(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140169
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】風向調整装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/15 20060101AFI20241003BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20241003BHJP
F24F 13/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F24F13/15 B
B60H1/34 611B
F24F13/06 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051187
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(72)【発明者】
【氏名】佐野 宗治
【テーマコード(参考)】
3L080
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L080BA07
3L080BA10
3L081FA04
3L081FB01
3L081HB02
3L211BA43
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】ルーバの操作感を安定化できる風向調整装置を提供する。
【解決手段】風向調整装置1は、通気路5に配置された複数の下流側ルーバ13と、下流側ルーバ13を連動させて回動させるリンク14と、少なくともいずれかの下流側ルーバ13とリンク14との一方を他方に押圧する押圧力を調整する調整部を構成する一の連結部21と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気路に配置された複数のルーバと、
これらルーバを連動させて回動させるリンクと、
少なくともいずれかの前記ルーバと前記リンクとの一方を他方に押圧する押圧力を調整する調整部と、
を備えることを特徴とする風向調整装置。
【請求項2】
調整部は、
少なくともいずれかのルーバとリンクとの一方に形成された被挟持部と、
少なくともいずれかの前記ルーバと前記リンクとの他方に形成され前記被挟持部を挟持する挟持部と、
前記被挟持部と前記挟持部とに亘り締め込まれて前記挟持部による前記被挟持部の挟持力を調整する調整部材と、を有する
ことを特徴とする請求項1記載の風向調整装置。
【請求項3】
各ルーバとリンクとをそれぞれ回動可能に連結する連結部を備え、
前記連結部の少なくともいずれかが調整部を構成する
ことを特徴とする請求項2記載の風向調整装置。
【請求項4】
通気路を内部に区画するケース体を備え、
前記ケース体は、調整部材による締め込み量を外部から調整可能とする貫通穴を前記通気路に連通して有する
ことを特徴とする請求項3記載の風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のルーバを連動させて回動させるリンクを備える風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に用いられる空調装置において、吹き出す風向を調整する風向調整装置がある。風向調整装置は、空調風吹出装置、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、例えばインストルメントパネルやセンタコンソール部などの車両の各部に設置されて、冷暖房による快適性能の向上に寄与している。
【0003】
このような風向調整装置において、回動により風向を調整するルーバの回動軸を支持する軸受け穴を軟質スペーサにより構成し、回動軸と軸受け穴との摺動抵抗によってルーバの回動トルクを設定して、ルーバの操作荷重を安定させるものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-25551号公報 (第4-9頁、
図2-6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成の場合、ルーバの操作荷重の調整に限界があるため、例えば製品組み立て後でも操作荷重の調整を可能にすることが望まれる。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ルーバの操作感を安定化できる風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の風向調整装置は、通気路に配置された複数のルーバと、これらルーバを連動させて回動させるリンクと、少なくともいずれかの前記ルーバと前記リンクとの一方を他方に押圧する押圧力を調整する調整部と、を備えるものである。
