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特開2024-140178半導体装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140178
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】半導体装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 25/07 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 29/78 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 29/739 20060101ALI20241003BHJP
   H01L 29/12 20060101ALI20241003BHJP
   H03K 17/08 20060101ALI20241003BHJP
   H03K 17/04 20060101ALI20241003BHJP
   H03K 17/12 20060101ALI20241003BHJP
   H03K 17/687 20060101ALI20241003BHJP
   H03K 17/567 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L29/78 656A
H01L29/78 655A
H01L29/78 652Q
H01L29/78 652T
H03K17/08 D
H03K17/04 J
H03K17/12
H03K17/687 F
H03K17/567
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051198
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】高尾 騰真
(72)【発明者】
【氏名】山口 公輔
【テーマコード(参考)】
5J055
【Fターム(参考)】
5J055AX02
5J055AX07
5J055AX53
5J055AX55
5J055AX64
5J055BX16
5J055DX09
5J055DX12
5J055DX56
5J055DX59
5J055DX73
5J055DX82
5J055EY17
5J055EY21
5J055GX01
5J055GX08
(57)【要約】
【課題】本開示は、MOSFETの特性を十分に活用することが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本開示による半導体装置は、下アーム側MOSFET19と、下アーム側IGBT18と、上アーム側MOSFET6と、上アーム側IGBT8と、上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8の駆動を制御する上アーム側制御IC3と、上アーム側MOSFET6のゲート電極と上アーム側制御IC3とを接続するMOSFETゲートワイヤ4と、上アーム側IGBT8のゲート電極と上アーム側制御IC3とを接続するIGBTゲートワイヤ5と、上アーム側IGBT8のエミッタ電極と上アーム側制御IC3とを直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤ7とを備え、上アーム側MOSFET6のソース電極は、上アーム側IGBT8のエミッタ電極を介して上アーム側制御IC3と電気的に接続している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下アーム側MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)と、
前記下アーム側MOSFETと並列接続された下アーム側IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と、
上アーム側MOSFETと、
前記上アーム側MOSFETと並列接続された上アーム側IGBTと、
前記上アーム側MOSFETおよび前記上アーム側IGBTの駆動を制御する上アーム側制御IC(Integrated Circuit)と、
前記上アーム側MOSFETのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するMOSFETゲートワイヤと、
前記上アーム側IGBTのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するIGBTゲートワイヤと、
前記上アーム側IGBTのエミッタ電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤと、
を備え、
前記上アーム側MOSFETのソース電極は、前記上アーム側IGBTのエミッタ電極を介して前記上アーム側制御ICと電気的に接続している、半導体装置。
【請求項2】
前記上アーム側MOSFETのソース電極と、前記上アーム側IGBTのエミッタ電極とを電気的に接続するソースエミッタワイヤと、
前記ソースエミッタワイヤとは離間して前記上アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記下アーム側MOSFETのソース電極と、前記下アーム側IGBTのエミッタ電極とを電気的に接続するソースエミッタワイヤと、
