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2024-140162発電状態管理装置、発電状態管理方法および発電状態管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140162
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】発電状態管理装置、発電状態管理方法および発電状態管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20241003BHJP
【FI】
H02S50/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051180
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000682
【氏名又は名称】弁理士法人ワンディ-IPパ-トナ-ズ
(72)【発明者】
【氏名】谷村 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】浅尾 芳久
(72)【発明者】
【氏名】松下 友久
(72)【発明者】
【氏名】中川 和三
【テーマコード(参考)】
5F251
【Fターム(参考)】
5F251JA14
5F251KA08
5F251KA09
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させる。
【解決手段】発電状態管理装置は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられ、前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部とを備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置であって、
前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、
前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、
前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部とを備える、発電状態管理装置。
【請求項2】
前記計測結果取得部は、時系列の前記計測結果に基づく時系列データを取得し、
前記角度情報取得部は、前記時系列データに基づく時間軸波形の対称性に基づいて、未知の設置角度で設置された前記太陽電池パネルの方位角である対象方位角を判定し、前記対象方位角の判定結果を含む前記角度情報を生成する、請求項1に記載の発電状態管理装置。
【請求項3】
前記角度情報取得部は、複数の仮の方位角、複数の仮の仰角、および太陽方向ベクトルに基づいて前記時系列データを補正することにより得られる、前記仮の方位角および前記仮の仰角の複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の補正データと、所定の方位角および所定の仰角で設置された太陽電池パネルを含む発電部の出力の時系列データとの比較結果に基づいて、未知の設置角度で設置された前記太陽電池パネルの方位角および仰角を判定する、請求項2に記載の発電状態管理装置。
【請求項4】
前記角度情報取得部は、複数の仮の方位角、複数の仮の仰角、および太陽方向ベクトルに基づいて、所定の方位角および所定の仰角で設置された太陽電池パネルを含む発電部の出力の時系列データを補正することにより得られる、前記仮の方位角および前記仮の仰角の複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の補正データと、前記計測結果取得部により取得された前記時系列データとの比較結果に基づいて、未知の設置角度で設置された前記太陽電池パネルの方位角および仰角を判定する、請求項2に記載の発電状態管理装置。
【請求項5】
前記発電状態管理装置は、さらに、
前記補正部により補正された値に基づいて、前記太陽光発電システムにおける異常を検知する異常検知部を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の発電状態管理装置。
【請求項6】
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置における発電状態管理方法であって、
前記発電部の出力の計測結果を取得するステップと、
前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得するステップと、
取得した前記角度情報に基づいて、取得した前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正するステップとを含む、発電状態管理方法。
【請求項7】
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置、において用いられる発電状態管理プログラムであって、
コンピュータを、
前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、
前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、
前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部、
として機能させるための、発電状態管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発電状態管理装置、発電状態管理方法および発電状態管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、太陽光発電システムを監視するための技術が開発されている。たとえば、特許文献1(特開2018-26909号公報)には、以下のような発電状態判定装置が開示されている。すなわち、発電状態判定装置は、複数の発電部のうち発電状態を判定する対象の発電部における出力の計測結果と、当該対象の発電部以外の発電部における出力の計測結果を用いて定めた基準値との比に基づいて、対象の発電部の発電状態を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-26909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術を超えて、太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させることが可能な技術が望まれる。
【0005】
本開示は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させることが可能な発電状態管理装置、発電状態管理方法および発電状態管理プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の発電状態管理装置は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置であって、前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部とを備える。
【0007】
本開示の一態様は、このような特徴的な処理部を備える発電状態管理装置として実現できるだけでなく、発電状態管理装置を備える発電状態管理システムとして実現することができる。また、本開示の一態様は、発電状態管理装置の一部または全部を実現する半導体集積回路として実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の第1の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
図2図2は、本開示の第1の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
図3図3は、本開示の第1の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
図4図4は、本開示の第1の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
図5図5は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理システムの構成を示す図である。
図6図6は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理システムにおける監視装置の構成を示す図である。
図7図7は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置により生成される発電電力データDpの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置の構成を示す図である。
図9図9は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における計測結果取得部により生成される発電電力データDpの一例を示す図である。
