(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140250
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】音声出力システム
(51)【国際特許分類】
G08B 23/00 20060101AFI20241003BHJP
G10L 19/00 20130101ALI20241003BHJP
G08B 21/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G08B23/00 520D
G10L19/00 312E
G08B21/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051300
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 尚克
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 吉彦
(72)【発明者】
【氏名】神屋 美由紀
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA01
5C086AA02
5C086AA13
5C086AA22
5C086AA38
5C086AA52
5C086CA12
5C086DA20
5C086FA06
5C087AA02
5C087AA37
5C087BB74
5C087DD04
5C087DD07
5C087DD24
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】音声出力部が出力するイベント音声の音量を大きくすることなく利用者がイベント音声を聞き取り易くなる音声出力システムを提供する。
【解決手段】制御部Hは、音声出力イベントが発生してから、利用者が設定範囲23内に存在していると判断した場合に、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するように音声出力部18を制御するイベント音声出力制御と、操作要求設定期間毎に、利用者が設定範囲23内に存在していると判断した場合に、操作要求音声を出力するように音声出力部18を制御する短縮用操作要求音声出力制御と、短縮用操作要求音声出力制御を行った後において待機時間内に利用者による操作部22の操作がなかった場合に設定距離を短くするように設定部34を制御する設定距離短縮制御とを行う。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に対して音声を出力する音声出力部と、
前記音声出力部から設定距離の範囲内である設定範囲内の人を検出する人検出部と、
前記音声出力部を制御する制御部と、
前記設定距離を変更自在な設定部と、
前記利用者によって操作される操作部とを備え、
前記制御部は、
前記音声出力部にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断した場合に、前記音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するように前記音声出力部を制御するイベント音声出力制御と、
操作要求設定期間毎に、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断した場合に、前記利用者に前記操作部の操作を求める操作要求音声を出力するように前記音声出力部を制御する短縮用操作要求音声出力制御と、
前記短縮用操作要求音声出力制御を行った後において予め設定された待機時間内に前記利用者による前記操作部の操作がなかった場合に前記設定距離を短くするように前記設定部を制御する設定距離短縮制御とを行うように構成されている音声出力システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記設定距離短縮制御を行ってから短縮後設定期間後に、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在していると判断した場合に、前記操作要求音声を出力するように前記音声出力部を制御する延長用操作要求音声出力制御と、
前記延長用操作要求音声出力制御を行った後において待機時間内に前記利用者による前記操作部の操作があった場合に前記設定距離を長くするように前記設定部を制御する設定距離延長制御とを行うように構成されている請求項1に記載の音声出力システム。
【請求項3】
前記イベント音声には、緊急度が高い緊急イベント音声と、前記緊急イベント音声より緊急度が低い通常イベント音声とがあり、
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、出力させる前記イベント音声が前記緊急イベント音声の場合は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在していると判断した場合に、前記緊急イベント音声を出力し、出力させる前記イベント音声が前記通常イベント音声の場合は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断した場合に、前記通常イベント音声を出力するように前記音声出力部を制御する請求項1又は2に記載の音声出力システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、前記音声出力イベントが発生してから予め設定された設定時間の間は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記設定範囲内に前記利用者が存在していると判断した場合に、前記イベント音声を出力し、前記設定時間が経過した後は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在していると判断した場合に、前記イベント音声を出力するように前記音声出力部を制御する請求項1又は2に記載の音声出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して音声を出力する音声出力部と、前記音声出力部から設定距離の範囲内である設定範囲内の人を検出する人検出部と、前記音声出力部を制御する制御部とを備えた音声出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者に対して音声を出力する音声出力部(18)と、音声出力部から利用者までの距離である利用者距離を検出する人検出部(人感検知部15)と、音声出力部を制御する制御部(装置側制御部19)とを備えた音声出力システムが示されている。