(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140181
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】通知制御装置及び通知制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 10/10 20230101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q10/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051204
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】今野 良彦
(72)【発明者】
【氏名】宍戸 一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 朝明
(72)【発明者】
【氏名】高畠 仁志
(72)【発明者】
【氏名】中原 良和
(72)【発明者】
【氏名】笠原 圭輔
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】端末装置の故障が予測された場合に、イベントの関係者に対して適切に通知を行うことが可能な通知制御装置を提供すること。
【解決手段】本開示にかかる通知制御装置は、ユーザ端末1(端末装置)が備えるセンサ部において検出されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得部31と、センサ情報に基づいて、端末装置の故障予測を行う故障予測部34と、端末装置のユーザが係るイベントの日時と、イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられたイベント情報を取得するイベント情報取得部32と、端末装置の故障が予測された場合、イベント情報を参照し、故障予測がなされた以降に開催予定のイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を、故障予測に関する通知情報の送信先として特定する特定部36と、送信先に対する通知情報の送信を制御する送信制御部37と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末装置が備えるセンサ部において検出されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて、前記端末装置の故障予測を行う故障予測部と、
前記端末装置のユーザが係るイベントの日時と、前記イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられたイベント情報を取得するイベント情報取得部と、
前記故障予測部において前記端末装置の故障が予測された場合、前記イベント情報を参照し、前記故障予測がなされた以降に開催予定のイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を、前記故障予測に関する通知情報の送信先として特定する特定部と、
前記送信先に対する前記通知情報の送信を制御する送信制御部と、を備える
通知制御装置。
【請求項2】
前記端末装置が故障したか否かを判定する故障判定部をさらに備え、
前記送信制御部は、前記故障予測がなされた時点から所定時間の経過後に、前記通知情報が前記送信先に送信されるように送信予約を行うための予約情報を、前記通知情報を送信するメッセージサーバに送信し、
前記故障判定部は、前記送信制御部が前記予約情報を送信した後、前記所定時間の経過前に、前記端末装置が故障したか否かを判定し、
前記送信制御部は、前記端末装置が故障していないと判定された場合、前記送信予約を取り消すための予約取消情報を前記メッセージサーバに送信する
請求項1に記載の通知制御装置。
【請求項3】
前記イベント情報は、前記イベントの場所がさらに関連付けられており、
前記特定部は、前記故障予測部において前記端末装置の故障が予測された場合、前記イベント情報を参照し、前記故障予測がなされた以降に開催予定のイベントであり、かつ、前記イベントの場所が所定の場所以外のイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を前記通知情報の送信先として特定する
請求項1又は2に記載の通知制御装置。
【請求項4】
前記イベント情報が前記端末装置以外の他の端末装置によってアクセスされたか否かを示す情報を取得する端末情報取得部をさらに備え、
前記特定部は、前記故障予測部において前記端末装置の故障が予測された場合、前記イベント情報を参照し、前記故障予測がなされた以降に開催予定のイベントであり、かつ、前記他の端末装置によってアクセスされていないイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を前記通知情報の送信先として特定する
請求項1又は2に記載の通知制御装置。
【請求項5】
端末装置が備えるセンサ部において検出されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
前記センサ情報に基づいて、前記端末装置の故障予測を行う故障予測ステップと、
前記端末装置のユーザが係るイベントの日時と、前記イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられたイベント情報を取得するイベント情報取得ステップと、
前記故障予測ステップにおいて前記端末装置の故障が予測された場合、前記イベント情報を参照し、前記故障予測がなされた以降に開催予定のイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を、前記故障予測に関する通知情報の送信先として特定する特定ステップと、
前記送信先に対する前記通知情報の送信を制御する送信制御ステップと、をコンピュータに実行させる
通知制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通知制御装置及び通知制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器に内蔵されたセンサを用いて動作状態を監視し、当該電子機器の故障が予測された場合にユーザに対して通知を行う技術が知られている。
【0003】
関連する技術として、特許文献1は、電子機器に障害を発生させ得る衝撃などの動作環境の変化を検知して、ユーザに注意喚起する障害発生予防装置を開示する。特許文献1が開示する障害発生予防装置は、電子機器に障害が発生する可能性があるか否かを判定する判定手段と、判定結果に応じて動作環境の改善をユーザに喚起する喚起手段と、を備えている。特許文献1では、喚起手段の例として、予め設定されたアドレス宛に電子メールを送信させる電子メール送信手段が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、スマートフォンなどの端末装置を用いて、ユーザがイベントに参加する場合がある。例えば、ユーザが端末装置を用いてオンライン会議に参加する場合、端末装置が故障することで、ユーザはオンライン会議に参加できなくなる可能性がある。また、例えば、ユーザが所定の会場で開催されるイベントに参加する場合、端末装置が故障することで、イベントに同行する友人などと連絡がとれなくなる可能性がある。
【0006】
このような状況で、特許文献1が開示するような技術を用いて端末装置の故障を予測し、あらかじめ設定された固定的なメールアドレス宛に通知することは適切ではない場合がある。例えば、端末装置の故障によって影響を受ける可能性のある関係者が固定的でない場合、端末装置の故障を予測したときの状況に応じて、適切な通知先が設定されることが好ましい。しかしながら、特許文献1が開示する技術では、このような問題については十分考慮されていない。
【0007】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、端末装置の故障が予測された場合に、イベントの関係者に対して適切に通知を行うことが可能な通知制御装置及び通知制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示にかかる通知制御装置は、
端末装置が備えるセンサ部において検出されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報に基づいて、前記端末装置の故障予測を行う故障予測部と、
前記端末装置のユーザが係るイベントの日時と、前記イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられたイベント情報を取得するイベント情報取得部と、
前記故障予測部において前記端末装置の故障が予測された場合、前記イベント情報を参照し、前記故障予測がなされた以降に開催予定のイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を、前記故障予測に関する通知情報の送信先として特定する特定部と、
前記送信先に対する前記通知情報の送信を制御する送信制御部と、を備えるものである。
【0009】
本開示にかかる通知制御プログラムは、
端末装置が備えるセンサ部において検出されたセンサ情報を取得するセンサ情報取得ステップと、
前記センサ情報に基づいて、前記端末装置の故障予測を行う故障予測ステップと、
前記端末装置のユーザが係るイベントの日時と、前記イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられたイベント情報を取得するイベント情報取得ステップと、
前記故障予測ステップにおいて前記端末装置の故障が予測された場合、前記イベント情報を参照し、前記故障予測がなされた以降に開催予定のイベントを抽出し、抽出したイベントの関係者の連絡先を、前記故障予測に関する通知情報の送信先として特定する特定ステップと、
前記送信先に対する前記通知情報の送信を制御する送信制御ステップと、をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0010】
本開示にかかる通知制御装置及び通知制御プログラムは、端末装置の故障が予測された場合に、イベントの関係者に対して適切に通知を行うことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態1にかかる故障通知システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1にかかるユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1にかかるイベント情報の一例を示す図である。
【
図4】実施形態1にかかる通知情報の一例である故障予測通知を示す図である。
【
図5】実施形態1にかかる加速度センサの検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末が行う処理を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1にかかる加速度センサ以外のセンサの検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末が行う処理を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態2にかかる故障通知システムの構成を示すブロック図である。
【
図8】実施形態2にかかるユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図9】実施形態2にかかる加速度センサの検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末が行う処理を示すフローチャートである。
【
図10】実施形態2にかかる加速度センサ以外のセンサの検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末が行う処理を示すフローチャートである。
