(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140219
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置およびその装置を用いた搬送物の偏り調整方法
(51)【国際特許分類】
B65G 21/20 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
B65G21/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051254
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 勝
(72)【発明者】
【氏名】石川 伸行
【テーマコード(参考)】
3F025
【Fターム(参考)】
3F025BA05
3F025BC07
(57)【要約】
【課題】ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の偏りを調整する搬送物の偏り調整装置およびその装置を用いた搬送物の偏り調整方法を提案する。
【解決手段】ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の偏りを調整する偏り調整装置において、前記コンベアベルトの上方に、該搬送物の少なくとも一部分に接触させることによって該搬送物の、該コンベアベルトの幅方向に沿う向きの偏りを調整する1または2以上の棒状体を設ける。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の偏りを調整する偏り調整装置であって、
前記コンベアベルトの上方に、該搬送物の少なくとも一部分に接触させることによって該搬送物の、該コンベアベルトの幅方向に沿う向きの偏りを調整する1または2以上の棒状体を設けたことを特徴とするベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置。
【請求項2】
前記棒状体は、可撓性を有する棒状体であることを特徴とする請求項1に記載したベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置。
【請求項3】
前記棒状体は、複数のリングをつないだチェーン部を含むものであることを特徴とする請求項2に記載したベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置。
【請求項4】
前記棒状体は、前記搬送物の、前記コンベアベルトの幅方向に沿う積載状態を検出する検出手段と、該検出手段にて検出された情報にしたがい該棒状体を、該コンベアベルトの幅方向に沿う向き、該コンベアベルトの長手方向に沿う向きおよび該搬送物に近接、離隔する向きの少なくとも一方向に移動可能な移動手段とを有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載したベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載した装置を用いてベルトコンベアにおける搬送物の偏りを調整する方法において、
前記ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の少なくとも一部分に前記棒状体を接触させてその部位の搬送物を移動させることにより該搬送物の偏りを調整することを特徴とするベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の偏り、とくに、該コンベアベルトの幅方向に沿う搬送物の偏りを調整することによってコンベアベルトの片寄り、蛇行を防止するのに有用なベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置およびその装置を用いた搬送物の偏り調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ベルトコンベアは、粉状あるいは塊状の固体物質を搬送するのに一般的に用いられている。ベルトコンベア設備において、搬送物がコンベアベルトの上に偏って積載されると、該コンベアベルトの片寄りや蛇行が発生する場合があり、搬送物の、コンベアベルトからのこぼれ落ちやコンベアベルトの損傷を引き起こす原因にもなるため、コンベアベルトにおける搬送物の偏りを極力小さくすることが望まれている。