前記ソースエミッタワイヤとは離間して前記下アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記上アーム側MOSFETのソース電極に電気的に接続されたMOSFETソースワイヤと、
前記上アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記下アーム側MOSFETのソース電極に電気的に接続されたMOSFETソースワイヤと、
前記下アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記上アーム側MOSFETおよび前記上アーム側IGBTは、前記上アーム側制御ICの延在方向に沿って横並びに設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記上アーム側MOSFETは、前記上アーム側IGBTよりも前記上アーム側制御ICの近くに設けられている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記IGBTエミッタセンスワイヤの直径は、前記ソースエミッタワイヤの直径および前記主電流エミッタワイヤの直径よりも小さい、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記下アーム側MOSFET、前記下アーム側IGBT、前記上アーム側MOSFET、および前記上アーム側IGBTは、ワイドバンドギャップ半導体で形成されている、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
下アーム側MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を設ける工程と、
前記下アーム側MOSFETと並列接続するように下アーム側IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を設ける工程と、
上アーム側MOSFETを設ける工程と、
前記上アーム側MOSFETと並列接続するように上アーム側IGBTを設ける工程と、
前記上アーム側MOSFETおよび前記上アーム側IGBTの駆動を制御する上アーム側制御IC(Integrated Circuit)を設ける工程と、
前記上アーム側MOSFETのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するMOSFETゲートワイヤを設ける工程と、
前記上アーム側IGBTのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するIGBTゲートワイヤを設ける工程と、
前記上アーム側IGBTのエミッタ電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤを設ける工程と、
を備え、
前記上アーム側MOSFETのソース電極は、前記上アーム側IGBTのエミッタ電極を介して前記上アーム側制御ICと電気的に接続している、半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチングデバイスとしてMOSFETとIGBTとを並列動作させて用いる半導体装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)とIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)とが並列動作するように搭載されており、上アームにおいて制御IC(Integrated Circuit)の近くに設けられたMOSFETのソース電極からセンスワイヤを配線した半導体装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-130909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、MOSFETが破壊しないように、制御ICによってIGBTよりも遅延時間が長くなるように設計されているため、MOSFETの特性を十分に活用できないという問題があった。
【0005】
本開示は、このような問題を解決するためになされたものであり、MOSFETの特性を十分に活用することが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示による半導体装置は、下アーム側MOSFETと、下アーム側MOSFETと並列接続された下アーム側IGBTと、上アーム側MOSFETと、上アーム側MOSFETと並列接続された上アーム側IGBTと、上アーム側MOSFETおよび上アーム側IGBTの駆動を制御する上アーム側制御ICと、上アーム側MOSFETのゲート電極と上アーム側制御ICとを電気的に接続するMOSFETゲートワイヤと、上アーム側IGBTのゲート電極と上アーム側制御ICとを電気的に接続するIGBTゲートワイヤと、上アーム側IGBTのエミッタ電極と上アーム側制御ICとを電気的に直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤとを備え、上アーム側MOSFETのソース電極は、上アーム側IGBTのエミッタ電極を介して上アーム側制御ICと電気的に接続している。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、MOSFETの特性を十分に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る半導体装置の全体的な構成を示す平面図である。
