特開 2024-140171 紙ラミネートチューブ

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024140171

(43)【公開日】2024-10-10

(54)【発明の名称】紙ラミネートチューブ

(51)【国際特許分類】

   B65D 35/10 20060101AFI20241003BHJP

【ＦＩ】

B65D35/10 Z

【審査請求】未請求

【請求項の数】8

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023051189

(22)【出願日】2023-03-28

(71)【出願人】

【識別番号】000003193

【氏名又は名称】ＴＯＰＰＡＮホールディングス株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110001195

【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所

(72)【発明者】

【氏名】西 彩子

(72)【発明者】

【氏名】岩田 賢

(72)【発明者】

【氏名】齋藤 剛史

【テーマコード（参考）】

3E065

【Ｆターム（参考）】

3E065AA02

3E065BA02

3E065BA16

3E065BA18

3E065BA35

3E065BB03

3E065CA20

3E065DA11

3E065FA06

(57)【要約】

【課題】胴部を構成しているシート部材のデッドホールド性を低下させることが可能な紙ラミネートチューブを提供する。
【解決手段】紙ラミネートチューブ（１００，２００）は、胴部（１０）を備えている。胴部は、第１面（２０ａ）と第１面の反対面である第２面（２０ｂ）とを有するとともに第１面が内側を向くように筒状に曲げられているシート部材（２０）で構成されている。シート部材は、紙基材（２１）と、バリアフィルム（２４）と、バリアフィルムとは別の延伸フィルム（２６）とを有する。
【選択図】図６

【特許請求の範囲】

【請求項1】

胴部を備え、
前記胴部は、第１面と前記第１面の反対面である第２面とを有するとともに前記第１面が内側を向くように筒状に曲げられているシート部材で構成されており、
前記シート部材は、紙基材と、バリアフィルムと、前記バリアフィルムとは別の延伸フィルムとを有する、紙ラミネートチューブ。

【請求項2】

前記バリアフィルムは、前記紙基材と前記第１面との間に配置されており、
前記延伸フィルムは、前記紙基材と前記バリアフィルムとの間に配置されている、請求項１に記載の紙ラミネートチューブ。

【請求項3】

前記シート部材は、前記紙基材と前記延伸フィルムとの間に配置されている接着層をさらに有し、
前記接着層は、前記紙基材の前記接着層側の面から３μｍの深さまで含浸されている、請求項２に記載の紙ラミネートチューブ。

【請求項4】

前記シート部材は、前記第１面を構成しているシーラント層をさらに有する、請求項２に記載の紙ラミネートチューブ。

【請求項5】

前記延伸フィルムは、前記紙基材と前記第１面との間に配置されており、
前記バリアフィルムは、前記紙基材と前記延伸フィルムとの間に配置されている、請求項１に記載の紙ラミネートチューブ。

【請求項6】

前記シート部材は、前記紙基材と前記バリアフィルムとの間に配置されている接着層をさらに有し、
前記接着層は、前記紙基材の前記接着層側の面から３μｍの深さまで含浸されている、請求項５に記載の紙ラミネートチューブ。

【請求項7】

前記シート部材は、前記第１面を構成しているシーラント層をさらに有する、請求項５に記載の紙ラミネートチューブ。

【請求項8】

前記バリアフィルムは、樹脂材料製である、請求項１から請求項７のいずれか１項に記載の紙ラミネートチューブ。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本開示は、紙ラミネートチューブに関する。

【背景技術】

【0002】

例えば特開２０２１－１０４８５１号公報（特許文献１）には、チューブ容器が記載されている。特許文献１に記載のチューブ容器は、胴部と、頭部成形体とを有している。胴部は、筒状に曲げられているシート部材で構成されている。シート部材は、紙基材層と、バリア層とを有している。バリア層は、アルミニウム箔である。胴部は、胴部の長手方向における一方端部において開口されており、胴部の長手方向における他方端部において閉塞されている。頭部成形体は、肩部と、口部とを有している。頭部成形体は、胴部の開口を閉塞するように、肩部において胴部に取り付けられている。肩部は、上壁を有する円錐台筒状である。口部は、肩部の上壁に接続されている。口部の開口は、胴部の内部に連通している。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【特許文献1】特開２０２１－１０４８５１号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

