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特開2024-140245ケーブルマネジメントシステム及び伸縮式構造体
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140245
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ケーブルマネジメントシステム及び伸縮式構造体
(51)【国際特許分類】
   B63J 99/00 20090101AFI20241003BHJP
【FI】
B63J99/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051292
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003177
【氏名又は名称】弁理士法人旺知国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉本 達紀
(57)【要約】
【課題】従来技術に比較して、より多くの人間が簡便に用いることの可能なケーブルマネジメントシステムを提供する。
【解決手段】ケーブルマネジメントシステム10は、電力を出力する給電システムVに接続された第1端部E1と、停泊中の船舶5に備わる船舶プラグSPに接続される接続プラグCPが設けられた第2端部E2とを含むケーブルCと、陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の伸縮式構造体11と、伸縮式構造体11の頂部に設けられ、ケーブルCが掛け渡されるケーブルハンガー12と、伸縮式構造体11の高さを調整する調整装置15と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を出力する給電システムに接続された第1端部と、停泊中の船舶に備わる船舶プラグに接続される接続プラグが設けられた第2端部とを含むケーブルと、
陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の伸縮式構造体と、
前記伸縮式構造体の頂部に設けられ、前記ケーブルが掛け渡されるケーブルハンガーと、
前記伸縮式構造体の高さを調整する調整装置と、を備える
ケーブルマネジメントシステム。
【請求項2】
前記ケーブルは、前記ケーブルハンガーの先端部から離間した箇所において、前記先端部に設置された突起部から懸架されるケーブルガイドに被覆される、
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項3】
前記伸縮式構造体は、互いに連結された複数の単位部材を含み、
前記調整装置は、前記複数の単位部材の間の相対位置を変化させることで、前記伸縮式構造体の高さを調整する
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項4】
前記ケーブルハンガーの先端部は、側面視で半円状に構成され、
前記ケーブルは、前記先端部の周方向に沿う
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項5】
前記ケーブルハンガーは、ケーブルカバーを頂部に備え、
前記ケーブルカバーは、前記ケーブルのうちケーブルハンガーに架けられた部分を覆う
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項6】
前記ケーブルは、前記ケーブルの使用時に、前記船舶の地面に対する位置が最も低くなる場合に、前記ケーブルに許容度を超える引張応力がかからず、前記船舶の前記地面に対する位置が最も高くなる場合に、前記ケーブルが最小曲げ半径未満の半径で曲がらない長さである
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項7】
前記伸縮式構造体が最大の高さにある場合に、前記接続プラグの高さが、満潮時の前記船舶プラグの高さから第1範囲にある
請求項4に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項8】
前記ケーブルの格納時に、前記ケーブルの先端部が載置される複数のローラーが設けられた土台部を備え、
前記ケーブルの使用時には、前記ケーブルハンガーの高さ方向への移動に伴って、前記先端部が、前記複数のローラー上を、前記船舶側に移動する
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項9】
前記給電システムと、前記伸縮式構造体との間に、前記ケーブルが掛け渡されるケーブルスタンドを備え、
前記ケーブルスタンドの頂部は、前記第1端部よりも高い位置にある