図2】実施の形態1に係る半導体装置の下アームの構成を示す平面図である。
図3】実施の形態1に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。
図4】実施の形態1に係る半導体装置の回路を示す図である。
図5】実施の形態2に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。
図6】実施の形態3に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。
図7】実施の形態4に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施の形態1>
図1は、実施の形態1に係る半導体装置の全体的な構成を示す平面図である。図2は、下アームの構成を示す平面図である。図3は、上アームの構成を示す平面図である。図4は、半導体装置の回路を示す図である。
【0010】
図1,2に示すように、U相フレーム12には、下アーム側MOSFET19と、下アーム側MOSFET19と並列接続された下アーム側IGBT18とが設けられている。下アーム側MOSFET19および下アーム側IGBT18は、珪素によって形成されている。
【0011】
下アーム側MOSFET19にはゲートパッド20が設けられており、MOSFETゲートワイヤ4はゲートパッド20と下アーム側制御IC2とを電気的に接続している。下アーム側IGBT18にはゲートパッド21が設けられており、IGBTゲートワイヤ5はゲートパッド21と下アーム側制御IC2とを電気的に接続している。ソースエミッタワイヤ9は、下アーム側MOSFET19のソース電極と下アーム側IGBT18のエミッタ電極とを電気的に接続している。主電流エミッタワイヤ10は、下アーム側IGBT18のエミッタ電極とNU端子15とを電気的に接続している。ソースエミッタワイヤ9と主電流エミッタワイヤ10とは連続する1本のワイヤであり、ソースエミッタワイヤ9と主電流エミッタワイヤ10との境界部分(下アーム側IGBT18のエミッタ電極)にはワイヤ打点(ステッチ)が形成されている。
【0012】
V相フレーム13では、下アーム側IGBT18のエミッタ電極とNV端子16とが主電流エミッタワイヤ10を介して電気的に接続されている。その他の構成は、U相フレーム12における構成と同様である。
【0013】
W相フレーム14では、下アーム側IGBT18のエミッタ電極とNW端子17とが主電流エミッタワイヤ10を介して電気的に接続されている。その他の構成は、U相フレーム12における構成と同様である。
【0014】
U相フレーム12、V相フレーム13、およびW相フレーム14のそれぞれに設けられた下アーム側MOSFET19および下アーム側IGBT18は、半導体装置の下アームを構成している。
【0015】
図1,3に示すように、上アームフレーム11には、上アーム側MOSFET6と、上アーム側MOSFET6と並列接続された上アーム側IGBT8とが設けられている。上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8は、珪素によって形成されている。
【0016】
上アーム側MOSFET6にはゲートパッド20が設けられており、MOSFETゲートワイヤ4はゲートパッド20と上アーム側制御IC3とを電気的に接続している。上アーム側IGBT8にはゲートパッド21が設けられており、IGBTゲートワイヤ5はゲートパッド21と上アーム側制御IC3とを電気的に接続している。ソースエミッタワイヤ9は、上アーム側MOSFET6のソース電極と上アーム側IGBT8のエミッタ電極とを電気的に接続している。
【0017】
IGBTエミッタセンスワイヤ7は、上アーム側IGBT8のエミッタ電極と上アーム側制御IC3とを電気的に直接接続している。すなわち、上アーム側MOSFET6のソース電極は、ソースエミッタワイヤ9、上アーム側IGBT8のエミッタ電極、およびIGBTエミッタセンスワイヤ7を介して上アーム側制御IC3と電気的に接続されている。
【0018】
上アームフレーム11には、上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8からなる組が3つ設けられている。図1中の右から1つ目の組における上アーム側IGBT8のエミッタ電極は、主電流エミッタワイヤ10を介してU相フレーム12と電気的に接続されている。図1中の右から2つ目の組における上アーム側IGBT8のエミッタ電極は、主電流エミッタワイヤ10を介してV相フレーム13と電気的に接続されている。図1中の右から3つ目の組における上アーム側IGBT8のエミッタ電極は、主電流エミッタワイヤ10を介してW相フレーム14と電気的に接続されている。各組において、ソースエミッタワイヤ9と主電流エミッタワイヤ10とは連続する1本のワイヤであり、ソースエミッタワイヤ9と主電流エミッタワイヤ10との境界部分(上アーム側IGBT8のエミッタ電極)にはワイヤ打点(ステッチ)が形成されている。
【0019】
