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特開2024-140218マンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140218
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】マンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
   B66B 23/20 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B66B23/20
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051253
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-01-31
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上垣 康司
(72)【発明者】
【氏名】趙 輝
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321AA10
3F321CF19
(57)【要約】
【課題】 手摺ベルトが伸縮した場合でも、手摺ベルトに張力を付与し続けることができるマンコンベヤ欄干装置を提供する。
【解決手段】 マンコンベヤ欄干装置は、駆動輪とで手摺ベルトを挟む挟み装置と、手摺ベルトに張力を付与するために、手摺ベルトに力を加える張力装置と、を備え、張力装置は、位置が固定される張力本体部と、張力本体部に対して移動可能であり、手摺ベルトに接する張力当接部と、伸縮することによって張力当接部が張力本体部に対して移動し、張力当接部を介して手摺ベルトにばね力を加える張力スプリングと、を備える。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端環状の手摺ベルトと、
前記手摺ベルトに駆動を伝達するために、前記手摺ベルトに接する回転可能な駆動輪と、
前記駆動輪とで前記手摺ベルトを挟む挟み装置と、
前記手摺ベルトに張力を付与するために、前記手摺ベルトに力を加える張力装置と、を備え、
前記張力装置は、
位置が固定される張力本体部と、
前記張力本体部に対して移動可能であり、前記手摺ベルトに接する張力当接部と、
伸縮することによって前記張力当接部が前記張力本体部に対して移動し、前記張力当接部を介して前記手摺ベルトにばね力を加える張力スプリングと、を備える、マンコンベヤ欄干装置。
【請求項2】
前記挟み装置は、
位置が固定される挟み本体部と、
前記挟み本体部に対して移動可能であり、前記手摺ベルトに接する挟み当接部と、
伸縮することによって前記挟み当接部が前記挟み本体部に対して移動し、前記挟み当接部を介して前記手摺ベルトにばね力を加える挟みスプリングと、を備え、
前記張力スプリングのばね定数は、前記挟みスプリングのばね定数よりも、小さい、請求項1に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項3】
前記張力スプリングは、シリンダと、前記シリンダに対して伸縮方向に移動可能なロッドとを備えることによって、前記伸縮方向に伸縮可能なガススプリングであり、
前記シリンダ及び前記ロッドのうち、一方は、前記張力本体部に接続され、他方は、前記張力当接部に接続される、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項4】
前記張力装置は、前記張力スプリングが第1収縮状態から縮むことを規制するために、前記張力当接部を当て止め可能な規制部をさらに備える、請求項3に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項5】
前記張力装置は、前記張力スプリングが第2収縮状態から伸びることを規制する状態と当該規制を解除する状態とに切り替え可能な切替部をさらに備える、請求項3に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項6】
前記張力装置は、前記張力当接部を前記伸縮方向へガイドするガイド装置を備え、
前記ガイド装置は、前記伸縮方向へ延びるレールと、前記レールに対して前記伸縮方向へ移動するキャリッジとを備えるリニアガイドであって、
前記レール及び前記キャリッジのうち、一方は、前記張力本体部に対して固定され、他方は、前記張力当接部に対して固定される、請求項3に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のマンコンベヤ欄干装置を備える、マンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、マンコンベヤ欄干装置は、無端環状の手摺ベルトと、手摺ベルトに駆動を伝達するために、手摺ベルトに接しながら回転する駆動輪と、駆動輪とで手摺ベルトを挟む挟み装置と、手摺ベルトに張力を付与するために、手摺ベルトに力を加える張力装置と、を備えている(例えば、特許文献1及び2)。
【0003】
ところで、特許文献1及び2に係るマンコンベヤ欄干装置においては、張力装置は、手摺ベルトに接する張力当接部を備えており、張力当接部の位置は、固定されている。それに対して、例えば、温度及び湿度の条件や経年変化等により、手摺ベルトが伸縮した場合には(特許文献1及び2に係るマンコンベヤ欄干装置においては、手摺ベルトが伸びた場合には)、張力当接部が手摺ベルトから離れ、張力装置で手摺ベルトに張力を付与できない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-160086号公報
【特許文献2】特開2017-159974号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、手摺ベルトが伸縮した場合でも、手摺ベルトに張力を付与し続けることができるマンコンベヤ欄干装置及びマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤ欄干装置は、無端環状の手摺ベルトと、前記手摺ベルトに駆動を伝達するために、前記手摺ベルトに接する回転可能な駆動輪と、前記駆動輪とで前記手摺ベルトを挟む挟み装置と、前記手摺ベルトに張力を付与するために、前記手摺ベルトに力を加える張力装置と、を備え、前記張力装置は、位置が固定される張力本体部と、前記張力本体部に対して移動可能であり、前記手摺ベルトに接する張力当接部と、伸縮することによって前記張力当接部が前記張力本体部に対して移動し、前記張力当接部を介して前記手摺ベルトにばね力を加える張力スプリングと、を備える。
