(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140297
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】トランジスタ、回路基板及び表示装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20241003BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L29/78 616J
G09F9/30 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051378
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】520487808
【氏名又は名称】シャープディスプレイテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹内 洋平
(72)【発明者】
【氏名】川崎 達也
(72)【発明者】
【氏名】原 健吾
(72)【発明者】
【氏名】杉野 雅史
(72)【発明者】
【氏名】今井 元
(72)【発明者】
【氏名】大東 徹
【テーマコード(参考)】
5C094
5F110
【Fターム(参考)】
5C094AA37
5C094AA42
5C094BA03
5C094EA10
5C094FA01
5F110AA14
5F110BB02
5F110CC07
5F110DD02
5F110EE38
5F110FF03
5F110GG01
5F110GG02
5F110GG13
5F110GG15
5F110HM04
5F110HM12
5F110HM17
5F110HM19
5F110NN02
5F110NN23
5F110NN72
5F110NN77
(57)【要約】
【課題】良好な歩留まりを担保しつつホットキャリアの発生を抑制する。
【解決手段】トランジスタT2は、第1電極30と、第1電極30に対して少なくとも一部が重畳して配されていて半導体材料からなる第1半導体部31と、第1電極30と第1半導体部31との間に介在する第1絶縁膜34と、第1半導体部31の一部に対して重畳して配されて第1半導体部31に接続される第2電極32と、第2電極32と同層に位置し第1半導体部31の一部に対して重畳して配されて第1半導体部31に接続される第3電極33と、を備え、第2電極32は、第3電極33よりも低電位とされ、第3電極33は、第2電極32に対して間隔を空けて配される第1部33Bと、第2電極32に対して第1部33B側とは反対側に間隔を空けて配される第2部33Cと、を有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極と、
前記第1電極に対して少なくとも一部が重畳して配されていて半導体材料からなる第1半導体部と、
前記第1電極と前記第1半導体部との間に介在する第1絶縁膜と、
前記第1半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第1半導体部に接続される第2電極と、
前記第2電極と同層に位置し前記第1半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第1半導体部に接続される第3電極と、を備え、
前記第2電極は、前記第3電極よりも低電位とされ、
前記第3電極は、前記第2電極に対して間隔を空けて配される第1部と、前記第2電極に対して前記第1部側とは反対側に間隔を空けて配される第2部と、を有するトランジスタ。
【請求項2】
前記第3電極は、前記第2部に対して前記第1部側とは反対側に間隔を空けて配される第3部を有しており、
前記第2電極は、前記第1部と前記第2部との間に挟まれて前記第1部と前記第2部とに対してそれぞれ間隔を空けて配される第4部と、前記第2部と前記第3部との間に挟まれて前記第2部と前記第3部とに対してそれぞれ間隔を空けて配される第5部と、を有する請求項1記載のトランジスタ。
【請求項3】
前記第2電極及び前記第3電極と同層に位置し前記第1半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第1半導体部に接続される第4電極及び第5電極を備え、
前記第4電極は、前記第2電極と前記第1部との間に挟まれて前記第2電極と前記第1部とに対してそれぞれ間隔を空けて配され、
前記第5電極は、前記第2電極と前記第2部との間に挟まれて前記第2電極と前記第2部とに対してそれぞれ間隔を空けて配され、
前記第4電極及び前記第5電極は、いずれも前記第2電極よりも高電位とされ、前記第3電極よりも低電位とされる請求項1または請求項2記載のトランジスタ。
【請求項4】
前記第1電極と同電位とされる第6電極と、
前記第6電極に対して少なくとも一部が前記第1絶縁膜を介して重畳して配されていて半導体材料からなる第2半導体部と、