この音声出力システムでは、音声出力部にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、人検出部の検出情報に基づいて利用者が設定範囲内に存在していると判断した場合に、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するように音声出力部を制御するイベント音声出力制御を行っており、イベント音声出力制御により出力されるイベント音声は、利用者が音声出力部から設定範囲内に存在している状態で音声出力部から出力されるため、利用者はイベント音声を聞き取り易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような音声出力システムにおいて、音声出力部が出力したイベント音声を利用者が聞き取り難い場合は、音声出力部が出力する音声を大音量側に変更設定することが考えられるが、イベント音声を大きくすると近所迷惑等の問題が生じる場合があるため、利用者は音声出力部が出力する音声を大きくすることを望まない場合がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、音声出力部が出力するイベント音声の音量を大きくすることなく利用者がイベント音声を聞き取り易くなる音声出力システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、利用者に対して音声を出力する音声出力部と、前記音声出力部から設定距離の範囲内である設定範囲内の人を検出する人検出部と、前記音声出力部を制御する制御部と、前記設定距離を変更自在な設定部と、前記利用者によって操作される操作部とを備え、
前記制御部は、前記音声出力部にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断した場合に、前記音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するように前記音声出力部を制御するイベント音声出力制御と、操作要求設定期間毎に、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断した場合に、前記利用者に前記操作部の操作を求める操作要求音声を出力するように前記音声出力部を制御する短縮用操作要求音声出力制御と、前記短縮用操作要求音声出力制御を行った後において予め設定された待機時間内に前記利用者による前記操作部の操作がなかった場合に前記設定距離を短くするように前記設定部を制御する設定距離短縮制御とを行うように構成されている点にある。
【0007】
本構成によれば、利用者の聞き取り易さを確認するべく、短縮用操作要求音声出力制御を実行し、利用者が音声出力部から設定範囲内にいる状態で音声出力部から操作要求音声を出力する。そして、待機期間内に利用者による操作部の操作がなかった場合は、現状の設定範囲では音声出力部が出力した音声を利用者が聞き取り難いと判断し、このような場合に設定距離短縮制御を行って設定距離を短くすることで、音声を大きくすることなく今後出力されるイベント音声を利用者が聞き取り易くすることができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記制御部は、前記設定距離短縮制御を行ってから短縮後設定期間後に、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在していると判断した場合に、前記操作要求音声を出力するように前記音声出力部を制御する延長用操作要求音声出力制御と、前記延長用操作要求音声出力制御を行った後において待機時間内に前記利用者による前記操作部の操作があった場合に前記設定距離を長くするように前記設定部を制御する設定距離延長制御とを行うように構成されている点にある。
【0009】
設定距離短縮制御を行って設定距離を短くした後に利用者が補聴器を付ける等により聞き取り能力が向上することも考えられる。本構成によれば、設定距離短縮制御を行ってから短縮後設定期間後に延長用操作要求音声出力制御を行って利用者が音声出力部から設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲内にいる状態で音声出力部から操作要求音声を出力する。そして、待機期間内に利用者による操作部の操作があった場合は、延長範囲内でも音声出力部が出力した音声を利用者が聞き取ることができると判断し、このような場合に設定距離延長制御を行って設定距離を長くすることで、利用者が設定範囲内に存在する機会が多くなるため、音声出力イベントが発生してから比較的早いタイミングでイベント音声を出力することができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記イベント音声には、緊急度が高い緊急イベント音声と、前記緊急イベント音声より緊急度が低い通常イベント音声とがあり、
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、出力させる前記イベント音声が前記緊急イベント音声の場合は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲より長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在していると判断した場合に、前記緊急イベント音声を出力し、出力させる前記イベント音声が前記通常イベント音声の場合は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断した場合に、前記通常イベント音声を出力するように前記音声出力部を制御する点にある。
【0011】