【0007】
マンコンベヤは、前記のマンコンベヤ欄干装置を備える。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るマンコンベヤの概略図
図2】同実施形態に係る挟み装置の正面図
図3】同実施形態に係る張力装置の正面図
図4】同実施形態に係る張力装置の斜視図
図5】同実施形態に係る張力装置の側面図
図6】同実施形態に係る張力装置の動作を示す図
図7】同実施形態に係る各スプリングのばね定数を示す図
図8】同実施形態に係る張力装置の設置方法の説明図であって、張力スプリングが第2収縮状態から延びることを規制された状態を示す図
図9】同実施形態に係る張力装置の設置方法の説明図であって、構造体の一部を示す図
図10】同実施形態に係る張力装置の設置方法の説明図であって、張力装置が構造体に固定された状態を示す図
図11】同実施形態に係る張力装置の設置方法の説明図であって、張力スプリングの延びの規制が解除された状態を示す図
図12】他の実施形態に係る挟み装置の正面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0010】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0011】
以下、マンコンベヤ及びマンコンベヤ欄干装置における一実施形態について、図1図11を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、マンコンベヤ及びマンコンベヤ欄干装置の構成等の理解を助けるために例示するものであり、マンコンベヤ及びマンコンベヤ欄干装置の構成を限定するものではない。
【0012】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対のマンコンベヤ欄干装置(以下、単に「欄干装置」ともいい、図1においては、一つのみ図示している)4と、搬送部3及び欄干装置4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する処理部6とを備えていてもよい。
【0013】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である第1横方向(「幅方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、第1横方向D1と直交する第2横方向(「前後方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、第1横方向D1及び第2横方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0014】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0015】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって無端回転する環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとすることができる。
【0016】
また、例えば、走行部3aは、第1横方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、例えば、それぞれの走行部3aに対して第1横方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0017】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられて且つ第1横方向D1を軸にして回転する第1駆動輪5a及び従動輪5bと、第1駆動輪5aを回転させる駆動源5cと、駆動源5cの駆動を第1駆動輪5aに伝達する第1伝達部5dとを備えていてもよい。特に限定されないが、各輪5a,5bは、例えば、スプロケットとしてもよく、また、駆動源5cは、例えば、モータとしてもよく、また、第1伝達部5dは、例えば、ベルトやチェーンとしてもよい。
【0018】
欄干装置4は、例えば、本実施形態のように、回転して走行する無端環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。特に限定されないが、手摺ベルト4aは、例えば、可撓性を有する材質(例えば、ポリウレタン等の樹脂)で形成されるベルト本体と、ベルト本体の内部や表面に配置される補強材(例えば、コード、帆布等)とを備えていてもよい。
【0019】
また、欄干装置4は、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4aに駆動を伝達するために、手摺ベルト4aに接する回転可能な第2駆動輪4dと、第1駆動輪5aの駆動を第2駆動輪4dに伝達する第2伝達部4eとを備えていてもよい。特に限定されないが、第2駆動輪4dは、例えば、プーリとしてもよく、また、第2伝達部4eは、例えば、ベルトやチェーンとしてもよい。
【0020】
これにより、走行部3a及び手摺ベルト4aは、共通の駆動源5cからの駆動を受けることによって、走行している。したがって、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期している。そして、手摺ベルト4aの走行速度は、ステップ3bの走行速度に比例している(具体的には、ステップ3bの走行速度と同じである)。
【0021】
欄干装置4は、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4aが第2駆動輪4dに加圧して接するように、第2駆動輪4dとで手摺ベルト4aを挟む挟み装置10を備えていてもよい。なお、挟み装置10の個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、一つでもよく、また、例えば、複数でもよい。
【0022】
また、欄干装置4は、手摺ベルト4aに張力を付与するために、手摺ベルト4aに力を加える張力装置20を備えていてもよい。なお、張力装置20の個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、一つでもよく、また、例えば、複数でもよい。
