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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014018
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】ダイカストマシン
(51)【国際特許分類】
   B22D 17/20 20060101AFI20240125BHJP
   B29C 45/03 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
B22D17/20 H
B29C45/03
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116554
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】000222587
【氏名又は名称】東洋機械金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井尻 崇
(72)【発明者】
【氏名】釜谷 勝浩
(72)【発明者】
【氏名】▲濱▼田 藍貴
(72)【発明者】
【氏名】金城 拓実
【テーマコード(参考)】
4F206
【Fターム(参考)】
4F206JA07
4F206JD04
4F206JL02
4F206JQ31
4F206JQ33
(57)【要約】
【課題】スリーブ内に吐出される潤滑液の量のばらつきを抑制できるダイカストマシンを提供する。
【解決手段】ダイカストマシン1は、プランジャ15を有する。プランジャ15のロッド16が、軸方向に延びる主通路164と、主通路164からロッド16の外周面に通じる出口通路165と、主通路164からロッド16の外周面に通じる液体入口通路166と、液体入口通路166に接続された逆止弁168と、を有する。液体入口通路166は、出口通路165より後方に配置される。逆止弁168は、ロッド16の外周面に配置される。液体入口通路166が、逆止弁168を介して潤滑液が流れる第1管路81と接続される。逆止弁168が、第1管路81から液体入口通路166への流体の流れを許容しかつ液体入口通路166から第1管路81への流体の流れを規制する。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶湯が供給されるスリーブと、前記スリーブ内の溶湯を射出するためのプランジャと、を有するダイカストマシンであって、
前記プランジャが、前記スリーブ内に配置されたプランジャチップと、前記プランジャチップの後方に配置されたロッドと、を有し、
前記ロッドが、軸方向に延びる主通路と、前記主通路から前記ロッドの外周面に通じる出口通路と、前記出口通路より後方に配置され、前記主通路から前記外周面に通じる液体入口通路と、前記外周面に配置され、前記液体入口通路に接続された逆止弁と、を有し、
前記液体入口通路が、前記逆止弁を介して潤滑液が流れる第1管路と接続され、
前記逆止弁が、前記第1管路から前記液体入口通路への流体の流れを許容しかつ前記液体入口通路から前記第1管路への流体の流れを規制する、ことを特徴とするダイカストマシン。
【請求項2】
前記ダイカストマシンが、前記プランジャを有する射出機構と、制御装置と、を有し、
前記ロッドが、前記液体入口通路より後方に配置され、前記主通路から前記外周面に通じる気体入口通路を有し、
前記気体入口通路に第2管路が接続され、
前記第1管路に潤滑液供給装置が接続され、
前記第2管路に気体供給装置が接続され、
前記制御装置が、成形モードにおいて、
前記射出機構を制御して、前記プランジャを後退させ、
前記潤滑液供給装置を制御して、前記主通路に前記潤滑液を供給し、
前記気体供給装置を制御して、前記プランジャが後退しているときに前記主通路にある前記潤滑液が前記出口通路から前記スリーブ内に吐出されるように気体を供給する、請求項1に記載のダイカストマシン。
【請求項3】
前記スリーブに清掃用管路が接続され、
前記気体供給装置が、接続切換装置によって前記第2管路および前記清掃用管路に選択的に接続される、請求項2に記載のダイカストマシン。
【請求項4】
前記第1管路に前記潤滑液供給装置およびパージ用気体供給装置が接続され、
前記制御装置が、潤滑液パージモードにおいて、
前記パージ用気体供給装置を制御して、前記第1管路から前記出口通路までの潤滑液通路にある前記潤滑液が前記出口通路から吐出されるように気体を供給する、請求項2に記載のダイカストマシン。
【請求項5】
前記制御装置が、潤滑液充填モードにおいて、
前記潤滑液供給装置を制御して、前記第1管路から前記逆止弁までの潤滑液通路に前記潤滑液が充填されるように前記潤滑液を供給する、請求項2に記載のダイカストマシン。
【請求項6】
前記制御装置が、第1チェックモードにおいて、
前記潤滑液供給装置を制御して、前記主通路に前記潤滑液を供給し、
前記気体供給装置を制御して、前記主通路にある前記潤滑液が前記出口通路から吐出されるように気体を供給する、請求項2に記載のダイカストマシン。
【請求項7】
前記制御装置が、第2チェックモードにおいて、
前記接続切換装置を制御して、前記気体供給装置を前記清掃用管路に接続し、
前記気体供給装置を制御して、前記スリーブ内に気体を供給し、
前記潤滑液供給装置を制御して、前記主通路に前記潤滑液を供給し、
前記接続切換装置を制御して、前記スリーブ内に気体を供給したあと、前記気体供給装置を前記第2管路に接続し、
前記気体供給装置を制御して、基準時刻から吐出待ち時間が経過したとき、前記主通路にある前記潤滑液が前記出口通路から吐出されるように吐出継続時間にわたって気体を供給する、請求項3に記載のダイカストマシン。
【請求項8】
前記制御装置が、第3チェックモードにおいて、
