(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140180
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】包装体の製造方法及び包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 75/26 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65D75/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051202
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100169063
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100176658
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 謙一郎
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛史
【テーマコード(参考)】
3E067
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB21
3E067AB28
3E067AB81
3E067BA35A
3E067BB01A
3E067BB14A
3E067BB25A
3E067CA18
3E067CA24
3E067EA06
3E067EB07
3E067EE02
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】環境負荷の低減を実現可能な包装体の製造方法及び包装体を提供する。
【解決手段】一実施形態に係る包装体の製造方法は、第1及び第2シートを対向配置した場合に容器部を構成するように第1及び第2シートのうち少なくとも一方を立体成型する成型工程と、容器部に内容物を供給する供給路を確保するように、第1及び第2シートのうち容器部の周囲をシールすることによって積層シートを形成する第1シール工程と、供給路を通して容器部に内容物を供給する供給工程と、容器部を密封するように供給路の少なくとも一部をシールする第2シール工程と、第2シール工程を経た積層シートから容器部を含む所望の領域を包装体として分離する分離工程とを備え、立体成型が施される第1及び前第2シートのうち少なくとも一方は、紙製シートである。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された一対のシートを備え、内容物を収容する容器部を有するように前記一対のシートの周囲がシールされた包装体の製造方法であって、
第1シート及び第2シートを対向配置した場合に前記容器部を構成するように前記第1シート及び前記第2シートのうち少なくとも一方を立体成型する成型工程と、
前記第1シート及び前記第2シートを対向配置し、前記第1シート及び前記第2シートをシールすることによって積層シートを形成する工程であって、前記容器部に前記内容物を供給する供給路を確保するように、前記第1シート及び前記第2シートのうち前記容器部の周囲をシールすることによって前記積層シートを形成する第1シール工程と、
前記供給路を通して前記容器部に前記内容物を供給する供給工程と、
前記容器部を密封するように前記供給路の少なくとも一部をシールする第2シール工程と、
前記第2シール工程を経た前記積層シートから前記容器部を含む所望の領域を包装体として分離する分離工程と、
を備え、
前記成型工程において、前記立体成型が施される前記第1シート及び前記第2シートのうち少なくとも一方は、紙製シートである、
包装体の製造方法。
【請求項2】
前記紙製シートにおいて、前記紙製シートの質量に対する紙の質量の割合が51%以上である、
請求項1に記載の包装体の製造方法。
【請求項3】
前記成型工程では、前記容器部の外壁の一部が外方に向けて屈曲した凸部を有するように前記第1シート及び前記第2シートのうち少なくとも一方を立体成型し、
前記容器部は、
前記内容物を収容する本体部と、
前記本体部から前記内容物が外部に取り出される場合において前記内容物が通る通路部と、
を有し、
前記凸部は、前記通路部に沿って設けられている、
請求項1に記載の包装体の製造方法。
【請求項4】
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれが前記紙製シートであり、
前記成型工程では、前記第1シートに前記容器部の一部である第1部分を成型し、前記第2シートに前記第1部分とともに前記容器部を構成する第2部分を成型する、
請求項1~3の何れか一項に記載の包装体の製造方法。
【請求項5】
前記第1シート及び前記第2シートは帯状であり、
前記成型工程では、前記第1シートを搬送しながら前記第1シートに複数の前記第1部分を成型するとともに、前記第2シートを搬送しながら前記第2シートに複数の前記第2部分を成型し、
前記第1シール工程では、複数の前記第1部分と複数の前記第2部分とによって構成される複数の前記容器部に対する複数の前記供給路を確保するように、前記第1シート及び前記第2シートを搬送しながら前記第1シート及び前記第2シートのうち複数の前記容器部の周囲をシールすることによって前記積層シートを形成し、
前記供給工程では、前記積層シートを搬送しながら複数の前記供給路を通して複数の前記容器部に前記内容物を供給し、
前記第2シール工程では、前記積層シートを搬送しながら複数の前記容器部を密封するように複数の前記供給路それぞれの少なくとも一部をシールし、
前記分離工程では、前記積層シートを搬送しながら前記積層シートから複数の前記容器部それぞれを含む領域を前記包装体として分離する、
請求項4に記載の包装体の製造方法。
【請求項6】
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれは紙層を含み、
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれが有する前記紙層の厚さ方向に直交する2方向それぞれの伸び率が3%以上である、
請求項1~3の何れか一項に記載の包装体の製造方法。
【請求項7】
第1シートと、
前記第1シートと対向配置された第2シートと、
前記第1シートと前記第2シートとによって構成されており内容物を収容する容器部と、
を備え、
前記第1シート及び前記第2シートのうちの少なくとも一方は、前記容器部の少なくとも一部を構成する膨出部であって前記第1シート及び前記第2シートにおいて外側に向けて膨らんだ前記膨出部を有し、
前記第1シート及び前記第2シートのうち前記容器部の周囲はシールされており、
前記膨出部が形成された前記第1シート及び前記第2シートのうち少なくとも一方は、紙製シートである、
包装体。
【請求項8】
前記紙製シートにおいて、前記紙製シートの質量に対する紙の質量の割合が51%以上である、
請求項7に記載の包装体。
【請求項9】
前記容器部は、
前記内容物を収容する本体部と、
前記本体部から前記内容物が外部に取り出される場合において前記内容物が通る通路部と、を有する、
請求項7に記載の包装体。
【請求項10】
前記通路部は、前記通路部の外壁の一部が外方に向けて屈曲した凸部を有する、