【0023】
図2に示すように、挟み装置10は、例えば、位置が固定される挟み本体部11と、挟み本体部11に対して移動可能であり、手摺ベルト4aに接する挟み当接部12と、伸縮することによって挟み当接部12が挟み本体部11に対して移動し、挟み当接部12を介して手摺ベルト4aにばね力を加える挟みスプリング13とを備えていてもよい。
【0024】
挟みスプリング13は、例えば、本実施形態のように、第1伸縮方向D4へ伸縮可能なばねスプリング(弦巻ばね)としてもよい。なお、挟みスプリング13の個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、一つでもよく、また、例えば、複数でもよい。
【0025】
挟み本体部11は、例えば、本実施形態のように、構造体2の第1取付部2aに固定される第1固定部11aと、構造体2の第2取付部2bに固定される第2固定部11bとを備えていてもよい。これにより、挟み本体部11の各固定部11a,11bの位置は、構造体2に対して、固定されている。
【0026】
第1固定部11aは、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4aに接触可能な固定ローラ11cを備えていてもよい。なお、固定ローラ11cの軸心の位置は、構造体2に対して固定されている。即ち、固定ローラ11cの位置は、構造体2に対して固定されている。
【0027】
挟み当接部12は、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4aに接する挟み接触部12aと、挟み接触部12aが挟み本体部11に対して移動可能となるように、挟み本体部11と挟み接触部12aとを接続する接触接続部12bと、第2固定部11bに対して第1伸縮方向D4へ移動可能となるように、第2固定部11bに接続される固定接続部12cとを備えていてもよい。
【0028】
挟み接触部12aの構成は、特に限定されない。挟み接触部12aは、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4a上を転動するローラ(「移動ローラ」ともいう)12aとしてもよく、また、例えば、手摺ベルト4aがスライドするスライド面としてもよい。また、移動ローラ12aの個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、複数(図2においては、五つ)でもよく、また、例えば、一つでもよい。
【0029】
また、例えば、本実施形態のように、接触接続部12bは、複数のリンクを互いに回転可能に繋げることによって構成され、接触接続部12bの第1端は、第1固定部11aに回転可能に接続され、接触接続部12bの第2端は、固定接続部12cに回転可能に接続されている、という構成でもよい。
【0030】
固定接続部12cは、例えば、本実施形態のように、第1伸縮方向D4に延びて且つ第2固定部11bの貫通孔(図示していない)に挿通される棒状部12dと、棒状部12dに固定され、挟みスプリング13を第2固定部11bとの間で保持する保持部12eとを備えていてもよい。これにより、棒状部12dが第1伸縮方向D4へ移動することに伴って、挟みスプリング13は、伸縮する。
【0031】
そして、例えば、本実施形態のように、挟みスプリング13が、第2固定部11bと保持部12eとによって、弾性変形した状態(具体的には、収縮した状態)で保持されていてもよい。これにより、挟みスプリング13の伸縮(具体的には、収縮)によるばね力は、挟み当接部12の挟み接触部12aを介して、手摺ベルト4aに加えられる。
【0032】
そして、挟み当接部12が手摺ベルト4aの外周面に接し、且つ、第2駆動輪4dが手摺ベルト4aの内周面に接する。したがって、挟み当接部12と第2駆動輪4dが手摺ベルト4aを挟み込むため、手摺ベルト4aは、第2駆動輪4dに加圧して接する。これにより、例えば、手摺ベルト4aが第2駆動輪4dに対して滑ることを抑制することができる。
【0033】
その結果、第2駆動輪4dの駆動を手摺ベルト4aに確実に伝達することができる。なお、本実施形態においては、挟み当接部12が手摺ベルト4aに加える力の方向は、挟みスプリング13の第1伸縮方向D4と、異なる方向(交差する方向)である。
【0034】
挟み装置10の構成は、特に限定されない。例えば、挟み装置10は、第2駆動輪4dとで手摺ベルト4aを挟む、という構成であればよい。また、例えば、挟み装置10は、手摺ベルト4aに、挟みスプリング13の伸縮によるばね力が加えられることによって、手摺ベルト4aが第2駆動輪4dに加圧して接する、という構成が好ましい。
【0035】
図3図5に示すように、張力装置20は、例えば、位置が固定される張力本体部21と、張力本体部21に対して移動可能であり、手摺ベルト4aに接する張力当接部22と、伸縮することによって張力当接部22が張力本体部21に対して移動し、張力当接部22を介して手摺ベルト4aに力を加える張力スプリング23とを備えていてもよい。
【0036】
また、張力装置20は、例えば、本実施形態のように、張力当接部22をガイドするガイド装置24と、張力スプリング23が第1収縮状態から縮むことを規制する規制部25と、張力スプリング23が第2収縮状態から伸びることを規制する状態(規制状態)と当該規制を解除する状態(規制解除状態)とに切り替え可能な切替部26とを備えていてもよい。
【0037】
張力本体部21は、例えば、本実施形態のように、構造体2の第3取付部2c(図9及び図10参照)に固定される板状の本体板状部21aと、本体板状部21aに固定される本体ブラケット21bとを備えていてもよい。これにより、張力本体部21の本体板状部21a及び本体ブラケット21bの位置は、構造体2に対して、固定されている。
【0038】
張力当接部22は、例えば、本実施形態のように、本体板状部21aと対面して配置される板状の当接板状部22aと、当接板状部22aに固定される当接ブラケット22bと、当接板状部22aに固定され、手摺ベルト4aに接する張力接触部22cとを備えていてもよい。
【0039】
張力接触部22cの構成は、特に限定されない。張力接触部22cは、例えば、本実施形態のように、手摺ベルト4aがスライドするスライド面としてもよく、また、例えば、手摺ベルト4a上を転動するローラとしてもよい。
【0040】