前記射出機構を制御して、前記プランジャが後退限位置に到達してから前進待ち時間が経過したとき、前記プランジャを前進させ、前記プランジャの前進開始時刻から前進停止時間が経過したとき、前記プランジャを前記後退限位置まで後退させ、
前記接続切換装置を制御して、前記プランジャが前記後退限位置にあるとき、前記気体供給装置を前記清掃用管路に接続し、
前記気体供給装置を制御して、前記スリーブ内に気体を供給し、
前記接続切換装置を制御して、前記スリーブ内に気体を供給したあと、前記気体供給装置を前記第2管路に接続し、
前記潤滑液供給装置を制御して、前記主通路に前記潤滑液を供給し、
前記気体供給装置を制御して、前記プランジャの後退開始時刻から吐出待ち時間が経過したとき、前記主通路にある前記潤滑液が前記出口通路から吐出されるように吐出継続時間にわたって気体を供給する、請求項3に記載のダイカストマシン。
【請求項9】
前記制御装置が、
動作停止モードにおいて、前記動作停止モードの開始時刻からの経過時間を計時し、
前記動作停止モードから他のモードに移行したとき、前記経過時間の計時を停止し、
前記経過時間が潤滑液品質保持時間を超えていたとき、前記潤滑液に関する注意情報を報知する、請求項2~請求項8のいずれか一項に記載のダイカストマシン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストマシンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来のダイカストマシンが開示されている。このダイカストマシンは、スリーブと、スリーブ内に配置されたプランジャチップと、プランジャチップの後方に配置されたロッドと、を有する。ロッドの内側には、軸方向に延在する二重管構造の二流路が設けられている。二流路の内側流路には潤滑液が供給され、外側流路には空気が供給される。内側流路の出口側端において潤滑液が霧状体となり、霧状体の潤滑液がスリーブ内に吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-279645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のダイカストマシンでは、内側流路の出口側端が常に開いている。そのため、例えば、プランジャの移動によって内側流路から潤滑液が流れ出てしまうことがある。また、ダイカストマシンが長時間停止したときに潤滑液が逆流して、内側流路に気泡が進入してしまうことがある。そのため、スリーブ内に吐出される潤滑液の量にばらつきが生じることがある。
【0005】
そこで、本発明は、スリーブ内に吐出される潤滑液の量のばらつきを抑制できるダイカストマシンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るダイカストマシンは、溶湯が供給されるスリーブと、前記スリーブ内の溶湯を射出するためのプランジャと、を有するダイカストマシンであって、前記プランジャが、前記スリーブ内に配置されたプランジャチップと、前記プランジャチップの後方に配置されたロッドと、を有し、前記ロッドが、軸方向に延びる主通路と、前記主通路から前記ロッドの外周面に通じる出口通路と、前記出口通路より後方に配置され、前記主通路から前記外周面に通じる液体入口通路と、前記外周面に配置され、前記液体入口通路に接続された逆止弁と、を有し、前記液体入口通路が、前記逆止弁を介して潤滑液が流れる第1管路と接続され、前記逆止弁が、前記第1管路から前記液体入口通路への流体の流れを許容しかつ前記液体入口通路から前記第1管路への流体の流れを規制する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、プランジャのロッドが、主通路と、主通路に接続された液体入口通路と、ロッドの外周面に配置され、液体入口通路に接続された逆止弁と、を有している。そして、逆止弁が、潤滑液が流れる第1管路から液体入口通路への流体の流れを許容しかつ液体入口通路から第1管路への流体の流れを規制する。このようにしたことから、逆止弁によって、第1管路から液体入口通路に潤滑液が漏れることを抑制でき、また、液体入口通路から第1管路に気体が進入することを抑制できる。そのため、第1管路から液体入口通路に流れる潤滑液の量が安定し、スリーブ内に吐出される潤滑液の量のばらつきを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るダイカストマシンの概略構成を示す図である。
図2図1のダイカストマシンが有するプランジャの断面図である。
図3図2のプランジャが有するロッドの前端およびその近傍の断面図である。
図4図1のダイカストマシンが有するダイプレートおよびその近傍の断面図である。
図5】金型のキャビティおよびその近傍の拡大断面図である。
図6】金型のキャビティおよびその近傍の拡大断面図である(プランジャが高速前進開始位置にある状態)。
図7】金型のキャビティおよびその近傍の拡大断面図である(プランジャが減速開始位置にある状態)。
図8】金型のキャビティおよびその近傍の拡大断面図である(プランジャが増圧開始位置にある状態)。
図9図1のダイカストマシンが有する制御装置が成形モードにおいて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図10図1のダイカストマシンが有する制御装置が潤滑液パージモードにおいて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図11図1のダイカストマシンが有する制御装置が潤滑液充填モードにおいて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図12図1のダイカストマシンが有する制御装置が第1チェックモードにおいて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図13図1のダイカストマシンが有する制御装置が第2チェックモードにおいて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図14図1のダイカストマシンが有する制御装置が第3チェックモードにおいて実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態に係るダイカストマシンについて、図1図14を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係るダイカストマシンの概略構成を示す図である。