周面とグリップ50の内周面の間に弾性体70が設けられる。このため弾性体70によりグリップ50がベース40に保持される。そして弾性体70によりベース40からグリップ50に伝わる振動が抑制される。
【0035】
図4に示すようにグリップ50をベース40に対して連結機構Lが回転可能に連結する。このためグリップ50がベース40に対して回転することでベース40からグリップ50に伝わる振動を抑制できる。
【0036】
図4に示すようにグリップ50がベース40に対してハンマドリル1の作業方向に沿って傾動するように連結機構Lがグリップ50をベース40に連結する。このためグリップ50が、ハンマドリル1の向きに沿って生じる振動を効率よく抑制できる。
【0037】
図3に示すように弾性体70は、先端部材60とは反対側のグリップ50の基部に設けられる。従って弾性体70を先端部材60よりも金属バンド22に近い位置に設けられる。このためグリップ50の一端は、先端部材60側に設けられた連結機構Lによってベース40に回転可能に連結される。グリップ50の他端は、弾性体70によりベース40に保持される。そのためグリップ50は、ベース40に対して安定良く保持される。しかもハンマドリル1からの振動がグリップ50に伝わり難い。
【0038】
図4に示すように連結機構Lは、グリップ50とベース40の2部材の一つに設けられた回転軸と、2部材の他の1つに形成されかつ回転軸を回転可能に保持する軸受け部を有する。従って回転軸と軸受け部により、グリップ50がベース40に対して回転可能となる。
【0039】
図4に示すように先端部材60が軸受け部の開口を塞いで回転軸を軸受け部に保持する。従って先端部材60が連結機構Lの一部を構成する。
【0040】
図4に示すように回転軸はグリップ50の内周面から内側に突出する凸部53である。軸受け部はベース40の先端に開口する凹部43である。ベース40の先端が先端部材60の当接面64と面当たりする。従って凸部53と凹部43の簡便な構成でグリップ50をベース40に対して回転できる。また先端部材60がベース40の先端に面当たりすることで凹部43の開口を塞ぐ。これにより、凸部53の脱落を効率よく抑制できる。
【0041】
図3に示すようにベース40は、円筒状のベース本体41を有する。弾性体70は、ベース40のベース本体41の外周に接着される。従って弾性体70をベース40に接着しやすくなり、弾性体70の位置ずれを抑制できる。
【0042】
図2に示すように先端部材60は、グリップ50よりも大径である。従ってグリップ50を把持する手が先端部材60に引っ掛かることで抜け止めができる。
【0043】
図1に示すようにハンマドリル1がサイドハンドル10を有する。従ってサイドハンドル10を把持してハンマドリル1を使用する使用者への振動を抑制できる。これにより使用者の負担が低減される。
【0044】
以上説明した実施例には種々変更を加えることができる。作業工具はドリルビット3aを回転させつつ打撃するハンマドリル1を例示した。これに代えて、例えばハツリ作業に用いるハンマ工具等であって先端工具に対して打撃動作のみする打撃工具でも良い。
【0045】
先端部材60は断面円形状を例示した。これに代えて、断面角形状等の適宜の形状としても良い。先端部材60は拡径部61を有しない構成でも良い。
【0046】
取付部材は鉄製の金属バンド22を例示した。これに代えてアルミニウム等鉄以外の金属製でも良い。その他金属ではなく樹脂から成る構成でもいい。
【0047】
弾性体70はシート状のスポンジを例示した。これに代えてゴムやシリコンでも良い。その他弾性体70は無端状のリング形状に形成されるものでも良い。その場合弾性体70は、ベース本体41の外周面に接着ではなく嵌め付けられる構成でも良い。弾性体70は、グリップ50の内周面に接着されるものでも良い。弾性体70は、ベース40の軸方向の中央よりも先端部材60側に設けられても良い。
【0048】
連結機構Lは、ベース40の軸方向の中央よりも金属バンド22側に設けられても良い。連結機構Lの回転軸はグリップ50の凸部53を例示した。これに代えてグリップ50やベース40とは別体のピンを用いても良い。凸部53がベース40に形成され、凹部43がグリップ50に形成されても良い。
【0049】
実施例のハンマドリル1が本開示の1つの局面における作業工具の一例である。実施例のサイドハンドル10が本開示の1つの局面における補助ハンドルの一例である。実施例の金属バンド22が本開示の1つの局面における取付部材の一例である。実施例のねじ軸30が本開示の1つの局面におけるねじ軸である。実施例のベース40が本開示の1つの局面におけるベースである。実施例の先端部材60が本開示の1つの局面における先端部材の一例である。実施例のグリップ50が本開示の1つの局面におけるグリップの一例である。
【0050】
実施例の弾性体70が本開示の1つの局面における弾性体の一例である。実施例の連結機構Lが本開示の1つの局面における連結機構の一例である。実施例の凸部53が本開示の1つの局面における回転軸の一例である。実施例の凹部43が本開示の1つの局面における軸受け部の一例である。
【符号の説明】
【0051】
1 ハンマドリル(作業工具)
2 本体ハウジング
2a ハンドル取付部
2b 係止爪
3 ドリルチャック
3a ドリルビット
4 メインハンドル
4a スイッチレバー
P 出力軸線
10 サイドハンドル(補助ハンドル、作業工具用補助ハンドル)
11 取付部
12 把持部
21 カバー部材
22 金属バンド(取付部材)
23 係止孔
24 突起部
25 フランジ
30 ねじ軸
31 基部
32 雄ねじ部
40 ベース
41 ベース本体
42 拡径部
43 凹部(軸受け部)
50 グリップ
51 グリップ本体
52 フランジ
53 凸部(回転軸)
L 連結機構
Q 回転軸線
60 先端部材
61 拡径部
62 突出部
63 雌ねじ部
64 当接面
65 張出部
66 貫通孔
70 弾性体
80 ロック部
81 コイルばね
82 ガイド部材
83 ロック部材
84 係合爪部
85 ストッパ
H ガイド孔