【0008】
請求項2記載の風向調整装置は、請求項1記載の風向調整装置において、調整部は、少なくともいずれかのルーバとリンクとの一方に形成された被挟持部と、少なくともいずれかの前記ルーバと前記リンクとの他方に形成され前記被挟持部を挟持する挟持部と、前記被挟持部と前記挟持部とに亘り締め込まれて前記挟持部による前記被挟持部の挟持力を調整する調整部材と、を有するものである。
【0009】
請求項3記載の風向調整装置は、請求項2記載の風向調整装置において、各ルーバとリンクとをそれぞれ回動可能に連結する連結部を備え、前記連結部の少なくともいずれかが調整部を構成するものである。
【0010】
請求項4記載の風向調整装置は、請求項3記載の風向調整装置において、通気路を内部に区画するケース体を備え、前記ケース体は、調整部材による締め込み量を外部から調整可能とする貫通穴を前記通気路に連通して有するものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1記載の風向調整装置によれば、簡素な構成で部品個体差などによる操作荷重のばらつきを抑制でき、操作感を安定化できる。
【0012】
請求項2記載の風向調整装置によれば、請求項1記載の風向調整装置の効果に加えて、調整部材の締め込み量を調整することにより挟持部による被挟持部の挟持力を容易に調整可能な、簡素な構成とすることができる。
【0013】
請求項3記載の風向調整装置によれば、請求項2記載の風向調整装置の効果に加えて、各ルーバとリンクとをそれぞれ回動可能に連結する連結部の少なくともいずれかを、調整部を構成する連結部とすることで、残りの他の連結部については、調整部により設定された操作荷重で連動させることができるので、調整部を必要最小限とすることができ、構成を簡素化できる。
【0014】
請求項4記載の風向調整装置によれば、請求項3記載の風向調整装置の効果に加えて、風向調整装置を組み立てた後であってもケース体の外部から調整部材によってルーバの操作荷重を容易に調整可能になるとともに、調整部材により通気路内の通気を妨げることがない。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1の実施の形態の風向調整装置を示す断面図である。
【
図2】同上風向調整装置の連結部を示す分解斜視図である。
【
図4】本発明の第2の実施の形態の風向調整装置の連結部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図3において、1は風向調整装置である。風向調整装置1は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、空調装置などからの風の吹き出し方向を調整するものである。以下、説明をより明確にするために、風向調整装置1は、風が吹き出す側である風下側を前側、正面側または手前側とし、その反対側、つまり風を受け入れる側である風上側を後側、背後側または奥側として、前側から見て左右方向である両側方向または幅方向、及び、上下方向を規定する。本実施の形態において、風向調整装置1は、自動車などの車両用の空調装置に適用される。風向調整装置1は、任意の位置に配置されていてよいが、図面においては、矢印FR側を前側、矢印RR側を後側、矢印L側を左側、矢印R側を右側、矢印U側を上側、矢印D側を下側とするように配置されているものとする。これらの方向は、あくまで一例として図示されるものであって、風向調整装置1の設置位置や設置向きによって適宜変更されるものとする。
【0018】
風向調整装置1は、ケース体3を備える。ケース体3は、ダクトとも呼ばれる。ケース体3は、例えば合成樹脂などにより筒状に形成されている。本実施の形態において、ケース体3は、前後方向に筒状に形成されている。図示される例では、ケース体3は、角筒状に形成されている。また、本実施の形態において、ケース体3は、例えば横長に形成されている。ケース体3により、内部に通気路5が囲まれている。ケース体3の中心軸に平行な方向が通気路5の通気方向である。本実施の形態において、通気路5の通気方向は、前後方向であり、後方から前方に向かって通気される。すなわち、通気路5において、後側は通気方向の上流側、前側は通気方向の下流側である。
【0019】
ケース体3の後端部に、通気路5に空気すなわち空調風を受け入れる受入口が形成され、ケース体3の前端部に、通気路5から空調風を排出する吹出口7が形成されている。受入口と吹出口7との間にこれらを連通する通気路5が形成されている。受入口から吹出口7へと空調風が通過する。受入口及び吹出口7は、それぞれ横長となっている。なお、ケース体3は、一体的に形成されていてもよいし、複数の部材を組み合わせて形成されていてもよい。例えば、ケース体3は、受入口を有してケース体3の過半を構成する本体部と、吹出口7を有して本体部の前端部に取り付けられて意匠面を構成するフィニッシャと、などを備えていてもよい。