図1は、ダイカストマシンの射出機構および制御装置を示す。図2は、図1のダイカストマシンが有するプランジャの断面図である。図2において、プランジャ、スリーブ、潤滑液供給装置、気体供給装置および接続切換装置の接続関係を模式的に示す。図3は、図2のプランジャが有するロッドの前端およびその近傍の断面図である。図4は、図1のダイカストマシンが有するダイプレートおよびその近傍の断面図である。図5は、金型のキャビティおよびその近傍の拡大断面図である。図6図8は、金型のキャビティおよびその近傍の拡大断面図であって、順に、プランジャが高速前進開始位置、減速開始位置、増圧開始位置にある状態を示す。図9図14は、図1のダイカストマシンが有する制御装置が実行する処理の一例を示すフローチャートである。図9図14は、順に、成形モード、潤滑液パージモード、潤滑液充填モード、第1チェックモード、第2チェックモード、第3チェックモードに対応する。本明細書において、図1図8の左側を前方とし、右側を後方としている。
【0011】
本実施形態に係るダイカストマシン1は、射出機構10と、型締機構30と、溶湯供給装置50と、潤滑液供給装置60と、気体供給装置70と、接続切換装置80と、制御装置100と、を有している。
【0012】
図1図3に示すように、射出機構10は、油圧で動作するピストン11と、ピストン11を収容するシリンダ12と、プランジャ15と、を有している。シリンダ12は、ピストン11により区画された後方油室13および前方油室14を有している。ピストン11には、プランジャ15が接続されている。プランジャ15は、ピストン11の前面11aから前方に延びるロッド16と、ロッド16の前端に接続されたプランジャチップ17と、を有している。プランジャチップ17は、円柱形状を有している。
【0013】
ロッド16は、プランジャチップ17の後方に配置されている。ロッド16は、ロッド本体161と、リング162と、ジョイント163と、を有している。ロッド本体161と、リング162と、ジョイント163と、は後方から前方に順に配置されている。
【0014】
ロッド本体161は、円柱形状を有している。ロッド本体161は、主通路164と、液体入口通路166と、気体入口通路167と、を有している。主通路164は、ロッド本体161の前端から後方に直線状に延びている。液体入口通路166は、主通路164からロッド本体161の外周面161aに通じている。液体入口通路166の一端は主通路164の後端近傍に接続され、他端は外周面161aに開口している。気体入口通路167は、主通路164の後端から外周面161aに通じている。気体入口通路167の一端は主通路164の後端に接続され、他端は外周面161aに開口している。主通路164における気体入口通路167が接続された箇所は、主通路164における液体入口通路166が接続された箇所より後方に配置されている。気体入口通路167は、液体入口通路166より後方に配置されている。
【0015】
リング162は、円筒形状を有している。リング162の外径は、ロッド本体161の外径と同一である。リング162は、径方向に貫通する複数の細孔162eを有している。複数の細孔162eは、周方向に等間隔で配置されている。
【0016】
ジョイント163は、第1部分163aと、第2部分163bと、を有している。
【0017】
第1部分163aは、円柱形状を有している。第1部分163aの外径は、ロッド本体161の外径と同一である。第1部分163aは、プランジャチップ17の後端に同軸に接続されている。
【0018】
第2部分163bは、第1部分163aより小径の円柱形状を有している。第2部分163bは、第1部分163aの後端に同軸に接続されている。また、第2部分163bは、ロッド本体161の前端に同軸に接続されている。第2部分163bの外径は、リング162の内径と同一である。第2部分163bの軸方向の長さは、リング162の軸方向の長さと同一である。第2部分163bは、リング162に嵌合される。第2部分163bの外周面には、軸方向に延びる接続溝163cと、周方向に延びる環状溝163dと、が形成されている。接続溝163cの前端は環状溝163dに接続され、後端は主通路164に接続される。環状溝163dは、複数の細孔162eに接続される。
【0019】
接続溝163cと、環状溝163dと、複数の細孔162eと、が出口通路165を構成する。出口通路165は、主通路164の前端からリング162の外周面162aに通じている。
【0020】
ロッド16は、逆止弁168を有している。逆止弁168は、ばね付きの逆止弁である。逆止弁168は、ロッド本体161の外周面161aに配置されており、液体入口通路166に接続されている。逆止弁168には、第1管路81が接続されている。逆止弁168は、第1管路81から液体入口通路166への流体の流れを許容しかつ液体入口通路166から第1管路81への流体の流れを規制する。気体入口通路167には、第2管路82が接続されている。第1管路81および第2管路82は、例えば、可とう性を有するホースである。
【0021】
シリンダ12の後方には、駆動伝達プレート18が配置されている。駆動伝達プレート18は、電動サーボモータ19、ならびに、駆動伝達歯車およびボールネジ機構等からなる駆動伝達機構20により前後方向に移動される。駆動伝達プレート18が前方に移動されることにより、シリンダ12が押されて前進する。駆動伝達プレート18、電動サーボモータ19および駆動伝達機構20は、電動増圧機構を構成する。なお、このような電動増圧機構に代えて、油圧によってシリンダ12を押して前進させる油圧増圧機構を有していてもよい。
