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特開2024-140294クリップ及びクリップを備える流体供給装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140294
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】クリップ及びクリップを備える流体供給装置
(51)【国際特許分類】
   F16B 2/20 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
F16B2/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051375
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】熊本 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】星子 泰輝
【テーマコード(参考)】
3J022
【Fターム(参考)】
3J022DA11
3J022HB06
(57)【要約】
【課題】容易に流体供給ラインに取り付けるとともに取付時にヒータの位置を容易に調整することができるクリップ及びクリップを備える流体供給装置を提供する。
【解決手段】複数のベースブロック11を備えて構成された流体供給ライン1に取り付けられるヒータ付きクリップ2は、固定されたヒータ211bを有しベースブロック11の一方側壁と面当接可能に形成された板部211と、ベースブロック11の一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部221と、板部211と挟持部221とを連結する連結機構と、を備え、連結機構は、板部211と一体形成された第1連結片212と、挟持部221と一体形成された第2連結片222と、を有し、第1連結片212と第2連結片222とは、ねじ23により連結されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の流路ブロックを備えて構成された流体供給ラインに取り付けられるクリップであって、
固定されたヒータを有し前記流路ブロックの一方側壁と面当接可能に形成された板部と、
前記流路ブロックの前記一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部と、
前記板部と前記挟持部とを連結する連結機構と、を備え、
前記連結機構は、
前記流路ブロックの上壁と対向可能に前記板部と一体形成された第1連結片と、
前記流路ブロックの前記上壁と対向可能に前記挟持部と一体形成された第2連結片と、を有し、
前記第1連結片と前記第2連結片とは、連結部材により連結されている、
クリップ。
【請求項2】
前記連結部材は、一端部と前記第1連結片とがねじにより連結され他端部と前記第2連結片とがねじにより連結された第3連結片を有し、
前記第3連結片は、
前記一端部が形成された第1サブ連結片と、
前記他端部が形成され、前記第1サブ連結片に対し屈曲するように前記第1サブ連結片と一体形成された第2サブ連結片と、を有する、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項3】
前記第1連結片及び前記第2連結片のうちのいずれか一方には、ねじ孔が形成され、
前記第1連結片及び前記第2連結片のうちのいずれか他方には、前記流路ブロックの幅方向に沿って延在する長孔が形成され、
前記連結部材は、前記長孔を貫通させて前記ねじ孔と螺合するねじである、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項4】
前記挟持部は、固定された前記ヒータを有する、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項5】
前記板部は、前記流体供給ラインの長手方向に沿って延在するとともに配列された複数の前記流路ブロックの前記一方側壁と面当接可能に形成され、
前記挟持部は、前記流体供給ラインの長手方向に沿って延在するとともに配列された複数の前記流路ブロックの前記他方側壁と面当接可能に形成されている、
請求項4に記載のクリップ。
【請求項6】
前記連結機構は、
前記流体供給ラインの長手方向に間隔を空けて配列された複数の前記第1連結片と、
前記流体供給ラインの長手方向に間隔を空けて配列された複数の前記第2連結片と、
前記流体供給ラインの長手方向に間隔を空けて配列され、一端部と前記第1連結片とがねじにより連結され他端部と前記第2連結片とがねじにより連結された複数の第3連結片と、を有し、
各前記第3連結片は、
前記一端部が形成された第1サブ連結片と、
前記他端部が形成され、前記第1サブ連結片に対し屈曲するように前記第1サブ連結片と一体形成された第2サブ連結片と、を有し、
複数の前記第1連結片は、それぞれ、複数の前記第2連結片及び複数の前記第3連結片と対応して、前記流体供給ラインにおいて隣接する前記流路ブロックの境目箇所の前記上壁のそれぞれと対向している、
