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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140246
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q50/06
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051296
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(74)【代理人】
【識別番号】100194087
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 伸一
(72)【発明者】
【氏名】辻川 真帆
(72)【発明者】
【氏名】内藤 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】西尾 唯
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】調整可能電力における入札電力量をより正確に決定する技術を提供する。
【解決手段】蓄電装置を有する複数の移動体から電力網に供給される電力の電力取引市場への入札を管理する管理装置であって、蓄電装置の残容量の履歴から、時間帯、及び所定の電力量に応じた、所定の電力量を供給するために必要な移動体の必要台数を算出する必要台数算出部と、必要台数を記憶する必要台数記憶部と、ある時間帯における移動体の電力網への出力が可能か否かに関する情報を取得する取得部と、時間帯における電力網への出力可能な移動体数と必要台数の比較に基づき、電力取引市場への入札電力量を決定する入札電力量決定部と、を備える。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を有する複数の移動体から電力網に供給される電力の電力取引市場への入札を管理する管理装置であって、
前記蓄電装置の残容量の履歴から、時間帯、及び所定の電力量に応じた、前記所定の電力量を供給するために必要な前記移動体の必要台数を算出する必要台数算出部と、
前記必要台数を記憶する必要台数記憶部と、
ある時間帯における前記移動体の電力網への出力が可能か否かに関する情報を取得する取得部と、
前記時間帯における電力網への出力可能な移動体数と前記必要台数の比較に基づき、前記電力取引市場への入札電力量を決定する入札電力量決定部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記入札電力量決定部は、
前記出力可能な移動体数が第1電力量における必要台数を下回った場合、
前記出力可能な移動体数が必要台数を上回るような前記第1電力量より小さい第2電力量を探索し、前記第2電力量を入札電力量とする
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記入札電力量決定部は、
前記出力可能な移動体数が第1電力量における必要台数を上回った場合、
前記出力可能な移動体数が必要台数を下回るような前記第1電力量より大きい第2電力量を探索し、前記第2電力量の次に大きい電力量を入札電力量とする
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記必要台数算出部は、日毎の前記蓄電装置の残容量履歴から日毎の必要台数を算出し、
前記必要台数記憶部は、所定期間の必要台数を記憶し、
前記入札電力量決定部は、前記所定期間における必要台数の最大値を用いて入札電力量を決定する
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記入札電力量決定部は、
特定の日の複数の時間帯における入札電力量を決定するものであって、
電力網への出力可能な移動体数が相対的に少ない時間から、入札電力量を決定する
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
算出された必要台数または/および入札電力量に所定の割合を乗じたものを必要台数に加算することで、必要台数の補正をする請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
入札する対象時間帯で、複数の移動体のうち少なくとも一部が充電をする時には、当該充電による要する電力相当の必要台数分を加算することで、必要台数の補正をする請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
入札電力量の決定時と、電力供給の終了時との両方で、移動体の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をふまえて、出力可能な移動体数を算出する請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
入札電力量の決定時には、移動体の単位期間内の1以上の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
電力供給の終了時には、直近の移動体の稼働計画のみから、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする請求項8または請求項9に記載の管理装置。
【請求項11】
電力供給の終了時には、移動体のSOCと直近の移動体の稼働計画に要する電力量との差が一定以上の場合は、移動体への充電を行わない請求項10に記載の管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、より多くの人々が手ごろで信頼でき、持続可能かつ先進的なエネルギーへのアクセスを確保できるようにするため、エネルギーの効率化に貢献する、二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する研究開発が行われている。
