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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140159
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】プロテクタ
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/03 20060101AFI20241003BHJP
   B60K 15/073 20060101ALI20241003BHJP
   F02M 37/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60K15/03 B
B60K15/073 100
F02M37/00 301J
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051177
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】常葉 傑
(72)【発明者】
【氏名】石川 佳紀
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA17
3D038CA18
3D038CB01
3D038CC20
(57)【要約】
【課題】密閉型樹脂燃料タンクに取付けられ、燃料タンクの膨張による変形、後方からの衝突時の変形を抑制するプロテクタを提供する。
【解決手段】車両1に配置される樹脂製燃料タンク10に取付けられるプロテクタ20は、樹脂製燃料タンク10のタンク上面13から上方に突出するカットオフバルブ40の上方を覆う上方カバー部21と、上方カバー部21に連結し、樹脂製燃料タンク10の後方を覆う後方カバー部27を備え、上方カバー部21の前方側は開放され、上方カバー部21は、カットオフバルブ40以外の部位で樹脂製燃料タンク10に固定され、後方カバー部27は、樹脂製燃料タンク10のタンク後部側面14に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に配置される樹脂製燃料タンクに取付けられるプロテクタであって、
前記プロテクタは、前記樹脂製燃料タンクのタンク上面から上方に突出する機能部品の上方を覆う上方カバー部と、
前記上方カバー部に連結し、前記樹脂製燃料タンクの後方を覆う後方カバー部を備え、
前記上方カバー部の前方側は開放され、
前記上方カバー部は、前記機能部品以外の部位で前記樹脂製燃料タンクに固定され、
前記後方カバー部は、前記樹脂製燃料タンクのタンク後部側面に固定されることを特徴とするプロテクタ。
【請求項2】
前記上方カバー部は、前記機能部品の上方領域に形成される平面形状の第1カバー部と、前記第1カバー部より下方の前記タンク上面側に位置し、平面部を有する第2カバー部と、前記第1カバー部と前記第2カバー部を接続する連結部を備え、前記第2カバー部の前記平面部が前記タンク上面に固定される請求項1に記載のプロテクタ。
【請求項3】
前記上方カバー部には、緩衝材が取付けられる請求項1又は請求項2に記載のプロテクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用の燃料を貯留する密閉型の樹脂製燃料タンクに取付けられ、樹脂製燃料タンクの膨張による変形、後方からの衝突時の変形を抑制するプロテクタに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車などの車両には、エンジンに供給されるガソリン等の燃料を貯留する燃料タンクが、車両の適宜の位置、例えば、前席や後席の下部に搭載されている。この燃料タンクは、気化した蒸発燃料の大気中への拡散を防止するために、密閉型が採用されている。
【0003】
又、軽量化、車体のフロアパネルの形状への追従性向上や車両バランスへの貢献の観点から、樹脂製の燃料タンクが広く採用されている。
【0004】
このような密閉型の樹脂製燃料タンクにおいては、外気温が上昇した場合において、タンクの内圧が上昇して樹脂製燃料タンクが上下方向に膨張する。この場合、特に上方向の膨張は、車体のフロアパネルのパネル下面との隙間が狭くなり、樹脂製燃料タンクの上面に溶着されている機能部品、例えば、カットオフバルブのフロアパネルのパネル下面への当接に起因する誤作動や破損が問題となる。
【0005】
図4は、内圧上昇による燃料タンクの膨張、変形を抑制する技術として、特許文献1に記載された技術である。特許文献1は、車両用の燃料を貯留する密閉型の燃料タンク本体100と、上下方向における燃料タンク本体100の変形を抑制する変形抑制部材200とを備えた車両用燃料タンク構造であって、燃料タンク本体100が、車両の図示しないバッテリケースフレームに設けた車体側固定部に締結固定される第1被固定部120、第2被固定部130、及び図示しない燃料タンク本体100の後方に配置される第3被固定部を備え、変形抑制部材200が、燃料タンク本体100の上面部110に当接する環状当接部210と、環状当接部210に接合されるとともに、燃料タンク本体100の第1被固定部120、及び第3被固定部を介して車体側固定部に締結固定される一組の連結脚部220とで構成されている。