前記第2電極及び前記第3電極と同層に位置し前記第2半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第2半導体部に接続される第7電極と、を備え、
前記第3電極は、前記第2半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第2半導体部に接続される第6部を有し、
前記第7電極は、前記第6部に対して間隔を空けて配される第7部と、前記第6部に対して前記第7部側とは反対側に間隔を空けて配される第8部と、を有する請求項1または請求項2記載のトランジスタ。
【請求項5】
前記第1電極は、前記第1絶縁膜の下層側に位置し、
前記第1半導体部は、前記第1絶縁膜の上層側に位置し、
前記第2電極及び前記第3電極は、前記第1半導体部の上層側に位置する請求項1または請求項2記載のトランジスタ。
【請求項6】
前記第1半導体部は、前記第1絶縁膜の下層側に位置し、前記第1電極は、前記第1絶縁膜の上層側に位置しており、
前記第1電極の上層側で前記第2電極及び前記第3電極の下層側に配される第2絶縁膜を備え、
前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜のうち、前記第2電極及び前記第1半導体部と重畳する位置に第1コンタクトホールが設けられ、前記第1部及び前記第1半導体部と重畳する位置に第2コンタクトホールが設けられ、前記第2部及び前記第1半導体部と重畳する位置に第3コンタクトホールが設けられる請求項1または請求項2記載のトランジスタ。
【請求項7】
請求項1または請求項2記載のトランジスタと、
前記トランジスタが設けられる基板と、を備える回路基板。
【請求項8】
前記第1電極に対して前記トランジスタにおける閾値電圧以上とされる第1電位を供給する第1電位供給部と、
前記第2電極に対して前記第1電位よりも低い第2電位を供給する第2電位供給部と、
前記第3電極に対して前記第2電位よりも高い第3電位を供給する第3電位供給部と、を備える請求項7記載の回路基板。
【請求項9】
請求項7記載の回路基板と、
前記回路基板に対して対向配置される対向基板と、を備える表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書が開示する技術は、トランジスタ、回路基板及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液晶パネル等に備わるトランジスタの一例として下記特許文献1に記載されたものが知られている。特許文献1に記載されたトランジスタは、高い導電率を有する第1配線層及び第2配線層の端部とゲート電極層の重なりをなくすことにより、第1電極層及び第2電極層近傍に電界が集中する現象を緩和してホットキャリアの発生を抑制し、加えて第1配線層及び第2配線層より高抵抗の第1電極層及び第2電極層をドレイン電極層として用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した特許文献1に記載されたトランジスタでは、ソース電極が第1配線層と第1電極層との積層構造とされ、ドレイン電極が第2配線層と第2電極層との積層構造とされている。このため、第1配線層及び第2配線層の上層側に積層される半導体層には、段差が生じ、段差に起因して膜切れ等の不良が生じ易くなっていた。結果として、歩留まりが芳しくない等の問題が懸念される。
【0005】
本明細書に記載の技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、良好な歩留まりを担保しつつホットキャリアの発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本明細書に記載の技術に関わるトランジスタは、第1電極と、前記第1電極に対して少なくとも一部が重畳して配されていて半導体材料からなる第1半導体部と、前記第1電極と前記第1半導体部との間に介在する第1絶縁膜と、前記第1半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第1半導体部に接続される第2電極と、前記第2電極と同層に位置し前記第1半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第1半導体部に接続される第3電極と、を備え、前記第2電極は、前記第3電極よりも低電位とされ、前記第3電極は、前記第2電極に対して間隔を空けて配される第1部と、前記第2電極に対して前記第1部側とは反対側に間隔を空けて配される第2部と、を有する。
【0007】
(2)また、上記トランジスタは、上記(1)に加え、前記第3電極は、前記第2部に対して前記第1部側とは反対側に間隔を空けて配される第3部を有しており、前記第2電極は、前記第1部と前記第2部との間に挟まれて前記第1部と前記第2部とに対してそれぞれ間隔を空けて配される第4部と、前記第2部と前記第3部との間に挟まれて前記第2部と前記第3部とに対してそれぞれ間隔を空けて配される第5部と、を有してもよい。
【0008】