【0003】
このような技術背景において、所定時点における残容量、及びEVSEへの接続可能性または接続台数予測に応じて車両からの供給可能電力量を予測し、更に予測値にマージンを付加して予測値を補正する技術が開示されている(例えば特許文献1参照)。この技術では、接続可能性は、車両の位置がEVSEの所定範囲内であれば、接続可能性有と判定することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-158835号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで二次電池を搭載するモビリティにおける充給電に関する技術においては、車両台数の予測が外れた場合、入札した電力を供給できなくなるおそれがある。
【0006】
本願は上記課題の解決のため、調整可能電力における入札電力量をより正確に決定する技術の達成を目的としたものである。そして、延いてはエネルギーの効率化に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る管理装置は、以下の構成を採用した。
(1):この発明の一態様に係る管理装置は、蓄電装置を有する複数の移動体から電力網に供給される電力の電力取引市場への入札を管理する管理装置であって、蓄電装置の残容量の履歴から、時間帯、及び所定の電力量に応じた、所定の電力量を供給するために必要な移動体の必要台数を算出する必要台数算出部と、必要台数を記憶する必要台数記憶部と、ある時間帯における移動体の電力網への出力が可能か否かに関する情報を取得する取得部と、時間帯における電力網への出力可能な移動体数と必要台数の比較に基づき、電力取引市場への入札電力量を決定する入札電力量決定部と、を備える。
【0008】
(2):上記(1)の態様において、入札電力量決定部は、出力可能な移動体数が第1電力量における必要台数を下回った場合、出力可能な移動体数が必要台数を上回るような第1電力量より小さい第2電力量を探索し、第2電力量を入札電力量とする。
【0009】
(3):上記(1)の態様において、入札電力量決定部は、出力可能な移動体数が第1電力量における必要台数を上回った場合、出力可能な移動体数が必要台数を下回るような第1電力量より大きい第2電力量を探索し、第2電力量の次に大きい電力量を入札電力量とする管理装置を提供する。
【0010】
(4):上記(1)の態様において、必要台数算出部は、日毎の蓄電装置の残容量履歴から日毎の必要台数を算出し、必要台数記憶部は、所定期間の必要台数を記憶し、入札電力量決定部は、所定期間における必要台数の最大値を用いて入札電力量を決定する。
【0011】
(5):上記(1)から(3)のいずれかの態様において、入札電力量決定部は、特定の日の複数の時間帯における入札電力量を決定するものであって、電力網への出力可能な移動体数が相対的に少ない時間から、入札電力量を決定する。
【0012】
(6):上記(1)の態様において、算出された必要台数または/および入札電力量に所定の割合を乗じたものを必要台数に加算することで、必要台数の補正をする。
【0013】
(7):上記(1)の態様において、入札する対象時間帯で、複数の移動体のうち少なくとも一部が充電をする時には、充電による要する電力相当の必要台数分を加算することで、必要台数の補正をする。
【0014】
(8):上記(1)の態様において、入札電力量の決定時と、電力供給の終了時との両方で、移動体の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をふまえて、出力可能な移動体数を算出する。
【0015】
(9):上記(8)の態様において、入札電力量の決定時には、移動体の単位期間内の1以上の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする。
【0016】
(10):上記(8)または(9)の態様において、電力供給の終了時には、直近の移動体の稼働計画のみから、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする。
【0017】
(11):上記(10)の態様において、電力供給の終了時には、移動体のSOCと直近の移動体の稼働計画に要する電力量との差が一定以上の場合は、移動体への充電を行わない管理装置を提供する。
【発明の効果】
【0018】
(1)~(11)の態様によれば、調整可能電力における入札電力量をより正確に決定する技術を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】実施形態に係る管理装置を含む管理システムの構成例を示す図である。
図2】管理装置の機能構成を表す機能ブロック図である。
図3】管理装置により実行される時間毎総台数処理の流れを示すフローチャートである。
図4】管理装置により実行される入札電力量決定処理の流れを示すフローチャートである。
図5】車両除外処理の処理例を示す図である。
図6】DR可能時刻第1判定処理の処理例を示す図である。
図7】充電例を示す図である。
図8】DR可能時刻第2判定処理の処理例を示す図である。
図9】総台数算出処理の処理例を示す図である。
図10】置換処理の処理例を示す図である。
図11】統計量算出処理の処理例を示す図である。
図12】必要台数算出処理の処理例を示す図である。
図13】必要台数記憶処理で記憶されるデータ例を示す図である。
図14】抽出処理の処理例を示す図である。
図15】割当処理の処理例を示す図である。
図16】SOCが不足するケースを示す図である。
図17】DR参加後に回復充電を行うことを示す図である。
図18】回復充電を策定するか否かの判定処理の流れを示すフローチャートである。
図19】回復充電による影響を示す図である。