請求項5に記載のクリップ。
【請求項7】
前記板部は、前記流体供給ラインの長手方向に沿って延在するとともに配列された複数の前記流路ブロックの前記一方側壁と面当接可能に形成され、
前記挟持部は、前記流体供給ラインの長手方向に間隔を空けて配列された複数の挟持爪を有する、
請求項1に記載のクリップ。
【請求項8】
前記連結機構は、
前記流体供給ラインの長手方向に間隔を空けて配列された複数の前記第1連結片と、
前記流体供給ラインの長手方向に間隔を空けて配列された複数の前記第2連結片と、を有し、
複数の前記挟持爪は、前記流体供給ラインにおいて隣接する前記流路ブロックの境目箇所の前記他方側壁のそれぞれと当接し、
複数の前記第1連結片は、それぞれ、複数の前記第2連結片と対応して、前記流体供給ラインにおいて隣接する前記流路ブロックの前記境目箇所の前記上壁のそれぞれと対向している、
請求項7に記載のクリップ。
【請求項9】
複数の流路ブロックを備えて構成された流体供給ラインと、
前記流体供給ラインに取り付けられたクリップと、備え、
前記クリップは、
一体形成されたヒータを有し前記流路ブロックの一方側壁と面当接可能に形成された板部と、
前記流路ブロックの前記一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部と、
前記板部と前記挟持部とを連結する連結機構と、を有し、
前記連結機構は、
前記流路ブロックの上壁と対向可能に前記板部と一体形成された第1連結片と、
前記流路ブロックの前記上壁と対向可能に前記挟持部と一体形成された第2連結片と、を有し、
前記第1連結片と前記第2連結片とは、連結部材により連結されている、
流体供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリップ及びクリップを備える流体供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスライン(すなわち、流体供給ライン)及びガスラインの両側に設けられたヒータを挟持するヒータ固定具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-159445号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のヒータ固定具は、ヒータと別体形成されているため、ヒータを容易にガスラインに取り付けることができるものの、取付時にヒータの位置を調整することが困難である。
【0005】
本発明は、この問題点に着目してなされたものであり、容易に流体供給ラインに取り付けるとともに取付時にヒータの位置を容易に調整することができるクリップ及びクリップを備える流体供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のある態様によれば、複数の流路ブロックを備えて構成された流体供給ラインに取り付けられるクリップであって、固定されたヒータを有し前記流路ブロックの一方側壁と面当接可能に形成された板部と、前記流路ブロックの前記一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部と、前記板部と前記挟持部とを連結する連結機構と、を備え、前記連結機構は、前記流路ブロックの上壁と対向可能に前記板部と一体形成された第1連結片と、前記流路ブロックの前記上壁と対向可能に前記挟持部と一体形成された第2連結片と、を有し、前記第1連結片と前記第2連結片とは、連結部材により連結されているクリップが提供される。
【0007】
本発明の他の態様によれば、複数の流路ブロックを備えて構成された流体供給ラインと、前記流体供給ラインに取り付けられたクリップと、備え、前記クリップは、一体形成されたヒータを有し前記流路ブロックの一方側壁と面当接可能に形成された板部と、前記流路ブロックの前記一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部と、前記板部と前記挟持部とを連結する連結機構と、を有し、前記連結機構は、前記流路ブロックの上壁と対向可能に前記板部と一体形成された第1連結片と、前記流路ブロックの前記上壁と対向可能に前記挟持部と一体形成された第2連結片と、を有し、前記第1連結片と前記第2連結片とは、連結部材により連結されている流体供給装置が提供される。
【発明の効果】
【0008】
これらの態様によれば、クリップを容易に流体供給装置の流体供給ラインに取り付けるとともに取付時にヒータの位置を容易に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る流体供給装置を示す斜視図である。
図2図2は、ヒータ付きクリップが併設された流体供給ラインに取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
図3図3は、ヒータ付きクリップが併設された流体供給ラインに取り付けられた状態を示す概略平面図である。
図4図4は、図3におけるIV-IV線に沿う断面図である。
