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特開2024-140243中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140243
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 63/02 20060101AFI20241003BHJP
   B01D 69/10 20060101ALI20241003BHJP
   B01D 69/12 20060101ALI20241003BHJP
   B01D 71/26 20060101ALI20241003BHJP
   B41J 2/19 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
B01D63/02
B01D69/10
B01D69/12
B01D71/26
B41J2/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051289
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】504346204
【氏名又は名称】三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142309
【弁理士】
【氏名又は名称】君塚 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(72)【発明者】
【氏名】福万 健士
【テーマコード(参考)】
2C056
4D006
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056KB23
2C056KB40
4D006GA32
4D006HA03
4D006HA19
4D006JA13A
4D006JA13B
4D006JA13C
4D006JA14A
4D006JA18A
4D006JA25A
4D006JA25B
4D006JA25C
4D006JA27A
4D006JB04
4D006JB06
4D006KA31
4D006KB17
4D006MA01
4D006MA09
4D006MA10
4D006MA31
4D006MA33
4D006MA40
4D006MB15
4D006MB16
4D006MC11
4D006MC17
4D006MC23
4D006MC28
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC32
4D006MC45
4D006MC46
4D006MC47
4D006MC49
4D006MC53
4D006MC65
4D006NA21
4D006NA34
4D006PA01
4D006PB20
(57)【要約】
【課題】ポッティング部とケースとの間の接着性を高めることができ、ポッティング部とケースとが剥離することなく、被処理液を効果的に濾過・脱気処理することが可能な中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法を提供する。
【解決手段】複数の中空糸膜1が長さ方向で揃えられるように束ねられた中空糸膜束11と、中空糸膜束11を収容するケース2と、中空糸膜束11の長さ方向における少なくとも一端部11Aを、中空糸膜1の端面1Aが開口した状態でケース2内に固定するポッティング部3と、を備え、中空糸膜モジュール10に対して、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を50サイクル実施したとき、ポッティング部3とケース2とが剥離することなく、接着状態が維持されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の中空糸膜が長さ方向で揃えられるように束ねられた中空糸膜束と、該中空糸膜束を収容するケースと、前記中空糸膜束の長さ方向における少なくとも一端部を、前記中空糸膜の端面が開口した状態で前記ケース内に固定するポッティング部と、を備えた中空糸膜モジュールであって、
前記中空糸膜モジュールに対して、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を50サイクル実施したとき、前記ポッティング部と前記ケースとが剥離することなく、接着状態が維持されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
【請求項2】
前記ポッティング部と前記ケースとの間の引張破断応力が2.4N/mm以上であることを特徴とする請求項1に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項3】
前記ケースがポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項4】
前記ポッティング部が熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項5】
複数の前記中空糸膜がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項6】
前記ケースが円筒状に構成されるとともに、内径が20mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項7】
前記ポッティング部は、前記中空糸膜束の長さ方向に沿った長さ寸法が5mm以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項8】
複数の前記中空糸膜は、中空部側に配置される中空支持層と、外面側に配置される外面支持層と、前記中空支持層と前記外面支持層との間に配置される超薄膜層と、を有する三層複合膜からなることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項9】
前記ケースは、内面における少なくとも前記ポッティング部が固定される箇所がプラズマ処理面とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項10】
前記ケースは、前記プラズマ処理面とされた前記ポッティング部が固定される箇所が、濡れ性を表す指標である接触角が10.0°以上45.0°以下であることを特徴とする請求項9に記載の中空糸膜モジュール。
【請求項11】
複数の中空糸膜を長さ方向で揃えるように束ねて中空糸膜束とし、前記中空糸膜束の長さ方向における少なくとも一端部に、前記中空糸膜の端面が開口した状態でポッティング部を形成することにより、ケース内に前記中空糸膜束を前記ポッティング部で固定する中空糸膜モジュールの製造方法であって、
前記ケースの内面における少なくとも前記ポッティング部が固定される箇所に、予めプラズマ処理を施すことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、インクジェット吐出装置や純水製造装置等に備える脱気用モジュールとして、従来から、ケース内の中空糸膜の周囲に被処理液(例えば、インクや水道水)を流しつつ、中空糸膜内を真空引きして被処理液中の溶存気体を膜内に取り込んで脱気する中空糸膜モジュールが広く用いられている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