【
図11】実施形態3にかかる故障通知システムの構成を示すブロック図である。
【
図12】実施形態3にかかるユーザ端末の構成を示すブロック図である。
【
図13】実施形態3にかかる通知制御サーバの構成を示すブロック図である。
【
図14】実施形態3にかかる加速度センサの検出結果を用いて故障予測を行う場合に、ユーザ端末が行う処理を示すフローチャートである。
【
図15】実施形態3にかかる加速度センサ以外のセンサの検出結果を用いて故障予測を行う場合に、ユーザ端末が行う処理を示すフローチャートである。
【
図16】実施形態3にかかる通知制御サーバが行う処理を示すフローチャートである。
【
図17】実施形態3にかかる電子メールの予約機能を用いた場合における通知制御サーバが行う処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されている。説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0013】
<実施形態1>
まず、
図1を参照して、実施形態1にかかる故障通知システム100について説明する。
図1は、故障通知システム100の構成を示すブロック図である。
【0014】
(故障通知システム100の構成)
故障通知システム100は、ユーザ端末1、関係者端末3、及びメールサーバ5を備えている。ユーザ端末1、関係者端末3、及びメールサーバ5は、ネットワークNを介して接続されている。ネットワークNは、有線又は無線の通信回線である。ネットワークNは、例えば、3G、4G、5Gなどの移動体通信網、インターネット、公衆電話回線網、又は衛星通信網などを用いて構成されてよい。
【0015】
ユーザ端末1は、故障通知システム100を利用するユーザが使用する端末装置である。ユーザは、故障通知システム100において管理されるイベントへの参加を予定している人物である。ユーザ端末1は、例えば、スマートフォン、携帯電話端末、タブレット端末、又はPC(Personal Computer)などである。なお、
図1において、ユーザ端末1は1つであるが、ユーザ端末1は複数あってもよく、ユーザ端末1の数は任意である。
【0016】
関係者端末3は、イベントの関係者が使用する端末装置である。関係者は、ユーザが参加予定のイベントに関係する人物である。関係者は、例えば、イベントに関してユーザと連絡を取ることが想定される人物や、ユーザ端末1の故障が与えるイベントへの影響に対し、なんらかの対処を行うことが想定される人物である。関係者は、例えば、ユーザと共にイベントに参加する参加者や、イベントの主催者などである。関係者は、参加者や主催者がユーザと連絡が取れない場合に、ユーザの代わりに連絡を受ける人物(代理人)であってもよい。関係者端末3は、ユーザ端末1と同様、スマートフォン、携帯電話端末、タブレット端末、又はPCなどである。また、
図1において、関係者端末3は1つであるが、関係者端末3は複数あってもよく、関係者端末3の数は任意である。
【0017】
メールサーバ5は、メッセージ情報の送受信を行うためのメッセージサーバとして機能する。メールサーバ5は、例えば、ユーザ端末1から通知情報を受信して、当該通知情報を関係者端末3に送信する。ここで、通知情報は、ユーザ端末1において予測された、ユーザ端末1の故障に関する情報である。通知情報について、詳細は後述する。
【0018】
メールサーバ5は、電子メールサービスを提供することで、ユーザ端末1と関係者端末3との間で、通知情報の送受信を行う。メールサーバ5は、例えば、SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)を用いて、ユーザ端末1から受信した通知情報を関係者端末3に送信する。
【0019】
なお、本開示では、メッセージサーバの一例として、メールサーバ5を用いて説明するが、これに限られない。メールサーバ5に代えて、他のサービスを提供する種々のサーバがメッセージサーバとして用いられてもよい。例えば、メッセージサーバとして、SMS(Short Message Service)を提供するSMSサーバ、チャットサービスを提供するチャットサーバ、又はSNS(Social Networking Service)を提供するSNSサーバなどが用いられ得る。
【0020】
(ユーザ端末1の構成)
続いて、
図2を参照して、ユーザ端末1の構成について説明する。
図2は、ユーザ端末1の機能的な構成を示すブロック図である。ユーザ端末1は、センサ部10、記憶部20、制御部30、通信部40、及び位置検出部50を備えている。
【0021】
ユーザ端末1は、図示しない構成としてプロセッサ及びメモリ(半導体メモリ等)を備えている。半導体メモリ等の記憶装置で構成された記憶部20には、本実施形態にかかる処理が実装されたコンピュータプログラムが記憶されている。プロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをメモリへ読み込ませ、当該コンピュータプログラムを実行することで、ユーザ端末1の各種機能を実現できる。例えば、プロセッサとメモリの組み合わせにより、制御部30が備える各種機能、すなわち、センサ情報取得部31、イベント情報取得部32、端末位置情報取得部33、故障予測部34、特定部36、及び送信制御部37としての機能を実現する。
【0022】
または、制御部30が備える各種機能は、それぞれが専用のハードウエアで実現されていてもよい。また、各装置の各構成要素の一部又は全部は、汎用又は専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)、量子プロセッサ(量子コンピュータ制御チップ)等を用いることができる。
【0023】
また、ユーザ端末1の各構成要素の一部又は全部が複数の情報処理装置や回路等により実現される場合には、複数の情報処理装置や回路等は、集中配置されてもよいし、分散配置されてもよい。例えば、情報処理装置や回路等は、クライアントサーバシステム、クラウドコンピューティングシステム等、各々が通信ネットワークを介して接続される形態として実現されてもよい。
【0024】
センサ部10は、ユーザ端末1の外部環境の変化を検出するセンサを1つ以上含む。ここでは、センサ部10は、加速度センサ11、磁気センサ12、温度・湿度センサ13、及び圧力センサ14を備えているが、センサ部10の構成は、これらに限定されるものではない。センサ部10は、複数種類のセンサを備えている必要はなく、少なくとも1つのセンサを備えていればよい。例えば、センサ部10は、加速度センサ11のみを備えていてもよい。加速度センサ11、磁気センサ12、温度・湿度センサ13、及び圧力センサ14のそれぞれは、検出結果を制御部30に出力する。
【0025】
加速度センサ11は、ユーザ端末1の加速度を検出する。加速度センサ11は、例えば、ユーザ端末1本体のX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向のそれぞれにおける加速度を検出する。加速度センサ11は、検出した加速度を、センサ情報として制御部30に出力する。加速度センサ11は、ユーザ端末1の落下を検出した場合、ユーザ端末1が落下状態であることを示すセンサ情報を制御部30に出力する。例えば、加速度センサ11は、加速度の値が所定値以上となった場合、あるいは加速度が急激に変化した場合に、落下状態の開始を検出し、センサ情報として出力する。例えば、加速度センサ11は、加速度の単位時間当たりの変化量が所定値以上となった場合に、落下状態の開始を検出し、センサ情報として出力する。
【0026】
また例えば、加速度センサ11は、ユーザ端末1が自由落下状態であることを検出する。自由落下状態とは、ユーザ端末1が重力の働きのみによって落下している状態である。この状態において、加速度センサ11の出力は基本的に「0」となる。このため、加速度センサ11は基本的には、出力が「0」になるタイミングを検出することにより、自由落下状態の開始を検出することができる。もちろん、加速度センサ11の誤差や製品の特性を考慮して、加速度センサ11の出力が所定の範囲になった場合に、自由落下状態を検出してもよい。
【0027】
また例えば、加速度センサ11は、加速度の変化に基づいて、落下状態が終了したことを示すセンサ情報を制御部30に出力する。例えば、ユーザ端末1が落下して、床や地面に衝突した場合、大きな衝撃(すなわち大きな加速度)が発生するため、これを検出することにより、落下状態の終了を検出することができる。これにより、制御部30では、落下状態の開始タイミングと終了タイミングとを取得することができる。なお、加速度センサ11は、落下状態の開始からの経過時間、つまり落下状態の継続時間を計測して、センサ情報として制御部30に出力してもよい。
【0028】
磁気センサ12は、ユーザ端末1の周囲の磁界の強度を検出する。温度・湿度センサ13は、ユーザ端末1の周囲の温度及び湿度を検出する。圧力センサ14は、ユーザ端末1に加えられた圧力を検出する。
【0029】
上述したセンサ部10は一例であるので、センサ部10は、他のセンサを備えてもよい。例えば、センサ部10は、ユーザ端末1が水没したことを検出する水没センサ(水分検出センサ)を含んでもよい。
【0030】
記憶部20は、半導体メモリ等で構成されており、各種のデータ及びプログラムを記憶する。記憶部20の少なくとも一部は、ユーザ端末1の電源を切ってもデータが保持されるように、不揮発性のメモリで構成されている。特に、記憶部20はイベント情報21を記憶する。イベント情報21は、ユーザ端末1のユーザが参加するイベントに関する情報である。イベント情報21は、イベントごとに、日時と関係者の連絡先とが対応付けられている。イベント情報21は、イベントの場所がさらに関連付けられてもよい。
【0031】
なお、ここではイベント情報21を記憶部20に記憶する構成を用いて説明するが、イベント情報21は、ユーザ端末1以外の装置に記憶されてもよい。例えば、クラウドコンピューティングシステムを利用する場合、クラウド上に記憶されたイベント情報21を、ユーザ端末1が取得する構成としてもよい。
【0032】
ここで、
図3を参照して、イベント情報21について説明する。
図3は、イベント情報21の一例を示す図である。本図に示すように、イベント情報21は、ID210、イベント日時211、イベント種別212、イベント名213、イベント場所214、第1関係者215、第1連絡先216、第2関係者217、第2連絡先218、予備端末の有無219、及び予備連絡先220の項目(フィールド)を含む。イベント情報21は、ユーザがユーザ端末1を操作して作成してもよいし、後述するように一部の項目については、制御部30が自動的に設定してもよい。なお、
図3は記憶部20に記憶されるイベント情報21の一例であり、ユーザ端末1は1人のユーザによって使用される(複数のユーザが使用しない)ことを想定しているため、イベント情報21は、イベントに参加するユーザ(イベントに係るユーザ)を識別するためのユーザIDを含んでいない。ただし、これに限定されるものではなく、クラウド上などに記憶されたイベント情報21は、もちろんユーザを識別するためのユーザID、あるいはユーザが使用する端末を識別するための端末IDを含んでいてよい。
【0033】
ID210は、イベントを識別するための情報(識別情報)であり、イベントIDとも呼ばれる。イベント日時211は、イベントが開始される日時を示している。例えば、「2023/1/1 10:00」は、「2023年1月1日 10時00分」を示す。
【0034】
イベント種別212は、イベントの種別を示している。イベント種別212は、イベントが「リアル」であるか、又は「オンライン」であるか、を示す情報を含み得る。リアルイベントは、所定のイベント会場に参加者を集めて開催されるイベントを示している。ユーザは、イベント会場に赴いてイベントに参加する。リアルイベントは、例えば、コンサートなどである。オンラインで開催されるオンラインイベントに対し、リアルイベントは、オフラインで開催されるイベントであるといえる。なお、イベント種別は「リアル」と「オンライン」に限定されるものではない。例えば、「ビジネス」、「家族」、「趣味」といったイベント種別を用いてもよい。