図20】15時から18時のコマに対する予測での例を示す図である。
図21】群合計回復充電出力のグラフを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の管理装置の実施形態について説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施形態に係る管理装置100を含む管理システム1の構成例を示す図である。管理システム1は、管理装置100、1つ以上の車両200_1~200_n(nは1以上の整数)、および1つ以上の顧客端末400_1~400_m(mは1以上の整数)を備える。以下、車両200_1~200_nのそれぞれを特に区別しない場合には任意の1台を車両200と表現する。顧客端末400_1~400_mのそれぞれを特に区別しない場合には任意の1台を顧客端末400と表現する。
【0022】
ネットワーク500は、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、および携帯電話回線で構成される。管理装置100と顧客端末400は、少なくとも携帯電話回線で通信可能である。管理装置100と車両200は、LANやWANで通信可能である。
【0023】
管理装置100は、蓄電装置(以下、「バッテリ」ともいう)を有する複数の移動体(以下、「車両」ともいう)から電力網に供給される電力の電力取引市場への入札を管理する。車両200は、DR(Demand Response)へ参加可能な車両である。顧客端末400は、車両200の使用車の端末である。顧客端末400は、例えばスマートフォンやフィーチャーフォンである。本実施形態では、顧客端末400としてスマートフォンを例に説明する。
【0024】
図2は、管理装置100の機能構成を表す機能ブロック図である。管理装置100は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、管理プログラムを実行することによって通信部110、必要台数記憶部141、および制御部120を備える装置として機能する。なお、通信部110、必要台数記憶部141、および制御部120の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。管理プログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0025】
通信部110は、ネットワークインタフェースである。通信部110はネットワーク500を介して、車両200および顧客端末400と通信する。
【0026】
図2における制御部120は管理装置100の各部の動作を制御する。制御部120は、例えばCPU等のプロセッサ、およびRAMを備えた装置により実行される。制御部120は、管理プログラムを実行することによって、必要台数算出部121、取得部122、および入札電力量決定部123として機能する。
【0027】
必要台数算出部121は、蓄電装置の残容量(以下、「SOC」ともいう)の履歴から、時間帯、及び所定の電力量に応じた、所定の電力量を供給するために必要な移動体の必要台数を算出する。取得部122は、ある時間帯における移動体の電力網への出力が可能か否かに関する情報を取得する。入札電力量決定部123は、上記時間帯における電力網への出力可能な移動体数と必要台数の比較に基づき、電力取引市場への入札電力量を決定する。このように本実施形態では、調整可能電力のうちの一である入札電力量を決定する実施形態について説明するが、入札電力量に限らず、他の用途に適用してもよい。必要台数記憶部141は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。必要台数記憶部141は、算出された必要台数を記憶する。
【0028】
次に、管理装置100により実行される処理の流れについてフローチャートを用いて説明する。フローチャートで処理の流れを説明したのちに、フローチャートにおける各処理の詳細について説明する。
【0029】
図3は、管理装置100により実行される時間毎総台数処理の流れを示すフローチャートである。このフローチャートは、取得部122により実行される。管理装置100は、DRに参加できない車両を除外する車両除外処理を実行する(ステップS101)。管理装置100は、車両除外処理で除外されなかった車両に対し、DR可能時刻第1判定処理(ステップS102)、DR可能時刻第2判定処理(ステップS103)、DR可能時刻第3判定処理(ステップS104)を実行する。これらの処理にもとづいて、管理装置100は、時間毎にDRに参加可能な総台数を算出する総台数算出処理を実行する(ステップS105)。
【0030】
図4は、管理装置100により実行される入札電力量決定処理の流れを示すフローチャートである。管理装置100は、個々の車両SOCをDRで放電する上限放電量に置き換える置換処理を実行する(ステップS201)。管理装置100は、平均SOCと標準偏差を算出する統計量算出処理を実行する(ステップS202)。管理装置100は、平均SOCと標準偏差から供給可能量を供給するための必要な車両の台数を算出する必要台数算出処理を実行する(ステップS203)。管理装置100は、算出された必要台数を1か月分だけ必要台数記憶部141に記憶する必要台数記憶処理を実行する(ステップS204)。
【0031】
管理装置100は、目標とする供給量を供給するための必要台数を抽出する抽出処理を実行する(ステップS205)。管理装置100は、必要台数分だけ車両を割り当てる割当処理を実行する(ステップS206)。管理装置100は、割り当てが達成されたか否かを判定する達成判定処理を実行する(ステップS207)。管理装置100は、達成されたか否かを判定する(ステップS208)。割り当てが達成されなかった場合には(ステップS208:NO)、ステップS205に進む。割り当てが達成された場合には(ステップS208:YES)、管理装置100は、達成された供給可能量を入札電力量に決定して(ステップS209)、処理を終了する。図4に示した処理において、ステップS201からステップS204は、必要台数算出部121により実行される。ステップS205からステップS209は、入札電力量決定部123により実行される。