請求項9に記載の包装体。
【請求項11】
前記内容物の取り出し方向に直交する前記通路部の断面の大きさは、前記本体部から前記通路部の端部に向けて小さくなっている、
請求項9に記載の包装体。
【請求項12】
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれが前記紙製シートである、
請求項7~11の何れか一項に記載の包装体。
【請求項13】
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれは紙層を含み、
前記第1シート及び前記第2シートそれぞれが有する前記紙層の厚さ方向に直交する2方向それぞれの伸び率が3%以上である、
請求項12に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体の製造方法及び包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
食品、医薬品等の内容物を収容する包装体としては、特許文献1,2に記載されているように、樹脂が主な材料であるシートを用いて構成された包装体が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-156474号公報
【特許文献2】実公平04-30141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、包装体の分野においても環境負荷の低減が求められている。
【0005】
そこで、本発明は、環境負荷の低減を実現可能な包装体の製造方法及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本発明の一側面に係る包装体の製造方法は、対向配置された一対のシートを備え、内容物を収容する容器部を有するように上記一対のシートの周囲がシールされた包装体の製造方法であって、第1シート及び第2シートを対向配置した場合に上記容器部を構成するように上記第1シート及び上記第2シートのうち少なくとも一方を立体成型する成型工程と、上記第1シート及び上記第2シートを対向配置し、上記第1シート及び上記第2シートをシールすることによって積層シートを形成する工程であって、上記容器部に上記内容物を供給する供給路を確保するように、上記第1シート及び上記第2シートのうち上記容器部の周囲をシールすることによって上記積層シートを形成する第1シール工程と、上記供給路を通して上記容器部に上記内容物を供給する供給工程と、上記容器部を密封するように上記供給路の少なくとも一部をシールする第2シール工程と、上記第2シール工程を経た上記積層シートから上記容器部を含む所望の領域を包装体として分離する分離工程と、を備え、上記成型工程において、上記立体成型が施される上記第1シート及び上記第2シートのうち少なくとも一方は、紙製シートである。
【0007】
上記[1]に記載の製造方法で製造される包装体は第1シート及び第2シートを有する。上記[1]に記載の製造方法では、第1シート及び第2シートのうちの少なくとも一方が上記紙製シートである包装体を製造することができる。そのため、第1シート及び第2シートの両方がたとえば樹脂を主な材料であるシートである場合より、樹脂の使用量を低減できる。その結果、上記[1]に記載の製造方法では、環境負荷の低減を図ることができる。
【0008】
[2]上記[1]に記載の包装体の製造方法では、上記紙製シートにおいて、上記紙製シートの質量に対する紙の質量の割合が51%以上でよい。この場合、環境負荷の低減を更に図ることが可能である。
【0009】
[3]上記[1]または[2]に記載の包装体の製造方法において、上記成型工程では、上記容器部の外壁の一部が外方に向けて屈曲した凸部を有するように上記第1シート及び上記第2シートのうち少なくとも一方を立体成型し、上記容器部は、上記内容物を収容する本体部と、上記本体部から上記内容物が外部に取り出される場合において上記内容物が通る通路部と、を有し、上記凸部は、上記通路部に沿って設けられていてもよい。
【0010】
上記[3]に記載の包装体の製造方法で製造された包装体では、たとえば、通路部の一部を破断することによって取り出し口を形成できる。そのため、上記取り出し口から内容物を取り出すことが可能である。上記[3]に記載の包装体の製造方法で製造された包装体では通路部が上記凸部を有する。この場合、包装体において通路部の周囲を通路部に沿った方向に対して横から押すことによって通路部が広がりやすい。そのため、内容物を包装体から容易に取り出すことができる。
【0011】
[4]上記[1]~[3]の何れかに記載の包装体の製造方法において、上記第1シート及び上記第2シートそれぞれが上記紙製シートであり、上記成型工程では、上記第1シートに上記容器部の一部である第1部分を成型し、上記第2シートに上記第1部分とともに上記容器部を構成する第2部分を成型してもよい。
【0012】
上記[4]に記載の包装体の製造方法では、第1シート及び第2シートの両方が紙製シートである包装体を製造可能である。そのため、環境負荷をより低減できる。
【0013】
[5]上記[4]に記載の包装体の製造方法において、上記第1シート及び上記第2シートは帯状であり、上記成型工程では、上記第1シートを搬送しながら上記第1シートに複数の上記第1部分を成型するともに、上記第2シートを搬送しながら上記第2シートに複数の上記第2部分を成型し、上記第1シール工程では、複数の上記第1部分と複数の上記第2部分とによって構成される複数の上記容器部に対する複数の上記供給路を確保するように、上記第1シート及び上記第2シートを搬送しながら上記第1シート及び上記第2シートのうち複数の上記容器部の周囲をシールすることによって上記積層シートを形成し、上記供給工程では、上記積層シートを搬送しながら複数の上記供給路を通して複数の上記容器部に上記内容物を供給し、上記第2シール工程では、上記積層シートを搬送しながら複数の上記容器部を密封するように複数の上記供給路それぞれの少なくとも一部をシールし、上記分離工程では、上記積層シートを搬送しながら上記積層シートから複数の上記容器部それぞれを含む領域を上記包装体として分離してもよい。この場合、複数の包装体を効率的に製造できる。
【0014】
[6]上記[1]~[4]の何れかに記載の包装体の製造方法において、上記第1シート及び上記第2シートそれぞれは紙層を含み、上記第1シート及び上記第2シートそれぞれが有する上記紙層の厚さ方向に直交する2方向それぞれの伸び率が3%以上であってもよい。この場合、第1シート及び第2シートを立体成型しても、それらが破損し難い。
【0015】
[7]本発明の他の側面に係る包装体は、第1シートと、上記第1シートと対向配置された第2シートと、上記第1シートと上記第2シートとによって構成されており内容物を収容する容器部と、を備え、上記第1シート及び上記第2シートのうちの少なくとも一方は、上記容器部の少なくとも一部を構成する膨出部であって上記第1シート及び上記第2シートにおいて外側に向けて膨らんだ上記膨出部を有し、上記第1シート及び上記第2シートのうち上記容器部の周囲はシールされており、上記膨出部が形成された上記第1シート及び上記第2シートのうち少なくとも一方は、紙製シートである。
【0016】