本構成によれば、緊急度が低い通常イベント音声は、利用者が設定距離より短い短縮距離以内に存在している場合に出力されるため、利用者は通常イベント音声を適切に聞き取り易くなる。そして、このようにイベント音声を出力する場合の短縮距離は設定距離より短く、利用者がこの距離以内に存在する機会が少なくなるためイベント音声の出力が遅れ易いが、緊急度の高い緊急イベント音声は、短縮距離より長い設定距離で出力されるため、利用者がこの距離以内に存在する機会が多くなることで緊急イベント音声を早期に出力することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、前記音声出力イベントが発生してから予め設定された設定時間の間は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記設定範囲内に前記利用者が存在していると判断した場合に、前記イベント音声を出力し、前記設定時間が経過した後は、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在していると判断した場合に、前記イベント音声を出力するように前記音声出力部を制御する点にある。
【0013】
本構成によれば、音声出力イベントが発生してから設定時間の間は、利用者が音声出力部から設定範囲内に存在する状態でイベント音声が出力されるため、利用者はイベント音声を聞き取り易く、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過した後は、利用者が比較的長い延長距離の範囲内である延長範囲内に存在する状態でイベント音声が出力されるため、設定時間が経過した後においてイベント音声を早期に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】第1実施形態における音声出力システムの全体概略構成を示す図
【
図2】第1実施形態における警報装置の概略構成を示す図
【
図3】第1実施形態におけるイベント音声出力処理のフローチャート
【
図4】第1実施形態における設定距離短縮処理のフローチャート
【
図5】第1実施形態における設定距離延長処理のフローチャート
【
図6】第2実施形態における警報装置の概略構成を示す図
【
図7】第2実施形態におけるイベント音声出力処理のフローチャート
【
図8】別実施形態(6)におけるイベント音声出力処理のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る音声出力システムの第1実施形態について図面に基づいて説明する。
この音声出力システムは、防災情報や天候情報等の音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生すると、そのイベントに対応する音声データを音声出力することで、防災情報や天候情報等の各種の情報を利用者に伝達するものである。
【0016】
この音声出力システム100は、
図1に示すように、利用者の住居等の施設に設置される警報装置1を利用して構成しており、
図2に示すように、警報装置1に音声出力部18を備えさせて、住居等の施設に居る利用者に対して、イベント内容を通知している。
【0017】
音声出力システム100は、
図1に示すように、警報装置1に加えて、利用者が各種の設定や操作を行うためのスマートフォン等の端末装置2、各種の制御及び通信を行うサーバ装置3、イベントの発生等を通知するための外部装置4等が備えられている。警報装置1、端末装置2、及び、外部装置4の夫々は、インターネット等の情報通信網5を介してサーバ装置3との間で各種の情報を通信自在に構成されている。
【0018】
警報装置1は、
図2に示すように、床部11と天井部12との間の室内空間を検知領域13として、天井部12や天井部12側の壁部等に配設されている。警報装置1は、監視センサ部14、人検出部15、温湿度センサ部16、表示部17、音声出力部18、装置側制御部19、装置側記憶部20、装置側通信部21、操作部22等が備えられている。
【0019】
装置側記憶部20には、警報装置1を作動させるための各種の情報が記憶されており、装置側制御部19が、装置側記憶部20に記憶されている各種の情報を用いて、警報装置1の作動状態を制御している。装置側制御部19は、装置側通信部21を介して有線通信又は無線通信により、サーバ装置3との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。
【0020】
監視センサ部14は、例えば、ガス漏れ監視センサ、CO(一酸化炭素)監視センサ、火災監視センサ等の各種のセンサが備えられ、装置側制御部19が、それらのセンサの検出情報に基づいて、ガス漏れ、CO濃度異常、火災が発生しているか否か等を監視している。
【0021】
例えば、装置側制御部19は、ガス漏れ監視センサにて検出する検出対象ガスの濃度が設定値以上となると、ガス漏れであるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等によりガス漏れ用の警報を行う。また、装置側制御部19は、CO監視センサにて検出するCO濃度が設定値以上となると、CO濃度異常であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、CO濃度異常用の警報を行う。更に、装置側制御部19は、火災監視センサにて火災により生じる煙や熱等を検出すると、火災であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、火災用の警報を行う。
【0022】
温湿度センサ部16は、検知領域13を含む台所等の室内空間の温度及び湿度を検出している。表示部17は、ランプやLEDを有し、文字情報等を表示可能な表示装置にて構成されている。音声出力部18は、例えば、スピーカ等から構成され、各種の音声データを音声出力可能に構成されており、利用者に対して音声を出力する。操作部22は、押しボタンスイッチ等から構成されており、利用者によって操作される。装置側制御部19は、音声出力部18から音声を出力している場合に操作部22が操作されることで、音声の出力を停止する。
【0023】
サーバ装置3は、
図1に示すように、サーバ側制御部41、サーバ側記憶部42、サーバ側通信部43等が備えられている。サーバ側記憶部42には、各種の情報が記憶されており、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42に記憶されている各種の情報を用いて、サーバ装置3の作動状態を制御している。サーバ側制御部41は、サーバ側通信部43を介して有線通信又は無線通信により、警報装置1や外部装置4との間で各種の送受信可能に構成されている。
【0024】
