(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140211
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】沸騰冷却器
(51)【国際特許分類】
H01L 23/427 20060101AFI20241003BHJP
F28F 1/40 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L23/46 A
F28F1/40 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051243
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝典
【テーマコード(参考)】
5F136
【Fターム(参考)】
5F136CC35
5F136DA27
5F136FA02
5F136FA03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】伝熱特性の低下を抑制することができる沸騰冷却器を提供する。
【解決手段】沸騰冷却器は、冷媒REが流れる内部空間S1を形成する内壁面100を含み、発熱体9からの熱を受ける受熱部10と、受熱部10からの熱を放熱する放熱部と、受熱部10で冷媒REが気化されることにより生成された気相冷媒を放熱部に輸送する第1管部と、放熱部で気相冷媒が凝縮されることにより生成された液相冷媒を受熱部10に輸送する第2管部と、を備える。内壁面100は、発熱体9からの熱により冷媒REを沸騰させる伝熱面110を有する。伝熱面110は、第1領域111と、第1領域111よりも流入口O11の近くに設けられ、かつ、第1領域111よりも狭い第2領域112と、を有する。第2領域112には、伝熱面110から突出する凸部8が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒が流れる内部空間を形成する内壁面を含み、発熱体からの熱を受ける受熱部と、
前記受熱部からの熱を放熱する放熱部と、
前記受熱部で前記冷媒が気化されることにより生成された気相冷媒を前記放熱部に輸送する第1管部と、
前記放熱部で前記気相冷媒が凝縮されることにより生成された液相冷媒を前記受熱部に輸送する第2管部と、を備え、
前記内壁面は、前記発熱体からの熱により前記冷媒を沸騰させる伝熱面を有し、
前記伝熱面は、第1領域と、前記第1領域よりも前記第2管部の近くに設けられ、かつ、前記第1領域よりも狭い第2領域と、を有し、
前記第2領域には、前記伝熱面から突出する凸部が設けられる、
ことを特徴とする沸騰冷却器。
【請求項2】
前記凸部を含み、互いに離間する複数の凸部を備える、
請求項1に記載の沸騰冷却器。
【請求項3】
前記凸部の高さは、平面での前記冷媒の沸騰により生じる気泡の離脱気泡径よりも大きく、かつ、前記内部空間の幅の0.25倍よりも小さい、
請求項1に記載の沸騰冷却器。
【請求項4】
前記複数の凸部の離間距離は、前記複数の凸部のそれぞれの高さの1倍以上であり、2倍以下である、
請求項2に記載の沸騰冷却器。
【請求項5】
前記複数の凸部のそれぞれは、前記冷媒の流れる方向と交差する方向に延在し、
前記複数の凸部は、互いに平行に配列される、
請求項2に記載の沸騰冷却器。
【請求項6】
前記凸部の幅は、前記凸部の高さよりも小さい、
請求項1に記載の沸騰冷却器。
【請求項7】
前記複数の凸部のそれぞれは、底部および先端部を有し、
前記複数の凸部のそれぞれは、前記底部から前記先端部に向かって先細りの形状を有する、
請求項2に記載の沸騰冷却器。
【請求項8】
前記受熱部は、前記第1管部から前記冷媒が流入する流入口と、前記第2管部に前記冷媒を流出する流出口と、を有し、
前記凸部は、前記流入口に面する第1面と、前記流出口に面する第2面とを有し、
前記伝熱面と前記第1面とのなす角度は、前記伝熱面と前記第2面とのなす角度よりも大きい、
請求項7に記載の沸騰冷却器。
【請求項9】
前記第2管部には、前記受熱部に前記液相冷媒を送るための送液ポンプが設けられる、
請求項1に記載の沸騰冷却器。
【請求項10】
前記冷媒には、活性界面剤が添加されている、
請求項1に記載の沸騰冷却器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、沸騰冷却器に関する。
【背景技術】
【0002】
直流電力を交流電力に変換する電力変換装置等の半導体装置が知られている。当該半導体装置には、発熱体の熱を放散させるための冷却器が搭載されている。冷却器の例として、特許文献1に記載の冷却装置が挙げられる。
【0003】
当該文献に記載の冷却装置は、吸熱器と、放熱器と、第1冷媒移送管と、冷媒ポンプとを備える。吸熱器は、半導体装置に熱結合される。放熱器は、吸熱器から導入された冷媒液を冷却する。第1冷媒移送管は、放熱器にて冷却された冷媒液を吸熱液に移送する。冷媒ポンプは、第1冷媒移送管に設けられる。