上アームフレーム11に設けられた3組の上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8は、半導体装置の上アームを構成している。
【0020】
IC用フレーム1には、下アーム側制御IC2および上アーム側制御IC3が設けられている。下アーム側制御IC2は、下アーム側MOSFET19および下アーム側IGBT18の駆動を制御する。上アーム側制御IC3は、上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8の駆動を制御する。
【0021】
上アーム側MOSFET6および下アーム側MOSFET19は、上アーム側IGBT8および下アーム側IGBT18よりもチップサイズが小さく、上アーム側IGBT8および下アーム側IGBT18よりも下アーム側制御IC2および上アーム側制御IC3の近くに設けられている。
【0022】
MOSFETゲートワイヤ4、IGBTゲートワイヤ5、およびIGBTエミッタセンスワイヤ7は、細線であり、例えばワイヤ径(ワイヤの断面の直径)が20~50μmの金線、銀線、または銅線である。
【0023】
ソースエミッタワイヤ9および主電流エミッタワイヤ10は、太線であり、例えばワイヤ径が200μmのアルミニウムワイヤである。
【0024】
上アーム側IGBT8のエミッタ電極と、上アーム側制御IC3とをIGBTエミッタセンスワイヤ7で直接接続することによって、上アーム側MOSFET6において負帰還効果によるゲート電圧ドロップを誘発することができる。上アーム側MOSFET6のソース電極と上アーム側IGBT8のエミッタ電極とを接続するソースエミッタワイヤ9、および下アーム側MOSFET19のソース電極と下アーム側IGBT18のエミッタ電極とを接続するソースエミッタワイヤ9のそれぞれのインダクタンスを調整することによって、上アーム側MOSFET6における負帰還効果を制御することができ、MOSFET(上アーム側MOSFET6、下アーム側MOSFET19)における飽和電流を抑制しかつ駆動期間を短縮することができる。
【0025】
小さい容量であるMOSFET(上アーム側MOSFET6、下アーム側MOSFET19)をIGBT(上アーム側IGBT8、下アーム側IGBT18)よりも後にターンオンし、かつIGBTよりも先にターンオフすることによって、半導体装置の短絡破壊を防ぐことができる。また、ソースエミッタワイヤ9の配線長と、制御ICの遅延時間(ターンオンの遅延時間、ターンオフの遅延時間)とで相互に駆動設計することができるため、設計自由度が向上し、遅延時間を短縮することによってMOSFETの特性をさらに活用することができる。
【0026】
実施の形態1に係る半導体装置は、少なくとも下記の工程を経て製造される。すなわち、実施の形態1に係る半導体装置の製造方法は、下アーム側MOSFET19を設ける工程と、下アーム側MOSFET19と並列接続するように下アーム側IGBT18を設ける工程と、上アーム側MOSFET6を設ける工程と、上アーム側MOSFET6と並列接続するように上アーム側IGBT8を設ける工程と、上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8の駆動を制御する上アーム側制御IC3を設ける工程と、上アーム側MOSFET6のゲート電極と上アーム側制御IC3とを電気的に接続するMOSFETゲートワイヤ4を設ける工程と、上アーム側IGBT8のゲート電極と上アーム側制御IC3とを電気的に接続するIGBTゲートワイヤ5を設ける工程と、上アーム側IGBT8のエミッタ電極と上アーム側制御IC3とを電気的に直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤ7を設ける工程とを備える。
【0027】
<変形例1>
実施の形態1では、半導体装置がIGBTを備える場合について説明したが、これに限るものではない。半導体装置は、IGBTに代えて、RC-IGBT(Reverse Conducting IGBT)を備えてもよい。
【0028】
<変形例2>
実施の形態1では、MOSFET(上アーム側MOSFET6、下アーム側MOSFET19)およびIGBT(上アーム側IGBT8、下アーム側IGBT18)が珪素によって形成される場合について説明したが、これに限るものではない。MOSFETおよびIGBTは、珪素よりもバンドギャップが大きいワイドバンドギャップ半導体によって形成されてもよい。ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料、またはダイヤモンドが挙げられる。
【0029】
<実施の形態2>
図5は、実施の形態2に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。なお、図5では、上アームを構成する3組の上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8のうちの1組を示しているが、他の組も同様である。
【0030】
図5に示すように、ソースエミッタワイヤ9および主電流エミッタワイヤ10は、互いに離間して上アーム側IGBT8のエミッタ電極に電気的に接続されている。すなわち、ソースエミッタワイヤ9および主電流エミッタワイヤ10は、実施の形態1(図3参照)のようなワイヤ打点を形成せず、それぞれが分離して上アーム側IGBT8のエミッタ電極に接続されている。その他の構成は、実施の形態1(図3参照)と同様である。
