IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 大阪瓦斯株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-音声出力システム 図1
  • 特開-音声出力システム 図2
  • 特開-音声出力システム 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140251
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】音声出力システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 23/00 20060101AFI20241003BHJP
   G08B 21/02 20060101ALI20241003BHJP
   G10L 19/00 20130101ALN20241003BHJP
【FI】
G08B23/00 520D
G08B21/02
G10L19/00 312E
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051301
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】秋岡 尚克
(72)【発明者】
【氏名】岡本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】豊田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】中山 吉彦
(72)【発明者】
【氏名】神屋 美由紀
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086CA12
5C086FA06
5C087AA02
5C087AA37
5C087BB74
5C087DD04
5C087DD07
5C087DD24
5C087EE14
5C087FF01
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG83
(57)【要約】
【課題】イベント音声の内容が利用者に伝わりやすい音声出力システムを提供する。
【解決手段】制御部Hは、音声出力イベントが発生してから、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定範囲23内に存在していると判断している場合において、動作検出部24の検出情報に基づいて利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていないと判断する出力条件を満たしている場合は、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力し、出力条件を満たしていない場合は、イベント音声を出力しないように音声出力部18を制御するイベント音声出力制御を行う。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者に対して音声を出力する音声出力部と、前記音声出力部から設定範囲内の人を検出する人検出部と、前記利用者の動きを検出する動作検出部と、前記音声出力部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記音声出力部にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断している場合において、前記動作検出部の検出情報に基づいて前記利用者が作業中ではない又は前記音声出力部から遠ざかっていないと判断する出力条件を満たしている場合は、前記音声出力イベントに対応するイベント音声を出力し、前記出力条件を満たしていない場合は、前記イベント音声を出力しないように前記音声出力部を制御するイベント音声出力制御を行うように構成されている音声出力システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、前記出力条件を満たすことで前記イベント音声を出力している間に前記出力条件を満たさなくなった場合は、この後に前記利用者が前記設定範囲内に存在し且つ前記出力条件を満たした場合に前記イベント音声を再度出力するように前記音声出力部を制御する請求項1に記載の音声出力システム。
【請求項3】
前記イベント音声には、緊急度が高い緊急イベント音声と、前記緊急イベント音声より緊急度が低い通常イベント音声とがあり、
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、出力させる前記イベント音声が前記緊急イベント音声の場合は、前記出力条件を満たしていない場合でも前記イベント音声を出力し、出力させる前記イベント音声が前記通常イベント音声の場合は、前記出力条件を満たしていない場合では前記イベント音声を出力しないように前記音声出力部を制御する請求項1又は2に記載の音声出力システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、一日のうちの予め設定された設定時間帯の場合は、前記出力条件を満たしていない場合でも前記イベント音声を出力し、前記設定時間帯以外の場合は、前記出力条件を満たしていない場合では前記イベント音声を出力しないように前記