外部装置4は、防災情報や天候情報等、外部でのイベントが発生した場合に、そのイベントが発生したことをサーバ装置3に通知するように構成されている。例えば、防災情報であれば、外部装置4は、地震が発生したタイミングにてイベントが発生したとして、「地震発生」等の防災情報をサーバ装置3に通知している。また、天候情報であれば、外部装置4は、天気予報等が更新されたタイミングにてイベントが発生したとして、更新された天気予報(例えば、「今日の天気は晴れです」等)をサーバ装置3に通知している。
【0025】
サーバ装置3では、外部装置4からイベントが発生したことの通知を受けると、サーバ側制御部41が、そのイベントに対応する音声データをサーバ側記憶部42から取得し、その取得した音声データを警報装置1に送信している。これにより、警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された音声データを音声出力部18にて音声出力して、イベント内容を利用者に伝達している。
【0026】
例えば、地震が発生した場合には、外部装置4からサーバ装置3に地震が発生したことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から地震が発生したことに対応する音声データ(「地震発生」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「地震発生」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、地震が発生したことを利用者に伝達している。
【0027】
また、天気予報が更新された場合には、外部装置4からサーバ装置3に天気予報が更新されたことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から更新された天気予報に対応する音声データ(「今日の天気は晴れです」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「今日の天気は晴れです」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、更新された天気予報を利用者に伝達している。
【0028】
このようにして、音声出力システム100では、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部Hによって、外部にてイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する情報を、外部装置4→サーバ装置3→警報装置1の順に通信して、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力するイベント音声出力制御を行っている。例えば、天候情報としては、天気予報に限らず、雨雲が接近したタイミングにて「雨雲の接近」を音声出力したり、気象警報が発令されたタイミングにて「気象警報発令」を音声出力することもできる。
【0029】
イベント音声出力制御におけるイベント内容については、防災情報や天候情報に限らず、例えば、ニュースが更新されたタイミングにそのニュースに対応する音声データを音声出力したり、交通情報が更新されたタイミングにてその交通情報に対応する音声データを音声出力することもでき、各種のイベント内容を適用することができる。
【0030】
この音声出力システム100では、外部にてイベントが発生した場合だけでなく、施設の内部にてイベントが発生した場合にも、制御部Hによって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力するイベント音声出力制御を行うようにしている。音声出力システム100は、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を監視している警報装置1を利用していることから、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を警報装置1にて検知した場合に、イベントが発生したとして、その監視対象事象に対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0031】
例えば、装置側制御部19は、
図2に示すように、監視センサ部14の検出情報に基づいて、ガス漏れの発生を検知すると、イベントが発生したとして、「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。また、装置側制御部19は、CO濃度異常や火災の発生を検知した場合も、それらに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0032】
警報装置1には、監視センサ部14だけでなく、検知領域13を含む室内空間の温度及び湿度を検出する温湿度センサ部16が備えられている。そこで、装置側制御部19は、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて、室内空間の温度及び湿度が上昇して熱中症等が発生する可能性があるか否か、及び、室内空間の湿度が低下して乾燥状態であるか否か等、室内空間の温湿度環境が異常状態であるか否かを判定している。
【0033】
装置側制御部19は、室内空間の温湿度環境が異常状態であると判定した場合に、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。このとき、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データとしては、熱中症等を発生する可能性がある場合に、「熱中症注意」等の音声データとし、乾燥状態である場合に、「乾燥注意」等の音声データとすることができる。
【0034】
また、例えば、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データをサーバ側記憶部42や装置側記憶部20に記憶させておき、その定型文の音声データを音声出力する日時等を設定しておくことができる。これにより、サーバ側制御部41や装置側制御部19等の制御部Hは、設定された日時になると、イベントが発生したとして、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データを音声出力部18にて音声出力するイベント音声出力制御を行うこともできる。
