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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140225
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】流体殺菌装置
(51)【国際特許分類】
   A61L 2/10 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
A61L2/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051263
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000175272
【氏名又は名称】三浦工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】宇和川 智
(72)【発明者】
【氏名】松友 伸司
(72)【発明者】
【氏名】大崎 和隆
(72)【発明者】
【氏名】手嶋 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】山下 正純
【テーマコード(参考)】
4C058
【Fターム(参考)】
4C058AA20
4C058BB06
4C058KK02
4C058KK22
(57)【要約】
【課題】複数のUV-LED流体殺菌装置を簡便に連結しつつ、各装置に流体を均等に分配する流体殺菌装置を提供すること。
【解決手段】流体殺菌装置は、対向して位置する2つの流出入部と、2つの流出入部の間に位置する筒状の照射流路とを含み、照射流路の延びる方向を第1の方向とした場合、流出入部は、第1の方向と交わる第2の方向に延びる第2の流路と、第2の流路の両端に各々設けられた流出入口と、第1の方向において照射流路に接続された接続口と、を備え、流出入部の少なくとも一方の内部には、照射流路内に向けて紫外線を発する光源が配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して位置する2つの流出入部と、前記2つの流出入部の間に位置する筒状の照射流路とを含み、
前記照射流路の延びる方向を第1の方向とした場合、
前記流出入部は、
前記第1の方向と交わる第2の方向に延びる第2の流路と、
前記第2の流路の両端に各々設けられた流出入口と、
前記第1の方向において前記照射流路に接続された接続口と、を備え、
前記流出入部の少なくとも一方の内部には、照射流路内に向けて紫外線を発する光源が配置されている流体殺菌装置。
【請求項2】
前記流出入口は、他の流体殺菌装置の流出入部の流出入口と連結可能に形成されている請求項1に記載の流体殺菌装置。
【請求項3】
前記光源は、光源収容室に収容されており、
前記第2の流路と前記接続口との間には、連通部が配置されており、
前記光源収容室の主たる部分は、前記連通部に配置されている請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
【請求項4】
前記流出入部には、前記第1の方向および前記第2の方向とは異なる第3の方向に開口した分岐口が設けられている請求項1または2に記載の流体殺菌装置。
【請求項5】
前記連通部には、前記光源を交換するための挿入口が設けられている請求項3に記載の流体殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
UV(紫外線)光の殺菌力を用いて流体を殺菌する技術が知られている。特許文献1には、照射流路を流れる流体にUV光を照射して流体を殺菌する流体殺菌装置について、流体殺菌装置が接続される配管の延びる方向と平行な方向に、照射流路の長手方向が配置される流体殺菌装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6458779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
UV光の光源としてUV-LEDを用いる場合、UV光の出力に伴ってUV-LED自身が発熱する。UV-LEDは熱に弱いため、大流量の流体を殺菌する時、言い換えれば、多くのUV-LEDが必要な時には、光源をなるべく分散して配置したほうが良い。
【0005】
例えば、UV-LEDが高密度に配置された1つの大型の流体殺菌装置で殺菌するよりも、UV-LEDが低密度に配置された複数台の小型の流体殺菌装置(小型機種)を連結して使用することが望ましい。さらには、圧損の観点からも、小型機種を並列に連結することが望ましい。
【0006】
しかし、従来技術では、複数台の小型機種を連結する際に追加の配管が必要で手間がかかり、装置サイズも大きくなってしまう。さらに、小型機種を並列で連結する場合は、小型機種を各装置に均等に分配するために、分配用の配管形状や、流速を十分検討する必要がある。小型機種の分配に偏りがあると、多くの流体が流入した装置ではUVが十分に照射されずに装置から流出してしまうためである。
【0007】
そこで本発明は、複数のUV-LED流体殺菌装置を簡便に連結しつつ、各装置に流体を均等に分配することが容易な流体殺菌装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)対向して位置する2つの流出入部と、前記2つの流出入部の間に位置する筒状の照射流路とを含み、前記照射流路の延びる方向を第1の方向とした場合、前記流出入部は、前記第1の方向と交わる第2の方向に延びる第2の流路と、前記第2の流路の両端に各々設けられた流出入口と、前記第1の方向において前記照射流路に接続された接続口と、を備え、前記流出入部の少なくとも一方の内部には、照射流路内に向けて紫外線を発する光源が配置されている流体殺菌装置。