音声出力部を制御する請求項1又は2に記載の音声出力システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、前記音声出力イベントが発生してから予め設定された設定経過時間の間は、前記出力条件を満たしていない場合は前記イベント音声を出力せず、前記音声出力イベントが発生してから前記設定経過時間が経過した後は、前記出力条件を満たしていない場合でも前記イベント音声を出力するように前記音声出力部を制御する請求項1又は2に記載の音声出力システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者に対して音声を出力する音声出力部と、前記音声出力部から設定範囲内の人を検出する人検出部と、前記音声出力部を制御する制御部とを備えた音声出力システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用者に対して音声を出力する音声出力部(18)と、音声出力部18から利用者までの距離である利用者距離を検出する人検知部(人感検知部15)と、音声出力部を制御する制御部(装置側制御部19)とを備えた音声出力システムが示されている。この音声出力システムでは、音声出力部にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、前記人検出部の検出情報に基づいて利用者が設定範囲内に存在していると判断した場合に、音声出力イベントに対応するイベント音声データを出力するように音声出力部を制御するイベント音声出力制御を行っており、イベント音声出力制御により出力されるイベント音声は、利用者が音声出力部から設定範囲内に存在している状態で音声出力部から出力されるため、利用者はイベント音声を聞き取り易くなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-126215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような音声出力システムにおいて、音声出力部がイベント音声を出力した場合に利用者が作業中である場合や音声出力部から遠ざかっている場合には、利用者がイベント音声を聞き逃しやすくイベント音声の内容が利用者に伝わらない可能性がある。
【0005】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、イベント音声の内容が利用者に伝わりやすい音声出力システムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1特徴構成は、利用者に対して音声を出力する音声出力部と、前記音声出力部から設定範囲内の人を検出する人検出部と、前記利用者の動きを検出する動作検出部と、前記音声出力部を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記音声出力部にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、前記人検出部の検出情報に基づいて前記利用者が前記設定範囲内に存在していると判断している場合において、前記動作検出部の検出情報に基づいて前記利用者が作業中ではない又は前記音声出力部から遠ざかっていないと判断する出力条件を満たしている場合は、前記音声出力イベントに対応するイベント音声を出力し、前記出力条件を満たしていない場合は、前記イベント音声を出力しないように前記音声出力部を制御するイベント音声出力制御を行うように構成されている点にある。
【0007】
本構成によれば、利用者が設定範囲内に存在している場合でも、利用者が作業中である場合や音声出力部から遠ざかっている場合のように利用者がイベント音声を適切に聞き取れない可能性がある状況ではイベント音声を出力せず、利用者が作業中ではない又は音声出力部から遠ざかっていない場合のように利用者がイベント音声を適切に聞き取り易い状況でイベント音声を出力することで、利用者がイベント音声を聞き逃す可能性を低減させることができる。
【0008】
本発明の第2特徴構成は、前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、前記出力条件を満たすことで前記イベント音声を出力している間に前記出力条件を満たさなくなった場合は、この後に前記利用者が前記設定範囲内に存在し且つ前記出力条件を満たした場合に前記イベント音声を再度出力するように前記音声出力部を制御する点にある。
【0009】
本構成によれば、イベント音声を出力している間に利用者が作業を開始したり音声出力部から遠ざかることでイベント音声が適切に聞き取れなかった場合でも、この後に、利用者が設定範囲内に存在し且つ作業中ではなくなる又は音声出力部から遠ざからなくなることで、再度イベント音声が出力されるため、利用者がイベント音声を聞き逃すことを更に低減させることができる。
【0010】
本発明の第3特徴構成は、前記イベント音声には、緊急度が高い緊急イベント音声と、前記緊急イベント音声より緊急度が低い通常イベント音声とがあり、
前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、出力させる前記イベント音声が前記緊急イベント音声の場合は、前記出力条件を満たしていない場合でも前記イベント音声を出力し、出力させる前記イベント音声が前記通常イベント音声の場合は、前記出力条件を満たしていない場合では前記イベント音声を出力しないように前記音声出力部を制御する点にある。