【0035】
音声出力システム100がイベント音声出力制御を行うに当たり、イベントが発生することが前提条件となるが、イベント音声出力制御を実行可能とする日時や時間帯等については、利用者が端末装置2を操作することで、適宜設定することもできる。イベント音声出力制御において音声出力部18が出力するイベント音声には、緊急度が高い緊急イベント音声と、緊急イベント音声より緊急度が低い通常イベント音声とがある。本実施形態では、地震が発生したことに対応する音声データ、ガス漏れに対応する音声データ、及び、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データによる音声を緊急イベント音声とし、天気予報に対応する音声データ、ニュースに対応する音声データ、及び、定型文の音声データによる音声を通常イベント音声としている。
【0036】
イベントが発生するのは利用者が意図しているタイミングではないこともあり、イベントの発生に伴って、音声出力システム100がイベント音声出力制御を行うだけでは、利用者にそのイベント内容を伝達することが難しいことがある。そこで、音声出力システム100では、警報装置1の近くに人が存在することを確認した上で、イベントの発生に伴うイベント音声出力制御を行うようにしている。
【0037】
音声出力システム100には、警報装置1の近くに人が存在するか否かを確認するために、音声出力部18から設定距離の範囲内である設定範囲23内の人を検知する人検出部15が備えられている。
【0038】
人検出部15には、音声出力部18の近傍に備えられている焦電型の赤外線センサ部31と、その赤外線センサ部31の検出情報に基づいて、検知領域13内における設定範囲23に人が存在するか否かを判断する装置側制御部19とが備えられている。赤外線センサ部31には、検知領域13の方向から入射する赤外線を検出する赤外線検出部33が備えられている。
【0039】
本実施形態では、赤外線センサ部31は、焦電型の赤外線センサによって構成されており、焦電素子である赤外線検出部33に赤外線が入射して赤外線検出部33の表面温度が変化することで焦電効果により電荷が発生した場合において、その電荷によって作られる電圧の値が閾値を超えている場合に進入信号や退出信号を出力するように構成されている。装置側制御部19は、赤外線検出部33から出力された信号に基づいて設定範囲23に人が存在するか否かを判定している。
【0040】
説明を加えると、設定範囲23に人等の物体が存在しない場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量は少ないまま維持され、赤外線検出部33の表面温度の変化量が小さいため、閾値を超える電圧が生じないので、赤外線センサ部31は信号を出力しない。これに対して、設定範囲23に人等の物体が進入した場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量が急に多くなり、赤外線検出部33の表面温度の変化量が大きいため、閾値を超える電圧が生じるので、赤外線センサ部31は進入信号を出力する。そして、設定範囲23に人等の物体が居続けた場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量は多いまま維持され、赤外線検出部33の表面温度の変化量が小さいため、閾値を超える電圧が生じないので、赤外線センサ部31は信号を出力せず、設定範囲23から人等の物体が退出した場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量が急に少なくなり、赤外線検出部33の表面温度の変化量が大きいため、閾値を超える電圧が生じるので、赤外線センサ部31は退出信号を出力する。そして、装置側制御部19は、赤外線検出部33から進入信号を受信してから退出信号を受信するまでの間、設定範囲23に人が存在すると判断している。
【0041】
人検出部15は、赤外線検出部33における電圧の閾値を変更することで設定範囲23を変更設定している。本実施形態では、閾値を、人が音声出力部18から短距離(3m)の範囲内に存在する場合に電圧の値が超える値、人が音声出力部18から中距離(4m)の範囲内に存在する場合に電圧の値が超える値、人が音声出力部18から遠距離(5m)の範囲内に存在する場合に電圧の値が超える値に変更調節することで、設定距離を3段階に変更している。このように、音声出力システム100には、設定距離を変更自在な設定部34が備えられており、この設定部34は、装置側制御部19に備えられている。尚、
図2に示す例では、設定距離が中距離(4m)に設定され、音声出力部18から4mの範囲が設定範囲23(破線で示されている範囲)となり、音声出力部18から5mの範囲が延長範囲24(二点鎖線で示されている範囲)、音声出力部18から3mの範囲が短縮範囲25(一点鎖線で示されている範囲)となっている場合を示している。
【0042】
制御部Hは、音声出力部18にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定範囲23内に存在していると判断した場合に、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するイベント音声出力制御を行うように構成されている。また、イベント音声出力制御については、音声出力イベントが発生すると、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断した最初のタイミングにて、イベント音声出力制御を行うだけであり、その後、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断しても、イベント音声出力制御を行わない。
【0043】
制御部Hがイベント音声出力制御を行うに当たり、音声出力の音量については、最小音量である小音量と、小音量より音量が大きい中音量と、中音量より音量が大きい音量であって最大音量である大音量との何れかの音量に予め設定されており、その設定された音量にて音声出力を行っている。
【0044】
制御部Hは、イベント音声出力制御を行うに当たり、上述のように予め設定されている設定距離の範囲内である設定範囲23内に利用者が存在していると判断した場合に音声出力を行っている。
しかしながら、設定されている設定距離が利用者の聴力に適していない場合が考えられることから、そのための対策が講じられている。