【0031】
ソースエミッタワイヤ9および主電流エミッタワイヤ10のそれぞれを分離して上アーム側IGBT8のエミッタ電極に接続することによって、主電流経路にチップ表面(上アーム側IGBT8のエミッタ電極の表面)が含まれるため、当該チップ表面の抵抗成分によって定常状態の電流が絞られる。
【0032】
負帰還によるゲート電圧ドロップは、急峻な電流変化(di/dt)によって発生するため、実施の形態1のような過渡状態以外の定常状態における電流を制限することができる。これにより、定常状態における半導体装置の過電流破壊を防止することができる。
【0033】
なお、上記では、上アームについて説明したが、下アームについても同様である。すなわち、実施の形態1で説明した構成(図2参照)において、ソースエミッタワイヤ9および主電流エミッタワイヤ10は、互いに離間して下アーム側IGBT18のエミッタ電極に電気的に接続されている。その他の構成は、実施の形態1(図2参照)と同様である。
【0034】
<実施の形態3>
図6は、実施の形態3に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。なお、図6では、上アームを構成する3組の上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8のうちの1組を示しているが、他の組も同様である。
【0035】
図6に示すように、上アーム側MOSFET6のソース電極には、MOSFETソースワイヤ30が電気的に接続されている。具体的には、MOSFETソースワイヤ30の一端は上アーム側MOSFET6のソース電極に接続され、他端はU相フレーム12、V相フレーム13、およびW相フレーム14のうちのいずれか1つに接続されている。例えば、上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8が図1に示す右から1つ目の組である場合、MOSFETソースワイヤ30の他端はU相フレーム12に接続されている。
【0036】
また、上アーム側IGBT8のエミッタ電極には、主電流エミッタワイヤ10が電気的に接続されている。具体的には、主電流エミッタワイヤ10の一端は上アーム側IGBT8のエミッタ電極に接続され、他端はU相フレーム12、V相フレーム13、およびW相フレーム14のうちのMOSFETソースワイヤ30と同じフレームに接続されている。例えば、MOSFETソースワイヤ30の他端がU相フレーム12に接続されている場合、主電流エミッタワイヤ10の他端もU相フレーム12に接続されている。
【0037】
上記のように、実施の形態3では、上アーム側MOSFET6のソース電極からMOSFETソースワイヤ30を配線し、上アーム側IGBT8のエミッタ電極から主電流エミッタワイヤ10を配線している。従って、MOSFETソースワイヤ30および主電流エミッタワイヤ10の配線長を調整することによって、MOSFETおよびIGBTのチップサイズに依存せずに、MOSFETソースワイヤ30および主電流エミッタワイヤ10のインダクタンスの差異を生成することができ、負帰還効果が得やすくなる。
【0038】
なお、上記では、上アームについて説明したが、下アームについても同様である。すなわち、実施の形態1で説明した構成(図2参照)において、ソースエミッタワイヤ9に代えてMOSFETソースワイヤ30を設ける。その他の構成は、実施の形態1(図2参照)と同様である。
【0039】
<実施の形態4>
図7は、実施の形態4に係る半導体装置の上アームの構成を示す平面図である。なお、図7では、上アームを構成する3組の上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8のうちの1組を示しているが、他の組も同様である。
【0040】
図7に示すように、上アーム側MOSFET6および上アーム側IGBT8は、上アーム側制御IC3の延在方向に沿って横並びに設けられている。このような構成とすることによって、上アーム側MOSFET6に設けられたゲートパッド20と、上アーム側IGBT8に設けられたゲートパッド21とを、上アーム側制御IC3の近くに配置することができる。従って、MOSFETゲートワイヤ4、IGBTゲートワイヤ5、およびIGBTエミッタセンスワイヤ7のそれぞれの長さを短くすることができる。
【0041】
MOSFETゲートワイヤ4、IGBTゲートワイヤ5、およびIGBTエミッタセンスワイヤ7のそれぞれの長さを短くすることによって、配線インダクタンスを低減することができるため、MOSFETおよびIGBTをスイッチング動作させる際のゲート発振を防止することができる。
【0042】
MOSFETゲートワイヤ4、IGBTゲートワイヤ5、およびIGBTエミッタセンスワイヤ7のそれぞれの長さを短くすることによって、半導体装置の製造過程の1つであるモールド注入工程におけるワイヤ流れを抑制することが可能となり、アセンブリ性を向上させることが可能となる。
【0043】
なお、本開示の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
【0044】
<付記>
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0045】
(付記1)
下アーム側MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)と、