上記[7]に記載の包装体では、包装体が有する第1シート及び第2シートのうちの少なくとも一方が上記紙製シートである。そのため、第1シート及び第2シートの両方がたとえば樹脂を主な材料であるシートである場合より、樹脂の使用量を低減できる。その結果、上記[7]に記載の包装体は、環境負荷の低減に資する包装体である。
【0017】
[8]上記[7]に記載の包装体において、上記紙製シートにおいて、上記紙製シートの質量に対する紙の質量の割合が51%以上であってもよい。この場合、環境負荷の低減を更に図ることが可能である。
【0018】
[9]上記[7]又は[8]に記載の包装体において、上記容器部は、上記内容物を収容する本体部と、上記本体部から上記内容物が外部に取り出される場合において上記内容物が通る通路部と、を有してもよい。
【0019】
上記[9]に記載の包装体では、たとえば、通路部を通して内容物を包装体から取り出すことが可能である。
【0020】
[10]上記[9]に記載の包装体において、上記通路部は、上記通路部の外壁の一部が外方に向けて屈曲した凸部を有してもよい。
【0021】
上記[10]に記載の包装体では、たとえば、通路部の一部を破断して取り出し口を形成することができる。この場合、通路部を通して内容物を包装体から取り出せる。包装体が上記凸部を有する形態では、包装体において通路部の周囲を通路部に沿った方向に対して横から押すことによって通路部が広がりやすい。そのため、内容物を包装体から容易に取り出すことができる。
【0022】
[11]上記[9]又は[10]に記載の包装体において、上記内容物の取り出し方向に直交する上記通路部の断面の大きさは、上記本体部から上記通路部の端部に向けて小さくなっていてもよい。この場合、包装体に紙製シートが用いられていても、包装体にシワなどが生じにくい。
【0023】
[12]上記[7]~[11]の何れかに記載の包装体において、上記第1シート及び上記第2シートそれぞれが上記紙製シートであってもよい。この場合、環境負荷をより低減可能である。
【0024】
[13]上記[12]に記載の包装体において、上記第1シート及び上記第2シートそれぞれは紙層を含み、上記第1シート及び上記第2シートそれぞれが有する上記紙層の厚さ方向に直交する2方向それぞれの伸び率が3%以上であってよい。この場合、包装体を製造し易い。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、環境負荷の低減を実現可能な包装体の製造方法及び包装体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る包装体の斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2に示したIII-III線に沿った包装体の断面図である。
【
図4】
図4は、
図2に示したIV-IV線に沿った包装体の断面図である。
【
図5】
図5は、
図2に示したV―V線に沿った包装体の断面図である。
【
図6】
図6は、
図5に示したVI―VI線に沿った包装体の断面図である。
【
図7】
図7は、
図5に示したVII―VII線に沿った包装体1の端面図である。
【
図8】
図8は、
図5に示したVIII―VIII線に沿った包装体の端面図である。
【
図9】
図9は、一実施形態に係る包装体の製造方法の一例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、第1シール工程を説明するための図面である。
【
図12】
図12は、包装体の変形例を説明するための図面である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。同一の要素には同一符号を付する。重複する説明は省略する。図面の寸法比率は、説明のものと必ずしも一致しない。
【0028】
図1は、一実施形態に係る包装体の斜視図である。
図2は、
図1に示した包装体の平面図である。
図3は、
図2に示したIII-III線に沿った包装体の断面図である。
【0029】
包装体1は、内容物2(
図2参照)が密閉された状態で収容された物品(或いは商品〕である。内容物2としては、食品、医薬品、化粧品等が挙げられる。食品の例は液体(又は流動性を有する)調味料である。液体調味料としては、醤油、ドレッシング等が挙げられる。流動性を有する調味料の例は、マヨネーズである。医薬品の例は、座薬である。内容物2が固体である場合、固体の形状は限定されない。たとえば、内容物2は粉末状または粒状でもよい。以下の説明では、断らない限り、内容物2は液体調味料(たとえば醤油)である。
【0030】
包装体1は、第1シート10A及び第2シート10B(一対のシート)を有する。説明の便宜の為、
図2及び
図3に示したように、第1シート10Aの厚さ方向をz方向と称し、z方向に直交する2つの方向をx方向及びy方向と称す。x方向及びy方向は直交している。
【0031】
第1シート10A及び第2シート10Bは、z方向において対向配置されている。具体的には、第1シート10Aは、z方向において第2シート10Bに重ねられている。本実施形態において、第1シート10A及び第2シート10Bの形状は、第1シート10Aにおける第2シート10Bが接している面(接合面)を含む面Pに対して対称である。したがって、z方向からみた場合、第1シート10A及び第2シート10Bの形状は同じである。上記面Pは、第1シート10Aにおける第2シート10Bの接合面を含む仮想的な面(接合面を延長した面)である。
【0032】
第1シート10A及び第2シート10Bは、包装体1が有する容器部20を形成するようにプレス成型(立体成型)された成型体である。具体的には、上記面Pによって容器部20を分けた場合の第1部分20aを構成するように、第1シート10Aはプレス成型されている。上記面Pによって容器部20を分けた場合の第2部分20bを構成するように、第2シート10Bはプレス成型されている。第1部分20a及び第2部分20bは、包装体1において外側に膨らんだ部分(膨出部)を有する。
【0033】
上記のように第1シート10Aが膨出部を有する場合、第1シート10Aと面Pとの間の角度θは、たとえば0度より大きく50度以下でよく、0度より大きく40度以下でもよい。角度θの下限の例は、5度でもよい。角度θは、第1シート10Aの立ち上がり角度に相当する。
膨出部の頂部の曲率半径は例えば1mm以上であり、2mm以上でもよいし、10mm以上でもよいし、20mm以上でもよい。上記曲率半径の上限の例は、150mmであり、30mmでもよい。
膨出部の頂部を通る位置での断面形状において、弦の長さ(弧の一端から他端の間の直線距離)に対する弧の全長(断面において弧の曲面に沿った長さ)の比は、例えば110%以下であり、110%未満でもよい。弦の全長に対する弧の長さの比は、包装体1の収容空間Sの体積に応じて設定されればよい。弦の全長に対する弧の長さの比の下限は、101%でもよい。
角度θ、曲率半径などは、容器部20の形状に応じて設定される。
図1に示したように、容器部20が卵形である場合(
図3に示したように断面形状が円形または楕円形である場合)、たとえば、角度θは5度以上且つ40度以下であり、曲率半径は2mm以上且つ30mm以下であり、弦の全長に対する弧の長さの比は102%以上且つ110%以下である。包装体1または容器部20がトレー状である場合、たとえば、角度θは10度以上且つ40度以下であり、曲率半径は20mm以上且つ150mm以下であり、弦の全長に対する弧の長さの比は102%以上且つ110%以下である。角度θ、膨出部の頂部の曲率半径、および弦の全長に対する弧の長さの比が例示した範囲であれば、第1シート10Aが後述するように紙製のシートである場合でも、プレス成型を実施できる。