【0011】
本構成によれば、緊急度が低い通常イベント音声は、利用者が作業中ではない又は音声出力部から遠ざかっていない場合に出力されるため、利用者は通常イベント音声を適切に聞き取り易くなる。しかし、このようにイベント音声を出力する場合では、イベント音声を出力する機会が、利用者が作業中ではない又は音声出力部から遠ざかっていない場合に限られるため、イベント音声の出力が遅れ易いが、緊急度が高い緊急イベント音声は、利用者が作業中又は音声出力部から遠ざかっている場合でも出力されるため、イベント音声が出力される機会が増えることで緊急イベント音声を早期に出力することができる。
【0012】
本発明の第4特徴構成は、前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、一日のうちの予め設定された設定時間帯の場合は、前記出力条件を満たしていない場合でも前記イベント音声を出力し、前記設定時間帯以外の場合は、前記出力条件を満たしていない場合では前記イベント音声を出力しないように前記音声出力部を制御する点にある。
【0013】
本構成によれば、例えば、作業や移動が多い朝の忙しい時間帯では、利用者が作業中又は音声出力部から遠ざかっている場合が多く、イベント音声の出力が遅れ易いが、設定時間帯としてこのような忙しい時間帯を設定しておくことで、このような時間帯でもイベント音声を早期に出力することができ、また、設定時間帯以外では作業中でない場合や音声出力部から遠ざかっていない場合にイベント音声が出力されるため、イベント音声を適切に聞き取り易くなる。
【0014】
本発明の第5特徴構成は、前記制御部は、前記イベント音声出力制御において、前記音声出力イベントが発生してから予め設定された設定経過時間の間は、前記出力条件を満たしていない場合は前記イベント音声を出力せず、前記音声出力イベントが発生してから前記設定経過時間が経過した後は、前記出力条件を満たしていない場合でも前記イベント音声を出力するように前記音声出力部を制御する点にある。
【0015】
本構成によれば、音声出力イベントが発生してから設定経過時間の間は、利用者が作業中ではない又は音声出力部から遠ざかっていない状態でイベント音声が出力されるため、利用者はイベント音声を聞き取り易く、音声出力イベントが発生してから設定経過時間が経過した後は、利用者が作業中又は音声出力部から遠ざかっている場合でもイベント音声が出力されるため、イベント音声を早期に出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】音声出力システムの全体概略構成を示す図
図2】警報装置の概略構成を示す図
図3】音声出力システムの動作を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る音声出力システムの実施形態について図面に基づいて説明する。
この音声出力システムは、防災情報や天候情報等の音声データを音声出力させる必要があるイベントが発生すると、そのイベントに対応する音声データを音声出力することで、防災情報や天候情報等の各種の情報を利用者に伝達するものである。
【0018】
この音声出力システム100は、図1に示すように、利用者の住居等の施設に設置される警報装置1を利用して構成しており、図2に示すように、警報装置1に音声出力部18を備えさせて、住居等の施設に居る利用者に対して、イベント内容を通知している。
【0019】
音声出力システム100は、図1に示すように、警報装置1に加えて、利用者が各種の設定や操作を行うためのスマートフォン等の端末装置2、各種の制御及び通信を行うサーバ装置3、イベントの発生等を通知するための外部装置4等が備えられている。警報装置1、端末装置2、及び、外部装置4の夫々は、インターネット等の情報通信網5を介してサーバ装置3との間で各種の情報を通信自在に構成されている。
【0020】
警報装置1は、図2に示すように、床部11と天井部12との間の室内空間を検知領域13として、天井部12や天井部12側の壁部等に配設されている。警報装置1は、監視センサ部14、人検出部15、温湿度センサ部16、表示部17、音声出力部18、装置側制御部19、装置側記憶部20、装置側通信部21、撮像部22等が備えられている。
【0021】
装置側記憶部20には、警報装置1を作動させるための各種の情報が記憶されており、装置側制御部19が、装置側記憶部20に記憶されている各種の情報を用いて、警報装置1の作動状態を制御している。装置側制御部19は、装置側通信部21を介して有線通信又は無線通信により、サーバ装置3との間で各種の情報を送受信可能に構成されている。
【0022】
監視センサ部14は、例えば、ガス漏れ監視センサ、CO(一酸化炭素)監視センサ、火災監視センサ等の各種のセンサが備えられ、装置側制御部19が、それらのセンサの検出情報に基づいて、ガス漏れ、CO濃度異常、火災が発生しているか否か等を監視している。
【0023】