特許文献１に記載のチューブ容器では、胴部の内部に内容物が充填されている。特許文献１のチューブでは、胴部を畳むことにより、内容物を可能な限り使い切ることが試みられる。しかしながら、特許文献１に記載のチューブ容器では、シート部材が紙基材層を有しているため、胴部が畳まれた際に癖が残りやすく（デッドホールド性が高く）、胴部が同じ個所で繰り返し畳まれることにより胴部に割れが生じてしまうことがある。

【0005】

本開示は、上記のような従来技術の問題点に鑑みてなされたものである。より具体的には、本開示は、胴部を構成しているシート部材のデッドホールド性を低下させることが可能な紙ラミネートチューブを提供するものである。

【課題を解決するための手段】

【0006】

本開示の紙ラミネートチューブは、胴部を備えている。胴部は、第１面と第１面の反対面である第２面とを有するとともに第１面が内側を向くように筒状に曲げられているシート部材で構成されている。シート部材は、紙基材と、バリアフィルムと、バリアフィルムとは別の延伸フィルムとを有する。

【0007】

上記の紙ラミネートチューブでは、バリアフィルムが、紙基材と第１面との間に配置されていてもよい。延伸フィルムは、紙基材とバリアフィルムとの間に配置されていてもよい。

【0008】

上記の紙ラミネートチューブでは、シート部材が、紙基材と延伸フィルムとの間に配置されている接着層をさらに有していてもよい。接着層は、紙基材の接着層側の面から３μｍの深さまで含浸されていてもよい。

【0009】

上記の紙ラミネートチューブでは、シート部材は、第１面を構成しているシーラント層をさらに有していてもよい。

【0010】

上記の紙ラミネートチューブでは、延伸フィルムが紙基材と第１面との間に配置されていてもよい。バリアフィルムは、紙基材と延伸フィルムとの間に配置されていてもよい。

【0011】

上記の紙ラミネートチューブでは、シート部材が、紙基材とバリアフィルムとの間に配置されている接着層をさらに有していてもよい。接着層は、紙基材の接着層側の面から３μｍの深さまで含浸されていてもよい。

【0012】

上記の紙ラミネートチューブでは、シート部材が、第１面を構成しているシーラント層をさらに有していてもよい。上記の紙ラミネートチューブでは、バリアフィルムが、樹脂材料製であってもよい。

【発明の効果】

【0013】

本開示の紙ラミネートチューブによると、胴部を構成しているシート部材のデッドホールド性を低下させることが可能である。

【図面の簡単な説明】

【0014】

【図1】紙ラミネートチューブ１００の正面図である。

【図2】紙ラミネートチューブ１００の平面図である。

【図3】図１のＩＩＩ－ＩＩＩにおける模式的な断面図である。

【図4】図２のＩＶ－ＩＶにおける模式的な断面図である。

【図5】紙ラミネートチューブ１００が有するシート部材２０の平面図である。

【図6】図５のＶＩ－ＶＩにおける断面図である。

【図7】変形例に係る紙ラミネートチューブ１００が有するシート部材２０の断面図である。

【図8】紙ラミネートチューブ２００の正面図である。

【図9】紙ラミネートチューブ２００が有するシート部材２０の断面図である。

【図10】変形例に係る紙ラミネートチューブ２００が有するシート部材２０の断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0015】

本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面では、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は繰り返さないものとする。

【0016】

（第１実施形態）
第１実施形態に係る紙ラミネートチューブを説明する。第１実施形態に係る紙ラミネートチューブを、紙ラミネートチューブ１００とする。

【0017】

＜紙ラミネートチューブ１００の構成＞
以下に、紙ラミネートチューブ１００の構成を説明する。

【0018】

図１は、紙ラミネートチューブ１００の正面図である。図２は、紙ラミネートチューブ１００の平面図である。図３は、図１のＩＩＩ－ＩＩＩにおける模式的な断面図である。図４は、図２のＩＶ－ＩＶにおける模式的な断面図である。図１から図４に示されるように、紙ラミネートチューブ１００は、胴部１０と、スパウト３０と、キャップ４０とを有している。