第1シート10Aを例にして膨出部の角度θ、曲率半径などを説明したが、第2シート2Bについても同様であるとともに、包装体1における立体形状(面Pに対してz方向に立ち上がった部分)についても同様である。
【0034】
第1シート10A及び第2シート10Bの周縁部はシールされている。第1シート10A及び第2シート10Bは、たとえばヒートシールによってシールされる。これにより、包装体1は、容器部20の周囲にシール部30を有する。換言すれば、容器部20は、第1シート10A及び第2シート10Bがシールされていな未シール領域である。シール部30によって容器部20は密封されている。
図2に示したハッチングは、シール部30を明示するためのハッチングである。
【0035】
容器部20は、内容物2を実質的に収容する収容空間Sを形成する本体部21と、本体部21に連続的に繋がっているノズル部22とを有する。本体部21は、第1部分20a及び第2部分20bそれぞれにおける上記膨出部によって構成されている。
【0036】
本実施形態において、本体部21をz方向からみた形状(平面視形状)は、卵形(又は楕円形)であり、本体部21のz方向に直交する断面の形状は長円状または楕円状である。
【0037】
ノズル部22は、内容物2を本体部21から取り出すときに内容物2が通過する通路部として機能する。
図2に示したように、本実施形態において、ノズル部22は、本体部21からx方向に延在している。したがって、x方向は、ノズル部22の延在方向に相当するとともに、内容物2を包装体1から取り出す場合の取り出し方向に相当する。
【0038】
図2に示した包装体1のx方向の長さL1(x方向の最大長さ)及びy方向の長さL2(y方向の最大長さ)は、包装体1の用途に応じて設計される。長さL1の例は、60mm以上且つ120mm以下である。長さL1は、60mm以上且つ80mm以下でもよいし、80mm以上且つ120mm以下でもよい。長さL2の例は、30mm以上且つ60mm以下である。長さL2は、30mm以上且つ40mm以下でもよいし、40mm以上且つ60mm以下でもよい。包装体1の厚さ(z方向の最大長さ)も包装体1の用途に応じて設計される。包装体1の厚さの例は、5mm以上且つ20mm以下である。包装体1の厚さT(
図3参照)は、5mm以上且つ10mm以下でもよいし、10mm以上且つ20mm以下でもよい。厚さTは、包装体1においてz方向において最も距離の長い箇所における包装体1の長さであり、たとえば、
図3に示したように、第1シート10Aおよび第2シート10Bそれぞれの膨出部の頂部間の長さでよい。包装体1において、ノズル部22のy方向の幅L3は、
図2に示したように、本体部21におけるy方向の最大幅(長さL2に相当)より小さい。幅L3の長さの例は、5mm以上且つ15mm以下である。ノズル部22のx方向の長さは、たとえば10mm以上である。ノズル部22のx方向の長さの上限は、包装体1の大きさに依存するが、たとえば、30mmである。シール部30のシール幅Wは、包装体1の用途、形状及び大きさなどに応じて適宜設定される。シール幅Wの例は、1mm以上且つ10mm以下である。シール幅Wは、例えば1mmである。
【0039】
図3に示したように、シール部30の厚さをt1とし、第1シート10Aのうちシール部30以外の部分の厚さをt2aとし、第2シート10Bのうちシール部30以外の部分の厚さをt2bとし、厚さt2a及び厚さt2bの和を厚さt2とした場合、厚さt1に対する厚さt2の比(t2/t1)は、98%以下でよいし、95%以下でもよい。比(t2/t1)の下限は、90%でよい。厚さt2a及び厚さt2bは、例えば、膨出部の頂部近傍のように、シール部30から一定距離離れた位置での第1シート10A及び第2シート10Bの厚さでよい。このような厚さは、包装体1の製造のために準備した第1シート10A及び第2シート10Bと実質的に同じ厚さである。
【0040】
第1シート10A及び第2シート10Bを更に説明する。
【0041】
第1シート10A及び第2シート10Bは紙製シートである。紙製シートは、紙が主要な材料であるシートである。紙製シートは、たとえば、紙製シートの質量に対する紙の質量の割合(以下、「紙化率」と称す)が51%以上であるという条件を満たすシートである。紙製シートの紙化率は、100%以下でよい。
【0042】
第1シート10A及び第2シート10Bの厚さの例は、120μm以上且つ500μm以下である。第1シート10A及び第2シート10Bの厚さは、例えば、120μm以上且つ250μm以下でもよいし、250μm以上且つ500μm以下でもよい。本実施形態では第1シート10A及び第2シート10Bの厚さは同じであるが、第1シート10A及び第2シート10Bの厚さは異なっていてもよい。
【0043】
第1シート10A及び第2シート10Bは、プレス成型が可能な程度の伸びを実現可能なシートである。たとえば、第1シート10A及び第2シート10Bは、x方向及びy方向それぞれの伸び率が3%以上のシートでよいし、5%以上のシートでもよい。第1シート10A及び第2シート10Bの伸び率はたとえば約10%でもよい。伸び率は、JIS P 8113 2006に準じて測定された値でよい。伸び率の上限は、たとえば12%である。第1シート10A及び第2シート10Bは、それらをシール可能な性質を有するシートである。
【0044】
図4を参照して、第1シート10A及び第2シート10Bの層構成の一例を説明する。
図4は、第1シート10A及び第2シート10Bの層構成を説明するための模式図である。本実施形態において、第1シート10A及び第2シート10Bの層構成は同じである。よって、第1シート10A及び第2シート10Bを「シート10」と称し、第1シート10A及び第2シート10Bの層構成を説明する。
【0045】
図4に示したように、シート10は紙層11を有する。紙層11の例は、塗工紙、非塗工紙、微塗工紙、晒紙、未晒紙、半晒紙、単層紙、多層紙、内添紙(内添により耐水性、耐油性等の機能が付与された紙)、外添紙(外添により撥水性、撥油性等の機能が付与された紙)等である。紙層11の坪量の例は30g/m
2以上且つ300g/m
2以下である。上記坪量は、50g/m
2以上且つ200g/m
2以下でもよい。紙層11の厚さの例は、100μm以上且つ300μm以下である。紙層11は、たとえば、ビレドコルスナス社製のファイバーフォーム(坪量:150g/m
2)である。紙層11は、異なる種類の紙または同種の紙を貼り合わせることによって構成されてもよい。すなわち、紙層11は、複数の紙の積層体でもよい。
【0046】
一実施形態において、紙層11は、以下の条件αを満たす層である。
(条件α)
x方向及びy方向(シート10の厚さ方向に直交する2方向それぞれ)の伸び率が、3%以上である。
【0047】
条件αにおける伸び率は、たとえば、5%以上でもよい。上記伸び率は、高い方が好ましいが、たとえば、12%以下である。伸び率は3%以上且つ12%以下でもよい。条件αにける伸び率の例は、約10%である。伸び率は、上記JIS P 8113 2006における「引張破断伸び」に対応し、上記JIS P 8113 2006に準じて測定された値でよい。
【0048】
