IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東海旅客鉄道株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-無線通信システム 図1
  • 特開-無線通信システム 図2
  • 特開-無線通信システム 図3
  • 特開-無線通信システム 図4
  • 特開-無線通信システム 図5
  • 特開-無線通信システム 図6
  • 特開-無線通信システム 図7
  • 特開-無線通信システム 図8
  • 特開-無線通信システム 図9
  • 特開-無線通信システム 図10
  • 特開-無線通信システム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140295
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】無線通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/145 20060101AFI20241003BHJP
   H01Q 1/32 20060101ALI20241003BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20241003BHJP
   H04W 4/30 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
H04B7/145
H01Q1/32 Z
H04W16/26
H04W4/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051376
(22)【出願日】2023-03-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行者名:一般社団法人 電子情報通信学会、刊行物名:信学技報 Vol.122 No.6 RCS2022-5 第18~第23頁、発行年月日:令和4年4月14日 集会名:令和4年 電子情報通信学会 無線通信システム研究会、開催日:令和4年4月21日 発行者名:一般社団法人 日本鉄道技術協会、刊行物名:第59回 鉄道サイバネ・シンポジウム論文集、発行年月日:令和4年11月10日 集会名:第59回鉄道サイバネ・シンポジウム、主催:一般社団法人 日本鉄道技術協会、開催日:令和4年11月11日
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100148149
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100181618
【弁理士】
【氏名又は名称】宮脇 良平
(74)【代理人】
【識別番号】100174388
【弁理士】
【氏名又は名称】龍竹 史朗
(72)【発明者】
【氏名】松村 善洋
(72)【発明者】
【氏名】丹下 智之
(72)【発明者】
【氏名】白井 大貴
(72)【発明者】
【氏名】笹木 栄志
(72)【発明者】
【氏名】木村 仁
(72)【発明者】
【氏名】塚本 薫
【テーマコード(参考)】
5J046
5K067
5K072
【Fターム(参考)】
5J046AA02
5K067AA22
5K067BB41
5K067KK01
5K072AA29
5K072BB02
5K072BB13
5K072BB25
5K072DD11
5K072DD16
5K072GG02
5K072GG05
5K072GG12
5K072GG13
(57)【要約】
【課題】アンテナの設置位置に制約がある場所において、少数の地上局アンテナを用いて移動局と地上局とが通信可能な無線通信システムを提供する。
【解決手段】無線通信システム1は、定められた走路を移動するあるいは走路に停止する移動体に移動体の進行方向に向けて設けられ、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである移動局アンテナ40を有する移動局30と、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである地上局アンテナ20を有し、位置が固定される地上局100と、走路の延長線上に設けられて、走路の終端の近傍に位置している移動体に搭載された移動局アンテナ40から送信された電波を地上局アンテナ20に向けて反射し、地上局アンテナ20から送信された電波を、移動体が該終端の近傍に位置しているときの移動局アンテナの位置に向けて反射する、電気を供給されなくても前記電波を中継できる無給電中継装置50と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
定められた走路を移動するあるいは前記走路に停止する移動体に前記移動体の進行方向に向けて設けられ、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである移動局アンテナを有する移動局と、
ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである地上局アンテナを有し、位置が固定される地上局と、
前記走路の延長線上に設けられて、前記走路の終端の近傍に位置している前記移動体に搭載された前記移動局アンテナから送信された前記電波を前記地上局アンテナに向けて反射し、前記地上局アンテナから送信された前記電波を、前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナの位置に向けて反射する、電気を供給されなくても前記電波を中継できる無給電中継装置と、
を備える無線通信システム。
【請求項2】
互いに異なる複数の前記走路のそれぞれを移動するあるいは前記走路に停止する複数の前記移動体のそれぞれに搭載される複数の前記移動局と、
互いに異なる前記走路の延長線上に設けられる複数の前記無給電中継装置と、を備える、
請求項1に記載の無線通信システム。
【請求項3】
前記地上局アンテナおよび複数の前記無給電中継装置は、前記地上局アンテナから送信された前記電波が複数の前記無給電中継装置のいずれかに向かって伝搬する際に、他の前記無給電中継装置から離れた位置を伝搬可能となる位置および向きに設けられる、
請求項2に記載の無線通信システム。
【請求項4】
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、2つの前記無給電中継装置の一方に向かう第1方向と2つの前記無給電中継装置の他方に向かう第2方向の中間の方向に向けて設けられる、
請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項5】
2つの前記無給電中継装置は、複数の前記無給電中継装置の内、両端に位置する2つの前記無給電中継装置である、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項6】
複数の前記無給電中継装置は、偶数個の前記無給電中継装置であり、
2つの前記無給電中継装置は、複数の前記無給電中継装置の内、連続して並ぶ偶数個の前記走路のそれぞれの延長線上に設けられた偶数個の前記無給電中継装置において中央に位置する2つの前記無給電中継装置である、
請求項4に記載の無線通信システム。
【請求項7】
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、2つの前記無給電中継装置の中間点に向けて設けられる、
請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項8】
複数の前記無給電中継装置は、奇数個の前記無給電中継装置であり、
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、連続して並ぶ奇数個の前記走路のそれぞれの延長線上に設けられた奇数個の前記無給電中継装置において中央に位置する前記無給電中継装置に向けて設けられる、
請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項9】
複数の前記無給電中継装置は、偶数個の前記無給電中継装置であり、