【0019】

胴部１０は、シート部材２０を筒状に曲げることにより構成されている。図５は、紙ラミネートチューブ１００が有するシート部材２０の平面図である。図６は、図５のＶＩ－ＶＩにおける断面図である。図５及び図６に示されるように、シート部材２０は、シート状である。シート部材２０は、第１面２０ａと、第２面２０ｂとを有している。第１面２０ａ及び第２面２０ｂは、シート部材２０の厚さ方向における端面である。第１面２０ａは、筒状に曲げられた状態で、胴部１０の内側を向いている。第２面２０ｂは、第１面２０ａの反対面である。すなわち、第２面２０ｂは、筒状に曲げられた状態で、胴部１０の外側を向いている。

【0020】

シート部材２０は、紙基材２１と、シーラント層２２及びシーラント層２３と、バリアフィルム２４と、接着層２５と、延伸フィルム２６とを有している。紙基材２１は、紙で構成されている。紙基材２１に用いられる紙の種類は、特に限定されない。紙基材２１に用いられる紙は、コート紙であってもよく、ノンコート紙であってもよい。紙基材２１に用いられる紙の密度も、特に限定されない。紙基材２１は、第１面２１ａと、第２面２１ｂとを有している。第１面２１ａ及び第２面２１ｂは、紙基材２１の厚さ方向における端面である。第２面２１ｂは、第１面２１ａの反対面である。

【0021】

シーラント層２２は、第１面２０ａを構成している。シーラント層２３は、第２面２０ｂを構成している。シーラント層２３は、第２面２１ｂ上に配置されている。シーラント層２２及びシーラント層２３の構成材料は、樹脂材料である。シーラント層２２及びシーラント層２３の構成材料は、例えばポリエチレン（ＰＥ）又はポリプロピレン（ＰＰ）である。シーラント層２２の構成材料は、シーラント層２３の構成材料と同一であってもよく、異なっていてもよい。

【0022】

バリアフィルム２４は、紙基材２１と第１面２０ａとの間に配置されている。バリアフィルム２４は、好ましくは、樹脂材料製である。なお、バリアフィルム２４の表面に無機材料が蒸着されている場合であっても、バリアフィルム２４は、樹脂材料製であると見做される。バリアフィルム２４は、例えば、ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）を基材とし、当該基材上に無機材料がコーティングされている透明バリアフィルムである。バリアフィルム２４は、アルミ箔の金属材料で構成されていてもよい。

【0023】

接着層２５は、紙基材２１とバリアフィルム２４との間に挟み込まれている。これにより、第１面２１ａにバリアフィルム２４が接着されている。バリアフィルム２４は、溶融された接着層２５の構成材料が第１面２１ａ上に供給された状態で貼付される。このことを別の観点から言えば、バリアフィルム２４は、紙基材２１に押し出しラミネートされている。接着層２５の構成材料は、例えばオレフィンである。但し、接着層２５の構成材料は、これに限られるものではない。接着層２５は、第１面２１ａに含浸されている。接着層２５は、第１面２１ａから３μｍ以上の深さまで含浸されていることが好ましく、第１面２１ａから５μｍ以上の深さまで含浸されていることがさらに好ましく、第１面２１ａから１０μｍ以上の深さまで含浸されていることが特に好ましい。

【0024】

延伸フィルム２６は、接着層２５とは反対側のバリアフィルム２４の面上に配置されている。このことを別の観点から言えば、バリアフィルム２４は、紙基材２１と延伸フィルム２６との間に配置されている。バリアフィルム２４とは反対側の延伸フィルム２６の面上には、シーラント層２２が配置されている。延伸フィルム２６は、バリアフィルム２４とは別の層になっている。すなわち、バリアフィルム２４が延伸フィルム２６を兼ねることはできない。延伸フィルム２６は、延伸された樹脂材料製のフィルムである。延伸フィルム２６は、好ましくは、２軸延伸されている。但し、延伸フィルム２６は、１軸延伸されていてもよい。延伸フィルム２６の構成材料は、例えば、ナイロン（Ｎｙ）である。但し、延伸フィルム２６の構成材料は、これに限られるものではない。