上記のインクジェット吐出装置の中でも、産業用インクジェットプリンタは、例えば、広告看板の他、衣料品・布地、並びに各種の工業製品・小物類等の用途における市場規模の拡大に伴い、大型化や高性能化が進んでいる。このような、産業用インクジェットプリンタの大型化や高性能化にあたっては、インクの脱気が不可欠となる。
【0004】
また、例えば、浄水器や産業排水処理設備等に備えられる濾過用モジュールとして、従来から、ケース内の中空糸膜の周囲に被処理液(例えば、水道水や産業排水)を接液させて、中空糸膜の表面において固液分離(濾過)を行い、中空糸膜の内部から清浄な処理水を得る濾過用モジュールが広く用いられている。
【0005】
上述した浄水器の中でも、家庭用浄水器は、例えば、水洗蛇口に直接取り付けるタイプや、アンダーシンクに取り付けるビルトイン型等、様々な形態があり、浄水器に取り付ける中空糸膜モジュールのサイズ・形状も様々である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2019-181356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に記載の中空糸膜モジュールは、複数の中空糸膜からなる中空糸膜束と、この中空糸膜束を収容する樹脂製のケースと、中空糸膜束の一端部をケース内に固定するためのポッティング樹脂からなるポッティング部と、を備えている。また、ケースにおけるポッティング部が接着される箇所には、予め、接着性を向上させるためのプライマーが塗布されている。
また、処理流量の大きい用途(例えば、超純水やボイラー用水等の処理)においては、それを処理するための中空糸膜モジュールの処理容量を増大させることも必要となり、全体的なサイズも大型化する。
【0008】
しかしながら、特に、サイズの大きな中空糸膜モジュールにおいて、プライマーが塗布されたケースに中空糸膜束が固定された構成の場合、図4の拡大断面図(模式図)に示すように、ポッティング部103がケース102から剥離し、この部分から被処理液がリークしてしまい、正しく処理できない場合があった。
【0009】
上記のような、ポッティング部のケースからの剥離が生じる原因の一つとして、図3に示すように、中空糸膜束111を固定するためのポッティング部103をなすポッティング樹脂の硬化収縮応力が、ケース102とポッティング部103との間の接着力を上回ることが挙げられる。特に、サイズが大きめである中空糸膜モジュールにおいては、中空糸膜モジュールのサイズに比例してポッティング樹脂の使用量も多くなり、硬化収縮率も顕著に大きくなる。このため、ポッティング樹脂の硬化に伴い、接着箇所に大きな収縮応力が作用することから、上記のような剥離が発生しやすくなる。
【0010】
また、上記の剥離が生じる他の原因として、被処理液中に含まれる溶媒により、ポッティング部103とケース102との接着面(界面)に溶媒が付着することで、この部分にケミカルアタックが発生することが挙げられる。
【0011】
そして、上記のようなポッティング部103とケース102との間の一部に剥離が発生することにより、図5に示すように、この部分を基点とした被処理液200のリークが発生し、被処理液200を効果的に濾過・脱気処理することができなくなる。
【0012】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、ポッティング部とケースとの間の接着性を高めることができ、ポッティング部とケースとが剥離することなく、被処理液を効果的に濾過・脱気処理することが可能な中空糸膜モジュール、及び、中空糸膜モジュールの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた。この結果、ポッティング部とケースとの接着面となるケース内面に特定の処理を施すことで、この部分のぬれ性が高められ、両者間の接着力が高められることを知見した。これにより、ポッティング部がケース内面から容易に剥離してしまうこと等がなく、被処理液の濾過・脱気品質がより高められることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の態様を包含する。
【0014】
[1] 複数の中空糸膜が長さ方向で揃えられるように束ねられた中空糸膜束と、該中空糸膜束を収容するケースと、前記中空糸膜束の長さ方向における少なくとも一端部を、前記中空糸膜の端面が開口した状態で前記ケース内に固定するポッティング部と、を備えた中空糸膜モジュールであって、前記中空糸膜モジュールに対して、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を50サイクル実施したとき、前記ポッティング部と前記ケースとが剥離することなく、接着状態が維持されていることを特徴とする中空糸膜モジュール。
[2] 前記ポッティング部と前記ケースとの間の引張破断応力が2.4N/mm以上であることを特徴とする上記[1]に記載の中空糸膜モジュール。
[3] 前記ケースがポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする上記[1]又は[2]に記載の中空糸膜モジュール。
[4] 前記ポッティング部が熱硬化性樹脂からなることを特徴とする上記[1]~[3]の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
[5] 複数の前記中空糸膜がポリオレフィン系樹脂からなることを特徴とする上記[1]~[4]の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
[6] 前記ケースが円筒状に構成されるとともに、内径が20mm以上であることを特徴とする上記[1]~[5]の何れか一項に記載の中空糸膜モジュール。
[7] 前記ポッティング部は、前記中空糸膜束の長さ方向に沿った長さ寸法が5mm以上であることを特徴とする上記[1]~[6]の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
[8] 複数の前記中空糸膜は、中空部側に配置される中空支持層と、外面側に配置される外面支持層と、前記中空支持層と前記外面支持層との間に配置される超薄膜層と、を有する三層複合膜からなることを特徴とする上記[1]~[7]の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
[9] 前記ケースは、内面における少なくとも前記ポッティング部が固定される箇所がプラズマ処理面とされていることを特徴とする上記[1]~[8]の何れかに記載の中空糸膜モジュール。
[10] 前記ケースは、前記プラズマ処理面とされた前記ポッティング部が固定される箇所が、濡れ性を表す指標である接触角が10.0°以上45.0°以下であることを特徴とする上記[9]に記載の中空糸膜モジュール。
[11] 複数の中空糸膜を長さ方向で揃えるように束ねて中空糸膜束とし、前記中空糸膜束の長さ方向における少なくとも一端部に、前記中空糸膜の端面が開口した状態でポッティング部を形成することにより、ケース内に前記中空糸膜束を前記ポッティング部で固定する中空糸膜モジュールの製造方法であって、前記ケースの内面における少なくとも前記ポッティング部が固定される箇所に、予めプラズマ処理を施すことを特徴とする中空糸膜モジュールの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る中空糸膜モジュールによれば、上記のように、特定の条件でヒートサイクル試験を実施したとき、ポッティング部とケースとが剥離することなく、接着状態が維持されているので、使用環境等に関わらず、被処理液を効果的に濾過・脱気処理できる。