図5図5は、ヒータ付きクリップの一部を構成する第1部材を示す斜視図である。
図6図6は、ヒータ付きクリップの他部を構成する第2部材を示す斜視図である。
図7図7は、第2部材を示す正面図である。
図8図8は、ヒータ付きクリップの取り付け方法を示すフローチャートである。
図9図9は、変形例に係るヒータ付きクリップが流体供給ラインに取り付けられた状態を示す概略斜視図である。
図10図10は、変形例に係るヒータ付きクリップが流体供給ラインに取り付けられた状態を示す概略平面図である。
図11図11は、図10におけるXI-XI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態(以下、本実施形態と称する)について説明する。本明細書においては、全体を通じて、同一の要素には同一の符号を付する。
【0011】
(流体供給装置)
図1を参照しながら本実施形態に係る流体供給装置100について説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る流体供給装置100を示す斜視図である。なお、図1において、互いに直交する流体供給装置100の長手方向、幅方向及び高さ方向をそれぞれX軸に沿う方向、Y軸に沿う方向及びZ軸に沿う方向とする。以下、説明の便宜上、流体供給装置100の長手方向、幅方向及び高さ方向を単に長手方向、幅方向及び高さ方向とも称する。
【0013】
本実施形態に係る流体供給装置100は、図示しない半導体製造装置(CVD装置、スパッタリング装置、エッチング装置等/図示しない)におけるプロセスガス又はパージガスの供給手段に用いられる。
【0014】
図1に示すように、流体供給装置100は、幅方向に沿って併設されるとともに長手方向に沿って延在する複数の流体供給ライン1と、複数の流体供給ライン1のそれぞれに取り付けられた(組み付けられた)複数のクリップとしてのヒータ付きクリップ2と、を備える。
【0015】
複数の流体供給ライン1は、例えば、それぞれ、気体としてのプロセスガスの流量を適宜制御してプロセスガスを半導体製造装置に供給する。隣接する流体供給ライン1の間には、僅かに間隙が形成されている。隣接する流体供給ライン1間の間隙には、隣接する流体供給ライン1のうちの一方に取り付けられた一方のヒータ付きクリップ2の後述する板部211と、隣接する流体供給ライン1のうちの他方に取り付けられた他方のヒータ付きクリップ2の後述する挟持爪部221とが互いに干渉しないように配置されている(図2から図7参照)。
【0016】
各流体供給ライン1は、長手方向に沿って配列された複数の流路ブロックとしてのベースブロック11と、ボルト締めにより複数のベースブロック11のそれぞれに固定された複数の流体機器12と、を備える。複数の流体機器12には、例えば、開閉弁、レギュレータ、プレッシャーゲージ及びマスフローコントローラ等が含まれている。各流体機器12は、ベースブロック11と連結された流路ブロックとしてのブロック部121と、ブロック部121に設けられた流体機器本体122と、を有する。ここでは、流路ブロックとは、流体を流れる流路が形成されたブロックである。
【0017】
ヒータ付きクリップ2は、一体形成されたヒータ211bの熱をベースブロック11及び流体機器12のブロック部121に伝達してプロセスガスの液化を防止するためのクリップである(図5参照)。なお、ヒータ付きクリップ2の詳細については後述する。
【0018】
(ヒータ付きクリップ)
次に、図1から図7を参照しながら本実施形態に係るヒータ付きクリップ2の詳細について説明する。
【0019】
図2は、ヒータ付きクリップ2が併設された流体供給ライン1に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。図3は、ヒータ付きクリップ2が併設された流体供給ライン1に取り付けられた状態を示す概略平面図である。図4は、図3におけるIV-IV線に沿う断面図である。図5は、ヒータ付きクリップ2の一部を構成する第1部材21を示す斜視図である。図6は、ヒータ付きクリップ2の他部を構成する第2部材22を示す斜視図である。図7は、第2部材22を示す正面図である。図2から図4において、ベースブロック11及びブロック部121が一体となり簡易的に図示され、流体機器本体122が省略されている。なお、図1に示すヒータ付きクリップ2は、図2から図4に示すヒータ付きクリップ2の一部に過ぎない。
【0020】
図1から図7に示すように、本実施形態に係るヒータ付きクリップ2は、第1部材21と、第2部材22と、第1部材21と第2部材22とを螺合により連結するねじ23と、を備える。なお、第1部材21(ヒータ211bを除く)及び第2部材22は、板金を折り曲げることにより構成されている。
【0021】
第1部材21は、一体形成された板部211及び複数(ここでは、三つ)の第1連結片212を有する。一方、第2部材22は、一体形成された挟持爪部221及び複数(ここでは、三つ)の第2連結片222を有する。そして、ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、第1連結片212及び第2連結片222を有する連結機構により連結された板部211及び挟持爪部221は、ベースブロック11及びブロック部121の両側壁を挟持している。