【0004】
かかる冷却装置では、半導体装置と密着された吸熱器が有する伝熱面に、吸熱促進用の溝が設けられている。当該溝により、吸熱器の冷媒入口から流入する冷媒液を拡散させるとともに、伝熱面積を増大させて半導体装置からの熱を効果的に冷媒液で吸収して蒸発させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
冷媒液は吸熱器内部を通過する間に蒸発し、吸熱器の冷媒出口に向けて次第に冷媒液の液量が減少する。そのため、吸熱器の冷媒出口付近では、冷媒液が全て蒸発してしまう可能性がある。冷媒液が全て蒸発した場合は、吸熱器の冷媒出口付近が気相冷媒で充満するため、伝熱面が乾いてしまう。よって、伝熱面のうち伝熱に寄与する領域の割合が小さくなってしまう。この結果、伝熱特性が低下するおそれがある。
【0007】
伝熱面の冷媒出口付近が乾いた領域で覆われることを解消するためには、吸熱器に流入する冷媒液の流速を速める方法が考えられる。冷媒液の流速を速めることで、冷媒出口付近が乾いた領域で覆われることが抑制される。しかし、流速を速めると、吸熱器の冷媒入口付近では、過熱液相が流れ易くなってしまう。このため、過熱液相の厚さが薄くなってしまい、気泡が形成され難くなってしまう。よって、当該方法では、伝熱面のうち冷媒入口付近の領域は伝熱に寄与しなくなってしまう。このため、当該方法によっても、伝熱面のうち伝熱に寄与する領域の割合が小さくなってしまう。この結果、伝熱特性が低下するおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の課題を解決するために、本開示の好適な態様に係る沸騰冷却器は、冷媒が流れる内部空間を形成する内壁面を含み、発熱体からの熱を受ける受熱部と、前記受熱部からの熱を放熱する放熱部と、前記受熱部で前記冷媒が気化されることにより生成された気相冷媒を前記放熱部に輸送する第1管部と、前記放熱部で前記気相冷媒が凝縮されることにより生成された液相冷媒を前記受熱部に輸送する第2管部と、を備え、前記内壁面は、前記発熱体からの熱により前記冷媒を沸騰させる伝熱面を有し、前記伝熱面は、第1領域と、前記第1領域よりも前記第2管部の近くに設けられ、かつ、前記第1領域よりも狭い第2領域と、を有し、前記第2領域には、前記伝熱面から突出する凸部が設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図6】気泡の成長が促進され難い例を示す図である。
【
図7】
図3に示す複数の凸部による作用を説明するための図である。
【
図8】
図3に示す受熱部における第1領域および第2領域を示す図である。
【
図9】複数の凸部が設けられていない場合の受熱部における第1領域および第2領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態を説明する。なお、図面において各部の寸法および縮尺は実際と適宜に異なり、理解を容易にするために模式的に示している部分もある。また、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られない。
【0011】
1.実施形態
1-1.沸騰冷却器1の概要
図1は、実施形態に係る沸騰冷却器1の概略図である。
図1に示す沸騰冷却器1は、例えば、鉄道車両、自動車または家庭用電気機械等に搭載されるインバーターまたは整流器等のパワーエレクトロニクス製品における冷却に用いられる。パワーエレクトロニクス製品は、例えば、ダイオードまたはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワー半導体素子を有する。当該パワー半導体素子は、沸騰冷却器1における冷却の対象物である発熱体9の一例である。また、発熱体9は、パワー半導体素子に限定されず、冷却を必要とするのであれば、駆動または通電等により発熱する他の電気部品または電子部品でもよい。
【0012】
沸騰冷却器1は、冷媒REの沸騰に伴う潜熱による熱輸送を利用して、発熱体9を冷却する冷却器であって、強制対流方式である。沸騰冷却器1は、受熱部10と放熱部20と第1管部30と第2管部40と冷媒貯留部50と冷却部60と送液ポンプ70とを有する。
【0013】
受熱部10は、複数の発熱体9からの熱を受ける。受熱部10は、容器101を有する。容器101は、内部空間S1を有する。内部空間S1には、液状の冷媒REが流れる。なお、受熱部10は冷媒REを収容しているとも捉えられる。受熱部10では、複数の発熱体9の熱によって冷媒REが気化されることにより気相冷媒が生成される。
【0014】