図10図10は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における処理部により生成される発電電力データDpRの一例を示す図である。
図11図11は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における角度情報取得部により生成される差分データDdxの一例を示す図である。
図12図12は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における角度情報取得部により生成される差分データDdxの一例を示す図である。
図13図13は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における角度情報取得部により生成される差分データDdxの一例を示す図である。
図14図14は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における角度情報取得部により生成される差分データDdxの一例を示す図である。
図15図15は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における角度情報取得部により生成される差分データDdxの一例を示す図である。
図16図16は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置が非標準角度情報Aabn1の生成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図17図17は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
図18図18は、本開示の第2の実施の形態に係る発電状態管理装置の構成を示す図である。
図19図19は、本開示の第2の実施の形態に係る発電状態管理装置が非標準角度情報Aabn2の生成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
【0011】
(1)本開示の実施の形態に係る発電状態管理装置は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置であって、前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部とを備える。
【0012】
このように、角度情報に基づいて、発電部の出力の計測結果または当該計測結果に基づく値を補正する構成により、太陽電池パネルの設置角度に応じた計測結果の差異を吸収することができるので、各発電部の出力の計測結果を一括して用いて、太陽光発電システムにおける異常を検知することができる。したがって、太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させることができる。
【0013】
(2)上記(1)において、前記計測結果取得部は、時系列の前記計測結果に基づく時系列データを取得してもよく、前記角度情報取得部は、前記時系列データに基づく時間軸波形の対称性に基づいて、未知の設置角度で設置された前記太陽電池パネルの方位角である対象方位角を判定し、前記対象方位角の判定結果を含む前記角度情報を生成してもよい。
【0014】
このような構成により、太陽電池パネルの方位角に基づいて当該太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果を補正することができるので、太陽電池パネルの方位角に応じた計測結果の差異を吸収することができる。
【0015】
(3)上記(2)において、前記角度情報取得部は、複数の仮の方位角、複数の仮の仰角、および太陽方向ベクトルに基づいて前記時系列データを補正することにより得られる、前記仮の方位角および前記仮の仰角の複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の補正データと、所定の方位角および所定の仰角で設置された太陽電池パネルを含む発電部の出力の時系列データとの比較結果に基づいて、未知の設置角度で設置された前記太陽電池パネルの方位角および仰角を判定してもよい。
【0016】
このような構成により、たとえば、仮の方位角および仮の仰角の組み合わせを掃引することにより得られる複数の補正データと、既知の方位角および仰角で設置された太陽電池パネルを含む発電部の出力の時系列データとに基づいて、未知の設置角度で設置された太陽電池パネルの方位角および仰角をより正確に判定することができる。また、太陽電池パネルの仰角に基づいて当該太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果を補正することができるので、太陽電池パネルの仰角に応じた計測結果の差異を吸収することができる。
【0017】
(4)上記(2)において、前記角度情報取得部は、複数の仮の方位角、複数の仮の仰角、および太陽方向ベクトルに基づいて、所定の方位角および所定の仰角で設置された太陽電池パネルを含む発電部の出力の時系列データを補正することにより得られる、前記仮の方位角および前記仮の仰角の複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の補正データと、前記計測結果取得部により取得された前記時系列データとの比較結果に基づいて、未知の設置角度で設置された前記太陽電池パネルの方位角および仰角を判定してもよい。
【0018】
このような構成により、たとえば、仮の方位角および仮の仰角の組み合わせを掃引することにより得られる複数の補正データと、未知の方位角および仰角で設置された太陽電池パネルを含む発電部の出力の時系列データとに基づいて、当該太陽電池パネルの方位角および仰角をより正確に判定することができる。また、太陽電池パネルの仰角に基づいて当該太陽電池パネルを含む発電部の出力の計測結果を補正することができるので、太陽電池パネルの仰角に応じた計測結果の差異を吸収することができる。また、未知の設置角度で設置された複数の太陽電池パネルの方位角および仰角を、共通の補正データを用いて簡便に判定することができる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)のいずれかにおいて、前記発電状態管理装置は、さらに、前記補正部により補正された値に基づいて、前記太陽光発電システムにおける異常を検知する異常検知部を備えてもよい。
【0020】
このような構成により、発電状態管理装置において、太陽光発電システムにおける異常をより正確に検知することができる。
【0021】
(6)本開示の実施の形態に係る発電状態管理方法は、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置における発電状態管理方法であって、前記発電部の出力の計測結果を取得するステップと、前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得するステップと、取得した前記角度情報に基づいて、取得した前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正するステップとを含む。
【0022】
このように、角度情報に基づいて、発電部の出力の計測結果または当該計測結果に基づく値を補正する方法により、太陽電池パネルの設置角度に応じた計測結果の差異を吸収することができるので、各発電部の出力の計測結果を一括して用いて、太陽光発電システムにおける異常を検知することができる。したがって、太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させることができる。
【0023】
(7)本開示の実施の形態に係る発電状態管理プログラムは、太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置、において用いられる発電状態管理プログラムであって、コンピュータを、前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部、として機能させるためのプログラムである。
【0024】
このように、角度情報に基づいて、発電部の出力の計測結果または当該計測結果に基づく値を補正する構成により、太陽電池パネルの設置角度に応じた計測結果の差異を吸収することができるので、各発電部の出力の計測結果を一括して用いて、太陽光発電システムにおける異常を検知することができる。したがって、太陽光発電システムにおける異常検知の精度を向上させることができる。
【0025】
以下、本開示の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。また、以下に記載する実施の形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0026】
<第1の実施の形態>
[太陽光発電システムの構成]
図1は、本開示の第1の実施の形態に係る太陽光発電システムの構成を示す図である。
【0027】
図1を参照して、太陽光発電システム401は、4つのPCS(Power Conditioning System)ユニット80と、キュービクル6とを備える。キュービクル6は、銅バー73を含む。
【0028】