【0032】
以上説明したフローチャートにおける各処理の詳細について説明する。図5は、車両除外処理(ステップS101)の処理例を示す図である。図5には、車両状態と、参加可能車両リストとが示されている。図5において、車両IDは車両を一意に識別するための情報である。車両状態は、参加可能か否かを示す情報である。このように、管理装置100は、ステップS101において、車両状態が「参加不可」となっている車両を除外した参加可能車両リストを作成する。
【0033】
図6は、DR可能時刻第1判定処理(ステップS102)の処理例を示す図である。図6には、スマートフォンの入力画面と、在宅時刻情報とが示されている。図6に示されるように、車両の使用者は、スマートフォンを用いて車両を使用する時間帯、すなわち稼働計画を入力可能である。車両を使用している場合には、DR参加不能であるため、使用する時間帯をDR参加不可とする。本実施形態では、在宅時刻情報において、30分ごとに参加可能か否かを、「在宅」において「0」または「1」で記憶する。「0」は参加不可能であること示し、「1」は参加可能であることを示す。また、「時刻」は、当該時刻から30分の期間が開始される時刻を示す。したがって、例えば時刻が「17:30」は、17:30から18:00までの期間を示す。なお、本実施形態では、一例として「在宅」としているが、車両が電力を供給可能な施設であればよいため、自宅に限るものではない。
【0034】
例えば、図6に示されるように、使用者によって8:55~12:00まで車両を使用することが入力された場合には、管理装置100は、時刻が8:30~11:30に対応する「在宅」を0とする。このように、管理装置100は、ステップS102において、車両が使用される時間帯に応じて、在宅時刻情報を更新する。このように、入札電力量の決定時には、移動体の単位期間(例えば30分)内の1以上の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする。これにより、各稼働計画から俯瞰的に出力可能な移動体数を計算することで、移動体数の計算の精度を向上できる。
【0035】
使用者によって車両が使用される場合には、当然に車両の蓄電池の電力が消費されることから、使用開始時点において、それなりのSOCとなっていなければならない。そのため、DRに参加したのちに使用される場合には、使用前に充電しなければならないことがある。図7は、充電例を示す図である。DR当日において、外出前に予め充電することが示されている。充電する場合には、その時間帯はDRに参加できない。
【0036】
図8は、DR可能時刻第2判定処理(ステップS103)の処理例を示す図である。図8には、スマートフォンの入力画面と、在宅時刻情報とが示されている。図8に示されるように、使用者によって9:00~12:00まで車両を使用することが入力された場合には、上述したステップS102によって、時刻が9:30~11:30に対応する車両状態を0とされる。これに加え、ステップS103において、管理装置100は、充電時間を3時間とみなして、6:00~8:30に対応する車両状態を0とする。このように、管理装置100は、ステップS102において、車両が使用される時間帯に応じた充電時間帯の在宅時刻情報を更新する。なお、充電時間をどの程度見積もるかは、車両の使用が開始される時点でのSOCを予測して、予測されたSOCに応じて見積もるようにしてもよい。
【0037】
次に、DR可能時刻第3判定処理(ステップS104)について説明する。DR可能時刻第3判定処理において、管理装置100は、車両がDRに参加することで電力を消費した場合の回復充電時間を算出し、算出された回復充電期間に対応する在宅時刻情報の「在宅」を0とする。
【0038】
図9は、総台数算出処理(ステップS105)の処理例を示す図である。図9には、各車両(EV A、…、EV X)ごとの在宅時刻情報と、参加可能総台数とが示されている。管理装置100は、各車両の在宅時刻情報を時間帯ごとに加えることで、時間帯ごとに参加可能な台数を算出できる。参加可能総台数は、時間帯ごとに参加可能な台数を時間帯ごとに示すものである。参加可能総台数は、RAMやハードディスクなどの記憶装置に記憶される。
【0039】
次に、図4に示した入札電力量決定処理について説明する。図10は、置換処理(ステップS201)の処理例を示す図である。置換処理は、1日の図10には、もともとのSOCと、下限考慮置換後のSOCと、上限考慮置換後のSOCが示されている。また、図10では、車両IDがAAA、BBB、…、ZZZの車両のSOCを対象とした例を示している。また、下限のSOCを15%とし、DR参加時の1台あたりの最大供給量を上限のSOCとし、これを60%とした例を示している。
【0040】
管理装置100は、もともとのSOCから下限のSOC15%を減算する。これにより、例えば車両IDがAAAの車両のSOCは50-15で35%となる。次いで、管理装置100は、上限を60%とするために、下限考慮置換後のSOCが60%を超えるものは全て60%とする。例えば、車両IDがBBBは、下限考慮置換後のSOCが60%を超えているので、下限考慮置換後のSOCは60%となる。このように、管理装置100は、ステップS201において、個々の車両SOCをDRで放電する上限放電量に置き換える置換処理を実行する。
【0041】