【0006】
これにより、車両用燃料タンク構造は、燃料タンク本体100の内圧が上昇した際、燃料タンク本体100の一方の面を膨張させる荷重によって、燃料タンク本体100の一方の面に対する変形抑制部材200の当接部の相対位置が変動することを抑制できる。
【0007】
一方、内圧上昇への対策ではないが、図5は、車両後方から衝突された際に、車両後方から侵入した衝突物がタンク機能部品へ衝突することを防ぐ技術であり、特許文献2に記載された技術である。特許文献2は、車両後方に配置される燃料タンク100と、燃料タンク100の上面部110に固定されるカットオフバルブ400と、を備える車両後部構造であって、カットオフバルブ400のうち燃料タンク100の上面部110から上方へ向かって突出した部分の周囲を取り囲み、下端が燃料タンク100の上面部110に固定される円筒部420と上面部430から構成されるプロテクタ410と、プロテクタ410の上方を覆う平面部510と、平面部510の後端から後方かつ下方へ向かって斜めに延びる斜面部520と、を有するリアフロアパン500と、を備え、燃料タンク100の上面部110には、プロテクタ410の周囲を取り囲む環状の変形可能部140が設けられている。
【0008】
これにより、車両後方から衝突された際に、燃料タンク100の上面部110の変形可能部140を変形させてカットオフバルブ400を衝突物侵入エリアより下方へ逃がして、衝突物がカットオフバルブ400へ衝突することを避けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第6468336号公報
【特許文献2】特開2022-88834号公報ド
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところで、特許文献1の技術では、変形抑制部材200は、燃料タンク本体100の上面部110に当接する環状当接部210を一組の連結脚部220と接続させ、連結脚部220を車両の前後から挟むように、バッテリケースフレームに設けた車体側固定部に固定するため、燃料タンク本体100が大きくなった時には、変形抑制部材200は、非常に大きなものになる。又、連結脚部220以外は、燃料タンク本体100をカバーしていない。したがって、変形抑制部材200は、燃料タンク本体100の後方を十分保護できていない。
【0011】
一方、特許文献2の技術では、車両後方から衝突された際に、燃料タンク100の上面部110の変形可能部140の変形により、衝突物がカットオフバルブ400へ衝突することを避けることができるが、変形可能部140が、燃料タンクの内圧上昇による膨張した時に、燃料タンク100の膨張、変形を抑制することができるか否かについては、何も触れられていない。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車両に配置される樹脂製燃料タンクに取付けられるプロテクタであって、プロテクタは、樹脂製燃料タンクのタンク上面から上方に突出する機能部品の上方を覆う上方カバー部と、上方カバー部に連結し、樹脂製燃料タンクの後側を覆う後方カバー部を備え、上方カバー部の前方側は開放され、上方カバー部は、機能部品以外の部位で樹脂製燃料タンクに固定され、後方カバー部は、樹脂製燃料タンクのタンク後部側面に固定されることを特徴とするプロテクタである。
【0013】
請求項1の本発明では、プロテクタは、樹脂製燃料タンクのタンク上面から上方に突出する機能部品の上方を覆う上方カバー部を備え、上方カバー部は、機能部品以外の部位で樹脂製燃料タンクに固定されるので、樹脂製燃料タンクの内圧上昇の際は、上方カバー部により樹脂製燃料タンクのタンク上面の樹脂製燃料タンクの上方への膨張、変形を抑制し、樹脂製燃料タンクの下面の膨張、変形により樹脂製燃料タンクの内圧上昇を防ぐことができる。その結果、タンク上面から上方に突出する機能部品を保護することができる。
【0014】
又、プロテクタは、樹脂製燃料タンクの後方を覆う後方カバー部を備え、樹脂製燃料タンクのタンク後部側面に固定されるので、衝突物が樹脂製燃料タンクに直接衝突することを防止することができる。
【0015】
又、上方カバー部と後方カバー部は連結され一体化されているので、プロテクタを容易に樹脂製燃料タンクに取付けることができる。
【0016】
又、上方カバー部の前方側は開放されているので、機能部品に取付けられるパイプや電気配線を開放された前方側を通じて取り廻すことができる。さらに、後方からの衝突時に、パイプや電気配線を合わせて保護することができる。