【0009】
上記の流体殺菌装置によれば、複数のUV-LED流体殺菌装置を簡便に連結しつつ、各装置に流体を均等に分配することが容易な流体殺菌装置を提供することができる。また、第2の流路が延びる方向と、照射流路が延びる方向とが異なる。そのため、多様な流体殺菌装置の設置の仕方が可能になる。また、第2の流路の両端に流出入口が設けられている。そのため、流出入部を他の流体殺菌装置の流出入部に接続することによって、流体殺菌装置の処理能力を容易に高めることができる。
【0010】
(2)前記流出入口は、他の流体殺菌装置の流出入部の流出入口と連結可能に形成されている(1)に記載の流体殺菌装置。
【0011】
上記の流体殺菌装置によれば、特段の接続用の部材を用いることなく、複数の流体殺菌装置を連結することが可能になる。そのため、処理能力を容易に増大させることができる。
【0012】
(3)前記光源は、光源収容室に収容されており、前記第2の流路と前記接続口との間には、連通部が配置されており、前記光源収容室の主たる部分は、前記連通部に配置されている(1)または(2)に記載の流体殺菌装置。
【0013】
上記の流体殺菌装置によれば、光源収容室の主たる部分が、第2の流路ではなく連通部に配置されている。そのため、第2の流路における圧力損失を低減することができる。複数の流体殺菌装置を連結して使用する場合には、第2の流路における圧力損失が小さいことにより、それぞれの流体殺菌装置に処理流体を均等に分配することができる。
【0014】
(4)前記流出入部には、前記第1の方向および前記第2の方向とは異なる第3の方向に開口した分岐口が設けられている(1)から(3)のいずれか1つに記載の流体殺菌装置。
【0015】
上記の流体殺菌装置によれば、流体殺菌装置を縦方向に積むことに加えて、流体殺菌装置を横方向へ接続することが可能になる。これにより、いわゆる3次元スタッキングが可能になる。そのため、敷地面積や空間の障害物の状況に応じた処理能力の変更が容易になる。
【0016】
(5)前記連通部には、前記光源を交換するための挿入口が設けられている(3)または(4)に記載の流体殺菌装置。
【0017】
上記の流体殺菌装置によれば、光源のメンテナンスおよび交換が容易になる。また、接液部を開放することなく光源を出し入れすることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、複数のUV-LED流体殺菌装置を簡便に連結しつつ、各装置に流体を均等に分配する流体殺菌装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の流体殺菌装置の外観を示す斜視図である。
図2】流体殺菌措置の内部構造を示す断面図である。
図3】2つの流体殺菌装置が連結された状態を示す流体殺菌装置の断面図である。
図4】流出入部の近傍の構造の概略を示す概念図である。
図5】流路の配置を説明するための流体殺菌装置の概略図である。
図6図5のI-I線断面に相当する図である。
図7図5に、流路を画する部材を記載した図である。
図8】流路の設計と偏流度合いとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
発明を実施するための形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施形態の流体殺菌装置1の外観を示す斜視図である。
【0021】
各図にXYZ座標系を記載する。X方向は、後に説明する照射流路部10の延びる方向である。Z方向は、後に説明する第2の流路P2の延びる方向である。なお、XYZ座標系は、X方向、Y方向およびZ方向が厳密に直交することを示すために記載するものではない。XYZ座標系は、X方向、Y方向およびZ方向が、おおよそ直交するように交わる関係であることを示すために記載するものである。
【0022】
流体殺菌装置1は、流体を殺菌する装置である。流体殺菌装置1は、流体に紫外線を照射することによって流体を殺菌する。流体殺菌装置1によって殺菌される流体を、処理流体とする。
【0023】
図1に示すように、流体殺菌装置1は、照射流路部10および流出入部20を含む。照射流路部10は、その内部において処理流体を殺菌する部分である。照射流路部10は、管状の部材によって構成されている。詳しくは、照射流路部10は、外管12を含む。外管12は、照射流路部10の外側形状を規定する部材である。外管12の形状は、丸管形状である。外管12は、金属で形成されている。外管12の内側には、内管14が配置されている。内管14については、図2に基づいて後に説明する。
【0024】
照射流路部10の内部は、処理流体の流路になっている。照射流路部10の内部の流路を、照射流路P4とする。
【0025】
照射流路部10のX方向における両端には、それぞれ流出入部20が配置されている。すなわち、2つの流出入部20が、照射流路部10をはさんで、対向して配置されている。流出入部20は、外部から処理流体が流入し、また外部へ処理流体が流出する部分である。また、流出入部20は、照射流路部10に処理流体を流入させ、また、照射流路部10から処理流体を流出させる部分でもある。
【0026】
流出入部20と照射流路部10とは、閉止部30および固定部材36などによって固定されている。閉止部30および固定部材36については、図2に基づいて後に説明する。