図11は、統計量算出処理(ステップS202)の処理例を示す図である。図11には、3台の車両(EV A、EV B、EV xx)の、DRの参加日の前日における0時から24時までのSOCと、それらの平均値と標準偏差とが示されている。例えば、EV AのSOCは、0時から数時間の期間と24時前の数時間における値が直線で示さている。直線が存在しない時間帯は、外出などDRに参加できない時間帯を示す。平均値は、各車両のSOCの平均値を示し、標準偏差は、各車両のSOCの標準偏差を示す。図11に示される平均値と標準偏差は、ブロック単位(例えば3時間単位)で各車両のSOCから算出される。この平均値と標準偏差は、1日が終了するたびに算出され、所定期間分、例えば30日分記憶される。このように、管理装置100は、ステップS202において、平均値と標準偏差を算出する統計算出処理を実行する。
【0042】
図12は、必要台数算出処理(ステップS203)の処理例を示す図である。必要台数算出処理では、供給可能量値ごとに、必要な台数を算出する。図12は、供給可能量値a~d(kw)ごとに、その供給可能量値とするために必要な台数を時間帯ごとに示すグラフを示す図である。横軸は時刻を示し、縦軸は必要台数を示す。
【0043】
この必要台数の算出方法は、上記平均値と標準偏差から、「台数」と「その台数の平均SOCの分布」の関係を算出する。ここでは、あるn台を抽出した際の平均SOCが正規分布になるという中心極限定理を使用して算出する。
【0044】
具体的に、nを必要台数とし、Ptを、管理システム1としてリソース提供成功確率の目標値とし、SOCtをn台抽出時の時刻timeの標本平均とし、SOCpをPt%包含を満たすn台抽出時の平均SOCとする。n台抽出したときPt%以上の確率Pで得られる平均SOCについて、
P(SOCt<SOCp)=1-Pt
を標準化し、
P(Z<(SOCp-AVE_SOC)/(σ/(√n))=1-Pt
とする。ここで、AVE_SOCは上記平均値であり、σは時刻timeの標準偏差である。
【0045】
標準正規分布表から1-Ptとなるzを検索し、
(SOCp-AVE_SOC)/(σ/(√n)=z…(式1)
とする。なお、Ptを定めず、zを直接定めてもよい。
【0046】
次に、供給出力KWt(kw)時だけ出力するための必要台数をnとする。また、EVSEをEVSE供出可能量とし、DRtを1台当たりのDR参加時間とする。
n=(KWt/EVSE)×((EVSE×DRt)/(SOCp×efEVSE))…(式2)
この式における右辺の1項目(KWt/EVSE)は、充電器の観点での必要台数を示し、2項目(EVSE×DRt)/(SOCp×efEVSE)はSOCを考慮した時に必要な倍率を示す。
【0047】
式1と式2を連立して、nを算出する。具体的に、例えば式1において、SOCpについて求めて、求まったSOCpを式2に代入することで、以下の式が得られる。
√n=(-b±√(b×b-4×c))/2…(式3)
ここでb、cは以下の通りである。
b=(z×σ)/AVE_SOC
c=-(KWt×DRt)/(AVE_SOC×efEVSE)
式3の両辺を2乗することでnが得られる。
【0048】
以上より、AVE_SOCに統計量算出処理で得られた平均値を代入し、σに統計量算出処理で得られた標準偏差を代入し、供給可能量値をKWtに代入することで、必要台数nを算出する。図12の場合、KWtにa、b、c、dが代入された場合の必要台数がそれぞれ示されている。このように、管理装置100は、平均SOCと標準偏差から供給可能量を供給するための必要な車両の台数を算出する必要台数算出処理を実行する。
【0049】
図13は、必要台数記憶処理(ステップS204)で記憶されるデータ例を示す図である。図12で説明した処理では、1日単位で必要台数が得られ、それを所定期間(例えば30日)
前まで記憶する。図13は、供給可能量値a~d(kw)ごとに、その供給可能量値とするために必要な台数を時間帯ごとに示すグラフを示す図である。横軸は日付を示し、縦軸は必要台数を示す。図13では、一例として12時00分~12時30分の時間帯と、9時00分~9時30分の時間帯における台数の推移が示されている。グラフにおいて丸で囲まれている箇所は台数の最大値を示す。このグラフに示されるデータが必要台数記憶部141に記憶される。このように、管理装置100は、算出された必要台数を1か月分だけ必要台数記憶部141に記憶する必要台数記憶処理を実行する。
【0050】
図14は、抽出処理(ステップS205)の処理例を示す図である。図14には、図13で説明したグラフと、時間帯ごとに最大値を示すグラフと、ばらつき係数乗算後の台数を示すグラフとが示されている。時間帯ごとに最大値を示すグラフと、ばらつき係数乗算後の台数を示すグラフの横軸は時刻を示し、縦軸は必要台数を示す。
【0051】
管理装置100は、図13で説明したグラフにおいて、最大値となる台数を算出し、それを時間帯ごとの最大値として取得する。そして、取得された最大値にばらつき係数を乗算したものを必要台数とする。ばらつき係数は、念のために多めの台数とするもので、経験的に得られた値を用いてもよい。このように、管理装置100は、目標とする供給量を供給するための必要台数を抽出する抽出処理を実行する。そして、算出された必要台数に所定の割合を乗じたものを必要台数に加算することで、必要台数の補正をする。あるいは、入札電力量を算出し、算出された入札電力量に所定の割合を乗じたものを入札電力量に加算することで、入札電力量を補正をする。これにより、必要台数、入札電力量が低い時は少ないマージンをもって入札ができ、高い時は必要台数の計算誤差が大きくなっても充分なマージンによって電力を供給できる。結果として必要台数の算出精度を向上できる。
【0052】
必要台数算出部121は、日毎の蓄電装置の残容量履歴から日毎の必要台数を算出し、必要台数記憶部141は、所定期間(30日間)の必要台数を記憶し、入札電力量決定部123は、所定期間における必要台数の最大値を用いて入札電力量を決定する。これにより、DR参加台数を過去の必要台数の最大値を用いて入札量を決定することで、入札した後に目標供出可能量の供給電力量を確実に確保できる。