【0017】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、上方カバー部は、機能部品の上方領域に形成される平面形状の第1カバー部と、第1カバー部より下方のタンク上面側に位置し、平面部を有する第2カバー部と、第1カバー部と第2カバー部を接続する連結部を備え、第2カバー部の平面部がタンク上面に固定されるプロテクタである。
【0018】
請求項2の本発明では、上方カバー部は、機能部品の上方領域に形成される平面形状の第1カバー部と、第1カバー部より下方のタンク上面側に位置し、平面部を有する第2カバー部と、第1カバー部と第2カバー部を接続する連結部を備え、第2カバー部の平面部がタンク上面に固定されるので、第1カバー部、第2カバー部と連結部により樹脂製燃料タンクのタンク上面の樹脂製燃料タンクの上方への膨張、変形を抑制し、樹脂製燃料タンクの下面の膨張、変形により樹脂製燃料タンクの内圧上昇を防ぐことができる。その結果、タンク上面から上方に突出する機能部品を保護することができる。
【0019】
又、第1カバー部は平面形状であるので、樹脂製燃料タンクの内圧上昇の際に、第1カバー部が上方に若干移動し、フロアパネルのパネル下面に当接する場合には、第1カバー部とパネル下面は面で当接する。その結果、第1カバー部の変形を抑制することができると共に、フロアパネルのパネル下面と第1カバー部間にかかる力を面で分散して受止めることができる。
【0020】
又、第2カバー部の平面部が樹脂製燃料タンクに当接するので、樹脂製燃料タンクの内圧上昇の際に、第2カバーとタンク上面間にかかる力を広い面で分散して受止めることができる。その結果、プロテクタの耐久性が向上する。
【0021】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、上方カバー部には、緩衝材が取付けられるプロテクタである。
【0022】
請求項3の本発明では、上方カバー部には、緩衝材が取付けられるので、フロアパネルのパネル下面と上方カバー部が直接当接することを防止することができる。その結果、フロアパネルのパネル下面を傷つけることを防止することができる。又、樹脂製燃料タンクの振動がフロアパネルに伝達されるのを防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
車両に配置される樹脂製燃料タンクに取付けられるプロテクタであって、プロテクタは、樹脂製燃料タンクのタンク上面から上方に突出する機能部品の上方を覆う上方カバー部と、上方カバー部に連結し、樹脂製燃料タンクの後側を覆う後方カバー部を備え、上方カバー部の前方側は開放され、上方カバー部は、機能部品以外の部位で樹脂製燃料タンクに固定され、後方カバー部は、樹脂製燃料タンクのタンク後部側面に固定されるので、燃料タンクの内圧上昇の際は、上方カバー部により樹脂製タンク上面の樹脂製燃料タンクの上方への膨張、変形を抑制し、樹脂製燃料タンクの下面の膨張、変形により樹脂製燃料タンクの内圧上昇を防ぐことができる。その結果、タンク上面から上方に突出する機能部品を保護することができる。
【0024】
又、プロテクタは、樹脂製燃料タンクの後方を覆う後方カバー部を備え、樹脂製燃料タンクのタンク後部側面に固定されるので、衝突物が樹脂製燃料タンクに直接衝突することを防止することができる。
【0025】
又、上方カバー部と後方カバー部は連結され一体化されているので、プロテクタを容易に樹脂製燃料タンクに取付けることができる。
【0026】
又、上方カバー部の前方側は開放されているので、機能部品に取付けられるパイプや電気配線を開放された前方側を通じて取り廻すことができる。さらに、後方からの衝突時に、パイプや電気配線を合わせて保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態であり、プロテクタが取付けられた樹脂製燃料タンクの上面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3図1のB-B断面図である。
図4】従来の燃料タンクの外観斜視図である(特許文献1)
図5】従来の車両後部構造の断面図である(特許文献2)
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明の実施形態を、図1から図3に基づいて説明する。なお、以下では、車両1の前後方向を「前後方向」といい、車両1の高さ方向の上方及び下方をそれぞれ「上方」及び「下方」という。又、車両1の幅方向を「幅方向」という。
【0029】
