(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140237
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ダンパ装置
(51)【国際特許分類】
F16F 15/131 20060101AFI20241003BHJP
F16F 15/134 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
F16F15/131
F16F15/134 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051279
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】片岡 直也
(57)【要約】
【課題】 弾性部材に関連して設けられる部材が摩耗することを抑えるダンパ装置を提供する。
【解決手段】 ダンパ装置(1)は、動力が伝達される第1回転体(100)と、第1回転体との間に周方向に沿って配置された第1弾性機構部(200)を挟んで回転する第2回転体(300)と、第2回転体との間に、周方向に沿って配置された、弾性部材、弾性部材の一端を支持する第1シート(404)、及び、弾性部材の他端を支持する第2シート(406)を含む第2弾性機構部(400)を挟んで、回転する第3回転体(500)と、を含み、第1シート及び第2シートの各々が、回転軸に交差する交差方向に延びる第2回転体の第1主面(300a)と交差方向に延びる第3回転体の第2主面(504a)との間に配置され、交差方向に延びる突起部(404C,406C)を含む。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ダンパ装置であって、
動力が伝達され、回転軸の周りに回転する第1回転体と、
該第1回転体との間に当該ダンパ装置の周方向に沿って配置された第1弾性機構部を挟んで、前記回転軸の周りに回転する、第2回転体と、
該第2回転体との間に、前記周方向に沿って配置された、弾性部材、該弾性部材の一端を支持する第1シート、及び、該弾性部材の他端を支持する第2シートを含む第2弾性機構部を挟んで、前記回転軸の周りに回転する、第3回転体と、を具備し、
前記第1回転体は、前記第1弾性機構部を押圧することにより、該第1弾性機構部により押圧された前記第2回転体が、前記第2弾性機構部を圧縮しつつ前記第3回転体に対して相対的に回転する、ように設けられ、
前記第1回転体は、さらに前記第1弾性機構部を押圧することにより、前記第1弾性機構部に当接した前記第2回転体との間において、前記第1弾性機構部を圧縮しつつ、前記第2回転体及び前記第3回転体に対して相対的に回転する、ように設けられ、
前記第1シート及び前記第2シートの各々が、前記回転軸に交差する交差方向に延びる前記第2回転体の第1主面と該交差方向に延びる前記第3回転体の第2主面との間に配置され、該交差方向に延びる突起部を含む、ことを特徴とするダンパ装置。
【請求項2】
前記第2回転体との間に前記第3回転体を挟んで設けられた第2環状部材をさらに具備し、
前記第2回転体が、前記第3回転体を貫通して前記第2環状部材に当接する腕部を含んで、前記第1主面と前記第2環状部材との間の距離を所定の距離以上に保つことにより、前記第1間隙及び/又は前記第2間隙が形成される、請求項1に記載のダンパ装置。
【請求項3】
前記腕部が前記第2環状部材に嵌合することにより、前記第2回転体と該第2環状部材とが一体的に回転する、請求項2に記載のダンパ装置。
【請求項4】
前記第2回転体と前記第3回転体との間に設けられた第1環状部材をさらに具備し、
該第1環状部材が前記第1主面と前記第2主面とを離間させることにより、前記第1間隙及び/又は前記第2間隙が形成される、請求項1から請求項3のいずれかに記載のダンパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件出願に開示された技術は、ダンパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等において、エンジン等の駆動源と変速機との間のトルク伝達経路上には、駆動源から変速機に向けて伝達されるトルクの振動を吸収するダンパ装置が設けられる。
【0003】
このようなダンパ装置の一例として、特許文献1に開示されたダンパ装置が知られている。特許文献1に記載されたダンパ装置は、駆動源からの動力が伝達されるディスクプレートと、このディスクプレートとの間に配置された第1コイルスプリングを伸縮させて、このディスクプレートに対して相対的に回転するハブと、このハブとの間に配置され、第1コイルスプリングより小さい第2コイルスプリングを伸縮させて、このハブに対して相対的に回転するコントロールプレートと、を含む。
【0004】
かかるダンパ装置の捩じれ特性においては、捩じれ角が0に近い領域として、第2コイルスプリングにより低剛性の領域(プリダンパ領域)が形成され、捩じれ角度が大きい領域として、第1コイルスプリング及び第2コイルスプリングにより高剛性の領域が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されたダンパ装置にあっては、第2コイルスプリングが、ハブ及び/又はコントロールプレート等を含む他の部材に直接的に接触する構成が採用されているので、第2コイルスプリング及び/又は他の部材が摩耗するという問題が生ずる。
【0007】
そこで、本件出願に開示された技術は、弾性部材に関連して設けられる部材が摩耗することを少なくとも部分的に抑えるダンパ装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様に係るダンパ装置は、「動力が伝達され、回転軸の周りに回転する第1回転体と、該第1回転体との間に当該ダンパ装置の周方向に沿って配置された第1弾性機構部を挟んで、前記回転軸の周りに回転する、第2回転体と、該第2回転体との間に、前記周方向に沿って配置された、弾性部材、該弾性部材の一端を支持する第1シート、及び、該弾性部材の他端を支持する第2シートを含む第2弾性機構部を挟んで、前記回転軸の周りに回転する、第3回転体と、を具備し、前記第1回転体は、前記第1弾性機構部を押圧することにより、該第1弾性機構部により押圧された前記第2回転体が、前記第2弾性機構部を圧縮しつつ前記第3回転体に対して相対的に回転する、ように設けられ、前記第1回転体は、さらに前記第1弾性機構部を押圧することにより、前記第1弾性機構部に当接した前記第2回転体との間において、前記第1弾性機構部を圧縮しつつ、前記第2回転体及び前記第3回転体に対して相対的に回転する、ように設けられ、前記第1シート及び前記第2シートの各々が、前記回転軸に交差する交差方向に延びる前記第2回転体の第1主面と該交差方向に延びる前記第3回転体の第2主面との間に配置され、該交差方向に延びる突起部を含む」ことができる。
【発明の効果】
【0009】
