(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140228
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
B60R 11/06 20060101AFI20241003BHJP
A01B 76/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B60R11/06
A01B76/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051266
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100187562
【弁理士】
【氏名又は名称】沼田 義成
(72)【発明者】
【氏名】田中 祐治
【テーマコード(参考)】
2B041
3D020
【Fターム(参考)】
2B041AA06
2B041AB05
2B041AC01
3D020BA15
3D020BB06
3D020BC02
3D020BD05
(57)【要約】
【課題】工具箱へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができる作業車両を提供する。
【解決手段】
作業車両であるトラクタ1は、オペレータが着座する運転席30と、工具を収納するための工具箱4と、を備え、工具箱4は、運転席30の前方に配置される。具体的には、トラクタ1は、機体の側方に配置される還元剤タンク34を更に備え、工具箱4は、機体左右方向において還元剤タンク34の注水口34aよりも内側に配置されるとよい。また、工具箱4は、還元剤タンク34よりも上方に配置されるとよい。また、工具箱4は、長手方向が機体の進行方向に沿うように配置されるとよい。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オペレータが着座する運転席と、
工具を収納するための工具箱と、を備え、
前記工具箱は、前記運転席の前方に配置されることを特徴とする作業車両。
【請求項2】
機体の側方に配置される還元剤タンクを更に備え、
前記工具箱は、機体左右方向において前記還元剤タンクの注水口よりも内側に配置されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記工具箱は、前記還元剤タンクよりも上方に配置されることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
機体の側方に配置される燃料タンクを更に備え、
前記工具箱は、側面視において前記燃料タンクの少なくとも一部と重複するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項5】
前記工具箱は、長手方向が機体の進行方向に沿うように配置されることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項6】
前記運転席を有するキャビンと、
前記工具箱を固定するための工具箱固定部と、
前記工具箱固定部を機体に取り付けるための取付部と、を更に備え、
前記取付部は、前記キャビンの前側角部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項7】
前記工具箱固定部は、前記工具箱と接続される接続部を有し、
前記接続部は、機体左右方向においてフロントローダを取り付けるためのフロントローダブラケットよりも外側に配置される
ことを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
前記工具箱固定部は、前記工具箱と接続される接続部を有し、
前記接続部は、前記工具箱の姿勢を変更可能に構成される
ことを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工具を収納するための工具箱を備える作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
トラクタ等の作業車両は、車体と、車体に対して取り外し可能な作業機とを備えて構成される。
また、作業車両は、各部のメンテナンス等に用いる工具を収納する工具箱を備えるところ、工具箱は、例えば、車体の後部に設けられる。
【0003】
例えば、特許文献1では、バックホー等の作業機の取り外しが可能である作業車両は、車両本体の後部に装着した作業機を昇降する昇降機構と、昇降機構の上方を覆うカバーと、を備えている。カバーは、上方向に開口する凹部を有し、凹部内に工具箱等の物品を収納可能な収納スペースを設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の作業車両では、車体の後部に工具箱を設けているので、車体に作業機が装着された状態でオペレータが工具を用いる場合、オペレータは、工具箱にアクセスするために、車体と作業機との間に体を入れる必要があり、又は車体から作業機を取り外す必要がある。従って、工具箱を利用する際の作業性や利便性が悪いという問題や、作業機が不意に昇降した場合に危険が生じるという問題がある。
【0006】