例えば、装置側制御部19は、ガス漏れ監視センサにて検出する検出対象ガスの濃度が設定値以上となると、ガス漏れであるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等によりガス漏れ用の警報を行う。また、装置側制御部19は、CO監視センサにて検出するCO濃度が設定値以上となると、CO濃度異常であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、CO濃度異常用の警報を行う。更に、装置側制御部19は、火災監視センサにて火災により生じる煙や熱等を検出すると、火災であるとして、表示部17による表示や音声出力部18による音声出力等により、火災用の警報を行う。
【0024】
温湿度センサ部16は、検知領域13を含む台所等の室内空間の温度及び湿度を検出している。表示部17は、ランプやLEDを有し、文字情報等を表示可能な表示装置にて構成されている。音声出力部18は、例えば、スピーカ等から構成され、各種の音声データを音声出力可能に構成されており、利用者に対して音声を出力する。撮像部22は、検知領域13における設定範囲23に存在する利用者を撮像可能に設置されている。装置側制御部19は、撮像部22が撮像した撮像情報に基づいて設定範囲23内に位置する利用者の動きを検出可能に構成されている。具体的には、装置側制御部19は、撮像部22によって撮像された撮像情報に基づいて1秒毎の利用者の位置や大きさを把握し、利用者の位置が0.5m/s以上移動していれば利用者が作業中であると判断し、利用者の大きさが小さくなった場合に利用者が音声出力部18から遠ざかっていると判断するというように、撮像画像における利用者の位置や大きさ等に基づいて、利用者が作業中か否かや利用者が音声出力部18から遠ざかっているか否かを判別可能に構成されている。このように、撮像部22と装置側制御部19とで利用者の動きを検出しており、これら撮像部22と装置側制御部19とによって、利用者の動きを検出する動作検出部24が構成されている。
【0025】
サーバ装置3は、図1に示すように、サーバ側制御部41、サーバ側記憶部42、サーバ側通信部43等が備えられている。サーバ側記憶部42には、各種の情報が記憶されており、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42に記憶されている各種の情報を用いて、サーバ装置3の作動状態を制御している。サーバ側制御部41は、サーバ側通信部43を介して有線通信又は無線通信により、警報装置1や外部装置4との間で各種の送受信可能に構成されている。
【0026】
外部装置4は、防災情報や天候情報等、外部でのイベントが発生した場合に、そのイベントが発生したことをサーバ装置3に通知するように構成されている。例えば、防災情報であれば、外部装置4は、地震が発生したタイミングにてイベントが発生したとして、「地震発生」等の防災情報をサーバ装置3に通知している。また、天候情報であれば、外部装置4は、天気予報等が更新されたタイミングにてイベントが発生したとして、更新された天気予報(例えば、「今日の天気は晴れです」等)をサーバ装置3に通知している。
【0027】
サーバ装置3では、外部装置4からイベントが発生したことの通知を受けると、サーバ側制御部41が、そのイベントに対応する音声データをサーバ側記憶部42から取得し、その取得した音声データを警報装置1に送信している。これにより、警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された音声データを音声出力部18にて音声出力して、イベント内容を利用者に伝達している。
【0028】
例えば、地震が発生した場合には、外部装置4からサーバ装置3に地震が発生したことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から地震が発生したことに対応する音声データ(「地震発生」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「地震発生」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、地震が発生したことを利用者に伝達している。
【0029】
また、天気予報が更新された場合には、外部装置4からサーバ装置3に天気予報が更新されたことが通知され、サーバ側制御部41が、サーバ側記憶部42から更新された天気予報に対応する音声データ(「今日の天気は晴れです」等の音声データ)を取得し、その音声データを警報装置1に送信する。警報装置1では、装置側制御部19が、サーバ装置3から送信された「今日の天気は晴れです」等の音声データを音声出力部18にて音声出力して、更新された天気予報を利用者に伝達している。
【0030】
このようにして、音声出力システム100では、サーバ側制御部41及び装置側制御部19等の制御部Hによって、外部にてイベントが発生した場合に、そのイベントに対応する情報を、外部装置4→サーバ装置3→警報装置1の順に通信して、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力するイベント音声出力制御を行っている。例えば、天候情報としては、天気予報に限らず、雨雲が接近したタイミングにて「雨雲の接近」を音声出力したり、気象警報が発令されたタイミングにて「気象警報発令」を音声出力することもできる。
【0031】
イベント音声出力制御におけるイベント内容については、防災情報や天候情報に限らず、例えば、ニュースが更新されたタイミングにそのニュースに対応する音声データを音声出力したり、交通情報が更新されたタイミングにてその交通情報に対応する音声データを音声出力することもでき、各種のイベント内容を適用することができる。