【0045】
制御部Hは、操作要求設定期間(例えば、一か月)毎に、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定範囲23内に存在していると判断した場合に、利用者に操作部22の操作を求める操作要求音声を出力するように音声出力部18を制御する短縮用操作要求音声出力制御と、短縮用操作要求音声出力制御を行った後において予め設定された待機時間(例えば、5分)内に利用者による操作部22の操作がなかった場合に設定距離を短くするように設定部34を制御する設定距離短縮制御とを行うように構成されている。
【0046】
制御部Hは、操作要求音声を出力する場合、「操作ボタンを押して下さい」等の利用者に操作部22の操作を求める音声データを装置側記憶部20から取得し、その「操作ボタンを押して下さい」等の操作要求音声に対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0047】
そして、例えば、設定距離として4mが設定されている場合において、操作要求設定期間後に設定範囲23内に利用者が存在している場合に操作要求音声を出力し、その操作要求音声が出力されてから待機時間内に操作部22の操作がなかった場合は、現状の設定範囲23(設定距離4mの範囲)では音声出力部18が出力した音声を利用者が聞き取り難いと考えられるため、このような操作部22の操作がなかった場合は、設定距離を短く(例えば、4mから3m)することで、次回のイベント音声出力制御によって出力されるイベント音声は音声出力部18から3mの範囲内に利用者が存在する場合に出力されるため、利用者が音声出力が聞き取り易くなる。
尚、設定距離として最短距離(本実施形態では3m)に設定されている場合は、これ以上、設定距離を短くすることができないため、短縮用操作要求音声出力制御を行わないようになっている。また、本実施形態では、音量が最大音量(大音量)に設定されている場合に限り、短縮用操作要求音声出力制御を行うようになっている。
【0048】
また、制御部Hは、設定距離短縮制御を行ってから短縮後設定期間(例えば、一か月)後に、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲24内に存在していると判断した場合に、操作要求音声を出力するように音声出力部18を制御する延長用操作要求音声出力制御と、延長用操作要求音声出力制御を行った後において待機時間(例えば、5分)内に利用者による操作部22の操作があった場合に設定距離を長くするように設定部34を制御する距離延長制御とを行うように構成されている。
【0049】
例えば、設定距離として4mが設定されている場合において、短縮後設定期間後に延長範囲24内に利用者が存在している場合に操作要求音声を出力し、その操作要求音声が出力されてから待機時間内に操作部22の操作があった場合は、現状の設定範囲23より広い延長範囲24(設定距離5mの範囲)でも音声出力部18が出力した音声を利用者が聞き取れると考えられるため、このような操作部22の操作があった場合は、設定距離を長く(例えば、4mから5m)する。このようにすることで、次回のイベント音声出力制御によって出力されるイベント音声は音声出力部18から5mの範囲内に利用者が存在する場合に出力されるため、利用者が設定範囲23内に存在する機会が多くなり、音声出力イベントが発生してから比較的早いタイミングでイベント音声を出力することができる。
尚、設定距離として最長距離(本実施形態では5m)に設定されている場合は、これ以上、設定距離を長くすることができないため、延長用操作要求音声出力制御を行わないようになっている。
【0050】
また、制御部Hは、イベント音声出力制御において、出力させるイベント音声が緊急イベント音声の場合は、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲24内に存在していると判断した場合に、緊急イベント音声を出力し、出力させるイベント音声が通常イベント音声の場合は、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定距離の範囲内である設定範囲23内に存在していると判断した場合に、通常イベント音声を出力するように音声出力部18を制御する。
【0051】
例えば、設定距離として4mが設定されており、イベント音声出力制御において出力させるイベント音声が緊急イベント音声の場合は、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が延長距離(5m)の範囲内である延長範囲24内に存在していると判断した場合に、緊急イベント音声を出力し、出力させるイベント音声が通常イベント音声の場合は、人検出部15の検出情報に基づいて設定範囲23(設定距離4mの範囲)内に存在していると判断した場合に、通常イベント音声を出力するように音声出力部18を制御する。
尚、設定距離として最長距離(本実施形態では5m)が設定されている場合は、これ以上、長い距離を設定することができないため、設定距離と同じ距離を延長距離としている。
【0052】
以下、音声出力システム100の動作について、
図3に示すイベント音声出力処理のフローチャート、
図4に示す設定距離短縮処理のフローチャート、及び、
図5に示す設定距離延長処理のフローチャートに基づいて説明する。
図3に示すように、音声出力システム100の音声出力処理は、音声出力イベントが発生(ステップ♯1のYesの場合)し、その音声出力イベントのイベント音声が緊急イベント音声である場合(ステップ♯2のYesの場合)は、人検出部15にて延長範囲24内に人が存在していると判断すると(ステップ♯3のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ♯4)。そして、音声出力イベントのイベント音声が通常イベント音声である場合(ステップ♯2のNoの場合)は、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断すると(ステップ♯5のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ♯4)。
【0053】