【0022】
射出機構10は、アキュムレータ21を有している。アキュムレータ21は、シリンダ12の後方油室13に作動油を供給する油圧供給部である。アキュムレータ21と後方油室13とは、油路aにより接続されている。油路aには、供給バルブ22が配置されている。供給バルブ22は、アキュムレータ21と後方油室13とを連通および遮断する。本実施形態において、供給バルブ22は、ソレノイドにより弁体を駆動する電磁弁で構成される。供給バルブ22として、電磁弁以外にも、例えば、モータにより弁体を駆動するものなど、他の種類のバルブを採用してもよい。
【0023】
シリンダ12の前方油室14と作動油を蓄えるタンク23とは、油路bにより接続されている。油路bには、サーボバルブ24が配置されている。サーボバルブ24は、前方油室14からタンク23に流れる作動油の流出量を調整する。本実施形態では、サーボバルブ24によって、当該流出量(すなわち、前方油室14から排出される作動油の量)を調整することにより、プランジャ15が前進する速度を制御する(メータアウト制御)。なお、上述した供給バルブ22をサーボバルブで構成し、アキュムレータ21から後方油室13に供給される作動油の量を調整することにより、プランジャ15が前進する速度を制御してもよい(メータイン制御)。
【0024】
射出機構10は、シリンダ12の前方油室14の油圧Pfに応じた信号を出力する油圧センサ25と、プランジャ15の位置Lに応じた信号を出力する位置センサ26と、を有している。位置センサ26は、光学式、磁気式、磁歪式など公知の位置センサを用いることができる。
【0025】
図4に示すように、型締機構30は、固定金型K1が取り付けられる固定ダイプレート31と、移動金型K2が取り付けられる可動ダイプレート32と、を有している。固定ダイプレート31は、固定金型K1のランナRに連通された円筒状のスリーブ33を有している。スリーブ33には、プランジャ15(プランジャチップ17)が前後進可能に収容される。スリーブ33は、給湯口34が上部に形成されている。スリーブ33には清掃用管路83が接続されている。型締機構30は、図示しない型締駆動部によって固定ダイプレート31に対して可動ダイプレート32を進退させて、固定金型K1と移動金型K2とを型開および型閉(型締)する。
【0026】
溶湯供給装置50は、ラドル51と、アーム52と、を有している。溶湯供給装置50は、図示しない溶融炉から溶湯Mを汲み上げ、給湯口34を通じてスリーブ33に溶湯Mを供給する。
【0027】
図5に示すように、型閉された固定金型K1および移動金型K2の内部には、スリーブ33と連通されたランナRと、ランナRと連通されたキャビティCと、キャビティCと連通されたオーバーフロー部Oと、が形成される。ランナRは、キャビティCに開口されたゲートGに通じている。
【0028】
潤滑液供給装置60は、スリーブ33の内面に塗布する潤滑液を供給する。図2に示すように、潤滑液供給装置60の吐出口は、第1管路81に接続されている。潤滑液供給装置60は、潤滑液を移送する液体用ポンプである。潤滑液供給装置60は、図示しない潤滑液収容容器から第1管路81を通じてロッド16まで潤滑液を移送する。
【0029】
気体供給装置70は、高圧の気体(例えば空気)を供給する。気体供給装置70の吐出口は、接続切換装置80に接続されている。気体供給装置70は、例えば、エアコンプレッサである。気体供給装置70は、パージ用気体供給装置でもある。
【0030】
接続切換装置80は、気体供給装置70の吐出口を第1管路81、第2管路82および清掃用管路83に選択的に接続する。すなわち、接続切換装置80は、気体供給装置70の吐出口を第1管路81、第2管路82および清掃用管路83のうちの選択された1つに接続する。接続切換装置80は、例えば、複数の方向制御弁を組み合わせて構成されている。なお、接続切換装置80は、気体供給装置70の吐出口を第2管路82および清掃用管路83に選択的に接続するものであってもよい。この場合、第1管路81に気体供給装置70とは別のパージ用気体供給装置を接続する。
【0031】
制御装置100は、ダイカストマシン1の全体の動作を司る。制御装置100は、例えば、CPU、ROM、RAM、EEPROM、各種I/Oインタフェースなどを有する組み込み機器用のマイクロコンピュータを有して構成されている。制御装置100には、図示しない表示装置(例えば、ディスプレイ装置)および図示しない入力装置(例えば、キーボード、マウス、電源スイッチ)が接続される。制御装置100は、射出機構10、型締機構30、溶湯供給装置50、潤滑液供給装置60、気体供給装置70および接続切換装置80の動作を制御する。制御装置100は、油圧センサ25が出力した信号に基づいて前方油室14の油圧Pfを計測する。制御装置100は、位置センサ26が出力した信号に基づいてプランジャ15の位置Lおよび速度Vを計測する。制御装置100は、型閉工程、溶湯供給工程、射出工程(低速射出工程および高速射出工程)、増圧工程、型開工程、製品押出工程、潤滑液供給工程および清掃工程などの各種工程において、各種駆動部の動作を制御する。
【0032】
ダイカストマシン1は、成形モードにおいて、製品成形に係る一連の動作として、次の(1)~(7)の動作を行う。
【0033】
(1)固定金型K1および移動金型K2を型締する(型閉工程)。
【0034】
(2)固定ダイプレート31のスリーブ33に溶湯Mを供給する(溶湯供給工程)。
【0035】
(3)プランジャ15を前進させ、スリーブ33内の溶湯MをキャビティCに射出する(射出工程)。
【0036】