【0032】
この音声出力システム100では、外部にてイベントが発生した場合だけでなく、施設の内部にてイベントが発生した場合にも、制御部Hによって、そのイベントに対応する音声データを音声出力部18から音声出力するイベント音声出力制御を行うようにしている。音声出力システム100は、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を監視している警報装置1を利用していることから、ガス漏れ、CO濃度異常、火災等の監視対象事象を警報装置1にて検知した場合に、イベントが発生したとして、その監視対象事象に対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0033】
例えば、装置側制御部19は、図2に示すように、監視センサ部14の検出情報に基づいて、ガス漏れの発生を検知すると、イベントが発生したとして、「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その「ガス漏れ発生」等のガス漏れに対応する音声データを音声出力部18にて音声出力している。また、装置側制御部19は、CO濃度異常や火災の発生を検知した場合も、それらに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。
【0034】
警報装置1には、監視センサ部14だけでなく、検知領域13を含む室内空間の温度及び湿度を検出する温湿度センサ部16が備えられている。そこで、装置側制御部19は、温湿度センサ部16の検出情報に基づいて、室内空間の温度及び湿度が上昇して熱中症等が発生する可能性があるか否か、及び、室内空間の湿度が低下して乾燥状態であるか否か等、室内空間の温湿度環境が異常状態であるか否かを判定している。
【0035】
装置側制御部19は、室内空間の温湿度環境が異常状態であると判定した場合に、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データを装置側記憶部20から取得し、その取得した音声データを音声出力部18にて音声出力している。このとき、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データとしては、熱中症等を発生する可能性がある場合に、「熱中症注意」等の音声データとし、乾燥状態である場合に、「乾燥注意」等の音声データとすることができる。
【0036】
また、例えば、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データをサーバ側記憶部42や装置側記憶部20に記憶させておき、その定型文の音声データを音声出力する日時等を設定しておくことができる。これにより、サーバ側制御部41や装置側制御部19等の制御部Hは、設定された日時になると、イベントが発生したとして、「今日はゴミの日です」等の定型文の音声データを音声出力部18にて音声出力するイベント音声出力制御を行うこともできる。
【0037】
音声出力システム100がイベント音声出力制御を行うに当たり、イベントが発生することが前提条件となるが、イベント音声出力制御を実行可能とする日時や時間帯等については、利用者が端末装置2を操作することで、適宜設定することもできる。イベント音声出力制御において音声出力部18が出力するイベント音声には、緊急度が高い緊急イベント音声と、緊急イベント音声より緊急度が低い通常イベント音声とがある。本実施形態では、地震が発生したことに対応する音声データ、ガス漏れに対応する音声データ、及び、温湿度環境が異常状態であることに対応する音声データを緊急イベント音声とし、天気予報に対応する音声データ、ニュースに対応する音声データ、及び、定型文の音声データを通常イベント音声としている。
【0038】
また、音声出力システム100では、利用者が端末装置2を操作することで、イベント音声出力制御を行うに当たり後述する出力条件を満たしていない場合でもイベント音声を出力する時間帯を設定することができるように構成されている。端末装置2で設定された時間帯の情報は、サーバ装置3に通信して、サーバ側記憶部42に設定時刻帯として記憶される。この設定時間帯としては、作業や移動が多い朝の忙しい時間帯(例えば、午前6時から8時)や夕方の忙しい時間帯(例えば、午後6時から8時)を設定することが考えられる。
【0039】
イベントが発生するのは利用者が意図しているタイミングではないこともあり、イベントの発生に伴って、音声出力システム100がイベント音声出力制御を行うだけでは、利用者にそのイベント内容を伝達することが難しいことがある。そこで、音声出力システム100では、検知領域13内における設定範囲23に人が存在することを確認した上で、イベントの発生に伴うイベント音声出力制御を行うようにしている。
【0040】
音声出力システム100には、検知領域13内における設定範囲23に人が存在するか否かを確認するために、音声出力部18から設定距離の範囲内である設定範囲23内の人を検知する人検出部15が備えられている。
【0041】
人検出部15には、音声出力部18の近傍に備えられている焦電型の赤外線センサ部31と、その赤外線センサ部31の検出情報に基づいて、検知領域13内における設定範囲23に人が存在するか否かを判定する装置側制御部19とが備えられている。赤外線センサ部31には、検知領域13の方向から入射する赤外線を検出する赤外線検出部33が備えられている。