図1では、4つのPCSユニット80を代表的に示しているが、さらに多数または少数のPCSユニット80が設けられてもよい。
【0029】
図2は、本開示の第1の実施の形態に係るPCSユニットの構成を示す図である。
【0030】
図2を参照して、PCSユニット80は、4つの集電ユニット60と、PCS8とを備える。PCS8は、銅バー7と、電力変換部9とを含む。
【0031】
図2では、4つの集電ユニット60を代表的に示しているが、さらに多数または少数の集電ユニット60が設けられてもよい。
【0032】
図3は、本開示の第1の実施の形態に係る集電ユニットの構成を示す図である。
【0033】
図3を参照して、集電ユニット60は、4つの太陽電池ユニット75と、集電箱71とを含む。集電箱71は、銅バー72を有する。
【0034】
図3では、4つの太陽電池ユニット75を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池ユニット75が設けられてもよい。
【0035】
図4は、本開示の第1の実施の形態に係る太陽電池ユニットの構成を示す図である。
【0036】
図4を参照して、太陽電池ユニット75は、4つの発電部78と、接続箱76とを含む。発電部78は、複数の太陽電池パネル79を有する。接続箱76は、銅バー77を有する。たとえば、太陽電池ユニット75は、発電部78である発電部78A,78Bを含む。発電部78Aにおける各太陽電池パネル79は、受光面の法線方向の方位角が180°となり、かつ受光面の法線方向の仰角が30°となるように設置される。発電部78Bにおける各太陽電池パネル79は、受光面の法線方向の方位角が220°となり、かつ受光面の法線方向の仰角が30°となるように設置される。ここで、本明細書において、「方位角」は、北を基準方位とし、かつ時計回りを正の角度とする。また、以下では、太陽電池パネル79の受光面の法線方向の方位角を、太陽電池パネル79の方位角と言う場合があり、太陽電池パネル79の受光面の法線方向の仰角を、太陽電池パネル79の仰角と言う場合がある。
【0037】
図4では、4つの発電部78を代表的に示しているが、さらに多数または少数の発電部78が設けられてもよい。
【0038】
発電部78は、この例では4つの太陽電池パネル79が直列接続されたストリングである。
【0039】
図4では、1つの発電部78に対して、4つの太陽電池パネル79を代表的に示しているが、さらに多数または少数の太陽電池パネル79が設けられてもよい。
【0040】
太陽光発電システム401では、複数の発電部78からの出力ライン1および集約ライン2,5すなわち電力線が、図2に示すPCS8に電気的に接続される。
【0041】
PCS8において、電力変換部9は、たとえば、各発電部78において発電された直流電力を出力ライン1、銅バー77、集約ライン5、銅バー72、集約ライン2、銅バー7および内部ライン3経由で受けると、受けた直流電力を交流電力に変換して集約ライン4へ出力する。
【0042】
集約ライン4は、電力変換部9に接続された第1端と、銅バー73に接続された第2端とを有する。
【0043】
キュービクル6において、各PCS8における電力変換部9から各集約ライン4へ出力された交流電力は、銅バー73を介して系統へ出力される。
【0044】
[発電状態管理システムの構成]
図5は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理システムの構成を示す図である。
【0045】
図5を参照して、発電状態管理システム301は、太陽光発電システム401に用いられる。発電状態管理システム301は、発電状態管理装置101と、複数の監視装置111と、複数の収集装置151とを含む。
【0046】
図5では、1つの集電ユニット60に対応して設けられた4つの監視装置111を代表的に示しているが、1つの集電ユニット60に対応してさらに多数または少数の監視装置111が設けられてもよい。
【0047】
発電状態管理システム301では、子機である監視装置111におけるセンサの情報が、親機である収集装置151へ定期的または不定期に伝送される。
【0048】
監視装置111は、たとえば集電ユニット60に設けられている。より詳細には、監視装置111は、4つの太陽電池ユニット75にそれぞれ対応して4つ設けられている。各監視装置111は、たとえば、対応の出力ライン1および集約ライン5に電気的に接続されている。
【0049】
監視装置111は、対応の太陽電池ユニット75における発電部78を監視する。たとえば、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット75における各出力ライン1の電流をセンサにより計測する。また、たとえば、監視装置111は、対応の太陽電池ユニット75における各出力ライン1の電圧をセンサにより計測する。
【0050】
収集装置151は、監視装置111による計測結果を示す計測情報を収集する。収集装置151は、たとえばPCS8の近傍に設けられている。より詳細には、収集装置151は、PCSユニット80に対応して設けられ、導線46を介してPCS8における銅バー7に電気的に接続されている。収集装置151は、対応のPCSユニット80における集電ユニット60に設けられた複数の監視装置111から計測情報を収集する。
【0051】
監視装置111および収集装置151は、集約ライン2,5を介して電力線通信(PLC:Power Line Communication)を行うことにより情報の送受信を行う。
【0052】
より詳細には、各監視装置111は、対応の出力ライン1の電流および電圧を計測し、計測結果を含む計測情報を生成する。各監視装置111は、生成した計測情報を集約ライン2,5経由で収集装置151へ送信する
【0053】
収集装置151は、集約ライン2,5経由で監視装置111と電力線通信を行い、監視装置111から計測情報を受信する。
【0054】
収集装置151は、監視装置111から受信した計測情報を、たとえばVPN(Virtual Private Network)を介して、発電状態管理装置101へ送信する。
【0055】
[監視装置の構成]
図6は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理システムにおける監視装置の構成を示す図である。図6では、接続箱76の内部がより詳細に示されている。
【0056】
図6を参照して、出力ライン1の各々は、プラス側出力ライン1pと、マイナス側出力ライン1nとを含む。集約ライン5は、プラス側集約ライン5pと、マイナス側集約ライン5nとを含む。銅バー77は、プラス側銅バー77pと、マイナス側銅バー77nとを含む。
【0057】
図示しないが、図3に示す集電箱71における銅バー72は、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nにそれぞれ対応して、プラス側銅バー72pおよびマイナス側銅バー72nを含む。
【0058】
プラス側出力ライン1pは、対応の発電部78に接続された第1端と、プラス側銅バー77pに接続された第2端とを有する。マイナス側出力ライン1nは、対応の発電部78に接続された第1端と、マイナス側銅バー77nに接続された第2端とを有する。
【0059】
プラス側集約ライン5pは、プラス側銅バー77pに接続された第1端と、集電箱71におけるプラス側銅バー72pに接続された第2端とを有する。マイナス側集約ライン5nは、マイナス側銅バー77nに接続された第1端と、集電箱71におけるマイナス側銅バー72nに接続された第2端とを有する。
【0060】
監視装置111は、取得部11と、通信部14と、4つの電流センサ16と、電圧センサ17とを備える。なお、監視装置111は、出力ライン1の数に応じて、さらに多数または少数の電流センサ16を備えてもよく、たとえば20個の電流センサ16を備えてもよい。
【0061】
監視装置111は、たとえば、発電部78の近傍に設けられている。具体的には、監視装置111は、たとえば、計測対象の出力ライン1が接続された銅バー77が設けられた接続箱76の内部に設けられている。なお、監視装置111は、接続箱76の外部に設けられてもよい。
【0062】
監視装置111は、たとえば、プラス側集約ライン5pおよびマイナス側集約ライン5nとそれぞれプラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nを介して電気的に接続されている。以下、プラス側電源線26pおよびマイナス側電源線26nの各々を、電源線26とも称する。
【0063】
電流センサ16は、たとえば、発電部78とPCS8との間に接続されるホール素子タイプの電流プローブである。電流センサ16は、たとえば5時から19時までの計測期間Pmにおいて、対応のマイナス側出力ライン1nを通して流れる電流を、所定の計測周期Cmに従う計測時刻tmごとに計測し、計測結果を取得部11へ出力する。計測周期Cmは、たとえば1分である。なお、電流センサ16は、プラス側出力ライン1pを通して流れる電流を計測してもよい。
【0064】
電圧センサ17は、計測期間Pmにおいて、プラス側銅バー77pおよびマイナス側銅バー77n間の電圧を計測時刻tmごとに計測し、計測結果を取得部11へ出力する。
【0065】