張力スプリング23は、例えば、本実施形態のように、シリンダ23aと、シリンダ23aに対して第2伸縮方向D5に移動可能なロッド23bとを備えることによって、第2伸縮方向D5に伸縮可能なガススプリングとしてもよい。なお、張力スプリング23の個数は、特に限定されず、例えば、本実施形態のように、二つでもよく、また、例えば、一つ又は三つ以上でもよい。
【0041】
そして、例えば、本実施形態のように、シリンダ23aの端部は、張力本体部21の本体板状部21aに回転可能に接続され、ロッド23bの端部は、張力当接部22の当接板状部22aに回転可能に接続されている、という構成でもよい。これにより、張力スプリング23が第2伸縮方向D5へ伸縮することによって、張力当接部22は、張力本体部21に対して第2伸縮方向D5へ移動可能である。
【0042】
そして、張力スプリング23が、張力当接部22に第2伸縮方向D5への力を加えるため、張力スプリング23の伸縮(具体的には、収縮)によるばね力は、張力当接部22の張力接触部22cを介して、手摺ベルト4aに加えられる。このように、本実施形態においては、張力当接部22が手摺ベルト4aに加える力の方向は、張力スプリング23の第2伸縮方向D5と、同じ方向(平行な方向)である。
【0043】
また、特に限定されないが、ガススプリングである張力スプリング23においては、例えば、シリンダ23aの内部に、ガス(例えば、加圧された窒素ガス)や、摩擦を小さくするためのオイルが封入されていてもよい。なお、特に限定されないが、ガススプリングの当該ガスの圧力やオイルの量等を設定することによって、例えば、同じ力を発生するバネスプリングと比較して、小型化することもできる。
【0044】
また、ガススプリングである張力スプリング23においては、一般的に、第2伸縮方向D5と交差する方向の機械強度は、小さい。そこで、ガイド装置24は、例えば、本実施形態のように、第2伸縮方向D5へ延びるレール24aと、レール24aに対して第2伸縮方向D5へ移動するキャリッジ24bとを備えるリニアガイド(リニア軸受)であってもよい。
【0045】
そして、例えば、本実施形態のように、レール24aは、張力本体部21の本体板状部21aに対して固定され、キャリッジ24bは、張力当接部22の当接板状部22aに対して固定されている、という構成でもよい。これにより、張力当接部22が、リニアガイドであるガイド装置24によって、第2伸縮方向D5へガイドされるため、張力当接部22が張力本体部21に対して第2伸縮方向D5へ確実に移動する。
【0046】
したがって、張力当接部22が張力本体部21に対して移動するときに、ガススプリングである張力スプリング23に対して、第2伸縮方向D5と交差する方向へ力が働くことを抑制することができる。その結果、例えば、ガススプリングである張力スプリング23が損傷することを抑制することができる。
【0047】
なお、ガイド装置24は、特に限定されず、例えば、レール24a上をキャリッジ24bがスライドするリニアガイド(滑りリニア軸受)であってもよく、また、例えば、レール24aとキャリッジ24bとの間を転動する転動体(ボール、ローラ)を備えるリニアガイド(玉循環リニア軸受)であってもよい。
【0048】
また、ガススプリングである張力スプリング23においては、一般的に、縮み過ぎることに対する機械強度は、小さい。そこで、規制部25は、例えば、本実施形態のように、張力スプリング23が第1収縮状態から縮むことを規制するために、張力当接部22を当て止め可能な第1当止部25aを備えていてもよい。なお、規制部25の構成は、特に限定されない。
【0049】
規制部25は、例えば、本実施形態のように、本体ブラケット21bの雌ネジ部21cと螺合する第1雄ネジ材25bを備えていてもよい。これにより、規制部25は、本体ブラケット21bから当接ブラケット22bへ向けて、第2伸縮方向D5へ延びており、第1当止部25aは、規制部25の先端に配置されている。
【0050】
したがって、張力スプリング23が第1収縮状態のときに、第1当止部25aが当接ブラケット22bを当て止めするため、張力スプリング23が第1収縮状態から縮むことは、規制される。その結果、張力スプリング23が縮み過ぎること抑制することができるため、例えば、ガススプリングである張力スプリング23が損傷することを抑制することができる。
【0051】
また、本実施形態においては、規制部25が、本体ブラケット21bの雌ネジ部21cと螺合する第1雄ネジ材25bを備え、且つ、第1当止部25aが、規制部25の第1雄ネジ材25bの先端に位置しているため、第1当止部25aの位置は、張力本体部21に対して変位可能である。したがって、第1当止部25aを所望位置に位置することによって、例えば、張力スプリング23の第1収縮状態の収縮量、即ち、規制部25がさらに縮むことを規制するときの張力スプリング23の収縮量を、所望の収縮量に変更することができる。
【0052】
切替部26は、例えば、本実施形態のように、張力当接部22を当て止め可能な第2当止部26aを備えていてもよい。第2当止部26aは、張力スプリング23が第2収縮状態のときに、張力当接部22を当て止めする当止位置(図3図5の二点鎖線の位置)と、張力当接部22から離れる退避位置(図3図5の実線の位置)とに変位可能であってもよい。なお、切替部26の構成は、特に限定されない。
【0053】
例えば、本実施形態のように、切替部26は、本体ブラケット21bに固定される第2雄ネジ材26bを備え、第2雄ネジ材26bは、当接ブラケット22bの貫通孔22dに挿通され、第2当止部26aは、第2雄ネジ材26bと螺合する雌ネジ材26aで構成される、という構成でもよい。
【0054】
これにより、第2雄ネジ材26bに対する雌ネジ材26aの位置を変更することによって、第2当止部26aを、当止位置と退避位置との間で変位させることができる。したがって、第2当止部26aが当止位置に位置することによって、切替部26が規制状態となり、また、第2当止部26aが退避位置に位置することによって、切替部26が規制解除状態となる。
【0055】
また、本実施形態においては、第2当止部26aが、第2雄ネジ材26bと螺合する雌ネジ材26aで構成されるため、第2当止部26aの位置は、張力本体部21に対して変位可能である。したがって、第2当止部26aを所望位置に位置することによって、例えば、張力スプリング23の第2収縮状態の収縮量、即ち、切替部26が収縮状態から伸びることを規制するときの張力スプリング23の収縮量を、所望の収縮量に変更することができる。
【0056】
なお、張力装置20の構成は、特に限定されない。例えば、張力装置20は、手摺ベルト4aに、張力スプリング23の伸縮によるばね力が加えられることによって、手摺ベルト4aに張力が付与される、という構成であればよい。