【0042】
本実施形態では、赤外線センサ部31は、焦電型の赤外線センサによって構成されており、焦電素子である赤外線検出部33に赤外線が入射して赤外線検出部33の表面温度が変化することで焦電効果により電荷が発生した場合において、その電荷によって作られる電圧の値が閾値を超えている場合に進入信号や退出信号を出力するように構成されている。装置側制御部19は、赤外線検出部33から出力された信号に基づいて設定範囲23に人が存在するか否かを判定している。
【0043】
説明を加えると、設定範囲23に人等の物体が存在しない場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量は少ないまま維持され、赤外線検出部33の表面温度の変化量が小さいため、閾値を超える電圧が生じないので、赤外線センサ部31は信号を出力しない。これに対して、設定範囲23に人等の物体が進入した場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量が急に多くなり、赤外線検出部33の表面温度の変化量が大きいため、閾値を超える電圧が生じるので、赤外線センサ部31は進入信号を出力する。そして、設定範囲23に人等の物体が居続けた場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量は多いまま維持され、赤外線検出部33の表面温度の変化量が小さいため、閾値を超える電圧が生じないので、赤外線センサ部31は信号を出力せず、設定範囲23から人等の物体が退出した場合は、赤外線検出部33への赤外線の入射量が急に少なくなり、赤外線検出部33の表面温度の変化量が大きいため、閾値を超える電圧が生じるので、赤外線センサ部31は退出信号を出力する。そして、装置側制御部19は、赤外線検出部33から進入信号を受信してから退出信号を受信するまでの間、設定範囲23に人が存在すると判断している。
【0044】
制御部Hは、音声出力部18にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定範囲23内に存在していると判断した場合に、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するように音声出力部18を制御するイベント音声出力制御を行うように構成されている。また、イベント音声出力制御については、音声出力イベントが発生すると、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断した最初のタイミングにて、イベント音声出力制御を行うだけであり、その後、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断しても、イベント音声出力制御を行わない。
【0045】
制御部Hがイベント音声出力制御を行うに当たり、音声出力の音量については、最小音量である小音量と、小音量より音量が大きい中音量と、中音量より音量が大きい音量であって最大音量である大音量との何れかの音量に予め設定されており、その設定された音量にて音声出力を行っている。
【0046】
また、制御部Hは、イベント音声出力制御を行うに当たり、予め設定されている設定距離の範囲内である設定範囲23内に利用者が存在していると判断した場合にイベント音声の出力を行っている。
しかしながら、音声出力イベントが発生したタイミングで利用者が設定範囲23内に存在していたとしても、その利用者が設定範囲23から出ようとしていたり設定範囲23内で料理等の作業を行っている場合のように、利用者の状態がイベント音声を聞くのに適していない状態である場合が考えられることから、そのための対策が講じられている。
【0047】
制御部Hは、音声出力部18にて音声データを音声出力させる必要がある音声出力イベントが発生してから、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定範囲23内に存在していると判断した場合において、動作検出部24の検出情報に基づいて利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていないと判断する出力条件を満たしている場合は、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力するが、出力条件を満たしていない場合は、イベント音声を出力しないように音声出力部18を制御するイベント音声出力制御を行うように構成されている。尚、本実施形態では、利用者が作業中ではないことと利用者が音声出力部18から遠ざかっていないこととの双方を満たしている場合に制御部Hが出力条件を満たしていると判断している。
【0048】
つまり、音声出力イベントが発生したタイミングで利用者が設定範囲23内に存在していたとしても、利用者が作業中である場合や音声出力部18から遠ざかっている場合のように利用者がイベント音声を適切に聞き取れない可能性がある状況ではイベント音声を出力せず、利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていない場合のように利用者がイベント音声を適切に聞き取り易い状況でイベント音声を出力している。
【0049】