【0035】
ユーザは、リアルイベントに参加する場合、ユーザ端末1を、関係者への連絡手段として用い得る。よって、ユーザ端末1が故障した場合、ユーザは関係者と連絡を取ることができなくなるおそれがある。
【0036】
リアルイベントに対し、オンラインイベントは、インターネットや専用回線などを用いて、オンラインで開催されるイベントを示している。オンラインイベントは、参加者を所定のイベント会場に集めることなく開催され得る。参加者は、自身が使用するPCなどの端末装置を用いて、任意の場所からオンラインイベントに参加することができる。オンラインイベントは、例えば、Web会議などである。
【0037】
ユーザは、ユーザ端末1を用いてオンラインイベントに参加する場合、ユーザ端末1の故障により、イベントへの参加ができなくなる。但し、ユーザが予備の端末装置を使用可能な場合、ユーザはイベントに参加することができる。
【0038】
イベント名213は、イベントの名称を示している。イベント場所214は、ユーザがイベントに参加する場所を示している。イベント種別212がリアルイベントの場合、イベント場所214(イベントの場所)は、イベントの開催場所あるいは関係者との待ち合わせ場所である。イベント種別212がオンラインイベントの場合、イベント場所214は、ユーザがオンラインイベントに参加する予定の場所(例えば、「自宅」等)である。
【0039】
なお、
図3では省略しているが、イベント情報21は、オンラインイベントの場合、オンラインイベントに参加するためのURL等を、イベントと対応付けて、さらに記録してもよい。
【0040】
第1関係者215は、イベントの第1の関係者を示している。第1連絡先216は、第1関係者215の連絡先を示している。第1連絡先216は、例えば、通知情報の宛先を示すメールアドレスである。第1連絡先216は、電話番号などであってもよいし、SNSのアカウント情報であってもよい。第2関係者217は、第1関係者215とは異なるイベントの関係者を示している。第2連絡先218は、第2関係者217の連絡先を示している。
【0041】
なお、本図に示す例では、イベント情報21は、第1関係者と第2関係者とを含んでいるが、もちろんこれに限定されるものではない。イベント情報21は、任意の数の関係者及び連絡先を含んでもよい。また、イベントごとに異なる数の関係者及び連絡先を記憶できるようにしてもよい。また、本図において、関係者及び連絡先が存在しない場合には、その旨が「NULL」で示されている。
【0042】
予備端末の有無219は、ユーザ端末1以外にイベント参加可能な予備端末が存在するか否かを示す情報である。ユーザがイベント情報21を作成する際に、ユーザ端末1を操作して、予備端末の有無219を設定してもよい。また制御部30が、イベント場所に応じて、予備端末の有無219を自動的に設定してもよい。例えば、制御部30は、イベント場所が「自宅」あるいは「職場」である場合には、予備端末の有無219を「有」に設定し、それ以外の場所では「無」に設定してもよい。これは、「自宅」あるいは「職場」においては、ユーザ端末1以外にユーザが使用可能な予備端末がある可能性が高く、それ以外の場所(外出先など)では予備端末がない可能性が高いという知見に基づく処理である。換言すれば、イベント場所が所定の場所である場合に、予備端末の有無219を「有」に設定し、それ以外の場所では「無」に設定してもよい。予備連絡先220は、通常は公開していない、ユーザの連絡先である。本実施形態では、連絡先として電子メールアドレスを用いるが、これに限定される訳ではなく、電話番号やSNSのアカウント情報などを用いてもよい。なお、イベント種別212、イベント名213、イベント場所214、予備端末の有無219、及び、予備連絡先220の項目は、省略することも可能である。
【0043】
図2に戻り説明を続ける。制御部30は、本実施形態にかかる通知制御処理を行う通知制御装置として機能する。本実施形態では、ユーザ端末1が制御部30を備える構成を用いるが、これに限られない。他の装置が制御部30の構成を備えるようにしてもよい。例えば、所定の情報処理サーバが制御部30の機能を有していてもよい。例えば、メールサーバ5が本実施形態にかかる制御部30に対応する機能を備えていてもよい。
【0044】
制御部30は、センサ情報取得部31、イベント情報取得部32、端末位置情報取得部33、故障予測部34、特定部36、及び送信制御部37を備えている。
【0045】
センサ情報取得部31は、ユーザ端末1が備えるセンサ部10において検出されたセンサ情報を取得する。本実施形態では、センサ情報取得部31は、加速度センサ11、磁気センサ12、温度・湿度センサ13、及び圧力センサ14のそれぞれからセンサ情報を取得する。例えば、センサ情報取得部31は、ユーザ端末1の落下状態に関する情報を、センサ情報として、加速度センサ11から取得する。
【0046】
イベント情報取得部32は、イベントの日時と、イベントの関係者の連絡先と、が少なくとも関連付けられたイベント情報21を取得する。イベント情報取得部32は、記憶部20を参照してイベント情報21を取得してもよいし、ネットワークNを介して、他の装置からイベント情報21を取得してもよい。また、イベント情報21に複数のユーザの情報が含まれている場合(複数のユーザIDが含まれている場合)には、イベント情報取得部32は、ユーザ端末1のユーザが参加するイベントの情報のみを取得すればよい。すなわち、イベント情報取得部32は、ユーザ端末1のユーザが係るイベントの情報を取得する。
【0047】
端末位置情報取得部33は、ユーザ端末1の位置を示す端末位置情報を、位置検出部50から取得する。端末位置情報取得部33は、所定の時間間隔で端末位置情報を取得してもよい。
【0048】
故障予測部34は、センサ情報取得部31で取得されたセンサ情報に基づいて、ユーザ端末1の故障予測を行う。故障予測は、センサ情報に基づいて、ユーザ端末1が故障する可能性があることを予測するものである。
【0049】
故障予測部34は、例えば、加速度センサ11で検出されたユーザ端末1の落下に関する情報を用いて、ユーザ端末1の故障予測を行う。故障予測部34は、加速度センサ11でユーザ端末1の落下状態が検出された場合、落下状態の継続時間を計測する。
【0050】
落下状態は、例えば、ユーザ端末1が自由落下している状態を含む。例えば、故障予測部34は、図示しないタイマを用いて、落下状態が検出されたタイミングから、落下状態の終了が検出されたタイミングまでの時間を計測してもよい。制御部30がタイマを備えていてよいし、センサ部10がタイマを備えていてもよい。また例えば、故障予測部34は、落下状態の開始のタイミング(開始時点)からの継続時間を計測してもよい。この場合、加速度センサ11および故障予測部34は、落下状態の終了を検出しなくてもよく、落下の継続時間が所定の時間(所定の閾値)を超えたことを検出すればよい。故障予測部34は、加速度センサ11から、落下の継続時間の情報をセンサ情報として取得してもよい。
【0051】
故障予測部34は、落下状態の継続時間が所定の閾値以上であるか否かを判定し、判定結果に基づいて、ユーザ端末1の故障を予測する。落下状態の継続時間が長い場合、ユーザ端末1が床や地面に衝突した際の衝撃が大きいと予想され、ユーザ端末1が故障する可能性が高いと予想される。一方、落下状態の継続時間が短い場合、ユーザ端末1が床や地面に衝突した際の衝撃が小さいと予想され、ユーザ端末1が故障する可能性は低いと予想される。このため、所定の閾値を適切な値に設定することにより、ユーザ端末1が故障する可能性を適切に判定することができる。所定の閾値は、固定されてもよいし、適宜変更されてもよい。
【0052】
具体的には、過去又は現在においてセンサ部10において検出されたセンサ情報に応じて、所定の閾値を変更してもよい。例えば、過去において加速度センサ11で検出された最大加速度あるいは圧力センサ14で検出された最大圧力が大きいほど、所定の閾値を低い値(小さい値)にしてもよい。
【0053】
また例えば、過去において加速度センサ11で所定値以上の加速度が検出された回数、あるいは圧力センサで所定値以上の圧力が検出された回数が多いほど、所定の閾値を低い値(小さい値)にしてもよい。これらは、過去に大きな加速度や圧力が加えられたり、頻繁に加速度や圧力が加えられたユーザ端末1は、その影響がユーザ端末1の内部に残っている可能性があり、小さな衝撃でも故障する可能性が高いという知見に基づく処理である。なお、ここでの過去とは、過去の所定期間(例えば、直近の3か月)であってもよいし、期間を定めない過去であってもよい。
【0054】
また例えば、現在の温度・湿度センサ13で検出された温度が所定の温度範囲(例えば、ユーザ端末1の動作温度範囲)を超えている場合に、所定の閾値を低い値にしてもよい。これは、現在の温度が所定の温度範囲を超えている場合には、それだけでユーザ端末1にかかる負荷が大きくなっており、、小さな衝撃でも故障する可能性が高いという知見に基づく処理である。
【0055】
さらに温度・湿度センサ13の過去のセンサ情報に基づいて所定の閾値を設定してもよい。例えば、温度・湿度センサ13において過去に所定の温度範囲(例えば、ユーザ端末1の動作温度範囲)を超えた温度が検出された回数が多いほど、所定の閾値を低い値にしてもよい。これは、過去に所定の温度範囲を超えた回数が多い場合には、ユーザ端末1内部の部品が劣化している可能性が高いため、小さな衝撃でも故障する可能性が高いという知見に基づく処理である。また例えば、過去に検出された最高温度が高いほど、あるいは過去に検出された最低温度が低いほど、所定の閾値を低い値にしてもよい。これは、過去に高い温度あるいは低い温度が検出された場合には、ユーザ端末1内部の部品が劣化している可能性が高いため、小さな衝撃でも故障する可能性が高いという知見に基づく処理である。
【0056】
物体の落下時間は、落下する高さ及び重力加速度から求めることができる。例えば、ユーザ端末1が1mの高さから地面に自由落下した場合、ユーザ端末1の落下時間は、およそ0.45秒である。故障予測部34は、当該秒数が考慮された閾値を用いて故障予測を行い得る。落下状態の継続時間が所定の閾値以上である場合、故障予測部34は、ユーザ端末1が故障する可能性があると予測する。例えば、ユーザ端末1が1mないし1.5mの高さから落下した場合の落下時間を所定の閾値とし、それ以上の継続時間が検出された場合に、ユーザ端末1が故障する可能性があると予測してもよい。
【0057】
落下状態の継続時間が長い場合、ユーザ端末1が高い場所から落下している可能性が高い。この場合、ユーザ端末1が床等に衝突した際の衝撃が大きいことが想定されるので、故障予測部34は、ユーザ端末1が故障する可能性が高いと予測することができる。
【0058】
また、故障予測部34は、磁気センサ12、温度・湿度センサ13、又は圧力センサ14で検出されたセンサ情報に基づいて、ユーザ端末1の故障を予測する。例えば、故障予測部34は、磁気、温度、湿度(水分)、又は圧力に基づいて、ユーザ端末1の故障を予測する。
【0059】
故障予測部34は、それぞれのセンサで取得された物理量を用いて故障を予測する。故障予測部34は、あらかじめ設定された閾値を用いて故障を予測し得る。例えば、故障予測部34は、温度・湿度センサ13で検出されたユーザ端末1の温度や湿度が所定の閾値以上である場合、あるいは温度や湿度が所定の閾値以下である場合、ユーザ端末1の故障を予測する。同様に、磁気センサ12で検出された磁気の強さが所定の閾値以上であった場合や、圧力センサ14で検出した圧力が所定の閾値以上であった場合、ユーザ端末1の故障を予測する。
【0060】