【0057】
次に、本実施形態に係る欄干装置4の動作について、図6及び図7を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、欄干装置4の動作等の理解を助けるために例示するものであり、欄干装置4の動作等を限定するものではない。
【0058】
マンコンベヤ1が稼働している場合には、切替部26は、規制解除状態にされている。特に限定されないが、例えば、第2当止部26aの退避位置は、張力スプリング23が完全に伸びたときに、張力当接部22を当て止めする位置に設定されていてもよい。そして、例えば、温度及び湿度の条件や経年変化等により、手摺ベルト4aが伸縮する場合がある。
【0059】
例えば、手摺ベルト4aが伸びた場合には、図6に示すように、張力スプリング23が伸びることによって、張力当接部22が張力本体部21に対して移動するため、張力当接部22は、手摺ベルト4aに接する。これにより、張力スプリング23が張力当接部22を介して手摺ベルト4aにばね力を加えるため、手摺ベルト4aが伸びた場合でも、手摺ベルト4aに張力を付与し続けることができる。
【0060】
また、図示しないが、例えば、手摺ベルト4aが縮んだ場合には、張力スプリング23が縮むことによって、張力当接部22が張力本体部21に対して移動し、張力当接部22は、手摺ベルト4aに接することを維持する。これにより、張力スプリング23が張力当接部22を介して手摺ベルト4aにばね力を加えるため、手摺ベルト4aが縮んだ場合でも、手摺ベルト4aに張力を付与し続けることができる。
【0061】
ところで、手摺ベルト4aが伸縮した場合に、張力当接部22が張力本体部21に対して移動する距離は、挟み当接部12が挟み本体部11に対して移動する距離よりも、大きくなる。具体的には、手摺ベルト4aが伸縮した場合には、張力当接部22が張力本体部21に対して移動する一方で、挟み当接部12は、挟み本体部11に対して殆ど移動しない。
【0062】
そこで、図7に示すように、例えば、張力スプリング23のばね定数が、挟みスプリング13のばね定数よりも、小さい、という構成が好ましい。これにより、手摺ベルト4aが伸縮する前後において、手摺ベルト4aに付与される張力の大きさの変化を小さくすることができる。
【0063】
具体的には、張力スプリング23の収縮距離が変化(S2→S1:ΔS)する前後において、手摺ベルト4aに付与される張力の大きさの変化(F2→F1:ΔF)を小さくすることができる。したがって、例えば、手摺ベルト4aが伸縮した場合でも、手摺ベルト4aに適切な大きさの張力を付与し続けることができる。
【0064】
なお、図7において、グラフK1は、挟みスプリング13の収縮距離に対する発生するばね力を示すグラフであり、グラフK2は、張力スプリング23の収縮距離に対する発生するばね力を示すグラフである。そして、図7においては、図3の状態が、伸縮距離S2及びばね力F2で示されており、図6の状態が、伸縮距離S1及びばね力F1で示されている。
【0065】
また、特に限定されないが、例えば、挟みスプリング13のばね定数に対する張力スプリング23のばね定数の比率は、例えば、20%以下であってもよく、また、例えば、10%以下であることが好ましく、また、例えば、5%以下であることがより好ましい。これにより、例えば、手摺ベルト4aが伸縮する前後において、手摺ベルト4aに付与される張力の大きさの変化を、さらに小さくすることができる。
【0066】
次に、本実施形態に係る張力装置20の設置方法(即ち、欄干装置4の製造方法)について、図8図11を参照しながら説明する。なお、以下の説明は、張力装置20の設置方法(欄干装置4の製造方法)等の理解を助けるために例示するものであり、張力装置20の設置方法(欄干装置4の製造方法)等を限定するものではない。
【0067】
例えば、図8に示すように、張力装置20を設置する場合には、切替部26は、規制状態にされている。特に限定されないが、例えば、張力スプリング23が第2収縮状態のときに発生するバネ力が、手摺ベルト4aに付与したい張力となるように、第2当止部26aの当止位置は、設定されていてもよい。
【0068】
なお、図9に示すように、構造体2は、例えば、枠材2dに固定される第3取付部2cを備えていてもよい。第3取付部2cは、例えば、本実施形態のように、張力装置20の張力本体部21の位置を調整できる調整部2eを備えていてもよい。調整部2eは、例えば、本実施形態のように、張力本体部21と第3取付部2cとを固定する締結手段(例えば、ボルト及びナット)が挿通される長孔であってもよい。
【0069】
そして、例えば、図10に示すように、手摺ベルト4aが張力当接部22に密着するように、張力本体部21の位置が調整されて、張力本体部21は、第3取付部2cに固定される。なお、図10においては、規制部25の第1当止部25aが張力当接部22から離れているが、例えば、規制部25の第1当止部25aと、切替部26の第2当止部26aとは、張力当接部22の当接ブラケット22bを挟み込んでいてもよい。
【0070】
その後、例えば、図11に示すように、第2当止部26aが退避位置に位置され、切替部26は、規制解除状態にされる。これにより、張力スプリング23が伸びようとするため、張力当接部22を介して張力スプリング23のばね力を手摺ベルト4aに加えることができる。そして、図11においては、張力スプリング23が第2収縮状態で維持されているため、手摺ベルト4aに所望のばね力を加えることができる。したがって、手摺ベルト4a付与する張力を、所望の張力とすることができる。
【0071】
[1]
以上より、マンコンベヤ欄干装置4は、本実施形態のように、無端環状の手摺ベルト4aと、前記手摺ベルト4aに駆動を伝達するために、前記手摺ベルト4aに接する回転可能な駆動輪(本実施形態においては、第2駆動輪)4dと、前記駆動輪4dとで前記手摺ベルト4aを挟む挟み装置10と、前記手摺ベルト4aに張力を付与するために、前記手摺ベルト4aに力を加える張力装置20と、を備え、前記張力装置20は、位置が固定される張力本体部21と、前記張力本体部21に対して移動可能であり、前記手摺ベルト4aに接する張力当接部22と、伸縮することによって前記張力当接部22が前記張力本体部21に対して移動し、前記張力当接部22を介して前記手摺ベルト4aにばね力を加える張力スプリング23と、を備える、という構成が好ましい。
【0072】