【0016】
また、本発明に係る中空糸膜モジュールの製造方法によれば、上記のように、ケースの内面における少なくともポッティング部が固定される箇所に、予めプラズマ処理を施す方法を採用している。これにより、ポッティング部とケースとの間の接着性が高められ、上述した特定の条件でヒートサイクル試験を実施した場合に、ポッティング部とケースとが剥離することなく、接着状態が維持された中空糸膜モジュールを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法の一例を模式的に説明する図であり、中空糸膜モジュールの内部構造を示す縦断面図である。
図2】本発明に係る中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法の一例を模式的に説明する図であり、中空糸膜束を構成する中空糸膜の層構造を示す斜視破断図である。
図3】中空糸膜モジュールにおける、ポッティング部の収縮応力と、ポッティング部とケースとの接着応力との関係について説明する模式平面図である。
図4】従来の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部とケースとが剥離した状態を模式的に示す拡大断面図である。
図5】従来の中空糸膜モジュールにおいて、ポッティング部とケースとが剥離した箇所を起点として、被処理液であるインクがリークした状態を示す模式平面図である。
図6】本発明に係る中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法の実施例について説明する図であり、ヒートサイクル試験の温度及び時間のサイクルを示すグラフである。
図7】本発明に係る中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法の実施例について説明する図であり、図6のグラフに示した条件でヒートサイクル試験を実施したときの、サイクル数と被処理液のリーク試験合格率との関係を示すグラフである。
図8】本発明に係る中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法の実施例について説明する図であり、図8(a)は、ケース内面におけるポッティング部の固定箇所の前処理方法を変更した場合の引張破断応力を比較して示すグラフであり、図8(b)は、図8(a)のグラフに示した引張破断応力の測定方法について説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る中空糸膜モジュール及び中空糸膜モジュールの製造方法の実施の形態を挙げ、図面を適宜参照しながら説明する。
なお、以下の説明で用いる各図面は、その特徴をわかりやすくするために、便宜上、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等は実際とは異なる場合がある。また、以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施することが可能である。
【0019】
本発明に係る中空糸膜モジュールは、ケース内において中空糸膜の周囲に外部潅流される被処理液中に含まれる固体・気体を取り除く濾過・脱気用のモジュールとして使用できる。また、本発明に係る中空糸膜モジュールの用途としては、特に限定されず、産業用インクジェットプリンタの他、半導体、FPD(フラットパネルディスプレイ)向け薬液の濾過・脱気の用途が挙げられる。
【0020】
<中空糸膜モジュール>
本実施形態の中空糸膜モジュールの構成について、主に図1図3を適宜参照しながら詳述する。
図1は、本実施形態の中空糸膜モジュール10の内部構造を示す縦断面図であり、図2は、中空糸膜モジュール10に備えられる中空糸膜束11を構成する中空糸膜1の層構造を示す斜視破断図である。
【0021】
図1に示すように、本実施形態の中空糸膜モジュール10は、複数の中空糸膜1が長さ方向で揃えられるように束ねられた中空糸膜束11と、この中空糸膜束11を収容するケース2と、を備え、ケース2内に収容される被処理液から固体あるいは気体を除去するか、又は被処理液に気体を供給することが可能なものである。
【0022】
また、本実施形態の中空糸膜モジュール10は、中空糸膜束11の長さ方向の両端部のうちの少なくとも一方の端部、図示例では一端部11A側が、中空糸膜1の端面1Aが開口した状態で、ポッティング部3によってケース2内に固定されている。
そして、本実施形態の中空糸膜モジュール10は、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を50サイクル実施したとき、ポッティング部3とケース2とが剥離することなく、接着状態が維持されているものである。
【0023】
なお、図1に示す例の中空糸膜モジュール10においては、中空糸膜束11における一端部11Aとは反対側の他端部11Bが、ケース2には固定されない自由端とされている。
【0024】
[ケース]
ケース2は、円筒状のケース本体21と、ケース本体21の長さ方向の第1開口端21a側に設けられた第1蓋部材22と、ケース本体21の第2開口端21b側に設けられた第2蓋部材23とを備えている。図1中に示すケース2は、ケース本体21、第1蓋部材22及び第2蓋部材23とで、概略円筒状の構造とされている。
【0025】
本実施形態の中空糸膜モジュール10に用いられるケース2としては、上記の例のように、円筒状のケース本体21を備える円柱状の外観を有したケースが好ましい。また、本発明においては、上記の外観が円柱状のケースにのみ限定されるものではなく、例えば、多角筒状のケース本体を備える多角柱状の外観を有したケースを用いることも可能である。
【0026】
ケース2のケース本体21における第1開口端21a寄りの部分には、ケース本体21の外周面から外側に突出するように、ケース本体21の内部と連通する第1ポート24が設けられている。第1ポート24は、円筒状であり、ケース本体21内に液体を流出入させる液体流出入ポートとして機能する。なお、第1ポート24の形状は、円筒状には限定されず、例えば、多角筒状等であってもよい。
【0027】
第1蓋部材22は、円形状の平板部22aと、平板部22aの外周縁から全周にわたってケース本体21側に突き出るように設けられた筒部22bと、平板部22aの中央部分から外側に突出するように設けられた第2ポート22cとを備えている。また、第1蓋部材22は、ケース本体21の第1端部21cが筒部22bに嵌め込まれ、ケース本体21に取り付けられる。なお、第2ポート22cは、ケース2における中心軸線L1上に位置している。
【0028】
第2ポート22cは、例えば円筒状であり、ケース2内から気体を流出させる気体流出ポート、又は流入させる気体流入ポートとして機能する。本実施形態では、例えば、第2ポート22cを、真空ポンプと接続して真空引きするポートとして使用することで、詳細を後述するように、被処理液を効果的に脱気することができる。
また、第2ポート22cの形状は、円筒状には限定されず、例えば、多角筒状等であってもよい。
【0029】