図4に示すように、音声出力システム100の設定距離短縮処理は、イベント音声出力制御を実行してから要求設定期間経過した場合(ステップ♯11のYesの場合)は、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断すると(ステップ♯12のYesの場合)、短縮用操作要求音声出力制御を行って操作要求音声を出力している(ステップ♯13)。そして、短縮用操作要求音声出力制御を行ってから待機時間内に操作部22が操作されなかった場合(ステップ♯14のNoの場合)は、設定距離短縮制御を行って設定距離を短くする(ステップ♯15)。
【0054】
図5に示すように、音声出力システム100の設定距離延長処理は、設定距離短縮制御を行ってから短縮後設定期間経過した場合(ステップ♯21のYesの場合)は、人検出部15にて延長範囲24内に人が存在していると判断すると(ステップ♯22のYesの場合)、延長用操作要求音声出力制御を実行して操作要求音声を出力している(ステップ#23)。そして、延長用操作要求音声出力制御を行ってから待機時間内に操作部22が操作された場合(ステップ#24のYesの場合)は、設定距離延長制御を行って設定距離を延長する(ステップ#25)。
【0055】
このように、短縮用操作要求音声出力制御により出力される操作要求音声は、利用者が音声出力部18から設定範囲23内にいる状態で音声出力部18から出力されるが、待機期間内に利用者による操作部22の操作がなかった場合は、現状の設定範囲23では音声出力部18が出力した音声を利用者が聞き取り難いと考えられるため、このような場合に設定距離短縮制御を行って設定距離を短くすることで、音声を大きくすることなく今後出力されるイベント音声を利用者が聞き取り易くなる。
そして、延長用操作要求音声出力制御により出力される操作要求音声は、利用者が音声出力部18から設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲24内にいる状態で音声出力部18から出力されるが、待機期間内に利用者による操作部22の操作があった場合は、延長範囲24内でも音声出力部18が出力した音声を利用者が聞き取ることができると考えられるため、このような場合に設定距離延長制御を行って設定距離を長くすることで、利用者が設定範囲23内に存在する機会が多くなるため、音声出力イベントが発生してから比較的早いタイミングでイベント音声を出力することができる。
【0056】
〔第2実施形態〕
本発明に係る音声出力システムの第2実施形態について図面に基づいて説明する。
第2実施形態の音声出力システムについて説明するにあたり、第1実施形態の音声出力システムと異なる構成について主に説明し、同じ構成については説明を省略する。
【0057】
本実施形態では、閾値を、第1実施形態の3つの値に加えて、人が音声出力部18から延長距離より更に長い長距離(6m)の範囲内に存在する場合に電圧の値が超える値に変更調節することで、設定距離を4段階に変更している。このように、音声出力システム100には、設定距離を変更自在な設定部34が備えられており、この設定部34は、装置側制御部19に備えられている。尚、
図6に示す例では、設定距離が中距離(4m)に設定され、音声出力部18から4mの範囲が設定範囲23(破線で示されている範囲)となり、音声出力部18から5mの範囲が延長範囲24(二点鎖線で示されている範囲)となり、音声出力部18から3mの範囲が短縮範囲25(一点鎖線で示されている範囲)となり、音声出力部18から6mの範囲が再延長範囲26(実線で示されている範囲)となっている場合を示している。
【0058】
制御部Hは、イベント音声出力制御において、音声出力イベントが発生してから予め設定された設定時間(例えば、5分)の間は、人検出部15の検出情報に基づいて設定範囲23内に利用者が存在していると判断した場合に、イベント音声を出力し、設定時間が経過した後は、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定距離より長い延長距離の範囲内である延長範囲24内に存在していると判断した場合に、イベント音声を出力するように音声出力部18を制御する。
【0059】
例えば、設定距離として4mが設定されており、イベント音声が緊急イベント音声の場合において、音声出力イベントが発生してから予め設定された設定時間の間は、人検出部15の検出情報に基づいて設定範囲23(設定距離4mの範囲)内に利用者が存在していると判断した場合に、イベント音声を出力するため、利用者はイベント音声を聞き取り易い。そして、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過するまでに設定範囲23内に利用者が存在していると判断しなかった場合は、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が延長範囲24(設定距離より長い延長距離5mの範囲)内に存在していると判断した場合に、イベント音声を出力するため、設定時間が経過した後では、イベント音声を早期に出力することができる。
尚、本実施形態では、イベント音声出力制御における延長距離は、延長用操作要求音声出力制御を行う延長距離と同じ距離(設定距離+1m)としている。また、設定距離として最長距離(本実施形態では5m)に設定されている場合は、これ以上、長い距離を設定することができないため、設定距離と同じ距離を延長距離としている。
【0060】
そして、本実施形態では、設定時間に基づくイベント音声出力制御は、第1実施形態で説明した緊急度(緊急イベント音声及び通常イベント音声)に基づくイベント音声出力制御に加えて採用している。
具体的には、設定距離として4mが設定されている場合では、利用者が存在していると判別する範囲(以下、判別範囲と称する)は以下のように決定される。
つまり、イベント音声が通常イベント音声の場合において、音声出力イベントが発生してから設定時間の間は、設定距離の範囲(設定範囲23)を判別範囲とすると共に、設定時間を経過した後は、設定距離より長い延長距離(+1m)の範囲(延長範囲24)を判別範囲とし、イベント音声が緊急イベント音声の場合において、音声出力イベントが発生してから設定時間の間は、延長距離よりも更に長い長距離(+2m)の範囲(再延長範囲26)を判別範囲とすると共に、設定時間を経過した後は、設定距離の範囲(設定範囲23)を判別範囲としている。
【0061】
以下、音声出力システム100の動作について、
図7に示すイベント音声出力処理のフローチャートに基づいて説明する。