【0027】
流出入部20には、挿入口56が設けられている。挿入口56は、Y方向に開口している。挿入口56は、光源収容室52の内部と、外部空間とを連通する。光源収容室52については、図2に基づいて後に説明する。
【0028】
挿入口56は、挿入口56を介して光源50を光源収容室52の内部に挿入することを可能にする。また、挿入口56は、挿入口56を介して光源50を光源収容室52の内部から取り出すことを可能にする。
【0029】
図2に基づいて、流体殺菌装置1についてより詳しく説明する。図2は、本発明の実施形態の流体殺菌装置1の内部構造を示す断面図である。図2は、図1に示す流体殺菌装置1のXZ平面での断面図である。
【0030】
図2に示すように、流出入部20には、光源50が配置されている。光源50は、紫外線を発光する部品である。光源50は、UV(Ultraviolet)-LED(Light Emitting Diode)とすることができる。光源50は、複数配置されていてもよい。
【0031】
光源50は、光源収容室52の内部に配置されている。光源50を光源収容室52の内部に配置することによって、光源50が処理流体に接しないようにすることができる。
【0032】
光源50は、配線基板51などに実装されていてもよい。光源50と、光源50が実装された配線基板51とをあわせた部品を、面光源モジュール60とする。
【0033】
光源50または面光源モジュール60は、光源収容室52の内面に接するように配置されている。光源50または面光源モジュール60を光源収容室52の内面に接するように配置することによって、光源50の熱を処理流体に効率的に逃がすことができる。特には、光源50または面光源モジュール60は、光源収容室52の背面58に接するように配置されることが好ましい。背面58とは、光源収容室52において、第2の流路P2に面する面である。第2の流路P2は、光源50の出射方向の反対側に位置する。光源収容室52と処理流体の流れとの関係については後述する。
【0034】
光源50は、光源収容室52に、照射流路部10に向かって発光するように配置されている。光源収容室52の、照射流路部10に向かう面には、窓54が配置されている。窓54は、石英ガラスなどの紫外線を透過可能な材料で形成されている。光源50からの光は、窓54を介して照射流路部10に照射される。
【0035】
光源収容室52には、挿入口56が設けられている。挿入口56は、光源収容室52の内部と、外部空間とを連通する開口である。挿入口56を介して、光源50または面光源モジュール60を、光源収容室52の内部から外部空間に取り出すことができる。面光源モジュール60の取り出しは、面光源モジュール60を、光源収容室52の内部から外部空間にスライドさせるようにして行うことができる。挿入口56が設けられていることによって、処理流体で満たされている部分を開放することなく、光源50を交換することができる。
【0036】
流出入部20には、流出入口22が設けられている。流出入口22は、流出入部20の内部に、処理流体を流入させるための開口である。また、流出入口22は、流出入部20の内部から、処理流体を流出させるための開口でもある。
【0037】
流出入部20には、2つの流出入口22が設けられている。図2において、X方向のマイナス側に配置されている流出入部20Aを例にして説明する。流出入部20Aには、Z方向の両端にそれぞれ流出入口22が設けられている。Z方向のマイナス側に端に設けられている流出入口22を流出入口22Aで示す。Z方向のプラス側の端に設けられている流出入口22を流出入口22Bで示す。
【0038】
なお、流出入口22は、流出入部20に、必ずしも2つ設けられていなくてもよい。流出入口22は、流出入部20に、1つ設けられていてもよい。
【0039】
流出入部20に2つの流出入口22が設けられている場合には、複数の流体殺菌装置1をZ方向に連結することが容易になる。複数の流体殺菌装置1の連結については、図3に基づいて後に説明する。
【0040】
流出入部20に2つの流出入口22が設けられている場合、その一方を閉止することによって、1つの流体殺菌装置1を単独で用いることができる。図2に、流出入口22を閉止して流体殺菌装置1を用いる場合の一例を示す。
【0041】
また、流出入部20に2つの流出入口22が設けられている場合、どの流出入口22を閉止するかを変更することによって、処理流体の流体殺菌装置1に直列に流すか、または並列に流すかを、容易に変更することができる。
【0042】
図2に示す流出入部20Aでは、流出入口22Bが閉止されている。流出入口22の閉止は、流出入口22に閉口部材28を配置することによって行うことができる。閉口部材28は、流出入口22をふさぐための蓋体である。閉口部材28の形状は、流出入口22の開口の形状と同様の形状にすることができる。
【0043】
図2に示す例では、X方向のプラス側に流出入部20Aと同様の構造を有する流出入部20が配置されている。X方向のプラス側に配置されている流出入部20を、流出入部20Bとする。
【0044】
流出入部20Bには、流出入部20Aと同様に、Z方向の両端にそれぞれ流出入口22が設けられている。Z方向のマイナス側に端に設けられている流出入口22を流出入口22Cで示す。また、Z方向のプラス側の端に設けられている流出入口22を流出入口22Dで示す。
【0045】
流出入部20Bにおいては、流出入口22Cに閉口部材28が配置されることによって、流出入口22Cが閉止されている。
【0046】