【0053】
図15は、割当処理(ステップS206)の処理例を示す図である。図15には、参加可能台数を示すグラフと、必要台数を示すグラフとが示されている。参加可能台数を示すグラフは、図3の時間毎総台数処理で得られたグラフである(図9参照)。必要台数を示すグラフは、図14で説明したグラフである。また、必要台数を示すグラフは、例えば前日に供給可能であった供給量とするための必要台数を示すグラフとしてもよい。
【0054】
管理装置100は、必要台数に応じて、車両を割り当てていく。このとき、管理装置100は、参加可能台数を示すグラフにおいて、参加可能台数が少ない枠(時間帯)の順に割り当てを行う。図15では、参加可能台数を示すグラフにおける横軸の下に記載されている数字が、図15の例での順番を示す。例えば、時間帯が30分(図の「DR_time」に該当)であれば、24時間/30分で、1番から48番まで48回の割当が行われることとなる。このように、入札電力量決定部123は、特定の日(DRに参加する日)の複数の時間帯における入札電力量を決定するものであって、電力網への出力可能な移動体数が相対的に少ない時間から、入札電力量を決定する。なお、電力網への出力可能な移動体数が相対的に少ない時間に参加可能な車両を残すように配慮し、時系列順に割り当ててもよい。これにより、DRへの参加台数が少ない(すなわち必要台数の確保が難しい)時間帯から優先して入札電力量を決定することで、約定の確率を高めることができる。
【0055】
図15では、初回と2回目の割り当てが示されている。初回では、時刻xにおけるリソースパターンが示されている。このリソースパターンは、車両ごとに、車両ID(図ではEV ID)と、総DR可能時間と、DR可能時刻情報とが示されている。総DR可能時間は、DRに参加可能な時間を示す。DR可能時刻情報は、該当する時刻でDRに参加可能か否かを示す。「0」は参加不可能であること示し、「1」は参加可能であることを示す。管理装置100は、リソースパターンでDRに参加可能な車両を必要台数分割り当てていく。2番目の時刻yにおけるリソースパターンも同様に割り当てていくが、初回で既に割り当てられた車両の総DR可能時間を初回で割り当てられた時間だけ減算した時間となっている。例えば、EV IDが201の車両は、初回において総DR時間が9時間であるが、時刻yにおいては、3時間減算されて6時間となっている。以降、例えばブロックが3時間の場合は8回目まで割当が行われる。
【0056】
この割当処理においては、割り当てが達成できた場合には割当達成情報として「1」を返し、割り当てが達成できなかった場合には割当達成情報として「0」を返す。割当処理が終了すると、管理装置100は、達成判定処理(ステップS207)を実行する。このステップS207を含むステップS205からステップS208はループ処理となっている。このループ処理におけるm回目のループ処理を「m回目ループ」と表現する。
【0057】
1回目ループにおいて、割当処理が「1」を返した場合には、供出可能量を増やすことができる可能性がある。一方、1回目ループにおいて、割当処理が「0」を返した場合には、供出可能量を減らす必要がある。
【0058】
そこで、1回目ループにおいて、割当達成情報が「0」の場合には、管理装置100は、供出可能量を所定量だけ減らし、ステップS208で否定判定して、ステップS205に進み、2回目のループ処理をする。そして、m(m≧2)回目のループ処理において、割当達成情報が「0」の場合には、さらに供出可能量を所定量だけ減らし、m+1回目のループ処理を実行する。m(m≧2)回目のループ処理において、割当達成情報が「1」の場合には、達成されたと判定して、ステップS209で、達成された供給可能量に決定する。
【0059】
一方、達成判定処理では、1回目ループにおいて、割当達成情報が「1」の場合には、管理装置100は、供出可能量を所定量だけ増やし、ステップS208で否定判定して、ステップS205に進み、2回目のループ処理をする。そして、m(m≧2)回目のループ処理において、割当達成情報が「1」の場合には、さらに供出可能量を所定量だけ増やし、m+1回目のループ処理を実行する。m(m≧2)回目のループ処理において、割当達成情報が「0」の場合には、m-1回目に達成されたと判定して、ステップS209で、達成された供給可能量に決定する。
【0060】
このように、入札電力量決定部123は、出力可能な移動体数が第1電力量(供出可能量)における必要台数を下回った場合、出力可能な移動体数が必要台数を上回るような第1電力量より小さい第2電力量(第1電力量から所定量減らした電力量)を探索し、第2電力量を入札電力量とする。これにより、入札した電力を供給できない事象を回避しつつ、必要台数が確保できた最大の目標供出可能量を入札することができ、より多くの電力量を電力網に供給することができる。
【0061】
また、入札電力量決定部123は、出力可能な移動体数が第1電力量(供出可能量)における必要台数を上回った場合、出力可能な移動体数が必要台数を下回るような第1電力量より大きい第2電力量(第1電力量から所定量増やした電力量)を探索し、第2電力量の次に大きい電力量を入札電力量とする。これにより、必要台数が確保できた最大の目標供出可能量を入札することができ、より多くの電力量を電力網に供給することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、調整可能電力における入札電力量をより正確に決定することができる。これにより、入札した電力を供給できない事象を抑制することができる。
【0063】