請求項1に記載のケーブルマネジメントシステム。
【請求項10】
陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の伸縮式構造体であって、
頂部にケーブルハンガーが設けられ、
前記ケーブルハンガーには、電力を出力する給電システムに接続された第1端部と、停泊中の船舶に備わる船舶プラグに接続される接続プラグが設けられた第2端部とを含むケーブルが掛け渡される、伸縮式構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブルマネジメントシステム及び伸縮式構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
港湾において、陸上に備わる電源から船舶に対して、船舶内で必要な電力を給電するシステムが従来用いられている。例えば、特許文献1は、ケーブルリール装置及びケーブルクレーンを用いて、外部電力が供給される巻取ケーブルを船舶の受電端子に接続可能な位置まで案内する、船舶用の給電装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4587305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、クレーンの操作は煩雑であり、船員及び港湾の作業員には専門的な知識や技能が必要である。また、ケーブルをリールで巻き取る方法は、船員及び港湾の作業員に与える作業負荷が大きかった。
【0005】
そこで、本発明は、従来技術に比較して、より多くの人間が簡便に用いることの可能なケーブルマネジメントシステム及び伸縮式構造体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るケーブルマネジメントシステムは、電力を出力する給電システムに接続された第1端部と、停泊中の船舶に備わる船舶プラグに接続される接続プラグが設けられた第2端部とを含むケーブルと、陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の伸縮式構造体と、前記伸縮式構造体の頂部に設けられ、前記ケーブルが掛け渡されるケーブルハンガーと、前記伸縮式構造体の高さを調整する調整装置と、を備える。
【0007】
また、本発明の一態様に係る伸縮式構造体は、陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の伸縮式構造体であって、頂部にケーブルハンガーが設けられ、前記ケーブルハンガーには、電力を出力する給電システムに接続された第1端部と、停泊中の船舶に備わる船舶プラグに接続される接続プラグが設けられた第2端部とを含むケーブルが掛け渡される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】電力供給システム1の概略図。
図2A】格納時のケーブルマネジメントシステム10の構成図。
図2B】格納時のケーブルマネジメントシステム10の構成図。
図3】ケーブルハンガー12の頂部P3のYZ平面に平行な断面図。
図4】ケーブルCの先端部P4が土台部UUに載置される構成を示す図。
図5A】先端部P6を含むケーブルCの拡大図。
図5B】先端部P6を含むケーブルCの拡大図。
図6A】接続プラグCP受け渡し時のケーブルマネジメントシステム10の構成図。
図6B】接続プラグCP受け渡し時のケーブルマネジメントシステム10の構成図。
図7A】給電時のケーブルマネジメントシステム10の構成図。
図7B】給電時のケーブルマネジメントシステム10の構成図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係るケーブルマネジメントシステムについて図面を参照して説明する。なお、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施形態は、好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本開示の範囲は、以下の説明において特に本開示を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0010】
以下、図1図7Bを参照することにより、第1実施形態に係るケーブルマネジメントシステム、及び当該ケーブルマネジメントシステムを含む電力供給システムについて説明する。
【0011】
1:実施形態の構成
1-1:電力供給システム1の構成