図1は、プロテクタ20が取付けられた樹脂製燃料タンク10の上面図である。又、図2図は、図1のA-A断面図であり、図3は、図1のB-B断面図である。なお、図2図3は、車両1のフロアパネル2に取付けた時の断面図である。図3に示すように、車両1は、後方に配置される樹脂製燃料タンク10を備える。樹脂製燃料タンク10は、底が深い前部11と底が浅い後部12で構成されている。又、タンク上面13は、前部11が後部12より下方に位置している。前部11の内側には、燃料を図示しないエンジンへ送り出す燃料ポンプ15が取付けられている。樹脂製燃料タンク10の後部12の下方には、図示しない排気管が配置されているため、後部12は底が浅くなっている。又、樹脂製燃料タンク10の前方には、幅方向に延びる図示しないクロスメンバが配置されている。なお、図1から図3の樹脂製燃料タンク10は、簡略に模式化した図である。
【0030】
樹脂製燃料タンク10の後部12のタンク上面13には、機能部品としてカットオフバルブ40が溶着によって固定されている。カットオフバルブ40からは、図示しないチャコールキャニスタまで蒸気排気管が接続されている。カットオフバルブ40は、樹脂製燃料タンク10内の気圧の変化に応じて樹脂製燃料タンク10からチャコールキャニスタへ燃料の蒸気を排出することができ、又、車両横転時などカットオフバルブ40が液体燃料に浸かった場合には、カットオフバルブ40が閉鎖し、燃料漏れを防ぐことができる。樹脂製燃料タンク10において、後部12が前部11より上方になるように製造するのは、燃料を満タンに入れた際にカットオフバルブ40が液体燃料に浸かって樹脂製燃料タンク10から燃料の蒸気を排出できなくなることを抑制するためである。
【0031】
図1図3に示すように、樹脂製燃料タンク10の後部12には、タンク上面13からタンク後部側面14を覆うプロテクタ20が取付けられている。タンク上面13には、後述するプロテクタ20の上方カバー部21の第2カバー部23と係合し、プロテクタ20をタンク上面13に固定するためのプロテクタ上部取付部16が、カットオフバルブ40を挟んで2箇所に形成されている。
【0032】
プロテクタ上部取付部16には、後にナット51締めするためのネジ山が形成されている。又、プロテクタ上部取付部16より後方のタンク上面13であり、後述するプロテクタ20の上方カバー部21の第2カバー部23の平面部25と係合する位置には、プロテクタ20がタンク上面13に当接することによるタンク上面13の傷つきを防止する観点から、スペーサ50が貼り付けられている。スペーサ50はゴム製である。なお、スペーサ50は、ゴム製でなくてもよく、又、スペーサ50を貼り付けることなく、プロテクタ20をタンク上面13に当接させてもよい。
【0033】
タンク後部側面14には、後述するプロテクタ20の後方カバー部27を固定するためのプロテクタ後部取付部17が溶着により形成されている。プロテクタ後部取付部17には、後にナット52締めを行うためのネジ山が形成されている。
【0034】
プロテクタ20は、カットオフバルブ40の上方を覆う上方カバー部21と、上方カバー部21に連結し、樹脂製燃料タンク10の後方を覆う後方カバー部27を備えている。後方カバー部27は、樹脂製燃料タンク10のタンク後部側面14まで延設されている。本実施形態において、プロテクタ20は、鋼板を使用した。なお、プロテクタ20は、樹脂製であってもよい。
【0035】
図2に示すように、プロテクタ20の上方カバー部21は、破線で示したカットオフバルブ40の上方領域に形成される平面形状(図1)の第1カバー部22と、第1カバー部22よりタンク上面13側に位置する第2カバー部23と、第1カバー部22と第2カバー部23を接続する連結部24を備えている。
【0036】
第2カバー部23は、タンク上面13に面で当接可能な平面部25を備えている。又、図1に示すように平面部25には、前方が開放された溝部26が第1カバー部22を挟んで2箇所形成されている。溝部26は、樹脂製燃料タンク10のタンク上面13に形成されたプロテクタ上部取付部16と係合する。
又、第2カバー部23の幅方向の両端部28、28は、平面部25より上方に位置している。これは、衝突物にプロテクタ20が押された際に、プロテクタ20の角が樹脂製燃料タンク10の表面にあたり、樹脂製燃料タンク10の表面を傷つけることを防止するためである。
【0037】
連結部24は、第1カバー部22から第2カバー部23にかけて裾野が少し拡がる形状に形成されている。なお、本発明の効果である樹脂製燃料タンク10の内圧上昇の際に、タンク上面13の上方への膨張を防ぐ観点からは、連結部24は、第1カバー部22と第2カバー部23間の距離が変化しないように形成することが求められるので、この裾野の広がりの程度は小さく、略垂直に近いことが望ましい。
【0038】
又、上方カバー部21の第1カバー部22の前方は、開放されている。したがって、カットオフバルブ40に接続する図示しないパイプ等の取り回しをこの開放部分から行うことができる。
【0039】
図3に示すように、後方カバー部27は、上方カバー部21の第1カバー部22に連結し、後方に向かってタンク上面13に近づく傾斜部29と、傾斜部29に連結する後方側面部30を備えている。後方側面部30には、孔部が形成され、樹脂製燃料タンク10のプロテクタ後部取付部17に係合する。