【0003】
この点に関する先行技術として、例えば、特許文献1には、搬送ベルトの蛇行を蛇行検出センサで検出し、搬送ベルトを支持するアイドラローラを、搬送ベルトに沿う面内で旋回させることによって搬送ベルトの蛇行を修正する技術が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、コンベアベルトの片寄りの原因を除くために、搬送物がコンベアベルトの上に偏りなく積載されるように、コンベアベルトに搬送物を積みつけるシュート内部に案内板を設け、該案内板を通して搬送物を好ましい位置に誘導する技術が開示されている。
【0005】
ところで、上記特許文献1に開示された技術は、搬送ベルトの蛇行を修正する手段が設置されている位置では、搬送ベルトの蛇行を修正することができるものの、それ以外の位置では、搬送ベルトの蛇行を修正することができない不具合を有している。また、特許文献1に開示された技術は、搬送ベルトの蛇行原因となる搬送物の、搬送ベルト上での偏りを除去しているわけではないため、搬送物の偏りの状況が変わると、搬送ベルトの蛇行が発生する位置が変動することもあり、その適用範囲が限られてしまうという問題もあった。
【0006】
これに対して、特許文献2に開示された技術は、搬送物がコンベアベルトの上に偏って積載されないようにするものであって、より本質的な対策がとられた技術であるといえるものであったが、案内板やシュート内に搬送物が付着すると搬送物の落下位置が変わってしまうことがある。また、搬送物の輸送量や粒度、水分の含有量などにより搬送物の付着状況や落下挙動が変化することもある。そのため、シュートの機能維持のために定期的に内部点検、清掃を必要とする煩雑さがあり、とくに、閉鎖されたシュート内部の点検、清掃には、多大な労力がかかるのが避けられないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000-118663号公報
【特許文献2】特開2017-145068号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、搬送物の、コンベアベルト上での偏りを軽減し、コンベアベルトの片寄りなどのトラブルの原因を効果的に回避できるベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置およびその装置を用いた搬送物の偏り調整方法を提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の偏りを調整する偏り調整装置であって、前記コンベアベルトの上方に、該搬送物の少なくとも一部分に接触させることによって該搬送物の、該コンベアベルトの幅方向に沿う向きの偏りを調整する1または2以上の棒状体を設けたことを特徴とするベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置である。
【0010】
上記の構成からなる搬送物の偏り調整装置において、前記棒状体は、可撓性を有する棒状体であること、前記棒状体は、複数のリングをつないだチェーン部を含むものであること、前記棒状体は、前記搬送物の、前記コンベアベルトの幅方向に沿う積載状態を検出する検出手段と、該検出手段にて検出された情報にしたがい該棒状体を、該コンベアベルトの幅方向に沿う向き、該コンベアベルトの長手方向に沿う向きおよび該搬送物に近接、離隔する向きの少なくとも一方向に移動可能な移動手段とを有すること、が課題解決のための具体的手段として好ましい。
【0011】
また、本発明は、上記の装置を用いてベルトコンベアにおける搬送物の偏りを調整する方法において、前記ベルトコンベアのコンベアベルトに積載された搬送物の少なくとも一部分に前記棒状体を接触させてその部位の搬送物を移動させることにより該搬送物の偏りを調整することを特徴とするベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、搬送物のコンベアベルト上での偏りを、棒状体により迅速に軽減することができ、これにより、コンベアベルトの片寄り、蛇行などを回避し得る。また、本発明によれば、シュートの内部に搬送物を誘導する案内板を設置する必要がないため、シュート内部の点検や清掃作業を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置をシュートの出側に配置した例を模式的に示した図である。