本件出願に開示された技術によれば、弾性部材に関連して設けられる部材が摩耗することを少なくとも部分的に抑えるダンパ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係るダンパ装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図1に示したダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
【
図3】一部の部材を取り外した状態にある
図1に示したダンパ装置の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図3に示した状態にあるダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
【
図5】さらに一部の部材を取り外した状態にある
図4に示したダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
【
図6】内部に存在する部材を仮想的に透視した形式により
図2に示したダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
【
図7】
図1に示したダンパ装置の構成を分解して模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図1に示したダンパ装置の構成を、
図6に示す変則的なA-A’切断面からみて模式的に示す断面図である。
【
図9】
図1に示したダンパ装置に含まれる第2弾性機構部の構成を模式的に示す斜視図である。
【
図10】
図1に示したダンパ装置の構成を、
図6に示す変則的なB-C-D-E切断面からみて模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して様々な実施形態を説明する。なお、図面において共通した構成要件には同一の参照符号が付されている。また、或る図面に表現された構成要素が、説明の便宜上、別の図面においては省略されていることがある点に留意されたい。さらにまた、添付した図面が必ずしも正確な縮尺で記載されている訳ではないということに注意されたい。
【0012】
1.ダンパ装置の構成
一実施形態に係るダンパ装置の全体の構成について、
図1~
図8を参照して説明する。
図1は、一実施形態に係るダンパ装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図2は、
図1に示したダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
図3は、一部の部材を取り外した状態にある
図1に示したダンパ装置の構成を模式的に示す斜視図である。
図4は、
図3に示した状態にあるダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
図5は、さらに一部の部材を取り外した状態にある
図4に示したダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
図6は、内部に存在する部材を仮想的に透視した形式により
図2に示したダンパ装置の構成を模式的に示す上面図である。
図7は、
図1に示したダンパ装置の構成を分解して模式的に示す斜視図である。
図8は、
図1に示したダンパ装置の構成を、
図6に示す変則的なA-A’切断面からみて模式的に示す断面図である。
【0013】
ダンパ装置1は、エンジン又はモータ等の図示しない駆動源と図示しない変速機(トランスミッション)との間に設けられ、上記駆動源からの動力が伝達されこの動力を変速機に伝達(出力)する装置であり得る。
【0014】
このダンパ装置1は、大まかにいえば、動力が伝達される第1回転体としてのディスクプレート100と、ディスクプレート100との間に、周方向に沿って配置された第1弾性機構部200を挟んで、回転軸Oの周りに回転する、第2回転体としてのコントロールプレート300と、コントロールプレート300との間に、周方向に沿って配置された第2弾性機構部400を挟んで、回転軸Oの周りに回転する、第3回転体としてのハブ500と、を含むことができる。
【0015】
なお、本明細書において、「軸方向」とは、回転軸Oと平行に延びる方向を意味し、「径方向」とは、回転軸Oに直交する方向を意味し、「周方向」とは、回転軸Oの周りを周回する方向を意味する。
【0016】
(1)ディスクプレート100(第1回転体)
ディスクプレート100は、ダンパ装置1において最も上流側に配置され得る。ディスクプレート100は、例えば、ステンレス鋼、鋼、ジュラルミン又は鉄等の金属材料により形成され得る。ディスクプレート100は、
図7及び
図8によく示されるように、略円盤状を呈する第1プレート100A及び第2プレート100Bを含むことができる。第1プレート100A及び第2プレート100Bは、両者の間に、ライニングプレート101、コントロールプレート300及びハブ500等を挟むように配置され得る。第1プレート100A及び第2プレート100Bは、ともに外周付近において、環状を呈するライニングプレート101にリベットR等により結合され得ることにより、回転軸Oの周りにライニングプレート101と一体的に回転することができる。
【0017】
なお、このようなディスクプレート100には、駆動源からの動力がフライホイール(図示しない)及びライニングプレート101を介して、駆動源からの動力が伝達され得る。
【0018】
図1から
図7によく示されるように、第1プレート100A及び第2プレート100Bは、少なくとも1つの(ここでは一例として2つの)第1弾性機構部200の各々を周方向両側から挟むように支持することができる。これを実現するために、第1プレート100A及び第2プレート100Bは、各第1弾性機構部200に対応する位置において、相互に対向する開口部を含むことができる。具体的には、
図7によく示されるように、第1弾性機構部200Aに対応する位置において、第1プレート100Aは、開口部102Aを含み、第2プレート100Bは、開口部102Aに対向する開口部102Bを含み得る。同様に、第1弾性機構部200Bに対応する位置において、第1プレート100Aは、開口部104Aを含み、第2プレート100Bは、開口部104Bを含み得る。
【0019】
一例では、第1プレート100Aの開口部102Aと第2プレート100Bの開口部102Bとは、相互に同一の形状を呈することができ、第1プレート100Aの開口部104Aと第2プレート100Bの開口部104Bとは、相互に同一の形状を呈することができる。
【0020】
開口部102A(102B)は、周方向における一端側において、第1弾性機構部200Aの後述する第1シート部材206の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面102A1(102B1)を含むことができる。また、開口部102A(102B)は、周方向における他端側において、第1弾性機構部200Aの後述する第2シート部材208の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面102A2(102B2)を含むことができる。