以下、図1を参照することにより、本実施形態に係る電力供給システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る電力供給システム1の概略図である。電力供給システム1は、港湾Bに設置されることが好適である。電力供給システム1は、ケーブルマネジメントシステム10と、給電システムVとを備える。給電システムVは、船舶5で使用する電力を出力する。給電システムVから出力された電力は、ケーブルマネジメントシステム10を経由して、海Sに停泊する船舶5に対して供給される。船舶5に供給された電力は、一例として、船舶5に備わる、図示されない負荷設備に給電される。
【0012】
なお、以降の説明では、相互に直交するX軸、Y軸及びZ軸を想定する。X軸、Y軸及びZ軸は、以降の説明で例示される全図において共通である。図1に例示される通り、任意の地点からみてX軸に沿う一方向をX1方向と表記し、X1方向と反対の方向をX2方向と表記する。X軸方向は、X1方向及びX2方向の両方向を含む方向である。同様に、任意の地点からY軸に沿って相互に反対の方向をY1方向及びY2方向と表記する。Y軸方向は、Y1方向及びY2方向の両方向を含む方向である。また、任意の地点からZ軸に沿って相互に反対の方向をZ1方向及びZ2方向と表記する。Z軸方向は、Z1方向及びZ2方向の両方向を含む方向である。
【0013】
図1に示される例においては、X1方向が海上に向かう方向であり、X2方向が陸上に向かう方向である。また、Z軸方向は鉛直方向である。Z1方向が天頂に向かう方向であり、Z2方向が地面に向かう方向である。
【0014】
ケーブルマネジメントシステム10は、ケーブルCと、伸縮式構造体11と、ケーブルハンガー12と、調整装置15と、ケーブルスタンド17と、を備える。
【0015】
ケーブルCは、給電システムVから出力される電力を、船舶5に給電するためのケーブルである。ケーブルCは、第1端部E1と第2端部E2とを備える。第1端部E1は、給電システムVに接続される。第2端部E2には、船舶5に備わる船舶プラグSPに接続される接続プラグCPが設けられる。ケーブルCを経由する電力は、接続プラグCP及び船舶プラグSPを介して、船舶5内の負荷設備に給電される。ケーブルCは、一例として、直径が70cm以上80cm以下であり、1m当たりの重量が10kg前後である。
【0016】
伸縮式構造体11は、陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の構造体である。なお、図1に示される例において、伸縮式構造体11は、Z軸方向に伸縮することにより高さが可変となる。しかし、伸縮式構造体11の伸縮方向はZ軸方向に限定されず、伸縮式構造体11自体の高さが可変であれば、任意の方向に伸縮してよい。伸縮式構造体11は、一例として金属製である。しかし、伸縮式構造体11は、金属以外の材料によって製造されてもよい。
【0017】
ケーブルハンガー12は、伸縮式構造体11の頂部に設けられる。ケーブルハンガー12には、ケーブルCが掛け渡される。ケーブルハンガー12は、一例として金属製である。しかし、ケーブルハンガー12は、金属以外の材料によって製造されてもよい。ケーブルハンガー12の詳細については、図2A及び図2B等を参照することにより、後述する。
【0018】
調整装置15は、伸縮式構造体11の高さを調整する。調整装置15は、一例として、油圧式のシリンダを含む油圧ユニットであってよい。調整装置15には、一例として、伸縮式構造体11の高さを高くするために押下される第1ボタンと、伸縮式構造体11の高さを低くするために押下される第2ボタンとが設置される操作ユニットと、第1ボタン及び第2ボタンに対する操作に基づいて、伸縮式構造体11の高さを制御する制御ユニットとが設置される。操作ユニットは、有線又は無線により制御ユニットに接続される。船舶5の舶員、又は港湾Bの作業員は、第1ボタン及び第2ボタンを操作することにより、伸縮式構造体11の高さを増減させる。
【0019】
ケーブルスタンド17は、給電システムVと伸縮式構造体11との間に設置される。ケーブルスタンド17の頂部は、給電システムVにおける、ケーブルCの第1端部E1の位置よりも、Z1方向に位置する。換言すれば、ケーブルスタンド17の頂部の位置は、第1端部E1の位置より高い。ケーブルスタンド17の頂部には、ケーブルCが掛け渡される。ケーブルスタンド17の頂部にケーブルCが掛け渡されることによって、伸縮式構造体11が最も低い位置にある場合でも、給電システムVと伸縮式構造体11との間で、ケーブルCが地面に触れることが抑制される。換言すれば、ケーブルスタンド17は、給電システムVと伸縮式構造体11との間でケーブルCが地面に触れない程度の高さを有する。ケーブルスタンド17は、一例として金属製である。しかし、ケーブルスタンド17は、金属以外の材料によって製造されてもよい。
【0020】