【
図2】
図1のA-A断面を拡大して示した図である。
【
図3】本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置の他の実施の形態を示した図である。
【
図4】本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置の他の実施の形態を示した図である。
【
図5】本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置の使用状態を示した図である。
【
図6】本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置の他の実施の形態を示した図である。
【
図7】本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置のさらに他の実施の形態を示した図である。
【
図8】搬送物の積載状態を断面について示した図である。
【
図9】搬送物の偏りを調整したのちの状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を用いて本発明をより具体的に説明する。
図1は、本発明にしたがう搬送物の偏り調整装置をシュートの出側に配置した例を模式的に示した図であり、
図2は、
図1のA-A断面を拡大して示した図である。
【0015】
図1、
図2における符号1は、搬送ラインの上流側に配置されたベルトコンベア、2は、ベルトコンベア1の下流側に配置されたベルトコンベアである。上流側に配置されたベルトコンベア1、ベルトコンベア1の下流側に配置されたベルトコンベア2は、いずれも、コンベアベルト1a、2aをそれぞれ支持するキャリアローラー1b、2bが備えられており、キャリアローラー1b、2bの上に位置するコンベアベルト1a、2aに搬送物Mを積載して該搬送物Mの搬送を行う。
【0016】
また、
図1、
図2における符号3は、上流側に配置されたベルトコンベア1より落下した搬送物Mを下流側に配置されたベルトコンベア2のコンベアベルト2aに積みつけるシュート、4は、シュート3の出側に配置され、コンベアベルト2aに積載された搬送物Mの偏りを適宜調整する偏り調整装置である。
【0017】
偏り調整装置4は、ベルトコンベア2のコンベアベルト2aの上方に設けられ、コンベアベルト2aの幅方向に沿う向きに配置された支持体4aを介して支持された棒状体4bを備えており、その一端(下端部)を、搬送物Mの少なくとも一部分に接触させることによって該搬送物Mの、該コンベアベルト2aの幅方向に沿う偏りを調整する。棒状体4bには、支持体4aにおける位置ずれを防止するため、必要に応じてストッパーを設けておくことができる。ここで、棒状体4bが接触する搬送物Mの少なくとも一部分とは、コンベアベルト2aの片寄りや蛇行を引き起こす原因となる好ましくない位置に積載された搬送物M、例えば、コンベアベルト2aの幅方向の中心部からずれた位置において搬送物Mの高さが最も高くなる部分等をいうものとする。
【0018】
棒状体4bは、支持体4aからコンベアベルト2aに向かう寸法(長さ)Lが、コンベアベルト2aの幅方向に沿う寸法(幅)Wよりも長い、丸棒、角棒などのいわゆる棒部材を適用することができる。また、棒状体4bは、寸法Lが寸法Wよりも大きい短冊状の板材を用いてもよい。
【0019】
棒状体4bの寸法W(丸棒などの場合は直径)は、コンベアベルト2aの幅寸法の1/5以下とするのが好ましく、これにより棒状体4bに接触した搬送物Mを、棒状体4bを避ける方向へと効率よく移動させることができ、搬送物Mの偏りを軽減することが可能となる。
【0020】
棒状体4bは、好ましくない積載位置に積載された搬送物Mとの接触により、その部位の搬送物Mを、偏りが軽減される好ましい位置へと移動させることができる箇所に設置される。
【0021】
棒状体4bとしては、可撓性を有するものを用いるのが好ましい。棒状体4bは、その全体が可撓性を有していてもよいし、棒状体4bの本体部分は可撓性を有していないが本体部分に外力を付与することによって本体部分の取り付け位置や取り付け角度が変わるように、蝶番あるいはリンク機構を介して支持体4aに吊り下げ保持することもできる。
【0022】
また、棒状体4bとしては、複数の部材を組み合わせ、部材同士の相対位置が可変となるようにつなぎ合わせたもの、例えば、複数のリングをつなぎ合わせた