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、連続して並ぶ偶数個の前記走路のそれぞれの延長線上に設けられた偶数個の前記無給電中継装置において中央に位置する2つの前記無給電中継装置の中間点に向けて設けられる、
請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項10】
前記地上局は、互いに異なる前記無給電中継装置を介して前記移動局アンテナと電波を送受信する複数の前記地上局アンテナを有する、
請求項2または3に記載の無線通信システム。
【請求項11】
前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナと前記無給電中継装置との距離は、前記地上局アンテナと前記移動局アンテナとが直接的に電波を送受信する場合に受信側で飽和が生じないときの前記地上局アンテナと前記移動局アンテナとの距離の最小値以上の距離である不飽和最短距離よりも短く、かつ、前記移動局アンテナと前記無給電中継装置との距離および前記地上局アンテナと前記無給電中継装置との距離の合計は、前記不飽和最短距離よりも長い、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項12】
前記無給電中継装置は、前記地上局アンテナのビーム範囲に含まれる位置に設けられる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項13】
前記無給電中継装置は、前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナのビーム範囲に含まれる位置に設けられる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の無線通信システム。
【請求項14】
前記無給電中継装置は、前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナのビーム範囲に含まれる位置に設けられる、
請求項12に記載の無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムには、1つの親局と複数の子局とが無線で通信するものがある。この種の無線通信システムの一例が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示される無線通信システムは、集合住宅のベランダ側の地上に設置され、集合住宅のベランダ側壁面の全体において通信を可能とする向きに設けられてゲインが調節される親局と、集合住宅のベランダ側壁面にそれぞれ設置される複数の子局と、を備える。
【0003】
特許文献1に開示される集合住宅のように固定されている無線通信装置の間の通信だけでなく、鉄道車両、軌道車両、自動車等の定められた走路を走行する車両に搭載されている無線通信装置と固定されている無線通信装置との無線通信を可能とする無線通信システムがある。この種の無線通信システムの一例が非特許文献1に開示されている。
【0004】
非特許文献1に開示される無線通信システムは、高速移動体に搭載される無線通信装置との通信を可能にするため、特許文献1に開示される無線通信システムとは異なり、走路に沿って設けられる複数の狭指向性ミリ波アンテナを有する。詳細には、非特許文献1に開示される無線通信システムは、高速移動体に搭載される無線通信装置である移動局と、単一の走路に沿って設けられる複数の地上局アンテナを有する地上局と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001-36454号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】西本浩、他7名、「高速移動体向けミリ波リニアセルの提案」、2015年電子情報通信学会総合大会講演論文集1、一般社団法人電子情報通信学会、2015年2月24日、p.432
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
走路の終端の近傍に位置する移動体において移動体の進行方向に向けて設けられる指向性アンテナと通信するためには、走路の延長線上に地上局アンテナを設ける必要がある。例えば車両基地、終着駅等の走路の終端の近傍においてアンテナが設置できる場所に制約があると、地上局アンテナを設けることができない。
【0008】
また例えば、複数の走路が互いに隣接して配置されている場所では、各走路の終端の近傍に位置する各移動体に設けられる指向性アンテナと地上局アンテナとが通信するためには、各指向性アンテナが地上局アンテナの通信可能な領域(ビーム範囲)に位置する程度に、各走路の終端から離れた位置に地上局アンテナを設ける必要がある。アンテナが設置できる場所の制約のために、上述のように各走路の終端から十分に離れた位置に地上局アンテナを設けることができない場合には、走路ごとに、走路の終端の延長線上の位置に地上局アンテナを設ける必要がある。このため、複数の走路に存在する各移動体と通信するために必要となる地上局アンテナの数が増大してしまう。
【0009】
本開示は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、アンテナの設置位置に制約がある場所において、少数の地上局アンテナを用いて移動局と地上局とが通信可能な無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の無線通信システムは、移動局と、位置が固定される地上局と、無給電中継装置と、を備える。移動局は、定められた走路を移動するあるいは走路に停止する移動体に移動体の進行方向に向けて設けられ、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである移動局アンテナを有する。地上局は、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである地上局アンテナを有する。無給電中継装置は、走路の延長線上に設けられる。無給電中継装置は、電気を供給されなくても電波を中継できる。無給電中継装置は、走路の終端の近傍に位置している移動体に搭載された移動局アンテナから送信された電波を地上局アンテナに向けて反射し、地上局アンテナから送信された電波を、移動体が該終端の近傍に位置しているときの移動局アンテナの位置に向けて反射する。
【発明の効果】
【0011】
本開示に係る無線通信システムは、走路の延長線上に設けられて、走路の終端の近傍に位置している移動体に搭載された移動局アンテナから送信された電波を地上局アンテナに向けて反射し、地上局アンテナから送信された電波を、移動体が該終端の近傍に位置しているときの移動局アンテナの位置に向けて反射する無給電中継装置を備える。このため、無線通信システムによれば、アンテナの設置位置に制約がある場所において、少数の地上局アンテナを用いて移動局と地上局とが通信可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る無線通信システムの構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る無線通信システムの構成要素の配置例を示す図である。
図3】実施の形態1に係る無給電中継装置による電波の反射の例を示す図である。
図4】実施の形態1に係る無線通信システムの構成要素の配置例を示す図である。
図5】実施の形態2に係る無線通信システムの構成要素の配置例を示す図である。
図6】実施の形態3に係る無給電中継装置による電波の反射の例を示す図である。
図7】実施の形態3に係る無線通信システムの構成要素の配置例を示す図である。
図8】実施の形態4に係る無線通信システムの構成要素の配置例を示す図である。
図9】実施の形態に係る無線通信システムの第1変形例の構成要素の配置例を示す図である。
図10】実施の形態に係る無線通信システムの第2変形例における無給電中継装置による電波の反射の例を示す図である。