図2に示す例では、流出入口22Bおよび流出入口22Cが閉止されることによって、流体殺菌装置1を単独で用いることが可能になっている。以下、流体殺菌装置1のおける処理流体の流れを説明する。
【0047】
図2の矢印は、流路およびその流路を処理流体が流れる方向を示している。処理流体は、照射流路P4を流れる間に紫外線の照射を受けることによって殺菌される。処理流体は、矢印A1に示すように、照射流路P4を、X方向のマイナス側からプラス側に向かう方向に流れる。X方向のマイナス側からプラス側に向かう方向を第1の方向とする。
【0048】
照射流路部10の2つの端部16に配置されている流出入部20Aおよび流出入部20Bには、それぞれ光源50が配置されている。流出入部20Aに配置されている光源50、および流出入部20Bに配置されている光源50は、いずれも、照射流路P4に向けて紫外線を照射するように配置されている。そのため、照射流路P4を流れる処理流体は、X方向におけるプラス側から、およびマイナス側からの2方向からの照射によって殺菌される。2方向からの照射によって、すなわち照射流路P4の延びる方向における両側からの照射によって処理流体を殺菌することで、処理流体を効率的に殺菌することができる。
【0049】
光源50は、流出入部20Aおよび流出入部20Bのうちのいずれか一方に配置されていてもよい。
【0050】
殺菌効果は、処理流体が流れる方向と同じ方向に光を照射する場合よりも、処理流体が流れる方向とは逆の方向に光を照射する場合の方が高い。これは、処理流体が流れる方向と同じ方向に光を照射する場合は、処理流体が流れる方向とは逆の方向に光を照射する場合に比べて、殺菌力がより高い光源付近の流速の乱れが大きいからである。そのため、光源50を、流出入部20Aおよび流出入部20Bのうちのいずれか一方に配置する場合には、流出入部20Bに光源50を配置した方が、殺菌効果は高くなる。
【0051】
照射流路部10は、外管12に加えて、内管14を含む。内管14は、外管12の内側に配置される管である。内管14の形状は、丸管形状である。内管14は、フッ素素材、例えば、フッ素樹脂で形成されている。フッ素樹脂の例は、PTFE(Poly tetra fluoro ethylene:ポリテトラフルオロエチレン)である。なお、外管12は、前述のように、金属で形成されている。
【0052】
外管12が金属で形成されていることによって、照射流路部10の耐圧性を向上させることができる。また、紫外線は、金属によって遮蔽される。そのため、外管12が金属で形成されていることによって、紫外線が照射流路部10の外側に漏れることを抑制することができる。
【0053】
外管12と内管14との間には、図示しない隙間が設けられている。隙間は、空気層となる。空気層は、その屈折率が低い。紫外線の一部は、屈折率の低い空気層と、内管14のフッ素樹脂との界面で全反射する。紫外線の一部が全反射することによって、照射流路部10の内壁での紫外線の反射率を向上させることができる。紫外線の反射率が向上することによって、殺菌効率を高めることができる。
【0054】
フッ素素材は、一般的に汚染されにくい素材である。そのため、内管14をフッ素素材で形成することによって、内管14への汚染物質の付着を少なくすることができる。
【0055】
また、フッ素素材は、一般的に腐食されにくい素材である。そのため、内管14をフッ素素材で形成することによって、内管14の腐食などに配慮することなく、様々な薬剤を用いて内管14を容易に清掃することができる。
【0056】
照射流路P4の端部16における内管14には、面取り部18が形成されている。面取り部18は、内管14の端部において、断面形状が斜めになるよう形成されている部分をいう。面取り部18は、照射流路P4の端部16において、照射流路P4の内壁面が面取りされている部分であるといえる。面取り部18は、処理流体を、照射流路P4へより均一に流入させることを可能にする。
【0057】
処理流体は、流出入部20Aの流出入口22Aから、流出入部20の内部に流入する。流出入部20の内部には、Z方向に延びる流路が形成されている。この流路を、第2の流路P2とする。流出入部20に流入した処理流体は、矢印A2が示すように、第2の流路P2を、Z方向のマイナス側からプラス側に向けて流れる。この、Z方向のマイナス側からプラス側に向かう方向を第2の方向とする。第2の方向は、先に説明した第1の方向と直交していることが好ましい。
【0058】
流出入部20Aの流出入口22Bは閉止されている。そのため、流出入部20に流入した処理流体は、第2の方向から、第1の方向に流れの向きを変える。
【0059】
流出入部20において、第2の流路P2と、照射流路部10との間には、連通部24が配置されている。連通部24には、光源収容室52が配置されている。光源収容室52は、Z方向において、連通部24のほぼ中央に配置されている。そのため、処理流体がX方向のプラス方向に流れる流路として、2つの流路が生じる。1つの流路は、矢印A3で示す流路である。他の一つの流路は、矢印A4で示す流路である。矢印A3で示す流路は、光源収容室52のZ方向のマイナス側に位置する流路である。矢印A4で示す流路は、光源収容室52のZ方向のプラス側に位置する流路である。矢印A3で示す流路と、矢印A4で示す流路とをあわせて、第1の流路P1とする。
【0060】
なお、図2には、第1の流路P1として、矢印A3で示す流路、および矢印A4で示す流路を示した。ただし、第1の流路P1は、光源収容室52を迂回できれば、その経路は特には限定されない。そのため、第1の流路P1は、2つの流路からではなく、1つ、または3つ以上の流路から構成されていてもよい。
【0061】