本発明は、工具箱へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の作業車両は、オペレータが着座する運転席と、工具を収納するための工具箱と、を備え、前記工具箱は、前記運転席の前方に配置されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、工具箱へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができる作業車両を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係るトラクタを概要的に示す側面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るトラクタの工具箱及びその周辺を概要的に示す側面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るトラクタの工具箱及びその周辺を概要的に示す上面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るトラクタにおいて工具箱を外した状態を概要的に示す上面図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るトラクタの工具箱を概要的に示す側面図である。
【
図6】本発明の実施形態に係るトラクタの工具箱を概要的に示す底面図である。
【
図7】本発明の他の実施形態に係るトラクタの工具箱及びその周辺を概要的に示す上面図である。
【
図8】本発明の他の実施形態に係るトラクタにおいて工具箱を外した状態を概要的に示す上面図である。
【
図9】本発明の他の実施形態に係るトラクタの工具箱を概要的に示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の作業車両は、圃場を走行しながら作業機によって作業する作業走行を行うものである。本発明の作業車両の一実施形態であるトラクタ1について図面を参照して説明する。
図1に示すように、トラクタ1は、車体2と、作業機3(一点鎖線参照)とを備え、車体2によって走行しながら作業機3によって耕耘等の作業を行うように構成される。トラクタ1では、各種の作業を行うロータリ、ハロー、ローダ、ボックススクレーパー等の作業機3が、必要に応じて車体2に装着される。トラクタ1は、各部のメンテナンス等に用いる工具を収納するための工具箱4を備える。
【0011】
車体2の前部下側には、左右一対の前輪10が設けられ、車体2の後部下側には、左右一対の後輪11が設けられる。本実施形態では、
図1に示すように、前輪10がタイヤで構成され、後輪11がハーフクローラで構成される例を説明するが、他の例では、後輪11がタイヤで構成されてもよく、あるいは、前輪10及び後輪11に代えてフルクローラを備えてもよい。
【0012】
車体2の前部には、エンジン12が内蔵されていて、エンジン12は、ボンネット17に覆われている。エンジン12の後方には、左右一対の後輪11の間に変速装置13が設けられている。エンジン12の動力は、変速装置13に伝達され、変速装置13によって変速されて、各前輪10及び各後輪11へと伝達される。車体2の後部には、作業機3を作動油の油圧によって駆動する駆動部として、作業機昇降機構14と、作業機角度変更機構15とが設けられる。
【0013】
変速装置13の後部には、左右一対のロワーリンク20と、トップリンク21と、PTO軸22とが接続されていて、各ロワーリンク20、トップリンク21及びPTO軸22は、後方に延びて配置されている。作業機3は、各ロワーリンク20、トップリンク21及びPTO軸22の後端に連結され、PTO軸22によって駆動される。
【0014】
作業機昇降機構14は、左右一対のリフトアーム23と、油圧シリンダで構成されるリフトシリンダ(図示せず)とを備える。一方のリフトアーム23の先端部は、リンク部材24を介して一方のロワーリンク20に連結され、他方のリフトアーム23の先端部は、ローリングシリンダ(図示せず)を介して他方のロワーリンク20に連結されている。作業機昇降機構14は、変速装置13の油圧ポンプ(図示せず)から供給される作動油の油圧によってリフトシリンダを駆動することにより、車体2に支持される作業機3の高さを変更できる。
【0015】
作業機角度変更機構15は、油圧シリンダで構成されるローリングシリンダを備える。ローリングシリンダは、上記したように、他方のリフトアーム23と、他方のロワーリンク20とを連結するように構成される。作業機角度変更機構15は、変速装置13の油圧ポンプから供給される作動油の油圧によってローリングシリンダを駆動することにより、車体2に対して支持される作業機3の左右方向の傾斜姿勢を変更することができる。
【0016】
車体2の上部には、オペレータが搭乗するためのキャビン16が設けられる。キャビン16の内部には、オペレータが着座する運転席30が設けられ、運転席30の周囲に各種の操作具が設けられる。キャビン16の左右外側の下部には、オペレータがキャビン16に乗降する際に踏み台となるステップ32が設けられる。また、キャビン16の外側には、工具を収納するための工具箱4が設けられる。
【0017】