図11】実施の形態に係る無線通信システムの第3変形例の構成要素の配置例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施の形態に係る無線通信システムについて図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0014】
(実施の形態1)
地上局と定められた走路を走行あるいは停車する鉄道車両に搭載される移動局とを有する無線通信システムを例にして、実施の形態1に係る無線通信システム1について説明する。図1に示す無線通信システム1は、位置が固定される地上局100と、移動体の一例である鉄道車両に搭載される移動局30と、移動体の走路の延長線上に設けられて、地上局100と移動局30との無線通信を中継する無給電中継装置50と、を備える。無給電中継装置50は、電気を供給されなくても無線通信の電波を中継できる。
【0015】
移動体の走路が幅を持つ場合は、走路の幅を決める両側の線を直線で延長した範囲を、移動体の延長線とする。移動体の走路が線である場合は、走路の線を延長した直線を移動体の走路の延長線とする。どちらの場合でも、移動体の走路の延長線上に設けるとは、延長線の範囲内および範囲外でも延長線の範囲との距離が決められた距離(例えば1m)以内の範囲に設けることを意味する。
【0016】
地上局100は、移動局30と無線で通信する無線通信装置である。地上局100は、指向性アンテナである地上局アンテナ20を有する地上子局10と、地上子局10と有線を介して通信する地上中央局101と、を備える。
【0017】
移動局30は、地上子局10と無線で通信する無線通信装置である。移動局30は、指向性アンテナである移動局アンテナ40を有する。
【0018】
無給電中継装置50は、電力供給を受けることなく、移動局アンテナ40から送信された電波を地上局アンテナ20に向けて反射し、地上局アンテナ20から送信された電波を移動局アンテナ40に向けて反射する。無給電中継装置50は、通信のために送信された電波を反射することで通信を中継する。
【0019】
図1の例では、地上子局10、移動局30、および無給電中継装置50が1つずつ示されているが、地上子局10、移動局30、および無給電中継装置50の個数は、任意である。1つの地上子局10に対して、移動局30および無給電中継装置50が複数個設けられている例を図2に示す。
【0020】
図2に示す無線通信システム1は、走路93の走路92が存在しない側の位置に設けられる地上子局11と、走路91,92,93を走行あるいは停車する移動体である車両81,82,83にそれぞれ搭載される移動局31,32,33と、走路91,92,93の延長線上に設けられる無給電中継装置51,52,53と、を備える。無線通信システム1は、走路ごとに設けられる無給電中継装置50、具体的には、無給電中継装置51,52,53を備えることで、地上子局11と移動局31,32,33との通信を可能にする。図2などでは、車両81は1両だけを示しているが、複数の車両が連結した1編成の車両の中で最も終端91aに近い1両の車両が車両81である。車両81が、1両で1編成の場合もある。車両82,83に関しても同様である。
【0021】
図2において、X軸は、車両81,82,83の進行方向を示す。例えば、車両81,82,83は、X軸正方向またはX軸負方向に進行する鉄道車両である。Y軸は、車両81,82,83の幅方向を示す。Z軸は、X軸およびY軸に直交し、鉛直方向を示す。図2に示す範囲では、車両81,82,83が走行あるいは停車する走路91,92,93はそれぞれ、X軸方向に延伸し、Y軸方向に間隔を空けて並べて設けられている。車両81,82,83が鉄道車両であるとき、走路91,92,93はレールである。図2などは、車両81,82,83のそれぞれが走路91,92,93それぞれの終端91a,92a,93aの近くで停車している状態を示している。車両81の端から終端91aまでの距離は、1両の車両81の長さの半分程度である。車両82,83に関しても同様である。
【0022】
走路91,92,93を走行あるいは停車する車両81,82,83に搭載される移動局31,32,33と地上局100との通信を可能にするため、無線通信システム1は、地上子局11に加えて、図2に示す範囲を超えて延伸する走路91,92,93の少なくともいずれかに沿って配置される他の地上子局を複数個備える。
【0023】
地上中央局101は、地上子局11と他の地上子局のそれぞれに有線、例えば、光ファイバで接続されている。地上中央局101は、地上子局11と他の地上子局のそれぞれに信号を送り、地上子局11または他の地上子局から、地上子局11または他の地上子局が受信した信号を取得する。
【0024】
地上中央局101は、地上子局11および他の地上子局に送る送信用データを生成し、送信用データについて変調、フィルタリング、増幅、周波数変換、E/O(Electric/Optical:電気/光)変換等の信号処理を行って光信号を生成する。地上中央局101は、光信号を、光ファイバを介して、地上子局11と他の地上子局のそれぞれに送信する。地上中央局101が地上子局11と他の地上子局のそれぞれに信号を送信することで、地上子局11および他の地上子局のいずれかと地上中央局101とを介して、走路91,92,93を高速で移動する車両81,82,83に搭載される移動局31,32,33と地上局100との通信が、可能となる。
【0025】
地上中央局101は、地上子局11または他の地上子局から取得した光信号についてO/E変換、周波数変換、増幅、フィルタリング、復調等の信号処理を行って受信データを生成する。地上中央局101は、受信データを図示しない外部機器に送信する。
【0026】
地上子局11は、移動局31,32,33と通信するための地上局アンテナ21を有する。地上局アンテナ21は、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである。具体的には、地上局アンテナ21は、ミリ波帯用の狭指向性アンテナである。地上局アンテナ21のアンテナビームの半値幅は、定められた第1の値以下である。第1の値は、例えば、2度程度以上、かつ、4度程度以下の範囲にある。第1の値は、例えば3度程度であることが好ましい。
【0027】
地上子局11は、地上中央局101から取得した光信号についてO/E変換、周波数変換、増幅、フィルタリング等の信号処理を行って移動局31,32,33に送信するための送信信号を生成し、地上局アンテナ21から送信信号に基づく電波を無給電中継装置51,52,53に向けて送信する。車両81,82,83は、地上局アンテナ21から無給電中継装置51,52,53に向う電波を妨げない位置に停車している。地上局アンテナ21および無給電中継装置51,52,53の設置位置は、無給電中継装置51,52,53のそれぞれと地上局アンテナ21とが送受する電波を通常の停車位置に停車した車両81,82,83が妨げないように決める。地上局アンテナ21は、各走路91,92,93で各車両81,82,83が停車する通常の停車位置よりも終端に近い位置に設置する。
【0028】
移動局31,32,33は、互いに異なる車両に搭載される。具体的には、移動局31,32,33はそれぞれ、車両81,82,83に搭載される。移動局31,32,33はそれぞれ、移動局アンテナ41,42,43を有する。移動局アンテナ41,42,43は、搭載されている車両81,82,83の進行方向、すなわち、図2に示す範囲においてはX軸方向にミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである。具体的には、移動局アンテナ41,42,43は、ミリ波帯用の狭指向性アンテナである。移動局アンテナ41,42,43のアンテナビームの半値幅は、定められた第2の値以下である。第2の値は、例えば、2度程度以上、かつ、4度程度以下の範囲にある。第2の値は、例えば3度程度であることが好ましい。
【0029】
無給電中継装置51,52,53は、例えば、ミリ波を反射する反射面51a,52a,53aを有する平板状部材で形成される。反射面51a,52a,53aを含む無給電中継装置51,52,53の少なくとも一部は、ミリ波を反射する金属部材で形成される。
【0030】
無給電中継装置51,52,53は、互いに異なる走路の延長線上に設けられる。具体的には、無給電中継装置51,52,53はそれぞれ、走路91,92,93のX軸方向における終端91a,92a,93aから離れた走路91,92,93の延長線上の位置、換言すれば、終端91a,92a,93aからX軸正方向に決められた距離を有する位置に設けられる。