特定部36は、故障予測部34においてユーザ端末1の故障が予測された場合、イベント情報21を参照し、ユーザ端末1が故障した場合に影響を受ける可能性の高いイベントを処理対象のイベントとして抽出する。具体的には、故障予測がなされた以降に開催予定のイベントを抽出する。例えば、特定部36は、故障予測がなされた時点以降に開催予定のイベントを全て(期限を定めずに)抽出してもよい。また例えば、特定部36は、故障予測がなされた時点から所定の対象期間(例えば、24時間)内に開催予定のイベントを抽出する。これは、ユーザ端末1が故障した場合、故障直後に開催されるイベントの関係者に対してユーザが連絡できない可能性が高いため、関係者に与える影響が大きいと予測されるという知見に基づく処理である。また、故障直後に開催されるイベントに関しては、ユーザ端末1の代わりの端末をユーザが用意できる可能性が低い(時間的な余裕がない)ため、ユーザがオンラインイベント等に参加できない可能性が高いという知見に基づく処理である。また、特定部36は、抽出したイベントの関係者の連絡先を、故障予測に関する通知情報の送信先として特定する。
【0061】
上述した
図3の例を用いて具体的に説明する。例えば、2023年1月1日の9時30分に、故障予測部34がユーザ端末1の故障を予測したとする。この場合、特定部36は、故障予測がなされてから24時間以内に開催予定であるID「1」のイベントを抽出する。
【0062】
特定部36は、抽出したID「1」のイベントに対応付けられた関係者の連絡先を、通知情報の送信先として特定する。ID「1」のイベントには、第1関係者である「A氏」の連絡先として「aaa@xxx.xx」が設定されている。特定部36は、当該連絡先を、通知情報の送信先として特定する。第2関係者が設定されている場合、特定部36は、第2関係者の連絡先を、送信先としてさらに特定してもよい。このようにして、特定部36は、イベントごとに、通知情報の送信先を特定する。
【0063】
また、特定部36は、故障予測部34においてユーザ端末1の故障が予測された場合、イベントの場所を加味して、処理対象のイベントを抽出してもよい。具体的には、特定部36は、イベント情報21を参照し、故障予測がなされた以降に開催予定のイベントであり、かつ、イベントの場所がユーザ端末1の位置から所定の範囲外であるイベントを抽出する。特定部36は、抽出したイベントの関係者の連絡先を通知情報の送信先として特定するようにしてもよい。なお、ユーザ端末1の位置から所定の範囲内を「所定の場所」と言い換えることもできるので、特定部36は、故障予測がなされた以降に開催予定のイベントであり、かつ、イベントの場所が所定の場所以外のイベントを抽出するともいえる。
【0064】
またこの場合、特定部36は、イベント種別が「リアル」であるか、又は「オンライン」であるか、の情報を加味してもよい。特定部36は、イベント種別が「リアル」であり、かつ、ユーザ端末1の位置がイベントの場所から所定の距離以内である場合、処理対象のイベントとして抽出しない。このようにすることで、ユーザが開催間近のリアルイベントの会場近くまで移動している場合、送信制御部37において、関係者に通知情報を送信しないようにすることができる。これは、ユーザ端末1の故障により、ユーザが電話や電子メール等の通信手段を使えない場合であっても、ユーザが予定通りイベント会場に到着する可能性が高いためである。このような場合、ユーザが関係者と連絡が取れない状況であっても、関係者に影響を与える可能性は低いことが想定される。
【0065】
また、特定部36は、予備端末の有無に応じて、処理対象のイベントを抽出してもよい。例えば、特定部36は、予備端末の有無が「無」又は「NULL」に設定されている場合のみ、処理対象のイベントとして抽出する。これにより、予備端末が存在する場合には、送信制御部37において、関係者に通知情報を送信しないようにすることができる。これは、予備端末が存在する場合には、ユーザが予定通りイベントに参加できる可能性が高いためである。なお、上述したように、イベント場所が「自宅」あるいは「職場」等の所定の場所以外であるイベントについて、予備端末を「無」と自動的に設定する処理を行った場合、特定部36は、故障予測がなされた以降に開催予定のイベントであり、かつ、イベントの場所が所定の場所以外のイベントを抽出するともいえる。
【0066】
さらに、特定部36は、イベント種別及び予備端末の有無に応じて処理対象のイベントを抽出してもよい。例えば、特定部36は、イベント種別が「オンライン」であり、かつ、予備端末の有無が「無」又は「NULL」に設定されている場合のみ、処理対象のイベントとして抽出する。これは、特にオンラインイベントにおいて、予備端末が存在する場合にはユーザがイベントに参加できる可能性が高く、予備端末が存在しない場合にはユーザがイベントに参加できない可能性が高いためである。
【0067】
またさらに、イベントに設定されている関係者に応じて処理対象のイベントを抽出してもよい。具体的には、記憶部20に関係者(人物)ごとの重要度を記憶させておく。例えば、関係者(人物)のメールアドレス等に関連付けて(紐づけて)、「1」(非常に重要でない)、「2」(やや重要でない)、「3」(普通)、「4」(やや重要)、「5」(非常に重要)といった重要度を記憶部20に記憶させておく。重要度は、ユーザがユーザ端末1を操作して、例えばアドレス帳の管理の一環として、あらかじめ登録しておけばよい。そして特定部36は、記憶部20を参照し、重要度が所定の閾値(例えば、「3」)以上の人物が関係者として設定されているイベントを処理対象のイベントとして抽出する。また同様に、ユーザがイベントごとにイベントの重要度を設定し、それをイベント情報21に含めておいてもよい。すなわち、イベント情報21において、イベントIDとイベントの重要度とを関連付けて記憶させてもよい。そして特定部36は、記憶部20を参照し、重要度が所定の閾値以上のイベントを処理対象のイベントとして抽出してもよい。
【0068】
図2に戻り説明を続ける。送信制御部37は、送信先に対する通知情報の送信を制御する。通知情報は、例えば、関係者が使用する関係者端末3に送信する電子メールである。通知情報は、SMSやチャットサービスやSNSにおけるメッセージであってもよい。送信制御部37は、通知情報を作成し、通信部40に対してメール送信を指示する。
【0069】
ここで、
図4を参照して、通知情報について説明する。
図4は、通知情報の一例である故障予測通知310を示す図である。故障予測通知310は、例えば、関係者端末3が備える表示部に表示される。
【0070】
本図に示すように、故障予測通知310は、タイトル311、通知文312、故障予測日時313、故障予測内容314、予測場所位置情報315、予測場所地図情報316、イベント種別317、イベント名318、イベント場所319、予備端末の有無320、及び予備連絡先321の項目を含んでいる。
【0071】
タイトル311は、メールタイトルであり、故障予測の通知であることを示している。通知文312は、故障予測を通知する旨を示すメッセージである。通知文312は、定型文が用いられ得る。
【0072】
故障予測日時313は、故障予測が行われた日時を示している。故障予測日時313は、例えば、故障予測部34において、落下状態の継続時間が所定の閾値以上となったタイミングの日付及び時刻である。故障予測日時313は、ユーザ端末1が備える図示しない時計機能から取得され得る。
【0073】
故障予測内容314は、故障の可能性が高いと判定した理由を示している。例えば、故障予測内容314は、閾値を超えて検出された物理量などを示す。具体的には、故障予測内容314は、長時間の落下、強い磁気、高温度、高湿度、高圧力、又は強い衝撃などである。なお故障予測内容314は省略してもよい。例えば、ユーザが故障予測内容314を関係者に知らせたくない場合には、ユーザ端末1を操作して、あらかじめ故障予測内容314を故障予測通知310に含めない設定を行い、その情報を記憶部20に記憶しておいてもよい。またさらに、ユーザがユーザ端末1を操作して、故障予測通知310に含める項目を任意に選択し、その情報を記憶部20に記憶しておいてもよい。送信制御部37は、記憶部20を参照し、ユーザにより選択された項目で構成される通知情報を作成してよい。
【0074】
予測場所位置情報315は、故障予測時点におけるユーザ端末1の位置情報、例えば緯度、経度を示している。予測場所位置情報315は、位置検出部50において取得される。もちろん、予測場所位置情報315は、緯度、経度に限らず、住所表示であったり、ランドマーク(例えば、最寄り駅)からの方角と距離であってもよい。予測場所地図情報316は、予測場所位置情報315で示される位置の周囲の地図画像を示している。予測場所地図情報316は、ユーザ端末1が備える地図機能などから取得され得る。予測場所地図情報316は、地図画像を提供するサーバなどのような、ユーザ端末1以外の装置から取得されてもよい。
【0075】
イベント種別317、イベント名318、イベント場所319、予備端末の有無320、及び予備連絡先321は、イベント情報21のイベント種別212、イベント名213、イベント場所214、予備端末の有無219、及び予備連絡先220にそれぞれ対応する。
【0076】
なお、上述した故障予測通知310は通知情報の一例である。予測場所位置情報315、予測場所地図情報316、イベント種別317、イベント名318、イベント場所319、予備端末の有無320、及び予備端末の有無320の項目は、省略することも可能である。
【0077】
図2に戻り説明を続ける。通信部40は、関係者端末3との間、及びメールサーバ5との間で通信を行う。通信部40は、有線又は無線により通信を行うための通信インタフェースであってよい。通信部40は、送信制御部37から指示された宛先及び内容を含む通知情報を、メールサーバ5に対して送信する。
【0078】
位置検出部50は、ユーザ端末1の位置を検出する。位置検出部50は、検出された位置を示す端末位置情報を制御部30に出力する。位置検出部50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の技術を用いて測位を行う。位置検出部50は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信機等で構成され得る。また例えば、ユーザ端末1の周囲にある無線LANのアクセスポイントの情報を用いて位置を検出してもよい。なお、ユーザ端末1は、位置検出部50を備えない構成であってもよい。
【0079】
(ユーザ端末1の処理)
続いて、
図5及び
図6を参照して、ユーザ端末1が行う処理を説明する。
図5は、加速度センサ11の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1が行う処理を示すフローチャートである。
図6は、加速度センサ11以外のセンサの検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1が行う処理を示すフローチャートである。
【0080】
(加速度センサ11における検出結果を用いる場合)
まず、
図5を参照して、加速度センサ11の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1が行う処理を説明する。
【0081】
ステップS1において、加速度センサ11は、ユーザ端末1の落下状態を検出する。加速度センサ11は、例えば、その出力値が「0」の状態を検出することにより、ユーザ端末1の自由落下状態を検出することができる。また例えば、加速度センサ11は、加速度の値あるいは加速度の変化量が所定の閾値を超えた状態を検出することにより、ユーザ端末1の落下状態の開始及び終了を検出できる。加速度センサ11は、ユーザ端末1の落下状態を検出した場合に、その旨を制御部30へ通知する。センサ情報取得部31は、ユーザ端末1が落下状態である旨の通知をセンサ情報として取得する。
【0082】
ステップS2において、故障予測部34は、加速度センサ11から取得された落下状態の通知を基に、落下状態の継続時間(落下状態の開始が検出された時点からの経過時間)が所定の閾値以上であるか否かを判定する。これにより、故障予測部34は、ユーザ端末1の故障予測を行う。落下状態の継続時間が閾値以上である場合(S2:Yes)、ステップS3へ進む。落下状態の継続時間が閾値未満である場合(S2:No)はステップS1に戻り処理を繰り返す。
【0083】