【0021】
同様に、開口部104A(104B)は、周方向における一端側において、第1弾性機構部200Bの後述する第1シート部材206の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面104A1(104B1)を含むことができる。また、開口部104A(104B)は、周方向における他端側において、第1弾性機構部200Bの後述する第2シート部材208の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面104A2(104B2)を含むことができる。
【0022】
さらに、
図7及び
図8によく示されるように、第1プレート100A及び第2プレート100Bは、それぞれ、後述するハブ500の円筒部502を挿通させる貫通穴106A及び貫通穴106Bを含むことができる。
【0023】
このようなディスクプレート100は、軸受けとしても機能し得る摺動部材600を介して、ハブ500に対して相対的に回転することが可能となるように設けられ得る。
【0024】
具体的には、
図7及び
図8によく示されるように、摺動部材600は、全体として略環状を呈し、中央に貫通穴602を含み得る。摺動部材600は、略円環状を呈する基部604と、同様に略円環状を呈し、基部604から軸方向に突出し、基部604より小さい外径を有する突出部606と、を含むことができる(なお、摺動部材600は、例えば、樹脂(ナイロン樹脂等)、ステンレス鋼、鋼、ジュラルミン又は鉄等の材料により形成され得る)。基部604には、コントロールプレート300に対向する面に、少なくとも1つの突起604aが形成され得る。この突起604aがコントロールプレート300に嵌合することにより、摺動部材600は、コントロールプレート300と一体的に回転することができる。
【0025】
摺動部材600は、貫通穴602に、後述するハブ500の円筒部502を挿通させることにより、ハブ500に対して相対的に回転することが可能となるように設けられ得る。ディスクプレート100は、第1プレート100Aの貫通穴106Aに、摺動部材600の突出部606を挿通させることにより、摺動部材600を介して、ハブ500に対して相対的に回転可能に設けられ得る。
【0026】
(2)ハブ500(第3回転体)
ハブ500は、ダンパ装置1における駆動力を外部に出力する出力部材として機能することができる。ハブ500は、例えば、ステンレス鋼、鋼、ジュラルミン又は鉄等の金属材料により形成され得る。ハブ500は、ディスクプレート100の第1プレート100Aと第2プレート100Bとの間に配置され、ディスクプレート100及びコントロールプレート300に対して相対的に回転可能となるように設けられ得る。
【0027】
ハブ500は、
図7、
図8及び
図5によく示されるように、円筒部502と、円筒部502から径方向外側に延び、変形した円形状を呈する板部504と、を含むことができる。円筒部502は、軸方向に延びる貫通穴502aに、変速機の入力軸(図示せず)を挿通させてこの入力軸にスプライン結合することができる。円筒部502は、ディスクプレート100の貫通穴106A及び貫通穴106Bを通って、ディスクプレート100の外側にまで延びることができる。
【0028】
板部504は、少なくとも1つの(ここでは一例として2つの)第1弾性機構部200の各々に対応する位置において、その第1弾性機構部200を収容する開口部を含むことができる。具体的には、ここでは、板部504は、第1弾性機構部200Aに対応する位置において、この第1弾性機構部200Aを収容する開口部504Aを含み、第1弾性機構部200Bに対応する位置において、この第1弾性機構部200Bを収容する開口部504Bを含むことができる。一例では、開口部504Aと開口部504Bとは、相互に同一の形状を呈することができる。
【0029】
図5によく示されるように、開口部504Aは、第1弾性機構部200Aの後述する第1シート部材206の外面に適合した形状を呈する支持面504A
1を含むことができる。支持面504A
1は、ハブ500がディスクプレート100に対して相対的に(紙面上反時計回りの方向に)回転したときに、第1シート部材206の外面に周方向外側から当接して支持することができる。また、開口部504Aは、第1弾性機構部200Aの後述する第2シート部材208の外面に適合した形状を呈する支持面504A
2を含むことができる。支持面504A
2は、ハブ500がディスクプレート100に対して相対的に(紙面上時計回りの方向に)回転したときに、第2シート部材208の外面に周方向外側から当接して支持することができる。
【0030】
同様に、開口部504Bは、第1弾性機構部200Bの後述する第1シート部材206の外面に適合した形状を呈する支持面504B1を含むことができる。支持面504B1は、ハブ500がディスクプレート100に対して相対的に(紙面上反時計回りの方向に)回転したときに、第1シート部材206の外面に周方向外側から当接して支持することができる。また、開口部504Bは、第1弾性機構部200Bの後述する第2シート部材208の外面に適合した形状を呈する支持面504B2を含むことができる。支持面504B2は、ハブ500がディスクプレート100に対して相対的に(紙面上時計回りの方向に)回転したときに、第2シート部材208の外面に周方向外側から当接して支持することができる。
【0031】
さらに、
図7、
図8及び
図5によく示されるように板部504は、少なくとも1つの(ここでは一例として2つの)第2弾性機構部400の各々に対応する位置において、その第2弾性機構部400を収容する開口部を含むことができる。具体的には、ここでは、板部504は、第2弾性機構部400Aに対応する位置において、この第2弾性機構部400Aを収容する開口部506Aを含み、第2弾性機構部400Bに対応する位置において、この第2弾性機構部400Bを収容する開口部506Bを含むことができる。一例では、開口部506Aと開口部506Bとは、相互に同一の形状を呈することができる。
【0032】
図5によく示されるように、開口部506Aは、周方向における一端側において、第2弾性機構部400Aの後述する第1シート部材404の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面506A
1を含むことができる。また、開口部506Aは、周方向における他端側において、第2弾性機構部400Aの後述する第2シート部材406の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面506A
2を含むことができる。
【0033】