(3)また、上記トランジスタは、上記(1)または上記(2)に加え、前記第2電極及び前記第3電極と同層に位置し前記第1半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第1半導体部に接続される第4電極及び第5電極を備え、前記第4電極は、前記第2電極と前記第1部との間に挟まれて前記第2電極と前記第1部とに対してそれぞれ間隔を空けて配され、前記第5電極は、前記第2電極と前記第2部との間に挟まれて前記第2電極と前記第2部とに対してそれぞれ間隔を空けて配され、前記第4電極及び前記第5電極は、いずれも前記第2電極よりも高電位とされ、前記第3電極よりも低電位とされてもよい。
【0009】
(4)また、上記トランジスタは、上記(1)または上記(2)に加え、前記第1電極と同電位とされる第6電極と、前記第6電極に対して少なくとも一部が前記第1絶縁膜を介して重畳して配されていて半導体材料からなる第2半導体部と、前記第2電極及び前記第3電極と同層に位置し前記第2半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第2半導体部に接続される第7電極と、を備え、前記第3電極は、前記第2半導体部の一部に対して重畳して配されて前記第2半導体部に接続される第6部を有し、前記第7電極は、前記第6部に対して間隔を空けて配される第7部と、前記第6部に対して前記第7部側とは反対側に間隔を空けて配される第8部と、を有してもよい。
【0010】
(5)また、上記トランジスタは、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記第1電極は、前記第1絶縁膜の下層側に位置し、前記第1半導体部は、前記第1絶縁膜の上層側に位置し、前記第2電極及び前記第3電極は、前記第1半導体部の上層側に位置してもよい。
【0011】
(6)また、上記トランジスタは、上記(1)から上記(4)のいずれかに加え、前記第1半導体部は、前記第1絶縁膜の下層側に位置し、前記第1電極は、前記第1絶縁膜の上層側に位置しており、前記第1電極の上層側で前記第2電極及び前記第3電極の下層側に配される第2絶縁膜を備え、前記第1絶縁膜及び前記第2絶縁膜のうち、前記第2電極及び前記第1半導体部と重畳する位置に第1コンタクトホールが設けられ、前記第1部及び前記第1半導体部と重畳する位置に第2コンタクトホールが設けられ、前記第2部及び前記第1半導体部と重畳する位置に第3コンタクトホールが設けられてもよい。
【0012】
(7)本明細書に記載の技術に関わる回路基板は、上記(1)から上記(6)のいずれかに記載のトランジスタと、前記トランジスタが設けられる基板と、を備える。
【0013】
(8)また、上記回路基板は、上記(7)に加え、前記第1電極に対して前記トランジスタにおける閾値電圧以上とされる第1電位を供給する第1電位供給部と、前記第2電極に対して前記第1電位よりも低い第2電位を供給する第2電位供給部と、前記第3電極に対して前記第2電位よりも高い第3電位を供給する第3電位供給部と、を備えてもよい。
【0014】
(9)本明細書に記載の技術に関わる表示装置は、上記(7)または上記(8)に記載の回路基板と、前記回路基板に対して対向配置される対向基板と、を備える。
【発明の効果】
【0015】
本明細書に記載の技術によれば、良好な歩留まりを担保しつつホットキャリアの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図2】実施形態1に係る液晶パネルに備わるアレイ基板の表示領域における画素配列を示す回路図
【
図3】実施形態1に係るアレイ基板に備わるゲート回路部を構成する単位回路の回路構成を示す回路図
【
図4】実施形態1に係るゲート回路部と各配線との関係を示すブロック図
【
図5】実施形態1に係る単位回路の動作に係るタイミングチャート
【
図6】実施形態1に係る単位回路に備わる第2トランジスタの平面図
【
図7】実施形態1に係るアレイ基板における
図6のvii-vii線断面図
【
図8】実施形態2に係る単位回路に備わる第2トランジスタの平面図
【
図9】実施形態2に係るアレイ基板における
図8のix-ix線断面図
【
図10】実施形態3に係る単位回路に備わる第2トランジスタの平面図
【
図11】実施形態3に係るアレイ基板における
図10のxi-xi線断面図
【
図12】実施形態4に係る単位回路に備わる第2トランジスタの平面図
【
図13】実施形態5に係る単位回路に備わる第2トランジスタの平面図
【
図14】実施形態5に係るアレイ基板における
図13のxiv-xiv線断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
実施形態1を
図1から
図7によって説明する。本実施形態では、液晶パネル(表示装置)10について例示する。なお、各図面の一部にはX軸、Y軸及びZ軸を示しており、各軸方向が各図面で示した方向となるように描かれている。
【0018】
本実施形態に係る液晶パネル10は、