図7に示すように、音声出力システム100のイベント音声出力処理は、音声出力イベントが発生(ステップ♯31のYesの場合)した場合において、出力する音声が緊急イベント音声であり(ステップ#32のYesの場合)、音声出力イベントが発生してから設定時間の間(ステップ#33のYesの場合)は、人検出部15にて延長範囲24内に人が存在していると判断すると(ステップ♯34のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ♯35)。そして、出力する音声が緊急イベント音声であり(ステップ#32のYesの場合)、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過した後(ステップ#33のNoの場合)は、人検出部15にて再延長範囲26内に人が存在していると判断すると(ステップ♯36のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ♯35)。
【0062】
また、音声出力イベントが発生(ステップ♯31のYesの場合)した場合において、出力する音声が通常イベント音声であり(ステップ#32のNoの場合)、音声出力イベントが発生してから設定時間の間(ステップ#37のYesの場合)は、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断すると(ステップ♯38のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ♯35)。そして、出力する音声が通常イベント音声であり(ステップ#32のNoの場合)、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過した後(ステップ#37のNoの場合)は、人検出部15にて延長範囲24内に人が存在していると判断すると(ステップ♯34のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ♯35)。
【0063】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0064】
(1)上記実施形態では、操作部22を警報装置1に備える構成を例として説明した。しかし、操作部22を端末装置2又は外部装置4に備えてもよく、操作部22を備える箇所は適宜変更してもよい。
【0065】
(2)上記実施形態では、緊急イベント音声は利用者が延長範囲24内に存在する場合に出力し、通常イベント音声は利用者が設定範囲23内に存在する場合に出力する構成を例として説明した。しかし、例えば、緊急イベント音声と通常イベント音声との双方を利用者が設定範囲23内に存在する場合に出力する構成としてもよい。
【0066】
(3)上記第1実施形態では、設定部34による設定距離の設定を3段階(3m、4m、5m)とする構成を例として説明し、上記第2実施形態では、設定部34による設定距離の設定を4段階(3m、4m、5m、6m)とする構成を例として説明した。しかし、設定部34による設定距離の設定を5段階以上としてもよく、設定する具体的な距離も適宜変更してもよい。
【0067】
(4)上記実施形態では、人検出部15を、焦電型の赤外線センサ部31を利用した構成を例示した。しかし、人検出部15に、検知領域13を撮像する撮像装置を備え、装置側制御部19が、撮像装置が撮像した画像情報に基づいて設定範囲23内に利用者が存在するか否かを判断するようにして、人検出部15を撮像装置を利用した構成とする等、人検出部15の構成は適宜変更してもよい。
また、焦電型赤外線センサを利用した場合において、赤外線検出部33にシャッターを備えて受光する赤外線の範囲を変更することで設定距離を変更自在に構成してもよく、この場合、設定部34は赤外線検出部33によって構成される。
【0068】
(5)上記実施形態では、警報装置1を利用して音声出力システム100を構成している例を説明したが、警報装置1に限らず、例えば、音声出力部18を有する音声出力装置を備えたものであればよく、音声出力システム100にどのような装置を利用するかは適宜変更が可能である。
【0069】
(6)上記第1実施形態では、設定時間と緊急度との内の緊急度のみに基づくイベント音声出力制御を行う構成を説明し、第2実施形態では、設定時間と緊急度との双方に基づくイベント音声出力制御を行う構成を説明した。しかし、
図8に示すように、設定時間と緊急度との内の設定時間のみに基づくイベント音声出力制御を行う構成としてもよい。
具体的には、
図8に示すように、音声出力システム100のイベント音声出力処理は、音声出力イベントが発生(ステップ♯41のYesの場合)した場合において、音声出力イベントが発生してから設定時間の間(ステップ#42のYesの場合)は、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断すると(ステップ♯43のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力(ステップ♯44)し、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過した後(ステップ#42のNoの場合)は、人検出部15にて延長範囲24内に人が存在していると判断すると(ステップ♯45のYesの場合)、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力(ステップ♯44)するようにしてもよい。
【0070】
(7)上記第2実施形態では、出力する音声が緊急イベント音声であり、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過した後は、人検出部15にて再延長範囲26内に人が存在していると判断すると、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力する構成を例として説明した。しかし、出力する音声が緊急イベント音声であり、音声出力イベントが発生してから設定時間が経過した後は、人検出部15の判断に関わらず、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0071】
15 人検出部
18 音声出力部
22 操作部
23 設定範囲
24 延長範囲
25 短縮範囲
34 設定部
100 音声出力システム
H 制御部