照射流路部10の径は、連通部24の径よりも小さい。図2に示す断面図でいうと、照射流路部10のZ方向の長さは、連通部24のZ方向の長さよりも短い。そのため、第1の流路P1を流れる処理流体は、照射流路部10に流入する前にZ方向に流れる必要がある。
【0062】
第1の流路P1において矢印A3で示す流路を流れた処理流体は、矢印A5で示す流路を流れる。矢印A5で示す流路は、Z方向のマイナス側からプラス側に向けて流れる流路である。一方、第1の流路P1において矢印A4で示す流路を流れた処理流体は、矢印A6で示す流路を流れる。矢印A6で示す流路は、Z方向のプラス側からマイナス側に向けて流れる流路である。矢印A5で示す流路と、矢印A6で示す流路とをあわせて、第3の流路P3とする。
【0063】
第3の流路P3を流れた処理流体は、照射流路P4に流入する。照射流路P4に流入した処理流体は、照射流路P4において紫外線の照射を受けて、殺菌される。
【0064】
前述のように、照射流路部10のX方向のプラス側の端部16には、流出入部20Bが配置されている。流出入部20Bは、流出入部20Aと同様の構造を有している。流出入部20Bにおける処理流体の流れは、おおよそ、流出入部20Aにおける処理流体の流れの逆となる。
【0065】
具体的には、照射流路P4を流れた処理流体は、流出入部20Bにおいて、まずZ方向に流れる。光源収容室52を回避するためである。ここでの、処理流体のZ方向の流路を、矢印A6で示している。Z方向の流路は、Z方向のプラス側からマイナス側に向けて流れる流路、およびZ方向のマイナス側からプラス側に向けて流れる流路を含む。
【0066】
矢印A6で示す流路を流れた処理流体は、つぎに、X方向のマイナス側からプラス側に向けて流れる。ここでの、処理流体のX方向の流路を、矢印A7で示している。X方向の流路は、光源収容室52のZ方向におけるプラス側を流れる流路、および光源収容室52のZ方向におけるマイナス側を流れる流路を含む。
【0067】
矢印A7で示す流路を流れた処理流体は、第2の流路P2を、Z方向のマイナス側からプラス側に流れる。
【0068】
流出入部20Bには、流出入口22Cおよび流出入口22Dの、2つの流出入口22が設けられている。2つの流出入口22のうち、流出入口22Cが閉口部材28によって閉止されている。そのため、処理流体は、流出入部20Bにおいて、矢印A8に示すように、第2の流路P2を、Z方向のマイナス側からプラス側に向けて流れる。
【0069】
第2の流路P2を、Z方向のマイナス側からプラス側に向けて流れた処理流体は、流出入口22Dから排出される。
【0070】
このように、図2に示す流体殺菌装置1においては、処理流体はZ方向におけるマイナス側から流体殺菌装置1に流入し、流体殺菌装置1からZ方向におけるプラス側に向けて流出する。
【0071】
なお、流出入部20Aおよび流出入部20Bにおいて、閉口部材28を配置する位置は適宜変更することができる。閉口部材28を配置する位置を変更することによって、例えば、処理流体がZ方向におけるプラス側から流体殺菌装置1に流入し、流体殺菌装置1からZ方向におけるマイナス側に向けて流出するようにすることもできる。
【0072】
流出入部20と照射流路部10との関係について説明する。流体殺菌装置1において、流出入部20と照射流路部10とは、一体として形成されていてもよい。ただし、流出入部20と照射流路部10とは、別体であってもよい。流出入部20と照射流路部10とが別体である場合、照射流路部10は、流出入部20に取り外しができるように接続されていてもよい。
【0073】
以下、流出入部20と照射流路部10とが別体である場合を説明する。図2に示すように、照射流路部10は、流出入部20に配置された接続口26に接続されている。接続口26は、流出入部20に照射流路部10を接続するための貫通穴である。接続口26は、照射流路部10のYZ断面の形状と、同様の形状を有している。
【0074】
図2に示す例では、接続口26は、閉止部30に設けられている。閉止部30は、流出入部20の照射流路部10に面する面を閉止する部材である。図2に示す例では、連通部24の照射流路部10に面する面は開口している。閉止部30は、連通部24の開口を封止するために、連通部24の開口に取り付けられている。
【0075】
照射流路部10は、閉止部30を介して流出入部20に取り付けられている。閉止部30には、閉止部30に照射流路部10を接続するための貫通口が設けられている。この貫通口が接続口26である。第3の流路P3と照射流路P4とは、接続口26を介して連通する。
【0076】
照射流路部10は、取り外しができるように接続口26に接続されている。そのため、照射流路部10を接続口26から取り外すことによって、光源収容室52に配置されている窓54を容易に清掃することができる。
【0077】
また、照射流路部10は、流出入部20が設置、固定された状態で取り外しができるように、接続口26に接続されている。そのため、流出入部20が配管に接続されたままの状態で、流体殺菌装置1の位置をかえることなく、窓54を容易に清掃することができる。
【0078】
照射流路部10を接続口26に取り付ける方法は特には限定されない。図2は、固定部材36を用いて、照射流路部10と接続口26とを固定する構成を示している。固定部材36は、照射流路部10の一部と、接続口26の一部とをあわせて固定することによって、照射流路部10と接続口26とを固定する部品であり、例えば、ヘルールクランプ等である。
【0079】