図1に示すように、全体として平面形状が縦長の方形状とされる。この液晶パネル10は、その短辺方向がX軸方向と、長辺方向がY軸方向と、板厚方向がZ軸方向と、それぞれ一致している。液晶パネル10は、バックライト装置(照明装置)から照射される照明光を利用して画像を表示することが可能とされる。液晶パネル10は、画面の中央側部分が、画像が表示される表示領域(画素領域)AAとされる。液晶パネル10は、画面における表示領域AAを取り囲む額縁状の外周側部分が、画像が表示されない非表示領域(額縁領域)NAAとされる。なお、
図1において一点鎖線により囲った範囲が表示領域AAである。
【0019】
液晶パネル10は、
図1に示すように、ほぼ透明で優れた透光性を有するガラス製の一対の基板11,12の間に、電界印加に伴って光学特性が変化する物質である液晶分子を含む液晶層を挟持した構成とされる。一対の基板11,12のうち、表側に配されるものが対向基板11であり、裏側に配されるものがアレイ基板(回路基板)12である。対向基板11及びアレイ基板12は、いずれもガラス基板の内面側に各種の膜が積層形成されてなる。このうちのアレイ基板12は、長辺寸法が対向基板11の同寸法よりも大きくされており、長辺方向についての一方の端部が、対向基板11から側方に突き出す突き出し部12Aとなっている。突き出し部12Aは、対向基板11により覆われずに露出している。突き出し部12Aは、全域が非表示領域NAAであり、各種信号を供給するためのドライバ13及びフレキシブル基板14が実装されている。
【0020】
ドライバ13は、内部に駆動回路を有するLSIチップからなる。ドライバ13は、アレイ基板12の突き出し部12Aに対してCOG(Chip On Glass)実装されている。ドライバ13は、表示領域AAに対してY軸方向の片側に隣り合うよう配されており、フレキシブル基板14と表示領域AAとの間に挟み込まれる配置となっている。ドライバ13は、平面形状が横長の方形状とされる。ドライバ13は、フレキシブル基板14によって伝送される各種信号を処理する。フレキシブル基板14は、絶縁性及び可撓性を有する基材上に多数本の配線パターンを形成した構成とされる。フレキシブル基板14は、一端側がアレイ基板12に、他端側が外部のコントロール基板(信号供給源)に、それぞれ接続されている。コントロール基板から供給される各種信号は、フレキシブル基板14を介して液晶パネル10に伝送される。
【0021】
アレイ基板12の非表示領域NAAには、
図1に示すように、表示領域AAをX軸方向について両側から挟み込む形で一対のゲート回路部(GDM(Gate Driver Monolithic)回路部)15が設けられている。ゲート回路部15は、Y軸方向に沿って延在する帯状の範囲に設けられている。ゲート回路部15は、後述するゲート配線16に走査信号を供給するためのものであり、アレイ基板12にモノリシックに設けられている。ゲート回路部15は、走査信号を所定のタイミングで出力するシフトレジスタ回路や走査信号を増幅するためのバッファ回路等を有する。ゲート回路部15の具体的な回路構成などに関しては、後に詳しく説明する。
【0022】
図2を用いてアレイ基板12の表示領域AAにおける画素配列の概要を説明する。アレイ基板12の表示領域AAにおける内面側には、
図2に示すように、格子状をなす複数本ずつのゲート配線(走査配線)16及びソース配線(信号配線、データ配線)17が配されている。ゲート配線16は、表示領域AAを横断する形でX軸方向に沿って延在する。ゲート配線16は、複数がY軸方向に間隔を空けて並んで配される。複数のゲート配線16には、上記したゲート回路部15から出力される走査信号が、
図2の上段側から順に供給されるようになっている。ソース配線17は、表示領域AAを縦断する形でY軸方向に沿って延在し、ゲート配線16と交差する。ソース配線17は、複数がX軸方向に間隔を空けて配される。ソース配線17には、上記したドライバ13から出力される画像信号が供給される。
【0023】
ゲート配線16及びソース配線17の交差部位付近には、
図2に示すように、画素トランジスタ18及び画素電極19が設けられている。画素トランジスタ18及び画素電極19は、複数ずつX軸方向及びY軸方向に沿って規則的に並んでマトリクス状(行列状)に平面配置されている。画素電極19は、透明電極材料からなる。画素トランジスタ18には、ゲート配線16、ソース配線17及び画素電極19が接続されている。画素トランジスタ18は、ゲート配線16が接続されるゲート電極18Aと、ソース配線17が接続されるソース電極18Bと、画素電極19が接続されるドレイン電極18Cと、ソース電極18Bとドレイン電極18Cとに接続される半導体部18Dと、を有する。半導体部18Dは、半導体材料からなり、ゲート電極18Aと重畳して配される。画素トランジスタ18は、ゲート配線16からゲート電極18Aに供給される走査信号に基づいて駆動されると、ソース配線17からソース電極18Bに供給される画像信号に基づいた電位に画素電極19を充電する。これに対し、対向基板11の表示領域AAにおける内面側には、R(赤色),G(緑色),B(青色)等を呈するカラーフィルタや隣り合うカラーフィルタの間を仕切る遮光部(ブラックマトリクス)等が設けられている。カラーフィルタは、画素電極19と対向して配され、対向する画素電極19と共に表示単位である画素を構成する。また、対向基板11及びアレイ基板12のいずれかには、画素電極19と同様の透明電極材料からなり、画素電極19と間隔を空けて重畳配置される共通電極が設けられている。液晶パネル10は、この共通電極と各画素電極19との間に生じる電位差に基づいて液晶層に所定の電界が印加され、それにより各画素に所定の階調表示を行わせることが可能となっている。