ステップS3において、イベント情報取得部32は、ユーザ端末1の故障により影響を受ける可能性の高いイベント情報を取得する。具体的には、イベント情報取得部32は、故障予測がなされた時点以降に開催予定のイベント、あるいは故障予測がなされた時点から、あらかじめ設定した所定の対象期間(例えば、24時間)以内に開催予定のイベントのイベント情報21を記憶部20から取得する。なお上述したように、イベント情報21に複数のユーザの情報が含まれる場合には、イベント情報取得部32は、ユーザ端末1のユーザが係るイベントの情報を取得する。上述したように、イベント情報21は、少なくとも、イベントの日時と、イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられている。ただし、ステップS3においては、イベント日時を限定せずに全てのイベント情報を取得し、ステップS4において特定部36が、故障により影響を受ける可能性の高いイベントを抽出してもよい。
【0084】
ステップS4において、特定部36は、処理対象のイベントを抽出(特定)する。具体的には、特定部36は、ステップS3において取得されたイベント情報のうち、少なくとも1人の関係者が設定されているイベントを処理対象とする。なお、「関係者が設定されている」という条件の他に、さらに別の条件を加えて処理対象のイベントを抽出してもよい。説明を簡潔にするために、以下のステップS4に関する説明においては、「関係者が設定されている」という条件を省略する。
【0085】
特定部36は、イベントの場所を加味して、処理対象のイベントを抽出(特定)してもよい。具体的には、特定部36は、故障予測がなされた以降に開催予定のイベントであり、かつ、イベントの場所がユーザ端末1の位置から所定の範囲外であるイベントを抽出する。またこの場合、特定部36は、イベント種別が「リアル」であるか、又は「オンライン」であるか、の情報を加味してもよい。特定部36は、イベント種別が「リアル」であり、かつ、ユーザ端末1の位置がイベントの場所から所定の距離以内である場合、処理対象のイベントとして抽出しない処理を行ってもよい。
【0086】
さらに、特定部36は、予備端末の有無に応じて、処理対象のイベントを抽出(特定)してもよい。例えば、特定部36は、予備端末の有無が「無」又は「NULL」に設定されている場合のみ、処理対象のイベントとして抽出するようにしてもよい。また上述したように、特定部36は、イベントの関係者に対して設定された重要度に応じて、処理対象のイベントを抽出(特定)してもよい。例えば、特定部36は、重要度が所定の閾値(例えば、「3」)以上の人物が関係者として設定されているイベントを処理対象のイベントとして抽出してもよい。また例えば、特定部36は、重要度が所定の閾値(例えば、「3」)以上のイベントを処理対象のイベントとして抽出してもよい。
【0087】
ステップS5において、特定部36は、ステップS4において抽出された処理対象のイベントの関係者の連絡先を、故障予測に関する通知情報の送信先として特定する。1つのイベントに対して複数の関係者が設定されている場合、特定部36は、複数の関係者のそれぞれに対応する送信先を特定する。また、ステップS4において抽出された処理対象のイベントが複数ある場合、特定部36は、複数のイベントのそれぞれに対応する関係者を、通知情報の送信先として特定する。
【0088】
ステップS6において、送信制御部37は、通知情報を作成し、通信部40へ通知を指示する。ここでは、送信制御部37は、
図4に示される故障予測通知310のような電子メールを通知情報として作成する。これに限らず、通知情報は、SMSやチャットサービスにおけるメッセージであってもよい。複数の送信先が特定された場合、送信制御部37は、それぞれの送信先に対する通知を指示する。
【0089】
通信部40は、送信制御部37からの指示を受けて、故障予測通知310をメールサーバ5に送信する。これにより、メールサーバ5は、故障予測通知310を関係者端末3に送信する。関係者は、関係者端末3の表示部に表示された故障予測通知310を視認することで、ユーザ端末1がイベントに参加できない可能性があることを把握することができる。
【0090】
このように、
図5に示す処理によれば、センサ部10がユーザ端末1の落下状態を検出し、制御部30が故障予測通知310の送信先を特定し、通信部40がメールサーバ5に通知を指示する。これにより、ユーザ端末1が床等に衝突して故障する前に、通信部40が故障予測通知310を送信できる可能性を高めることができる。つまり、ユーザ端末1の故障により、故障予測通知310が送信できなくなるリスクを低減することができる。
【0091】
(加速度センサ11以外のセンサにおける検出結果を用いる場合)
続いて、
図6を参照して、加速度センサ11以外の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1が行う処理を説明する。ユーザ端末1は、センサ部10で検出された磁気、温度、湿度、圧力、又は衝撃などのセンサ情報を用いて故障を予測する。ユーザ端末1は、検出されたこれらの物理量のうち、少なくとも1つを用いて、落下状態以外の状態を検出して故障予測を行う。
【0092】
ステップS11において、センサ情報取得部31は、各種センサで検出されたセンサ情報を取得する。ここでは、センサ情報取得部31は、加速度センサ11、磁気センサ12、温度・湿度センサ13、及び圧力センサ14で検出された加速度、磁気、温度、湿度、及び圧力をそれぞれ取得することとする。例えば、センサ情報取得部31は、加速度センサ11で検出された瞬間的な衝撃に対応する物理量を示す値などを取得する。
【0093】
ステップS12において、故障予測部34は、センサ情報取得部31で取得されたそれぞれの値が、あらかじめ設定された所定の範囲を超えるか否かを判定する。例えば、温度が第1の値以上かつ第2の値以下(ただし、第1の値<第2の値)範囲を所定の範囲として設定した場合、温度が第1の値未満である場合、あるいは温度が第2の値より高い場合に所定の範囲を超えると判定される。所定の範囲は、センサ情報の種類(物理量)に応じてそれぞれ設定され得る。1つでも所定の範囲を超える値がある場合、ステップS13へ進む。
【0094】
ステップS13~S16は、
図5におけるステップS3~S6と同様であるので説明を省略する。
【0095】
このように、
図6に示す処理によれば、ユーザ端末1は、故障予測部34において、センサ部10が備える各種センサで取得されたセンサ情報を用いて故障予測を行う。これにより、落下に限らず、他の要因でユーザ端末1が故障する可能性が高い場合にも、送信先を特定し、故障予測通知310を送信することができる。また、例えば、温度・湿度センサ13を用いて温度を検出することにより、故障予測部34は、高温や低温のためにユーザ端末1が故障する可能性を予測し、その可能性が高い場合に故障予測通知310を送信することができる。
【0096】
以上説明したように、本実施形態にかかる故障通知システム100では、ユーザ端末1は、センサ部10で検出されたセンサ情報に基づいて、ユーザ端末1が故障する可能性が高いか否かを判定する故障予測を行うことができる。また、ユーザ端末1が故障する可能性が高い場合に、ユーザ端末1は、ユーザが参加する予定のイベントのうち、故障により影響を受ける可能性が高いイベントを抽出し、そのイベントの関係者を通知情報の送信先として特定する。ユーザ端末1は、特定された送信先に対し、ユーザがイベントに参加できない可能性を示す通知情報を送信するので、イベントの関係者の不便を軽減することができる。
【0097】
このような構成により、本実施形態にかかる故障通知システム100によれば、ユーザ端末1の故障が予測された場合に、イベントの関係者に対して適切に通知を行うことができる。
【0098】
<実施形態2>
続いて、実施形態2について説明する。実施形態1にかかる故障通知システム100は、落下などによりユーザ端末1が故障すると予測された場合、関係者の連絡先に対して直ちに通知情報を送信する構成を備えていた。
【0099】
しかしながら、故障を予測した際に通知を送信した後、ユーザ端末1の故障が起きない可能性がある。つまり、実施形態1では、本来送信する必要のない通知情報を関係者に送信してしまう可能性がある。
【0100】
本実施形態にかかる故障通知システム100aは、電子メールの予約機能を用いて、電子メールの送信予約を行う。電子メールの予約機能とは、電子メールの送信日時を指定することで、その日時に電子メールを自動送信する機能である。故障通知システム100aは、予約機能を用いることで、故障予測がなされた後、実際に故障が発生したか否かに応じて、関係者への通知情報の送信を制御することができる。
【0101】
図7は、本実施形態にかかる故障通知システム100aの構成を示すブロック図である。故障通知システム100aは、ユーザ端末1a、関係者端末3、及びメールサーバ5aを備えている。故障通知システム100aの構成は、
図1に示される故障通知システム100と概ね同様である。以下では、故障通知システム100と異なる点を中心に説明し、重複する点については適宜説明を省略する。
【0102】
メールサーバ5aは、電子メールの送信予約を行う機能と、送信予約を取り消す機能と、を備えている。例えば、メールサーバ5aは、ユーザ端末1から、通知情報の送信予約を行うための予約情報を受信して、通知情報の送信予約を行う。予約情報は、通知情報や送信先の情報に加え、送信先に通知情報を送信する送信日時の情報を含む。
【0103】
また、メールサーバ5aは、ユーザ端末1aから送信予約を取り消すための予約取消情報を受信して、送信予約を取り消す。予約取消情報は、取り消す対象の予約に関する情報を含む。メールサーバ5aは、送信日時までに予約が取り消されなかった場合、送信先に対して通知情報を送信する。
【0104】
(ユーザ端末1aの構成)
図8を参照して、ユーザ端末1aについて説明する。
図8は、ユーザ端末1aの構成を示すブロック図である。ユーザ端末1aは、
図2に示されるユーザ端末1における制御部30とは構成が異なる制御部30aを備えている。制御部30aは、制御部30の構成に加え、ユーザ端末1aが故障したか否かを判定する故障判定部35をさらに備えている。また、制御部30aは、送信制御部37と構成が異なる送信制御部37aを備えている。
【0105】
故障判定部35は、送信制御部37aが予約情報を送信した後、所定時間(例えば、10分)が経過する前に、ユーザ端末1aが故障したか否かを判定する。所定時間は、あらかじめ設定され得る。また所定時間は、固定されてもよいし、例えば、故障の可能性やイベント開催日時までの期間に応じて変更されてもよい。
【0106】
送信制御部37aは、故障予測がなされた時点から所定時間(例えば、10分)の経過後の送信日時に、通知情報が送信先に送信されるように送信予約を行うための予約情報を通信部40を介して、メールサーバ5aに送信する。ただし可能な限り、送信日時がイベントの開始日時よりも前になるように設定する。また、送信制御部37aは、故障判定部35においてユーザ端末1aが故障していないと判定された場合、送信予約を取り消すための予約取消情報をメールサーバ5aに送信する。
【0107】
具体例を用いて説明する。例えば、所定時間が10分に設定されており、2023年1月1日の9時30分に、故障予測部34がユーザ端末1aの故障を予測したとする。送信制御部37aは、故障予測がなされた同日9時30分の時点において、予約情報をメールサーバ5aに送信する。当該予約情報は、関係者の連絡先である送信先に対し、同日9時40分に通知情報を送信するための指示を含んでいる。
【0108】
故障判定部35は、送信制御部37が予約情報を送信した後、10分が経過する前に、ユーザ端末1aが実際に故障したか否かを判定する。したがって、故障判定部35は、同日9時40分より前に、ユーザ端末1aが故障したか否かを判定する。例えば、故障判定部35は、加速度センサ11のセンサ情報をもとに、落下状態が終了したことを検出したタイミングでユーザ端末1aが実際に故障したか否かを判定する。一般的に、落下状態が継続するのは数秒程度なので、落下後にユーザ端末1が正常に動作している場合、当然ながら9時40分よりも前に判定がなされる。