図1に示される例において、ケーブルCは、第1端部E1において給電システムVに接続され、ケーブルスタンド17の頂部と、ケーブルハンガー12の頂部とに掛け渡され、第2端部E2に備わる接続プラグCPにおいて、船舶5に備わる船舶プラグSPに接続される。
【0021】
1-2:ケーブルマネジメントシステム10の構成
以下、図2A図7Bを参照することにより、ケーブルマネジメントシステム10の構成の詳細について説明する。
【0022】
1-2-1:格納時の構成
図2A及び図2Bは、格納時のケーブルマネジメントシステム10の構成図である。
【0023】
図2A及び図2Bに示されるように、伸縮式構造体11は、XY平面に平行な断面が矩形の、筒状の単位部材Uを複数有する。筒状の単位部材Uは入れ子状の構造となっていると共に、互いに連結される。調整装置15は、複数の単位部材Uの相対位置を変化させることで、伸縮式構造体11の高さを調整する。図2A及び図2Bに示される格納時においては、伸縮式構造体11は、最小の高さにある。なお、単位部材UのXY平面に平行な断面の形状は矩形には限定されない。単位部材UのXY平面に平行な断面の形状は、円形、楕円形、三角形、又は五角形以上の多角形であってもよい。
【0024】
伸縮式構造体11が、複数の単位部材Uから構成されていることで、伸縮式構造体11に欠陥が発生した場合に、伸縮式構造体11の全体を交換するのではなく、欠陥が発生した単位部材Uのみを交換することにより、修理コストを抑えることができる。また、伸縮式構造体11が単一の部材から構成され、当該単一の部材が物理的に伸長する構成と比較して、伸縮式構造体11の材料として、剛性の高い材料を用いることができる。
【0025】
図2Bにおいて、ケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1は、側面視において半円状に構成される。換言すれば、XZ平面におけるケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1の形状は、半円状となっている。しかし、ケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1は、側面視において半円状でなくてもよい。例えば、ケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1は、丸みを帯びていればよい。また、ケーブルハンガー12のX2方向の先端部P2は、側面視において4分の1円状に構成される。換言すれば、XZ平面におけるケーブルハンガー12のX2方向の先端部P2の形状は4分の1円状となっている。しかし、ケーブルハンガー12のX2方向の先端部P2は、側面視において4分の1円状でなくてもよい。例えば、ケーブルハンガー12のX2方向の先端部P2は、ケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1と同様に、丸みを帯びていればよい。
【0026】
ケーブルCは、ケーブルハンガー12において、先端部P1及び先端部P2の周方向に沿う。ケーブルCとケーブルハンガー12との接触部分の端部が丸みを帯びていることにより、ケーブルCが引っ張られた場合に、ケーブルCの一部に応力が集中することを抑制できる。
【0027】
図3は、ケーブルハンガー12の頂部P3のYZ平面に平行な断面図である。ケーブルハンガー12は頂部P3にケーブルカバーCCを備える。ケーブルカバーCCは、ケーブルCのうちケーブルハンガー12に架けられた部分を覆う。すなわち、ケーブルハンガー12とケーブルカバーCCとにより包囲された空間に、ケーブルCが挿入される。図3に示される例において、ケーブルカバーCCは、ケーブルハンガー12の頂部P3に沿ってX軸方向に延伸する単一の部材である。しかし、ケーブルカバーCCは、単一の部材によって構成されていなくてもよい。例えば、ケーブルカバーCCは、ケーブルハンガー12の頂部P3に沿って、X軸方向に断続的に連続する複数の部材によって構成されてもよい。また、図3に示される例において、ケーブルカバーCCのYZ平面に平行な断面は、半円の周状の形状を有する。しかし、ケーブルカバーCCのYZ平面に平行な断面は、ケーブルCを覆う形状である限り、他の形状であってもよい。
【0028】
ケーブルハンガー12の頂部P3にケーブルカバーCCが備わることで、ケーブルハンガー12の頂部P3から、頂部P3に載置されたケーブルCが滑り落ちることを抑制できる。
【0029】
また、ケーブルマネジメントシステム10は、土台部UUを備える。土台部UUは、港湾Bの地面Gに直接接触する部分である。図2A及び図2Bに示される例において、土台部UUは地面Gに固定される。また、図2A及び図2Bに示される例において、土台部UUは、ケーブルマネジメントシステム10に備わる、伸縮式構造体11、調整装置15、及びケーブルスタンド17を支持する。しかし、土台部UUは、伸縮式構造体11、調整装置15、及びケーブルスタンド17のうち一部のみを支持する構成であってもよい。