冷媒REは、常温で液状となる媒体であり、例えば、純水等の水、または、水とアルコールとの混合液を含む。当該アルコールは、例えば、エタノールまたはメタノールである。なお、冷媒REの種類は、上記の種類以外の種類であってもよい。また、冷媒REには、界面活性剤が添加されることが好ましい。界面活性剤は、非イオン性界面活性剤でもよいし、陰イオン界面活性剤または陽イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤でもよい。界面活性剤の具体例としては、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、および炭化水素系界面活性剤等が挙げられる。冷媒が水である場合、溶解性に優れる炭化水素系界面活性剤を用いることが好ましい。
【0015】
図1に示す例では、複数の発熱体9として2個の発熱体9が、受熱部10に熱的に接続される。「熱的に接続」とは、次の条件a、bまたはcのいずれかを満たすことをいう。条件a:2つの部材が物理的に直接に接する。条件b:2つの部材が50μm以下の間隙を介して配置される。条件c:2つの部材が10W・m
-1・K
-1以上の熱伝導率の他の部材を介して物理的に接続される。なお、各条件における2つの部材間には、伝熱グリースおよび接着剤等が存在してもよい。この場合、接着剤は、熱伝導性を高める観点から、熱伝導性のフィラー等を含むことが好ましい。なお、発熱体9の数は、1でもよいし、3以上でもよい。
【0016】
容器101は、熱伝導性に優れる材料を含む。具体的には、容器101は、例えば、銅、アルミニウムまたはこれらのいずれかの合金等の金属材料を含む。
【0017】
放熱部20は、受熱部10からの熱を放熱する。放熱部20は、冷媒REを気化した状態から凝縮液化させる空間である凝縮空間S2を有する。放熱部20は、凝縮空間S2で冷媒REを外部の流体との熱交換により受熱部10からの熱を外部へ放熱することにより冷媒を気体の状態から凝縮液化する。当該外部の流体は、特に限定されず、液体でも気体でもよい。
【0018】
第1管部30は、受熱部10と放熱部20とに接続される。第1管部30は、受熱部10で冷媒REが気化されることにより生成された気相冷媒を放熱部20に輸送する。第1管部30は、気相冷媒が流れる流路を有する蒸気管を含む。
【0019】
第2管部40は、受熱部10と放熱部20とに接続される。第2管部40は、放熱部20で気相冷媒が凝縮されることにより生成された液相冷媒を受熱部10に輸送する。第2管部40の途中には、冷媒貯留部50と冷却部60と送液ポンプ70とが設けられる。第2管部は、複数の液管41、42、43および44を含む。液管41は、放熱部20と冷媒貯留部50とを接続し、放熱部20から冷媒貯留部50に液相冷媒を輸送する。液管42は、冷媒貯留部50と冷却部60とを接続し、冷媒貯留部50から冷却部60に液相冷媒を輸送する。液管43は、冷却部60と送液ポンプ70とを接続し、冷却部60から送液ポンプ70に液相冷媒を輸送する。
【0020】
冷媒貯留部50は、液管41および42に接続された貯留空間S5を有する容器を含み、液相冷媒を貯留する。冷却部60は、液管41および42に接続された液相冷媒が流れる冷却空間S6を含み、液相冷媒を冷却する。冷却部60は、例えば、放熱部20で冷却しきれなかった液相冷媒の余熱を放熱するために設けられる。また、冷却部60は、例えば、液相冷媒を過冷却してもよい。冷却部60は、冷却空間S6で液相冷媒を外部の流体との熱交換により冷却する。当該外部の流体は、特に限定されず、液体でも気体でもよい。送液ポンプ70は、液管43および44に接続された流路S7を有し、液管44を介して受熱部10に供給される液相冷媒の流量を調整する。送液ポンプ70の構造は、特に限定されず、例えば、プランジャーポンプ、またはダイヤフラプポンプでもよい。
【0021】
1-2.受熱部10の構成
図2は、
図1に示す受熱部10を示す平面図である。
図3は、
図1に示す受熱部10を示す断面図である。以下の説明は、便宜上、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を適宜に用いて行う。また、以下では、X軸に沿う一方向がX1方向であり、X1方向とは反対の方向がX2方向である。Y軸に沿う一方向がY1方向であり、Y1方向とは反対の方向がY2方向である。Z軸に沿う一方向がZ1方向であり、Z1方向とは反対の方向がZ2方向である。なお、実空間でのZ軸の向きは、沸騰冷却器1の設置姿勢に応じて決められる。また、Z1方向またはZ2方向から見ることを「平面視」とする。
【0022】
図2および
図3に示す受熱部10は、扁平形状ある。なお、受熱部10の形状は、例えば円筒状を有してもよい。また、受熱部10の平面形状は、特に限定されず、四角形等の多角形でもよいし、円形でもよい。
【0023】
図2および
図3に示すように、受熱部10は、第1部分11と2つの第2部分12とを含む。第1部分11は、発熱体9に接触する部分を含み、発熱体9からの熱を受ける部分である。2つの第2部分12は、第1部分11の両側に位置し、発熱体9に接触していない部分である。よって、各第2部分12は、非受熱部分である。なお、第2部分12は、第1部分11の両側に位置する必要は無く、どちらか片側のみでも良いし、存在しなくても良い。