第2蓋部材23は、円形状の平板部23aと、平板部23aの外周縁から全周にわたってケース本体21側に突き出るように設けられた筒部23bと、平板部23aの中央部分から外側に突出するように設けられた第3ポート23cとを備えている。また、第2蓋部材23は、ケース本体21の第2端部21dが筒部23bに嵌め込まれ、ケース本体21に取り付けられる。なお、第3ポート23cは、ケース2における中心軸線L1上に位置している。
【0030】
第3ポート23cは、例えば円筒状であり、ケース2内から液体を流出入させる液体流出入ポートとして機能する。第3ポート23cの形状は、円筒状には限定されず、例えば、多角筒状等であってもよい。
【0031】
ケース2の大きさは、設置スペースの大きさや、被処理液(例えば、インク等)の処理能力等を勘案しながら適宜設定することができる。例えば、円筒状のケース本体21を備えるケース2の場合、ケース本体21の外径を30~150mm、長さを50~150mmとすることができるが、ケース本体21の外径や長さは適宜変更できる。
また、ケース2の内径としても、特に限定されないが、20mm以上であることが、内部に収容される中空糸膜束11の仕様面での自由度が高められ、被処理液の処理量を増加させることも可能になる点から好ましい。また、本実施形態では、ケース2の内径が20mm以上であることで、詳細を後述するように、ポッティング部3とケース2の内面21eとの間の接着力をより高めることが可能となる。
【0032】
ケース2に用いられる材料としては、特に限定されないが、十分な機械的強度及び耐久性を確保できる材料が好ましく、例えば、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、アクリル樹脂、ABS樹脂、変成PPE(ポリフェニレンエーテル)等が挙げられる。これらの樹脂材料の中でも、ポリプロピレン樹脂等の耐薬品性に優れたポリオレフィン系樹脂を用いることが、濾過・脱気処理を適用できる液種を増やす観点から好ましい。
また、ケース2に用いられる材料としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0033】
ケース2を構成するケース本体21の内面21eにおける、後述のポッティング部3が接着される箇所は、プラズマ処理面からなる接着部21fとされている。図1中に示すように、接着部21fは、ケース本体21の第1開口端21a側の内面21eにおける、ポッティング部3の接着面31が接着される箇所である。
【0034】
接着部21fは、従来のようなプライマー塗布を施すことなく、詳細を後述する条件でプラズマ処理が施された面なので、従来のような、ケースにプライマーを塗布した構成に比べて処理箇所の濡れ性が高められる。これにより、ポッティング部3のケース2内に対する接着力が向上するので、例えば、上述した条件のヒートサイクル試験を実施した場合においても、ポッティング部3がケース2から剥離することなく接着状態が維持される。
【0035】
本実施形態では、上記条件によるヒートサイクル試験を実施したときの、ポッティング部3とケース2との接着状態を維持するため、例えば、ポッティング部3とケース2との間の引張破断応力を2.4N/mm以上、好ましくは2.8N/mm以上で確保するよう、後述のプラズマ処理条件等を調整することが好ましい。
また、上記の引張破断応力を確保するため、ケース2におけるポッティング部3が固定される箇所は、濡れ性を表す指標である接触角が10.0°以上45.0°以下の範囲であることが好ましく、概ね30.0°程度であることがより好ましい。
【0036】
[中空糸膜束(複数の中空糸膜)]
中空糸膜束11は、図1に示すように、複数の中空糸膜1が柱状に束ねられて形成されている。中空糸膜束11の形状は、上記の柱状には限定されず、例えば、円柱状、円筒状、楕円柱状、楕円筒状、角柱状、角筒状等であってもよい。中空糸膜束11を、円筒状又は楕円筒状に構成する場合には、詳細な図示は省略するが、例えば、中心軸付近に中空部を有した構造とすることができる。
【0037】
中空糸膜束11は、ケース2のケース本体21内に収容され、中空糸膜束11の長さ方向の一端部11Aが、ケース本体21の第1開口端21a側の端部において、ポッティング部3によって固定されている。また、中空糸膜束11を構成する複数の中空糸膜1は、それぞれ長さ方向の中央部でU字状に折り返された状態で束ねられており、各中空糸膜1の両側の端面1Aが開口した状態でポッティング部3に埋設されて固定されている。
【0038】
本実施形態の中空糸膜モジュール10においては、各々の中空糸膜1が上記のような状態で束ねられていることで、少ない本数の中空糸膜1であっても、中空糸膜束11の充填率を充分に高めることが容易になり、製造効率が向上する。また、中空糸膜束11の自立状態を保持しやすくなるため、中空糸膜束11の全体にわたって各々の中空糸膜1の間に液体が行き渡りやすくなるので、濾過・脱気効率が向上する。
【0039】
中空糸膜束11における一端部11Aと反対側に位置する、各中空糸膜1のUターン部からなる他端部11Bは、ケース2には固定されておらず、自由端とされている。これにより、中空糸膜束11の全体にわたって各中空糸膜1間に液体が行き渡りやすくなるため、効率よく被処理液の濾過・脱気を行うことが可能になる。
【0040】
ケース本体21の第1開口端21aは、詳細を後述するポッティング部3によって塞がれた状態とされている。図1に示す例では、ポッティング部3の第1蓋部材22側の端面3aは、ケース本体21の第1開口端21aと面一になっており、そのポッティング部3の端面3aにおいて、各中空糸膜1の両側の端面11Aが開口した状態とされている。ケース2内における、ポッティング部3の端面3aの第1蓋部材22側には空間が確保されており、この空間と、ケース本体21内のポッティング部3よりも中空糸膜束11の他端部11B側の空間とが、ポッティング部3によって区画されている。また、各中空糸膜1の両側の端面1Aが開口した状態になっていることで、各中空糸膜1の膜内と、ケース2内におけるポッティング部3の第1蓋部材22側の空間とが連通した状態とされている。
【0041】
ケース2内に収容された中空糸膜束11は、各中空糸膜1がケース2の中心軸線L1の周囲を取り巻くように円筒状に束ねられ、ケース2内において概略で密となるように設けられている。
【0042】
円筒状の中空糸膜束11の内側を中空部とすることにより、中空糸膜モジュール10の内部では、中空糸膜束11の全体にわたって、中空糸膜束11の内側の中空部との間で、各中空糸膜1間を通過する液体が遮られずに移動できるように構成されている。
【0043】
中空糸膜束11は、図1に示すように、の中空糸膜束11の延在方向における少なくとも1箇所で、複数の中空糸膜1が経糸16によって互いに連結された状態で束ねられていてもよい。具体的には、各中空糸膜1におけるUターン部寄りの位置、即ち、図示例における中空糸膜束11の他端部11B寄りの位置において、中心軸線L1に対する直交方向、すなわち各中空糸膜1の長さ方向に対する直交方向に、複数の中空糸膜1が経糸16で織り込まれることで、複数の中空糸膜1が互いに連結されている。
【0044】
複数の中空糸膜1を経糸16で連結する態様としては、特に限定されず、例えば、チェーンステッチ型で織り込む態様が挙げられる。
【0045】