【0030】
図4は、ケーブルCの先端部P4が土台部UUに載置される構成を示す図である。土台部UUには、複数のローラーRが設けられる。図4に示される例において、複数のローラーRは、X軸方向に配列する。複数のローラーRの各々はY軸方向に沿う軸線を中心として回転可能である。ケーブルCの格納時において、ケーブルCの先端部P4は、複数のローラーRに載置される。後述のように、ケーブルCの使用時には、ケーブルハンガー12のZ1方向への移動に伴って、ケーブルCの先端部P4は、複数のローラーR上を、X1方向に移動する。
【0031】
土台部UUに複数のローラーRが設けられることにより、ケーブルCの使用時に、ケーブルCが土台部UUの上を引きずられて摩耗することが抑制される。
【0032】
ケーブルスタンド17は、側面視において、XZ平面内においてX軸方向に沿う直径に対してZ1方向に突出する半円状の形状を有する。換言すれば、XZ平面におけるケーブルスタンド17の形状は、Z1方向を弧とする半円状となっている。しかし、ケーブルスタンド17の形状は、半円状でなくてもよい。例えば、XZ平面におけるケーブルスタンド17の形状は、とりわけZ1方向側に曲線を含む構成であってよい。
【0033】
ケーブルCは、ケーブルハンガー12において、Z1方向に突出する半円の弧に沿う。ケーブルCとケーブルスタンド17との接触部分の端部が丸みを帯びていることにより、ケーブルCが引っ張られた場合に、ケーブルCの一部に応力が集中することを抑制できる。
【0034】
ケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1,ケーブルハンガー12のX2方向の先端部P2、ケーブルスタンド17のX1方向の先端部P5、及びケーブルスタンド17のX2方向の先端部P6からは、ケーブルCが鉛直方向の下方、すなわちZ2方向に垂れ下がる。ケーブルCのうち、先端部P1、先端部P2、先端部P5、及び先端部P6の各々から、Z2方向に所定距離だけ離間した、所定の長さの箇所は、ケーブルガイドCGによって被覆される。
【0035】
図5A及び図5Bは、ケーブルスタンド17のX2方向の先端部P6を含むケーブルCの拡大図である。より詳細には、図5Aは、先端部P6及び先端部P6近傍のケーブルCをX軸方向に正面視した図であり、図5Bは、先端部P6及び先端部P6近傍のケーブルCをY軸方向に側面視した図である。
【0036】
先端部P6の近傍において、ケーブルCは、ケーブルガイドCGに被覆される。ケーブルガイドCGは一例として網目状のワイヤーによって構成される。また、ケーブルガイドCGは、Z1方向の端部に、網目状のワイヤーによって構成される懸垂部SUを備える。ケーブルスタンド17の先端部P6には、各々がY1方向及びY2方向に延伸する2つの突起部PDが設置される。懸垂部SUが2つの突起部PDに懸架されることにより、ケーブルガイドCGは、ケーブルCを把持しながら、2つの突起部PDから吊り下げられる構成となる。ケーブルCの自重によって、懸垂部SUに対してZ2方向に引張応力が加えられることにより、網目状のワイヤーから構成されるケーブルガイドCGは、ケーブルCの外皮に食い込むことで、ケーブルCを締め付ける。ケーブルスタンド17のX1方向の先端部P5においても同様である。具体的には、先端部P5には、2つの突起部PDが設置され、懸垂部SUが、先端部P5に備わる2つの突起部PDに懸架されることにより、ケーブルガイドCGは、ケーブルCを把持しながら、2つの突起部PDから吊り下げられる構成となる。この結果、ケーブルCはケーブルスタンド17に対して相対的に摺動しない。
【0037】
また、ケーブルハンガー12に含まれる先端部P1及び先端部P2においても同様である。具体的には、先端部P1及び先端部P2の各々には、2つの突起部PDが設置され、懸垂部SUが、先端部P5に備わる2つの突起部PDに懸架されることにより、ケーブルガイドCGは、ケーブルCを把持しながら、2つの突起部PDから吊り下げられる構成となる。この結果、ケーブルCは、ケーブルハンガー12に対して相対的に摺動しない。
【0038】
ケーブルCが、ケーブルハンガー12に対して相対的に摺動しないため、後述のように伸縮式構造体11の高さを調整するのみで、地面Gに対する接続プラグCPの高さを調整できる。とりわけ、地面Gに対する接続プラグCPの高さを調整するために、ケーブルCを出し入れするためのリールを別途設置する必要がない。
【0039】