【0024】
続いて、ゲート回路部15について
図3から
図5を用いて詳しく説明する。ゲート回路部15は、いわゆるシフトレジスタ回路であり、
図3に示される単位回路20を複数含む。以下、
図3を用いて単位回路20の回路構成について説明する。単位回路20は、3個のトランジスタT1~T3と、1個のキャパシタC1と、5個の端子IT1~IT5と、を備える。なお、以下では、トランジスタT1~T3及びキャパシタC1の間を接続する接続配線を内部ノードnodeAと呼ぶ。第1端子(第3電位供給部)IT1には、セット信号Setまたはゲートスタートパルス信号GSPが入力される。第2端子(第1電位供給部)IT2には、リセット信号Resetが入力される。第3端子(第2電位供給部)IT3には、電源電圧信号VSSが入力される。第4端子IT4には、クロック信号CLK(後述するクロック信号CLK1,CLK2,CLK1B,CLK2Bのいずれか)が入力される。第5端子IT5には、n段目の走査信号GL(n)が出力される。ここで言う「n」は、1以上の整数(自然数)である。第1トランジスタT1は、ゲート電極及びソース電極が第1端子IT1に、ドレイン電極が内部ノードnodeAに、それぞれ接続されている。第2トランジスタ(トランジスタ)T2は、ゲート電極が第2端子IT2に、ソース電極が内部ノードnodeA(第1トランジスタT1のドレイン電極)に、ドレイン電極が第3端子IT3に、それぞれ接続されている。第3トランジスタT3は、ゲート電極が内部ノードnodeA(第1トランジスタT1のドレイン電極及び第2トランジスタT2のソース電極)に、ソース電極が第4端子IT4に、ドレイン電極が第5端子IT5に、それぞれ接続されている。キャパシタC1は、一方の電極が内部ノードnodeAに、他方の電極が第5端子IT5に、それぞれ接続されている。
【0025】
図4を用いてゲート回路部15と各配線21~29との関係について説明する。ゲート回路部15には、
図4に示すように、ゲートスタートパルス信号配線21と、複数(本実施形態では4つ)のクロック信号配線22~25と、電源電圧信号配線26と、セット信号配線27と、リセット信号配線28と、ゲート接続配線29と、が接続されている。ゲートスタートパルス信号配線21は、ゲート回路部15を構成する1段目及び2段目の単位回路20に対してゲートスタートパルス信号GSPを供給するものであり、1段目及び2段目の単位回路20に備わる第1端子IT1に接続されている。
【0026】
4つのクロック信号配線22~25は、
図4に示すように、ゲート回路部15を構成する複数の単位回路20に対して選択的に接続されており、それぞれタイミングが異なる4つのクロック信号CLK1,CLK2,CLK1B,CLK2Bを伝送するものである。詳しくは、クロック信号配線22~25に含まれる第1クロック信号配線22は、「n」を1以上の整数としたとき、(4n-3)段目の単位回路20に備わる第4端子IT4に接続されていて当該第4端子IT4にクロック信号CLK1を供給するものである。クロック信号配線22~25に含まれる第2クロック信号配線23は、「n」を1以上の整数としたとき、(4n-2)段目の単位回路20に備わる第4端子IT4に接続されていて当該第4端子IT4にクロック信号CLK2を供給するものである。クロック信号配線22~25に含まれる第3クロック信号配線24は、「n」を1以上の整数としたとき、(4n-1)段目の単位回路20に備わる第4端子IT4に接続されていて当該第4端子IT4にクロック信号CLK1Bを供給するものである。クロック信号配線22~25に含まれる第4クロック信号配線25は、「n」を1以上の整数としたとき、(4n)段目の単位回路20に備わる第4端子IT4に接続されていて当該第4端子IT4にクロック信号CLK2Bを供給するものである。
【0027】
電源電圧信号配線26は、