【0022】
板部211は、板部本体211aと、板部本体211aに固定されたヒータ211bと、板部本体211aに設けられた複数(ここでは、三つ)の突出片211cと、板部本体211a及び突出片211cの両方に形成された複数(ここでは、三つ)の挿入孔211dと、を有する。
【0023】
ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、板部本体211aは、流体供給ライン1の長手方向に沿って延在するとともに配列された複数のベースブロック11及びブロック部121の一方側壁と面当接するように形成されている。
【0024】
ヒータ211bは、板部211(具体的には、板部本体211a)の一方側面に設けられ、具体的には、電熱線(図示しない)及び電熱線を覆う保護フィルム(図示しない)から構成されている。換言すれば、ヒータ211bと板部本体211aとは、一体形成されている。これにより、ヒータと別体形成されたクリップに比べ、ヒータ付きクリップ2を流体供給ライン1に取り付ける時(取付時)にヒータ211bの位置を容易に調整することができる。
【0025】
本実施形態では、ヒータ211bの伝熱性を向上させるために、ヒータ211bは、ベースブロック11及びブロック部121の一方側壁と面当接する板部211の一方側面とは反対の他方側面に設けられているが、これに限定されるものではなく、例えば、板部211(具体的には、板部211の一方側面)とベースブロック11及びブロック部121(具体的には、ベースブロック11及びブロック部121の一方側壁)との間に介在されるように設けられてもよい。
【0026】
複数の突出片211cは、それぞれ、複数の第1連結片212と一体形成されている。換言すれば、複数の第1連結片212は、それぞれ複数の突出片211cを介して板部本体211aと連結されている。複数の突出片211cは、長手方向に沿って間隔を空けるとともに板部本体211aの上端から突出するように設けられている。
【0027】
ここでは、同一の流体供給ライン1において隣接する突出片211c間の間隔は、流体機器12の長手方向の長さによる。換言すれば、ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、複数の突出片211cは、同一の流体供給ライン1において隣接する流体機器12の境目箇所(すなわち、ブロック部121の境目箇所/流体機器本体122が設けられていない領域)に位置するように設けられている。
【0028】
また、この状態において、板部本体211aは、最も高いブロック部121の上壁から突出することなく、複数の突出片211cは、最も高いブロック部121の上壁から突出するように設けられている。これにより、板部本体211aが最も高いブロック部121の上壁から突出する構造に比べ、ヒータ211bの熱を無駄なく板部211を介してベースブロック11及びブロック部121に伝達することができるため、ヒータ211bからベースブロック11及びブロック部121への伝熱効果を向上させることができる。
【0029】
複数の挿入孔211dは、板部本体211aの長手方向と直交する高さ方向(突出片211cの突出方向)に沿って延在するように複数の突出片211c(具体的には、突出片211cの全域)及び板部本体211aの両方に形成された長孔である。具体的には、各挿入孔211dは、隣接する流体供給ライン1に取り付けられたヒータ付きクリップ2の挟持爪部221(具体的には、後述する挟持爪221a)が進入可能に形成されている。
【0030】
複数の第1連結片212は、板部211と挟持爪部221とを連結する連結機構の一部を構成する。複数の第1連結片212は、複数の突出片211cのそれぞれの先端を90°折り曲げて構成されている。
【0031】
ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、複数の第1連結片212は、ブロック部121の上壁と対向するように板部211と一体形成されている。
【0032】
複数の第1連結片212には、それぞれ、複数のねじ23と螺合する複数(ここでは、三つ)のねじ孔212aが形成されている。これらのねじ孔212aには、バーリング加工が施されている。また、複数の第1連結片212には、それぞれ、複数の挿入孔211dと連通する複数の開口としての切り欠き212bが形成されている。
【0033】
本実施形態では、複数の第1連結片212は、それぞれ複数の突出片211cを介して板部本体211aと連結されているが、これに限定されるものではなく、例えば、複数の突出片211cを廃止して板部本体211aの上端と直接連結されてもよい。この場合に、複数の挿入孔211dは、板部本体211aのみに形成される。
【0034】