図示例の中空糸膜モジュール10に備えられる中空糸膜束11は、ポッティング部3によってケース2内に固定された一端部11Aとは反対側の他端部11Bが、複数の中空糸膜1の各々の端部の位置が揃えられている。即ち、中空糸膜束11の他端部11Bでは、ケース2の中心軸線L1方向において、各中空糸膜1のUターン部からなる他端部11Bの位置が互いに揃っている。つまり、各中空糸膜1におけるポッティング部3から露出している部分の長さが互いに揃っている。本実施形態における、各中空糸膜1の他端部11Bの位置が揃っている、とは、中空糸膜束11を形成する全ての中空糸膜1におけるポッティング部3から露出した部分の長さの平均値に対する、各中空糸膜1の当該長さの誤差が±5%以内であることを意味する。
【0046】
本実施形態の中空糸膜モジュール10においては、上記のように、中空糸膜束11の他端部11Bにおいて、各中空糸膜1の端部が互いに揃っていることが好ましい。これにより、中空糸膜モジュール10の使用開始時、インク等の被処理液を導入した際にケース2内のエアーが効率的に抜けやすくなり、ケース2内において、被処理液が局所的に偏って流れるのを抑制しやすくなる。また、中空糸膜束11が型崩れするのが抑制されやすく、中空糸膜束11全体に被処理液が行き渡りやすくなり、濾過・脱気の効率が向上する。
【0047】
中空糸膜1を脱気用途として使用する場合には、図2中に示す膜内の中空部12と膜外との間で気体が透過する気体透過性を有する中空糸膜を採用することが好ましい。また、強度に優れるとともに、脱気をより効率的に行える点から、中空糸膜1としては、ガス高透過性を有する均質層と、均質層を支持する多孔質支持層とを有する複合構造の中空糸膜であることがより好ましい。
【0048】
上記の中空糸膜1の複合構造としては、詳細な図示を省略するが、例えば、均質層の内側又は外側に多孔質支持層が設けられた二層構造、又は、均質層の内側と外側の両方に多孔質支持層が設けられた三層構造が好ましい。図2に示す例の中空糸膜1は、中空部12側に配置される多孔質膜からなる中空支持層13と、外面1a側に配置される多孔質膜からなる外面支持層15と、中空支持層13と外面支持層15との間に配置される均質層(超薄膜層)14と、を有する三層複合膜からなる。
また、中空糸膜1の強度、及び、脱気性能の観点からは、上記の三層構造がより好ましい。
【0049】
均質層14を形成する材料としては、特に限定されず、公知の材料を使用でき、例えば、シリコンゴム系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素含有樹脂、セルロース系樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリ4-ビニルピリジン、又はウレタン系樹脂等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。上記材料の中でも、均質層を形成する材料としては、高流量で液体を潅流させた場合でも脱気性能に優れるとともに、耐薬品性に優れる点から、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、製膜性に優れる点から低密度ポリエチレン樹脂がより好ましい。
【0050】
ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、エチレンとα-オレフィンとの共重合体、ポリ4-メチルペンテン-1、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、直鎖状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸メチル共重合体、又は変性ポリオレフィン等が挙げられる。
【0051】
中空支持層13及び外面支持層15を構成する多孔質材料としては、特に限定されず、公知の材料を使用でき、例えば、ポリジメチルシロキサン、シリコンとポリカーボネートの共重合体等のシリコンゴム系樹脂;ポリ4-メチルペンテン-1、ポリ3-メチルブテン-1、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素含有樹脂;エチルセルロース等セルロース系樹脂;ポリフェニレンオキサイド;ポリ4-ビニルピリジン;ウレタン系樹脂;ポリスチレン;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルケトン等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを使用してもよく、2種以上を組み合わせてもよい。上記材料の中でも、中空支持層13及び外面支持層15を構成する材料としては、中空糸膜束11の自立性を確保しやすい点から、均質層14と同等のMFR値を示す高密度ポリエチレンが好ましい。
【0052】
中空支持層13及び外面支持層15に形成される複数の細孔の平均細孔径は、0.01~1μmが好ましい。中空支持層13及び外面支持層15における平均細孔径が0.01μm以上であれば、優れた脱気性能が得られる。また、中空支持層13及び外面支持層15における平均細孔径が1μm以下であれば、十分な膜強度が得られる。
【0053】
ここで、本実施形態において説明する、中空支持層13及び外面支持層15に形成される複数の細孔の平均細孔径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて中空支持層13及び外面支持層15の外表面部分を観察し、30個の細孔を無作為に選び、各細孔の最長径を測定して、これら30個の細孔の最長径を平均して求めた値である。
【0054】
また、中空支持層13及び外面支持層15の空孔率は、30~80体積%が好ましい。中空支持層13及び外面支持層15の空孔率が上記範囲の下限値以上であれば、脱気性能に優れる。また、中空支持層13及び外面支持層15の空孔率が上記範囲の上限値以下であれば、中空糸膜の耐圧性等の機械的強度が向上する。
ここで、本実施形態において説明する「空孔率」とは、中空支持層13及び外面支持層15内における孔の占める面積割合のことを意味する。
【0055】
中空糸膜1の外径は、平均外径で350μm以下が好ましく、150~330μmがより好ましく、200~300μmがさらに好ましい。中空糸膜1の外径が150μ以上であることで、ケース2内において、複数の中空糸膜1同士の間隔を十分に確保でき、被処理液を効率的に導入できる流路を形成できる。また、中空糸膜1の外径が350μm以下であることで、ケース2内に充分な本数の中空糸膜1を収容でき、脱気性能及び耐久性を維持しやすい。
【0056】
ここで、本実施形態において説明する中空糸膜1の外径とは、中空糸膜1を長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の外縁と内接する最少の円の直径を意味する。また、中空糸膜1の平均外径は、上記の切断面における任意の3箇所以上、10箇所以下を測定し、その平均値として求めることができる。
【0057】
中空糸膜1の内径は、平均内径で100μm以上が好ましく、120~250μmがより好ましく、130~200μmがさらに好ましい。中空糸膜1の内径が100μm以上であることで、中空部12内を流れる気体の圧力損失を抑制し、流量が低下すること等を防止できる。また、中空糸膜1の内径が250μm以下であることで、中空糸膜1の機械的強度が低下して不安定になるのを防止できる。
【0058】
ここで、本実施形態において説明する中空糸膜1の内径とは、上記外径の測定と同様に、中空糸膜1を長手方向に対して垂直な任意の面で切断したとき、その切断面の内縁と外接する最少の円の直径を意味する。また、中空糸膜1の平均内径は、上記の切断面における任意の3箇所以上、10箇所以下を測定し、その平均値として求めることができる。
【0059】