例えば、操作具として、運転席30の前方には、前輪10の操向を操作するためのハンドル31が設けられる。ハンドル31の周囲には、作業機3を最上昇位置や最下降位置に強制的に移動操作するための昇降レバー(図示せず)や、車体2の進行方向を前進と後進とに切換操作するための前後進切換レバー(図示せず)等が設けられる。ハンドル31の下方の床面には、車体2を制動操作するためのブレーキペダル(図示せず)や、動力の伝達/遮断を切り換えるクラッチ(図示せず)を操作するためのクラッチペダル(図示せず)、エンジン12の回転数(車体2の車速)を加減速操作するためのアクセルペダル(図示せず)等が設けられる。
【0018】
車体2の下部には、
図1や
図2に示すように、エンジン12に供給する燃料を貯留する燃料タンク33や、エンジン12から排出される排気ガスに混合させる尿素水等の還元剤を貯留する還元剤タンク34が設けられる。還元剤が排気ガスに混合されることで、排気ガス中の窒素酸化物(NOx)が低減される。
【0019】
燃料タンク33は、例えば、左右2つに分かれていて進行方向に長形のタンク本体33aと、左側のタンク本体33aから前上方に延びて形成された導入部33bとを有し、導入部33bの上部には、燃料を給油するための給油口33cが設けられる。燃料タンク33は、トラクタ1の機体の側方に配置されるところ、2つのタンク本体33aは、機体の左右方向両側にそれぞれ配置され、具体的には、キャビン16の下方で左右方向においてステップ32よりも内側に配置される。
【0020】
導入部33bは、キャビン16の下方から前上方に向かうように且つ左側のステップ32を左右方向の内側から回り込むように延びてボンネット17(エンジン12)の側方(左側)で且つ左側のステップ32の前方に至るように配置される。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、給油口33cは、キャビン16の前方で且つボンネット17(エンジン12)の側方(左側)に配置され、また、上方向きに配置される。給油口33cから給油された燃料は、導入部33bを介して導入されてタンク本体33aに貯留される。なお、導入部33b及び給油口33cは、左側の前輪10よりも後方で、左側の前輪10に干渉しない位置に配置される。
【0021】
還元剤タンク34は、トラクタ1の機体の側方に配置され、具体的には、燃料タンク33の左側のタンク本体33a及び左側のステップ32よりも前方で且つボンネット17(エンジン12)の側方(左側)に配置され、また、燃料タンク33の導入部33bの少なくとも一部(給油口33cを含む部分)よりも下方に配置される。
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、還元剤タンク34の側面(左側面)の上部には、還元剤を還元剤タンク34の内部に注入するために側方(左側)向きの注水口34aが設けられる。なお、還元剤タンク34及び注水口34aは、左側の前輪10よりも後方で、左側の前輪10に干渉しない位置に配置される。
【0022】
工具箱4は、
図3に示すように、上面視において長形に形成されていて、長手方向がトラクタ1の機体の進行方向に沿うように配置される。
図1、
図2、
図3に示すように、工具箱4は、キャビン16(運転席30)の前方で左側の前輪10よりも後方に配置される。工具箱4は、トラクタ1の機体の左右方向において還元剤タンク34の注水口34aよりも内側で且つボンネット17(エンジン12)よりも外側(左側)に配置され、更に、還元剤タンク34よりも上方に配置される。ここで、工具箱4は、左右方向において還元剤タンク34の注水口34aよりも右側の部分と重複するように配置されてもよいが、注水口34aとの重複を回避するように配置される。
【0023】
更に、工具箱4は、側面視において燃料タンク33の少なくとも一部(例えば、給油口33cや導入部33bの上部)と重複するように配置され、また、トラクタ1の機体の左右方向において燃料タンク33の給油口33cよりも内側に配置され、また、燃料タンク33の左側のタンク本体33aよりも前方に配置される。ここで、工具箱4は、左右方向において燃料タンク33の給油口33cよりも右側の部分と重複するように配置されてもよいが、給油口33cとの重複を回避するように配置される。
【0024】
なお、工具箱4は、左右方向において、還元剤タンク34よりも内側に配置されてもよく、また、左側の前輪10よりも内側に配置されてもよい。更に、工具箱4は、燃料タンク33の導入部33bよりも上方に配置されてもよく、また、上面視において燃料タンク33の少なくとも一部(例えば、導入部33b)と重複するように配置されてもよい。
【0025】
図2に示すように、キャビン16の前側角部(左前角部)には、工具箱4をトラクタ1の機体に対して取り付けるためのステー等の取付部35が設けられる。キャビン16は、箱枠状のキャビンフレーム16aによって支持されるところ、取付部35は、キャビン16を左前側で支持するキャビンフレーム16aに設けられ、前方に突出するように形成される。
【0026】
工具箱4は、
図1、
図2、
図3、
図4に示すように、工具箱固定部36に対して固定され、また、工具箱固定部36を介して取付部35に取り付けられる。工具箱固定部36は、例えば、
図5に示すように、L字状に形成され、水平方向(前後方向)に延びた工具箱固定部36の一辺が左前側のキャビンフレーム16aから前方に突出するように配置されると共に、上下方向に延びた工具箱固定部36の他辺が取付部35に取り付けられる。
【0027】
工具箱固定部36は、
図5、
図6に示すように、工具箱4と接続される接続部37を有し、工具箱4は、接続部37によって工具箱固定部36の上側に固定される。接続部37は、例えば、工具箱4の底面を工具箱固定部36の上面に対して締結するボルト等によって構成される。