前記下アーム側MOSFETと並列接続された下アーム側IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)と、
上アーム側MOSFETと、
前記上アーム側MOSFETと並列接続された上アーム側IGBTと、
前記上アーム側MOSFETおよび前記上アーム側IGBTの駆動を制御する上アーム側制御IC(Integrated Circuit)と、
前記上アーム側MOSFETのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するMOSFETゲートワイヤと、
前記上アーム側IGBTのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するIGBTゲートワイヤと、
前記上アーム側IGBTのエミッタ電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤと、
を備え、
前記上アーム側MOSFETのソース電極は、前記上アーム側IGBTのエミッタ電極を介して前記上アーム側制御ICと電気的に接続している、半導体装置。
(付記2)
前記上アーム側MOSFETのソース電極と、前記上アーム側IGBTのエミッタ電極とを電気的に接続するソースエミッタワイヤと、
前記ソースエミッタワイヤとは離間して前記上アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、付記1に記載の半導体装置。
(付記3)
前記下アーム側MOSFETのソース電極と、前記下アーム側IGBTのエミッタ電極とを電気的に接続するソースエミッタワイヤと、
前記ソースエミッタワイヤとは離間して前記下アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、付記1に記載の半導体装置。
(付記4)
前記上アーム側MOSFETのソース電極に電気的に接続されたMOSFETソースワイヤと、
前記上アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、付記1に記載の半導体装置。
(付記5)
前記下アーム側MOSFETのソース電極に電気的に接続されたMOSFETソースワイヤと、
前記下アーム側IGBTのエミッタ電極に電気的に接続された主電流エミッタワイヤと、
をさらに備える、付記1に記載の半導体装置。
(付記6)
前記上アーム側MOSFETおよび前記上アーム側IGBTは、前記上アーム側制御ICの延在方向に沿って横並びに設けられている、付記1に記載の半導体装置。
(付記7)
前記上アーム側MOSFETは、前記上アーム側IGBTよりも前記上アーム側制御ICの近くに設けられている、付記1に記載の半導体装置。
(付記8)
前記IGBTエミッタセンスワイヤの直径は、前記ソースエミッタワイヤの直径および前記主電流エミッタワイヤの直径よりも小さい、付記2に記載の半導体装置。
(付記9)
前記下アーム側MOSFET、前記下アーム側IGBT、前記上アーム側MOSFET、および前記上アーム側IGBTは、ワイドバンドギャップ半導体で形成されている、付記1に記載の半導体装置。
(付記10)
下アーム側MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)を設ける工程と、
前記下アーム側MOSFETと並列接続するように下アーム側IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)を設ける工程と、
上アーム側MOSFETを設ける工程と、
前記上アーム側MOSFETと並列接続するように上アーム側IGBTを設ける工程と、
前記上アーム側MOSFETおよび前記上アーム側IGBTの駆動を制御する上アーム側制御IC(Integrated Circuit)を設ける工程と、
前記上アーム側MOSFETのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するMOSFETゲートワイヤを設ける工程と、
前記上アーム側IGBTのゲート電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に接続するIGBTゲートワイヤを設ける工程と、
前記上アーム側IGBTのエミッタ電極と前記上アーム側制御ICとを電気的に直接接続するIGBTエミッタセンスワイヤを設ける工程と、
を備え、
前記上アーム側MOSFETのソース電極は、前記上アーム側IGBTのエミッタ電極を介して前記上アーム側制御ICと電気的に接続している、半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0046】
1 IC用フレーム、2 下アーム側制御IC、3 上アーム側制御IC、4 MOSFETゲートワイヤ、5 IGBTゲートワイヤ、6 上アーム側MOSFET、7 IGBTエミッタセンスワイヤ、8 上アーム側IGBT、9 ソースエミッタワイヤ、10 主電流エミッタワイヤ、11 上アームフレーム、12 U相フレーム、13 V相フレーム、14 W相フレーム、15 NU端子、16 NV端子、17 NW端子、18 下アーム側IGBT、19 下アーム側MOSFET、20 ゲートパッド、21 ゲートパッド。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7