【0020】
ケース体3の内部、すなわち通気路5には、ルーバ10が配置されている。ルーバ10は、フィンなどとも呼ばれ、ケース体3に対して回動することで、その回動に応じて吹出口7から吹き出される空調風の風向を調整する。ルーバ10は、一主面及び他主面が整流面となる板状に形成されている。
【0021】
本実施の形態において、ルーバ10は、上流側ルーバ12と、下流側ルーバ13と、が設定されている。上流側ルーバ12は、通気路5において、下流側ルーバ13の後方に離れて位置する。下流側ルーバ13は、吹出口7に臨んで位置する。上流側ルーバ12及び下流側ルーバ13は、それぞれ単数でも複数でもよい。例えば、上流側ルーバ12が多数設定され、下流側ルーバ13は3つ設定されている。
【0022】
図示される例では、上流側ルーバ12は、ケース体3または通気路5の長手方向、本実施の形態では左右方向に並んで配置され、ケース体3または通気路5の長手方向である左右方向に回動することで、風向をケース体3または通気路5の長手方向である左右方向に調整する。これら上流側ルーバ12は、リンクを介して互いに連結されて、互いに同方向に連動して回動する。
【0023】
また、下流側ルーバ13は、ケース体3または通気路5の短手方向、本実施の形態では上下方向に並んで配置され、ケース体3または通気路5の短手方向である上下方向に回動することで、風向をケース体3または通気路5の短手方向である上下方向に調整する。これら下流側ルーバ13は、リンク14を介して互いに連結されて、互いに同方向に連動して回動する。
【0024】
そして、
図1及び
図2に示すように、ルーバ10は、両端部に回動部15を有し、両端部の回動部15が回動受け部16に回動可能に支持されていることで、通気路5において、回動可能となっている。回動部15と回動受け部16とは、一方が軸部、他方が穴部または凹部である。本実施の形態においては、各回動部15が軸部、各回動受け部16が丸穴状の穴部または凹部である。なお、ルーバ10の両端部の回動部15がともに軸部あるいは穴部または凹部である必要はなく、例えば一方の回動部15が軸部、他方の回動部15が穴部または凹部、などであってもよい。また、ルーバ10が複数である場合、すべてのルーバ10の回動部15とそれに対応する回動受け部16との形態がそれぞれ同一である必要もない。
【0025】
回動受け部16は、ケース体3に形成されていてもよいし、ケース体3とは別体でケース体3に一体的に取り付けられる保持体に形成されていてもよい。
【0026】
各下流側ルーバ13とリンク14とは、連結部20によりそれぞれ互いに回動可能に連結されている。本実施の形態において、連結部20には、一の連結部21と、他の連結部22と、が設定されている。つまり、下流側ルーバ13には、リンク14と一の連結部21により連結される下流側ルーバ13aと、他の連結部22と連結される下流側ルーバ13bと、が設定されている。
【0027】
一の連結部21は、下流側ルーバ13aとリンク14とのいずれか一方、本実施の形態では下流側ルーバ13aに形成された被挟持部25と、下流側ルーバ13aとリンク14との他方、本実施の形態ではリンク14に形成された挟持部26と、挟持部26による被挟持部25の挟持力を調整する調整部材27と、を備える締結連結部である。そして、一の連結部21は、ねじなどの締結部材である調整部材27を被挟持部25から挟持部26に亘り締め込むことで下流側ルーバ13aに対しリンク14を押圧する押圧力を調整する調整部を構成する。
【0028】
被挟持部25は、下流側ルーバ13aの長手方向(回動軸線A方向)の一端部に位置する。被挟持部25は、下流側ルーバ13aの角部を切り欠いて形成された切欠部30に配置されている。切欠部30は、下流側ルーバ13aの長手方向の一端部にて回動部15から離れた位置にある。本実施の形態では、回動部15が下流側ルーバ13aの前端部に位置し、切欠部30が後端部に位置する。被挟持部25は、切欠部30において、前方から後方、つまり回動軸線Aと交差または直交する方向に延出されている。被挟持部25には、調整部材27が挿通される挿通穴32が回動軸線Aに対して平行または略平行な方向に貫通されて形成されている。
【0029】
挟持部26は、被挟持部25を下流側ルーバ13aの回動軸線Aに沿う方向に挟持するように構成されている。つまり、挟持部26は、被挟持部25に対し一側に位置する挟持片34と、被挟持部25に対し他側に位置する挟持片35と、を有するコ字形状に形成されている。これら挟持片34,35が互いに離れて対向して位置し、挟持片34,35間に被挟持部25が挟み込まれるようになっている。本実施の形態では、挟持片34が被挟持部25に対して下流側ルーバ13aの外側に重ねられ、挟持片35が被挟持部25に対して下流側ルーバ13aの内側に重ねられる。