【0028】
工具箱4の底面には、所定の締結数(少なくとも2つ以上)の締結穴が設けられ、工具箱固定部36の一辺には、
図6に示すように、各締結穴に対応する貫通穴38が設けられる。貫通穴38は、工具箱4の長手方向がトラクタ1の機体の進行方向と平行となるように工具箱4の姿勢を固定する通常位置で工具箱固定部36の一辺に形成される。接続部37が貫通穴38を介して締結穴に締結されることで、工具箱4は、工具箱4の長手方向が機体の進行方向と平行となる通常姿勢で工具箱固定部36に固定される。
【0029】
上記のように、本実施形態によれば、作業車両であるトラクタ1は、オペレータが着座する運転席30と、工具を収納するための工具箱4と、を備え、工具箱4は、運転席30の前方に配置される。
【0030】
これにより、トラクタ1では、運転席30やキャビン16はオペレータがアクセスし易いように構成されるところ、運転席30やキャビン16の前方に工具箱4を配置することによって、工具箱4へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができ、オペレータは、工具箱4にアクセスするために作業機3に干渉する必要がない。
【0031】
具体的には、トラクタ1は、機体の側方に配置される還元剤タンク34を更に備え、工具箱4は、機体左右方向において還元剤タンク34の注水口34aよりも内側に配置される。
【0032】
これにより、トラクタ1では、還元剤タンク34に注水される還元剤がこぼれてしまっても、工具箱4に還元材がかかることを防ぐことができる。また、還元剤タンク34はオペレータがアクセスし易いように構成されるところ、還元剤タンク34の注水口34aよりも内側に工具箱4を配置することによって、工具箱4へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができる。
【0033】
また、本実施形態によれば、工具箱4は、還元剤タンク34よりも上方に配置される。
【0034】
これにより、トラクタ1では、工具箱4を還元剤タンク34よりも上方に配置することによって、オペレータは、還元剤タンク34に邪魔されることなく工具箱4にアクセスすることができ、工具箱4へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができる。
【0035】
更に、本実施形態によれば、トラクタ1は、機体の側方に配置される燃料タンク33を更に備え、工具箱4は、側面視において燃料タンク33の少なくとも一部と重複するように配置される。
【0036】
これにより、トラクタ1では、燃料タンク33に邪魔されない高さに工具箱4を配置することができ、工具箱4へのアクセス性を向上して作業性や利便性を向上することができる。
【0037】
また、本実施形態によれば、工具箱4は、長手方向が機体の進行方向に沿うように配置される。
【0038】
これにより、トラクタ1では、運転席30に着座したオペレータから見て工具箱4が縦長の姿勢で配置されているので、工具箱4は、トラクタ1の前部にある前輪10等の部品を確認するオペレータの視界を遮ることがないので、安全性を確保することができる。
【0039】
また、本実施形態によれば、トラクタ1は、運転席30を有するキャビン16と、工具箱4を固定するための工具箱固定部36と、工具箱固定部36を機体に取り付けるための取付部35と、を更に備え、取付部35は、キャビン16の前側角部に設けられる。
【0040】
これにより、トラクタ1では、剛性の高いキャビン16にステー等の取付部35を設けることにより、高い強度で工具箱固定部36を機体に取り付けることができ、工具箱4をより高い強度で機体に固定することができる。
【0041】
他の実施形態では、トラクタ1には、ボンネット17の側方から前方に延びたフロントローダ(図示せず)を備えるものがある。フロントローダは、
図7や
図8に示すように、トラクタ1の機体の左右方向においてボンネット17の両側から前方に延びたフロントローダブラケット40に取り付けられる。フロントローダブラケット40は、ボンネット17の下方で左右方向に延びた回動軸周りに回動可能に設けられ、上下に回動するように構成される。フロントローダは、フロントローダブラケット40によって上下に回動可能に支持される。
【0042】
このような他の実施形態では、ボンネット17の側方に配置される工具箱4は、上下に回動するフロントローダブラケット40と干渉しない位置に配置されるとよい。例えば、工具箱4を工具箱固定部36に接続する接続部37は、トラクタ1の機体の左右方向においてフロントローダブラケット40よりも外側に配置され、工具箱4は、フロントローダブラケット40よりも外側に配置される。これにより、フロントローダがトラクタ1の前部に取り付けられる場合でも、上下に回動するフロントローダに干渉することなく工具箱4を配置して接続部37によって固定することができる。
【0043】
この場合、工具箱4を固定する工具箱固定部36は、上下に回動するフロントローダブラケット40と干渉しない形状に形成され、具体的には、工具箱固定部36の一辺において、フロントローダブラケット40に近い工具箱固定部36の端部(例えば、右前端)を切り欠いて形成されるとよい。
【0044】