射出工程において、アキュムレータ21内の作動油の油圧を高め、供給バルブ22を開状態としてシリンダ12の後方油室13に作動油を供給し、サーボバルブ24により前方油室14から作動油を流出させて、ピストン11を後退限位置L0から前進させる。サーボバルブ24の開度によって作動油の流出量を制御し、ピストン11の前進速度を調整する。始めに、ピストン11を低速前進させ、プランジャ15が高速前進開始位置L1(図6)に到達するとピストン11を高速前進させて、プランジャ15によりスリーブ33内の溶湯MをキャビティCに射出する。プランジャ15が減速開始位置L2(図7)に到達するとピストン11を減速させる。減速開始位置L2は、例えば、キャビティCの全体に溶湯Mが充填される位置である。
【0037】
(4)キャビティC内の溶湯Mに圧力を加える(増圧工程)。
【0038】
増圧工程において、プランジャ15が増圧開始位置L3(図8)に到達すると電動サーボモータ19を動作させ、駆動伝達プレート18を前進させてシリンダ12(すなわちピストン11)を押圧する。増圧開始位置L3は、例えば、キャビティCおよびオーバーフロー部Oの全体に溶湯Mが充填される位置である。高速前進開始位置L1、減速開始位置L2および増圧開始位置L3は、動作切換位置である。
【0039】
(5)プランジャ15を後退限位置L0まで後退させて、固定金型K1および移動金型K2を開き(型開工程)、キャビティCから製品を押し出す(製品押出工程)。
【0040】
(6)プランジャ15が後退しているときに、スリーブ33内に潤滑液を供給する(潤滑液供給工程)。
【0041】
(7)スリーブ33内に高圧の空気を供給してスリーブ33の内面およびプランジャチップ17を清掃する(清掃工程)。
【0042】
次に、制御装置100が成形モードにおいて実行する潤滑液供給処理および清掃処理の一例について、図9のフローチャートを参照して説明する。潤滑液供給処理は潤滑液供給工程において実行され、清掃処理は清掃工程において実行される。
【0043】
制御装置100は、プランジャ15が後退限位置L0に位置付けられるまで待つ(S110でN)。制御装置100は、プランジャ15が後退限位置L0に位置付けられると(S110でY)、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を清掃用管路83に接続する(S120)。制御装置100は、気体供給装置70を制御して、清掃用管路83を通じてスリーブ33内に高圧の気体を供給する(S130)。これにより、スリーブ33内に気体が供給され、スリーブ33の内面およびプランジャチップ17が清掃される。
【0044】
制御装置100は、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に所定量の潤滑液を供給する(S140)。なお、成形モードでは、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路(具体的には、第1管路81、および、逆止弁168における第1管路81の接続端から弁体までの間の部分)に潤滑液があらかじめ充填されている。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を第2管路82に接続する(S150)。制御装置100は、射出工程および増圧工程が終了してプランジャ15が後退を開始するまで待つ(S160でN)。制御装置100は、プランジャ15が後退限位置L0への後退を開始すると(S160でY)、プランジャ15の後退開始時刻から吐出待ち時間Tdwが経過するまで待つ(S170でN)。制御装置100は、吐出待ち時間Tdwが経過すると(S170でY)、気体供給装置70を制御して、第2管路82および気体入口通路167を通じて主通路164に吐出継続時間Tdcにわたって高圧の気体を供給する(S180)。プランジャ15の後退開始時刻からプランジャ15が後退限位置L0に到達するまでの時間をTbとしたとき、Tb≧Tdw+Tdcである。これにより、プランジャ15が後退しているときに、主通路164にある潤滑液が出口通路165を通じてスリーブ33内に吐出される(バックスプレー動作)。そして、制御装置100は、本処理を終了する。
【0045】
ステップS110~S130が清掃処理であり、ステップS140~S180が潤滑液供給処理である。吐出待ち時間Tdwおよび吐出継続時間Tdcは、ダイカストマシン1のオペレータによって設定可能である。吐出待ち時間Tdwは、例えば、0.5秒である。吐出継続時間Tdcは、例えば、2秒である。
【0046】
制御装置100は、成形モードの他に、動作停止モード、起動モード、潤滑液パージモード、潤滑液充填モード、第1チェックモード、第2チェックモードおよび第3チェックモードを有している。第1チェックモード、第2チェックモードおよび第3チェックモードは、潤滑液に関する動作を確認するためのモードである。制御装置100は、例えば、入力装置に入力された操作に応じてモードを切り換える。
【0047】
制御装置100は、入力装置に電源オフ操作が入力されると、一部の待機動作部を除いて電源を遮断し、動作停止モードに移行する。制御装置100は、動作停止モードにおいて、当該動作停止モードの開始時刻からの経過時間Tを計時する。制御装置100は、入力装置に電源オン操作が入力されると、動作停止モードから起動モードに移行する。起動モードは、ダイカストマシン1の起動時の処理を行うモードである。制御装置100は、起動モードにおいて、経過時間Tの計時を停止し、経過時間Tが潤滑液品質保持時間Tkを超えていたとき、潤滑液に関する注意情報を報知する。具体的には、制御装置100は、表示装置にメッセージ(例えば「バックスプレーシステムの確認をしてください。(一定期間動作なし)」)を表示する。潤滑液品質保持時間Tkは、ダイカストマシン1のオペレータによって設定可能である。潤滑液品質保持時間Tkは、例えば、259200秒(3日)である。
【0048】