図3に示すようなチェーンあるいはチェーン部を含むものを適用することも可能である。
【0023】
棒状体4bを可撓性を有するものとすることにより、棒状体4bが搬送物Mに接触した際に、搬送物Mの、コンベアベルト進行方向への移動に対する抵抗が過大にならないようにすることができる。また、棒状体4bが可撓性を有することで、搬送物Mは、棒状体4bの様々な位置に接触するため、搬送物Mの棒状体4bへの付着が抑制される。さらに、棒状体4bの可撓性に由来する動きにより棒状体4bに付着した搬送物Mを払い落す効果も生じる。
【0024】
とくに、棒状体4bとしてチェーンを用いると、可動部分の自由度が高く、リング同士が摺動して搬送物Mの付着物を払い落すことができるため搬送物Mの棒状体4bへの付着を抑制する効果がとくに大きい。
【0025】
棒状体4bは、可撓性を有しない部材を用いる場合には、搬送物Mとの接触によって破損しない程度の強度を有するものであればよく、材質については限定されない。また、可撓性を有する部材を適用する場合には、棒状体4bが搬送物Mに対して軽すぎると棒状体4bが簡単に動きすぎて搬送物Mを移動させる能力が小さくなるので、棒状体4bは、全体として搬送物Mを移動させることができる程度よりも大きな剛性を有する材料を用いるのが好ましい。
【0026】
そのため、棒状体4bを構成する材料としては、搬送物Mよりも密度の高い材料を用いるのがよい。
【0027】
複数の部材を接続することによって構成される、可撓性を有する棒状体4bにおいては、各部材が搬送物Mの一部分に接触させてその部位を移動させて搬送物Mの偏りを修正するのに十分な重量を有するものを用いるのが好ましい。
【0028】
可撓性を有する棒状体4bとしてチェーンを用いる場合には、搬送物Mと接触するリングは、直径が10mm以上になる棒鋼をリング状に加工したものを用いるのが好ましい。この時、リングが楕円形をなし、長軸方向の長さ(外径)が棒鋼の径の4倍以上になると、リング1個当たりの重量が重くなるため、搬送物Mの一部分を移動させる能力(偏り修正能力)を高めることができる。
【0029】
棒状体4bを設置する位置は、好ましくない積載位置にある搬送物Mに対して棒状体4bを接触させることができる位置に設置することを基本とするが、搬送物Mの積載状況に応じて棒状体4bの設置位置を変更するのが望ましい。
【0030】
棒状体4bの設置位置を変更するには、例えば、支持体4aに、該支持体4aに沿ってスライド可能で、かつ、棒状体4bを、搬送物Mに対して近接、離隔する向きに昇降移動可能に保持する移動手段(巻き取り機構を備えたスライダー等)5を設ければよく、これにより、搬送物Mの偏り状況が変動しても容易に対応し得る。移動手段5は、棒状体4bが所定の位置におかれたときに、その位置で棒状体4bを固定することができるストッパー機能を有するものを適用するのが好ましい。なお、棒状体4bを、搬送物Mに対して近接、離隔する向きに昇降移動させるに当たっては、支持体4aそのものを上下に移動させる移動手段を別途に設けてもよく、この点については限定されない。
【0031】
支持体4aは、コンベアベルト2aの幅方向の全域にわたる長さを有するものを用いることができるが、その長さは、コンベアベルト2aの幅方向の長さよりも短くてもよい。また、支持体4aは、コンベアベルト2aの進行方向に対して角度を付与し、該コンベアベルト2aを幅方向において斜めに横断するように設置することもできる。
【0032】
図4は、棒状体4bを、コンベアベルト2aの幅方向に沿い複数設けた、本発明にしたがう偏り調整装置の他の実施の形態を模式的に示した図である。
【0033】
棒状体4bを複数設けることにより搬送物Mの偏りを調整する能力をより一層高めることができる。とくに、棒状体4bを複数設ける場合には、
図5に示すように、コンベアベルト2aの幅方向の外側に位置する棒状体4b1が搬送物Mの進行方向の後方側となるように、また、コンベアベルト2aの幅方向の内側に位置する棒状体4b3が搬送物Mの進行方向の前方側になるように配列するのが好ましく、これによりコンベアベルト2aの幅方向の外側に位置する搬送物Mをコンベアベルト2aの幅方向の内側に効率的に移動させることができる。
【0034】
図6は、支持体4aの両端部を支持する起立フレーム6と、該起立フレーム6を支持体4aとともにコンベアベルト2aの長手方向に沿って移動させる台車等の移動手段7とによって構成された、本発明にしたがう偏り調整装置の他の実施の形態を示したものである。