【0025】

平面視において、第１方向ＤＲ１は、シート部材２０が曲げられた際の胴部１０の長手方向に対応している。第２方向ＤＲ２は、平面視において第１方向ＤＲ１に直交している方向である。シート部材２０は、第２方向ＤＲ２において、第１端部２０ｃと、第２端部２０ｄとを有している。第２端部２０ｄは、第１端部２０ｃの反対側の端部である。シート部材２０は、第１面２０ａが胴部１０の内側を向くように筒状に曲げられた上で第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄが互いに接着されることにより、胴部１０が構成される。

【0026】

第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄの接着は、例えば、第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄが重ね合わされた状態で加圧されながら加熱されることにより行われる。但し、第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄの接着方法は、これに限られるものではない。第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄは、互いに突き合せられた上で、第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄに跨がるように第１面２０ａ上に接着テープが貼付されるとともに、第１端部２０ｃ及び第２端部２０ｄに跨るように第２面２０ｂ上に接着テープが貼付されてもよい。

【0027】

胴部１０は、胴部１０の長手方向における一方端部において、開口部１０ａを有している。胴部１０は、胴部１０の長手方向における他方端部において、閉塞されている。スパウト３０は、開口部１０ａを閉塞するように胴部１０の長手方向における一方端部に取り付けられている。スパウト３０の取り付けは、溶着により行われている。スパウト３０の構成材料は、樹脂材料である。

【0028】

スパウト３０は、突出部３１を有している。突出部３１の外周面には、ねじ溝（図示せず）が形成されている。突出部３１のねじ溝がキャップ４０に形成されているねじ溝（図示せず）と螺合されることにより、キャップ４０がスパウト３０に着脱可能に取り付けられる。突出部３１には、開口部３１ａが形成されている。開口部３１ａは、胴部１０の内部に連通している。そのため、胴部１０を圧迫することにより、開口部３１ａから胴部１０の内部に充填されている内容物が吐出される。

【0029】

＜変形例＞
図７は、変形例に係る紙ラミネートチューブ１００が有するシート部材２０の断面図である。図７に示されるように、シート部材２０は、シーラント層２３を有していなくてもよい。この場合、第２面２０ｂは、第２面２１ｂにより構成されている。

【0030】

＜紙ラミネートチューブ１００の効果＞
以下に、紙ラミネートチューブ１００の効果を説明する。

【0031】

紙ラミネートチューブ１００では、胴部１０を畳むことにより、胴部１０の内部に充填されている内容物を可能な限り使い切ることが試みられる。胴部１０（シート部材２０）デッドホールド性が高いと、胴部１０が同じ個所で繰り返し畳まれることにより、胴部１０に割れが生じてしまうことがある。

【0032】

しかしながら、紙ラミネートチューブ１００では、シート部材２０が、バリアフィルム２４とは別に、延伸フィルム２６を有している。そのため、延伸フィルム２６の剛性によりシート部材２０のデッドホールド性が緩和され、胴部１０が同じ個所で繰り返し畳まれる際に割れが生じてしまうことが抑制される。また、シート部材２０が延伸フィルム２６を有することにより使用に際して胴部１０に皺等が生じにくくなるため、見栄えが良くなり、商品価値が高められる。

【0033】

紙ラミネートチューブ１００では、紙基材２１の表面（第１面２１ａ）に含浸されている接着層２５を用いてバリアフィルム２４が紙基材２１に接着されている。接着層２５を用いてバリアフィルム２４を紙基材２１に接着する場合、ドライラミネートでバリアフィルム２４を紙基材２１に接着する場合と比較し、シート部材２０の柔軟性が高まる。そのため、第１面２１ａに含浸されている接着層２５を用いて（すなわち、樹脂押出により）バリアフィルム２４を紙基材２１に接着する場合、胴部１０皺等が生じにくくなる。さらに、この場合、接着層２５が第１面２１ａに含浸されることに伴うアンカー効果により、バリアフィルム２４と紙基材２１との間の密着性がさらに高められる。