【0109】
故障判定部35においてユーザ端末1aが故障していると判定された場合、又は、故障しているか否かが判定できない場合(故障により判定処理が実行できない場合)、送信制御部37aは、予約取消情報をメールサーバ5aに送信しない。そのため、メールサーバ5aは、予約情報に従い、同日9時40分に通知情報を送信する。これにより、関係者は、ユーザがイベントに参加できない可能性があることを把握することができる。
【0110】
一方、故障判定部35においてユーザ端末1aが故障していないと判定された場合、送信制御部37aは、送信予約を取り消すための予約取消情報をメールサーバ5aに送信する。これにより、メールサーバ5aは、送信予約を取り消す。そのため、メールサーバ5aは、同日9時40分になっても通知情報を送信しない。これにより、関係者端末3が不要な通知情報を受信することがないので、関係者に不便が生じない。
【0111】
(ユーザ端末1aの処理)
続いて、
図9及び
図10を参照して、ユーザ端末1aが行う処理を説明する。
図9は、加速度センサ11の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1aが行う処理を示すフローチャートである。
図10は、加速度センサ11以外のセンサの検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1aが行う処理を示すフローチャートである。
【0112】
(加速度センサ11における検出結果を用いる場合)
まず、
図9を参照して、加速度センサ11の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1aが行う処理を説明する。ステップS21~S25は、
図5におけるステップS1~S5と同様であるので説明を省略する。
【0113】
ステップS26において、送信制御部37aは、通知情報として故障予測通知310を作成して、電子メールの送信予約の設定を通信部40に指示する。送信制御部37aは、現在時刻(故障を予測した日時)からあらかじめ設定した所定時間経過後の日時を送信日時として設定する。例えば、所定時間を10分とすればよいが、送信制御部37aは、所定時間後の日時がイベント日時よりも前になるように、送信日時を設定する。通信部40は送信日時が設定された予約情報をメールサーバ5aに送信する。
【0114】
ステップS27において、故障判定部35は、落下の検出終了時(落下の終了が検出された後)に、ユーザ端末1aにおいて実際に故障が発生したか否かを判定する。例えば、故障判定部35は、ユーザ端末1aが備える各機能が正常に動作しているか否かを判定する。故障判定部35において、各機能が正常動作しており、故障が発生していないと判定された場合(S27:故障なし)、ステップS28へ進む。
【0115】
また、故障判定部35において、各機能が正常動作しておらず、故障が発生していると判定された場合(S27:故障あり)は、処理を終了する。この場合、メールサーバ5aは、設定された送信日時に故障予測通知310を送信先に送信する。
【0116】
また、ユーザ端末1aが故障したことにより、故障判定部35において故障の判定ができない場合(S27:判定不可)も、故障が発生したと判定された場合と同様に、処理を終了する。
【0117】
ステップS28において、送信制御部37aは、送信予約の取消しを通信部40へ指示する。送信制御部37aは、送信予約を取り消すための予約取消情報を通信部40に送信させる。これにより、メールサーバ5aは、予約取消情報を受信し、送信予約を取り消す。また、故障が発生していないと判定されたため、再びステップS21へ戻り、加速度センサ11を用いて落下状態の検出を続ける。
【0118】
このように、
図9に示す処理によれば、落下が検出された後に、ユーザ端末1aが地面などに衝突した場合であっても、ユーザ端末1aが正常に動作している場合に、通知情報の送信予約を取り消すことができる。これにより、ユーザ端末1aが実際には故障していない場合に、関係者への通知情報を行わないようにすることができるので、故障予測の頻度を維持しつつ、実際の故障の発生状況に応じて、適切な頻度で関係者に通知を行うことができる。
【0119】
また、落下の時間が長いほど落下時の衝撃が強くなり故障する可能性が高くなることが予想できるが、故障の可能性は床や地面の材質等によっても変わるため、故障と判定する閾値を適切に設定することが難しい面がある。
図9に示す処理によれば、
図5に示す処理と同様に、落下状態を検出するため、ユーザ端末1aが故障する前に通知情報を送信する可能性を高めることができる。
【0120】
さらに、故障予測の閾値を低く(小さく)設定しても、故障予測後にユーザ端末1aが正常動作をしていれば、関係者への通知は送信されない。そのため、閾値を低めに設定することで、故障時に通知情報を送信できないリスクを低減し、かつ、非故障時に必要のない通知情報を送信してしまうリスクを低減することができる。
【0121】
(加速度センサ11以外のセンサにおける検出結果を用いる場合)
続いて、
図10を参照して、加速度センサ11以外の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1aが行う処理を説明する。
【0122】
ステップS31~S35は、
図6におけるステップS11~S15と同様であるので説明を省略する。ステップS36において、送信制御部37aは、通知情報として故障予測通知310を作成して、電子メールの送信予約の設定を通信部40に指示する。すなわち、送信制御部37aは、通信部40を介して予約情報を送信する。送信制御部37aは、現在時刻からあらかじめ設定した所定時間経過後の日時を送信日時として設定する。例えば、所定時間を10分とすればよいが、送信制御部37aは、送信日時がイベント日時よりも前になるように設定する。
【0123】
ステップS37において、故障判定部35は、送信制御部37a及び通信部40により予約情報が送信された後、あらかじめ設定した第1判定時間(例えば、1分)経過後に、ユーザ端末1aに故障が発生したか否かを判定する。例えば、故障判定部35は、ユーザ端末1aの各機能が正常に動作しているか否かを判定する。なお、第1判定時間は、上記の送信日時を決定した所定時間(例えば、10分)よりも短い時間に設定する。
【0124】
故障判定部35において、ユーザ端末1aが正常動作しており故障発生なしと判定された場合(S37:故障なし)は、ステップS38へ進む。故障判定部35において故障が発生していると判定された場合(S37:故障あり)は、処理終了となる。この場合、メールサーバ5aは、設定された送信日時に通知情報を送信する。
【0125】
ユーザ端末1の故障により、ステップS37の判定処理ができない場合(S37:判定不可)も、故障が発生したと判定された場合と同様に処理は終了する。
【0126】
ステップS38において、故障判定部35は、ステップS32において所定の範囲を超えた検出値の現在の検出値を取得し、現在の検出値が所定の範囲内となったか否かを判定する。故障判定部35において所定の範囲内ではない、つまり所定の範囲外であると判定された場合(S38:No)はステップS39へ進む。故障判定部35において所定の範囲内であると判定された場合(S38:Yes)は、ステップS40へ進む。
【0127】
ステップS39において、送信制御部37aは、新しい送信日時での送信予約と、既存の送信予約の取消しと、を通信部40へ指示する。ステップS39においては、ユーザ端末1aはまだ故障はしていない。しかしながら、この段階では、現在の検出値が所定の範囲外であるため、ユーザ端末1aが故障する可能性が残されている。そのため、送信制御部37aは、送信予約における送信日時を更新するために、新しい送信日時を用いてメールサーバ5aに対して送信予約を行う。また、送信制御部37aは、既存の送信予約の取消しを行う。
【0128】
ステップS40において、送信制御部37aは、ユーザ端末1aの故障の可能性が十分低くなったと判定して、送信予約の取消しを通信部40に指示する。送信制御部37aは、送信予約を取り消すための予約取消情報をメールサーバ5aに送信させる。再び処理スタートへ戻り、センサ部10においてセンサ情報の検出を続ける。
【0129】
図10に示す処理によれば、
図6に示す処理と同様に、落下に限らず他の要因でユーザ端末1aが故障する可能性が高い場合にも、通知情報を送信先に送信することができる。また、ユーザ端末1aが故障していない場合の関係者への通知を軽減することができる。例えば、センサ部10において、瞬間的に所定の範囲を超える温度を検出したが、すぐに温度が正常値に戻ったため故障が発生しなかった場合などに、ユーザ端末1aは、不要な通知を関係者に対して送信せずに済む。また例えば、ユーザ端末1aが故障していない状態であっても、センサ部10において所定の範囲を超える温度が持続している場合には、継続的に予約情報を送信するため、実際にユーザ端末1aが故障した場合に通知情報が送信されないリスクを低減できる。
【0130】
以上説明したように、本実施形態にかかる故障通知システム100aによれば、故障予測の閾値を低く設定しても、故障予測後に正常動作をしていれば、関係者に通知情報が送信されない。そのため、閾値を低めに設定することで、故障時に通知情報を送信できないリスクを低減し、かつ非故障時に通知情報を送信してしまうリスクを低減できる。すなわち、故障通知システム100aは、通知情報を精度よく、適切に送信することができる。
【0131】
<実施形態3>
続いて、実施形態3について説明する。実施形態1及び2では、ユーザ端末1又は1aが、メールサーバ5又は5aに対して通知情報を送信した。本実施形態にかかる故障通知システム100bでは、ユーザ端末1又は1aではなく、通知制御を行うための通知制御サーバ7が通知情報の送信を行う。
【0132】
(故障通知システム100bの構成)
図11は、本実施形態にかかる故障通知システム100bの構成を示すブロック図である。故障通知システム100bは、ユーザ端末1b、関係者端末3、メールサーバ5a、及び通知制御サーバ7を備えている。通知制御サーバ7は、ネットワークNを介して、ユーザ端末1b及びメールサーバ5aとの間でデータを送受信する。すなわち、通知制御サーバ7はユーザ端末1b及びメールサーバ5aとの間で通信可能である。
【0133】
故障通知システム100bは、
図1及び
図7に示される故障通知システム100及び100aの構成に加え、通知制御サーバ7を備えている。ユーザ端末1bは、
図7に示されるユーザ端末1aに対応するものである。以下では、故障通知システム100及び100aと異なる点を中心に説明し、重複する点については適宜説明を省略する。
【0134】
(ユーザ端末1bの構成)
図12は、ユーザ端末1bの構成を示すブロック図である。ユーザ端末1bは、
図8に示されるユーザ端末1aと概ね同様の構成を備えているが、一部の構成が異なる。
【0135】
本図に示されるように、記憶部20bは、ユーザ端末1及び1aの記憶部20と異なり、イベント情報21を記憶していなくともよい。
【0136】
制御部30bは、センサ情報取得部31、端末位置情報取得部33、故障予測部34、故障判定部35、及び送信制御部37bを備えている。制御部30bは、例えば、ユーザ端末1aの制御部30aが備えるイベント情報取得部32及び特定部36の構成を備えていない。
【0137】
制御部30bの送信制御部37bは、故障予測部34においてユーザ端末1bの故障が予測された場合、ユーザ端末1bに故障の発生が予測される旨を通知するための故障予測情報を、通知制御サーバ7に送信する。故障予測情報は、例えば、予測される故障の内容やセンサ情報などを含み得る。
【0138】
また、送信制御部37bは、故障判定部35においてユーザ端末1bが故障していないと判定された場合、ユーザ端末1bが正常動作している旨を通知するための正常動作情報を通知制御サーバ7に送信する。
【0139】
さらに、送信制御部37bは、故障判定部35においてユーザ端末1bが故障していないと判定された場合であって、かつ、センサ情報が示す検出値が所定の範囲内ではない場合(所定の範囲外である場合)、故障予測更新情報を通知制御サーバ7に送信する。故障予測更新情報は、通知制御サーバ7において、通知情報を送信するか否かの判定を行うタイミングを延期するために用いられ得る。