斯かる構成によれば、手摺ベルト4aが伸縮した場合には、張力スプリング23が伸縮することによって、張力当接部22が張力本体部21に対して移動するため、張力当接部22は、手摺ベルト4aに接し続ける。そして、張力スプリング23が張力当接部22を介して手摺ベルト4aにばね力を加えるため、手摺ベルト4aが伸縮した場合でも、手摺ベルト4aに張力を付与し続けることができる。
【0073】
[2]
また、上記[1]のマンコンベヤ欄干装置4においては、本実施形態のように、前記挟み装置10は、位置が固定される挟み本体部11と、前記挟み本体部11に対して移動可能であり、前記手摺ベルト4aに接する挟み当接部12と、伸縮することによって前記挟み当接部12が前記挟み本体部11に対して移動し、前記挟み当接部12を介して前記手摺ベルト4aにばね力を加える挟みスプリング13と、を備え、前記張力スプリング23のばね定数は、前記挟みスプリング13のばね定数よりも、小さい、という構成が好ましい。
【0074】
斯かる構成によれば、手摺ベルト4aが伸縮した場合に、張力当接部22が張力本体部21に対して移動する距離が、挟み当接部12が挟み本体部11に対して移動する距離よりも、大きくなることに対して、張力スプリング23のばね定数は、挟みスプリング13のばね定数よりも、小さくなっている。これにより、手摺ベルト4aが伸縮する前後において、手摺ベルト4aに付与される張力の大きさの変化を小さくすることができる。
【0075】
[3]
また、上記[1]又は[2]のマンコンベヤ欄干装置4においては、本実施形態のように、前記張力スプリング23は、シリンダ23aと、前記シリンダ23aに対して伸縮方向(本実施形態においては、第2伸縮方向)D5に移動可能なロッド23bとを備えることによって、前記伸縮方向D5に伸縮可能なガススプリングであり、前記シリンダ23a及び前記ロッド23bのうち、一方(本実施形態においては、シリンダ)23aは、前記張力本体部21に接続され、他方(本実施形態においは、ロッド)23bは、前記張力当接部22に接続される、という構成が好ましい。
【0076】
斯かる構成によれば、張力スプリング23が伸縮方向(本実施形態においては、第2伸縮方向)D5に伸縮可能なガススプリングであるため、張力当接部22は、張力本体部21に対して伸縮方向D5に移動可能である。そして、張力スプリング23は、張力当接部22に、伸縮方向D5のばね力を加える。
【0077】
[4]
また、上記[3]のマンコンベヤ欄干装置4においては、本実施形態のように、前記張力装置20は、前記張力スプリング23が第1収縮状態から縮むことを規制するために、前記張力当接部22を当て止め可能な規制部25をさらに備える、という構成が好ましい。
【0078】
斯かる構成によれば、規制部25が張力当接部22を当て止めすることによって、張力スプリング23が第1収縮状態から縮むことは、規制される。これにより、張力スプリング23が縮み過ぎること抑制することができる。
【0079】
[5]
また、上記[3]又は[4]のマンコンベヤ欄干装置4においては、本実施形態のように、前記張力装置20は、前記張力スプリング23が第2収縮状態から伸びることを規制する状態と当該規制を解除する状態とに切り替え可能な切替部26をさらに備える、という構成が好ましい。
【0080】
斯かる構成によれば、張力スプリング23が切替部26によって伸びることを規制されることによって、張力スプリング23が第2収縮状態で、張力本体部21を固定することができる。そして、切替部26による規制を解除することによって、張力スプリング23が伸びようとするため、張力当接部22を介して張力スプリング23のばね力を手摺ベルト4aに加えることができる。
【0081】
[6]
また、上記[3]~[5]の何れか1つのマンコンベヤ欄干装置4においては、本実施形態のように、前記張力装置20は、前記張力当接部22を前記伸縮方向(本実施形態においては、第2伸縮方向D5)へガイドするガイド装置24を備え、前記ガイド装置24は、前記伸縮方向D5へ延びるレール24aと、前記レール24aに対して前記伸縮方向D5へ移動するキャリッジ24bとを備えるリニアガイドであって、前記レール24a及び前記キャリッジ24bのうち、一方(本実施形態においては、レール)24aは、前記張力本体部21に対して固定され、他方(本実施形態においては、キャリッジ)24bは、前記張力当接部22に対して固定される、という構成が好ましい。
【0082】
斯かる構成によれば、張力当接部22は、リニアガイドであるガイド装置24によって、伸縮方向(本実施形態においては、第2伸縮方向)D5へガイドされる。これにより、張力当接部22が張力本体部21に対して移動するときに、ガススプリングである張力スプリング23に伸縮方向D5と交差する方向へ力が働くことを抑制することができる。
【0083】
[7]
また、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、上記[1]~[6]の何れか1つのマンコンベヤ欄干装置4を備える、という構成が好ましい。
【0084】
斯かる構成によれば、手摺ベルト4aが伸縮した場合でも、手摺ベルト4aに張力を付与し続けることができる。
【0085】
なお、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ欄干装置4は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1及びマンコンベヤ欄干装置4は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0086】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、第2駆動輪4dは、一つである、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、図12に示すように、第2駆動輪4dは、複数である、という構成でもよい。
【0087】
以下、図12に係るマンコンベヤ欄干装置4の構成について、説明する。なお、マンコンベヤ欄干装置4の構成は、以下に限定されない。
【0088】
図12に示すように、欄干装置4は、手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aに駆動を伝達するために、手摺ベルト4aに接する回転可能な複数の第2駆動輪4dと、第2駆動輪4dとで手摺ベルト4aを挟む挟み装置10とを備えている。
【0089】