図4に示すように、ゲート回路部15を構成する全ての単位回路20に備わる各第3端子IT3に接続されていて各第3端子IT3に経時的に一定なローレベルの電位に保たれた電源電圧信号VSSを供給するものである。セット信号配線27は、単位回路20に備わる第5端子IT5と、後段側の単位回路20に備わる第1端子IT1と、に接続されていてセット信号Setを伝送するものである。具体的には、セット信号配線27は、「n」を3以上の整数としたときのn段目の単位回路20に備わる第1端子IT1と、「n」を3以上の整数としたときの(n-2)段目の単位回路20に備わる第5端子IT5と、に接続されている。リセット信号配線28は、単位回路20に備わる第5端子IT5と、前段側の単位回路20に備わる第2端子IT2と、に接続されていてリセット信号Resetを伝送するものである。具体的には、リセット信号配線28は、「n」を4以上の整数としたときのn段目の単位回路20に備わる第5端子IT5と、「n」を4以上の整数としたときの(n-3)段目の単位回路20に備わる第2端子IT2と、に接続されている。ゲート接続配線29は、単位回路20に備わる第5端子IT5と、表示領域AAに配されるゲート配線16と、に接続されている。ゲート接続配線29によって単位回路20から出力された走査信号GLをゲート配線16へと伝送することができる。詳しくは、ゲート接続配線29は、単位回路20と共に非表示領域NAAに単位回路20と同数配されており、一方の端部がゲート配線16に、他方の端部が単位回路20に備わる第5端子IT5に、それぞれ接続されている。
【0028】
ゲート回路部15を構成する複数の単位回路20は、
図3及び
図4に示すように、接続対象となるゲート配線16に走査信号GL(n)を出力する際に後段側の単位回路20に対してセット信号Setを出力するとともに、前段側の単位回路20に対してリセット信号Resetを出力するものとされる。具体的には、まず、1段目及び2段目の単位回路20は、外部からゲートスタートパルス信号GSPが入力されるとともにクロック信号CLK1,CLK2が順次に入力されると、接続対象である1番目及び2段目のゲート配線16に対して走査信号GL1,GL2を順次に供給する。このとき、1段目及び2段目の単位回路20は、3段目及び4段目の単位回路20に対してセット信号Setを順次に出力する。3段目及び4段目の単位回路20は、1段目及び2段目の単位回路20からセット信号Setが順次に入力されるとともにクロック信号CLK1B,CLK2Bが順次に入力されると、3番目及び4段目のゲート配線16に対して走査信号GL3,GL4を順次に供給する。このとき、3段目の単位回路20は、5段目の単位回路20に対してセット信号Setを出力するのに対し、4段目の単位回路20は、6段目の単位回路20に対してセット信号Setを出力するとともに1段目の単位回路20に対してリセット信号Resetを出力する。5段目及び6段目の単位回路20は、3段目及び4段目の単位回路20からセット信号Setが順次に入力されるとともにクロック信号CLK1,CLK2が順次に入力されると、5番目及び6段目のゲート配線16に対して走査信号GL5,GL6を順次に供給する。このとき、5段目の単位回路20は、7段目の単位回路20に対してセット信号Setを出力するとともに2段目の単位回路20に対してリセット信号Resetを出力する。これに対し、6段目の単位回路20は、8段目の単位回路20に対してセット信号Setを出力するとともに3段目の単位回路20に対してリセット信号Resetを出力する。4段目以降の単位回路20に関して一般化すると、「n」を4以上の整数としたとき、n段目の単位回路20は、(n-2)段目の単位回路20から入力されるセット信号Setに基づいてn段目のゲート配線16に対して走査信号GL(n)を供給すると、(n+2)段目の単位回路20に対してセット信号Setを出力するとともに(n-3)段目の単位回路20に対してリセット信号Resetを出力する。以上により、ゲート回路部15を構成する複数の単位回路20は、接続対象とされるゲート配線16に対して上段側から順次に走査信号GL(n)を供給することができる。
【0029】
次に、単位回路20の動作について
図5を用いて説明する。
図5には、単位回路20の動作に係るタイミングチャートが示されている。単位回路20の動作の説明に先立って、
図5に示される各信号及び電位について説明する。
図5には、上から順に、ゲートスタートパルス信号GSP、クロック信号CLK1,CLK2,CLK1B,CLK2B、電源電圧信号VSS、1段目から6段目までの走査信号GL1~GL6、3段目の走査信号GL3に係る内部ノードnodeAの電位、が示されている。本実施形態では、電源電圧信号VSSは、
図5に示すように、常に一定のローレベルの電位(第3電位)に保たれている。ゲートスタートパルス信号GSP及びクロック信号CLK1,CLK2,CLK1B,CLK2Bは、いずれも矩形波であり、ローレベルの電位と、ハイレベルの電位と、が一定の周期でもって交互に繰り返されるようになっている。クロック信号CLK1とクロック信号CLK1Bとは、ローレベルの電位と、ハイレベルの電位と、が常に逆の関係とされる。同様に、クロック信号CLK2とクロック信号CLK2Bとは、ローレベルの電位と、ハイレベルの電位と、が常に逆の関係とされる。また、クロック信号CLK1,CLK2,CLK1B,CLK2Bにおけるハイレベルの電位は、各トランジスタT1~T3や画素トランジスタ18をON状態とするのに十分な値(閾値電圧以上の値)とされている。
【0030】
単位回路20の動作について1段目から4段目までを代表して具体的に説明する。