制御装置100は、入力装置に潤滑液パージモードに係るモード切換操作が入力されると、潤滑液パージモードに移行する。潤滑液パージモードは、第1管路81から出口通路165までの潤滑液通路にある潤滑液を吐出するモードである。この潤滑液通路は、具体的には、第1管路81、逆止弁168、液体入口通路166、主通路164および出口通路165である。
【0049】
制御装置100の潤滑液パージモードにおける処理の一例について、図10のフローチャートを参照して説明する。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を第1管路81に接続する(S210)。そして、制御装置100は、気体供給装置70を制御して、第1管路81、逆止弁168、液体入口通路166、主通路164および出口通路165にある潤滑液が出口通路165から吐出されるように気体を供給する(S220)。これにより、第1管路81から出口通路165までの潤滑液通路にある潤滑液が吐出される。
【0050】
制御装置100は、入力装置に潤滑液充填モードに係るモード切替操作が入力されると、潤滑液充填モードに移行する。または、制御装置100は、潤滑液パージモードに続いて自動的に潤滑液充填モードに移行してもよい。潤滑液充填モードは、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に潤滑液を充填するモードである。
【0051】
制御装置100の潤滑液充填モードにおける処理の一例について、図11のフローチャートを参照して説明する。制御装置100は、潤滑液供給装置60を制御して、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に潤滑液が充填されるように潤滑液を供給する(S310)。具体的には、制御装置100のEEPROMには、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路の容積が記憶されており、制御装置100は、当該容積に応じた潤滑液を供給する。または、ダイカストマシン1のオペレータによって潤滑液の充填量が設定可能であり、制御装置100は、当該充填量の潤滑液を供給するようにしてもよい。制御装置100は、プランジャ15の動作状態を示すパラメータに基づいて潤滑液がスリーブ33内に適切に吐出されているか否かを判定し、潤滑液が適切に吐出されていると判定するまで潤滑液を供給するようにしてもよい。パラメータとは、例えば、スリーブ33内に溶湯Mがないときにプランジャ15を前進させたときの油圧Pfまたは速度Vである。
【0052】
制御装置100は、入力装置に第1チェックモードに係るモード切換操作が入力されると、第1チェックモードに移行する。第1チェックモードは、潤滑液の吐出動作を確認するためのモードである。
【0053】
制御装置100の第1チェックモードにおける処理の一例について、図12のフローチャートを参照して説明する。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を第2管路82に接続する(S410)。制御装置100は、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に所定量の潤滑液を供給する(S420)。なお、第1チェックモードでは、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に潤滑液があらかじめ充填されている。そして、制御装置100は、気体供給装置70によって、第2管路82および気体入口通路167を通じて主通路164に高圧の気体を供給する(S430)。これにより、主通路164にある潤滑液が出口通路165を通じて吐出される。第1チェックモードにおいて、プランジャ15の位置Lは任意である。
【0054】
制御装置100は、入力装置に第2チェックモードに係るモード切換操作が入力されると、第2チェックモードに移行する。第2チェックモードは、潤滑液の吐出動作およびスリーブ33の清掃動作を確認するためのモードである。
【0055】
制御装置100の第2チェックモードにおける処理の一例について、図13のフローチャートを参照して説明する。制御装置100は、射出機構10を制御して、プランジャ15を後退させて、後退限位置L0に位置付ける(S510)。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を清掃用管路83に接続する(S520)。制御装置100は、気体供給装置70を制御して、清掃用管路83を通じてスリーブ33内に高圧の気体を供給する(S530)。これにより、スリーブ33内に気体が供給される。制御装置100は、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に所定量の潤滑液を供給する(S540)。なお、第2チェックモードでは、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に潤滑液があらかじめ充填されている。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を第2管路82に接続する(S550)。制御装置100は、基準時刻から吐出待ち時間Tdwが経過するまで待つ(S560でN)。制御装置100は、吐出待ち時間Tdwが経過すると(S560でY)、気体供給装置70を制御して、第2管路82および気体入口通路167を通じて主通路164に吐出継続時間Tdcにわたって高圧の気体を供給する(S570)。これにより、主通路164にある潤滑液が出口通路165を通じて吐出される。なお、基準時刻は、成形モードにおけるプランジャ15の後退開始時刻に対応しており、第2チェックモードではスリーブ33への気体の供給タイミングなどに応じて適宜設定される。
【0056】
制御装置100は、入力装置に第3チェックモードに係るモード切換操作が入力されると、第3チェックモードに移行する。第3チェックモードは、プランジャ15の動作中における潤滑液の吐出動作およびスリーブ33の清掃動作を確認するためのモードである。