取得部11は、発電部78の出力の計測結果を取得する。より詳細には、取得部11は、発電部78の出力の計測結果として、電流センサ16による電流の計測結果および電圧センサ17による電圧の計測結果を取得する。
【0066】
取得部11は、たとえば当日の計測期間Pmが終了すると、当該計測期間Pmの計測時刻tmにおける各電流センサ16の計測結果を示す電流値Ctmと、当該計測期間Pmの計測時刻tmにおける電圧センサ17の計測結果を示す電圧値Vtmと、4つの電流センサ16および電圧センサ17の各々の計測時刻tmと、4つの電流センサ16および電圧センサ17の各々のIDとを含む計測情報を生成し、生成した計測情報を通信部14へ出力する。
【0067】
通信部14は、集約ライン2,5を介して収集装置151と電力線通信を行うことが可能である。通信部14は、1日ごとに、取得部11から受けた計測情報に監視装置111のIDを含めて、PCS8経由で収集装置151へ送信する。
【0068】
収集装置151は、対応のPCSユニット80における集電ユニット60に設けられた各監視装置111から計測情報を受信し、各監視装置111から受信した計測情報と、当該収集装置151のIDとを含む収集情報を生成する。収集装置151は、生成した収集情報を発電状態管理装置101へ送信する。
【0069】
発電状態管理装置101は、各収集装置151から収集情報を受信する。たとえば、発電状態管理装置101は、受信した収集情報に基づいて、発電部78ごとに、計測期間Pmにおける発電電力Pの時系列データDである発電電力データDpを生成する。発電状態管理装置101は、生成した発電電力データDpに基づいて、太陽光発電システム401における異常を検知する検知処理を行う。
【0070】
[課題]
太陽光発電システム401における各太陽電池パネル79は、所定の設置角度で設置される。一例として、北半球に設置された太陽光発電システム401における各太陽電池パネル79は、発電部78Aにおける太陽電池パネル79のように、受光面の法線方向の方位角が180°となり、かつ受光面の法線方向の仰角が30°となるように設置される。受光面の法線方向の方位角および仰角は、設置角度の一例である。
【0071】
しかしながら、太陽光発電システム401における一部の太陽電池パネル79は、発電部78Bにおける太陽電池パネル79のように、設置面積の制約等により、他の太陽電池パネル79の方位角とは異なる方位角で設置される場合がある。
【0072】
図7は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置により生成される発電電力データDpの一例を示す図である。図7において、縦軸は発電電力[W]であり、横軸は時刻[t]である。図7における実線は、発電部78Aの発電電力Pの発電電力データDpである発電電力データDpAを示している。図7における破線は、発電部78Bの発電電力Pの発電電力データDpである発電電力データDpBを示している。
【0073】
図7を参照して、発電電力データDpAでは南中時刻において発電電力Pが最大値となる一方で、発電電力データDpBでは南中時刻よりも後の時刻において発電電力Pが最大値となる。たとえば、発電電力データDpBの波形は、発電電力データDpAの波形を時間軸方向にシフトした波形に近似する。
【0074】
発電状態管理装置101において、発電電力データDpA,DpBに基づいて検知処理を行った場合、異常検知の精度が低下する場合がある。より詳細には、たとえば、発電状態管理装置101において、発電電力データDpA,DpBと、発電電力データDpA,DpBに共通の判定基準との比較結果に基づいて異常の有無を判定した場合、異常の有無を誤判定する場合がある。また、たとえば、発電状態管理装置101において、発電電力データDpA,DpBに基づいて設定された判定基準を用いて異常の有無を判定した場合、異常の有無を誤判定する場合がある。
【0075】
また、発電状態管理装置101において、発電電力データDpに基づいて、太陽電池パネル79の設置角度に応じて発電部78をグループ分けし、グループごとに対応の発電電力データDpに基づいて検知処理を行う場合、異常検知の精度が低下する場合がある。より詳細には、所定の設置角度とは異なる設置角度で設置される太陽電池パネル79は少数であるところ、発電状態管理装置101において、少数の発電電力データDpに基づいて検知処理を行うことにより、異常の有無を誤判定する場合がある。
【0076】
そこで、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0077】
[発電状態管理装置の構成]
図8は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置の構成を示す図である。図8を参照して、発電状態管理装置101は、計測結果取得部31と、太陽情報生成部32と、角度情報取得部33と、処理部34と、記憶部35とを備える。処理部34は、補正部の一例であり、かつ検知処理部の一例である。計測結果取得部31、太陽情報生成部32、角度情報取得部33および処理部34の一部または全部は、たとえば、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。記憶部35は、たとえば上記処理回路に含まれる不揮発性メモリである。
【0078】
記憶部35には、収集装置151のIDと、監視装置111のIDと、電流センサ16のIDと、電圧センサ17のIDと、発電部78のIDとの対応関係を示す対応テーブルTb1が保存されている。以下、収集装置151のIDを「収集装置ID」とも称し、監視装置111のIDを「監視装置ID」とも称し、電流センサ16のIDを「電流センサID」とも称し、電圧センサ17のIDを「電圧センサID」とも称し、発電部78のIDを「発電部ID」とも称する。
【0079】
また、記憶部35には、標準の設置角度で設置された太陽電池パネル79の標準角度情報Astdが保存されている。以下、標準の設置角度で設置された太陽電池パネル79を、「標準パネル」とも称する。標準角度情報Astdは、標準パネルの方位角である標準方位角Xstdと、標準パネルの仰角である標準仰角Ystdと、標準パネルの受光面の法線方向を示す標準法線ベクトルNstdとを含む。標準法線ベクトルNstdは、以下の式(1)により表される。
【数1】
【0080】
標準方位角Xstdは、たとえば180°である。標準仰角Ystdは、たとえば30°である。
【0081】
たとえば、発電状態管理装置101の機能の一部または全部は、クラウドコンピューティングによって提供される。すなわち、発電状態管理装置101は、複数のクラウドサーバ等によって構成される。なお、発電状態管理装置101は、クラウドサーバ等によって構成される代わりに、たとえば収集装置151に内蔵されてもよい。
【0082】
(計測結果取得部)
計測結果取得部31は、発電部78の出力の計測結果を取得する。より詳細には、計測結果取得部31は、VPN経由で各収集装置151から収集情報を受信する。計測結果取得部31は、受信した収集情報を記憶部35に保存する。
【0083】
たとえば、計測結果取得部31は、発電部78の出力の時系列の計測結果に基づく時系列データDを生成する。
【0084】
より詳細には、計測結果取得部31は、収集装置151から当日の収集情報を受信すると、記憶部35における対応テーブルTa1を参照して、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、計測時刻tmにおける電流値Ctmとの対応関係を示す時系列データDである電流データDcを生成する。計測結果取得部31は、発電部78ごとに電流データDcを生成し、生成した電流データDcを発電部IDと対応付けて記憶部35に保存する。
【0085】
また、計測結果取得部31は、記憶部35における対応テーブルTa1を参照して、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、計測時刻tmにおける電圧値Vtmとの対応関係を示す時系列データDである電圧データDvを生成する。計測結果取得部31は、発電部78ごとに電圧データDvを生成し、生成した電圧データDvを発電部IDと対応付けて記憶部35に保存する。
【0086】
また、計測結果取得部31は、記憶部35における対応テーブルTa1を参照して、計測時刻tmにおける電流値Ctmと、当該計測時刻tmにおける電圧値Vtmとを乗じることにより、当該計測時刻tmにおける発電部78の発電電力Pである発電電力Ptmを算出する。発電電力Ptmは、発電部78の出力の計測結果に基づく値の一例である。
【0087】
図9は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における計測結果取得部により生成される発電電力データDpの一例を示す図である。図9において、縦軸は発電電力[W]であり、横軸は時刻[t]である。
【0088】
図9を参照して、計測結果取得部31は、計測時刻tmごとの発電電力Ptmを算出し、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、発電電力Ptmとの対応関係を示す発電電力データDpを生成する。計測結果取得部31は、発電部78ごとに発電電力データDpを生成し、生成した発電電力データDpを発電部IDと対応付けて記憶部35に保存する。
【0089】