接続口26には、接続口突起37が設けられている。図2に示す例では、接続口突起37は、閉止部30に設けられている。一方、照射流路部10には、照射流路突起38が設けられている。照射流路突起38は、照射流路部10における外管12に設けられている。接続口突起37と照射流路突起38とは、あわせられた状態で、固定部材36によって締め付けることが可能な形状を有している。接続口突起37および照射流路突起38は、例えば、ヘルール継手等である。
【0080】
照射流路部10と接続口26とは、接続口突起37と照射流路突起38とが固定部材36によって固定されることによって固定されている。
【0081】
このような構成においては、固定部材36による固定を解除することによって、照射流路部10を接続口26から容易に取り外すことができる。
【0082】
また、図2に示すように、連通部24に閉止部30が配置されている場合には、閉止部30を連通部24から取り外すことによっても、窓54の清掃を容易にすることができる。閉止部30を連通部24から取り外す場合には、照射流路部10を接続口26から取り外す場合に比べて、開口する部分を大きくすることができる。そのため、窓54の清掃をより容易にすることができる。
【0083】
なお、別体としての閉止部30を備えない構成とすることもできる。すなわち、流出入部20が、連通部24を経て、閉止部30を含めて、一体として形成されていてもよい。一体として形成されている場合には、固定部材36による固定を解除することによって、窓54の清掃を容易にすることができる。
【0084】
上述の説明では、窓54の清掃の容易さについて記載した。窓54を露出させることは、窓54の清掃を容易にすることに加えて、窓54を交換することも容易にする。
【0085】
窓54は、窓54の内側に、結露によって水滴が付着する場合がある。窓54の内側とは、窓54の光源収容室52の内部に面する側をいう。言い換えると、窓54の内側とは、窓54の光源50側の表面を意味する。付着した水滴を取り除くために、窓54の清掃は、窓54の内側の清掃も含む。
【0086】
また、閉止部30を取り外しができるようにすること、または照射流路部10を取り外しができるようにすることは、照射流路P4を清掃すること、および照射流路P4を交換することも容易にする。
【0087】
また、連通部24は、流出入部20の一部であってもよく、または別個の部材とすることもできる。流出入部20を別個の部材とする場合、その別個の部材を筐体32という。筐体32については、図7に基づいて後に説明する。
【0088】
図3および図4に基づいて、複数の流体殺菌装置1の連結について説明する。図3は、2つの流体殺菌装置1がZ方向に連結された状態を示す流体殺菌装置1の断面図である。流体殺菌装置1には、流出入部20に2つの流出入口22が設けられている。そのため、複数の流体殺菌装置1をZ方向に連結することが容易である。すなわち、1つの流体殺菌装置1の流出入口22と、他の流体殺菌装置1の流出入口22とを接続することによって、流体殺菌装置1を容易に連結することができる。また、流出入口22は、例えばヘルール継手等の形状にすることにより、他の流体殺菌装置1との連結をさらに容易にする。
【0089】
また、流出入口22と流出入口22とを直接接続するため、流体殺菌装置1を連結することによる装置全体の容積の増加を最小限に抑制することができる。
【0090】
流体殺菌装置1が複数を連結されることによって、処理流体の処理量を増加させることができる。
【0091】
図4に基づいて、複数の流体殺菌装置1のY方向への連結について説明する。図4は、流出入部20の近傍の構造の概略を示す概念図である。
【0092】
図3は、複数の流体殺菌装置1がZ方向に連結された場合を示していた。流体殺菌装置1に、Y方向に向いた連結手段が設けられている場合には、流体殺菌装置1をY方向に連結することができる。
【0093】
図4はその一例として、流出入部20に、Y方向に延びる分岐管42が設けられた場合を示している。具体的には、流出入部20にY方向に開口した分岐口40が設けられている。そして、分岐口40に、分岐口40からY方向に延びる分岐管42が配置されている。図4において分岐管42が遠心するY方向に第3の方向D3とする。この分岐管42を、他の流体殺菌装置1に設けられた分岐口40、または、他の流体殺菌装置1に設けられた分岐管42と接続することによって、流体殺菌装置1をY方向に連結することができる。なお、第3の方向は、先に説明した第1の方向および第2の方向と直交していることが好ましい。
【0094】
また、図4に示すY方向での連結と、図3に示したZ方向での連結とを組み合わせることもできる。Y方向での連結とZ方向での連結とを組み合わせることによって、流体殺菌装置1を3次元に連結することができる。流体殺菌装置1を3次元に連結することによって、処理流量を容易に増大させることができる。また、処理流量を増大させることによる装置全体の容積の増加を抑制することができる。
【0095】
図4に基づいて、流出入部20の第2の流路P2における処理流体の流れと、光源収容室52との関係を説明する。図4の矢印A10は、第2の流路P2における処理流体の流れの方向を示す。矢印A10は、Z方向のプラス側からマイナス側に向かっている。ただし、流出入部20へ処理流体を流入させる向きの設定によっては、処理流体の流れの方向は、図4に示す方向と反対の方向であってもよい。この場合には、矢印A10は、Z方向のマイナス側からプラス側に向かうことになる。
【0096】
前述のように、光源50は、光源収容室52の内部に収容されている。光源収容室52において、光源50が配置されている面が背面58である。第2の流路P2における処理流体の流れ方向は、光源収容室52の背面58とほぼ平行である。すなわち、矢印A10の方向は、背面58とほぼ平行である。