【0031】
無給電中継装置51,52,53のそれぞれは、地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置51,52,53のそれぞれで反射された電波が走路91,92,93のそれぞれに沿って伝搬する向きおよび位置に固定される。無給電中継装置51の向きおよび位置に固定されるとは、固定された向きおよび位置で無給電中継装置51が設置されることを意味する。
【0032】
上述のように設けられた無給電中継装置51,52,53は、地上局100と移動局31,32,33との間で行われる電波の送受信を中継する。詳細には、無給電中継装置51は、走路91の終端91aの近傍に位置している車両81に搭載された移動局アンテナ41から送信された電波を地上局アンテナ21に向けて反射し、地上局アンテナ21から送信された電波を、車両81が終端91aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ41の位置に向けて反射する。終端91aの近傍とは、終端91aの近くの走路91の直線部分であって、かつ終端91aからの距離が車両81を含む1編成の車両の長さの半分程度以内である範囲である。終端92a,93aに関しても、同様である。1編成の車両数が編成により異なる場合は、1編成の車両の最長の長さの半分程度以内とする。
【0033】
無給電中継装置52は、移動局アンテナ42から送信された電波を地上局アンテナ21に向けて反射し、地上局アンテナ21から送信された電波を、車両82が終端92aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ42の位置に向けて反射する。
【0034】
無給電中継装置53は、移動局アンテナ43から送信された電波を地上局アンテナ21に向けて反射し、地上局アンテナ21から送信された電波を、車両83が終端93aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ43の位置に向けて反射する。
【0035】
例えば図3において、車両81,82,83がそれぞれ終端91a,92a,93aそれぞれの近傍に位置しているときに、地上局アンテナ21から送信された電波は、無給電中継装置51,52,53によって、移動局アンテナ41,42,43に向けて矢印で示すように反射される。同様に、移動局アンテナ41,42,43から送信された電波は、無給電中継装置51,52,53によって、地上局アンテナ21に向けて反射される。これにより、地上局100と移動局31,32,33との通信が可能となる。
【0036】
地上局100と移動局31,32,33との通信を可能とするための地上局アンテナ21、移動局アンテナ41,42,43および無給電中継装置51,52,53の配置例について以下に説明する。地上局アンテナ21は、図2において一点鎖線で示すように、無給電中継装置51,52,53の内、中央に位置する無給電中継装置52に向けて設けられる。詳細には、地上局アンテナ21の利得が最大となる方向に無給電中継装置52が位置する向きで、地上局アンテナ21が設置される。
【0037】
地上局アンテナ21および無給電中継装置51,52,53は、地上局アンテナ21から送信された電波が無給電中継装置51,52,53のいずれかに向かって伝搬する際に、他の無給電中継装置51,52,53から離れた位置を伝搬可能となる位置および向きに設けられることが好ましい。詳細には、以下が防止できる位置および向きに、地上局アンテナ21および無給電中継装置51,52,53が設けられることが好ましい。
(i)地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置51に向かう電波が無給電中継装置52,53によって遮蔽されること。
(ii)地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置52に向かう電波が無給電中継装置51,53によって遮蔽されること。
(iii)地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置53に向かう電波が無給電中継装置51,52によって遮蔽されること。
【0038】
具体的には、図4に示すように、XY平面において、地上局アンテナ21の中心の点C0と反射面51aの右端の点C1および左端の点C1とでできる三角形C0C1C1、点C0と反射面52aの右端の点C2および左端の点C2とでできる三角形C0C2C2および点C0と反射面53aの右端の点C3および左端の点C3とでできる三角形C0C3C3が、互いに重なる部分を有しないことが好ましい。
【0039】
三角形C0C1C1は、地上局アンテナ21から無給電中継装置51に向かう電波が伝播する範囲を表す。三角形C0C2C2は、地上局アンテナ21から無給電中継装置52に向かう電波が伝播する範囲を表す。三角形C0C3C3は、地上局アンテナ21から無給電中継装置53に向かう電波が伝播する範囲を表す。三角形C0C1C1などを、伝播範囲三角形と呼ぶ。
【0040】
地上局アンテナ21から送信された電波が無給電中継装置51,52,53のいずれかに向かって伝搬する際に、他の無給電中継装置51,52,53から離れた位置を伝搬するとは、地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置51,52,53のいずれかに向かう電波の伝播範囲三角形の中に他の無給電中継装置51,52,53が存在しないことを意味する。各無給電中継装置51,52,53への伝播範囲三角形が重ならないようにするため、地上局アンテナ21から遠い無給電中継装置51を、他よりも終端91aに近い位置に設置してもよい。
【0041】
地上局アンテナ21は指向性アンテナであるため、無給電中継装置51,52,53は、地上局アンテナ21のビーム範囲に含まれる位置に設けられることが好ましい。同様に、移動局アンテナ41,42,43は指向性アンテナであるため、無給電中継装置51,52,53はそれぞれ、車両81,82,83が終端91a,92a,93aそれぞれの近傍に位置しているときに移動局アンテナ41,42,43のビーム範囲に含まれる位置に設けられることが好ましい。指向性アンテナの通信できる領域(ビーム範囲)は、指向性アンテナが向く方向の両側の決められた角度の範囲である。決められた角度は、進行性アンテナの半値幅から決める。ビーム範囲を決める角度を、例えば半値幅にしてもよい。あるいは、半値幅の1.2倍をビーム範囲を決める角度にしてもよい。
【0042】
以上説明した通り、実施の形態1に係る無線通信システム1は、無給電中継装置51,52,53を備えることで、地上局100と移動局31,32,33との通信を可能とする。移動局アンテナ41,42,43が通信可能な領域に位置する程度に、走路91,92,93の終端91a,92a,93aから離れた位置に地上局アンテナを設けることができない場合であっても、無線通信システム1は、走路91,92,93のそれぞれの延長線上の位置に複数の地上局アンテナを設ける必要がない。このため、アンテナの設置位置に制約がある場所において、少数の地上局アンテナ21を用いて移動局31,32,33と地上局100とが通信可能な無線通信システム1が得られる。
【0043】
無給電中継装置51,52,53は、地上子局11および地上局アンテナ21と比べて安価であるため、アンテナの設置位置に制約がある場所において走路ごとに地上局アンテナを有する地上子局を備える無線通信システムと比べて、無線通信システム1の製造コストは安価である。
【0044】
(実施の形態2)
無線通信システムの構成要素の個数は上述の例に限られず、任意である。一例として、図5に示す実施の形態2に係る無線通信システム2は、走路92の走路91が存在しない側の位置に設けられる地上子局11と、走路91,92を走行あるいは停車する車両81,82にそれぞれ搭載される移動局31,32と、走路91,92の延長線上に設けられる無給電中継装置51,52と、を備える。無線通信システム2は、無給電中継装置51,52を備えることで、地上子局11と移動局31,32との通信を可能にする。地上子局11、移動局31,32、および無給電中継装置51,52の構成は、実施の形態1と同様である。