包装体1の用途、形状及び大きさ等に依存するが、紙層11に使用する紙として、たとえば、ループスティフネスが400Nm以下、又は200Nm以下である紙を採用してもよい。ループスティフネスは、株式会社東洋精機製作所製ループステフネステスタ(登録商標)を用いて、サンプル幅を15mmとし、ループ長100mmとした場合のループの圧縮応力として測定した。ループスティフネスの下限値は、200mNでもよいし、100mNでもよい。
【0049】
シート10は内層12を有してもよい。内層12は、包装体1において紙層11に対して内側に位置する層である。内層12は、シール性を有するシール層12aを有する。シール層12aの材料は、シール性(たとえばヒートシール性)を有するとともに、シート10をプレス成型できる程度に伸びる材料である。たとえば、紙層11で例示した伸び率を内層12も有し、内層12の伸び率の一例は約10%である。内層12が複数の層から構成される場合、各層が紙層11で例示した伸び率を内層12も有してよい。シール層12aの材料は、たとえば、ポリオレフィンである。たとえば、シール層12aは、ポリエチレン(PE)又はエチレンとメタクリル酸の共重合樹脂(EMAA)でもよい。シール層12aは、PEによって形成された層とEMAAによって形成された層が積層された構造を有してもよい。
【0050】
図4に示したように、内層12は、シール層12aに対して紙層11側にバリア層12bを有してもよい。バリア層12bは、内容物2を包装体1の外部から保護するために、又は、内容物2が包装体1から外部に漏れ出ないように、内容物2に応じて液体及びガスの少なくとも一方を遮断(バリア)する層である。バリア層12bの材料は、バリア性を有するとともに、シート10をプレス成型できる程度に伸びる材料である。バリア層12bの材料の例は、エチレンビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)でもよいし、Kコートナイロン(K-NY)でもよいし、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)でもよいし、ポリクロロトリフルオロエチレン樹脂(PETE)でもよい。プレス成型できる程度に上記バリア層12bを含むシート10をのばすことが可能であれば、バリア層12bは金属層(たとえばアルミニウム層)でもよい。
【0051】
内層12の一例は、PEフィルム、EVOHフィルム及びPEフィルムが積層されたフィルムである。この場合、たとえば、内層12は、PEフィルム、EVOHフィルム及びPEフィルムの多層共押しフィルムである。
【0052】
シート10は、包装体1において、紙層11の外側に位置する外層13を有してもよい。外層13は紙層11を保護する機能を有し得る。たとえば、内容物2が液体である場合、外層13は、疎水性を有する層でよい。包装体1の製造において、容器部20に内容物2としての液体を供給する際、液体が包装体1の外面に付着する場合が生じる。このような場合であっても、外層13によって紙層11が保護されているので、紙層11に液体が浸入することを抑制可能である。上記疎水性を有する外層13の材料の例は、ポリオレフィンである。外層13の例は、PEによって形成された層である。疎水性を有する外層13の材料を例示したが、外層13が有する特性は、内容物2の性質に応じたものでよく、外層13の材料は、外層13が有する特性に応じたものであればよい。たとえば、紙層11で例示した伸び率を外層13も有する。
【0053】
シート10が多層構造を有する場合における各層の積層方法は限定されないが、上記積層方法としては、押出ラミネート法、ドライラミネート法等が挙げられる。
【0054】
シート10の層構成の一例は次の層構成Aである。以下では、層構成Aが有する各層材料、厚さなどを具体的に例示するが、シート10の層構成は、層構成Aに限定されない。
(層構成A)
第1PEフィルム/紙層11/第2PEフィルム/多層共押出しフィルム
【0055】
層構成Aにおいて、第1PEフィルムの厚さは、20μmであり、紙層11の坪量は、150g/m2であり、第2PEフィルムの厚さは20μmである。
層構成Aにおいて、多層共押出しフィルムは、第2PEフィルム側からPEフィルム、EVOHフィルム及びPEフィルムがこの順に積層されたフィルムである。層構成Aにおいて、多層共押出しフィルムの厚さは50μmである。
層構成Aにおいて、シート10の紙化率の一例は65質量%である。
【0056】
上記層構成Aは、紙層11の内面(多層共押出しフィルム側の面)に対して多層共押出しフィルムをPE押出しラミネートするとともに、紙層11の外面(内面と反対の面)にPEを押出しラミネートすることによって形成され得る。
【0057】
シート10は、包装体1において紙層11の外側に印刷層を有してもよい。印刷層は、複数のインク層が積層された層でもよい。印刷層は、たとえば、紙層11に内容物2が侵入することによる包装体1の変色を目立たせない機能を有してもよい。この場合、印刷層は、少なくとも内容物2の色と同じ色のインク層を有する。印刷層は、遮光機能を有してもよい。印刷層は、たとえば、シート10のうちノズル部22及びその周囲に対応する領域に設けられていてもよい。シート10が例えば外層13を有する場合、外層13と紙層11の間に印刷層が設けられてもよいし、外層13に対して紙層11と反対側に印刷層が設けられてもよい。
【0058】
シート10は、例示した層以外の層(たとえば樹脂層)を有してもよい。上記のようにシート10が紙層11以外の層を含む場合、シート10の紙化率は、100%未満であり、たとえば、80%以下である。
【0059】
図1及び
図2を利用して包装体1を更に説明する。
図1及び
図2に示したように、包装体1のうちノズル部22の先端近傍においてy方向における両縁部の少なくとも一方には、ノッチNが形成されていてもよい。ノッチNは、包装体1を開封する際の開封開始端として機能する部分である。
図1及び
図2では上記両縁部にノッチNが形成されている形態を例示している。ノッチNの平面視形状は、
図1及び
図2に示したV状に限定されない。ノッチNの平面視形状は、I状(または線状)でもよいし、又は、Y状でもよい。
【0060】
包装体1には、包装体1を開封するための開封予定線が設けられてもよい。このような開封予定線は、ノズル部22を横切るように形成されていればよい。ノッチNが設けられている場合、開封予定線は、ノッチNからy方向に延びるように形成される。上記開封予定線は、ミシン目状(破線状)に形成されてもよいし、連続した直線状(または波線状)に形成されてもよい。開封予定線は、第1シート10A及び第2シート10Bの少なくとも一方に形成されていればよい。開封予定線は、たとえば、紙層11を厚さ方向に全カットまたはハーフカットされることによって形成され得る。
【0061】
図5は、
図2に示したV―V線に沿った包装体1の断面図である。
図5では内容物2の図示を省略している。
図6は、
図5に示したVI―VI線に沿った包装体1の断面図である。
図7は、
図5に示したVII―VII線に沿った包装体1の端面図である。
図8は、
図5に示したVIII―VIII線に沿った包装体の端面図である。
【0062】
図5から
図8に示したように、本体部21とノズル部22の接続部近傍からノズル部22の先端部(本体部21と反対側)に向けて、容器部20は先細りしていてもよい。換言すれば、本体部21とノズル部22の接続部近傍からノズル部22の先端部に向けて容器部20の断面は小さくなっていてもよい。