【0097】
第2の流路P2において処理流体が流れる方向を、光源収容室52の背面58とほぼ平行にすることによって、背面58に衝突する処理流量の量を減らすことができる。背面58に衝突する処理流量の量を減らすことで、圧損を少なくすることができる。
【0098】
圧損を少なくすることによって、複数の流体殺菌装置1が連結されている場合に、それぞれの流体殺菌装置1に処理流体を均等に分配することが容易になる。
【0099】
図4に基づいて、光源収容室52と第2の流路P2との位置関係を説明する。光源収容室52の大半の部分は、第2の流路P2以外の位置に配置されている。前述のように、光源収容室52の主たる部分は、連通部24に配置されている。図4の線L1は、第2の流路P2と連通部24との境界を示している。図4に示すように、光源収容室52は、線L1を超えることなく、連通部24に配置されていることが好ましい。または、少なくとも光源収容室52の大半の部分は、線L1を超えることなく、連通部24に配置されていることが好ましい。
【0100】
少なくとも光源収容室52の大半の部分が、線L1を超えることなく、連通部24に配置されることによって、光源収容室52に衝突する処理流体の量を減らすことができる。光源収容室52に衝突する処理流量の量を減らすことで、圧損を少なくすることができる。
【0101】
圧損を少なくすることによって、複数の流体殺菌装置1が連結されている場合に、それぞれの流体殺菌装置1に処理流体を均等に分配することが容易になる。
【0102】
図4に基づいて、第2の流路P2の径と、第2の流路P2を流れる処理流体の流量との関係について説明する。図4の線K1は、第2の流路P2の径を示す。第2の流路P2の断面が円形である場合、線K1は第2の流路P2の直径を示す。以下、第2の流路P2の断面が円形である場合を例にして説明する。
【0103】
処理流体が流出入部20に流入する流路、または流出入部20から流出する流路の直径が大きすぎる場合には、光源50の冷却効率が低下する場合がある。一方、処理流体が流出入部20に流入する流路、または流出入部20から流出する流路の直径が小さい場合には、処理流体の速度および動圧が上昇する。処理流体の速度および動圧が上昇すると、処理流体を照射流路P4内に均等に流入させることが困難になる。特に、流体殺菌装置1が複数連結されている場合には、それぞれの流体殺菌装置1に処理流体を均等に分配することが困難になる。
【0104】
そこで、第2の流路P2の直径と、第2の流路P2を流れる処理流体の流量との比率を適切な範囲に設定することが好ましい。具体的には、第2の流路P2の直径(メートル)に対する、第2の流路P2を流れる処理流体の流量の比率、すなわち流量/流出入路断面積(LV)の値を、360 m/h以上18,000 m/h以下の範囲に設定することが好ましい。
【0105】
なお、LV(Linear Velocity:線速度)は、以下の値を意味する。LV=Q/A(メートル/時)。ここで、Q:流量(立方メートル/時)、A:流出入路断面積(平方メートル)。
【0106】
第2の流路P2の直径と、第2の流路P2を流れる処理流体の流量との比率を適切な範囲に設定することによって、処理流体による光源50の冷却能力を損なうことなく、処理流体を照射流路P4に均等に流入させることができる。特に、流体殺菌装置1が複数連結されている場合において、それぞれの流体殺菌装置1に処理流体を均等に分配することが容易になる。
【0107】
図5から図7に基づいて、各流路の位置関係、および各流路の断面積について説明する。図5は、各流路の配置を説明するための流体殺菌装置1の概略図である。
【0108】
図5において、X方向のマイナス側に配置されている流出入部20Cについては各流路の概略を示している。また、図5において、X方向のプラス側に配置されている流出入部20Dについては光源収容室52を強調して示している。
【0109】
先に図2などに基づいて説明したように、第2の流路P2は、流出入部20において、流出入口22からZ方向に処理流体を流すための流路である。
【0110】
第1の流路P1は、第2の流路P2からX方向に処理流体を流すための流路である。第1の流路P1は、連通部24に配置されている光源収容室52の、Z方向のマイナス側と、Z方向のプラス側とに、それぞれ配置される。そのため、第1の流路P1は、図5に、Z方向のマイナス側と、Z方向のプラス側とに、合計2つ示されている。
【0111】
第3の流路P3は、第1の流路P1からZ方向に処理流体を流すための流路である。第1の流路P1は、Z方向のマイナス側と、Z方向のプラス側とに、それぞれ配置されていた。そのため、第3の流路P3も、Z方向のマイナス側と、Z方向のプラス側とに、それぞれ配置されている。
【0112】
照射流路P4は、そこを流れる処理流体が、光源50からの光を受けて殺菌される流路である。第3の流路P3を流れた処理流体は、照射流路P4に流入する。
【0113】
上述のように、流出入口22から流出入部20に流入した処理流体は、第2の流路P2、第1の流路P1、および第3の流路P3を介して、照射流路P4に流入する。流路と外部空間とは、図7に示す連通部24などによって画されていてもよい。流路と外部空間とを画する部材については、後に図7に基づいて説明する。
【0114】
第1の流路P1の流路断面積と、第3の流路から照射流路P4へ流入する面の断面積との比について説明する。図6は、図5のI-I線断面に相当する図である。図6に示す、YZ断面における第1の流路P1の断面積を、流路断面積(A)とする。