なお、図2Bにおいて、船体Hは、ガイドGD1とガイドGD2とを備える。ガイドGD1は、船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も高くなる場合に、ケーブルCの先端部P4を載置するために用いられる。船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も高くなる場合とは、例えば満潮時や、船舶5に積載される貨物の量が少ない場合である。ガイドGD2は、船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も低くなる場合にケーブルCの先端部P4を載置するために用いられる。船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も低くなる場合とは、例えば干潮時や、船舶5に積載される貨物の量が多い場合である。ガイドGD1は、ガイドGD2に対して、相対的にZ1方向に位置する。
【0040】
1-2-2:接続プラグ受け渡し時の構成
図6A及び図6Bは、接続プラグCP受け渡し時のケーブルマネジメントシステム10の構成図である。
【0041】
上記のように、調整装置15には、伸縮式構造体11の高さを高くするために押下される第1ボタンが設置される。一例として、港湾Bの作業員が第1ボタンを押下することにより、伸縮式構造体11の高さは高くなる。図6Bは、最大の高さとなった状態の伸縮式構造体11を示す。一例として、伸縮式構造体11の最大の高さは、7m程度である。伸縮式構造体11が最大の高さに近づくのに伴い、伸縮式構造体11の頂部に設けられたケーブルハンガー12は、Z1方向に移動する。ケーブルハンガー12が、Z1方向に移動するのに伴い、図2Bにおいて、土台部UU上に載置されていたケーブルCの先端部P4は、複数のローラーR上をX1方向に移動する。その後、ケーブルCの第2端部E2に設けられた接続プラグCPは地面Gから離れ、ケーブルCから吊り下げられた状態で、空中に持ち上げられる。伸縮式構造体11が最大の高さになった時点における接続プラグCPの地面Gからの高さは、港湾Bの作業員が、船舶5の船員に受け渡ししやすい高さとなる。また、同時点における接続プラグCPの高さは、満潮時の船舶プラグSPの高さから、第1範囲にある。当該第1範囲は、一例として-1m~+1mである。伸縮式構造体11が適切な高さで設計されることにより、ケーブルCの使用時に、接続プラグCPの地面Gからの高さが、船舶5の船員が把持しやすい高さとなる。
【0042】
1-2-3:給電時の構成
図7A及び図7Bは、給電時のケーブルマネジメントシステム10の構成図である。
【0043】
上記のように、調整装置15には、伸縮式構造体11の高さを低くするために押下される第2ボタンが設置される。伸縮式構造体11の高さが最大の高さとなった後、一例として、港湾Bの作業員が第2ボタンを押下することにより、伸縮式構造体11の高さは、図6Bにおける伸縮式構造体11の高さより低くなる。図7Bは、給電時の高さとなった状態の伸縮式構造体11を示す。
【0044】
図7Aにおいて、船体Hが標準位置にある場合には、接続プラグCPは、位置OPに位置する。船体Hが、標準位置に対してY1方向にずれた位置にある場合には、接続プラグCPは、位置FPに位置する。船体Hが、標準位置に対してY2方向にずれた位置にある場合には、接続プラグCPは、位置RPに位置する。伸縮式構造体11が、図7Bに示される高さとなった結果、図7Aの位置FP及び位置RPのように、船体Hが標準位置にある場合よりも、接続プラグCPがケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1に対して、より遠方の位置にある場合でも、ケーブルCには許容度を超える引張応力はかからない。
【0045】
図7Bにおいて、船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も高くなる場合には、接続プラグCPは、位置HPに位置する。船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も低くなる場合には、接続プラグCPは、位置LPに位置する。ケーブルハンガー12のX1方向の先端部P1に対して、位置LPは、位置HPよりも遠方に位置する。伸縮式構造体11が、図7Bに示される高さとなった結果、船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も低くなる場合のように、接続プラグCPが先端部P1に対してより遠方にある場合においても、ケーブルCには許容度を超える引張応力はかからない。また、船舶5の地面Gに対するZ軸方向の位置が最も高くなる場合のように、ケーブルCがより小さい半径で曲がる場合においても、ケーブルCは、最小曲げ半径未満の半径で曲がらない。
【0046】