挟持爪部221は、複数(ここでは、三つ)の挟持爪221aを有する。ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、複数の挟持爪221aは、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列された挟持片である。換言すれば、複数の挟持爪221aは、それぞれ、同一の流体供給ライン1において隣接する流体機器12の境目箇所(すなわち、ブロック部121の境目箇所/流体機器本体122が設けられていない領域)の他方側壁と当接するように設けられている。なお、各挟持爪221aには、ヒータが固定されていない。
【0035】
複数の第2連結片222は、板部211と挟持爪部221(挟持爪221a)とを連結する連結機構の他部を構成する。複数の第2連結片222は、複数の挟持爪221aのそれぞれの先端を折り曲げて構成されている。なお、挟持爪221aは、第2連結片222との間の角度が変化可能に形成された弾性材である。挟持爪221aが弾性変形しない場合に、第2連結片222と挟持爪221aとの間には、鋭角が形成されている(図7参照)。
【0036】
ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、複数の第2連結片222は、ブロック部121の上壁と対向するように板部211と一体形成されている。具体的には、複数の第1連結片212及び複数の第2連結片222は、同一の流体供給ライン1において隣接する流体機器12の境目箇所(すなわち、ブロック部121の境目箇所/流体機器本体122が設けられていない領域)の上壁から離間してブロック部121の上壁と対向するように形成されている。これにより、複数の第1連結片212(又は複数の第2連結片222)と流体機器12の上壁に締められたボルトとの干渉を回避することができる。
【0037】
複数の第2連結片222の挟持爪221aから離間する端部には、それぞれ、複数のねじ23が貫通可能な複数(ここでは、三つ)の長孔222aが形成されている。これらの長孔222aは、幅方向(第2連結片222の延在方向)に沿って延在するように形成されている。そして、各ねじ23は、各第2連結片222の各長孔222aを貫通させて各第1連結片212の各ねじ孔212aと螺合することで、板部211と挟持爪部221とを連結機構により容易に連結することができる。
【0038】
本実施形態では、幅方向において第1部材21に対する第2部材22の位置調整を行うために、第2連結片222に長孔222aを形成しているが、これに限定されるものではなく、例えば、第2連結片222に円孔を形成してもよい。
【0039】
また、本実施形態では、ねじ孔212a及び長孔222aは、それぞれ、第1連結片212及び第2連結片222に形成されているが、これに限定されるものではなく、それぞれ、第2連結片222及び第1連結片212に形成されてもよい。換言すれば、ねじ孔212aは、第1連結片212及び第2連結片222のうちの一方に形成され、長孔222aは、第1連結片212及び第2連結片222のうちの他方に形成されてもよい。
【0040】
ヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態(すなわち、流体供給ライン1がヒータ付きクリップ2により挟持された状態)において、挟持爪221aが弾性変形し、第2連結片222と挟持爪221aとの間に形成された角度は、ほぼ90°となるように広がる。図4に示すように、この状態において、挟持爪221aは、長さが挿入孔211dの長さよりも短くなるように形成されている。これにより、ヒータ付きクリップ2が隣接する流体供給ライン1のそれぞれに取り付けられた場合に、隣接する流体供給ライン1間の間隙に配置された一方のヒータ付きクリップ2の板部211の挿入孔211d(又は、挿入孔211d及び切り欠き212bの両方)には、他方のヒータ付きクリップ2の挟持爪221aが収容されている。換言すれば、隣接する流体供給ライン1間の間隙に隣接する一方のヒータ付きクリップ2の板部211と、隣接する他方のヒータ付きクリップ2の挟持爪221aとを互いに干渉しないように配置させることができる。この結果、隣接する流体供給ライン1間の間隙が狭くても(具体的には、隣接する流体供給ライン1間の間隙が板部211の厚みよりも広く、かつ、板部211の厚みと挟持爪221aの厚みとの合計厚みよりも狭い場合であっても)、隣接するヒータ付きクリップ2を、それぞれ、隣接する流体供給ライン1に取り付けることができる。
【0041】
また、この場合に、隣接する流体供給ライン1間の間隙における一方のベースブロック11及びブロック部121の他方側壁は、隣接する他方の流体供給ライン1(ベースブロック11及びブロック部121)に取り付けられた他のヒータ付きクリップ2の板部211のヒータ211bにより加熱されるため、一方のベースブロック11及びブロック部121を効率よく加熱(保温)することができる。
【0042】