図5に示すように、時点TI1にて、1段目及び2段目の各単位回路20において、各第1トランジスタT1のゲート電極及びソース電極にゲートスタートパルス信号GSPが供給される。すると、1段目及び2段目の各単位回路20において、各第1トランジスタT1がON状態とされてそのソース電極に入力されるゲートスタートパルス信号GSPのハイレベルの電位(第3電位)がドレイン電極に供給される。これにより、1段目及び2段目の各単位回路20において、キャパシタC1が充電され、内部ノードnodeAがハイレベルの電位に保たれるとともに、各第3トランジスタT3がON状態とされる。次に、時点TI2にて、クロック信号CLK1がハイレベルの電位とされる。すると、1段目の単位回路20において、ON状態とされた第3トランジスタT3のソース電極からドレイン電極へクロック信号CLK1のハイレベルの電位が供給されるので、第5端子IT5の電位が上昇する。このとき、1段目の単位回路20において、内部ノードnodeAと第5端子IT5との間にキャパシタC1が設けられているので、第5端子IT5の電位上昇に伴って、内部ノードnodeAの電位も上昇する。つまり、内部ノードnodeAが突き上げられる(ブートストラップされる)。これにより、1段目の単位回路20において、第3トランジスタT3のゲート電極は、より高い電位となるので、第5端子IT5の電位がクロック信号CLK1のハイレベルの電位に至る。これにより、1段目のゲート配線16には、ハイレベルの走査信号GL1が供給される。このとき、1段目の単位回路20に備わる第5端子IT5に出力された走査信号GL1は、3段目の単位回路20に備わる第1端子IT1にセット信号Setとして供給される。このセット信号Setの電位は、ハイレベルの電位(第3電位)である。すると、3段目の単位回路20において、第1トランジスタT1のゲート電極及びソース電極にセット信号Setが供給されることで、キャパシタC1が充電され、内部ノードnodeAがハイレベルの電位に保たれるとともに、第3トランジスタT3がON状態とされる。
【0031】
続いて、時点TI3にて、クロック信号CLK2がハイレベルの電位とされる。すると、2段目の単位回路20において、ON状態とされた第3トランジスタT3のソース電極からドレイン電極へクロック信号CLK2のハイレベルの電位が供給されるので、第5端子IT5の電位が上昇する。このとき、2段目の単位回路20において、内部ノードnodeAが突き上げられるので、第5端子IT5の電位がクロック信号CLK2のハイレベルの電位に至る。これにより、2段目のゲート配線16には、ハイレベルの走査信号GL2が供給される。このとき、2段目の単位回路20に備わる第5端子IT5に出力された走査信号GL2は、4段目の単位回路20に備わる第1端子IT1にセット信号Setとして供給される。
【0032】
次に、時点TI4にて、クロック信号CLK1Bがハイレベルの電位とされる。すると、3段目の単位回路20において、ON状態とされた第3トランジスタT3のソース電極からドレイン電極へクロック信号CLK1Bのハイレベルの電位が供給されるので、第5端子IT5の電位が上昇する。このとき、3段目の単位回路20において、内部ノードnodeAが突き上げられるので、第5端子IT5の電位がクロック信号CLK1Bのハイレベルの電位に至る。これにより、3段目のゲート配線16には、ハイレベルの走査信号GL3が供給される。このとき、3段目の単位回路20に備わる第5端子IT5に出力された走査信号GL3は、5段目の単位回路20に備わる第1端子IT1にセット信号Setとして供給される。一方、時点TI4では、クロック信号CLK1がローレベルの電位とされる。すると、1段目の単位回路20において、内部ノードnodeAが突き下げられることで、第5端子IT5がローレベルの電位となる。
【0033】
次に、時点TI5にて、クロック信号CLK2Bがハイレベルの電位とされる。すると、4段目の単位回路20において、ON状態とされた第3トランジスタT3のソース電極からドレイン電極へクロック信号CLK1Bのハイレベルの電位が供給されるので、第5端子IT5の電位が上昇する。このとき、4段目の単位回路20において、内部ノードnodeAが突き上げられるので、第5端子IT5の電位がクロック信号CLK2Bのハイレベルの電位に至る。これにより、4段目のゲート配線16には、ハイレベルの走査信号GL4が供給される。このとき、4段目(n段目)の単位回路20に備わる第5端子IT5に出力された走査信号GL4は、6段目((n+2)段目)の単位回路20に備わる第1端子IT1にセット信号Setとして供給されるとともに、1段目((n-3)段目)の単位回路20に備わる第2端子IT2にリセット信号Resetとして供給される。このリセット信号Resetは、ハイレベルの電位(第1電位)である。すると、1段目の単位回路20において、第2トランジスタT2のソース電極とドレイン電極とが通電することで、内部ノードnodeAが電源電圧信号VSSのローレベルの電位(第2電位)となる。これにより、1段目の単位回路20に備わる第3トランジスタT3がOFF状態となり、第5端子IT5及び内部ノードnodeAが共にローレベルの電位となる。一方、時点TI5では、クロック信号CLK2がローレベルの電位とされる。すると、2段目の単位回路20において、内部ノードnodeAが突き下げられることで、第5端子IT5がローレベルの電位となる。以上のようにして複数の単位回路20からは、上段側から順次に走査信号GLが出力されるようになっている。