(太陽情報生成部)
太陽情報生成部32は、天文分野のPythonライブラリであるPyEphemを用いて、計測時刻tmにおける、太陽光発電システム401から見た太陽の方向を示す太陽方向ベクトルStmを生成する。
【0090】
より詳細には、太陽情報生成部32は、たとえば1日ごとに、太陽光発電システム401の経度および緯度を示す位置情報と、当日の日付と、計測時刻tmを示す時刻情報とをPyEphemに与えることにより、当日の計測期間Pmの各計測時刻tmにおける太陽の方位角Atmおよび仰角Btmを取得する。
【0091】
そして、太陽情報生成部32は、取得した方位角Atmおよび仰角Btmを用いて、計測時刻tmと、以下の式(2)により表される太陽方向ベクトルStmとの対応関係を示す太陽情報を生成する。太陽情報生成部32は、生成した太陽情報を記憶部35に保存する。
【数2】
【0092】
(角度情報取得部)
角度情報取得部33は、太陽電池パネル79の設置角度を示す角度情報を取得する。
【0093】
たとえば、角度情報取得部33は、角度情報として、標準の方位角で設置されていない太陽電池パネル79の非標準角度情報Aabn1を生成する。以下、標準の方位角で設置されていない太陽電池パネル79を、「非標準パネル」とも称する。非標準角度情報Aabn1は、非標準パネルの方位角である方位角Xabnと、当該非標準パネルの受光面の法線方向を示すパネル法線ベクトルNabnとを含む。パネル法線ベクトルNabnは、以下の式(3)により表される。
【数3】
【0094】
ここで、同じ発電部78に含まれる複数の太陽電池パネル79は、同じ方位角および同じ仰角で設置される。角度情報取得部33は、非標準パネルを含む発電部78の発電部IDと、当該発電部78に含まれる非標準パネルの方位角Xabnおよびパネル法線ベクトルNabnとの対応関係を示す非標準角度情報Aabn1を生成する。
【0095】
角度情報取得部33は、生成した非標準角度情報Aabn1を記憶部35に保存する。角度情報取得部33が非標準角度情報Aabn1を生成する処理の詳細については後述する。
【0096】
(処理部)
処理部34は、角度情報取得部33により取得された非標準角度情報Aabn1に基づいて、計測結果取得部31により算出された発電電力Ptmを補正することにより発電電力PtmRを算出する。発電電力PtmRは、補正値の一例である。
【0097】
たとえば、処理部34は、計測結果取得部31により記憶部35に発電電力データDpが保存されると、当該発電電力データDpに対応する発電部78が、標準パネルを含む発電部78であるか、または非標準パネルを含む発電部78であるかを判断する。処理部34は、当該発電電力データDpに対応する発電部78が、非標準パネルを含む発電部78であると判断した場合、当該発電電力データDpに含まれる発電電力Ptmを補正することにより発電電力PtmRを算出する。
【0098】
より詳細には、処理部34は、計測結果取得部31により記憶部35に発電電力データDpが保存されると、当該発電電力データDpに対応する発電部IDを取得する。処理部34は、取得した発電部IDと、記憶部35における非標準角度情報Aabn1に含まれる発電部IDとを照合し、取得した発電部IDが非標準角度情報Aabn1に含まれる場合、当該発電部IDに対応するパネル法線ベクトルNabnを取得する。
【0099】
そして、処理部34は、取得したパネル法線ベクトルNabn、および記憶部35における太陽情報が示す当日の太陽方向ベクトルStmを用いて、以下の式(4)に従って、当該発電電力データDpに含まれる発電電力Ptmが補正された発電電力PtmRを算出する。
【数4】
【0100】
ここで、Stm・Nstdは、太陽方向ベクトルStmと標準法線ベクトルNstdとの内積である。Stm・Nabnは、太陽方向ベクトルStmとパネル法線ベクトルNabnとの内積である。
【0101】
図10は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における処理部により生成される発電電力データDpRの一例を示す図である。図10において、縦軸は発電電力[W]であり、横軸は時刻[t]である。図10は、発電電力データDpを補正することにより生成される発電電力データDpRを示している。
【0102】
図10を参照して、処理部34は、計測時刻tmごとの発電電力PtmRを算出し、計測期間Pmにおける計測時刻tmと、発電電力PtmRとの対応関係を示す発電電力データDpRを生成する。そして、処理部34は、記憶部35における補正元の発電電力データDpを、生成した発電電力データDpRに置き換える。
【0103】
一方、処理部34は、発電電力データDpに対応する発電部IDが、非標準角度情報Aabn1に含まれない場合、発電電力PtmRの算出および発電電力データDpRの生成を行わない。
【0104】
処理部34は、算出した発電電力PtmRに基づいて、検知処理を行う。より詳細には、処理部34は、たとえば1日ごとに、非標準パネルを含むすべての発電部78について、対応する発電電力データDpの発電電力データDpRへの置き換えが完了すると、記憶部35における当日の発電電力データDp,DpRに基づいて、検知処理を行う。
【0105】
一例として、処理部34は、当日の計測期間Pmにおける各発電電力データDp,DpRに基づいて、発電部78ごとの判定値を算出し、算出した各判定値と、所定の閾値とを比較する。判定値は、たとえば発電部78ごとの発電電力Ptmまたは発電電力PtmRの平均値である。
【0106】
処理部34は、すべての判定値が閾値以上である場合、太陽光発電システム401において異常は発生していないと判定する。一方、処理部34は、閾値未満の判定値が存在する場合、当該判定値に対応する発電部78において、太陽電池パネル79の劣化等の異常が発生していると判定する。
【0107】
(非標準角度情報Aabn1の生成例)
角度情報取得部33は、発電状態管理装置101における検知機能の運用開始前に、各発電部78に含まれる太陽電池パネル79であって、未知の設置角度で設置された太陽電池パネル79の方位角を判定し、判定結果を含む非標準角度情報Aabn1を生成する。
【0108】
角度情報取得部33は、発電電力データDpが示す時間軸波形の対称性に基づいて、未知の設置角度で設置された太陽電池パネル79の方位角を判定する。より詳細には、角度情報取得部33は、計測結果取得部31により生成された、検知機能の運用開始前の日の計測期間Pmにおける発電電力データDpの対称性に基づいて、当該発電電力データDpに対応する発電部78に含まれる太陽電池パネル79の方位角を判定する。以下、未知の設置角度で設置された太陽電池パネル79を、対象パネルとも称する。
【0109】
たとえば、角度情報取得部33は、対象パネルの複数の仮の方位角Xq、標準仰角Ystd、および太陽方向ベクトルStmに基づいて発電電力データDpを補正することにより、複数の方位角Xqにそれぞれ対応する複数の仮発電電力データDpxを生成する。仮発電電力データDpxは、第1の補正データの一例である。
【0110】
より詳細には、角度情報取得部33は、以下の式(5)により表される仮法線ベクトルNq、および記憶部35における太陽情報が示す当日の太陽方向ベクトルStmを用いて、以下の式(6)に従って、発電電力データDpに含まれる発電電力Ptmが補正された仮発電電力Ptmqを算出する。角度情報取得部33は、計測時刻tmごとの仮発電電力Ptmqを算出し、計測期間Pmにおける計測時刻tmと、仮発電電力Ptmqとの対応関係を示す仮発電電力データDpxを生成する。
【数5】

【数6】
【0111】
ここで、Stm・Nqは、太陽方向ベクトルStmと仮法線ベクトルNqとの内積である。
【0112】
角度情報取得部33は、複数の方位角Xqにそれぞれ対応する複数の仮発電電力データDpxを生成する。一例として、角度情報取得部33は、方位角Xqを90°から270°までの角度範囲において5°間隔の値に設定したときの37個の仮発電電力データDpxを生成する。
【0113】
なお、角度情報取得部33は、90°から270°までの角度範囲とは異なる角度範囲において方位角Xqを設定してもよいし、方位角Xqを5°未満または5°より大きい間隔の値に設定してもよいし、37個よりも多数または少数の仮発電電力データDpxを生成してもよい。また、角度情報取得部33は、方位角Xqの角度範囲を、対象パネルの発電電力データDpがピーク値となるときの時刻に応じて設定してもよい。一例として、角度情報取得部33は、発電電力データDpのピーク値が南中時刻よりも後の時刻である場合、90°から180°までの角度範囲において方位角Xqを設定し、発電電力データDpのピーク値が南中時刻よりも前の時刻である場合、180°から270°までの角度範囲において方位角Xqを設定する。
【0114】
たとえば、角度情報取得部33は、生成した仮発電電力データDpxが示す時間軸波形の、南中時刻を中心とする対称性に基づいて、対象パネルの方位角を判定する。より詳細には、角度情報取得部33は、複数の仮発電電力データDpxを、南中時刻を中心に時間軸をそれぞれ反転させることにより複数の反転データDpxiを生成する。反転データDpxiは、南中時刻を中心に計測時刻tmを反転させた反転時刻tmiと、仮発電電力Ptmqとの対応関係を示す。角度情報取得部33は、仮発電電力データDpxと、反転データDpxiとの比較結果に基づいて、対象パネルの方位角を判定する。