【0115】
また、第3の流路P3から照射流路P4へ流入する面の断面積を断面積(B)とする。第3の流路P3から照射流路P4へ流入する面の断面は、図5のII-II断面に対応する。第3の流路P3から照射流路P4へ流入する面の断面の形状は、円環形状である。
【0116】
本実施形態の流体殺菌装置1においては、第1の流路P1の流路断面積(A)と第3の流路P3から照射流路P4へ流入する面の断面積(B)との比が0.5以上である。
【0117】
第1の流路P1の流路断面積(A)と、第3の流路P3から照射流路P4へ流入する面の断面積(B)との比が0.5以上であることにより、照射流路P4の周方向全域から均一に処理流体が照射流路P4へ流入する。したがって、照射流路P4における流速の乱れが生じにくくなり、殺菌性能を高めることができる。
【0118】
図8は、流路の設計と偏流度合いとの関係を示す図である。図8の横軸は、(第1の流路P1の流路断面積(A))/(第3の流路P3から照射流路P4へ流入する面の断面積(B))の値を示している。以下、この値をA/Bと記載することがある。
【0119】
図8の縦軸は、管入口偏流度合いを示している。管入口偏流度合いとは、照射流路P4への入り口近傍における流れの乱れの度合いを示す。以下、管入口偏流度合いを偏流度合いと記載することがある。偏流度合いは、例えば、X軸方向の流速の変動係数を比較することで評価することができる。
【0120】
図8に示すように、偏流度合いは、A/Bが0より大きくなると低下し、A/Bが1.0を超えると、ほぼ一定の値になる。すなわち、偏流度合いは、A/Bが1.0を超えると、低い値で一定になる。この低い値で一定になった偏流度合いを、基底偏流度合いとする。
【0121】
一方、管入口偏流度合いが大きくなると、殺菌効果の高い光源近傍における滞留時間の短い流体の割合が増加するため、殺菌性能が低下する。ここで、偏流度合いを基底偏流度合いの1.2倍程度以下の値にすることによって、殺菌性能の低下を実用上問題がない範囲に抑制することができることを見出した。
【0122】
図8に示す例では、基底偏流度合いは0.8である。そのため、偏流度合いが0.96(0.8×1.2=0.96)以下となるように、A/Bの範囲を設定することが好ましい。具体的には、A/Bの範囲は、0.5以上にすることが好ましい。
【0123】
図7に戻り、流路を外部空間と画する部材について説明する。図7は、図5に流路を画する部材を記載した図である。
【0124】
流体殺菌装置1には、照射流路P4の端部に光源50の出射方向に対して垂直な面に形成される閉止部30が備えられていてもよい。ここで、図7において、光源50の出射方向は、X方向である。また、光源50の出射方向に対して垂直な面は、YZ平面である。
【0125】
閉止部30には、図1などに示したように、中央に貫通穴である接続口26が形成されている。接続口26には、照射流路部10が挿入される。
【0126】
また、流体殺菌装置1には、光源収容室52を囲うように形成される筒状の筐体32が備えられていてもよい。この筐体32によって、連通部24が外部空間と画される。筐体32の内壁面34側には、第1の流路P1および第3の流路P3が形成されている。
【0127】
本実施形態の流体殺菌装置1においては、閉止部30と筐体32の内壁面34とが垂直に交わっている。
【0128】
閉止部30と筐体32の内壁面34とが垂直に交わることによって、処理流体を照射流路P4へより均一に流入させることができる。その結果、殺菌性能を高めることができる。
【0129】
例えば、閉止部30に対して筐体32の内壁面34が傾斜して交わる場合には、特には、第3の流路P3が照射流路P4に向けて絞られている場合には、処理流体を照射流路P4へ均一に流入させることが困難になる。これに対して、本実施形態の流体殺菌装置1のように、閉止部30と筐体32の内壁面34とが垂直に交わる場合には、処理流体を照射流路P4へより均一に流入させることができる。
【0130】
閉止部30は、円環状であることが好ましい。また、筐体32は、円管状であることが好ましい。閉止部30が円環状であり、筐体32が円管状であることによって、処理流体を照射流路P4へより均一に流入させることができる。その結果、殺菌性能をより高めることができる。
【0131】
また、本実施形態の流体殺菌装置1では、照射流路P4の端部16内壁面が面取りされていることが好ましい。すなわち、図2に基づいて説明したように、内管14に面取り部18が形成されていることが好ましい。
【0132】
照射流路P4の端部16の内壁面が面取りされていることによって、処理流体を照射流路P4へより均一に流入させることができる。その結果、殺菌性能を高めることができる。
【0133】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されることなく、種々の変更、変形及び組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0134】
1 流体殺菌装置
10 照射流路部
12 外管(金属)
14 内管(フッ素樹脂)
16 照射流路の端部
18 面取り部
20 流出入部
22 流出入口
24 連通部
26 接続口
28 閉口部材
30 閉止部
32 筐体
34 筐体の内壁面
36 固定部材
50 光源
51 配線基板
52 光源収容室
54 窓
56 挿入口
58 背面
60 面光源モジュール
P4 照射流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8