【0140】
(通知制御サーバ7の構成)
続いて、
図13を参照して、通知制御サーバ7について説明する。
図13は、通知制御サーバ7の構成を示すブロック図である。通知制御サーバ7は、記憶部720、制御部730、及び通信部740を備えている。
【0141】
記憶部720は、各種のデータ及びプログラムを記憶する。特に、記憶部720は、イベント情報721を記憶する。イベント情報721は、
図3に示されるイベント情報21と同様のフォーマットを用いて表すことができる。なお、ここではイベント情報721を記憶部720に記憶する構成を用いて説明するが、イベント情報721は、通知制御サーバ7以外の装置に記憶されてもよい。例えば、クラウドコンピューティングシステムを利用する場合、クラウド上に記憶されたイベント情報721を、通知制御サーバ7が取得する構成としてもよい。
【0142】
制御部730は、ユーザ端末1bから受信した情報を用いて、通知情報の送信に関する処理を行う。制御部730は、ユーザ端末情報取得部731、イベント情報取得部732、特定部736、及び送信制御部737を備えている。
【0143】
ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bから送信された情報を取得する。例えば、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bに故障発生が予測される旨の情報を含む故障予測情報を、ユーザ端末1bから取得する。なお、ユーザ端末情報取得部731は、端末情報取得部とも呼ばれる。
【0144】
なお、本実施形態では、故障の予測をユーザ端末1bにおいて行い、通知制御サーバ7は、ユーザ端末1bから故障予測情報を取得することで、ユーザ端末1bの故障に関する情報を取得しているが、これに限られない。例えば、通知制御サーバ7は、ユーザ端末1bの制御部30bが備える故障予測部34及び故障判定部35の機能を備えるように構成されてもよい。この場合、ユーザ端末情報取得部731においてユーザ端末1bからセンサ情報を取得し、通知制御サーバ7は、当該センサ情報を用いて、故障の予測及び故障の判定を行ってもよい。
【0145】
また、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bが正常動作している旨を示す正常動作情報を取得する。また、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bが故障したと判定されていないが、センサ情報が示す検出値が所定の範囲内ではない場合、つまり検出値が所定の範囲外である場合に、故障予測更新情報を取得する。
【0146】
また、ユーザ端末情報取得部731は、正常動作情報及び故障予測更新情報以外に、ユーザ端末1bに関する様々な情報を取得してもよい。例えば、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bの位置を示す端末位置情報を、ユーザ端末1bから取得してもよい。
【0147】
また、例えば、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bを使用するユーザが予備端末を有しているか否かの情報を取得してもよい。具体的には、ユーザ端末情報取得部731は、イベント情報721にアクセスするユーザ端末1bを、端末あるいは端末で使用するブラウザ等のアプリに対応付けられた識別情報などに基づいて識別する。
【0148】
ユーザ端末情報取得部731は、イベント情報721にアクセスするユーザ端末1bの種類を判定することで、予備端末の有無を判定する。ユーザ端末1bを含む端末装置は、イベント情報721を作成する際、あるいはイベント情報721を参照(閲覧)する際に、イベント情報721にアクセスする。例えば、あるユーザU1が所定の使用期間(例えば、1週間以内)に、ユーザ端末1b以外の端末を含む複数の端末でイベント情報721にアクセスしているとする。この場合、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザU1が予備端末を有していると判定する。ユーザ端末情報取得部731は、イベント情報721において、ユーザU1に対応付けられたイベントの「予備端末の有無」の項目に「有」と設定する。すなわち、ユーザ端末情報取得部731は、イベント情報721が複数の端末装置によってアクセスされたか否かを示す情報、つまりイベント情報721がユーザ端末1b以外の他の端末装置によってアクセスされたか否かを示す情報を取得し、それに応じて「予備端末の有無」の項目を設定してもよい。
【0149】
また、ユーザ端末情報取得部731は、端末又はアプリを識別する識別情報をもとに、端末の機種やOS(Operating System)を判定し、機種やOSに関する所定の条件を満たす端末がユーザ端末1b以外に存在する場合に、予備端末を「有」と設定してもよい。また、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザU1の端末から位置情報を取得し、位置情報(場所)ごとにイベント情報721にアクセスする端末の種類を判定してもよい。あるいは端末に付与されたIPアドレス等から端末の位置(地域)を推定してもよい。そして、イベント場所におおよそ一致する場所や地域からユーザU1の複数の端末によってイベント情報721へのアクセスがなされている場合に、予備端末を「有」と設定してもよい。
【0150】
また、ユーザU1が所定の使用期間に1つのユーザ端末1bのみでイベント情報にアクセスしているとする。この場合、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザU1が予備端末を有していないと判定し、イベント情報721の当該項目に「無」を設定する。
【0151】
このようにすることで、ユーザが予備端末の有無をイベント情報721に手動で登録することなく、ユーザ端末情報取得部731が自動的に当該内容を登録することができる。
【0152】
イベント情報取得部732は、上述したユーザ端末1及び1aにおけるイベント情報取得部32に対応する。イベント情報取得部732は、故障により影響を受ける可能性の高いイベントのイベント情報721を取得する。具体的には、故障予測がなされてから、所定の時間(例えば、24時間)が経過するまでの対象期間に開催されるイベントを取得する。イベント情報取得部732は、少なくとも、イベントの日時と、イベントの関係者の連絡先と、が関連付けられたイベント情報721を取得する。
【0153】
特定部736は、上述したユーザ端末1及び1aにおける特定部36に対応する。特定部736は、故障予測情報が取得された場合、イベント情報取得部732が取得したイベント情報のうち、少なくとも1人の関係者が設定されているイベントを処理対象として抽出する。もちろん、上述したように、他の条件を用いてイベントを抽出してもよい。また、特定部736は、抽出したイベントの関係者の連絡先を、故障予測に関する通知情報の送信先として特定する。
【0154】
送信制御部737は、ユーザ端末情報取得部731で取得された情報に基づいて、通知情報の送信を制御する。
【0155】
例えば、ユーザ端末情報取得部731で故障予測情報が取得されたとする。送信制御部737は、正常動作情報が取得された場合、通知情報を送信しない。また、送信制御部737は、故障予測更新情報が取得された場合、通知情報を送信するか否かの判定を行うタイミングを延期する。そして、送信制御部737は、正常動作情報及び故障予測更新情報のいずれも取得されなかった場合、ユーザ端末1bが故障したと判定し、通知情報を作成する。送信制御部737は、作成した通知情報を送信するように、通信部740に指示する。上述したように、通知情報は、電子メールであってもよいし、SMSなどであってもよい。
【0156】
また、送信制御部737は、所定の条件が満たされた場合に、通知情報の送信予約を行うための予約情報、及び、送信予約を取り消すための予約取消情報をメールサーバ5aに送信してもよい。
【0157】
通信部740は、ユーザ端末1b、関係者端末3、及びメールサーバ5aとの間で通信を行う。通信部740は、有線又は無線により通信を行うための通信インタフェースであってよい。通信部740は、送信制御部737から指示された宛先及び内容を含む通知情報を、メールサーバ5aに対して送信する。
【0158】
(ユーザ端末1bの処理)
続いて、
図14及び
図15を参照して、ユーザ端末1bが行う処理を説明する。
図14は、加速度センサ11の検出結果を用いて故障予測を行う場合に、ユーザ端末1bが行う処理を示すフローチャートである。
図15は、加速度センサ11以外のセンサの検出結果を用いて故障予測を行う場合に、ユーザ端末1bが行う処理を示すフローチャートである。
【0159】
(加速度センサ11における検出結果を用いる場合)
まず、
図14を参照して、加速度センサ11の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1bが行う処理を説明する。
【0160】
ステップS101及びステップS102は、
図5のステップS1及びS2と同様であるので説明を省略する。
【0161】
ステップS103において、送信制御部37bは、ユーザ端末1bに故障の発生が予測される旨を通知するための故障予測情報を、通知制御サーバ7に送信するように、通信部40へ指示する。故障予測情報は、例えば、予測される故障の内容やセンサ情報などを含み得る。例えば、故障予測情報は、ユーザ端末1bの長時間の落下が検出されたことなどの情報を含んでよい。通信部40は、送信制御部37bの指示に従い、故障予測情報を通知制御サーバ7へ通知する。
【0162】
ステップS104において、故障判定部35は、落下の検出終了時において(落下の終了が検出された後に)、実際にユーザ端末1bの故障が発生したか否かを判定する。故障判定部35は、例えば、ユーザ端末1bが備える各機能が正常に動作しているか否かを判定する。
【0163】
故障判定部35において、各機能が正常動作しており、故障が発生していないと判定された場合(S104:故障なし)、ステップS105へ進む。また、故障判定部35において、各機能が正常動作しておらず、故障が発生していると判定された場合(S104:故障あり)は、処理を終了する。この場合、後述するように、メールサーバ5aは、設定した送信日時に故障予測通知310を送信先に送信する。また、ユーザ端末1bが故障したことにより、故障判定部35において故障の判定ができない場合(S104:判定不可)も、故障が発生したと判定された場合と同様に、処理を終了する。
【0164】
ステップS105において、送信制御部37bは、ユーザ端末1bが正常動作していることを示す正常動作情報を、通知制御サーバ7へ送信するように通信部40へ指示する。通信部40は、正常動作情報を通知制御サーバ7へ送信する。ステップS105からはステップS101に戻り、繰り返し処理を続ける。
【0165】
(加速度センサ11以外のセンサにおける検出結果を用いる場合)
続いて、
図15を参照して、加速度センサ11以外の検出結果を用いて故障予測を行う場合にユーザ端末1bが行う処理を説明する。
【0166】
ステップS111及びS112は、
図6におけるステップS11及びステップS12と同様であるので説明を省略する。ステップS113において、送信制御部37bは、検出した故障予測情報を通知制御サーバ7へ送信するように、通信部40へ指示する。故障予測情報は、例えば、ユーザ端末1b周辺の強い磁気、高温度、低温度、高湿度、低湿度、高圧力、又はユーザ端末1bに加えられた強い衝撃などの情報を含み得る。通信部40は、故障予測情報を通知制御サーバ7へ送信する。
【0167】
ステップS114において、故障判定部35は、故障予測情報を送信してから、あらかじめ設定した第1判定時間が経過した後に、ユーザ端末1bに実際に故障が発生したか否かを判定する。第1判定時間は、例えば、1分間を用いればよい。故障判定部35は、例えば、ユーザ端末1bの各機能が正常に動作しているか否かを判定する。