【0045】
図5の見方は図2と同様である。走路91,92を走行あるいは停車する車両81,82に搭載される移動局31,32と地上局100との通信を可能にするため、無線通信システム2は地上子局11に加えて、走路91,92の少なくともいずれかに沿って配置される図示しない他の地上子局を複数個備える。
【0046】
無給電中継装置51,52はそれぞれ、走路91,92のX軸方向における終端91a,92aから離れた走路91,92の延長線上の位置、換言すれば、終端91a,92aからX軸正方向に決められた距離を有する位置に設けられる。
【0047】
図5において、車両81,82が終端91a,92aそれぞれの近傍に位置しているときに、地上局アンテナ21から送信された電波は、無給電中継装置51,52によって、移動局アンテナ41,42に向けて矢印で示すように反射される。同様に、移動局アンテナ41,42から送信された電波は、無給電中継装置51,52によって、地上局アンテナ21に向けて反射される。これにより、地上局100と移動局31,32との通信が可能となる。
【0048】
地上局100と移動局31,32との通信を可能とするための地上局アンテナ21、移動局アンテナ41,42および無給電中継装置51,52の配置例について以下に説明する。地上局アンテナ21は、図5において一点鎖線で示すように、XY平面において、両端に位置する無給電中継装置51,52の中間点P1に向けて設けられる。詳細には、地上局アンテナ21の利得が最大となる方向に中間点P1が位置する向きで、地上局アンテナ21が設置される。中間点P1は、例えば、XY平面における無給電中継装置51,52のそれぞれが有する反射面51a,52aの中心を結ぶ線分の中点である。あるいは、上から見た無給電中継装置51,52のそれぞれの外形の重心を結ぶ線分の中点である。
【0049】
図5など、この明細書では走路91,92の終端91a,92aのX座標が同じであり、無給電中継装置51,52のそれぞれが有する反射面51a,52aの中心のX座標が同じである図を書いている。実際には、走路によって終端の位置が異なる場合がある。また、終端と反射面の中心の間の距離が、無給電中継装置により異なる場合がある。無給電中継装置51,52の配列方向がY軸方向と異なる場合でも、無給電中継装置51,52のそれぞれが有する反射面51a,52aの中心を結ぶ線分の中点である中間点P1に向けて、地上局アンテナ21を設置してもよい。
【0050】
実施の形態1と同様に、地上局アンテナ21および無給電中継装置51,52は、地上局アンテナ21から送信された電波が無給電中継装置51,52の一方に向かって伝搬する際に、無給電中継装置51,52の他方から離れた位置を伝搬可能となる位置および向きに設けられることが好ましい。詳細には、以下が防止できる位置および向きに、地上局アンテナ21および無給電中継装置51,52が設けられることが好ましい。
(i)地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置51に向かう電波が無給電中継装置52によって遮蔽されること。
(ii)地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置52に向かう電波が無給電中継装置51によって遮蔽されること。
【0051】
図には示さないが、地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置51に向かう電波の伝播範囲三角形と、地上局アンテナ21から送信されて無給電中継装置52に向かう電波の伝播範囲三角形とが、互いに重なり合う部分を持たないことが好ましい。
【0052】
以上説明した通り、実施の形態2に係る無線通信システム2において、地上局アンテナ21が無給電中継装置51,52の中間点P1に向けて設けられることで、地上局100と移動局31,32との通信が可能となる。移動局アンテナ41,42の両方が通信可能な領域に位置する程度に、走路91,92の終端91a,92aから離れた位置に地上局アンテナを設けることができない場合であっても、無線通信システム2は、走路91,92のそれぞれの延長線上の位置に複数の地上局アンテナを設ける必要がない。このため、アンテナの設置位置に制約がある場所において、少数の地上局アンテナ21を用いて移動局31,32と地上局100とが通信可能な無線通信システム2が得られる。
【0053】
(実施の形態3)
上述の実施の形態は組み合わせることが可能である。図6に示すように、実施の形態3に係る無線通信システム3は、実施の形態1に係る無線通信システム1の構成に加えて、無線通信システム2と同様の構成をさらに備える。
【0054】
詳細には、無線通信システム3は、走路95の走路94が存在しない側の位置に設けられる地上子局11,12と、走路91,92,93,94,95を走行あるいは停車する車両81,82,83,84,85にそれぞれ搭載される移動局31,32,33,34,35と、走路91,92,93,94,95の延長線上に設けられる無給電中継装置51,52,53,54,55と、を備える。なお、地上子局11,12のどちらかまたは両方を、走路の間に設置してもよい。
【0055】
無線通信システム3は、無給電中継装置51,52,53を備えることで、地上子局11と移動局31,32,33との通信を可能にする。無線通信システム3は、無給電中継装置54,55を備えることで、地上子局12と車両84,85にそれぞれ搭載される移動局34,35との通信を可能にする。
【0056】
図6の見方は図2と同様である。走路91,92,93,94,95を走行あるいは停車する車両81,82,83,84,85に搭載される移動局31,32,33,34,35と地上局100との通信を可能にするため、無線通信システム3は、地上子局11,12に加えて、走路91,92,93,94,95の少なくともいずれかに沿って配置される図示しない他の地上子局を複数個備える。
【0057】
地上中央局101は、地上子局11,12と他の地上子局のそれぞれに有線、例えば、光ファイバで接続されている。地上中央局101は、地上子局11,12と他の地上子局のそれぞれ信号を送り、地上子局11、地上子局12、または他の地上子局から、地上子局11、地上子局12、または他の地上子局が受信した信号を取得する。
【0058】
地上子局12の構成は、地上子局11と同様である。地上子局12は、移動局34,35と通信するための地上局アンテナ22を有する。地上局アンテナ22は、地上局アンテナ21と同様に、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである。具体的には、地上局アンテナ22は、ミリ波帯用の狭指向性アンテナである。地上局アンテナ22のアンテナビームの半値幅は、定められた第1の値以下である。第1の値は、例えば、2度程度以上、かつ、4度程度以下の範囲にある。第1の値は、例えば3度程度であることが好ましい。
【0059】
移動局34,35の構成は、移動局31-33と同様である。移動局34,35はそれぞれ、移動局アンテナ44,45を有する。移動局アンテナ44,45の構成は、移動局アンテナ41-43と同様である。詳細には、移動局アンテナ44,45は、搭載されている車両84,85の進行方向、すなわち、X軸方向にミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである。具体的には、移動局アンテナ44,45は、ミリ波帯用の狭指向性アンテナである。移動局アンテナ44,45のアンテナビームの半値幅は、定められた第2の値以下である。第2の値は、例えば、2度程度以上、かつ、4度程度以下の範囲にある。第2の値は、例えば3度程度であることが好ましい。
【0060】
無給電中継装置54,55の構造は、無給電中継装置51-53と同様である。無給電中継装置54,55は、無給電中継装置51-53と同様に、ミリ波を反射する反射面54a,55aを有する平板状部材である。反射面54a,55aを含む無給電中継装置54,55の少なくとも一部は、ミリ波を反射する金属部材で形成される。
【0061】