そして、制御部Hは、イベント音声出力制御において、出力条件を満たすことでイベント音声を出力している間に出力条件を満たさなくなった場合は、この後に利用者が設定範囲23内に存在し且つ出力条件を満たした場合にイベント音声を再度出力するように音声出力部18を制御するように構成されている。
【0050】
つまり、通常、音声出力イベントが発生すると、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在している状態で出力条件を満たしていると判断した最初のタイミングにて、イベント音声出力制御を行うだけであるが、この最初のタイミングのイベント音声出力制御においてイベント音声を出力している間に利用者が作業を開始したり音声出力部18から遠ざかるように移動を開始したために出力条件を満たさなくなった場合はイベント音声を最後まで適切に聞き取れなかった可能性があるため、このような場合は、その後、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在している状態で出力条件を満たしていると判断した場合は、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を再度出力している。
【0051】
また、制御部Hは、イベント音声出力制御において、出力させるイベント音声が緊急イベント音声の場合は、出力条件を満たしていない場合でもイベント音声を出力し、出力させるイベント音声が通常イベント音声の場合は、出力条件を満たしていない場合ではイベント音声を出力しないように音声出力部18を制御するように構成されている。
【0052】
そのため、緊急度が低い通常イベント音声は、利用者が作業中ではなく且つ音声出力部18から遠ざかっていない場合に出力されるため、利用者は通常イベント音声を適切に聞き取り易くなり、緊急度が高い緊急イベント音声は、利用者が作業中又は音声出力部18から遠ざかっている場合でも出力されるため、イベント音声が出力される機会が増えることで緊急イベント音声を早期に出力することができるようになっている。
【0053】
また、制御部Hは、イベント音声出力制御において、一日のうちの予め設定された設定時間帯の場合は、出力条件を満たしていない場合でもイベント音声を出力し、設定時間帯以外の場合は、出力条件を満たしていない場合ではイベント音声を出力しないように音声出力部18を制御するように構成されている。
【0054】
そのため、例えば、作業や移動が多い朝の忙しい時間帯では、利用者が作業中又は音声出力部18から遠ざかっている場合が多く、イベント音声の出力が遅れ易いが、設定時間帯としてこのような忙しい時間帯を設定時間帯として設定しておくことで、このような時間帯でもイベント音声を早期に出力することができ、また、設定時間帯以外では作業中でない場合や音声出力部18から遠ざかっていない場合にイベント音声が出力されるため、イベント音声を適切に聞き取り易くなっている。
【0055】
また、制御部Hは、イベント音声出力制御において、音声出力イベントが発生してから予め設定された設定経過時間(例えば、5分)の間は、出力条件を満たしていない場合はイベント音声を出力せず、音声出力イベントが発生してから設定経過時間が経過した後は、出力条件を満たしていない場合でもイベント音声を出力するように音声出力部18を制御するように構成されている。
【0056】
そのため、音声出力イベントが発生してから設定経過時間の間は、利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていない状態でイベント音声が出力されるため、利用者はイベント音声を聞き取り易くなっており、音声出力イベントが発生してから設定経過時間が経過した後は、利用者が作業中又は音声出力部18から遠ざかっている場合でもイベント音声が出力されるため、イベント音声を早期に出力することができるようになっている。
【0057】
以下、音声出力システム100の動作について、図3のフローチャートに基づいて説明する。
音声出力システム100は、音声出力イベントが発生(ステップ#1のYesの場合)し、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断(ステップ#2のYesの場合)した場合において、音声出力イベントのイベント音声が緊急イベント音声ではなく(ステップ#3のNoの場合)、現在の時間が設定時間帯でもなく(ステップ#4のNoの場合)、音声出力イベントが発生してから予め設定された設定経過時間の間(ステップ#5のYesの場合)である場合は、利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていないと判断する出力条件を満たしていると判断した場合(ステップ#6のYesの場合)に、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ#7)。
【0058】
そして、このようにイベント音声出力制御におけるイベント音声の出力中に出力条件を満たさなくなった場合(ステップ#8のYesの場合)は、その後、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断(ステップ#2のYesの場合)し、出力条件を満たしていると判断した場合(ステップ#6のYesの場合)に、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を再度出力している(ステップ#7)。