換言すれば、ケーブルCは、給電のために使用される場合、干潮時において、ケーブルCに許容度を超える引張応力がかからず、満潮時において、ケーブルCが最小曲げ半径未満の半径で曲がらない長さとなっている。ケーブルCが適切な長さとなることにより、ケーブルCの使用時に、ケーブルCに対して許容度を超える引張応力及び曲げ応力がかかることが抑制される。また、ケーブルCの長さが当該条件を満たすことを前提にした上で、伸縮式構造体11の最大の高さは、接続プラグCPの高さが、満潮時の船舶プラグSPの高さから、上記の第1範囲に位置するという条件を満たし、地面Gから上記の第2範囲に位置するという条件を満たす高さに設計される。
【0047】
2:実施形態が奏する効果
本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10は、ケーブルCと、伸縮式構造体11と、ケーブルハンガー12と、調整装置15とを備える。ケーブルCは、電力を出力する給電システムVに接続された第1端部E1と、停泊中の船舶5に備わる船舶プラグSPに接続される接続プラグCPが設けられた第2端部E2とを含む。伸縮式構造体11は、陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の構造体である。ケーブルハンガー12は、伸縮式構造体11の頂部に設けられ、ケーブルCが掛け渡される。調整装置15は、伸縮式構造体11の高さを調整する。
【0048】
この構成によれば、従来技術に比較して、より多くの人間が簡便に用いることの可能なケーブルマネジメントシステム10を提供することができる。とりわけ、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10では、港湾Bの作業員又は船舶5の船員は、伸縮式構造体11の高さを調整するのみで、船舶5に対する接続プラグCPの高さを調整できる。また、クレーンを用いて接続プラグCPの高さを調整する方式と異なり、クレーン運転士免許を持たない作業員又は船員でも、接続プラグCPの高さを調整できる。
【0049】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10において、ケーブルCは、ケーブルハンガー12の先端部P1又はP2から離間した箇所において、先端部P1又はP2に設置された突起部PDから懸架されるケーブルガイドCGに被覆される。
【0050】
この構成によれば、ケーブルCがケーブルハンガー12に対して相対的に摺動しないため、港湾Bの作業員又は船舶5の船員は、伸縮式構造体11の高さを調整するのみで、接続プラグCPの高さを調整できる。とりわけ、接続プラグCPの高さを調整するために、ケーブルCを出し入れするためのリールを設置する必要がない。
【0051】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10において、伸縮式構造体11は、互いに連結された複数の単位部材Uを含む。調整装置15は、複数の単位部材Uの間の相対位置を変化させることで、伸縮式構造体11の高さを調整する。
【0052】
この構成によれば、伸縮式構造体11が、複数の単位部材Uから構成されていることで、伸縮式構造体11に欠陥が発生した場合に、伸縮式構造体11の全体を交換するのではなく、欠陥が発生した単位部材Uのみを交換すればよい。この結果、修理コストを抑えることができる。また、伸縮式構造体11が単一の部材から構成され、当該単一の部材が物理的に伸長する構成と比較して、剛性の高い材料を用いることができる。
【0053】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10において、ケーブルハンガー12の先端部P1は、側面視で半円状に構成される。ケーブルCは、先端部P1の周方向に沿う。
【0054】
この構成によれば、ケーブルCとケーブルハンガー12との接触部分の端部が丸みを帯びていることにより、ケーブルCが引っ張られた場合に、ケーブルCの一部に応力が集中することを抑制できる。
【0055】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10において、ケーブルハンガー12は、ケーブルカバーCCを頂部P3に備える。ケーブルカバーCCは、ケーブルCのうち、ケーブルハンガー12に架けられた部分を覆う。
【0056】
この構成によれば、ケーブルハンガー12の頂部P3から、当該頂部P3に載置されたケーブルCが滑り落ちることを抑制できる。
【0057】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10において、ケーブルCは、ケーブルCの使用時に、船舶5の地面Gに対する位置が最も低くなる場合に、ケーブルCに許容度を超える引張応力がかからず、船舶5の地面Gに対する位置が最も高くなる場合に、ケーブルCが最小曲げ半径未満の半径で曲がらない長さである。