【0024】
受熱部10は、流入口O11と流出口O12とを含む。流入口O11および流出口O12のそれぞれは、受熱部10に形成された孔であり、内部空間S1に連通する。流入口O11は、前述の第2管部40が有する流路に接続される。流出口O12は、前述の第1管部30が有する流路に接続される。流入口O11と流出口O12とは、互いに対向する。流入口O11は、受熱部10のX1方向に位置し、流出口O12は、受熱部10のX2方向に位置する。冷媒REは、流入口O11から流出口O12に向かって流れる。内部空間S1での冷媒REの流れる方向は、X2方向と一致する。
【0025】
また、受熱部10は、内壁面100を含む。内壁面100は、内部空間S1を形成する。内部空間S1には流入口O11から液状の冷媒REが流入し、冷媒REは内部空間S1で気化されることにより気相冷媒となり、当該気相冷媒は流出口O12から流出する。
【0026】
図3に示すように、内壁面100は、2つの伝熱面110を含む。2つの伝熱面110は、2つの発熱体9に対応する。各伝熱面110は、各発熱体9からの熱により冷媒REを沸騰させる。各伝熱面110は、平面視で熱的に接続される発熱体9と重なる。各伝熱面110は、内壁面100のうち当該発熱体9の熱を受ける部分である。各伝熱面110を介して当該発熱体9の熱が冷媒REに伝わることにより、冷媒REが各伝熱面110上で沸騰する。この結果、各伝熱面110には、気泡Bが発生する。発生した気泡Bは、表面張力等により各伝熱面110から離脱し、気相冷媒として第1管部30から流出する。
【0027】
各伝熱面110は、第1領域111と第2領域112とを含む。第2領域112は、第1領域111に対してX1方向に位置する。すなわち、第2領域112は、流入口O11側に位置する。したがって、第2領域112は、第1領域111よりも第2管部40の近くに設けられる。また、第2領域112は、第1領域111よりも狭い。したがって、各伝熱面110における第1領域111の割合は、第2領域112の割合よりも広い。
【0028】
また、第2領域112は、複数の凸部8が設けられる。本実施形態では、各凸部8は、伝熱面110の第2領域112からZ軸に沿って突出する突起である。なお、各凸部8は、容器101と一体に形成されてもよいし、別体に形成されて接合されてもよい。
【0029】
第1領域111上は発熱体9により過熱されており、よって、第1領域111上の冷媒は、対流熱伝達、または熱伝導により過熱されている。このため、第1領域111上は過熱液層H1で満たされている。過熱液層H1は、冷媒REの飽和温度より高く過熱された液体の層である。過熱液層H1が充分に形成されると、気泡Bが発生し、過熱液層H1で囲まれた状態で気泡Bが拡大成長する。そして、気泡Bは、表面張力等によって伝熱面110から離脱する。したがって、第1領域111は、伝熱面110のうち気泡Bが発生する領域である。すなわち、第1領域111は、伝熱面110のうち伝熱に寄与する領域である。
【0030】
一方、第2領域112は、流入口O11から流入した冷媒REの影響を受ける。流入口O11から流入した冷媒REは、飽和温度よりも低い。このため、第2領域112は、第1領域111よりも気泡Bが発生および成長し難く、伝熱に寄与し難い領域である。
【0031】
伝熱面110のうち第2領域112の割合を小さくすることで、すなわち第1領域111の割合を大きくすることで、伝熱に寄与する領域が広くなる。伝熱に寄与する領域が広くなることで、伝熱特性を向上させることができる。本実施形態では、第1領域111の割合を大きくするために、第2領域112に複数の凸部8を設けている。
【0032】
図4は、気泡Bの成長を説明するための図である。
図4の実線で示す気泡Bが破線で示す気泡Bに成長するためには、気泡Bの周囲の液体温度Tbが、当該液体温度Tbよりも気泡Bに対して遠方の液体温度Twよりも高くなければならない。気泡Bが成長、すなわち拡大するための条件を以下の式[1]に示す。
【数1】
【0033】
式[1]中のP(Tb)は、気泡界面を気泡Bの内側から押す力を示す。式[1]中のP(Tw)は、気泡界面を気泡Bの外側から押す力を示す。式[1]中のRは、気泡Bの曲率半径である。式[1]中のσは、気泡界面にかかる表面張力である。
【0034】
気泡Bの周囲の液体温度Tbを高くするためには、過熱液層H1の形成が重要である。そして、気泡Bの成長のためには、過熱液層H1が充分な厚さまで形成されている必要がある。
【0035】
図5は、気泡Bの成長が促進される例を示す図である。
図5に示すように、伝熱面110の発熱量が大きい場合、または冷媒REの流入口O11からの流量もしくは流速が小さい場合、過熱液層H1の厚さは充分に厚くなる。この場合、過熱液層H1は、気泡Bが伝熱面110から離脱可能な大きさまで成長可能な厚さδを有する。別の見方とすると、この場合、流入口O11近傍で、過熱液層H1が厚さδに達する可能性がある。