【0030】
挟持片34には、調整部材27が挿入される挿入穴37が形成されている。また、挟持片35には、調整部材27が締結される雌ねじ部を構成する締結穴38が形成されている。締結穴38は、例えば挟持片35をバーリング加工することにより形成されている。
【0031】
ここで、本実施の形態の被挟持部25が形成されているリンク14は、例えば金属製であり、長手状のリンク本体部40を有し、リンク本体部40に対して前側に板状の挟持片34,35を有する挟持部26が延出されている。
【0032】
調整部材27は、被挟持部25と挟持部26とに亘る締め込み量を調整することで、挟持部26による被挟持部25の挟持力を調整可能となっている。本実施の形態において、調整部材27は、金属製であって、雄ねじ部を構成する円柱状の軸部27aと、軸部27aの端部に拡大された頭部27bと、を有している。軸部27aが、挟持部26の挟持片34の挿入穴37から、被挟持部25の挿通穴32、及び、挟持部26の挟持片35の締結穴38に亘り挿入されて、締結穴38に締結される。
【0033】
好ましくは、調整部材27は、ケース体3に形成された貫通穴42に対し、ケース体3の外部、すなわち通気路5の外部から頭部27bにアクセス可能となっており、貫通穴42を介して、締め込み量を外部から調整可能となっている。
【0034】
貫通穴42は、通気路5と連通するようにケース体3を貫通している。本実施の形態では、貫通穴42は、ケース体3の側面部に形成されている。貫通穴42に、ドライバなどの締め込み用の治具43がケース体3の外部から挿入可能である。
【0035】
他の連結部22は、下流側ルーバ13bとリンク14とのいずれか一方に形成された軸部45と、下流側ルーバ13bとリンク14との他方に形成されて軸部45を回動可能に受ける穴部46と、からなる。本実施の形態では、軸部45が下流側ルーバ13bに形成され、穴部46がリンク14に形成されている。
【0036】
図示される例では、軸部45は、下流側ルーバ13bの長手方向(回動軸線A方向)の一端部に位置する。軸部45は、下流側ルーバ13bの角部を切り欠いて形成された切欠部48に配置されている。切欠部48は、下流側ルーバ13bの長手方向の一端部にて回動部15から離れた位置にある。本実施の形態では、回動部15が下流側ルーバ13aの前端部に位置し、切欠部48が後端部に位置する。軸部45は、切欠部48において、回動軸線Aと平行または略平行な方向に突設されている。
【0037】
穴部46は、リンク14において、リンク本体部40に対して前側に延出された延出部50に形成されている。本実施の形態では、延出部50は、一の連結部21の挟持部26の挟持片34,35に対し、上下に離れて位置する。つまり、他の連結部22が、リンク14の長手方向において、一の連結部21の上下に設定され、一の連結部21がリンク14の中央部に位置する。
【0038】
なお、上記連結部20による連結構造は、上流側ルーバ12とそのリンクとの間に適用されていてもよい。
【0039】
図3に示すように、好ましくは、下流側ルーバ13には、乗員などの使用者がルーバ10の回動を直接操作するための操作部52が配置されている。ルーバ10の回動が、操作部52により乗員などの使用者が直接操作可能となっている。操作部52は、操作摘み、あるいは操作ノブなどとも呼ばれる。図示される例では、操作部52は、下流側ルーバ13とともに上下方向に移動可能であり、この上下方向への移動により下流側ルーバ13を上下方向に回動させるようになっている。例えば、操作部52は、下流側ルーバ13の長手方向に沿ってスライド可能であり、このスライドに応じて上流側ルーバ12を左右方向に操作可能となっていてもよい。
【0040】
さらに、ケース体3の内部、すなわち通気路5には、ケース体3に対して回動することでその回動に応じて通気路5を開閉するシャットバルブが設けられていてもよい。
【0041】
そして、風向調整装置1を組み立てる際には、上流側ルーバ12をリンクにより互いに連結しつつ、回動部15を回動受け部16で受けるように、一体的にケース体3の内部に前方から組み付ける。
【0042】
また、下流側ルーバ13a,13bをリンク14により互いに連結する。このとき、下流側ルーバ13aは、被挟持部25をリンク14の挟持部26の挟持片34,35間に挿入し、調整部材27の軸部27aを、挟持部26の挟持片34の挿入穴37から、被挟持部25の挿通穴32、及び、挟持部26の挟持片35の締結穴38に亘り挿入し、締結穴38に締結する。また、下流側ルーバ13bは、軸部45をリンク14の穴部46に挿入する。そして、回動部15を回動受け部16で受けるように、これら下流側ルーバ13a,13bを、リンク14とともに一体的にケース体3の内部に前方から組み付ける。