同様に、開口部506Bは、周方向における一端側において、第2弾性機構部400Bの後述する第1シート部材404の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面506B1を含むことができる。また、開口部506Bは、周方向における他端側において、第2弾性機構部400Bの後述する第2シート部材406の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面506B2を含むことができる。
【0034】
(3)第1弾性機構部200
ダンパ装置1は、少なくとも1つの第1弾性機構部200を含むことができる。ここでは、一例として、ダンパ装置1が上述したように2つの第1弾性機構部200A、200Bを含むことができる。
【0035】
各第1弾性機構部200は、一例では、相互に同一の構成を有することができる。第1各弾性機構部200(200A、200B)は、
図1から
図6に示されるように、例えば、周方向に沿って螺旋状に延びる大きな外径を有する第1弾性部材202と、周方向に沿って螺旋状に延びる小さな外径を有する第2弾性部材204と、第1弾性部材202(第2弾性部材204)の一端側に配置され、第1弾性部材202(第2弾性部材204)を周方向外側から支持する第1シート部材206と、第1弾性部材202(第2弾性部材204)の他端側に配置され、第1弾性部材202(第2弾性部材204)を周方向外側から支持する第2シート部材208と、を含むことができる。
【0036】
ここでは、2つの第1弾性機構部200A、200Bのうち、第1弾性機構部200Aのみに着目して説明し、第1弾性機構部200Aと同様の構成を有する第1弾性機構部200Bについては、その説明を省略する。
【0037】
第2弾性部材204は、第1弾性部材202より小さいサイズを有するように構成され、第1弾性部材202の内部に配置され得る。第1弾性部材202及び第2弾性部材204は、ともに、鋼又は鉄等の金属材料により形成され得る。
【0038】
第1シート部材206は、全体として略L字状の断面形状を呈し得る。第1シート部材206は、その内面において、第1弾性部材202(第2弾性部材204)の一端に当接して、周方向外側から第1弾性部材202(第2弾性部材204)を支持することができる。
【0039】
図7によく示されるように、第1シート部材206は、その外面において、相互に略平行に周方向に延びる例えば3つの溝(又は係合面)206A、206B、206Cを含むことができる。さらに、第1シート部材206は、その外面において、溝206Aと溝206Bとの間に、径方向外側に突出する突出部206Dを含み、溝206Bと溝206Cとの間に、径方向外側に突出する突出部206Eを含むこともできる。なお、第1シート部材206は、樹脂、ゴム又は金属等の材料により形成され得る。
【0040】
第2シート部材208もまた、第1シート部材206と同様に、全体として略L字状の断面形状を呈し得る。第2シート部材208は、その内面において、第1弾性部材202(第2弾性部材204)の他端に当接して、周方向外側から第1弾性部材202(第2弾性部材204)を支持することができる。なお、第2シート部材208もまた、樹脂、ゴム又は金属等の材料により形成され得る。
【0041】
第2シート部材208は、その外面において、相互に略平行に周方向に延びる例えば3つの溝(又は係合面)208A、208B、208Cを含むことができる。さらに、第2シート部材208は、その外面において、溝208Aと溝208Bとの間に、径方向外側に突出する突出部208Dを含み、溝208Bと溝208Cとの間に、径方向外側に突出する突出部208Eを含むこともできる。
【0042】
このような第1シート部材206及び第2シート部材208と、ディスクプレート100との関係に着目する。
【0043】
図1、
図2及び
図7によく示されるように、第1プレート100Aの開口部102Aを囲む上述した支持面102A
1は、第1シート部材206の外面に形成された溝206Aに当接して溝206Aを周方向外側から支持することができる。同様に、第1プレート100Aの開口部102Aを囲む上述した支持面102A
2は、第2シート部材208の外面に形成された溝208Aに当接して溝208Aを周方向外側から支持することができる。
【0044】
図7によく示されるように、第2プレート100Bの開口部102Bを囲む上述した支持面102B
1は、第1シート部材206の外面に形成された溝206Cに当接して溝206Cを周方向外側から支持することができる。同様に、第2プレート100Bの開口部102Bを囲む上述した支持面102B
2は、第2シート部材208の外面に形成された溝208Cに当接して溝208Cを周方向外側から支持することができる。
【0045】
一方、このような第1シート部材206及び第2シート部材208と、ハブ500との関係に着目する。
【0046】
図3、
図4及び
図7によく示されるように、ハブ500に形成された開口部504Aを囲む支持面504A
1は、ハブ500がディスクプレート100と一体的に回転する場合には、第1シート部材206の外面に形成された溝206Bに対して距離をおいて対向することができる。支持面504A
1は、ハブ500がディスクプレート100に対して相対的に(
図3及び
図4において反時計回りの方向に)回転し続ける場合には、溝206Bに当接して溝206Bを押圧することができる。
【0047】
ハブ500に形成された開口部504Aを囲む支持面504A
2は、ハブ500がディスクプレート100と一体的に回転する場合には、第2シート部材208の外面に形成された溝208Bに対して距離をおいて対向することができる。支持面504A
2は、ハブ500がディスクプレート100に対して相対的に(
図3及び
図4において時計回りの方向に)回転し続ける場合には、溝208Bに当接して溝208Bを押圧することができる。
【0048】
(4)第2弾性機構部400
ダンパ装置1は、少なくとも1つの第2弾性機構部400を含むことができる。ここでは、一例として、ダンパ装置1が上述したように2つの第2弾性機構部400A、400Bを含むことができる。
【0049】
各第2弾性機構部400は、一例では、相互に同一の構成を有することができる。各第2弾性機構部400の構成について、さらに
図9を参照して説明する。
図9は、
図1に示したダンパ装置に含まれる第2弾性機構部の構成を模式的に示す斜視図である。
【0050】
各第2弾性機構部400(400A、400B)は、
図9に示されるように、例えば、周方向に沿って螺旋状に延びる弾性部材402と、弾性部材402の一端側に配置され、弾性部材402を周方向外側から支持する第1シート部材404と、弾性部材402の他端側に配置され、弾性部材402を周方向外側から支持する第2シート部材406と、を含むことができる。
【0051】
ここでは、2つの第2弾性機構部400A、400Bのうち、第2弾性機構部400Aのみに着目して説明し、第2弾性機構部400Aと同様の構成を有する第2弾性機構部400Bについては、その説明を省略する。
【0052】
弾性部材402は、鋼又は鉄等の金属材料により形成され得る。
【0053】
第1シート部材404は、全体として略L字状の断面形状を呈し得る。第1シート部材404は、その内面において、弾性部材402の一端に当接して、周方向外側から弾性部材402を支持することができる。