次に、上述した実施形態において、DR参加後に充電する形態について説明する。DR参加後に、車両の使用が予定されている場合には、SOCが不足することが考えられる。図16は、SOCが不足するケースを示す図である。図16に示されるように、車両がDRに参加することによって外出中にSOCが不足することが考えられる。その場合、外出前に回復充電が必要となり、その充電計画を策定する必要がある。そこで、管理装置100は、充電計画を策定するか否かを判定し、判定結果に応じて回復充電を策定する。
【0064】
そのため、図17に示されるように、DR参加後に回復充電を行う。図18は、回復充電を策定するか否かの判定処理の流れを示すフローチャートである。図18において、管理装置100は、判定対象となる車両の車両IDが、DRに参加するリストにあるか否かを判定する(ステップS301)。判定対象となる車両の車両IDが、DRに参加するリストにない場合には(ステップS301:NO)、管理装置100は、回復充電を策定することなく(ステップS305)、処理を終了する。
【0065】
判定対象となる車両の車両IDが、DRに参加するリストにある場合には(ステップS301:YES)、管理装置100は、DR参加後と外出との間に充電計画がないか否かを判定する(ステップS302)。充電計画がある場合には(ステップS302:NO)、管理装置100は、回復充電を策定することなく(ステップS305)、処理を終了する。充電計画がない場合には(ステップS302:YES)、管理装置100は、現在のSOCでは予定された外出に対して不足するか否かを判定する(ステップS303)。現在のSOCでは予定された外出に対して不足しない場合には(ステップS303:NO)、管理装置100は、回復充電を策定することなく(ステップS305)、処理を終了する。現在のSOCでは予定された外出に対して不足する場合には(ステップS303:YES)、管理装置100は、回復充電を策定し(ステップS304)、処理を終了する。
【0066】
このように、電力供給の終了時には、直近の移動体の稼働計画のみから、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする。これにより、直近の稼働計画に対する電力不足の回避、最適な充電電力の計算の精度をより向上できる。また、電力供給の終了時には、移動体のSOCと直近の移動体の稼働計画に要する電力量との差(例えば、移動体の外出時にSOCが不足しないような差)が一定以上の場合は、移動体への充電を行わない。これにより、不要な充電を回避することで、電池の劣化を低減できる。
【0067】
この回復充電に関連して、DR参加車両がDR参加日走行用のSOCを確保できるような充電計画の策定について説明する。例えば、DR時間終了時刻をトリガとし、DR参加車両がDR参加日走行用のSOCを確保できるような充電計画を策定する。
【0068】
策定する処理の起動条件は、例えば時刻が約定情報の終了日時-設定値と一致した時が挙げられる。設定値とは、対象の車両が連続した時間帯でDR参加を約定している場合に、次の時間帯のFB制御の計算時間を考慮し、その一定時刻前の時間とする(参考値:15分)。
【0069】
管理装置100は、約定期間にDRに参加するもしくは参加した車両の車両IDを出力する。管理装置100は、車両IDを使って、以下の情報(出発時刻、充電モード)を取得する。
【0070】
顧客端末400より入力された出発時刻および/または計画入力情報を参照し、現時刻よりも遅く、一番早い出発時刻を取得する。なお、取得した充電ガン嵌合状態により、嵌合されていないことが分かった場合は充電計画の策定を中止する。
【0071】
なお、図19に示されるように、複数の時間帯にDRに参加することが決定されているが、上述した回復充電が策定されたことで、参加することが予定されていた時間帯に予定外の充電が行われることがある。その場合、供出量と充電量で相殺されてしまうため、本来供給するはずだった供給量になるよう補填する必要がある。
【0072】
補填が必要となった場合、まず管理装置100は、DR参加予定時刻と被る回復充電時間と充電器出力を算出する。以下の説明において、1つの時間帯を「コマ」と表現し、0時から順に、それぞれのコマを、1コマ目、2コマ目…とする。
【0073】
kコマ目の予測に対して、下記車両の回復時間、充電器出力を取得する。
A:予測対象日前日のDR配分による割り付け車両。
B:k>1の場合、DR1~(k-1)コマ目の割り当て車両。
ただし、A、Bで同じ車両(同一の車両ID)がある場合、以降区別せずに扱う。そして、回復充電時間が被る場合も1台が充電することを想定する。
【0074】
そして、管理装置100は、回復充電時間のうち、kコマ目のDR時間に被る回復充電時間を抽出する。これを図20を用いて説明する。図20は、15時から18時のコマに対する予測での例を示す図である。図20の左側の回復充電時間に示されるように、車両IDがyyyの車両の回復充電時間が14:00~15:30、17:30~19:00となっている。したがって、車両IDがyyyの車両の回復充電時間で被る時間は、右側の表示に示されるように、15:00~15:30、17:30~18:00である。
【0075】
次いで、管理装置100は、DR予定時刻中の回復充電平均出力と最大出力(群)とを算出する。管理装置100は、回復充電平均出力Aを以下の式で算出する。
A=(Σa(i)×b(i))/c
ここで、Σは、iに関する和を示す。a(i)は回復充電時間(hour)を示す。b(i)は、系統側充電出力(kw)を示す。cは、1台あたりのDR参加可能時間を示す。
次いで、管理装置100は、x分毎平均の最大出力を以下の式で算出する。
B=max(Σd(j、i)×b(i))/x)
ここで、maxはjに関するもので、Σは、iに関する和を示す。xはDRに参加する時間帯の1コマの時間を示す。DRに参加する時間帯の1コマをそれぞれx(1)、x(2)…、x(j)、…と割り当て、そのコマjにおける回復充電時間(min)をd(j、i)とする。
【0076】