【0063】
包装体1の断面形状は、
図6から
図8に示したように、本体部21とノズル部22の接続部近傍からノズル部22の先端側に向けて、長円または楕円状、菱形状、及び平面状(すなわち、第1シート10Aと第2シート10Bとが接した状態)に徐々に変形してもよい。
【0064】
次に、包装体1の製造方法の一例を説明する。
図9は、包装体1の製造方法の一例を示すフローチャートである。
図9に示したように、包装体1の製造方法の一例は、準備工程S1、成型工程S2、第1シール工程S3、供給工程S4、第2シール工程S5及び分離工程S6を有する。説明の便宜の為、
図4に示したように、第1シート10A及び第2シート10Bが、紙層11とともに、少なくとも内層12を有する形態の包装体1を製造する方法を説明する。
【0065】
(1)準備工程S1
準備工程S1では、第1シート10Aと同じ層構成を有する帯状の第1シート100A(シート原反)を準備する。第1シート100Aはシート10と同じ層構成を有するため、第1シート100Aは、紙製シートである。第1シート100Aは、たとえば、押出ラミネート法、ドライラミネート法等によって形成される。準備工程S1では、第1シート100Aの場合と同様に、第2シート10Bと同じ層構成を有する帯状の第2シート100B(シート原反)を準備する。
【0066】
(2)成型工程S2
次に、第1シート100A及び第2シート100Bにプレス成型(またはエンボス加工)を施す。第1シート100Aにプレス成型を施す場合を例にして成型工程S2を説明する。ただし、成型方法は、プレス成型に限定されず、圧空成形、真空圧空成形等を利用してもよい。
【0067】
図10は、成型工程S2を説明するための図面である。
図10では、第1シート100Aにプレス成型を施す場合を例示している。
図10に示したように第1シート100Aを、その長手方向に搬送しながら、プレス装置40に通し、容器部20の第1部分20aをプレス成型する。このようなプレス成型は、プレス装置40が有する凹型41及び凸型42の間に第1シート100Aを通し、凹型41及び凸型42によって第1シート100Aをプレスすることによって実施できる。成型工程S2では、第1シート100Aの長手方向に沿って複数の第1部分20aを第1シート100Aに成型する。同様にして、第2シート100Bに対して複数の第2部分20bをプレス成型する。成型工程S2では、第1シート100A及び第2シート100Bにプレス成型を実施する前に、金型(凹型41及び凸型42)を温めておいてもよいし、第1シート100A及び第2シート100Bを温めておいても良い。このようにプレス成型前に金型などを温めておくことで、所望の形状を形成し易い。
【0068】
本実施形態では、第1シート100A及び第2シート100Bの搬送方向が、
図2及び
図3に示したy方向に対応し、第1シート100A及び第2シート100Bの短手方向(長手方向に直交する方向)が
図2及び
図3に示したx方向に対応するように、第1シート100A及び第2シート100Bに第1部分20a及び第2部分20bが形成される。
【0069】
成形工程S2において、第1部分20aは、第1部分20a全体が第1シート100Aにおける内層12と反対側に膨らんだ状態で(内層12に対して凹部が形成されるように)形成されてもよい。第2部分20bについても同様である。
【0070】
(3)第1シール工程S3
図11を利用して第1シール工程S3を説明する。成型工程S2によって、複数の第1部分20aが成型された第1シート100A及び複数の第2部分20bが成型された第2シート100Bを、それらの長手方向に搬送しながらヒートシール装置50に通す。第1シート100A及び第2シート100Bは、ヒートシール装置50内において、第1シート100A及び第2シート100Bが有する内層12が対向するように搬送される。更に、第1シート100A及び第2シート100Bは、ヒートシール装置50内において、対応する第1部分20aと第2部分20bとが容器部20を構成するように搬送される。
【0071】
第1シート100A及び第2シート100Bは、ヒートシール装置50によって、容器部20となるべき第1部分20a(及び第2部分20b)の周囲をヒートシールする。これにより、第1部分20a及び第2部分20bによって容器部20が形成されるとともに、第1シート100A及び第2シート100Bが接合される。その結果、複数の容器部20が形成された帯状の積層シート100Cが得られる。第1シート100A及び第2シート100Bが紙層11を有することから、第1シール工程S3では、加熱するとともに加圧しながらヒートシールする。すなわち、容器部20となるべき第1部分20a(及び第2部分20b)の周囲を、加熱しながら圧着固化する。
【0072】
第1シール工程S3では、
図11に示したように、供給工程S4において容器部20に内容物2を供給するための供給路101を確保するように、第1シート100A及び第2シート100Bをヒートシールする。
図11においても積層シート100Cにおいてヒートシールされた領域(ヒートシール領域)をハッチングで示している。ヒートシール領域は、供給路101が確保されていれば、
図2に示したシール部30に対応する領域と同じ領域でもよいし、
図11に示したように上記シール部30より広い領域でもよい。
【0073】
図11では、未シール領域である供給路101を、包装体1におけるノズル部22と同じ位置に設けているが、供給路101はノズル部22と異なる位置(たとえば、ノズル部22と反対側)でもよい。
【0074】
(4)供給工程S4
供給工程S4では、第1シール工程S3によって形成された帯状の積層シート100Cをその長手方向に搬送しながら、供給路101を通して容器部20内に内容物2を供給する。たとえば、供給路101にノズルを差し込み、そのノズルを通して容器部20内に内容物2を供給すればよい。これにより、内容物2が容器部20に収容される。
【0075】
(5)第2シール工程S5
第2シール工程S5では、容器部20内に内容物2が収容された状態の帯状の積層シート100Cをその長手方向に搬送しながら、供給路101の少なくとも一部をヒートシールする。これにより、供給路101が閉じられ、容器部20が密封される。ヒートシールは、
図11に示したヒートシール装置50を用いることができる。この場合も第1シール工程S3の場合と同様に、供給路101の少なくとも一部を加熱するとともに加圧しながらヒートシールする。
【0076】
(6)分離工程S6
分離工程S6では、第2シール工程S5を経た帯状の積層シート100Cをその長手方向に搬送しながら、容器部20毎に、包装体1の所望の形状に応じて容器部20を含む領領域を積層シート100Cから分離する。これにより、所望の形状を有する包装体1を得ることができる。積層シート100Cから包装体1を分離する場合、たとえば、積層シート100Cに対して打ち抜き加工を施す。
【0077】
図5から
図8を用いて説明したように、容器部20がノズル部22の先端部に向けて先細りしている状態の包装体1を製造する形態では、たとえば、次のようにして包装体1を製造可能である。
【0078】
すなわち、