【0035】
かかる構成からなる偏り調整装置によれば、移動手段5、移動手段7により、棒状体4bを、コンベアベルト2aの幅方向に沿う向き、ベルトコンベア2aの長手方向に沿う向きおよび搬送物Mに近接、離隔する向きの少なくとも一方向に移動させることが可能となり、搬送物Mの偏りを精度よく調整することができる。なお、
図6に示した装置においては、起立フレーム6そのものを上下に移動させるか該起立フレーム6そのものを伸縮させる構造としてもよい。
【0036】
図7は、支持体4aの一端を片持ち支持する起立フレーム8と、該起立フレーム8の下端につながり、該起立フレーム8をその軸芯の周りに回動可能に保持する移動手段(回動手段)9とを備え、該移動手段9により起立フレーム8をその軸芯の周りに回動させることによって支持体4aを棒状体4bとともに移動させる構造とした、本発明にしたがう偏り調整装置のさらに他の実施の形態を示したものである。
【0037】
かかる構成からなる偏り調整装置においても、移動手段5、移動手段9を適宜に作動させることにより、棒状体4bを、コンベアベルト2aの幅方向に沿う向き、コンベアベルト2aの長手方向に沿う向きおよび搬送物Mに近接、離隔する向きの少なくとも一方向に移動させることが可能となり、搬送物Mの偏りを精度よく調整することができる。なお、
図7に示した装置において起立フレーム8は、それそのものを上下に移動させるか、該起立フレーム8そのものを伸縮させる構造とすることもできる。とくに、
図7に示した装置は、上掲
図6に示した移動手段7が不要であり、装置の構造の簡素化、コンパクト化を図ることができる利点がある。
【0038】
偏り調整装置は、搬送物Mがコンベアベルトに積載される位置になるべく近い位置に設けるのが好ましく、例えば、シュート3を通して搬送物Mがコンベアベルト2aに積載される場合には、シュート3の出口部近傍、好ましくは、該出口部から5m以内に設置するのが望ましい。搬送物Mの積載直後に偏り調整を行うことによりコンベアベルト2aの片寄りあるいは蛇行を防止することができる。
【0039】
棒状体4bの設置位置を決定するに当たっては、コンベアベルト2aに積載された搬送物Mの積載状態(堆積形状)を観察し、積載状態に偏りがあると認められ、偏り調整装置を通過したのちにおいて搬送物Mが偏りのない状態にできる位置に設置する。
【0040】
搬送物Mの積載状態(堆積形状)は、レーザー距離計やカメラ等の検出手段を用いて把握することができる。
【0041】
レーザー距離計やカメラ等の検出手段を用いて搬送物Mの、コンベアベルト2aの幅方向に沿う積載状態を検出し、検出された情報にしたがい制御手段(図示せず)により移動手段5、移動手段7、移動手段9を適宜作動させて棒状体4bの位置を自動制御してもよい。
【実施例0042】
ベルトコンベア2による搬送物Mの搬送過程でコンベアベルト2aの下流において該コンベアベルト2aが最大で50mm程度の片寄りが観察された場合につき、その上流側でレーザー距離計により搬送物Mの積載状態(堆積形状)を計測したところ、
図8に示すように、搬送物Mの最も高い位置がコンベアベルト2aの幅方向の中央部からずれており、搬送物Mが偏った状態で積載されていることが明らかとなった。
【0043】
そこで、シュート3の出口から200mmの位置に配置した
図9に示した如き偏り調整装置(直径10mmの棒鋼からなるリングを6個接続したチェーンを棒状体としてそれを3本配列したもの)により、偏って積載された搬送物Mに対して棒状体4b(4b1、4b2、4b3)を接触させて搬送物Mの偏りの調整を行った。棒状体4bの設置位置は、搬送物Mがコンベアベルト2aの幅方向で多く堆積している側において、コンベアベルト2aの端から、ベルト幅の約0.15倍(棒状体4b1)、約0.25倍(棒状体4b2)、約0.35倍(棒状体4b3)の位置とし、コンベアベルト2aの進行方向においては、進行方向上流側から下流側にかけて棒状体4b1、4b2、4b3の順番にそれぞれ50mmずつ離れた位置とした。その結果、搬送物Mの最も高い位置が
図9に示すように、コンベアベルト2aの幅方向の中央部側へと移動し搬送物Mの偏りが大幅に修正され、コンベアベルト2aの片寄りが解消されることが確認された。
本発明によれば、搬送物の、コンベアベルト上での偏りを軽減し、コンベアベルトの片寄りなどのトラブルの原因を効果的に回避し得るベルトコンベアにおける搬送物の偏り調整装置およびその装置を用いた搬送物の偏り調整方法が提供できる。