上述の通り、本実施形態に係るヒータ付きクリップ2では、ヒータ211bを挟持爪部221に固定することなく、板部211(具体的には、板部本体211a)のみに固定するため、2つのヒータをベースブロック11及びブロック部121の両側壁に挟持させるヒータ固定具を用いる流体供給装置に比べ、隣接する流体供給ライン1間の間隙を狭くすることができる。この結果、流体供給ライン1間の間隙が狭くても、ヒータ付きクリップ2を流体供給ライン1に取り付けることができる。
【0043】
また、板部211と一体形成された第1連結片212と、挟持爪部221と一体形成された第2連結片222とを別体形成することにより、板部211、挟持爪部221及び両者を連結する連結機構が一体形成されたクリップに比べ、ヒータ付きクリップ2を容易に流体供給ライン1に取り付けることができる。
【0044】
(ヒータ付きクリップの取り付け方法)
次に、図8を参照しながらヒータ付きクリップ2の取り付け方法について説明する。
【0045】
図8は、ヒータ付きクリップ2の取り付け方法を示すフローチャートである。
【0046】
図8に示すように、まず、ステップS1において、ヒータ211bが固定された板部211と一体形成された第1連結片212と、挟持爪部221と一体形成された第2連結片222とをねじ螺合により仮締め(連結)する。
【0047】
次に、ステップS2において、板部211が流体供給ライン1のベースブロック11及びブロック部121の一方側壁に当接するとともに挟持爪部221が流体供給ライン1の隣接する流体機器12の境目箇所(すなわち、ブロック部121の境目箇所)の他方側壁に当接するようにヒータ付きクリップ2を流体供給ライン1に取り付ける。
【0048】
次に、ステップS3において、必要に応じて板部211(第1部材21)に対する挟持爪部221(第2部材22)の位置調整を行う。
【0049】
最後、ステップS4において、ねじ23を締め付けることにより、流体供給ライン1が確実にヒータ付きクリップ2により挟持される。
【0050】
(変形例)
次に、図9から図11を参照しながら変形例に係るヒータ付きクリップ2の詳細について説明する。なお、変形例では、上述した実施形態と一致する点について省略し、主に上述した実施形態と相違する点について説明する。
【0051】
図9は、変形例に係るヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態を示す概略斜視図である。図10は、変形例に係るヒータ付きクリップ2が流体供給ライン1に取り付けられた状態を示す概略平面図である。図11は、図10におけるXI-XI線に沿う断面図である。図9から図11において、ベースブロック11及びブロック部121が一体となり簡易的に図示され、流体機器本体122が省略されている。
【0052】
上述した実施形態では、板部本体211a及び突出片211cと第1連結片212とには、それぞれ、挿入孔211dと切り欠き212bとが形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本変形例のように挿入孔211dと切り欠き212bとが形成されなくてもよい(図9から図11参照)。
【0053】
また、上述した実施形態では、挟持部221は、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列された複数の挟持爪221aを有して構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本変形例のように板部211と同様に構成されてもよい(図9から図11参照)。すなわち、本変形例では、挟持部221は、ヒータ211b(図5参照)が固定された板部211と同様の板部から構成されている。なお、挟持部221(板部)の説明について省略する。
【0054】
この場合に、第2部材22は、挟持部221及び第2連結片222から構成されている。本変形例では、第2連結片222は、第1連結片212と同様に構成されている。換言すれば、第1部材21と第2部材22とは、同様に構成されている。
【0055】
上述した実施形態では、連結機構は、第1連結片212、第2連結片222及びねじ23から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、本変形例のように第1連結片212及び第2連結片222に加え、連結部材としての第3連結片24及び二つのねじ23を有して構成されてもよい(図9から図11参照)。
【0056】
第3連結片24は、一端部と第1連結片212とが一方のねじ23により連結されるとともに他端部と第2連結片222とが他方のねじ23により連結されている。具体的には、第3連結片24は、一端部が形成された第1サブ連結片241と、第1サブ連結片241に対し屈曲するように第1サブ連結片241と一体形成された第2サブ連結片242と、を有する。
【0057】
図11に示すように、第1サブ連結片241と第2サブ連結片242との間には、鈍角が形成されている。なお、第1サブ連結片241と第2サブ連結片242とは、屈曲線Lに対し鏡面対称に設けられている。
【0058】