無給電中継装置51,52,53,54,55はそれぞれ、走路91,92,93,94,95のX軸方向における終端91a,92a,93a,94a,95aから離れた走路91,92,93,94,95の延長線上の位置、換言すれば、終端91a,92a,93a,94a,95aからX軸正方向に決められた距離を有する位置に設けられる。
【0062】
無給電中継装置54,55は、地上局アンテナ22から送信されて無給電中継装置54,55で反射された電波が走路94,95に沿って伝搬する向きおよび位置に設けられる。
【0063】
無給電中継装置51,52,53は、実施の形態1と同様に、地上子局11と移動局31,32,33との間で行われる電波の送受信を中継する。無給電中継装置54,55は、地上子局12と移動局34,35との間で行われる電波の送受信を中継する。詳細には、無給電中継装置54は、移動局アンテナ44から送信された電波を地上局アンテナ22に向けて反射し、地上局アンテナ22から送信された電波を、車両84が終端94aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ44の位置に向けて反射する。無給電中継装置55は、移動局アンテナ45から送信された電波を地上局アンテナ22に向けて反射し、地上局アンテナ22から送信された電波を、車両85が終端95aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ45の位置に向けて反射する。
【0064】
例えば図6において、車両81,82,83が終端91a,92a,93aの近傍に位置しているときに、地上局アンテナ21から送信された電波は、無給電中継装置51,52,53によって、移動局アンテナ41,42,43に向けて矢印で示すように反射される。車両84,85が終端94a,95aそれぞれの近傍に位置しているときに、地上局アンテナ22から送信された電波は、無給電中継装置54,55によって、移動局アンテナ44,45に向けて反射される。
【0065】
同様に、移動局アンテナ41,42,43から送信された電波は、無給電中継装置51,52,53によって、地上局アンテナ21に向けて反射される。移動局アンテナ44,45から送信された電波は、無給電中継装置54,55によって、地上局アンテナ22に向けて反射される。これにより、地上子局11と移動局31,32,33との通信および地上子局12と移動局34,35との通信が可能となる。
【0066】
地上局アンテナ21,22が送信する電波が互いに干渉することを防止するため、地上子局11,12は、TDMA(Time Division Multiple Access:時分割多元接続)方式に基づいて、異なるタイミングで電波を送信する。詳細には、地上中央局101が地上子局11,12のそれぞれに異なるタイムスロットを割り当てる。地上子局11,12は割り当てられたタイムスロットにおいて、電波を送受信する。
【0067】
地上局100と移動局31,32,33,34,35との通信を可能とするための地上局アンテナ21,22、移動局アンテナ41,42,43,44,45および無給電中継装置51,52,53,54,55の配置例について以下に説明する。
【0068】
地上局アンテナ21は、実施の形態1と同様に、図7において一点鎖線で示すように、無給電中継装置51,52,53の内、中央に位置する無給電中継装置52に向けて設けられる。
【0069】
実施の形態1と同様に、地上局アンテナ21および無給電中継装置51,52,53は、地上局アンテナ21から送信された電波が無給電中継装置51,52,53のいずれかに向かって伝搬する際に、他の無給電中継装置51,52,53から離れた位置を伝搬可能となる位置および向きに設けられることが好ましい。
【0070】
地上局アンテナ21は指向性アンテナであるため、実施の形態1と同様に、無給電中継装置51,52,53は、地上局アンテナ21のビーム範囲に含まれる位置に設けられることが好ましい。同様に、移動局アンテナ41,42,43は指向性アンテナであるため、無給電中継装置51,52,53はそれぞれ、車両81,82,83が終端91a,92a,93aそれぞれの近傍に位置しているときに移動局アンテナ41,42,43のビーム範囲に含まれる位置に設けられることが好ましい。
【0071】
地上局アンテナ22は、図7において二点鎖線で示すように、無給電中継装置51-55の内、連続して並ぶ走路94,95の延長線上に設けられた無給電中継装置54,55の中間点P2に向けて設けられる。詳細には、地上局アンテナ22の利得が最大となる方向に中間点P2が位置する向きで、地上局アンテナ22が設置される。中間点P2は、例えば、XY平面における無給電中継装置54,55のそれぞれが有する反射面54a,55aの中心を結ぶ線分の中点である。連続して並ぶ走路とは、間に他の走路が入らない複数の走路である。走路94,95は、連続して並ぶ走路であるが、走路93,95は、連続して並ぶ走路ではない。
【0072】
地上局アンテナ22および無給電中継装置54,55は、地上局アンテナ22から送信された電波が無給電中継装置54,55の一方に向かって伝搬する際に、無給電中継装置54,55の他方から離れた位置を伝搬可能となる位置および向きに設けられることが好ましい。
【0073】
地上局アンテナ22は指向性アンテナであるため、無給電中継装置54,55は、地上局アンテナ22のビーム範囲に含まれる位置に設けられることが好ましい。同様に、移動局アンテナ44,45は指向性アンテナであるため、無給電中継装置54,55はそれぞれ、車両84,85が終端94a,95aそれぞれの近傍に位置しているときに移動局アンテナ44,45のビーム範囲に含まれる位置に設けられることが好ましい。
【0074】
以上説明した通り、実施の形態3に係る無線通信システム3は、無線通信システム1の構成に加えて、地上子局12と、移動局34,35と、無給電中継装置54,55と、をさらに備えることで、無線通信システム1よりも広い範囲に位置する移動局31,32,33,34,35と地上局100との通信が可能となる。
【0075】
(実施の形態4)
無線通信システムの構成要素の個数は上述の例に限られず、任意である。図8に示すように、実施の形態4に係る無線通信システム4は、走路91に隣接した位置に設けられる地上子局11と、走路91を走行あるいは停車する車両81に搭載される移動局31と、走路91の延長線上に設けられる無給電中継装置51と、を備える。無線通信システム4は、無給電中継装置51を備えることで、地上子局11と車両81に搭載される移動局31との通信を可能にする。地上子局11、移動局31、および無給電中継装置51の構成は、実施の形態1と同様である。
【0076】
図8の見方は図2と同様である。走路91を走行あるいは停車する車両81に搭載される移動局31と地上局100との通信を可能にするため、無線通信システム4は地上子局11に加えて、走路91に沿って配置される図示しない他の地上子局を複数個備える。
【0077】
無給電中継装置51は、走路91のX軸方向における終端91aから離れた走路91の延長線上の位置、換言すれば、終端91aからX軸正方向に決められた距離を有する位置に設けられる。
【0078】
車両81が終端91aの近傍に位置しているときに、地上局アンテナ21から送信された電波は、無給電中継装置51によって、移動局アンテナ41に向けて反射される。同様に、移動局アンテナ41から送信された電波は、無給電中継装置51によって、地上局アンテナ21に向けて反射される。これにより、地上局100と移動局31との通信が可能となる。
【0079】
地上局100と移動局31との通信を可能とするための地上局アンテナ21、移動局アンテナ41および無給電中継装置51の配置例について以下に説明する。地上局アンテナ21は、無給電中継装置51に向けて設けられる。詳細には、地上局アンテナ21の利得が最大となる方向に無給電中継装置51が位置する向きで、地上局アンテナ21が設置される。
【0080】