【0036】
図6は、気泡Bの成長が促進され難い例を示す図である。
図6に示すように、伝熱面110の発熱量が小さい場合、または冷媒REの流入口O11からの流量もしくは流速が大きい場合、過熱液層H1の厚さは薄くなる。この場合、過熱液層H1は、気泡Bが伝熱面110から離脱可能な大きさまで成長可能な厚さδを有さない。別の見方をすると、流量または流速が大きい場合、流出口O12近傍で、過熱液層H1が厚さδに達するおそれがある。なお、
図6中の二点鎖線は、伝熱面110から離脱可能な程度に成長した気泡Bを示している。
【0037】
流量または流速が小さい場合、流量または流速が大きい場合に比べ、過熱液層H1は、流入口O11近傍で厚さδに達する。このため、流量または流速を小さくすることで、第1領域111の割合を大きくすることができる。しかし、流量または流速を小さくすると、流出口O12付近に伝熱に寄与しない乾いた領域が発生するおそれがある。このため、伝熱面110における伝熱に寄与する領域が減ってしまう。かかる問題を考慮し、複数の凸部8が設けられている。
【0038】
図7は、
図3に示す複数の凸部8による作用を説明するための図である。
図7に示すように、第2領域112には複数の凸部8が設けられている。
【0039】
第2領域112に複数の凸部8が設けられることで、流入口O11から流入した冷媒REは、複数の凸部8に衝突する。この衝突により、各凸部8の近傍には乱流渦V0が生じる。乱流渦V0が生じることで、冷媒REが攪拌される。このため、各凸部8の近傍では、過熱液層H1と、過熱液層H1の温度よりも低い温度である流入口O11から流入した冷媒REとが、混ざり合う。この冷媒REの乱流化により熱伝達率が上昇する。よって、伝熱面110から、流入口O11から流入した冷媒REに移動する熱エネルギーが増加する。この結果、複数の凸部8が設けられることで、複数の凸部8が設けられない場合に比べ、過熱液層H1が充分に厚くなる状態を流入口O11近傍に近づけることができる。よって、第1領域111の割合を大きくすることができる。それゆえ、伝熱面110のうち伝熱に寄与する領域を増加させることができる。このため、伝熱特性の向上を図ることができる。
【0040】
なお、
図7中の二点鎖線は、複数の凸部8が設けられていない場合の過熱液層H1の表面を示している。複数の凸部8が設けられていない場合、流入口O11近傍で過熱液層H1が充分に厚くなる状態を形成され難い。よって、気泡Bの成長できない領域、すなわち第1領域111の割合が狭くなってしまう。
【0041】
図8は、
図3に示す受熱部10における第1領域111および第2領域112を示す図である。
図9は、複数の凸部8が設けられていない場合の受熱部10xにおける第1領域111および第2領域112を示す図である。
【0042】
前述のように、複数の凸部8が設けられることで、乱流渦V0を生じさせることができる。このため、
図8に示す受熱部10では、
図9に示すように複数の凸部8が設けられていない受熱部10xに比べ、過熱液層H1で満たされている領域を広くすることができる。よって、
図8に示す受熱部10では、
図9に示す受熱部10xに比べ、伝熱面110における第1領域111の割合を大きくすることができる。すなわち、複数の凸部8が設けられることで、複数の凸部8が設けられていない場合に比べ、伝熱面110のうち伝熱に寄与する領域を広くすることができる。よって、複数の凸部8が設けられていることで、伝熱特性の向上を図ることができる。
【0043】
なお、冷媒REの流量または流速によって、
図8に示す受熱部10の流出口O12付近に乾いた領域が形成されるおそれがある。これは、受熱部10の構成に応じて、流量または流速を送液ポンプ70によって調整すればよい。ただし、複数の凸部8が設けられることで伝熱に寄与する第1領域111が従来よりも広くなる。このため、乾いた領域の形成を抑制するために、流量または流速を大きくしたとしても、複数の凸部8が設けられることで伝熱に寄与する第1領域111が従来よりも広くなる。よって、冷媒REの流量または流速によらず、複数の凸部8を設けることで、設けられていない場合に比べ、伝熱特性の向上を図ることができる。
【0044】
また、本実施形態では、第2領域112には、1つの凸部8ではなく、互いに離間する複数の凸部8が設けられる。複数の凸部8が設けられることで、1つの凸部8が設けられる場合に比べ、乱流渦V0により冷媒REがより効率良く攪拌される。このため、第1領域111の割合をより大きくすることができる。それゆえ、伝熱面110のうち伝熱に寄与する領域をより増加させることができる。
【0045】
また、第1領域111には、複数の凸部8が設けられていないことが好ましい。第1領域111に複数の凸部8が設けられてないことで、過熱液層H1が充分に過熱した状態が安定して維持される。ただし、伝熱面110には、複数の凸部8の高さHよりも低い高さを有する複数の突起が設けられてもよい。伝熱面110の特に第1領域111に当該複数の突起が設けられることで、第1領域111の表面積を大きくすることができる。よって、伝熱特性をさらに向上させることができる。したがって、第1領域111に複数の突起が設けられる場合、当該複数の突起の各高さは、複数の凸部8の高さHよりも低いことが好ましい。