【0054】
第1シート部材404は、その外面において、相互に略平行に延びる例えば2つの係合面404A、404Bを含むことができる。さらに、第1シート部材404は、その外面において、係合面404Aと係合面404Bとの間に、径方向外側(回転軸Oに交差又は直交する方向)に突出して延びる突起部404Cを含むことができる。なお、第1シート部材404は、樹脂、ゴム又は金属等の材料により形成され得る。
【0055】
突起部404Cは、第1シート部材404が軸方向に移動すること、及び/又は、径方向に対して傾斜することを(少なくとも部分的に)規制するという目的を達成できる限りにおいて、後述するコントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間に、回転軸Oに交差する交差方向(例えば回転軸Oに直交する方向)に延在する部分を含むことができる。当該部分は、周方向及び/又は径方向に延びることができる。また、当該部分は、弾性部材402からみて、径方向外側及び/又は径方向内側に延びることもできる。
【0056】
第2シート部材406もまた、その外面において、相互に略平行に延びる例えば2つの係合面406A、406Bを含むことができる。さらに、第1シート部材406は、その外面において、係合面406Aと係合面406Bとの間に、径方向外側(回転軸Oに交差又は直交する方向)に突出して延びる突起部406Cを含むことができる。なお、第2シート部材406もまた、樹脂、ゴム又は金属等の材料により形成され得る。
【0057】
突起部406Cは、第2シート部材406が軸方向に移動すること、及び/又は、径方向に対して傾斜することを(少なくとも部分的に)規制するという目的を達成できる限りにおいて、後述するコントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間に、回転軸Oに交差する交差方向(例えば回転軸Oに直交する方向)に延在する部分を含むことができる。当該部分は、周方向及び/又は径方向に延びることができる。また、当該部分は、弾性部材402からみて、径方向外側及び/又は径方向内側に延びることもできる。
【0058】
このような構成を含む各第2弾性機構部400は、
図5及び
図7によく示されるように、ハブ500に取り付けられて支持され得る(後述するように、コントロールプレート300にも取り付けられて支持され得る)。
【0059】
具体的には、第1シート部材404の係合面404Bが、ハブ500の開口部506Aに収容され、開口部506Aを囲む支持面506A1により周方向外側から支持され得る。また、第2シート部材406の係合面406Bが、ハブ500の開口部506Aに収容され、開口部506Aを囲む支持面506A2により周方向外側から支持され得る。
【0060】
第1シート部材404の突起部404C及び第2シート部材406の突起部406Cは、ハブ500の主面504a(すなわち、板部504のうちコントロールプレート300に対向する面504a)と、後述するコントロールプレート300の主面300a(すなわち、コントロールプレート300のうち板部504に対向する面300a)と、の間に配置され延在することができる。
【0061】
(5)コントロールプレート300(第2回転体)
図7によく示されるように、コントロールプレート300は、ディスクプレート100の第1プレート100Aとハブ500との間に配置され得る。コントロールプレート300は、例えば、ステンレス鋼、鋼、ジュラルミン又は鉄等の金属材料により形成され得る。
【0062】
図3、
図4及び
図7によく示されるように、コントロールプレート300は、略円環状を呈する中心部302と、中心部302から径方向外側に延び、略扇状を呈する複数の外側部304と、を含むことができる。ここでは、ダンパ装置1が2つの第1弾性機構部200(200A、200B)を含むことから、コントロールプレート300は、2つの外側部304(304A、304B)を含むことができる。
【0063】
また、中心部302は、その中心において、ハブ500の円筒部502を挿通させる貫通穴302aを含むことができる。
【0064】
さらに、中心部302は、例えば、その外周縁において、複数の腕部302bを含むことができる。ここでは、中心部302は、一例として、4つの腕部302b1~302b4を含むことができる。各腕部302bは、例えば板状を呈することができ、中心部302の延設面に交差する方向(ここでは一例として、回転軸Oに略平行な方向)に延びることができる。
【0065】
中心部302は、好ましい例では、その外周縁に各腕部302bを含むことができるが、別の例では、これに代えて又はこれに加えて、その内周縁に複数の腕部302bを含むことができる。また、中心部302が複数の腕部302bを含むことに代えて、又は、中心部302が複数の腕部302bを含むことに加えて、いずれかの外側部304が、その外周縁及び/又はその内周縁に、同様の腕部を含むことも可能である。
【0066】
外側部304Aは、その外周縁付近において、少なくとも1つの(ここでは1つの)当接部304A
1を含むことができる。当接部304A
1は、外側部304Aの延設面に交差する方向(ここでは一例として、回転軸Oに略平行な方向)に延びることができる。当接部304A
1は、
図3及び
図4によく示されるように、第1シート部材206の外面に周方向外側から当接してこの外面を支持することができる。
【0067】
さらに、外側部304Aは、その外周縁付近であって上述した当接部304A
1から周方向に沿って距離をおいた位置において、少なくとも1つの(ここでは1つの)当接部304A
2を含むことができる。当接部304A
2は、外側部304Aの延設面に交差する方向(ここでは一例として、回転軸Oに略平行な方向)に延びることができる。当接部304A
1は、
図3及び
図4によく示されるように、第2シート部材208の外面に周方向外側から当接してこの外面を支持することができる。
【0068】
外側部304Bは、その外周縁付近において、少なくとも1つの(ここでは1つの)当接部304B
1を含むことができる。当接部304B
1は、外側部304Bの延設面に交差する方向(ここでは一例として、回転軸Oに略平行な方向)に延びることができる。当接部304B
1は、
図3及び
図4によく示されるように、第1シート部材206の外面に周方向外側から当接してこの外面を支持することができる。
【0069】
さらに、外側部304Bは、その外周縁付近であって上述した当接部304B
1から周方向に沿って距離をおいた位置において、少なくとも1つの(ここでは1つの)当接部304B
2を含むことができる。当接部304B
2は、外側部304Bの延設面に交差する方向(ここでは一例として、回転軸Oに略平行な方向)に延びることができる。当接部304B
2は、
図3及び
図4によく示されるように、第2シート部材208の外面に周方向外側から当接してこの外面を支持することができる。
【0070】
さらにまた、