次いで、回復充電の平均出力を算出して、kWhの観点で必要台数を算出する場合(ケースa)には、以下のように必要台数を取得する。すなわち、e(kW)供出する際の必要台数は、(e+A)(kW)以上で最小の供出量に対応する必要台数を取得する。
【0077】
一方、図21に示されるように、放電出力には限界があり、バッテリ容量が足りていても出力できない可能性がある。このような場合、複数の車両の回復充電出力を合計した群合計回復充電出力(kW)が最大の時、放電出力を最大にする必要がある。このように回復充電の最大出力を算出し、kW観点(ケースb)で必要な台数を算出する場合には、以下のように必要台数を取得する。すなわち、瞬間的に(e+B)(kW)を供出するのに必要な台数は、系統側放電出力(EVSE供出可能量)f(kW/台)を使って以下のように算出する。
【0078】
必要台数(台)=(e+B)/f
ケースaで取得された必要台数と、ケースbで算出された必要台数のうちの大きい値をe供出時の必要台数とする。
【0079】
このように、入札する対象時間帯で、複数の移動体のうち少なくとも一部が充電をする時には、当該充電による要する電力相当の必要台数分を加算することで、必要台数の補正をする。これにより、充電により電力供給量が低減することを考慮して必要台数の算出精度を向上できる。
【0080】
また、図7で説明したように、入札電力量を決定する前に移動体の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をふまえて、出力可能な移動体数を算出する。したがって、入札電力量の決定時と、電力供給の終了時との両方で、移動体の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をふまえて、出力可能な移動体数を算出する。これにより、出力可能な移動体数を複数の時期に最新の状況にもとづき計算することで、計算の精度を向上できる。
【0081】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0082】
100 管理装置
110 通信部
120 制御部
121 必要台数算出部
122 取得部
123 入札電力量決定部
141 必要台数記憶部
200 車両
400 顧客端末
500 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-09-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置を有する複数の移動体から電力網に供給される電力の電力取引市場への入札を管理する管理装置であって、
過去の前記蓄電装置の残容量の時間帯ごとの履歴から求められた平均値と標準偏差とを利用して得られた前記移動体の台数に応じた平均SOCの分布に基づいて、時間帯、及び所定の電力量に応じた、前記所定の電力量を供給するために必要な前記移動体の必要台数を算出する必要台数算出部と、
前記必要台数を記憶する必要台数記憶部と、
ある時間帯における前記移動体の電力網への出力が可能か否かに関する情報を取得する取得部と、
前記時間帯における電力網への出力可能な移動体数と前記必要台数の比較に基づき、前記電力取引市場への入札電力量を決定する入札電力量決定部と、
を備える管理装置。
【請求項2】
前記入札電力量決定部は、
前記出力可能な移動体数が第1電力量における必要台数を下回った場合、
前記出力可能な移動体数が必要台数を上回るような前記第1電力量より小さい第2電力量を探索し、前記第2電力量を入札電力量とする、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記入札電力量決定部は、
前記出力可能な移動体数が第1電力量における必要台数を上回った場合、
前記出力可能な移動体数が必要台数を下回るような前記第1電力量より大きい第2電力量を探索し、前記第2電力量の次に大きい電力量を入札電力量とする、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記必要台数算出部は、日毎の前記蓄電装置の残容量履歴を利用して日毎の必要台数を算出し、
前記必要台数記憶部は、所定期間の必要台数を記憶し、
前記入札電力量決定部は、前記所定期間における必要台数の最大値を用いて入札電力量を決定する、
請求項1に記載の管理装置。
【請求項5】
前記入札電力量決定部は、
特定の日の複数の時間帯における入札電力量を決定するものであって、
電力網への出力可能な移動体数が相対的に少ない時間から、入札電力量を決定する請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の管理装置。
【請求項6】
算出された必要台数または/および入札電力量に所定の割合を乗じたものを必要台数に加算することで、必要台数の補正をする請求項1に記載の管理装置。
【請求項7】
入札する対象時間帯で、複数の移動体のうち少なくとも一部が充電をする時には、当該充電による要する電力相当の必要台数分を加算することで、必要台数の補正をする請求項1に記載の管理装置。
【請求項8】
入札電力量の決定時と、電力供給の終了時との両方で、移動体の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をふまえて、出力可能な移動体数を算出する請求項1に記載の管理装置。
【請求項9】
入札電力量の決定時には、移動体の単位期間内の1以上の稼働計画から、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする請求項8に記載の管理装置。
【請求項10】
電力供給の終了時には、直近の移動体の稼働計画のみから、充電開始時期または/および充電に要する時間の予測をする請求項8または請求項9に記載の管理装置。
【請求項11】
電力供給の終了時には、移動体のSOCと直近の移動体の稼働計画に要する電力量との差が一定以上の場合は、移動体への充電を行わない請求項10に記載の管理装置。