中空糸膜1における各層の合計膜厚は、平均膜厚で20~70μmが好ましく、25~55μmがより好ましい。中空糸膜1の平均膜厚が上記範囲の上限値以下であれば、ケース2内における中空糸膜1の内側を繰り返し減圧した際の耐久性に優れる。中空糸膜1の平均膜厚が上記範囲の下限値以上であれば、脱気性能を良好に維持しやすい。
【0060】
なお、本実施形態で説明する中空糸膜の膜厚とは、上述した内径と外径との差から、次式{中空糸膜の膜厚=(中空糸膜の外径-中空糸膜の内径)/2}により算出される値である。
【0061】
また、中空糸膜の内径及び外径は、国際公開第2015/012293号の段落0062に記載の方法で測定できる。
ここで、本実施形態で説明する「平均膜厚」とは、上記の方法で、中空糸膜の膜厚を周方向で複数箇所(5箇所以上)測定し、その平均値を求めたものである。
【0062】
均質層14、中空支持層13及び外面支持層15の各々の厚さは、中空糸膜1としての合計膜厚が上記範囲内となるように適宜設定すればよい。例えば、均質層14の厚さは0.3~2μmが好ましく、0.5~1.2μmがより好ましい。
均質層14、中空支持層13及び外面支持層15の厚さは、国際公開第2015/012293号の段落0077に記載の方法で測定できる。
【0063】
本実施形態の中空糸膜モジュール10で用いられる中空糸膜1は、モジュール製造時の取り扱い性の点から、破断強度が0.5N/fil以上であり、破断伸度が50%以上であることが好ましく、破断強度が0.8~5N/filであり、破断伸度が70~400%以上であることがより好ましく、破断強度が1~3N/fil、破断伸度が140~300%以上であることがさらに好ましい。
【0064】
なお、本実施形態で説明する中空糸膜の破断強度とは、中空糸膜の長手方向に引張荷重をかけて延伸した際に、破断する値のことを意味する。また、「N/fil」とは、中空糸膜1本あたり(1filament)が破断するのに必要な強度をニュートン(N)で表したものである。また、中空糸膜の破断伸度とは、中空糸膜の長手方向に引張荷重をかけながら延伸した際に、破断に至るまでに示した伸びのことを意味する。
上記の破断強度及び破断伸度は、国際公開第2015/012293号の段落0081に記載の方法で測定される。具体的には、テンシロン型引張試験器を用い、1本の中空糸膜を長さが2cmとなるように試験機のチャック部に把持させ、引張荷重をかけて破断強度及び破断伸度を3回測定し、その平均値を求める。
【0065】
ケース2を中空糸膜束11の長さ方向に垂直な方向に切断した断面における、ケース2内の中空糸膜束11の充填率は、20~50%が好ましく、25~45%がより好ましい。中空糸膜の充填率が上記の下限値以上であれば、ケース内において被処理液の偏流が生じるのを抑制しやすい。また、中空糸膜の充填率が上記の上限値以下であれば、中空糸膜の充填が容易になり、脱気性能が向上する。
なお、上記の中空糸膜束11の充填率は、ケース2を中空糸膜束11の長さ方向に垂直な方向に切断した断面における、ケース2内部の断面積に対する、充填された中空糸膜束11を形成する各中空糸膜1の断面積の総和の割合(%)として測定される。
【0066】
中空糸膜1のガーレー剛軟度は、特に限定されるものではないが、例えば、10mN以上であることが好ましく、15~30mNがより好ましく、18~25mNがさらに好ましい。中空糸膜1のガーレー剛軟度が上記範囲の下限値以上であれば、中空糸膜束11の自立性を確保しやすく、脱気効率の低下を抑制しやすい。また、中空糸膜1のガーレー剛軟度が上記範囲の上限値以下であれば、中空糸膜束11を形成したときに、膜長の長尺化に伴う膜の乱れが少なく、引き揃えた状態でのモジュールの形成が可能となる。
【0067】
なお、上述した中空糸膜1のガーレー剛軟度は、JIS L1096 A法 剛軟度(ガーレ)法に記載の測定方法に準じ、試験片長さ2インチ、幅約26mmの中空糸編地によって測定される。
また、中空糸膜1のガーレー剛軟度は、中空糸膜1の材質や外径等を調節することで制御できる。
【0068】
中空糸膜1の材質としては、特に限定されないが、上述したような、脱気性能や各種強度等の物性、並びに、強度面やケース2内での取り回しの容易さ等の観点からは、例えば、ポリオレフィン系樹脂からなることが好ましい。また、上記観点からは、中空糸膜1がポリエチレン樹脂からなることが好ましい。
また、中空糸膜1に用いられる材料としては、被処理水に対する耐性、例えば、インクに対する耐性を有する材料を採用することが好ましく、このような観点からも、ポリオレフィン系樹脂を採用することが好ましい。
【0069】
[ポッティング部]
ポッティング部3は、上記のように、中空糸膜束11の一端部11Aを、中空糸膜1の端面1Aが開口した状態で、ポッティング部3によってケース2内に固定するものである。
【0070】
ポッティング部3を形成するポッティング樹脂としては、特に限定されず、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、又はポリウレタン樹脂等の熱硬化性樹脂が好適に使用される。これらの熱硬化性樹脂の中でも、ケース2に対する優れた接着力が期待できるとともに、耐薬品性に優れ、インク等に対する耐性を有している観点から、エポキシ樹脂を採用することが好ましい。
【0071】
ポッティング部3の中空糸膜束11の長さ方向に沿った長さ寸法としては、特に限定されないが、ポッティング部3とケース2との間の接着力を可能な限り確保する観点から、5mm以上であることが好ましい。一方、脱気処理に供することが可能な中空糸膜束11の有効長さを確保する観点から、ポッティング部3の中空糸膜束11の長さ方向に沿った長さ寸法は、5mm以上40mm以下に制限することが好ましい。
【0072】
上述したように、本実施形態においては、ケース2を構成するケース本体21の内面21eにおける、後述のポッティング部3が接着される箇所を、プラズマ処理面からなる接着部21fとすることができる。接着部21fは、例えば、詳細を後述する条件でプラズマ処理を施した面からなり、従来のような、ケースにプライマーを塗布した構成に比べて濡れ性が高められた面となる。このような接着部21fに、溶融したポッティング樹脂を接触させ、熱硬化させることにより、ポッティング部3のケース2内に対する接着力が向上する。これにより、例えば、上述した条件、即ち、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を50サイクル実施した場合においても、ポッティング部3がケース2から剥離することなく接着状態が維持される。
【0073】
本実施形態では、上記条件によるヒートサイクル試験を実施したときの、ポッティング部3とケース2との接着状態を維持するため、例えば、ポッティング部3とケース2との間の引張破断応力が2.4N/mm以上、好ましくは2.8N/mm以上確保されていることが好ましい。このように、ポッティング部3とケース2との間の引張破断応力を確保するためには、ケース2に対するプラズマ処理条件を最適化することの他、上述したように、ポッティング部3の長さ寸法を最適に調整することが好ましい。
【0074】
また、ケース2をポリオレフィン系樹脂から構成した場合には、上記のプラズマ処理による濡れ性がさらに顕著に得られるので、ポッティング部3とケース2との間の接着力がさらに高められる。
【0075】