図3、
図4及び
図7によく示されるように、コントロールプレート300は、各第2弾性機構部400に対向する位置において、開口部306を含むことができる。ここでは、コントロールプレート300は、外側部304Aにおいて開口部306aを含み、外側部304Bにおいて開口部306bを含むことができる。
【0071】
図3及び
図4によく示されるように、開口部306aは、周方向における一端側において、第2弾性機構部400Aの第1シート部材404の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面306a
1を含むことができる。また、開口部306aは、周方向における他端側において、第2弾性機構部400Aの第2シート部材406の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面306a
2を含むことができる。
【0072】
同様に、開口部306bは、周方向における一端側において、第2弾性機構部400Bの第1シート部材404の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面306b1を含むことができる。また、開口部306bは、周方向における他端側において、第2弾性機構部400Bの第2シート部材406の外面に適合した形状を呈してこの外面を周方向外側から支持する支持面306b2を含むことができる。
【0073】
コントロールプレート300は、このような第2弾性機構部400を介して、ハブ500に接続されている。これにより、コントロールプレート300とハブ500とは、各第2弾性機構部400に含まれる弾性部材402を周方向に沿って圧縮させて、相互に相対的に回転することができる。
【0074】
次に、このような構成を含むコントロールプレート300が、ダンパ装置1において他の部材との関係でどのように配置されるかについて、
図7及び
図8に加えて、
図10を参照して着目する。
図10は、
図1に示したダンパ装置の構成を、
図6に示す変則的なB-C-D-E切断面からみて模式的に示す断面図である。
【0075】
コントロールプレート300は、ハブ500と、ディスクプレート100の第1プレート100Aに相対的に回転可能に設けられた摺動部材600との間に、配置され得る。コントロールプレート300は、摺動部材600の基部604に形成された突起604aに嵌合することにより、摺動部材600と一体的に回転することができる。さらに、摺動部材600とコントロールプレート300(中心部302)との間には、略円環状を呈する皿バネ700が配置され得る。この皿バネ700を設けることにより、各部材間における軸方向における隙間を詰めること、及び/又は、ダンパ装置の回転に摺動抵抗を与えて共振を抑制することができる。
なお、コントロールプレート300及び摺動部材600と、ディスクプレート100とが、相対的に回転するときには、摺動部材600とディスクプレート100の第1プレート100Aとの間に、摺動トルクが発生し得る。
【0076】
さらに、ハブ500(板部504)と第2プレート100Bとの間には、略円環状を呈し得る摺動部材(第2環状部材)800が配置され得る。摺動部材800は、コントロールプレート300との間にハブ500を挟んで設けられ得る。摺動部材800は、その中心に形成された貫通穴800aに、ハブ500の筒状部材502を挿通させることができる。また、摺動部材800は、軸方向に突出する略円環状の突出部810を含むことができる。突出部810は、第2プレート100Bに形成された貫通穴106Bに挿入され得る。なお、ハブ500とディスクプレート100とが相対的に回転するときには、ハブ500とディスクプレート100との間に摺動トルクが発生し得る。なお、摺動部材800は、樹脂又はゴム等の材料により形成され得る。
【0077】
コントロールプレート300に設けられた各腕部302b(ここでは、例えば、腕部302b1~302b4)の端部Eは、ハブ500を貫通して(例えばハブ500に形成された開口部504A又は504Bの内部を通って)、摺動部材800に当接することができる。このように各腕部302bが設けられることによって、コントロールプレート300の主面300a(コントロールプレート300の板部504に対向する面)と摺動部材800のコントロールプレート300(又は板部504)に対向する面802との間の距離を所定の距離以上に保つことができる。ここで、所定の距離は、腕部302bの長さにより定められ、例えば、板部504の厚さと突起部404Cの厚さとを加算した値より大きく設定され得る。これにより、コントロールプレート300とハブ500の板部504との間には、一定の距離が維持され得る。すなわち、コントロールプレート300の主面300a(コントロールプレート300の板部504に対向する面)と、ハブ500の主面504a(ハブ500のコントロールプレート300に対向する面)との間には、一定の距離が維持され得る。この一定の距離は、突起部404Cの軸方向に沿った厚みよりも大きくされ得る。これにより、突起部404Cが、コントロールプレート300の主面300a及びハブ500の主面504aの両方に同時に接触して摩耗することが低減され得る(なお、突起部404Cは、傾斜して、コントロールプレート300の主面300a及びハブ500の主面504aのうちのいずれか一方のみに接触する余地が残されるようにしてもよい)。
【0078】
好ましい例では、腕部302b(302b1~302b4)の端部Eは、摺動部材800のコントロールプレート300に対向する面802に形成された溝又は孔804に嵌合することも可能である。これにより、コントロールプレート300と摺動部材800とが一体的に回転することができる。この場合、各腕部302bの端部Eは、摺動部材800に対して相対的に回転しないことにより、摺動部材800との間において摩擦(フリクション)が生ずることを抑えることができる。これにより、各腕部302bの端部Eが摩耗することを抑えることができる。したがって、コントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間に、一定の距離を維持(確保)し続けることができる。
【0079】
また、コントロールプレート300とハブ500の板部504との間には、略円環状を呈し得るワッシャー(第1環状部材)900が配置され得る。ワッシャー900は、その中心に形成された貫通穴900aに、ハブ500の筒状部材502を挿通させることができる。また、ワッシャー900は、軸方向に突出する略円環状の突出部910を含むことができる。突出部910は、コントロールプレート300に形成された貫通穴302aに挿入され得る。なお、ワッシャー900は、樹脂又はゴム等の材料により形成され得る。
【0080】