図11に例示したように、供給路101を、包装体1におけるノズル部22と同じ位置に設けている場合、上記第2シール工程S5において、供給路101に対するヒートシールを実施するとともに、容器部20がノズル部22の先端部に向けて先細りするように、第1シート100A及び第2シート100Bを成型すればよい。
【0079】
一方、供給路101をノズル部22と異なる位置(たとえば、ノズル部22と反対側)に設けている場合では、成型工程S2において、第1部分20a及び第2部分20bがノズル部22の先端部に向けて先細りするように、第1シート100A及び第2シート100Bを成型してよい。或いは、上述したように、第2シール工程S5において、容器部20がノズル部22の先端部に向けて先細りするように、第1シート100A及び第2シート100Bを成型してもよい。
【0080】
上記製造方法では、紙製の第1シート100A及び第2シート100Bを用いて、包装体1を製造可能である。包装体1が有する第1シート10A(第1シート100A)と第2シート10B(第2シート100B)の主要な材料は紙である。そのため、第1シート10A及び第2シート10Bの主要な材料が樹脂(たとえばプラスチック)である場合に比べて、樹脂の使用量を低減できる。その結果、包装体1及びその製造方法では、環境負荷の低減を図ることが可能である。
【0081】
第1シート10A及び第2シート10Bそれぞれ紙化率が51%以上である場合、環境負荷の低減に更に資する。
【0082】
紙層11が上述した条件αを満たす場合、紙層11が伸びやすいので、包装体1を製造し易い。たとえば、成型工程S2のように、第1シート100A及び第2シート100Bを成型する場合に、第1シート100A及び第2シート100Bが破損し難い。その結果、包装体1を製造し易い。第1シート100A及び第2シート100Bが破損し難いことから、第1シート100A及び第2シート100Bを有効に利用できる。
【0083】
第1シート10Aが、
図3に示したような円形(または楕円形)の膨出部またはトレー状の膨出部を有する場合において、角度θ、膨出部の頂部の曲率半径、および弦の全長に対する弧の長さの比が例示した範囲であれば、プレス成型を実施した場合において、紙製シートである第1シート10Aがより破れ難い。第1シート10Aについて説明したが、第2シート10Bについても同様である。
【0084】
容器部20がノズル部22を有する形態では、たとえば、容器部20から内容物2を搾り出すことが可能である。この場合、内容物2の取り出し量を調整し易い。特に、ノズル部22のy方向の幅が、
図2に示したように、本体部21におけるy方向の最大幅より小さい場合に、上記搾り出しによる内容物2の取り出しを実施し易い。
【0085】
図5から
図8に示したように、本体部21とノズル部22の接続部近傍からノズル部22の先端部に向けて容器部20は先細りしている形態では、第1シート10A及び第2シート10Bとして紙製シートを使用していても、包装体1にシワなどが生じにくい。その結果、包装体1の外観の向上が図れる。シワなどが生じると、その部分で包装体1が破損する可能性が生じやすいが、上記のようにシワなどを抑制できるので、包装体1の破損防止が図れる。内容物2が液体調味料(たとえば醤油)である場合、本体部21とノズル部22の接続部近傍からノズル部22の先端部に向けて容器部20は先細りしている形態では、滴下注出も可能である。
【0086】
内容物2が液体調味料である場合、たとえば包装体1から液体調味料を押し出す。このような形態では、紙層11のループスティフネスが200Nm以下である場合、小さい押し圧で包装体1を押すことによって抽出量を調整しながら内容物2を包装体1から抽出可能である。特に、包装体1に収容される内容物2の量が少ない場合にループスティフネスが上記範囲であることが有効である。
【0087】
包装体1が有する第1シート10A及び第2シート10Bが紙製シートであることから包装体1はデッドホールド性を有しやすい。そのため、たとえば、包装体1から内容物2を押し出した場合、包装体1は、押圧された形状を維持され易い。この場合、液体などの流動性を有していても、内容物2が容器部20内に戻ることを抑制できるので、内容物2が容器部20内に残りにくい。そのため、内容物2を有効に利用できる。
【0088】
包装体1を破断して開封するため、包装体1は、包装体1の内容物の改ざん防止機能を有する。
【0089】
紙は通常のプラスチックフィルムよりも断熱性が高いことから、紙の成型品を溶着して立体形状の容器とする場合には、上記第1シール工程S3及び第2シール工程S5で例示したように、第1シート100A及び第2シート100Bを加熱するとともに、圧着固化をすることが考えられる。紙は空気を含み密度が低く、更には部分的に密度差があるため、シール幅が広いと、圧むらによりシール強度が不均一になりやすい。これに対して、シール幅Wが0.5mm以上且つ5mm以下であることによって、紙製シートである第1シート10A(第1シート100A)及び第2シート10B(第2シート100B)を用いてもシール部30全体において実質的に同様のシール強度を確保可能である。これは、紙層11を一度潰した状態でシールされているからと考えられる。
【0090】
シール幅Wが小さい点に関する実験例を説明する。実験例では、第1シート及び第2シートとして、以下の層構成Bを有する紙製シートを準備した。
(層構成B)
第1PEフィルム/紙層/第2PEフィルム/アルミニウム箔/EMAAフィルム/第3PEフィルム
【0091】
層構成Bにおいて、第1PEフィルム、第2PEフィルム及びEMAAフィルムの厚さはいずれも20μmであり、紙層の厚さは190μmであり、アルミウム箔の厚さは20μmであり、第3PEフィルムの厚さは30μmであった。したがって、第1シート及び第2シートの厚さは310μmであった。層構成Bにおける紙化率は、55重量%であった。
【0092】
(実験例1)
実験例1では、上記層構成Bを有する第1シート及び第2シートを第3PEフィルムが対向するように積層した。第1シート及び第2シートの積層体の縁部を、シール幅10mmでヒートシールした。実験例1では、220℃で3秒間、第1シートおよび第2シートを1.6トン(15.68kN)で圧することで、第1シート及び第2シートをヒートシールできた。
【0093】
(実験例2)
実験例2では、上記層構成Bを有する第1シート及び第2シートを第3PEフィルムが対向するように積層した。第1シート及び第2シートの積層体の縁部を、シール幅1mmで、実験例1の場合と同じ装置を用いてヒートシールした。実験例2では、220℃で1秒間、第1シートおよび第2シートを1.6トンで圧することによって第1シート及び第2シートをヒートシールできた。
【0094】
実験例1および実験例2より、シール幅を狭くすることによって、より効率的にシール可能であることが理解できる。
【0095】
更に、実験例1では、シール部の厚さは約600μmであった。すなわち、準備した第1シート及び第2シートの厚さを加算した厚さであった。これに対して、実験例2では、シール部の厚さは約450μmであった。シール部の断面を観察したところ、シーラント層である第3PEフィルム以外に、第2PEフィルム及びEMAAフィルムも溶けているとともに、紙層も圧縮され薄くなっていた。更に、実験例2のヒートシールでは、2mmの幅で第1シートと第2シートが溶着していることが確認された。これらのことから、実験例2では、溶融状態で押圧されたシール幅1mmの部分がつぶれ、それによって側方に流れでた溶融状態の樹脂によっても第1シートおよび第2シートが溶着されていたと考えられる。この場合、紙層等の他の素材のバラツキ(各層内における密度差など)の影響が低減される。そのため、シール幅を狭くすることによってより安定した溶着を得ることができることがわかった。