図8に示すように、車両81が終端91aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ41と無給電中継装置51との距離L1は、移動局アンテナ41と地上局アンテナ21とが直接的に電波を送受信する場合に受信側で飽和が生じないときの移動局アンテナ41と地上局アンテナ21との距離の最小値以上の距離である不飽和最短距離より短い。距離L1は、無給電中継装置51と車両81が終端91aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ41との最短距離である。
【0081】
不飽和最短距離は、移動局アンテナ41から地上局アンテナ21に電波を送信するときに地上局アンテナ21が生成する受信信号の電力が飽和しない移動局アンテナ41と地上局アンテナ21との距離の最小値および地上局アンテナ21から移動局アンテナ41に電波を送信するときに移動局アンテナ41が生成する受信信号の電力が飽和しない移動局アンテナ41と地上局アンテナ21との距離の最小値の大きい方以上の値である。不飽和最短距離は正確な値を求めなくても、確実に受信信号の電力が飽和しないような距離を不飽和最短距離としてもよい。
【0082】
例えば、無給電中継装置51の位置に地上局アンテナ21が設けられ、終端91aの近傍に位置している車両81に搭載される移動局31の移動局アンテナ41と地上局アンテナ21とが通信すると、受信側で受信電力の飽和が生じる。
【0083】
車両81が終端91aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ41と無給電中継装置51との距離L1および地上局アンテナ21と無給電中継装置51との距離L2の合計であるL1+L2は、不飽和最短距離より長い。距離L2は、地上局アンテナ21と無給電中継装置52との最短距離である。通信距離が不飽和最短距離より長ければ、受信側で受信電力の飽和が起こることが防止される。
【0084】
以上説明した通り、実施の形態4に係る無線通信システム4において、車両81が終端91aの近傍に位置しているときの移動局アンテナ41と無給電中継装置51との距離L1は、不飽和最短距離より短く、かつ、距離L1および地上局アンテナ21と無給電中継装置51との距離L2の合計は、不飽和最短距離より長い。これにより、無給電中継装置51を介して通信する地上局アンテナ21および移動局アンテナ41のいずれにおいても、受信電力の飽和が起こることが防止される。
【0085】
本開示は、上述の実施の形態に限られず、上述の実施の形態は任意に組み合わせることが可能である。例えば、実施の形態1に係る無線通信システム1において、地上局アンテナ21、移動局アンテナ41,42,43、および無給電中継装置51,52,53を実施の形態4に示したように配置してもよい。
【0086】
詳細には、車両81,82,83が終端91a,92a,93aそれぞれの近傍に位置しているときの移動局アンテナ41,42,43のそれぞれと無給電中継装置51,52,53のそれぞれとの距離はいずれも、不飽和最短距離より短い。無給電中継装置51,52,53を介したときの移動局アンテナ41,42,43のそれぞれと地上局アンテナ21との距離はいずれも、不飽和最短距離より長い。
【0087】
地上局アンテナ21の向きは、上述の例に限られない。図9に示すように、無線通信システム1において、地上局アンテナ21は、無給電中継装置51,52,53の内、両端に位置する2つの無給電中継装置51,53の一方、具体的には、無給電中継装置51に向かう第1方向D1と該2つの無給電中継装置51,53の他方、具体的には、無給電中継装置53に向かう第2方向D2の中間の方向に向けられてもよい。
【0088】
XY平面において、地上局アンテナ21の中心の点C0から無給電中継装置51が備える反射面51aの中心の点C1に向かう第1方向D1を二点鎖線で示す。XY平面において、地上局アンテナ21の中心の点C0から無給電中継装置53が備える反射面53aの中心の点C3に向かう第2方向D2を二点鎖線で示す。第1方向D1と第2方向D2の中間の方向である中間方向D0を一点鎖線で示す。
【0089】
第1方向D1と中間方向D0とがなす角度θ1、および、第2方向D2と中間方向D0とがなす角度θ2は、互いに等しい。すなわち、θ1=θ2が成立する。上述のように、第1方向D1と第2方向D2との中間の方向である中間方向D0が地上局アンテナ21の利得が最大となる方向に一致する向きで地上局アンテナ21を設置することで、無給電中継装置51,52,53を介して地上局アンテナ21と移動局アンテナ41,42,43とが通信することが可能となる。
【0090】
無給電中継装置の個数は、上述の例に限られない。一例として、図10に示す無線通信システム5は、偶数個、具体的には、4つの無給電中継装置51,52,53,54を備える。詳細には、無線通信システム5は、走路94の走路93が存在しない側の位置に設けられる地上子局11と、走路91,92,93,94を走行あるいは停車する車両81,82,83,84にそれぞれ搭載される移動局31,32,33,34と、走路91,92,93,94の延長線上に設けられる無給電中継装置51,52,53,54と、を備える。無線通信システム5は、無給電中継装置51,52,53,54を備えることで、地上子局11と車両81,82,83,84にそれぞれ搭載される移動局31,32,33,34との通信を可能にする。地上子局11、移動局31,32,33,34、および無給電中継装置51,52,53,54の構成は、実施の形態3と同様である。
【0091】
図10の見方は図2と同様である。走路91,92,93,94を走行あるいは停車する車両81,82,83,84に搭載される移動局31,32,33,34との通信を可能にするため、無線通信システム5は、地上子局11に加えて、走路91,92,93,94の少なくともいずれかに沿って配置される図示しない他の地上子局を複数個備える。
【0092】
無給電中継装置51,52,53,54はそれぞれ、走路91,92,93,94のX軸方向における終端91a,92a,93a,94aから離れた走路91,92,93,94の延長線上の位置、換言すれば、終端91a,92a,93a,94aからX軸正方向に決められた距離を有する位置に設けられる。
【0093】
図10において、車両81,82,83,84が終端91a,92a,93a,94aそれぞれの近傍に位置しているときに、地上局アンテナ21から送信された電波は、無給電中継装置51,52,53,54によって、移動局アンテナ41,42,43,44に向けて矢印で示すように反射される。同様に、移動局アンテナ41,42,43,44から送信された電波は、無給電中継装置51,52,53,54によって、地上局アンテナ21に向けて反射される。これにより、地上局100と移動局31,32,33,34との通信が可能となる。
【0094】
地上局100と移動局31,32,33,34との通信を可能とするための地上局アンテナ21、移動局アンテナ41,42,43,44および無給電中継装置51,52,53,54の配置例について以下に説明する。地上局アンテナ21は、図10において一点鎖線で示すように、XY平面において、無給電中継装置51,52,53,54の内、中央に位置する2つの無給電中継装置52,53の中間点P3に向けて設けられる。詳細には、地上局アンテナ21の利得が最大となる方向に中間点P3が位置する向きで、地上局アンテナ21が設置される。中間点P3は、例えば、XY平面における無給電中継装置52,53のそれぞれが有する反射面52a,53aの中心を結ぶ線分の中点である。
【0095】
地上局アンテナ21の向きは、上述の例に限られない。図11に示すように、無線通信システム5において、地上局アンテナ21は、無給電中継装置51,52,53,54の内、中央に位置する2つの無給電中継装置52,53の一方、具体的には、無給電中継装置52に向かう第1方向D1’と該2つの無給電中継装置52,53の他方、具体的には、無給電中継装置53に向かう第2方向D2’の中間の方向に向けられてもよい。
【0096】
XY平面において、地上局アンテナ21の中心の点C0から無給電中継装置52が備える反射面52aの中心の点C2に向かう第1方向D1’を二点鎖線で示す。XY平面において、地上局アンテナ21の中心の点C0から無給電中継装置53が備える反射面53aの中心の点C3に向かう第2方向D2’を二点鎖線で示す。第1方向D1’と第2方向D2’の中間の方向である中間方向D0’を一点鎖線で示す。
【0097】