【0059】
また、音声出力イベントが発生(ステップ#1のYesの場合)し、人検出部15にて設定範囲23内に人が存在していると判断(ステップ#2のYesの場合)した場合において、音声出力イベントのイベント音声が緊急イベント音声である(ステップ#3のYesの場合)、又は、現在の時間が設定時間帯である(ステップ#4のYesの場合)、又は、音声出力イベントが発生してから予め設定された設定経過時間を経過した後(ステップ#5のNoの場合)である場合は、イベント音声出力制御を行ってイベント音声を出力している(ステップ#9)。
【0060】
そして、このように音声出力イベントのイベント音声が緊急イベント音声である、又は、現在の時間が設定時間帯である、又は、音声出力イベントが発生してから予め設定された設定経過時間を経過した後である、の何れかの条件を満たした場合は、出力条件を満たしているか否かに関わらずイベント音声出力制御を行っており、これらの条件を満たすか否かによってイベント音声を出力するための判定条件を変更している。
【0061】
このように、制御部Hは、音声出力イベントが発生してから、人検出部15の検出情報に基づいて利用者が設定範囲23内に存在していると判断している場合において、動作検出部24の検出情報に基づいて利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていないと判断する出力条件を満たしている場合は、音声出力イベントに対応するイベント音声を出力し、出力条件を満たしていない場合は、イベント音声を出力しないように音声出力部18を制御するイベント音声出力制御を行う。
そのため、利用者が設定範囲内に存在している場合でも、利用者が作業中である場合や音声出力部18から遠ざかっている場合のように利用者がイベント音声を適切に聞き取れない可能性がある状況ではイベント音声を出力せず、利用者が作業中ではない又は音声出力部18から遠ざかっていない場合のように利用者がイベント音声を適切に聞き取り易い状況でイベント音声を出力することで、利用者がイベント音声を聞き逃す可能性を低減させることができる。
【0062】
〔別実施形態〕
本発明の他の実施形態について説明する。尚、以下に説明する各実施形態の構成は、それぞれ単独で適用することに限らず、他の実施形態の構成と組み合わせて適用することも可能である。
【0063】
(1)上記実施形態では、動作検出部24を、撮像部22と装置側制御部19とで構成する例を説明した。しかし、動作検出部24の構成は適宜変更してもよい。例えば、GPS機能を有する端末装置2を利用者が持ち歩くようにし、装置側制御部19が端末装置2からの緯度及び経度の情報から0.5m/s以上移動している場合に作業中と判断するようにして、端末装置2と装置側制御部19とで動作検出部24を構成してもよい。また、加速度センサ又はジャイロセンサを備えた端末装置2を利用者が持ち歩くようにし、装置側制御部19が端末装置2からの情報に基づいて作業中と判断するようにして、端末装置2と装置側制御部19とで動作検出部24を構成してもよい。
【0064】
(2)上記実施形態では、利用者が作業中ではないことと利用者が音声出力部18から遠ざかっていないこととの2つの条件を設定し、これら2つの条件のうちの1つを満たしている場合に制御部Hが出力条件を満たしていると判断する構成を例として説明した。しかし、利用者が作業中ではないことと利用者が音声出力部18から遠ざかっていないこととの内のいずれか一方のみの条件を設定し、残る他方の条件に拘わらず、一方の条件を満たしている場合に制御部Hが出力条件を満たしていると判断する構成としてもよい。
【0065】
(3)上記実施形態では、イベント音声として緊急イベント音声を出力する場合は、出力条件を満たしていなくてもイベント音声出力制御を行う構成を例として説明した。しかし、イベント音声として緊急イベント音声を出力する場合でも、出力条件を満たしている場合にイベント音声出力制御を行う構成としてもよい。
【0066】
(4)上記実施形態では、設定時間帯以外にイベント音声を出力する場合は、出力条件を満たしていなくてもイベント音声出力制御を行う構成を例として説明した。しかし、設定時間帯以外にイベント音声を出力する場合でも、出力条件を満たしている場合にイベント音声出力制御を行う構成としてもよい。
【0067】
(5)上記実施形態では、人検出部15を、焦電型の赤外線センサ部31を利用した構成を例示した。しかし、人検出部15に、検知領域13を撮像する撮像装置を備え、装置側制御部19が、撮像装置が撮像した画像情報に基づいて設定範囲23内に利用者が存在するか否かを判断するようにして、人検出部15を撮像装置を利用した構成とする等、人検出部15の構成は適宜変更してもよい。また、このように人検出部15を撮像装置を利用した構成とした場合、この撮像装置を撮像部22として用いてもよい。
【0068】
(6)上記実施形態では、警報装置1を利用して音声出力システム100を構成している例を説明したが、警報装置1に限らず、例えば、音声出力部18を有する音声出力装置を備えたものであればよく、音声出力システム100にどのような装置を利用するかは適宜変更が可能である。
【符号の説明】
【0069】
15 人検出部
18 音声出力部
23 設定範囲
24 動作検出部
100 音声出力システム
H 制御部
図1
図2
図3