【0115】
より詳細には、角度情報取得部33は、仮発電電力データDpxと、当該仮発電電力データDpxに基づいて生成した反転データDpxiとの差分である差分データDdxを生成し、生成した差分データDdxに基づいて、対象パネルの方位角を判定する。差分データDdxは、計測時刻tmと、当該計測時刻tmにおける仮発電電力データDpxの発電電力Ptmから、当該計測時刻tmに対応する反転時刻tmiにおける仮発電電力データDpxの発電電力Ptmを差し引いた差分電力DPtmと、の対応関係を示す。
【0116】
図11から図15は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置における角度情報取得部により生成される差分データDdxの一例を示す図である。図11から図15において、縦軸は差分電力[W]であり、横軸は時刻[t]である。図11から図15は、それぞれ、差分データDdx195,Ddx200,Ddx205,Ddx210,Ddx215を示している。
【0117】
差分データDdx195,Ddx200,Ddx205,Ddx210,Ddx215は、それぞれ、仮発電電力データDpx195,Dpx200,Dpx205,Dpx210,Dpx215から、反転データDpxi195,Dpxi200,Dpxi205,Dpxi210,Dpxi215を差し引いた差分データDdxである。仮発電電力データDpx195,Dpx200,Dpx205,Dpx210,Dpx215は、方位角Xqをそれぞれ195°,200°,205°,210°,215°に設定したときの仮発電電力データDpxである。反転データDpxi195,Dpxi200,Dpxi205,Dpxi210,Dpxi215は、仮発電電力データDpx195,Dpx200,Dpx205,Dpx210,Dpx215に基づいて生成された反転データDpxiである。
【0118】
図11から図15を参照して、角度情報取得部33は、各差分データDdxにおける、所定のマスク領域Rmに含まれる差分電力DPtmの要素数Ceを算出する。たとえば、マスク領域Rmは、差分電力DPtmの値が-500W以上であり、かつ500W以下の領域である。
【0119】
角度情報取得部33は、72個の差分データDdxのうちの、要素数Ceが最も大きい差分データDdxに対応する方位角Xqを特定し、特定した方位角Xqを対象パネルの方位角であると判定する。図11から図15に示す例では、角度情報取得部33は、72個の差分データDdxの要素数Ceのうちの差分データDdx205の要素数Ceが最も大きいので、対象パネルの方位角は、差分データDdx205に対応する方位角Xqすなわち205°であると判定する。
【0120】
角度情報取得部33は、対象パネルの方位角が180°であると判定した場合、当該対象パネルは標準パネルであると判断する。
【0121】
一方、角度情報取得部33は、対象パネルの方位角が180°ではないと判定した場合、当該対象パネルは非標準パネルであると判断する。
【0122】
角度情報取得部33は、発電部78ごとに、当該発電部78に含まれる太陽電池パネル79が標準パネルであるか、または非標準パネルであるかを判断する。そして、角度情報取得部33は、非標準パネルであると判断した対象パネルの方位角の判定結果に基づいて、方位角Xabnおよびパネル法線ベクトルNabnを含む非標準角度情報Aabn1を生成し、生成した非標準角度情報Aabn1を記憶部35に保存する。
【0123】
処理部34は、角度情報取得部33により記憶部35に非標準角度情報Aabn1が保存されると、検知機能の運用を開始する。より詳細には、処理部34は、たとえば1日ごとに、非標準角度情報Aabn1および太陽情報に基づいて、計測結果取得部31により記憶部35に保存された発電電力データDpのうちの、非標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpを発電電力データDpRに置き換える。そして、処理部34は、標準パネルを含む発電部78の発電電力データDp、および非標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpRに基づいて、検知処理を行う。
【0124】
[動作の流れ]
図16は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置が非標準角度情報Aabn1の生成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0125】
図16を参照して、まず、発電状態管理装置101は、検知機能の運用開始前の所定の日に、当日の計測期間Pmの各計測時刻tmにおける太陽の方位角Atmおよび仰角Btmを用いて、計測時刻tmと、太陽方向ベクトルStmとの対応関係を示す太陽情報を生成する(ステップS11)。
【0126】
次に、発電状態管理装置101は、各収集装置151から受信した当日の収集情報に基づいて、発電部78ごとに、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、発電電力Ptmとの対応関係を示す発電電力データDpを生成する(ステップS12)。
【0127】
次に、発電状態管理装置101は、対象パネルの複数の仮の方位角Xqおよび太陽方向ベクトルStmに基づいて発電電力データDpを補正することにより、複数の方位角Xqにそれぞれ対応する複数の仮発電電力データDpxを生成する。より詳細には、発電状態管理装置101は、対象パネルの方位角Xqを90°から270°までの角度範囲において5°間隔の値に設定したときの37個の仮発電電力データDpxを生成する(ステップS13)。
【0128】
次に、発電状態管理装置101は、複数の仮発電電力データDpxを、南中時刻を中心に時間軸をそれぞれ反転させることにより複数の反転データDpxiを生成する(ステップS14)。
【0129】
次に、発電状態管理装置101は、仮発電電力データDpxと、当該仮発電電力データDpxに基づいて生成した反転データDpxiとの差分である差分データDdxを生成する(ステップS15)。
【0130】
次に、発電状態管理装置101は、各差分データDdxのうちの、マスク領域Rmに含まれる差分電力DPtmの要素数Ceが最も大きい差分データDdxに対応する方位角Xqを特定し、特定した方位角Xqを対象パネルの方位角であると判定する(ステップS16)。
【0131】
次に、発電状態管理装置101は、対象パネルの方位角が180°ではないと判定した場合、当該対象パネルは非標準パネルであると判断する。そして、発電状態管理装置101は、非標準パネルであると判断した対象パネルの方位角の判定結果に基づいて、方位角Xabnおよびパネル法線ベクトルNabnを含む非標準角度情報Aabn1を生成する(ステップS17)。
【0132】
なお、上記ステップS11とS12との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0133】
図17は、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置が検知処理を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。発電状態管理装置101は、図17のフローチャートが示す処理を、たとえば1日ごとに実行する。
【0134】
図17を参照して、まず、発電状態管理装置101は、当日の計測期間Pmの各計測時刻tmにおける太陽の方位角Atmおよび仰角Btmを用いて、計測時刻tmと、太陽方向ベクトルStmとの対応関係を示す太陽情報を生成する(ステップS21)。
【0135】
次に、発電状態管理装置101は、収集情報の到来を待ち受け(ステップS22でNO)、各収集装置151から当日の収集情報を受信すると(ステップS22でYES)、各収集装置151から受信した当日の収集情報に基づいて、発電部78ごとに発電電力データDpを生成する(ステップS23)。
【0136】
次に、発電状態管理装置101は、生成した発電電力データDpのうちの、非標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpを補正することにより発電電力データDpRを生成する(ステップS24)。
【0137】
次に、発電状態管理装置101は、非標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpR、および標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpに基づいて、検知処理を行う(ステップS25)。
【0138】
なお、上記ステップS21とS22,S23との順番は、上記に限らず、順番を入れ替えてもよい。
【0139】
また、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101では、角度情報取得部33は、発電電力データDpが示す時間軸波形の対称性に基づいて、未知の設置角度で設置された太陽電池パネル79の方位角を判定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、角度情報取得部33は、発電電力データと、太陽電池パネル79の設置角度との対応関係を示す対応情報を取得し、取得した対応情報と、計測結果取得部31により生成された発電電力データDpとの比較結果に基づいて、当該発電電力データDpに対応する発電部78に含まれる太陽電池パネル79の方位角を判定する構成であってもよい。