また、工具箱4を工具箱固定部36に固定する接続部37は、工具箱4の姿勢を、長手方向がトラクタ1の機体の進行方向と平行となる通常姿勢と、フロントローダブラケット40と干渉しない非干渉姿勢とで変更可能に構成される。
【0045】
この場合、
図8や
図9に示すように、工具箱固定部36の一辺では、接続部37が接続される貫通穴38として、通常位置の貫通穴38aに加えて、工具箱4がフロントローダブラケット40と干渉しないように工具箱4の姿勢を固定する非干渉位置の貫通穴38bが形成される。非干渉位置の貫通穴38bは、トラクタ1の機体の左右方向においてフロントローダブラケット40よりも外側で接続部37が接続されるように配置される。
【0046】
そして、接続部37が通常位置の貫通穴38aを介して工具箱4の締結穴に締結されることで、工具箱4は通常姿勢で工具箱固定部36に固定される。一方、接続部37が非干渉位置の貫通穴38bを介して締結穴に締結されることで、接続部37は、左右方向においてフロントローダブラケット40よりも外側に配置され、工具箱4は非干渉姿勢で工具箱固定部36に固定される。これにより、フロントローダがトラクタ1の前部で着脱可能に構成される場合、工具箱固定部36を変更することなく、必要に応じて工具箱4の姿勢を変更して機体に固定することができ、例えば、上下に回動するフロントローダが取り付けられた場合には、フロントローダに干渉しない非干渉姿勢で工具箱4を配置して接続部37によって固定することができる。
【0047】
あるいは、接続部37は、工具箱固定部36の一辺に対して工具箱4を水平方向に回転可能に支持するように構成されることで、工具箱4の姿勢を通常姿勢と非干渉姿勢とで変更可能にしてもよい。
【0048】
なお、本実施形態では、工具箱4が、トラクタ1の機体の左右方向において左側に、より具体的には、ボンネット17の左側でキャビン16の左前角部に配置される例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、工具箱4が、左右方向において右側に、より具体的には、ボンネット17の右側でキャビン16の右前角部に配置されてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、キャビン16を支持するキャビンフレーム16aの前側角部に取付部35を設けて、工具箱4は、工具箱固定部36を介して取付部35に取り付けられる例を説明したが、本発明はこの例に限定されない。他の例では、トラクタ1の車体2における他のフレームに取付部35を設けて、工具箱4は、工具箱固定部36を介して他のフレームの取付部35に取り付けられてもよい。
【0050】
上記した実施形態では、本発明の作業車両が、トラクタ1で構成される例を説明したが、本発明はこの例に限定されず、本発明の作業車両は、他の農作業機等の作業車両で構成されてもよい。
【0051】
なお、本発明は、請求の範囲及び明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨又は思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う作業車両もまた本発明の技術思想に含まれる。
【0052】
〔発明の付記〕
以下、上述の実施形態から抽出される発明の概要について付記する。なお、以下の付記で説明する各構成及び各処理機能は取捨選択して任意に組み合わせることが可能である。
【0053】
<付記1>
オペレータが着座する運転席と、
工具を収納するための工具箱と、を備え、
前記工具箱は、前記運転席の前方に配置されることを特徴とする作業車両。
【0054】
<付記2>
機体の側方に配置される還元剤タンクを更に備え、
前記工具箱は、機体左右方向において前記還元剤タンクの注水口よりも内側に配置されることを特徴とする付記1に記載の作業車両。
【0055】
<付記3>
前記工具箱は、前記還元剤タンクよりも上方に配置されることを特徴とする付記2に記載の作業車両。
【0056】
<付記4>
機体の側方に配置される燃料タンクを更に備え、
前記工具箱は、側面視において前記燃料タンクの少なくとも一部と重複するように配置されることを特徴とする付記1~3の何れかに記載の作業車両。
【0057】
<付記5>
前記工具箱は、長手方向が機体の進行方向に沿うように配置されることを特徴とする付記1~4の何れかに記載の作業車両。
【0058】
<付記6>
前記運転席を有するキャビンと、
前記工具箱を固定するための工具箱固定部と、
前記工具箱固定部を機体に取り付けるための取付部と、を更に備え、
前記取付部は、前記キャビンの前側角部に設けられることを特徴とする付記1~5の何れかに記載の作業車両。
【0059】
<付記7>
前記工具箱固定部は、前記工具箱と接続される接続部を有し、
前記接続部は、機体左右方向においてフロントローダを取り付けるためのフロントローダブラケットよりも外側に配置されることを特徴とする付記6に記載の作業車両。
【0060】
<付記8>
前記工具箱固定部は、前記工具箱と接続される接続部を有し、
前記接続部は、前記工具箱の姿勢を変更可能に構成されることを特徴とする付記6又は7に記載の作業車両。
【符号の説明】
【0061】
1 トラクタ(作業車両)
2 車体
3 作業機
4 工具箱
16 キャビン
17 ボンネット
30 運転席
33 燃料タンク
34 還元剤タンク
34a 注水口
35 取付部
36 工具箱固定部
37 接続部
40 フロントローダブラケット