【0058】
この構成によれば、ケーブルCが適切な長さとなることにより、ケーブルCの使用時に、ケーブルCに対して許容度を超える引張応力及び曲げ応力がかかることが抑制される。
【0059】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10において、伸縮式構造体11が最大の高さにある場合に、接続プラグCPの高さが満潮時の船舶プラグSPの高さから第1範囲にある。
【0060】
この構成によれば、伸縮式構造体11が適切な高さで設計されることにより、ケーブルCの使用時に、接続プラグCPの高さが、船舶5の船員が把持しやすい高さとなる。
【0061】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10は、土台部UUを備える。土台部UUには、ケーブルCの格納時に、ケーブルCの先端部P4が載置される複数のローラーRが設けられる。ケーブルCの使用時には、ケーブルハンガー12の高さ方向への移動に伴って、先端部P4が、複数のローラーRの上を、船舶5側に移動する。
【0062】
この構成によれば、ケーブルCの使用時に、ケーブルCが土台部UUの上を引きずられて摩耗することが抑制される。
【0063】
また、本実施形態に係るケーブルマネジメントシステム10は、給電システムVと伸縮式構造体11との間に、ケーブルCが掛け渡されるケーブルスタンド17を備える。ケーブルスタンド17の頂部は、第1端部E1よりも高い位置にある。
【0064】
この構成によれば、伸縮式構造体11が最も低い位置にある場合でも、給電システムVと伸縮式構造体11との間で、ケーブルCが地面Gに触れることが抑制される。
【0065】
また、本実施形態に係る伸縮式構造体11は、陸上に設けられ、高さが調整可能な塔状の構造体である。伸縮式構造体11の頂部には、ケーブルハンガー12が設けられる。ケーブルハンガー12には、電力を出力する給電システムVに接続された第1端部E1と、停泊中の船舶5に備わる船舶プラグSPに接続される接続プラグCPが設けられた第2端部E2とを含むケーブルCが掛け渡される。
【0066】
この構成によれば、従来技術に比較して、より多くの人間が簡便に用いることの可能な伸縮式構造体11を提供することができる。とりわけ、本実施形態に係る伸縮式構造体11を用いる場合、港湾Bの作業員又は船舶5の船員は、伸縮式構造体11の高さを調整するのみで、船舶5に対する接続プラグCPの高さを調整できる。また、クレーンを用いて接続プラグCPの高さを調整する方式と異なり、クレーン運転士免許を持たない作業員又は船員でも、接続プラグCPの高さを調整できる。
【0067】
3:変形例
本開示は、以上に例示した実施形態に限定されない。具体的な変形の態様を以下に例示する。
【0068】
3-1:変形例1
上記の実施形態において、土台部UUは地面Gに固定される。しかし、土台部UUは、地面Gに対して相対的に移動できる構成であってもよい。延いては、ケーブルマネジメントシステム10は、地面Gに対して相対的に移動できる構成であってもよい。例えば、土台部UUの底面に複数の車輪が設けられることにより、土台部UUは、地面Gに対して相対的に移動できる構成であってもよい。
【0069】
3-2:変形例2
上記の実施形態において、調整装置15には、一例として、伸縮式構造体11の高さを高くするために押下される第1ボタンと、伸縮式構造体11の高さを低くするために押下される第2ボタンと、第1ボタン及び第2ボタンに対する操作に基づいて、伸縮式構造体11の高さを制御する制御ユニットとが設置される。しかし、調整装置15には、更に、伸縮式構造体11の高さを、一例として、図7Bに示される給電時の高さに一致させるための第3ボタンが設置されてもよい。
【0070】
3-3:変形例3
上記の実施形態において、図2B図6B、及び図7BにおけるガイドGD2の位置、及び、図7Bにおける接続プラグCPの位置LPは、Z軸方向において、地面Gと同水準、又は地面GよりもZ1方向に位置する。しかし、ガイドGD2の位置、及び接続プラグCPの位置LPは、これには限定されない。例えば、ガイドGD2の位置、及び接続プラグCPの位置LPのうち少なくとも一方は、地面GよりもZ2方向に位置してもよい。
【符号の説明】
【0071】
1…電力供給システム、5…船舶、10…ケーブルマネジメントシステム、11…伸縮式構造体、12…ケーブルハンガー、15…調整装置、17…ケーブルスタンド、E1…第1端部、E2…第2端部、GD1,GD2…ガイド、P1,P2…先端部、P3…頂部、P4,P5,P6…先端部
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B