【0046】
図10は、
図3の複数の凸部8の平面図である。
図11は、
図3の複数の凸部8の断面図である。
図10に示すように、各凸部8の平面視での形状は、Y1方向に沿った長手形状である。また、
図11に示すように、各凸部8の断面形状は、四角形である。
【0047】
図11に示すように、各凸部8は、底部801と先端部802とを含む。底部801は、第2領域112との接続部分であり、かつ境界部分である。先端部802は、底部801と反対の部分である。図示の例では、先端部802は、X―Y平面に平行な平坦面である。
【0048】
図10および
図11に示すように、各凸部8は、第1面81と第2面82とを含む。第1面81および第2面82のそれぞれは、各凸部8の側面の一部である。第1面81は流入口O11に面する。第2面82は流入口O11に面する。第1面81および第2面82は、互いに平行であり、Y-Z面に平行な平坦面である。
【0049】
前述のように、各凸部8は、Y1方向に沿って延在する。したがって、各凸部8は、冷媒REの流れる方向であるX1方向と交差する方向に延在する。また、複数の凸部8は、互いに平行で、X2方向に並ぶ。
【0050】
各凸部8が冷媒REの流れる方向と交差する方向に沿って延在することで、乱流渦V0を生じさせ易い。このため、過熱液層H1と、過熱液層H1の温度よりも低い温度である流入口O11から流入した冷媒REとを効果的に混ざり合わせることができる。よって、各凸部8が冷媒REの流れる方向と交差する方向に沿って延在することで、各凸部8が冷媒REの流れる方向に沿って延在する場合に比べ、第1領域111の割合を大きくすることができる。
【0051】
なお、各凸部8は、冷媒REの流れる方向に沿って延在してもよいし、冷媒REの流れる方向に対して所定の角度θで傾斜した方向に延在してもよい。特に、各凸部8は、冷媒REの流れる方向に対して直交する方向に延在していることが好ましい。すなわち、凸部8は、冷媒REの流れる方向に対してθ=90°に近い範囲で傾斜した方向に延在していることが好ましい。また、複数の凸部8は互いに平行でなくてもよい。
【0052】
図11に示すように、各凸部8の平均の幅Wは、各凸部8の平均の高さHよりも小さい。幅Wは、冷媒REの流れる方向に沿った長さであって、X1方向に沿った長さである。高さHは、各凸部8の伝熱面110からの突出方向の長さであって、Z軸に沿った方向の長さである。また、本実施形態では、複数の凸部8の高さHは、互いに等しい。また、複数の凸部8の幅Wは、互いに等しい、
【0053】
幅Wが高さHよりも小さいことで、高さHよりも大きい場合に比べ、伝熱面110のうちの狭い領域により多くの凸部8を設けることができる。このため、冷媒REの乱流化を図り易い。それゆえ、伝熱面110のうち伝熱に寄与する領域を増加させることができる。なお、高さHは、幅W以上でもよい。
【0054】
また、
図11に示すように、各凸部8の平均の高さHは、特に限定されないが、平面での冷媒REの沸騰により生じる気泡Bの離脱気泡径Ddよりも大きく、かつ、内部空間S1の平均の幅W1の0.25倍よりも小さいことが好ましい。幅W1は、
図8に示すように、冷媒REの流れる方向と交差する方向に沿った長さであって、Z軸に沿った方向の長さである。
【0055】
高さHが離脱気泡径Ddよりも大きいことで、離脱気泡径Dd以下である場合に比べ、過熱液層H1の厚さを充分に厚くすることができる。また、高さHが幅W1の0.25倍よりも小さいことで、0.25以上である場合に比べ、冷媒REの流れが複数の凸部8で阻害されるおそれを低減することができる。このため、流出口O12の近傍に伝熱に寄与しない乾き領域が形成されるおそれを抑制することができる。このようなことから、高さHが離脱気泡径Ddよりも大きく、かつ幅W1の0.25倍よりも小さいことで、離脱気泡径Dd以下、かつ幅W1の0.25倍以上である場合に比べ、伝熱に寄与する領域である第2領域112を広げることができる。よって、伝熱特性の向上を効果的に図ることができる。
【0056】
なお、離脱気泡径Ddは、例えば、減圧場での純水に対するCole and Rohsenowの式を用いた計算により求められる。また、離脱気泡径Ddは、例えば、カメラ等の撮像装置を用いて計測してもよい。この場合、離脱気泡径Ddは、冷媒REに強制対流が生じていない状態で計測される。
【0057】