【0040】
プロテクタ20の上方カバー部21の第1カバー部22には、緩衝材60が取付けられている。本実施形態では、緩衝材60として、ゴムを使用し、第1カバー部22上に接着して取付けた。なお、緩衝材60は、ゴムには限定されず、後述する車両1のフロアパネル2のパネル下面3に当接することができれば、他の部材であってもよい。
【0041】
プロテクタ20は、後方カバー部27の孔部が樹脂製燃料タンク10のプロテクタ後部取付部17に取付けられ、ナット51で固定される。又、上方カバー部21の第2カバー部23の溝部26が樹脂製燃料タンク10のプロテクタ上部取付部16に後方から挿入され、プロテクタ上部取付部16に図示しないナットによって固定される。
【0042】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)本実施形態では、プロテクタ20は、樹脂製燃料タンク10のタンク上面13から上方に突出するカットオフバルブ40の上方を覆う上方カバー部21を備え、上方カバー部21は、第1カバー部22、第2カバー部23と、第1カバー部22と第2カバー部23を接続する連結部24で構成され、第2カバー部23がタンク上面13に固定されるので、樹脂製燃料タンク10の内圧上昇の際は、上方カバー部21によりタンク上面13の上方への膨張、変形を抑制し、樹脂製燃料タンク10の下面の膨張、変形により内圧上昇を防ぐことができる。その結果、タンク上面13から上方に突出するカットオフバルブ40を保護することができる。
【0043】
(2)本実施形態では、第1カバー部22は平面形状であるので、樹脂製燃料タンク10の内圧上昇の際に、第1カバー部22が上方に若干移動し、フロアパネル2のパネル下面3に当接する場合には、第1カバー部22とパネル下面3は面で当接する。その結果、第1カバー部22の変形を抑制することができると共に、フロアパネル2のパネル下面3と第1カバー部22間にかかる力を面内で分散して受止めることができる。
【0044】
(3)本実施形態では、第2カバー部23の平面部25が樹脂製燃料タンク10に当接するので、樹脂製燃料タンク10の内圧上昇の際に、第2カバー部23とタンク上面13間にかかる力を広い面内で分散して受止めることができる。
【0045】
(4)本実施形態では、タンク上面13において、プロテクタ20の上方カバー部21の第2カバー部23の平面部25と係合する位置には、スペーサ50が取付けられているので、プロテクタ20がタンク上面13に当接することによるタンク上面13の傷つきを防止することができる。又、スペーサ50は、カットオフバルブ40と第1カバー部22との間の距離を調整する機能も有している。
【0046】
(5)本実施形態では、プロテクタ20は、樹脂製燃料タンク10の後方を覆う後方カバー部27を備え、樹脂製燃料タンク10のタンク後部側面14に固定されるので、衝突物が樹脂製燃料タンク10に直接衝突することを防止することができる。
【0047】
(6)本実施形態では、上方カバー部21と後方カバー部27は連結され一体化されているので、プロテクタ20を容易に樹脂製燃料タンク10に取付けることができる。
【0048】
(7)本実施形態では、上方カバー部21の前方側は開放されているので、カットオフバルブ40に取付けられるパイプを開放された前方側を通じて取り廻すことができる。さらに、後方からの衝突時に、パイプを合わせて保護することができる。
【0049】
(8)本実施形態では、プロテクタ20の上方カバー部21の第1カバー部22には、緩衝材60が取付けられているので、フロアパネル2のパネル下面3と第1カバー部22が直接当接し、フロアパネル2のパネル下面3を傷つけることを防止することができる。又、樹脂製燃料タンク10の振動がフロアパネル2に伝達されるのを防止することができる。
【0050】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0051】
上記の本実施形態では、スペーサ50をタンク上面13に貼り付けたが、スペーサ50は、プロテクタ20の上方カバー部21の第2カバー部23の平面部25の下面に貼り付けてもよい。
【0052】
上記の本実施形態では、緩衝材60をプロテクタ20の上方カバー部21の第1カバー部22に取付けたが、緩衝材60をフロアパネル2のパネル下面3に取付け、プロテクタ20の上方カバー部21の第1カバー部22が、緩衝材60に当接するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 車両
2 フロアパネル
10 樹脂製燃料タンク
13 タンク上面
16 プロテクタ後部取付部
17 プロテクタ上部取付部
20 プロテクタ
21 上方カバー部
22 第1カバー部
23 第2カバー部
24 連結部
25 平面部
26 溝部
27 後方カバー部
29 傾斜部
30 後方側面部
40 カットオフバルブ
50 スペーサ
60 緩衝材
図1
図2
図3
図4
図5