このようにワッシャー900が設けられることによって、コントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間には、一定の距離が維持(確保)され得る。すなわち、コントロールプレート300の主面300aと、ハブ500の主面504aとの間には、一定の距離が維持され得る。これにより、突起部404Cが、コントロールプレート300の主面300a及びハブ500の主面504aの両方に同時に接触して摩耗することが低減され得る(なお、突起部404Cは、傾斜して、コントロールプレート300の主面300a及びハブ500の主面504aのうちのいずれか一方のみに接触する余地が残されるようにしてもよい)。
【0081】
好ましい例では、コントロールプレート300の主面300aと、ハブ500の主面504aとの間に配置されるワッシャー900の軸方向に沿った厚みは、突起部404Cの軸方向に沿った厚みよりも大きくされ得る。これにより、腕部302bの端部Eが摺動部材800に対して相対的に回転して摩耗して短くなった場合であっても、又は、腕部302bがそもそも設けられない場合であっても、コントロールプレート300の主面300aと、ハブ500の主面504aとの間には、一定の距離が維持され得る。
【0082】
なお、以上のような第1シート部材404に含まれる突起部404Cと、コントロールプレート300の主面300a(ハブ500の主面504a)との関係(構成及び効果)は、第2シート部材406に含まれる突起部406Cと、コントロールプレート300の主面300a(ハブ500の主面504a)との間にも、同様に当て嵌まる。
【0083】
2.ダンパ装置の動作
上記構成を含むダンパ装置1により行われる動作の一例を説明する。
図2を参照すると、駆動源(図示しない)から駆動力を伝達されることにより、ここでは、ディスクプレート100が紙面上反時計回りの方向に回転するものとする。ディスクプレート100が反時計回りの方向に回転し始めると、駆動力が、支持面102A
1、第1シート部材206及び第1弾性部材202(第2弾性部材204)を介して、第2シート部材208に伝達され得る。
図4から明らかであるように、駆動力が伝達された第2シート部材208は、コントロールプレート300の当接部304B
2を反時計回りの方向に押圧することができる。当接部304B
2を押圧されたコントロールプレート300は、弾性部材402を圧縮させて、ハブ500に対して反時計回りの方向に相対的に回転することができる(これにより、コントロールプレート300と弾性部材402との間において、低剛性領域すなわちプリダンパ領域が生成され得る)。
【0084】
この後、第2シート部材208の外面が、ハブ500の開口部504Aを囲む支持面504A2に当接することができる。これにより、第2シート部材208の外面に押圧されたハブ500もまた反時計回りの方向に回転することができる。さらにディスクプレート100が反時計回りの方向に回転し続けると、回転しているディスクプレート100の支持面102A1、102B1は、ハブ500の支持面504A2との間において、第1弾性部材202(第2弾性部材204)を圧縮させて、ハブ500に対して相対的に反時計回りの方向に回転することができる。さらに時間が経過すると、ディスクプレート100とハブ500との間におけるトルクの変動に応じて、第1弾性部材202(第2弾性部材204)の撓みの大きさが変化し得る。例えば、ディスクプレート100に伝達されるトルクが、ハブ500に伝達されるトルクよりも大きい場合には、ディスクプレート100は、ハブ500との間において第1弾性部材202(第2弾性部材204)を比較的に多く撓ませつつ、ハブ500に対して相対的に半時計回りの方向に回転することができる。一方、ディスクプレート100に伝達されるトルクが、ハブ500に伝達されるトルクよりも小さい場合には、ディスクプレート100は、ハブ500との間において第1弾性部材202(第2弾性部材204)を比較的に少なく撓ませつつ、ハブ500に対して相対的に時計回りの方向に回転することができる。
なお、ここでは、第1弾性機構部200A及びこれに関連する部材のみについて説明したが、同様の動作が、第2弾性機構部200B及びこれに関連する部材にも並行して行われる。
【0085】
このようにして、駆動源からディスクプレート100に伝達された駆動力は、最終的にはハブ500を介して、変速機(図示しない)に伝達され得る。
【0086】
ダンパ装置1が
図4に示した状態で回転しているときに、何らかの要因(減速等)により、ハブ500が、ディスクプレート100に対して、時計回りの方向に回転することがある。このケースに着目すると、
図4に示す状態において、まず、ハブ500は、弾性部材402を圧縮させて、コントロールプレート300に対して時計回りの方向に回転することができる。この後、ハブ500の支持面504A
2は、時計回りの方向に回転することにより、第2シート部材208の外面に当接することができる。さらに時計回りの方向に回転するハブ500の支持面504A
2により押圧された第2シート部材208は、ハブ500に対して相対的に反時計回りの方向に回転しているディスクプレート100の支持面102A
1、102B
1に支持される第1シート部材206との間において、第1弾性部材202(第2弾性部材204)を圧縮させることができる。
【0087】
上記何らかの要因が解消されると、第1弾性部材202(第2弾性部材204)が元の形状に復帰すべく伸長することにより、第2シート部材208がハブ500の支持面504A
2を反時計回りの方向に押圧することができる。これにより、ハブ500は、ディスクプレート100に対して反時計回りの方向に回転することができる。この後、弾性部材402が元の形状に復帰すべく伸長することにより、ハブ500は、コントロールプレート300に対して反時計回りの方向に回転することができる。さらに時間が経過すると、ディスクプレート100、コントロールプレート300及びハブ500は、一体的に(
図4に示した状態で)回転することができる。なお、ここでは、第1弾性機構部200A及びこれに関連する部材のみについて説明したが、同様の動作が、第2弾性機構部200B及びこれに関連する部材にも並行して行われる。
【0088】
以上のような動作が繰り返されることにより、弾性部材402は、圧縮及び伸縮(伸縮)を繰り返すことになろう。このような動作が行われている間であっても、
図10等を参照して上述したように、コントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間には、軸方向に沿って一定の距離(好ましくは突起部404C、406Cの軸方向に沿った厚みよりも大きい距離)が維持又は確保され得る。
【0089】
具体的には、突起部404C(406C)の主面300aに対向する面(径方向に延びる面)とコントロールプレート300の主面300aとの間に、軸方向に沿った第1隙間が形成され、突起部404C(406C)の主面504aに対向する面(径方向に延びる面)とハブ500の主面504aとの間に、軸方向に沿った第2隙間が形成されるように、コントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間に一定の距離が維持又は確保され得る。
【0090】