図11に示すように、複数の凸部8の離間距離Lは、特に限定されないが、複数の凸部8のそれぞれの高さの1倍以上であり、2倍以下であることが好ましい。離間距離Lがかかる範囲であることで、範囲外である場合に比べ、凸部8ごとに乱流渦V0を生じさせ易く、かつ伝熱面110のうちの狭い領域により多くの凸部8を設けることができる。このため、冷媒REの乱流化を図り易い。それゆえ、伝熱面110のうち伝熱に寄与する領域である第2領域112を増加させることができる。なお、離間距離Lは、1つの凸部8と他の凸部8との間の距離の平均値である。
【0058】
また、前述のように、
図1に示す第2管部40には、送液ポンプ70が設けられる。送液ポンプ70が設けられる形態において、複数の凸部8を設けることは特に有効である。送液ポンプ70により輸送された冷媒REが各凸部8に衝突することにより乱流渦V0を発生させ易い。よって、送液ポンプ70が設けられる形態において、複数の凸部8を設けることで、伝熱特性の向上を特に効果的に図ることができる。また、送液ポンプ70によって冷媒REの流量または流速を調整することで、流出口O12近傍に乾いた領域が生じるそれを低減することができる。
【0059】
また、前述のように、冷媒REには、活性界面剤が添加されていることが好ましい。冷媒REに界面活性剤が添加されていることで、表面張力を小さくできるので、気泡Bの内外の圧力差を小さくすることができる。このため、気泡Bを成長させ易くなる。さらに、界面活性剤を含むことで、クーロン力等により、隣接する気泡B同士の合体を抑制することができる。この結果、合体した気泡Bにより伝熱面110が覆われることが抑制される。すなわち、隣接する気泡B同士の合体により形成された乾き領域が生じるおそれが抑制される。
【0060】
図12は、気泡Bの発生を説明するための図である。
図12では、例えば、3つの気泡Ba、Bb、およびBcが図示されている。冷媒REに界面活性剤が添加されていることで、気泡Ba、BbおよびBcのそれぞれは発生し易い。また、気泡Ba、BbおよびBcは、界面活性剤の作用により互いの合体が抑制されつつ、成長する。
【0061】
図13は、気泡Bの成長を説明するための図である。
図13に示すように、気泡Ba、BbおよびBcのそれぞれの成長が進行すると、伝熱面110に沿う方向すなわちX-Y平面に沿う方向での気泡Baの成長は、気泡BbおよびBcにより制限される。この結果、気泡Baは、Z軸に沿った方向に成長し易くなる。これは、界面活性剤の作用により気泡Ba、BbおよびBcの合体が抑制されるからである。また、気泡Baは、その成長に伴って、気泡Bbと気泡Bcとの間に挟まれた状態で浮力が作用する。当該作用により、気泡Baは、くびれた形状に変形していく。
【0062】
図14は、気泡Bの離脱を説明するための図である。
図14に示すように、気泡Ba、BbおよびBcのそれぞれの成長がさらに進行すると、気泡Baが伝熱面110から離脱する。このとき、
図14に示すように、気泡Baは、気泡Ba1と気泡Ba2とに分離する。気泡Ba1は、伝熱面110から離脱する。気泡Ba2は、残留気泡として伝熱面110上に残る。その後、気泡Ba2は、新たな気泡Bの発生のための核として機能する。
【0063】
このように、気泡Baが伝熱面110上に残ることにより、気泡Bの発生周期を短くすることができる。このため、単位時間あたりに離脱する気泡数を増加させることができる。よって、沸騰伝熱性能を高めることができる。また、界面活性剤分子の反発によって隣り合う気泡B同士の合体が抑制されることで、大型な気泡Bの形成が抑制される。このため、大型な気泡Bにより伝熱面110が覆われることによる前述の弊害を抑制することができる。以上のように、冷媒REが界面活性剤を含むことで、沸騰伝熱性能を高めるので、沸騰冷却器1の冷却性能を向上させることができる。
【0064】
以上、本実施形態によれば、伝熱に寄与する領域の割合を広くすることができるので、伝熱特性の低下を抑制することができる。
【0065】
2.変形例
本発明は前述の各実施形態に限定されるものではなく、以下に述べる各種の変形が可能である。
【0066】
図15は、第1変形例の複数の凸部8Aの断面図である。
図15に示す例では、各凸部8Aは、底部801から先端部802に向かって先細りの形状を有する。各凸部8Aの断面形状は、三角形である。第1面81および第2面82が互いに平行ではない。第1面81および第2面82のそれぞれは、各凸部8Aの突出方向であるZ軸に沿った方向に対して傾斜している。また、第1面81および第2面82は、凸部8Aの頂点で接続されている。当該頂点が、先端部802である。
【0067】
各凸部8Aが先細りの形状を有することで、実施形態の各凸部8に比べ、冷媒REが乱流化し易い。また、各凸部8Aが先細りの形状を有することで、頂点における離間距離が広くなる。このため、底部801における離間距離を小さくすることができるので、第2領域112を狭くし易い。
【0068】
図16は、第2変形例の複数の凸部8Bの断面図である。
図16に示す例では、各凸部8Bは、底部801から先端部802に向かって先細りの形状を有する。各凸部8Bの断面形状は、台形である。第1面81および第2面82が互いに平行ではない。第1面81および第2面82のそれぞれは、各凸部8Bの突出方向であるZ軸に沿った方向に対して傾斜している。