挟み装置10は、位置が固定される挟み本体部11と、挟み本体部11に対して移動可能であり、手摺ベルト4aに接する挟み当接部12と、伸縮することによって挟み当接部12が挟み本体部11に対して移動し、挟み当接部12を介して手摺ベルト4aにばね力を加える挟みスプリング13とを備えている。
【0090】
第2伝達部4eは、回転可能な第3駆動輪4fと、第1駆動輪5a(図1参照)の駆動を第3駆動輪4fに伝達する第1伝達部材4g(例えば、ベルト、チェーン)と、第3駆動輪4fの駆動を第2駆動輪4dに伝達する第2伝達部材4h(例えば、ベルト、チェーン)とを備えている。これにより、第2伝達部4eは、第2駆動輪4dに、第1駆動輪5aの駆動を伝達している。
【0091】
挟み本体部11は、例えば、構造体2に固定されることによって、位置が固定されていてもよい。そして、複数の第2駆動輪4dは、挟み本体部11に回転可能に接続されている。
【0092】
挟み当接部12は、手摺ベルト4aに接する挟み接触部(例えば、ローラ)12aと、挟み接触部12aが挟み本体部11に対して移動可能となるように、挟み本体部11と挟み接触部12aとを接続する接触接続部12bとを備えている。接触接続部12bは、挟み本体部11に回転可能に接続されている。
【0093】
挟みスプリング13は、挟み本体部11と挟み当接部12(具体的には、接触接続部12b)との間で、弾性変形した状態(具体的には、収縮した状態)で保持されている。これにより、挟みスプリング13の伸縮(具体的には、収縮)によるばね力は、挟み当接部12の挟み接触部12aを介して、手摺ベルト4aに加えられる。なお、特に限定されないが、挟みスプリング13は、例えば、図12に示すように、第3伸縮方向D6へ伸縮可能なばねスプリング(弦巻ばね)としてもよい。
【0094】
そして、挟み当接部12が手摺ベルト4aの一方面(例えば、外周面)に接し、且つ、第2駆動輪4dが手摺ベルト4aの他方面(例えば、内周面)に接する。したがって、挟み当接部12と第2駆動輪4dが手摺ベルト4aを挟み込むため、手摺ベルト4aは、第2駆動輪4dに加圧して接する。これにより、例えば、手摺ベルト4aが第2駆動輪4dに対して滑ることを抑制することができるため、第2駆動輪4dの駆動を手摺ベルト4aに確実に伝達することができる。
【0095】
(B)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、挟みスプリング13は、ばねスプリングであり、張力スプリング23は、ガススプリングである、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。
【0096】
例えば、挟みスプリング13は、ガススプリングである、という構成でもよく、また、例えば、ばねスプリング及びガススプリングの両方の挟みスプリング13が、備えられている、という構成でもよい。また、張力スプリング23は、例えば、ばねスプリングである、という構成でもよく、また、例えば、ばねスプリング及びガススプリングの両方の張力スプリング23が、備えられている、という構成でもよい。
【0097】
(C)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、挟み当接部12が手摺ベルト4aに加える力の方向は、挟みスプリング13の第1伸縮方向D4と、異なる方向(交差する方向)である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、挟み当接部12が手摺ベルト4aに加える力の方向は、挟みスプリング13の第1伸縮方向D4と、同じ方向(平行な方向)である、という構成でもよい。
【0098】
(D)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、第2駆動輪4dは、手摺ベルト4aの内周面に接し、挟み当接部12は、手摺ベルト4aの外周面に接する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、第2駆動輪4dは、手摺ベルト4aの外周面に接し、挟み当接部12は、手摺ベルト4aの内周面に接する、という構成でもよい。
【0099】
(E)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、張力当接部22が手摺ベルト4aに加える力の方向は、張力スプリング23の第2伸縮方向D5と、同じ方向(平行な方向)である、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、張力当接部22が手摺ベルト4aに加える力の方向は、張力スプリング23の第2伸縮方向D5と、異なる方向(交差する方向)である、という構成でもよい。
【0100】
(F)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、張力当接部22は、手摺ベルト4aの内周面に接する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、、張力当接部22は、手摺ベルト4aの外周面に接する、という構成でもよい。
【0101】
(G)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、挟み装置10は、位置が固定される挟み本体部11と、挟み本体部11に対して移動可能であり、手摺ベルト4aに接する挟み当接部12とを備えている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。
【0102】
例えば、挟み装置10の挟み当接部12が構造体2に固定されることによって、挟み当接部12の位置は、固定され、そして、挟み当接部12は、手摺ベルト4aに接する、という構成でもよい。即ち、挟み装置10は、挟みスプリング13を備えていない、という構成でもよい。
【0103】
(H)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、張力スプリング23のばね定数は、挟みスプリング13のばね定数よりも、小さい、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、張力スプリング23のばね定数は、挟みスプリング13のばね定数よりも、大きい、という構成でもよい。また、例えば、張力スプリング23のばね定数は、挟みスプリング13のばね定数と、同じ、という構成でもよい。
【0104】