本実施形態の中空糸膜モジュール10によれば、上記構成により、特定の条件でヒートサイクル試験を実施したとき、ポッティング部3とケース2とが剥離することなく、接着状態が維持されたものとなる。従って、中空糸膜モジュール10を、例えば、大型の産業用インクジェットプリンタ等に適用されるサイズの大きなものとして構成した場合であっても、使用環境等に関わらず、インク等の被処理液を効果的に脱気処理できる。
【0076】
<中空糸膜モジュールの製造方法>
以下、本実施形態の中空糸膜モジュール10を製造する方法について、上述した中空糸膜モジュール10の構成の説明と同じ図面(図1)を参照しながら詳述する。
【0077】
本実施形態の中空糸膜モジュールの製造方法は、複数の中空糸膜1を長さ方向で揃えるように束ねて中空糸膜束11とし、中空糸膜束11の長さ方向における少なくとも一端部11Aに、中空糸膜1の端面1Aが開口した状態でポッティング部3を形成することにより、ケース2内に中空糸膜束11をポッティング部3で固定することで、図1に示したような中空糸膜モジュール10を製造する方法である。
そして、本実施形態の製造方法は、ケース2の内面21eにおける少なくともポッティング部3が固定される箇所に、予めプラズマ処理を施す方法である。
【0078】
本実施形態の製造方法においては、詳細な図示を省略するが、まず、予め準備した長尺の中空糸膜1を交互に反対方向に複数回繰り返してU字状に折り返して帯状の中空糸膜シートとし、この中空糸膜シートにおける幅方向の両方の端部側で、経糸16によってシートの長さ方向に中空糸膜1を編み、中空糸膜1における幅方向に延在する部分同士を連結する。
【0079】
次いで、樹脂成形によって予め準備した、ケース2を構成するケース本体21の内面21e、より詳細には、ケース本体21の第1開口端21a側の内面21eにおける、ポッティング部3の接着が予定される箇所に対し、プラズマ処理を施す。このようなプラズマ処理としては、例えば、図示略のリモート式大気圧プラズマ処理装置を用いることが出来る。大気圧プラズマ装置を用いた方法は、既存の設備中に導入するハードルが低く、且つ、小型・低コストであり、また、プラズマ処理による効果も顕著に得られる観点から好ましい。
【0080】
図示略のリモート式大気圧プラズマ装置は、例えば、プラズマ照射部と、ケース固定部と、を有し、ケース固定部に固定されたケース本体21の内面21eにおけるポッティング部3の接着予定箇所にプラズマを照射可能な構成とされる。
リモート式大気圧プラズマ装置は、電子、イオン、ラジカルが混在した非常に活発な状態であるプラズマを、ケース本体21におけるポッティング部3の接着予定箇所に照射してプラズマ処理することにより、この箇所を、濡れ性が高められた接着部21fに加工処理できる。
【0081】
上記のプラズマ処理条件としては、特に限定されないが、例えば、プラズマの出力(パワー)、プラズマ照射部のプラズマ出射端からケース本体21の被射面までの距離、並びに、プラズマ処理時間(工程におけるケース本体21の搬送速度やプラズマの照射回数等)等を最適化することで、上述した濡れ性を付与できる効果が顕著に得られる。
【0082】
次いで、中空糸膜シートを円柱状に巻き付け、これをケース本体21内に挿入し、遠心法等の公知の方法を利用して、ポッティング樹脂によって中空糸膜シートの一端をケース本体21の第1開口端21a側に固定する。このとき、中空糸膜シートにおけるポッティング樹脂で固定される側の中空糸膜1のUターン部と、ポッティング樹脂の一部がケース本体21から突出するようにする。
【0083】
次いで、ケース本体21の第1開口端21aに沿う平面で、中空糸膜シート及びポッティング樹脂の突出部分を切除することで、U字状に折り返された複数の中空糸膜1の端面1Aが開口した状態で、中空糸膜シートがポッティング部3によってケース本体21に固定される。このとき、ポッティング部3の接着面31が、ケース本体21内の接着部21fに接着することで、中空糸膜シートを固定する。
この際、他端部11Bの経糸を抜いて自由端とした中空糸膜1をさらに広げて、ケース2内に充填した形としてもよい。
【0084】
そして、ケース本体21の両端部に第1蓋部材22及び第2蓋部材23を取り付けることで中空糸膜モジュール10が得られる。
【0085】
<作用効果>
以上説明したように、本実施形態の中空糸膜モジュール10によれば、上記のように、特定の条件でヒートサイクル試験を実施したとき、ポッティング部3とケース2とが剥離することなく、接着状態が維持されているので、使用環境等に関わらず、被処理液を効果的に濾過・脱気処理できる。
【0086】
また、本実施形態の中空糸膜モジュール10の製造方法によれば、上記のように、ケース2の内面21eにおける少なくともポッティング部3が固定される接着部21fに、予めプラズマ処理を施す方法を採用している。これにより、接着部21fの濡れ性が高められるのに伴い、ポッティング部3とケース2との間の接着性が高められ、上述した特定の条件でヒートサイクル試験を実施した場合に、ポッティング部3とケース2とが剥離することなく、接着状態が維持された中空糸膜モジュール10を製造できる。
【0087】
<その他の構成>
本実施形態においては、中空糸膜モジュール10として、図1に示すような、中空糸膜束11の一端部11Aのみがポッティング部3によってケース2に固定され、一端部11Aと反対側に配される他端部11Bが自由端とされている例を説明しているが、本発明においては、上記構成には限定されない。例えば、中空糸膜束11の他端部11Bも、一端部11Aと同様に、ポッティング部によってケース2に固定された構成を採用してもよい。このような場合においても、中空糸膜束11の他端部11Bを固定するポッティング部及びケース本体21の内面21e側を、一端部11Aを固定するポッティング部3及びケース2と同様の構成とすることで、上記同様の効果が得られる。
【0088】
また、本実施形態においては、中空糸膜モジュール10を、被処理水を濾過・脱気処理する用途に用いる例を説明しているが、中空糸膜モジュール10は、このような濾過・脱気用のみならず、各種の被処理液に対する給気用として用いることも可能なものである。中空糸膜モジュール10を給気用として用いる場合には、例えば、第1蓋部材22の第2ポート22cを給気ポンプと接続して気体を供給することで、複数の中空糸膜1を通じて、各々の中空糸膜1の間を通過する被処理液に気体を給気することができる。
【実施例0089】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0090】
<実施例>
本実施例においては、まず、図1に示すような、内部に中空部12が配置され、最内層に中空支持層13、最外層に外面支持層15が配置され、これら中空支持層13と外面支持層15との間に均質層14が配置された三層構造を有する中空糸膜1を作製した。また、本実施例においては、中空支持層13と外面支持層15に高密度ポリエチレン樹脂を用いるとともに、均質層14に低密度ポリエチレン樹脂を用い、溶融延伸法によって長尺の中空糸膜1を作製した。
【0091】
次いで、複数の中空糸膜1を交互に反対方向に複数回繰り返してU字状に折り返して帯状の中空糸膜シートとし、この中空糸膜シートにおける幅方向の両方の端部側で、経糸16によってシートの長さ方向に中空糸膜1を編み、中空糸膜1における幅方向に延在する部分同士を連結した。
【0092】