【0140】
また、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101では、角度情報取得部33は、仮発電電力データDpxと、反転データDpxiとの比較結果に基づいて、対象パネルの方位角を判定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。たとえば、角度情報取得部33は、各仮発電電力データDpxの極大値に対応する計測時刻tmに基づいて、対象パネルの方位角を判定する構成であってもよい。
【0141】
また、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101では、角度情報取得部33は、未知の設置角度で設置された太陽電池パネル79の方位角を判定し、判定結果を含む非標準角度情報Aabn1を生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。角度情報取得部33は、非標準角度情報Aabn1を生成する代わりに、非標準角度情報Aabn1を、発電状態管理装置101の外部における他の装置から取得する構成であってもよい。
【0142】
また、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101では、処理部34は、発電電力データDpに含まれる発電電力Ptmを補正することにより発電電力PtmRを算出し、計測時刻tmと発電電力PtmRとの対応関係を示す発電電力データDpRを生成する構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部34は、発電電力Ptmの代わりに、電流値Ctmおよび電圧値Vtmの少なくともいずれか一方を補正する構成であってもよい。より詳細には、処理部34は、電流データDcに含まれる電流値Ctmを補正することにより電流値CtmRを算出し、計測時刻tmと電流値CtmRとの対応関係を示す電流データDcRを生成する。あるいは、処理部34は、電圧データDvに含まれる電圧値Vtmを補正することにより電圧値VtmRを算出し、計測時刻tmと電圧値VtmRとの対応関係を示す電圧データDvRを生成する。
【0143】
また、本開示の第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101では、処理部34は、検知処理を行う構成であるとしたが、これに限定するものではない。処理部34は、検知処理を行わない構成であってもよい。この場合、たとえば、処理部34は、非標準パネルを含むすべての発電部78について、対応する発電電力データDpの発電電力データDpRへの置き換えが完了すると、記憶部35における当日の発電電力データDp,DpRを、発電状態管理装置101の外部における他の装置へ送信する。当該他の装置は、処理部34の代わりに、当該発電電力データDp,DpRに基づいて検知処理を行う。
【0144】
次に、本開示の他の実施の形態について図面を用いて説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0145】
<第2の実施の形態>
本実施の形態は、第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101と比べて、対象パネルの方位角に加えて、対象パネルの仰角を判定する発電状態管理装置102に関する。以下で説明する内容以外は第1の実施の形態に係る発電状態管理装置101と同様である。
【0146】
ここで、太陽光発電システム401における一部の太陽電池パネル79は、設置面積の制約等により、他の太陽電池パネル79の設置角度とは異なる設置角度で設置される場合がある。具体的には、太陽光発電システム401における一部の太陽電池パネル79は、標準方位角Xstdとは異なる方位角で設置されたり、標準仰角Ystdとは異なる仰角で設置されたりする場合がある。標準の設置角度で設置された発電部78の発電電力データDpと、標準の設置角度とは異なる設置角度で設置された発電部78の発電電力データDpとに基づいて検知処理を行った場合、異常検知の精度が低下する場合がある。
【0147】
そこで、本開示の第2の実施の形態に係る発電状態管理装置102は、以下のような構成により、上記の課題を解決する。
【0148】
図18は、本開示の第2の実施の形態に係る発電状態管理装置の構成を示す図である。図18を参照して、発電状態管理装置102は、発電状態管理装置101と比べて、角度情報取得部33の代わりに角度情報取得部36を備える。
【0149】
角度情報取得部36は、太陽電池パネル79の設置角度を示す角度情報を取得する。たとえば、角度情報取得部36は、角度情報として、標準の設置角度で設置されていない太陽電池パネル79の非標準角度情報Aabn2を生成する。以下、標準の設置角度で設置されていない太陽電池パネル79を、「非標準パネル」とも称する。非標準角度情報Aabn2は、非標準パネルの方位角である方位角Xabnと、当該非標準パネルの仰角である仰角Yabnと、当該非標準パネルの受光面の法線方向を示すパネル法線ベクトルNabnとを含む。パネル法線ベクトルNabnは、以下の式(7)により表される。
【数7】
【0150】
角度情報取得部36は、非標準パネルを含む発電部78の発電部IDと、当該発電部78に含まれる非標準パネルの方位角Xabn、仰角Yabnおよびパネル法線ベクトルNabnとの対応関係を示す非標準角度情報Aabn2を生成する。角度情報取得部36は、生成した非標準角度情報Aabn2を記憶部35に保存する。
【0151】
(非標準角度情報Aabn2の生成例)
角度情報取得部36は、発電状態管理装置102における検知機能の運用開始前に、各発電部78に含まれる太陽電池パネル79であって、未知の設置角度で設置された太陽電池パネル79の方位角および仰角を判定し、判定結果を含む非標準角度情報Aabn2を生成する。
【0152】
たとえば、角度情報取得部36は、対象パネルの複数の仮の方位角Xq、複数の仮の仰角Ypおよび太陽方向ベクトルStmに基づいて発電電力データDpを補正することにより、方位角Xqおよび仰角Ypの複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の仮発電電力データDpxyを生成する。仮発電電力データDpxyは、補正データの一例である。
【0153】
より詳細には、角度情報取得部36は、以下の式(8)により表される仮法線ベクトルNq、および記憶部35における太陽情報が示す当日の太陽方向ベクトルStmを用いて、上述した式(6)に従って、発電電力データDpに含まれる発電電力Ptmが補正された仮発電電力Ptmqを算出する。角度情報取得部36は、計測時刻tmごとの仮発電電力Ptmqを算出し、計測期間Pmにおける計測時刻tmと、仮発電電力Ptmqとの対応関係を示す仮発電電力データDpxyを生成する。
【数8】
【0154】
一例として、角度情報取得部36は、90°から270°までの角度範囲における5°間隔の37個の方位角Xpと、ゼロ°から87.5°までの角度範囲における2.5°間隔の36個の仰角Yqとの1332個の組み合わせにそれぞれ対応する1332個の仮発電電力データDpxyを生成する。
【0155】
たとえば、記憶部35には、予め、標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpである発電電力データDpstdが保存されている。発電電力データDpstdは、計測結果取得部31により生成されたものであってもよいし、発電状態管理装置102の外部の装置により生成されたものであってもよい。
【0156】
角度情報取得部36は、生成した1332個の仮発電電力データDpxyと、記憶部35における発電電力データDpstdとの比較結果に基づいて、対象パネルの方位角および仰角を判定する。
【0157】
より詳細には、角度情報取得部36は、各仮発電電力データDpxyと、発電電力データDpstdとの差分である差分データDdxyを生成し、生成した1332個の差分データDdxyに基づいて、対象パネルの方位角および仰角を判定する。差分データDdxyは、計測時刻tmと、仮発電電力データDpxyの当該計測時刻tmにおける発電電力Ptmから、発電電力データDpstdの当該計測時刻tmにおける発電電力Ptmを差し引いた差分電力DPtmとの対応関係を示す。
【0158】
たとえば、角度情報取得部36は、各差分データDdxyにおける、マスク領域Rmに含まれる差分電力DPtmの要素数Ceを算出する。
【0159】
角度情報取得部36は、1332個の差分データDdxyのうちの、要素数Ceが最も大きい差分データDdxyに対応する方位角Xpおよび仰角Yqを特定し、特定した方位角Xpおよび仰角Yqを対象パネルの方位角および仰角であると判定する。
【0160】
角度情報取得部36は、対象パネルの方位角が180°であり、かつ当該対象パネルの仰角が30°であると判定した場合、当該対象パネルは標準パネルであると判断する。
【0161】