(I)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、シリンダ23aは、張力本体部21に接続され、ロッド23bは、張力当接部22に接続される、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、シリンダ23aは、張力当接部22に接続され、ロッド23bは、張力本体部21に接続される、という構成でもよい。
【0105】
(J)また、上記実施形態に係るマンコンベヤ欄干装置4においては、レール24aは、張力本体部21に対して固定され、キャリッジ24bは、張力当接部22に対して固定される、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ欄干装置4は、斯かる構成に限られない。例えば、レール24aは、張力当接部22に対して固定され、キャリッジ24bは、張力本体部21に対して固定される、という構成でもよい。
【0106】
(K)なお、例えば、特許請求の範囲、明細書及び図面において示した方法及び装置における動作、手順、ステップ、及び段階等の各工程の実行順序は、前の工程の結果物を後の工程で用いるものでない限り、任意の順序で実現できる。例えば、便宜上、「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0107】
1…マンコンベヤ、2…構造体、2a…第1取付部、2b…第2取付部、2c…第3取付部、2d…枠材、2e…調整部、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…マンコンベヤ欄干装置、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、4d…第2駆動輪、4e…第2伝達部、4f…第3駆動輪、4g…第1伝達部材、4h…第2伝達部材、5…駆動部、5a…第1駆動輪、5b…従動輪、5c…駆動源、5d…第1伝達部、6…処理部、10…挟み装置、11…挟み本体部、11a…第1固定部、11b…第2固定部、11c…固定ローラ、12…挟み当接部、12a…挟み接触部(移動ローラ)、12b…接触接続部、12c…固定接続部、12d…棒状部、12e…保持部、13…挟みスプリング、20…張力装置、21…張力本体部、21a…本体板状部、21b…本体ブラケット、21c…雌ネジ部、22…張力当接部、22a…当接板状部、22b…当接ブラケット、22c…張力接触部、22d…貫通孔、23…張力スプリング、23a…シリンダ、23b…ロッド、24…ガイド装置、24a…レール、24b…キャリッジ、25…規制部、25a…第1当止部、25b…第1雄ネジ材、26…切替部、26a…第2当止部(雌ネジ材)、26b…第2雄ネジ材、D1…第1横方向、D2…第2横方向、D3…上下方向、D4…第1伸縮方向、D5…第2伸縮方向、D6…第3伸縮方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2023-12-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端環状の手摺ベルトと、
前記手摺ベルトに駆動を伝達するために、前記手摺ベルトに接する回転可能な駆動輪と、
前記駆動輪とで前記手摺ベルトを挟む挟み装置と、
前記手摺ベルトに張力を付与するために、前記手摺ベルトに力を加える張力装置と、を備え、
前記張力装置は、
位置が固定される張力本体部と、
前記張力本体部に対して移動可能であり、前記手摺ベルトに接する張力当接部と、
前記手摺ベルトが伸縮することに伴い伸縮することによって前記張力当接部が前記張力本体部に対して移動し、前記張力当接部を介して走行している前記手摺ベルトにばね力を加える張力スプリングと、を備え
前記張力スプリングは、前記張力本体部に対する接続位置が不変となるように、前記張力本体部に接続され、且つ、前記張力当接部に対する接続位置が不変となるように、前記張力当接部に接続される、マンコンベヤ欄干装置。
【請求項2】
無端環状の手摺ベルトと、
前記手摺ベルトに駆動を伝達するために、前記手摺ベルトに接する回転可能な駆動輪と、
前記駆動輪とで前記手摺ベルトを挟む挟み装置と、
前記手摺ベルトに張力を付与するために、前記手摺ベルトに力を加える張力装置と、を備え、
前記張力装置は、
位置が固定される張力本体部と、
前記張力本体部に対して移動可能であり、前記手摺ベルトに接する張力当接部と、
前記手摺ベルトが伸縮することに伴い伸縮することによって前記張力当接部が前記張力本体部に対して移動し、前記張力当接部を介して走行している前記手摺ベルトにばね力を加える張力スプリングと、を備え、
前記挟み装置は、
位置が固定される挟み本体部と、
前記挟み本体部に対して移動可能であり、前記手摺ベルトに接する挟み当接部と、
伸縮することによって前記挟み当接部が前記挟み本体部に対して移動し、前記挟み当接部を介して前記手摺ベルトにばね力を加える挟みスプリングと、を備え、
前記張力スプリングのばね定数は、前記挟みスプリングのばね定数よりも、小さい、マンコンベヤ欄干装置。
【請求項3】
前記張力スプリングは、シリンダと、前記シリンダに対して伸縮方向に移動可能なロッドとを備えることによって、前記伸縮方向に伸縮可能なガススプリングであり、
前記シリンダ及び前記ロッドのうち、一方は、前記張力本体部に接続され、他方は、前記張力当接部に接続される、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項4】
前記張力装置は、前記張力スプリングが第1収縮状態から縮むことを規制するために、前記張力当接部を当て止め可能な規制部をさらに備える、請求項3に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項5】
前記張力装置は、前記張力スプリングが第2収縮状態から伸びることを規制する状態と当該規制を解除する状態とに切り替え可能な切替部をさらに備える、請求項3に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項6】
前記張力装置は、前記張力当接部を前記伸縮方向へガイドするガイド装置を備え、
前記ガイド装置は、前記伸縮方向へ延びるレールと、前記レールに対して前記伸縮方向へ移動するキャリッジとを備えるリニアガイドであって、
前記レール及び前記キャリッジのうち、一方は、前記張力本体部に対して固定され、他方は、前記張力当接部に対して固定される、請求項3に記載のマンコンベヤ欄干装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のマンコンベヤ欄干装置を備える、マンコンベヤ。