次いで、ケース2を構成するポリプロピレン樹脂製のケース本体21の内面21eにおける、ポッティング部3の接着が予定される箇所に対し、リモート式大気圧プラズマ装置(3DT社製;品番:Plasmadyne 1000R Pro(登録商標))を用いてプラズマ処理を施した。この際のプラズマ処理条件は、プラズマの出力を500W、プラズマ照射部のプラズマ出射端からケース本体21の被射面までの距離を10)mm、プラズマ処理時間を21sec、プラズマ処理時間中における照射回数を3回の各条件とした。
【0093】
次いで、複数の中空糸膜1から作製した中空糸膜シートを円柱状の芯棒に巻き付け、これをケース本体21内に挿入し、エポキシ樹脂をポッティング樹脂に用い、遠心法によって中空糸膜シートの一端をケース本体21の第1開口端21a側に固定した。このとき、中空糸膜シートにおけるポッティング樹脂で固定される側の中空糸膜1のUターン部と、ポッティング樹脂の一部が、ケース本体21から突出するように配置した。
【0094】
次いで、ケース本体21の第1開口端21aに沿う平面で、中空糸膜シート及びポッティング樹脂の突出部分を切除し、U字状に折り返された複数の中空糸膜1の端面1Aが開口した状態で、中空糸膜シートをポッティング部3でケース本体21に固定した。この際、ポッティング部3の接着面31を、ケース本体21の内面21eにおけるプラズマ処理面である接着部21fに接着した。
【0095】
次いで、芯棒を引き抜いて中空糸膜束11した。
そして、ケース本体21の両端部に第1蓋部材22及び第2蓋部材23を取り付けることにより、本実施例の中空糸膜モジュール10を作製した。
【0096】
次に、上記手順及び方法で得られた本実施例の中空糸膜モジュール10について、従来の中空糸膜モジュールで生じていたポッティング部3とケース2との間の剥離が再現するか否かを確認するため、恒温恒湿槽を有する市販の試験装置を用いてヒートサイクル試験をn=15で実施した。この際のヒートサイクル試験の条件は、図6のグラフに示す条件、即ち、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとした。そして、上記のヒートサイクル試験により、エポキシ樹脂からなるポッティング部3に収縮膨張を繰り返し生じさせ、どの時点で剥離が生じるかを確認し、結果を図7のグラフに示した。この剥離が生じるまでのサイクル数が多いほど、耐久性が高いといえる。
【0097】
<比較例>
比較例においては、ケース本体の内面におけるポッティング部の接着予定箇所にプラズマ処理を実施することなく、この位置をプライマー塗布した点を除き、上記の実施例と同じ手順及び条件で比較例の中空糸膜モジュールを作製した。
【0098】
そして、上記の実施例と同様の条件でヒートサイクル試験をn=15で実施し、エポキシ樹脂からなるポッティング部に収縮膨張を繰り返し生じさせ、どの時点で剥離が生じるかを確認し、結果を図7のグラフに示した。
【0099】
<評価結果>
実施例及び比較例の中空糸膜モジュールを用いたヒートサイクル試験の結果に基づいて評価を行い、この結果を、図7のグラフに示した。図7は、図6のグラフに示した条件でヒートサイクル試験を実施したときの、サイクル数と被処理液のリーク試験合格率との関係を示すグラフである。
【0100】
図7のグラフに示すように、ケース本体21にプラズマ処理を実施した実施例の中空糸膜モジュール10は、全てのサンプル(n=15)が、80回目のサイクルまで剥離(リーク)が生じることがなかった。また、実施例の中空糸膜モジュール10は、全てのサンプル(n=15)、即ち、15個目のサンプルに剥離が生じたのが160回目のサイクルであり、耐久性に優れていることが確認できた。
【0101】
一方、図7のグラフに示すように、ケース本体にプライマー塗布を実施した比較例の中空糸膜モジュールは、全てのサンプル(n=15)のうち、35回目のサイクルで剥離が発生した。また、比較例の中空糸膜モジュールは、全てのサンプル(n=15)、即ち、15個目のサンプルに剥離が生じたのが80回目のサイクルであり、上述した実施例のサンプルに比べて、耐久性が著しく劣っていることが確認できた。
【0102】
上記の実施例の結果より、本発明に係る構成を有する中空糸膜モジュールは、温度及び時間が{-20℃×2時間}、及び、{60℃×2時間}である条件を1サイクルとしたヒートサイクル試験を50サイクル実施したとき、ポッティング部とケースとが剥離することなく、接着状態が維持されていることが確認できた。従って、本発明に係る構成を有する中空糸膜モジュールを、例えば、幾種ものの有機溶剤が用いられている、大型の産業用インクジェットプリンタ向けのインク等に適用した場合であっても、ケースとポッティング部がインク成分によって侵されることなく、長期的に破損のない中空糸膜モジュールを提供できることが明らかとなった。
【0103】
<プラズマ処理による引張破断応力の向上効果の実証実験>
本実施例においては、さらに、ポッティング樹脂と、プライマー塗布又はプラズマ処理の前処理を施したケースとを接着したときの、被接着物間の引張破断応力の向上効果についても実験を行い、その結果を図8(a)のグラフに示した。また、図8(b)には、図8(a)のグラフに示した引張破断応力の測定方法について説明する模式図を示した。
【0104】
本実験では、ポリプロピレン樹脂からなる2枚の試験片T(幅20mm×長さ100mm)を用い、それぞれの一端T1側近傍が重ね合わせられるように、2枚の試験片をエポキシ樹脂Eで接着した。この際の一端側における接着代は、幅20mm×長さ12.5mmとした。
【0105】
また、本実験では、試験片の接着予定箇所に対して、「接着面にプライマー塗布をして接着した場合」、「接着面にプラズマ処理をして接着した場合」の2通りの条件で実験を行った。また、接着された2枚の試験片間の引張破断応力は、市販の引張試験装置(A&D社製;品番:RTF-1310)を用い、2枚の試験片の他端側を引っ張ることで、各々n=3で実験を行い、結果を図8(a)のグラフに示した。
【0106】
図8(a)のグラフに示したように、従来の方法、即ち、接着予定箇所に予めプライマー塗布を施した例では、引張破断応力が約2.1Nとなった。
これに対し、本発明に係る方法で、接着予定箇所に予めプラズマ処理を施した例では、引張破断応力が約3.8Nと、プライマー塗布品に比べて非常に優れた引張強度(接着力)を示すことが確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明の中空糸膜モジュールは、上記のように、ポッティング部とケースとの間の接着性を高めることができ、ポッティング部とケースとが剥離することなく、インク等の被処理液を効果的に濾過・脱気処理することが可能なものである。従って、本発明の中空糸膜モジュールは、例えば、産業用インクジェットプリンタや、カラーフィルタ製造装置等のインクジェット吐出装置等、大型の装置における脱気処理の用途で非常に好適である。
【符号の説明】
【0108】
10…中空糸膜モジュール
1…中空糸膜
1A…端面
1a…外面
11…中空糸膜束
11A…一端部
11B…他端部
12…中空部
13…中空支持層
14…均質層(超薄膜層)
15…外面支持層
16…経糸
2…ケース
21…ケース本体
21a…第1開口端
21b…第2開口端
21c…第1端部
21d…第2端部
21e…内面
21f…接着部
22…第1蓋部材
22a…平板部
22b…筒部
22c…第2ポート
23…第2蓋部材
23a…平板部
23b…筒部
23c…第3ポート
24…第1ポート
3…ポッティング部
3a,3b…端面
31…接着面
L1…中心軸線(ケース)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8