【0069】
各凸部8Bが先細りの形状を有することで、実施形態の各凸部8に比べ、冷媒REが乱流化し易い。また、各凸部8Bが先細りの形状を有することで、先端部802における離間距離が広くなる。このため、底部801における離間距離を小さくすることができるので、第2領域112を狭くし易い。
【0070】
図17は、第3変形例の複数の凸部8Cの断面図である。
図17に示す例では、各凸部8Cは、底部801から先端部802に向かって先細りの形状を有する。各凸部8Cの断面形状は、直角三角形である。第1面81および第2面82が互いに平行ではない。第1面81は、各凸部8Bの突出方向であるZ軸に沿った方向に平行である。第2面82は、Z軸に沿った方向に対して傾斜している。また、第1面81および第2面82は、凸部8Cの頂点で接続されている。当該頂点が、先端部802である。
【0071】
各凸部8Cが先細りの形状を有することで、実施形態の各凸部8に比べ、冷媒REが乱流化し易い。また、各凸部8Cが先細りの形状を有することで、先端部802における離間距離が広くなる。このため、底部801における離間距離を小さくすることができるので、第2領域112を狭くし易い。
【0072】
さらに、伝熱面110と第1面81とのなす角度θ1は、伝熱面110と第2面82とのなす角度θ2よりも大きい。図示の例では、第1面81の角度θ1は、90°である。
【0073】
角度θ1が角度θ2よりも大きいことで、冷媒REが第1面81に衝突して乱流渦V0を発生させ易くなるとともに、第2面82と伝熱面110との接続部分において冷媒REの攪拌が生じ難くなることが抑制される。各凸部8Cが設けられることで、実施形態の各凸部8が設けられる場合に比べ、乱流化を図り易くなる。
【0074】
図18は、第4変形例の複数の凸部8の断面図である。
図18に示す例では、実施形態と同平面積の領域内に配置される複数の凸部8の数が多い。凸部8の数が多いことで、冷媒REが乱流化し易い。
【0075】
図19は、第5変形例の複数の凸部8の断面図である。
図19に示す各凸部8の幅Wは、実施形態の各凸部8の幅Wよりも小さい。幅Wが小さいことで、離間距離Lを広くし易い。このため、複数の凸部8の間に冷媒REが入り易く、よって、乱流化を図り易い。
【0076】
図20は、第6変形例の複数の凸部8の断面図である。
図20に示す複数の凸部8は、互いに高さHが異なる。複数の凸部8の高さHは、流入口O11から流出口O12に向かって高くなる。複数の凸部8の高さHが互いに異なることで、高さHが互いに等しい場合に比べ、乱流化を図ることができる。特に、流入口O11から流出口O12に向かって高くなることで、低くなっていく場合に比べ、過熱液層H1と、流入口O11から流入した冷媒REとを効率良く攪拌させることができる。
【0077】
図21は、第7変形例の複数の凸部8の断面図である。
図21に示す複数の凸部8は、互いに高さHが異なる。例えば、図中の最も左に位置する凸部8の高さHは、図中の左から数えて2番目に位置する凸部8の高さHに比べて低い。また、例えば、図中の左から数えて3番目に位置する凸部8の高さHは、図中の左から数えて4番目に位置する凸部8の高さHに比べて低い。高さHが異なる凸部8が設けられることで、全ての高さHが互いに等しい場合に比べ、乱流化を図ることができる。
【0078】
また、前述の実施形態では、各凸部8の平面形状は、長手形状であるが、各凸部8の平面形状は、長手形状でなくてもよい。例えば、各凸部8の平面形状は、円形、または三角形等の多角形でもよい。また、複数の凸部8の形状は互いに等しくなくてもよい。また、複数の凸部8は、点在していてもよい。
【0079】
以上、本発明について図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。また、本発明の各部の構成は、前述した実施形態の同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。
【符号の説明】
【0080】
1…沸騰冷却器、8…凸部、8A…凸部、8B…凸部、8C…凸部、9…発熱体、10…受熱部、10x…受熱部、11…第1部分、12…第2部分、20…放熱部、30…第1管部、40…第2管部、41…液管、42…液管、43…液管、44…液管、50…冷媒貯留部、60…冷却部、70…送液ポンプ、81…第1面、82…第2面、100…内壁面、101…容器、110…伝熱面、111…第1領域、112…第2領域、801…底部、802…先端部、B…気泡、Ba…気泡、Ba1…気泡、Ba2…気泡、Bb…気泡、Bc…気泡、Dd…離脱気泡径、H…高さ、H1…過熱液層、L…離間距離、O11…流入口、O12…流出口、RE…冷媒、S1…内部空間、S2…凝縮空間、S5…貯留空間、S6…冷却空間、S7…流路、Tb…液体温度、Tw…液体温度、V0…乱流渦、δ…厚さ、θ1…角度、θ2…角度。