一方、角度情報取得部36は、対象パネルの方位角が180°ではないか、または当該対象パネルの仰角が30°ではないと判定した場合、当該対象パネルは非標準パネルであると判断する。
【0162】
角度情報取得部36は、発電部78ごとに、当該発電部78に含まれる太陽電池パネル79が標準パネルであるか、または非標準パネルであるかを判断する。そして、角度情報取得部36は、非標準パネルであると判断した対象パネルの方位角および仰角の判定結果に基づいて、方位角Xabn、仰角Yabnおよびパネル法線ベクトルNabnを含む非標準角度情報Aabn2を生成し、生成した非標準角度情報Aabn2を記憶部35に保存する。
【0163】
処理部34は、角度情報取得部36により記憶部35に非標準角度情報Aabn2が保存されると、検知機能の運用を開始する。より詳細には、処理部34は、たとえば1日ごとに、非標準角度情報Aabn2および太陽情報に基づいて、計測結果取得部31により記憶部35に保存された発電電力データDpのうちの、非標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpを発電電力データDpRに置き換える。そして、処理部34は、標準パネルを含む発電部78の発電電力データDp、および非標準パネルを含む発電部78の発電電力データDpRに基づいて、検知処理を行う。
【0164】
[動作の流れ]
図19は、本開示の第2の実施の形態に係る発電状態管理装置が非標準角度情報Aabn2の生成を行う際の動作手順の一例を定めたフローチャートである。
【0165】
図19を参照して、まず、発電状態管理装置102は、検知機能の運用開始前の所定の日に、当日の計測期間Pmの各計測時刻tmにおける太陽の方位角Atmおよび仰角Btmを用いて、計測時刻tmと、太陽方向ベクトルStmとの対応関係を示す太陽情報を生成する(ステップS31)。
【0166】
次に、発電状態管理装置102は、各収集装置151から受信した当日の収集情報に基づいて、発電部78ごとに、当日の計測期間Pmにおける計測時刻tmと、発電電力Ptmとの対応関係を示す発電電力データDpを生成する(ステップS32)。
【0167】
次に、発電状態管理装置102は、対象パネルの複数の仮の方位角Xq、複数の仮の仰角Ypおよび太陽方向ベクトルStmに基づいて発電電力データDpを補正することにより、方位角Xqおよび仰角Ypの複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の仮発電電力データDpxyを生成する(ステップS33)。
【0168】
次に、発電状態管理装置102は、各仮発電電力データDpxyと、発電電力データDpstdとの差分である差分データDdxyを生成する(ステップS34)。
【0169】
次に、発電状態管理装置102は、各差分データDdxyのうちの、マスク領域Rmに含まれる差分電力DPtmの要素数Ceが最も大きい差分データDdxyに対応する方位角Xqおよび仰角Ypを特定し、特定した方位角Xqおよび仰角Ypを対象パネルの方位角および仰角であると判定する(ステップS35)。
【0170】
次に、発電状態管理装置102は、対象パネルの方位角が180°ではないか、または当該対象パネルの仰角が30°ではないと判定した場合、当該対象パネルは非標準パネルであると判断する。そして、発電状態管理装置102は、非標準パネルであると判断した対象パネルの方位角および仰角の判定結果に基づいて、方位角Xabn、仰角Yabnおよびパネル法線ベクトルNabnを含む非標準角度情報Aabn2を生成する(ステップS36)。
【0171】
なお、本開示の第2の実施の形態に係る発電状態管理装置102では、角度情報取得部36は、方位角Xqおよび仰角Ypの複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の仮発電電力データDpxyを生成し、生成した複数の仮発電電力データDpxyと、記憶部35における発電電力データDpstdとの比較結果に基づいて、対象パネルの方位角および仰角を判定する構成であるとしたが、これに限定するものではない。
【0172】
角度情報取得部36は、以下の判定方法により、対象パネルの方位角および仰角を判定する構成であってもよい。すなわち、角度情報取得部36は、複数の仮の方位角Xq、複数の仮の仰角Ypおよび太陽方向ベクトルStmに基づいて発電電力データDpstdを補正することにより、方位角Xqおよび仰角Ypの複数の組み合わせにそれぞれ対応する複数の補正データDpstdxyを生成する。そして、角度情報取得部36は、生成した複数の補正データDpstdxyと、対象パネルの発電電力データDpとの比較結果に基づいて、対象パネルの方位角および仰角を判定する。これにより、対象パネルごとに発電電力データDpを補正して仮発電電力データDpxyを生成する必要がなく、各対象パネルの方位角および仰角を、共通の補正データDpstdxyを用いて簡便に判定することができる。
【0173】
上記実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0174】
上述の実施形態の各処理(各機能)は、1または複数のプロセッサを含む処理回路(Circuitry)により実現される。上記処理回路は、上記1または複数のプロセッサに加え、1または複数のメモリ、各種アナログ回路、各種デジタル回路が組み合わされた集積回路等で構成されてもよい。上記1または複数のメモリは、上記各処理を上記1または複数のプロセッサに実行させるプログラム(命令)を格納する。上記1または複数のプロセッサは、上記1または複数のメモリから読み出した上記プログラムに従い上記各処理を実行してもよいし、予め上記各処理を実行するように設計された論理回路に従って上記各処理を実行してもよい。上記プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、およびASIC(Application Specific Integrated Circuit)等、コンピュータの制御に適合する種々のプロセッサであってよい。なお、物理的に分離した上記複数のプロセッサが互いに協働して上記各処理を実行してもよい。たとえば、物理的に分離した複数のコンピュータのそれぞれに搭載された上記プロセッサがLAN(Local Area Network)、WAN (Wide Area Network)、およびインターネット等のネットワークを介して互いに協働して上記各処理を実行してもよい。上記プログラムは、外部のサーバ装置等から上記ネットワークを介して上記メモリにインストールされても構わないし、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、および半導体メモリ等の記録媒体に格納された状態で流通し、上記記録媒体から上記メモリにインストールされても構わない。
【0175】
以上の説明は、以下に付記する特徴を含む。
[付記1]
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置であって、
前記発電部の出力の計測結果を取得する計測結果取得部と、
前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得する角度情報取得部と、
前記角度情報取得部により取得された前記角度情報に基づいて、前記計測結果取得部により取得された前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する補正部とを備え、
前記角度情報取得部は、前記設置角度として、前記太陽電池パネルの方位角および仰角を示す前記角度情報を生成する、発電状態管理装置。
【0176】
[付記2]
太陽電池パネルを含む複数の発電部を備える太陽光発電システムに用いられる発電状態管理装置であって、
処理回路を備え、
前記処理回路は、
前記発電部の出力の計測結果を取得し、
前記太陽電池パネルの設置角度を示す角度情報を取得し、
取得した前記角度情報に基づいて、取得した前記計測結果または前記計測結果に基づく値を補正する、発電状態管理装置。
【符号の説明】
【0177】
1 出力ライン
1p プラス側出力ライン
1n マイナス側出力ライン
2,4,5 集約ライン
3 内部ライン
5p プラス側集約ライン
5n マイナス側集約ライン
6 キュービクル
7,72,73,77 銅バー
8 PCS
9 電力変換部
11 取得部
14 通信部
16 電流センサ
17 電圧センサ
26 電源線
26p プラス側電源線
26n マイナス側電源線
31 計測結果取得部
32 太陽情報生成部
33,36 角度情報取得部
34 処理部(補正部、検知処理部)
35 記憶部
46 導線
60 集電ユニット
71 集電箱
75 太陽電池ユニット
76 接続箱
77p プラス側銅バー
77n マイナス側銅バー
78,78A,78B 発電部
79 太陽電池パネル
80 PCSユニット
101 発電状態管理装置
111 監視装置
151 収集装置
301 発電状態管理システム
401 太陽光発電システム
Dp,DpA,DpB 発電電力データ
DpR 発電電力データ
Ddx195,Ddx200,Ddx205,Ddx210,Ddx215 差分データ
Rm マスク領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19