これにより、突起部404C(406C)が、コントロールプレート300の主面300a及びハブ500の主面504aの両方に同時に接触して摩耗することが低減され得る。この結果、突起部404C(406C)及びこれを含む第1シート部材404(第2シート部材406)の耐久性を向上させることができるので、ひいては、第2弾性機構部400により形成される減衰性能を向上させることができる。
【0091】
突起部404C、406Cにより周方向外側から支持される弾性部材402に着目すると、弾性部材402は、これらの突起部が存在することにより、コントロールプレート300及びハブ500等の他の部材との接触を(少なくとも部分的には)回避することができる。したがって、弾性部材402自体の他の部材との接触に起因する摩耗を抑えることも可能となる。
【0092】
3.変形例
上述した様々な例では、コントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間に軸方向に沿った一定の距離を確保するために、(コントロールプレート300の)腕部302bと摺動部材800とがセットで設けられ、これに代えて又はこれに加えて、ワッシャー900が設けられる場合について説明した。
【0093】
しかしながら、これらの手段は、本件出願に開示された技術においては、必須の要素ではなく、オプションとして設けられる要素であり得る。腕部302b、摺動部材800及びワッシャー900が設けられない場合であっても、コントロールプレート300の主面300aとハブ500の主面504aとの間に、依然として、突起部404C、406Cが延びている。これにより、第1シート部材404及び第2シート部材406が、軸方向に移動すること、及び/又は、径方向に対して傾斜することを、(少なくとも部分的に)規制することができる。さらに、この場合においても、弾性部材402は、突起部404C、406Cが存在することにより、コントロールプレート300及びハブ500等の他の部材との接触を(少なくとも部分的には)回避することができる。したがって、弾性部材402自体の他の部材との接触に起因する摩耗を抑えることも可能である。
【0094】
上述した腕部302bが設けられる例では、腕部302bがコントロールプレート300に設けられる場合について説明した。別の例では、これに代えて又はこれに加えて、摺動部材800に設けられた同様の腕部が、コントロールプレート300に当接又は嵌合する構成を採用することも可能である。
【0095】
上述した様々な例では、第2弾性機構部400に含まれる各第2弾性機構部400A、400Bの第1シート部材404及び第2シート部材406の各々に、上述した構成を備えた突起部が設けられる場合について説明した。別の例では、第2弾性機構部400に含まれる少なくとも1つの第2弾性機構部に、上述した構成を備えた突起部を設けることが可能である。この場合、第1シート部材404及び/又は第2シート部材406に、上述した構成を備えた突起部を設けることが可能である。
【0096】
本開示の利益を有する当業者により容易に理解されるように、上述した様々な例は、矛盾の生じない限りにおいて、相互に様々なパターンで適切に組み合わせて用いられ得る。
【0097】
4.様々な態様
第1の態様に係るダンパ装置は、「動力が伝達され、回転軸の周りに回転する第1回転体と、該第1回転体との間に当該ダンパ装置の周方向に沿って配置された第1弾性機構部を挟んで、前記回転軸の周りに回転する、第2回転体と、該第2回転体との間に、前記周方向に沿って配置された、弾性部材、該弾性部材の一端を支持する第1シート、及び、該弾性部材の他端を支持する第2シートを含む第2弾性機構部を挟んで、前記回転軸の周りに回転する、第3回転体と、を具備し、前記第1回転体は、前記第1弾性機構部を押圧することにより、該第1弾性機構部により押圧された前記第2回転体が、前記第2弾性機構部を圧縮しつつ前記第3回転体に対して相対的に回転する、ように設けられ、前記第1回転体は、さらに前記第1弾性機構部を押圧することにより、前記第1弾性機構部に当接した前記第2回転体との間において、前記第1弾性機構部を圧縮しつつ、前記第2回転体及び前記第3回転体に対して相対的に回転する、ように設けられ、前記第1シート及び前記第2シートの各々が、前記回転軸に交差する交差方向に延びる前記第2回転体の第1主面と該交差方向に延びる前記第3回転体の第2主面との間に配置され、該交差方向に延びる突起部を含む」構成を採用することができる。
【0098】
第2の態様に係るダンパ装置は、上記第1の態様において「前記突起部は、該突起部と前記第2回転体の前記第1主面との間に第1間隙が形成されるように、及び/又は、該突起部と前記第3回転体の前記第2主面との間に第2間隙が形成されるように、設けられる」構成を採用することができる。
【0099】
第3の態様に係るダンパ装置は、上記第2の態様において「前記第2回転体と前記第3回転体との間に設けられた第1環状部材をさらに具備し、該第1環状部材が前記第1主面と前記第2主面とを離間させることにより、前記第1間隙及び/又は前記第2間隙が形成される」構成を採用することができる。
【0100】
第4の態様に係るダンパ装置は、上記第1の態様において「前記第2回転体との間に前記第3回転体を挟んで設けられた第2環状部材をさらに具備し、前記第2回転体が、前記第3回転体を貫通して前記第2環状部材に当接する腕部を含んで、前記第1主面と前記第2環状部材との間の距離を所定の距離以上に保つことにより、前記第1間隙及び/又は前記第2間隙が形成される」構成を採用することができる。
【0101】
第5の態様に係るダンパ装置は、上記第4の態様において「前記腕部が前記第2環状部材に嵌合することにより、前記第2回転体と該第2環状部材とが一体的に回転する」構成を採用することができる。
【0102】
第6の態様に係るダンパ装置は、上記第4の態様又は上記第5の態様において「前記第2回転体と前記第3回転体との間に設けられた第1環状部材をさらに具備し、該第1環状部材が前記第1主面と前記第2主面とを離間させることにより、前記第1間隙及び/又は前記第2間隙が形成される」構成を採用することができる。
【0103】
以上説明したように、本件出願に開示された技術によれば、弾性部材に関連して設けられる部材が摩耗することを少なくとも部分的に抑えるダンパ装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 ダンパ装置
O 回転軸
100 ディスクプレート
100A 第1プレート
100B 第2プレート
200(200A、200B) 第1弾性機構部
300 コントロールプレート
300a 主面(第1主面)
302b(302b1、302b2、302b3、302b4) 腕部
E 腕部の端部
400 第2弾性機構部
402 弾性部材
404 第1シート部材(第1シート)
406 第2シート部材(第2シート)
404C、406C 突起部
500 ハブ
502 筒状部材
504 板部
504a 主面(第2主面)
600 摺動部材
700 皿バネ
800 摺動部材(第2環状部材)
804 溝又は孔
900 ワッシャー(第1環状部材)