【0057】
制御装置100の第3チェックモードにおける処理の一例について、図14のフローチャートを参照して説明する。制御装置100は、射出機構10を制御して、プランジャ15を後退させて、後退限位置L0に位置付ける(S610)。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を清掃用管路83に接続する(S620)。制御装置100は、気体供給装置70を制御して、清掃用管路83を通じてスリーブ33内に高圧の気体を供給する(S630)。これにより、スリーブ33内に気体が供給される。制御装置100は、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に所定量の潤滑液を供給する(S640)。なお、第3チェックモードでは、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に潤滑液があらかじめ充填されている。制御装置100は、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70の吐出口を第2管路82に接続する(S650)。制御装置100は、プランジャ15が後退限位置L0に位置付けられてから前進待ち時間Tfwが経過するまで待つ(S660でN)。制御装置100は、前進待ち時間Tfwが経過すると(S660でY)、射出機構10を制御して、プランジャ15の前進開始時刻から前進停止時間Tfsが経過するまで、プランジャ15を前進させる(S670、S680でN)。制御装置100は、前進停止時間が経過すると(S680でY)、射出機構10を制御して、プランジャ15を後退限位置L0まで後退させる(S690)。制御装置100は、プランジャ15の後退開始時刻から吐出待ち時間Tdwが経過するまで待つ(S700でN)。制御装置100は、吐出待ち時間Tdwが経過すると(S700でY)、気体供給装置70によって、第2管路82および気体入口通路167を通じて主通路164に吐出継続時間Tdcにわたって高圧の気体を供給する(S710)。プランジャ15の後退開始時刻からプランジャ15が後退限位置L0に到達するまでの時間をTbとしたとき、Tb≧Tdw+Tdcである。これにより、プランジャ15が後退しているときに、主通路164にある潤滑液が出口通路165を通じてスリーブ33内に吐出される(バックスプレー動作)。そして、制御装置100は、あらかじめ設定された実行回数だけ本処理を繰り返し実行する。前進待ち時間Tfwおよび前進停止時間Tfsは、ダイカストマシン1のオペレータによって設定可能である。前進待ち時間Tfwは、例えば、2秒である。前進停止時間Tfsは、例えば、3秒である。
【0058】
本実施形態に係るダイカストマシン1は、溶湯Mが供給されるスリーブ33と、スリーブ33内の溶湯Mを射出するためのプランジャ15と、を有する。プランジャ15が、スリーブ33内に配置されたプランジャチップ17と、プランジャチップ17の後方に配置されたロッド16と、を有する。ロッド16が、軸方向に延びる主通路164と、主通路164からロッド16の外周面に通じる出口通路165と、出口通路165より後方に配置され、主通路164からロッド16の外周面に通じる液体入口通路166と、ロッド16の外周面に配置され、液体入口通路166に接続された逆止弁168と、を有する。液体入口通路166が、逆止弁168を介して潤滑液が流れる第1管路81と接続される。逆止弁168が、第1管路81から液体入口通路166への流体の流れを許容しかつ液体入口通路166から第1管路81への流体の流れを規制する。このようにしたことから、逆止弁168によって、第1管路81から液体入口通路166に潤滑液が漏れることを抑制できる。また、逆止弁168によって、液体入口通路166から第1管路81に気体が進入することを抑制できる。そのため、第1管路81から液体入口通路166に流れる潤滑液の量が安定し、スリーブ33内に吐出される潤滑液の量のばらつきを抑制できる。
【0059】
また、ダイカストマシン1が、プランジャ15を有する射出機構10と、制御装置100と、を有する。ロッド16が、液体入口通路166より後方に配置され、主通路164からロッド16の外周面に通じる気体入口通路167を有する。気体入口通路167に第2管路82が接続される。第1管路81に潤滑液供給装置60が接続される。第2管路82に気体供給装置70が接続される。制御装置100が、成形モードにおいて、次の動作を行う。制御装置100が、射出機構10を制御して、プランジャ15を後退させる。制御装置100が、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に潤滑液を供給する。制御装置100が、気体供給装置70を制御して、プランジャ15が後退しているときに主通路164にある潤滑液が出口通路165からスリーブ33内に吐出されるように気体を供給する。このようにすることで、プランジャ15が後退しているときにスリーブ33内に潤滑液が吐出され、潤滑液をプランジャチップ17によってスリーブ33の内面に塗り広げることができる。
【0060】
また、スリーブ33に清掃用管路83が接続される。気体供給装置70が、接続切換装置80によって第2管路82および清掃用管路83に選択的に接続される。このようにすることで、1つの気体供給装置70を潤滑液の吐出動作とスリーブ33の清掃動作とに用いることができる。
【0061】
また、第1管路81に潤滑液供給装置60が接続される。第1管路81に接続切換装置80を介して気体供給装置70が接続される。制御装置100が、潤滑液パージモードにおいて、気体供給装置70を制御して、第1管路81から出口通路165までの潤滑液通路にある潤滑液が出口通路165から吐出されるように気体を供給する。このようにすることで、第1管路81から出口通路165までの潤滑液通路にある潤滑液を吐出することができる。
【0062】