第1方向D1’と中間方向D0’とがなす角度θ1’、および、第2方向D2’と中間方向D0’とがなす角度θ2’は、互いに等しい。すなわち、θ1’=θ2’が成立する。上述のように、第1方向D1’と第2方向D2’との中間の方向である中間方向D0’が地上局アンテナ21の利得が最大となる方向に一致する向きで地上局アンテナ21を設置することで、無給電中継装置51,52,53,54のそれぞれを介して地上局アンテナ21と移動局アンテナ41,42,43,44とが通信することが可能となる。
【0098】
地上局アンテナ20が送信する電波の強度が十分に高い、あるいは、移動局アンテナ40のアンテナゲインが十分に高いために、無給電中継装置50を介した地上局100と移動局30との通信が可能であれば、地上局アンテナ20のビーム範囲の外に無給電中継装置50が設けられてもよい、一例として、図2に示す無線通信システム1において、無給電中継装置51,53が地上局アンテナ21のビーム範囲の外に設けられてもよい。
【0099】
同様に、移動局アンテナ40が送信する電波の強度が十分に高い、あるいは、地上局アンテナ20のアンテナゲインが十分に高いために、無給電中継装置50を介した地上局100と移動局30との通信が可能であれば、移動局アンテナ40のビーム範囲の外に無給電中継装置50が設けられてもよい。一例として、図2に示す無線通信システム1において、無給電中継装置51が移動局アンテナ41のビーム範囲の外に設けられてもよい。
【0100】
地上局アンテナ20は、2つの無給電中継装置の中間点として、最も近い無給電中継装置50と最も遠い無給電中継装置50との中間点に向けて設けられてもよい。一例として、図10に示す無線通信システム5において、地上局アンテナ21は、無給電中継装置51と無給電中継装置54との中間点に向けて設けられてもよい。
【0101】
無給電中継装置51-55の形状は、上述の例に限られない。一例として、無給電中継装置51-55は曲面の反射面51a-55aを有してもよい。他の一例として、無給電中継装置51-55は、二基のパラボラアンテナを組み合わせた中継装置で構成されてもよい。
【0102】
図7に示す無線通信システム3が備える地上局100は、地上中央局101および地上子局11,12に接続され、地上中央局101を地上子局11,12のいずれかに接続するスイッチを有してもよい。
【0103】
無線通信システム1-5は、鉄道車両に限られず、定められた走路を移動するあるいは走路に停止する任意の移動体に搭載することができる。一例として、無線通信システム1-5は、トロリーバスに搭載されてもよい。
【0104】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
定められた走路を移動するあるいは前記走路に停止する移動体に前記移動体の進行方向に向けて設けられ、ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである移動局アンテナを有する移動局と、
ミリ波帯の電波を送受信する指向性アンテナである地上局アンテナを有し、位置が固定される地上局と、
前記走路の延長線上に設けられて、前記走路の終端の近傍に位置している前記移動体に搭載された前記移動局アンテナから送信された前記電波を前記地上局アンテナに向けて反射し、前記地上局アンテナから送信された前記電波を、前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナの位置に向けて反射する、電気を供給されなくても前記電波を中継できる無給電中継装置と、
を備える無線通信システム。
(付記2)
互いに異なる複数の前記走路のそれぞれを移動するあるいは前記走路に停止する複数の前記移動体のそれぞれに搭載される複数の前記移動局と、
互いに異なる前記走路の延長線上に設けられる複数の前記無給電中継装置と、を備える、
付記1に記載の無線通信システム。
(付記3)
前記地上局アンテナおよび複数の前記無給電中継装置は、前記地上局アンテナから送信された前記電波が複数の前記無給電中継装置のいずれかに向かって伝搬する際に、他の前記無給電中継装置から離れた位置を伝搬可能となる位置および向きに設けられる、
付記2に記載の無線通信システム。
(付記4)
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、2つの前記無給電中継装置の一方に向かう第1方向と2つの前記無給電中継装置の他方に向かう第2方向の中間の方向に向けて設けられる、
付記2または3に記載の無線通信システム。
(付記5)
2つの前記無給電中継装置は、複数の前記無給電中継装置の内、両端に位置する2つの前記無給電中継装置である、
付記4に記載の無線通信システム。
(付記6)
複数の前記無給電中継装置は、偶数個の前記無給電中継装置であり、
2つの前記無給電中継装置は、複数の前記無給電中継装置の内、連続して並ぶ偶数個の前記走路のそれぞれの延長線上に設けられた偶数個の前記無給電中継装置において中央に位置する2つの前記無給電中継装置である、
付記4に記載の無線通信システム。
(付記7)
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、2つの前記無給電中継装置の中間点に向けて設けられる、
付記2または3に記載の無線通信システム。
(付記8)
複数の前記無給電中継装置は、奇数個の前記無給電中継装置であり、
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、連続して並ぶ奇数個の前記走路のそれぞれの延長線上に設けられた奇数個の前記無給電中継装置において中央に位置する前記無給電中継装置に向けて設けられる、
付記2または3に記載の無線通信システム。
(付記9)
複数の前記無給電中継装置は、偶数個の前記無給電中継装置であり、
前記地上局アンテナは、複数の前記無給電中継装置の内、連続して並ぶ偶数個の前記走路のそれぞれの延長線上に設けられた偶数個の前記無給電中継装置において中央に位置する2つの前記無給電中継装置の中間点に向けて設けられる、
付記2または3に記載の無線通信システム。
(付記10)
前記地上局は、互いに異なる前記無給電中継装置を介して前記移動局アンテナと電波を送受信する複数の前記地上局アンテナを有する、
付記2から9のいずれかに記載の無線通信システム。
(付記11)
前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナと前記無給電中継装置との距離は、前記地上局アンテナと前記移動局アンテナとが直接的に電波を送受信する場合に受信側で飽和が生じないときの前記地上局アンテナと前記移動局アンテナとの距離の最小値以上の距離である不飽和最短距離よりも短く、かつ、前記移動局アンテナと前記無給電中継装置との距離および前記地上局アンテナと前記無給電中継装置との距離の合計は、前記不飽和最短距離よりも長い、
付記1から10のいずれかに記載の無線通信システム。
(付記12)
前記無給電中継装置は、前記地上局アンテナのビーム範囲に含まれる位置に設けられる、
付記1から11のいずれかに記載の無線通信システム。
(付記13)
前記無給電中継装置は、前記移動体が前記終端の近傍に位置しているときの前記移動局アンテナのビーム範囲に含まれる位置に設けられる、
付記1から12のいずれかに記載の無線通信システム。
【符号の説明】
【0105】
1,2,3,4,5 無線通信システム、10,11,12 地上子局、20,21,22 地上局アンテナ、30,31,32,33,34,35 移動局、40,41,42,43,44,45 移動局アンテナ、50,51,52,53,54,55 無給電中継装置、51a,52a,53a,54a,55a 反射面、81,82,83,84,85 車両、91,92,93,94,95 走路、91a,92a,93a,94a,95a 終端、100 地上局、101 地上中央局、C0,C1,C2,C3 中心の点、C1,C2,C3 左端の点、C1,C2,C3 右端の点、D0,D0’ 中間方向、D1,D1’ 第1方向、D2,D2’ 第2方向、L1,L2 距離、P1,P2,P3 中間点、θ1,θ1’,θ2,θ2’ 角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11