【0168】
故障判定部35において、各機能が正常動作しており、故障が発生していないと判定された場合(S114:故障なし)、ステップS115へ進む。また、故障判定部35において、各機能が正常動作しておらず、故障が発生していると判定された場合(S114:故障あり)は、処理を終了する。
【0169】
また、ユーザ端末1bが故障したことにより、故障判定部35において故障の判定ができない場合(S114:判定不可)も、故障が発生したと判定された場合と同様に、処理を終了する。
【0170】
ステップS115において、故障判定部35は、ステップS112において所定の範囲を超えた検出値について、現在の検出値を取得して、現在の検出値が所定の範囲内であるか否かを判定する。現在の検出値が所定の範囲外である場合(S115:No)はステップS116へ進む。所定の範囲内である場合(S115:Yes)は、ステップS117へ進む。
【0171】
ステップS116において、センサ部10における検出値は所定の範囲外の状態である。従って、ユーザ端末1bは、まだ故障はしていないものの、故障の可能性が残されている。そのため、送信制御部37bは、故障予測通知を関係者に送信するか否かの判定を行うタイミングを延期するために、故障予測更新情報を通知制御サーバ7に送信する。その後、処理はステップS114へ戻る。
【0172】
ステップS117において、送信制御部37bは、故障の可能性が十分低くなったと判定して、正常動作情報を通知制御サーバ7に送信する。再び処理スタートへ戻り、センサ部10での検出を続ける。
【0173】
(通知制御サーバ7の処理)
続いて、
図16を参照して、本実施形態にかかる通知制御サーバ7が行う処理を説明する。
図16は、通知制御サーバ7が行う処理を示すフローチャートである。
【0174】
ステップS121において、ユーザ端末情報取得部731は、クライアントであるユーザ端末1bからの故障予測情報を受信したか否かを判定する。故障予測情報を受信した場合(S121:Yes)、ステップS122へ進む。故障予測情報を受信していない場合(S121:No)は、ステップS121の処理を繰り返す。これにより、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bから故障予測情報が送信されるのを待つ。
【0175】
ステップS122において、送信制御部737は、あらかじめ設定された第2判定時間だけ待機したのち、第2判定時間以内に、ユーザ端末1bから受信した情報があるか否かを判定する。ここで、第2判定時間は、上述した第1判定時間と同じであってもよいし、異なる時間であってもよい。この第2判定時間は、第1判定時間以上であることが好ましい。
【0176】
送信制御部737は、正常動作情報を受信したか、故障予測更新情報を受信したか、又は、何も受信していないか、に応じて異なる処理を行う。正常動作情報を受信した場合(S122:正常動作情報)は、処理終了となる。故障予測更新情報を受信した場合(S122:故障予測更新情報)、送信制御部737は、再び同じ第2判定時間の経過を待つために、S122を繰り返す。
【0177】
第2判定時間以内に、正常動作情報及び故障予測更新情報のいずれも受信しなかった場合(S122:なし)、送信制御部737は、ユーザ端末1bに故障が発生している可能性があると判定し、ステップS123へ進む。
【0178】
ステップS123において、イベント情報取得部732は、記憶部720から、故障により影響を受ける可能性の高いイベントのイベント情報721を取得する。具体的には、イベント情報取得部732は、記憶部720から、あらかじめ設定された所定期間以内のイベント情報721を取得する。所定期間は、実施形態1及び2における対象期間と同様に、例えば、24時間を用いればよい。
【0179】
ステップS124において、特定部736は、
図5におけるステップS4と同様にして、処理対象のイベントを抽出(特定)する。特定部736は、ステップS123において取得されたイベント情報のうち、少なくとも1人の関係者が設定されているイベントを処理対象とする。なお上述したように、「関係者が設定されている」という条件の他に、さらに別の条件を加えて処理対象のイベントを抽出してもよい。
【0180】
ステップS125において、特定部736は、ステップS124で抽出したイベントの関係者の連絡先を通知情報の送信先として特定する。ステップS126において、送信制御部737は、
図4に示される故障予測通知310のような電子メールを通知情報として作成し、送信先へ送信するように、通信部740へ指示する。送信先が複数設定されている場合、送信制御部737は、複数の通知を行うように指示する。
【0181】
通信部740は、送信制御部737からの指示に従い、故障予測通知310をメールサーバ5aに送信する。これにより、メールサーバ5aは、故障予測通知310を関係者端末3に送信する。また、ステップS124において抽出されたイベントが複数ある場合、送信制御部737は、そのイベントごとに通知を行う。通知制御サーバ7は、
図16に示す処理を繰り返し実行する。
【0182】
なお、ステップS126では、実施形態1及び2と同様に、イベント種別、場所、予備端末の有無の情報を、故障予測通知310を送信するか否かの判定に加えてもよい。
【0183】
このように、ユーザ端末1bのセンサ部10において所定の範囲を超える値が検出された後、ユーザ端末1bは、イベント情報の取得及び通知情報の作成処理を行うことなく、通知制御サーバ7へ故障予測情報を送信する。これにより、実施形態1及び2よりも短い時間でユーザ端末1b内での処理を完了することができる。このようにすることで、ユーザ端末1bの故障を予測した直後に、実際に故障が発生することで通知情報の送信処理までを完了できないというリスクを軽減することができる。
【0184】
なお、実施形態2と同様に、通知制御サーバ7は、メールサーバ5aが備える電子メールの予約機能を用いてもよい。
【0185】
図17を参照して、電子メールの予約機能を用いた場合における通知制御サーバ7の処理を説明する。
図17は、電子メールの予約機能を用いた場合における通知制御サーバ7が行う処理を示すフローチャートである。
【0186】
ステップS131は、
図16におけるステップS121と同様である。ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bからの故障予測情報を受信したか否かを判定する。故障予測情報を受信した場合(S131:Yes)は、ステップS132へ進む。故障予測情報を受信していない場合(S131:No)は、ステップS131の処理を繰り返す。これにより、ユーザ端末情報取得部731は、ユーザ端末1bから故障予測情報が送信されるのを待つ。
【0187】
ステップS132において、イベント情報取得部732は、記憶部720から、故障により影響を受ける可能性の高いイベントのイベント情報721を取得する。ステップS133において、特定部736は、処理対象のイベントを抽出(特定)する。ステップS132及びS133は、
図16におけるステップS123及びS124と同様のため、詳細を省略する。
【0188】
ステップS134において、特定部736は、ステップS133で抽出したイベントの関係者の連絡先を、故障予測に関する通知情報の送信先として特定する。ステップS135において、送信制御部737は、
図9におけるステップS26と同様に、故障予測通知310を通知情報として作成し、通信部740へ電子メールの送信予約の設定を指示する。
【0189】
ステップS136において、送信制御部737は、あらかじめ設定された第2判定時間だけ待機したのち、第2判定時間以内に、ユーザ端末1bから受信した情報があるか否かを判定する。送信制御部737は、ユーザ端末1bから正常動作情報を受信したか、故障予測更新情報を受信したか、又は何も受信していないか、を判定する。
【0190】
正常動作情報を受信した場合(S136:正常動作情報)は、ステップS137へ進む。故障予測更新情報を受信した場合(S136:故障予測更新情報)は、再び同じ所定時間経過を待つためにS136を繰り返す。
【0191】
第2判定時間以内に、正常動作情報及び故障予測更新情報のいずれも受信しなかった場合(S136:なし)は、処理を終了する。この場合、メールサーバ5aは、予約された送信日時になると、通知情報を送信する。ステップS137において、送信制御部737は、送信予約の取消しを通信部740に指示する。これにより、メールサーバ5aは通知情報を送信しない。
【0192】
以上説明したように、本実施形態にかかる故障通知システム100bでは、通知制御サーバ7でイベント情報の取得及び通知情報の作成処理を行うことにより、ユーザ端末1bが行う処理にかかる時間を短縮することができる。これにより、必要な処理を完了する前にユーザ端末1bが故障して、イベントの関係者に通知情報を送信できないリスクを低減することができる。
【0193】
また、ユーザ端末1bが故障していないと判定された場合、ユーザ端末1bは、通知制御サーバ7に正常動作情報を送信する。通知制御サーバ7は、正常動作情報を受信して、これに基づいて通知情報の送信を制御する。例えば、通知制御サーバ7は、ユーザ端末1bから正常動作情報を受信した場合、メールサーバ5aに対して行った通知情報の送信予約を取り消すことができる。これにより、ユーザ端末1bが故障していないにも関わらず、関係者に通知情報が送信されるという誤動作のリスクを低減することができる。
【0194】
上述したユーザ端末1、1a、1b、関係者端末3、メールサーバ5、5a、及び通知制御サーバ7の各機能構成部は、各機能構成部を実現するハードウエア(例:ハードワイヤードされた電子回路など)で実現されてもよいし、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせ(例:電子回路とそれを制御するプログラムの組み合わせなど)で実現されてもよい。例えば、本開示は、任意の処理を、CPUにコンピュータプログラムを実行させることにより実現することも可能である。
【0195】
プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)又は実体のある記憶媒体(tangible storage medium)に格納されてもよい。限定ではなく例として、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、又はその他の形式の伝搬信号を含む。
【0196】
なお、本開示は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。また、上述した実施形態は任意に組み合わせて実行可能である。
【符号の説明】
【0197】
1、1a、1b ユーザ端末
3 関係者端末
5、5a メールサーバ
7 通知制御サーバ
10 センサ部
11 加速度センサ
12 磁気センサ
13 温度・湿度センサ
14 圧力センサ
20、20b 記憶部
21 イベント情報
30、30a、30b 制御部
31 センサ情報取得部
32 イベント情報取得部
33 端末位置情報取得部
34 故障予測部
35 故障判定部
36 特定部
37、37a、37b 送信制御部
40 通信部
50 位置検出部
100、100a、100b 故障通知システム
211 イベント日時
212 イベント種別
213 イベント名
214 イベント場所
215 第1関係者
216 第1連絡先
217 第2関係者
218 第2連絡先
219 予備端末の有無
220 予備連絡先
310 故障予測通知
311 タイトル
312 通知文
313 故障予測日時
314 故障予測内容
315 予測場所位置情報
316 予測場所地図情報
317 イベント種別
318 イベント名
319 イベント場所
320 予備端末の有無
321 予備連絡先
720 記憶部
721 イベント情報
730 制御部
731 ユーザ端末情報取得部
732 イベント情報取得部
736 特定部
737 送信制御部
740 通信部
N ネットワーク