【0096】
更には、シール部30のシール幅Wが0.5mm以上且つ2mm以下である場合(たとえば1mmである場合)、包装体1のサイズを小さくする事が可能である。その結果、包装体1に利用する包装材料を少なくすることが可能である。更に、シール幅Wが上記の範囲である場合、ヒートシールする際に、押圧および加熱する領域(ヒートシール時のシール幅)も狭くてよい。この場合、ヒートシール条件を緩和できる。例えば、ヒートシール時間を短くできるため、生産効率が上がる。ヒートシール条件が緩和できるのでヒートシールに要するエネルギーも低減できる。
【0097】
以上、本発明の一側面に係る包装体の実施形態を説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲により示される範囲が含まれることが意図されると共に、特許請求の範囲を均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0098】
たとえば、
図12及び
図13に示したようにノズル部22は、凸部23a及び凸部23bを有してもよい。
図12は、包装体の変形例を説明するための平面図である。
図13は、
図12のXIII―XIII線に沿った包装体の端面図である。
図12におけるハッチングは、シール部30を明示するためのハッチングである。
【0099】
凸部23a及び凸部23bは、ノズル部22の外壁の一部が外方に向けて屈曲した部分である。凸部23a及び凸部23bは、たとえば罫線であってもよいし、リブであってもよい。凸部23a及び凸部23bは、たとえば、
図12に示したように、本体部21とノズル部22の接続部近傍からノズル部22の先端部に向けて延びている。
図12では、凸部23a及び凸部23bは、x方向(内容物2の取り出し方向に相当)に延びている。凸部23aは第1シート10Aに設けられており、凸部23bは、第2シート10Bに設けられている。
【0100】
包装体1から内容物2を取り出す場合、ノズル部22の一部を破断して、取り出し口を形成する。上記凸部23a及び凸部23bがノズル部22に設けられている場合、y方向におけるノズル部22の両側からノズル部22を押すことで、ノズル部22がz方向に開きやすい。そのため、ノズル部22を通して内容物2を取り出し口から取り出し易い。したがって、凸部23a及び凸部23bは包装体の開封性の向上に寄与する部分である。
【0101】
上記凸部23a及び凸部23bは、成型工程S2において、第1シート100A及び第2シート100Bに形成しておくことができる。
【0102】
図及び図では、ノズル部22が凸部23a及び凸部23bを有する形態を例示した。しかしながら、ノズル部22は、凸部23aまたは凸部23bを有しなくてもよい。
【0103】
第2シート10Bは、第2部分20bを有しなくてもよい。この場合、第2シートは平坦なシートである。この場合でも、第1シート10Aに形成された第1部分20aと第2シート10Bとによって収容空間Sが形成される。すなわち、第1シート10Aに形成された第1部分20aと第2シート10Bとによって容器部が構成される。同様に、第1シート10Aは、第1部分20aを有しなくてもよい。この場合、第1シートは平坦なシートである。
【0104】
上記のように、第2シート10B又は第1シート10Aが平坦なシートである場合、第2シート10B又は第1シート10Aは樹脂シートでもよい。この場合でも、第1シート10A及び第2シート10Bの一方は紙製シートである。そのため、第1シート10A及び第2シート10Bの両方の主要な材料が樹脂である場合より、環境負荷の低減を図ることが可能である。第1シート10A及び第2シート10Bの一方が、上記樹脂シートである場合、たとえば、樹脂シートとして透明なシートを用いれば、内容物2をユーザが視認可能である。この場合、ユーザは、内容物2の残量などを容易に確認し易い。
【0105】
第1シート10A及び第2シート10Bが紙層11の他に、
図4に示したように内層12を有する場合、紙層11の一部に窓部(開口)を設けることで、内容物2を包装体1の外部から視認可能である。このような窓部は、第1シート10A及び第2シート10Bの一方に形成されていてもよい。
【0106】
これまでの説明では、ノズル部22の一部を破断することによって包装体から内容物を取り出す形態を説明した。しかしながら、包装体において、たとえば、ノズル部22の先端部近傍において、第1シート及び第2シートを剥離し易いように接合していてもよい。この場合、第1シート及び第2シートを剥離することによって包装体から内容物を取り出せる。第1シート及び第2シートを剥離し易いように接合する方法としては、シール部30のうち剥離予定領域における第1シート及び第2シートの内面に剥離ニスなどを塗布することが挙げられる。或いは、第1シート及び第2シートの少なくとも一方の最内層にイージーピール性を有する樹脂フィルムを用いてもよい。
【0107】
ノズル部は、
図6および
図7に示したような立体的なノズル部に限定されず、平坦なノズル部でもよい。この場合でも、第1シートおよび第2シートのうちノズル部の領域は平坦な領域であり且つ未シール領域である。このような形態でも、たとえば内容物を押し出す際に、未シール領域が広がることによって、内容物を注出可能である。ノズル部の断面形状は、内容物の種類、包装体からの内容物の取り出し方法に応じて、容器部はノズル部(通路部)を有しなくもよい。容器部が通路部を有する場合、通路部の形状は内容物の取り出し方法に応じた形状であればよい。
【0108】
第1シート及び第2シートは、それらの接合面に対して対称でなくてもよい。第1シート及び第2シートの紙化率は異なっていてもよい。
【0109】
包装体が有するシール部を、第1シート及び第2シートをヒートシールすることによって形成する場合を例示した。しかしながら、シール部の形成方法は、ヒートシールに限定されない。シール部の形成方法は、内容物に応じたものでよい。たとえば、内容物によっては、接着剤を利用した方法でもよいし、ホットメルトを利用した方法でもよい。
【0110】
内容物による包装体の変色を目立たせないようにする観点で、第1シート又は第2シートに、包装体1の変色を目立たせないような機能を有する印刷層を設ける形態を例示した。このように内容物による包装体の変色を目立たせない観点では、着色紙を紙層に用いてもよいし、紙層に耐水性、耐油性などの機能を付与してもよい。
【0111】
上記実施形態及び変形例は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1…包装体、2…内容物、10…シート、10A…第1シート、10B…第2シート、11…紙層、12…内層、12a…シール層、12b…バリア層、13…外層、20…容器部、20a…第1部分(膨出部を有する部分)、20b…第2部分(膨出部を有する部分)、21…本体部、22…ノズル部(通路部)、23a…凸部、23b…凸部、30…シール部、40…プレス装置、41…凹型、42…凸型、50…ヒートシール装置、100A…第1シート、100B…第2シート、100C…積層シート、101…供給路、S…収容空間。