【0034】

バリアフィルム２４が樹脂材料製である場合、バリアフィルム２４がアルミニウム箔等の金属材料製である場合と比較して、シート部材２０のデッドホールド性がさらに緩和されることになる。

【0035】

紙基材２１は、単層紙で構成されていてもよい。単層紙は、好ましくは、複数の第１繊維と複数の第２繊維とを含んでいる。複数の第１繊維の各々の長さは、複数の第２繊維の各々の長さよりも長い。複数の第１繊維の各々の長さは、好ましくは４ｍｍ以下である。複数の第２繊維の各々の長さは、好ましくは、０．２ｍｍ以上１．５ｍｍ以下である。

【0036】

単層紙中における複数の第１繊維の含有率は、５０パーセント以上であることが好ましい。単層紙中における複数の第１繊維の含有率は、単層紙に含まれている複数の第１繊維の本数を単層紙に含まれている繊維の本数で除した値である。第１繊維及び第２繊維の長さは、ＪＡＰＡＮ ＴＡＰＰＩ紙パルプ試験法Ｎｏ．５２（紙及びパルプの繊維長試験方法）に定められている光学的自動計測法に基づいて算出される。

【0037】

単層紙の坪量は、１６５ｇ／ｍ^２未満であることが好ましい。単層紙の坪量は、ＪＩＳ規格（ＪＩＳ Ｐ ８１２４：２０１１）に定められている紙の坪量の測定方法にしたがって測定される。

【0038】

紙は、平面方向（紙の厚さ方向に直交する方向）において水素結合されており、平面方向における結合力が強い。他方で、紙は、厚さ方向において水素結合されており、厚さ方向における結合力が弱い。そのため、紙基材２１が多層紙で構成されている場合、紙基材２１の内部に水分が侵入した際に、紙基材２１が凝集剥離されやすくなる。他方で、単層紙では、単層紙に含まれている繊維の絡み合いにより、厚さ方向における結合力が高められている。そのため、紙基材２１が単層紙により構成されている場合、紙基材２１が多層紙で構成されている場合と比較して、紙基材２１の内部に水分が侵入した際の凝集剥離の発生を抑制可能である。紙ラミネートチューブに対しては、内容物を絞り出す作業が繰り返し行われる。この際、紙基材の層間において剥離が発生し、紙ラミネートチューブとしての機能（剛性等）が劣化する。紙ラミネートチューブ１００では、紙基材２１が単層紙で構成されているため、紙基材２１の層間における剥離が生じにくく、上記のような作業が繰り返し行われても、紙ラミネートチューブ１００としての機能が劣化しがたい。

【0039】

単層紙における繊維の絡み合いは、長い繊維の含有率が高くなるほど生じやすくなる。そのため、単層紙中における第１繊維の含有率が５０パーセント以上である場合には、単層紙の厚さ方向における結合力がさらに高められ、紙基材２１の内部に水分が侵入した際の凝集剥離の発生がさらに抑制される。また、紙の坪量が大きくなるほど凝集剥離が生じやすくなるため、単層紙の坪量を１６５ｇ／ｍ^２未満とすることにより、紙基材２１の内部に水分が侵入した際の凝集剥離の発生がさらに抑制される。

【0040】

（第２実施形態）
第２実施形態に係る紙ラミネートチューブを説明する。第２実施形態に係る紙ラミネートチューブを、紙ラミネートチューブ２００とする。ここでは、紙ラミネートチューブ１００と異なる点を主に説明し、重複する説明は繰り返さないものとする。

【0041】

＜紙ラミネートチューブ２００の構成＞
以下に、紙ラミネートチューブ２００の構成を説明する。

【0042】

図８は、紙ラミネートチューブ２００の正面図である。図８に示されるように、紙ラミネートチューブ２００は、胴部１０と、スパウト３０と、キャップ４０とを有している。紙ラミネートチューブ２００では、胴部１０が、筒状に曲げられているシート部材２０で構成されている。紙ラミネートチューブ２００では、キャップ４０が、突出部３１のねじ溝に螺合されることにより、スパウト３０に着脱可能に取り付けられている。