第1サブ連結片241及び第2サブ連結片242には、それぞれ、一方のねじ23が貫通する第1貫通孔241a及び他方のねじ23が貫通する第2貫通孔242aが形成されている。そして、一方のねじ23は、第1サブ連結片241の第1貫通孔241aを貫通させて第1連結片212のねじ孔212aと螺合するとともに他方のねじ23は、第2サブ連結片242の第2貫通孔242aを貫通させて第2連結片222のねじ孔222bと螺合することで、板部211と挟持部221とを連結機構により容易に連結することができる。
【0059】
本変形例では、第1貫通孔241a及び第2貫通孔242aは、いずれも円孔から構成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、これらのうちのいずれか一方が長孔から構成されてもよい。そして、長孔は、第1サブ連結片241に形成された場合に第1サブ連結片241の長手方向に沿って延在し、第2サブ連結片242に形成された場合に第2サブ連結片242の長手方向に沿って延在する。
【0060】
そして、第1サブ連結片241及び第2サブ連結片242から構成された第3連結片24をヒータ付きクリップ2に用いることにより、ヒータ付きクリップ2全体に挟持力を持たせることができる。また、二つのねじ23の締め具合を調整することで、第1サブ連結片241と第2サブ連結片242との間の鈍角(すなわち、屈曲角)が変化するため、挟持力を適宜調整することができる。これにより、板部211及び挟持部221の両方を流体供給ライン1のベースブロック11及びブロック部121の両側壁に密着させることができるため、ベースブロック11及びブロック部121をその両側壁に密着された板部211,挟持部221における一対のヒータ211bにより効率よく加熱(保温)することができる。
【0061】
本変形例では、板部211(挟持部221)は、流体供給ライン1の長手方向に沿って延在するとともに配列された複数のベースブロック11及びブロック部121の側壁と面当接可能に形成されているが、これに限定されるものではなく、例えば、流体供給ライン1の長手方向に沿って延在するとともに単一のブロック部121の側壁と面当接可能に形成されてもよい。
【0062】
(作用効果)
次に、上述した実施形態及び変形例による作用効果について説明する。
【0063】
上述した実施形態及び変形例に係るヒータ付きクリップ2は、複数のベースブロック11を備えて構成された流体供給ライン1に取り付けられるクリップであって、固定されたヒータ211bを有しベースブロック11の一方側壁と面当接可能に形成された板部211と、ベースブロック11の一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部221と、板部211と挟持部221とを連結する連結機構と、を備え、連結機構は、ブロック部121の上壁と対向可能に板部211と一体形成された第1連結片212と、ブロック部121の上壁と対向可能に挟持部221と一体形成された第2連結片222と、を有し、第1連結片212と第2連結片222は、連結部材により連結されている。
【0064】
また、上述した実施形態及び変形例に係る流体供給装置100は、複数のベースブロック11を備えて構成された流体供給ライン1と、流体供給ライン1に取り付けられたヒータ付きクリップ2と、備え、ヒータ付きクリップ2は、一体形成されたヒータ211bを有しベースブロック11の一方側壁と面当接可能に形成された板部211と、ベースブロック11の一方側壁とは反対の他方側壁と当接可能に形成された挟持部221と、板部211と挟持部221とを連結する連結機構と、を有し、連結機構は、ブロック部121の上壁と対向可能に板部211と一体形成された第1連結片212と、ブロック部121の上壁と対向可能に挟持部221と一体形成された第2連結片222と、を有し、第1連結片212と第2連結片222は、連結部材により連結されている。
【0065】
これらの構成によれば、板部211は、固定されたヒータ211bを有し、すなわち、ヒータ211bと板部211とは、一体形成されているため、ヒータと別体形成されたクリップに比べ、ヒータ付きクリップ2を流体供給ライン1のベースブロック11及びブロック部121に取り付ける時(取付時)にヒータ211bの位置を容易に調整することができる。
【0066】
また、板部211と一体形成された第1連結片212と、挟持部221と一体形成された第2連結片222とを別体形成することにより、板部211、挟持部221及び両者を連結する連結機構が一体形成されたクリップに比べ、ヒータ付きクリップ2を容易に流体供給ライン1に取り付けることができる。
【0067】
上述した変形例では、連結部材は、一端部と第1連結片212とがねじ23により連結され他端部と第2連結片222とがねじ23により連結された第3連結片24を有し、第3連結片24は、一端部が形成された第1サブ連結片241と、他端部が形成され、第1サブ連結片241に対し屈曲するように第1サブ連結片241と一体形成された第2サブ連結片242と、を有する。
【0068】