また、制御装置100が、潤滑液充填モードにおいて、潤滑液供給装置60を制御して、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に潤滑液が充填されるように潤滑液を供給する。このようにすることで、第1管路81から逆止弁168までの潤滑液通路に速やかに潤滑液を充填できる。
【0063】
また、制御装置100が、第1チェックモードにおいて、次の動作を行う。制御装置100が、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に潤滑液を供給する。制御装置100が、気体供給装置70を制御して、主通路164にある潤滑液が出口通路165から吐出されるように気体を供給する。このようにすることで、潤滑液が適切に吐出されているか否かを確認することができる。
【0064】
また、制御装置100が、第2チェックモードにおいて、次の動作を行う。制御装置100が、接続切換装置80を制御して、気体供給装置70を清掃用管路83に接続する。制御装置100が、気体供給装置70を制御して、スリーブ33内に気体を供給する。制御装置100が、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に潤滑液を供給する。制御装置100が、接続切換装置80を制御して、スリーブ33内に気体を供給したあと、気体供給装置70を第2管路82に接続する。制御装置100が、気体供給装置70を制御して、基準時刻から吐出待ち時間Tdwが経過したとき、主通路164にある潤滑液が出口通路165から吐出されるように吐出継続時間Tdcにわたって気体を供給する。このようにすることで、スリーブ33内に清掃のための気体が適切に供給されているか否か、および、潤滑液が適切に吐出されているか否かを確認することができる。
【0065】
また、制御装置100が、第3チェックモードにおいて、次の動作を行う。制御装置100が、射出機構10を制御して、プランジャ15が後退限位置L0に到達してから前進待ち時間Tfwが経過したとき、プランジャ15を前進させ、プランジャ15の前進開始時刻から前進停止時間Tfsが経過したとき、プランジャ15を後退限位置L0まで後退させる。制御装置100が、接続切換装置80を制御して、プランジャ15が後退限位置L0にあるとき、気体供給装置70を清掃用管路83に接続する。制御装置100が、気体供給装置70を制御して、スリーブ33内に気体を供給する。制御装置100が、接続切換装置80を制御して、スリーブ33内に気体を供給したあと、気体供給装置70を第2管路82に接続する。制御装置100が、潤滑液供給装置60を制御して、主通路164に潤滑液を供給する。制御装置100が、気体供給装置70を制御して、プランジャ15の後退開始時刻から吐出待ち時間Tdwが経過したとき、主通路164にある潤滑液が出口通路165から吐出されるように吐出継続時間Tdcにわたって気体を供給する。このようにすることで、実際の成形動作に近い動作において、スリーブ33内に清掃のための気体が適切に供給されているか否か、および、潤滑液が適切に吐出されているか否かを確認することができる。
【0066】
また、制御装置100が、動作停止モードにおいて、当該動作停止モードの開始時刻からの経過時間Tを計時する。制御装置100が、動作停止モードから起動モードに移行したとき、経過時間Tの計時を停止する。制御装置100が、経過時間Tが潤滑液品質保持時間Tkを超えていたとき、潤滑液に関する注意情報を報知する。このようにすることで、劣化した潤滑液を使用してしまうことを抑制できる。なお、制御装置100は、動作停止モードから起動モード以外のモードに移行したときも、起動モードに移行したときと同様に、潤滑液に関する注意情報を報知するようにしてもよい。
【0067】
上述した実施形態では、射出動作を油圧で行い、増圧動作を電動で行う構成であったが、これ以外にも、射出動作及び増圧動作を油圧で行う構成、または、射出動作および増圧動作を電動で行う構成に対して本発明を適用してもよい。
【0068】
上記に本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。前述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨を逸脱しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1…ダイカストマシン、10…射出機構、11…ピストン、11a…前面、12…シリンダ、13…後方油室、14…前方油室、15…プランジャ、16…ロッド、17…プランジャチップ、18…駆動伝達プレート、19…電動サーボモータ、20…駆動伝達機構、21…アキュムレータ、22…供給バルブ、23…タンク、24…サーボバルブ、25…油圧センサ、26…位置センサ、30…型締機構、31…固定ダイプレート、32…可動ダイプレート、33…スリーブ、34…給湯口、50…溶湯供給装置、51…ラドル、52…アーム、60…潤滑液供給装置、70…気体供給装置、80…接続切換装置、81…第1管路、82…第2管路、83…清掃用管路、100…制御装置、161…ロッド本体、161a…外周面、162…リング、162a…外周面、162e…細孔、163…ジョイント、163a…第1部分、163b…第2部分、163c…接続溝、163d…環状溝、164…主通路、165…出口通路、166…液体入口通路、167…気体入口通路、168…逆止弁、K1…固定金型、K2…移動金型、C…キャビティ、G…ゲート、O…オーバーフロー部、R…ランナ、M…溶湯、L0…後退限位置、L1…高速前進開始位置、L2…減速開始位置、L3…増圧開始位置、T…経過時間、Tk…潤滑液品質保持時間、Tdw…吐出待ち時間、Tdc…吐出継続時間、Tfw…前進待ち時間、Tfs…前進停止時間

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14