【0043】

図９は、紙ラミネートチューブ２００が有するシート部材２０の断面図である。図９に示されるように、紙ラミネートチューブ２００では、シート部材２０が、紙基材２１と、シーラント層２２及びシーラント層２３と、バリアフィルム２４と、接着層２５と、延伸フィルム２６とを有している。これらの点に関して、紙ラミネートチューブ２００の構成は、紙ラミネートチューブ１００の構成と共通している。

【0044】

紙ラミネートチューブ２００では、延伸フィルム２６は、紙基材２１と第１面２０ａとの間に配置されている。紙ラミネートチューブ２００では、接着層２５が紙基材２１と延伸フィルム２６との間に挟み込まれているとともに、第１面２０ａに含浸されている。これにより、紙ラミネートチューブ２００では、接着層２５を用いて延伸フィルム２６が紙基材２１に接着されている。延伸フィルム２６は、溶融された接着層２５の構成材料が第１面２１ａ上に供給された状態で貼付される。このことを別の観点から言えば、延伸フィルム２６は、紙基材２１に押し出しラミネートされている。

【0045】

紙ラミネートチューブ２００では、バリアフィルム２４が、接着層２５とは反対側の延伸フィルム２６の面上に配置されている。このことを別の観点から言えば、延伸フィルム２６は、紙基材２１とバリアフィルム２４との間に配置されている。延伸フィルム２６とは反対側のバリアフィルム２４の面上には、シーラント層２２が配置されている。これらの点に関して、紙ラミネートチューブ２００の構成は、紙ラミネートチューブ１００の構成と異なっている。

【0046】

＜変形例＞
図１０は、変形例に係る紙ラミネートチューブ２００が有するシート部材２０の断面図である。図１０に示されるように、シート部材２０は、シーラント層２３を有していなくてもよい。この場合、第２面２０ｂは、第２面２１ｂにより構成されている。

【0047】

＜紙ラミネートチューブ２００の効果＞
以下に、紙ラミネートチューブ２００の効果を説明する。

【0048】

紙ラミネートチューブ２００では、紙ラミネートチューブ１００と同様に、シート部材２０が延伸フィルム２６を有している。紙ラミネートチューブ２００でも、延伸フィルム２６の剛性によりシート部材２０のデッドホールド性が緩和され、胴部１０が同じ個所で繰り返し畳まれる際に割れが生じてしまうことが抑制される。また、シート部材２０が延伸フィルム２６を有することにより使用に際して胴部１０に皺等が生じにくくなるため、見栄えが良くなり、商品価値が高められる。

【0049】

紙ラミネートチューブ２００では、紙基材２１の表面（第１面２１ａ）に含浸されている接着層２５を用いて延伸フィルム２６が紙基材２１に接着されている。接着層２５を用いて延伸フィルム２６を紙基材２１に接着する場合、ドライラミネートで延伸フィルム２６を紙基材２１に接着する場合と比較し、シート部材２０の柔軟性が高まる。そのため、第１面２１ａに含浸されている接着層２５を用いて（すなわち、樹脂押出により）延伸フィルム２６を紙基材２１に接着する場合、胴部１０皺等が生じにくくなる。さらに、この場合、接着層２５が第１面２１ａに含浸されることに伴うアンカー効果により、延伸フィルム２６と紙基材２１との間の密着性がさらに高められる。

【0050】

以上のように本開示の実施形態について説明を行ったが、上述の実施形態を様々に変形することも可能である。また、本発明の範囲は、上述の実施形態に限定されるものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むことが意図される。

【符号の説明】

【0051】

１００，２００ 紙ラミネートチューブ、１０ 胴部、１０ａ 開口部、２０ シート部材、２０ａ 第１面、２０ｂ 第２面、２０ｃ 第１端部、２０ｄ 第２端部、２１ 紙基材、２１ａ 第１面、２１ｂ 第２面、２２，２３ シーラント層、２４ バリアフィルム、２５ 接着層、２６ 延伸フィルム、３０ スパウト、３１ 突出部、３１ａ 開口部、４０ キャップ、ＤＲ１ 第１方向、ＤＲ２ 第２方向。

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】