この構成によれば、第1サブ連結片241及び第2サブ連結片242から構成された第3連結片24をヒータ付きクリップ2に用いることにより、ヒータ付きクリップ2全体に挟持力を持たせることができる。また、二つのねじ23の締め具合を調整することで、挟持力を適宜調整することができる。これにより、板部211及び挟持部221の両方を流体供給ライン1のベースブロック11及びブロック部121の両側壁に密着させることができる。
【0069】
上述した実施形態では、第1連結片212及び第2連結片222のうちのいずれか一方にはねじ孔212aが形成され、第1連結片212及び第2連結片222のうちのいずれか他方には、ベースブロック11の幅方向に沿って延在する長孔222aが形成され、連結部材は、長孔222aを貫通させてねじ孔212aと螺合するねじ23である。
【0070】
この構成によれば、ねじ23が長孔222a内を摺動することが可能であるため、必要に応じて板部211に対する挟持部221の位置調整を行うことができる。
【0071】
また、上述した変形例では、挟持部221は、固定されたヒータ211bを有する。
【0072】
この構成によれば、ベースブロック11及びブロック部121をその両側壁に当接された板部211,挟持部221における一対のヒータ211bにより効率よく加熱(保温)することができる。
【0073】
また、上述した変形例では、板部211は、流体供給ライン1の長手方向に沿って延在するとともに配列された複数のベースブロック11の一方側壁と面当接可能に形成され、挟持部221は、流体供給ライン1の長手方向に沿って延在するとともに配列された複数のベースブロック11の他方側壁と面当接可能に形成されている。
【0074】
また、上述した変形例では、連結機構は、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列された複数の第1連結片212と、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列された複数の第2連結片222と、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列され、一端部と第1連結片212とがねじ23により連結され他端部と第2連結片222とがねじ23により連結された複数の第3連結片24と、を有し、各第3連結片24は、一端部が形成された第1サブ連結片241と、他端部が形成され、第1サブ連結片241に対し屈曲するように第1サブ連結片241と一体形成された第2サブ連結片242と、を有し、複数の第1連結片212は、それぞれ、複数の第2連結片222及び複数の第3連結片24と対応して、同一の流体供給ライン1において隣接するブロック部121の境目箇所の上壁のそれぞれと対向している。
【0075】
これらの構成によれば、ヒータ付きクリップ2を容易に流体供給ライン1に取り付けることができるとともに複数の第1連結片212(又は複数の第2連結片222、複数の第3連結片24)と流体機器12に締められたボルトとの干渉を回避することができる。
【0076】
また、上述した実施形態では、板部211は、流体供給ライン1の長手方向に沿って延在するとともに配列された複数のベースブロック11の一方側壁と面当接可能に形成され、挟持部221は、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列された複数の挟持爪221aを有する。
【0077】
また、上述した実施形態では、連結機構は、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列されるとともにブロック部121の上壁と対向可能に板部211と一体形成された複数の第1連結片212と、流体供給ライン1の長手方向に間隔を空けて配列されるとともにブロック部121の上壁と対向可能に挟持部221と一体形成された複数の第2連結片222と、を有し、複数の挟持爪221aは、同一の流体供給ライン1において隣接するベースブロック11の境目箇所の他方側壁のそれぞれと当接し、複数の第1連結片212は、それぞれ、複数の第2連結片222と対応して、同一の流体供給ライン1において隣接するブロック部121の境目箇所の上壁のそれぞれと対向している。
【0078】
これらの構成によれば、ヒータ付きクリップ2を容易に流体供給ライン1に取り付けることができるとともに複数の第1連結片212(又は複数の第2連結片222)と流体機器12に締められたボルトとの干渉を回避することができる。
【0079】
以上、本実施形態について説明したが、上述した実施形態は、本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上述した実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【符号の説明】
【0080】
1 流体供給ライン
2 ヒータ付きクリップ(クリップ)
11 流路ブロック
211 板部
211b ヒータ
211d 挿入孔
212 第1連結片
212a ねじ孔
221 挟持部
221a 挟持爪
222 第2連結片
222a 長孔
100 流体供給装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11