【0043】
この状態で、操作部52を用いてルーバ10を回動させて操作荷重(回動トルク)を確認しつつ、必要に応じて貫通穴42から治具43を挿入して調整部材27の締め込み量を調整することによって、挟持部26が被挟持部25を挟持する挟持力、すなわちリンク14と下流側ルーバ13aとの一方を他方に押圧する押圧力を調整して、下流側ルーバ13の操作荷重を所望の値に設定する。つまり、調整部材27を緩めると、被挟持部25を挟み込む挟持部26の挟持力が弱くなることによりリンク14と下流側ルーバ13aとが相対的に動きやすくなるので、リンク14で連結されている下流側ルーバ13の操作荷重が軽くなり、調整部材27を締め込むと、被挟持部25を挟み込む挟持部26の挟持力が強くなることによりリンク14と下流側ルーバ13aとが相対的に動きにくくなるので、リンク14で連結されている下流側ルーバ13の操作荷重が重くなる。
【0044】
このように、第1の実施の形態によれば、複数のルーバ10(本実施の形態では下流側ルーバ13)の少なくともいずれか(本実施の形態では下流側ルーバ13a)と、これらを連動させて回動させるリンク14と、の一方を他方に押圧する押圧力を調整する調整部を設けることで、簡素な構成で部品個体差などによる操作荷重のばらつきを抑制でき、操作感を安定化できる。つまり、風向調整装置1毎に狙った操作荷重に個々に調整できるため、操作荷重の公差を低減できる。したがって、所望のルーバ10の操作荷重に応じた、操作荷重のばらつきが少ない風向調整装置1を提供でき、不良率も大幅に低減できることで、生産効率が向上する。
【0045】
また、調整部を、被挟持部25を挟持部26により挟持して、それら被挟持部25と挟持部26とに亘り調整部材27を締め込む構成とすることで、調整部材27の締め込み量を調整することにより挟持部26による被挟持部25の挟持力を容易に調整可能な、簡素な構成とすることができるとともに、例えば温度条件などに伴う被挟持部25の変形などを挟持部26の挟持により規制して、被挟持部25の変形及びそれに起因する調整部の不良などを防止できる。
【0046】
しかも、調整部材27としてねじを用いることで、調整部材27の締め付けが気温などの影響を受けにくく、ルーバ10の操作荷重が安定する。
【0047】
さらに、各ルーバ10(下流側ルーバ13)とリンク14とをそれぞれ回動可能に連結する連結部20の少なくともいずれかを、調整部を構成する一の連結部21とすることで、残りの他の連結部20については、調整部により設定された操作荷重で連動させることができるので、調整部を必要最小限とすることができ、構成を簡素化できる。
【0048】
また、調整部材27による締め込み量をケース体3の通気路5と連通する貫通穴42を介して調整できるので、風向調整装置1を組み立てた後であってもケース体3の外部から調整部材27によってルーバ10(本実施の形態では下流側ルーバ13)の操作荷重を調整可能になるとともに、調整部材27により通気路5内の通気を妨げることがない。
【0049】
なお、連結部20は、一の連結部21が他の連結部22の間にある構成に限定されず、例えば
図4に示す第2の実施の形態のように、一の連結部21を端部、例えば最下部に配置し、他の連結部22をその他の部分、例えば一の連結部21の上方に配置する構成などとしても、ルーバ10(本実施の形態では下流側ルーバ13)の操作感を安定化できるなど、第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0050】
また、各実施の形態において、ルーバ10は、上流側ルーバ12と下流側ルーバ13とを設定する構成としたが、これに限らず、吹出口7に臨むルーバ10のみで構成されていてもよい。
【0051】
さらに、調整部は、被挟持部25を挟持部26で挟み込む挟持力を調整部材27の締め込みにより調整する構成としたが、ルーバ10とリンク14との一方を他方に対して押圧する押圧力を調整する構成であれば、このような構成には限定されない。
【0052】
そして、風向調整装置1は、自動車用のものに限らず、その他の任意の用途に用いてよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、例えば自動車の空調用の風向調整装置として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 風向調整装置
3 ケース体
5 通気路
13 ルーバである下流側ルーバ
14 リンク
20 連結部
21 調整部を構成する一の連結部
25 被挟持部
26 挟持部
27 調整部材
42 貫通穴