【0034】
上記のように動作する単位回路20に含まれる第2トランジスタT2は、
図3に示すように、ドレイン電極に対して常に一定のローレベルの電位である電源電圧信号VSSが供給されている。このため、第2トランジスタT2が駆動されるのに伴ってソース電極とドレイン電極との間を移動する電子の移動方向は、ドレイン電極からソース電極へ向かう方向に固定されている。このように、電子の移動方向が固定されるため、ドレイン電極とソース電極との間の電位差によっては、ホットキャリアが発生し易くなる。ホットキャリアが生じると、第2トランジスタT2の電気的な特性が変化する等の問題が生じるおそれがある。特に、液晶パネル10の大型化や液晶パネル10の駆動に係る各信号の高周波化が図られると、駆動に係る各信号のハイレベルが従前よりも高く設定される傾向にある。本実施形態においても、ゲートスタートパルス信号GSP及びセット信号Setのハイレベルが高く設定されると、第2トランジスタT2に備わるソース電極とドレイン電極との間に生じる電位差が大きくなる。このため、上記したホットキャリアがより発生し易くなることが懸念される。
【0035】
上記のような問題を解決すべく、本実施形態では、第2トランジスタT2を以下のような構成としている。
図6及び
図7を用いて第2トランジスタT2の詳しい構成について説明する。
図6には、第2トランジスタT2の平面構成が図示されている。
図7には、第2トランジスタT2の断面構成が図示されている。第2トランジスタT2は、
図6に示すように、ゲート電極である第1電極30と、半導体材料からなる第1半導体部31と、ドレイン電極である第2電極32と、ソース電極である第3電極33と、を有する。第1電極30は、平面形状が方形とされる。第1電極30は、第2端子IT2に接続されている(
図3を参照)。第1半導体部31は、平面形状が方形とされ、その平面に視た大きさが第1電極30よりも一回り小さい。第1半導体部31は、その全域が第1電極30の一部(中央側部分)に対して平面に視て重畳配置されている。第2電極32は、平面に視て
図6に示されるX軸方向に沿って延在する所定幅の帯状とされる。第2電極32は、一部が、第1電極30及び第1半導体部31と重畳して配され、残りの部分が
図6の右側に向けて引き出されて第3端子IT3に接続されている(
図3を参照)。第3電極33は、平面に視て二股状の分岐構造とされる。第3電極33は、一部が、第1電極30及び第1半導体部31と重畳して配され、残りの部分が
図6の左側に向けて引き出されて内部ノードnodeA(第1トランジスタT1のドレイン電極)に接続されている(
図3を参照)。第3電極33の詳しい構成に関しては、後述する。
【0036】
アレイ基板12のガラス基板(基板)12GSには、
図7に示すように、下層側から順に、第1電極30を構成する第1金属膜(第1導電膜)と、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)34と、第1半導体部31を構成する半導体膜と、第2電極32及び第3電極33を構成する第2金属膜(第2導電膜)と、第1層間絶縁膜(第2絶縁膜)35と、が少なくとも積層形成されている。第1金属膜及び第2金属膜は、それぞれ銅、チタン、アルミニウム、モリブデン、タングステン等の中から選択される1種類の金属材料からなる単層膜または異なる種類の金属材料からなる積層膜や合金とされることで導電性及び遮光性を有している。半導体膜は、酸化物半導体またはアモルファスシリコン等の半導体材料からなる。ゲート絶縁膜34及び第1層間絶縁膜35は、それぞれ窒化ケイ素(SiN
x)、酸化ケイ素(SiO
2)等の無機材料からなる。
【0037】
第1金属膜からなる第1電極30は、
図7に示すように、半導体膜からなる第1半導体部31に対してゲート絶縁膜34が介在して下層側に位置している。つまり、本実施形態に係る第2トランジスタT2は、ボトムゲート型とされる。また、第2金属膜からなる第2電極32及び第3電極33は、第1層間絶縁膜35によって覆われている。第2トランジスタT2の閾値電圧以上となる電圧(リセット信号Reset)が第1電極30に供給されると、第1半導体部31には、電子の移動を許容するチャネル領域が生じる。第2金属膜からなる第2電極32及び第3電極33は、半導体膜からなる第1半導体部31上に直接的に積層され、それぞれが第1半導体部31の一部ずつに接続されている。従って、第2トランジスタT2が駆動されるのに伴って、第1半導体部31にチャネル領域が生じると、チャネル領域を介して第2電極32から第3電極33へと電子が移動されるようになっている。
【0038】
そして、本実施形態に係る第2トランジスタT2に備わる第3電極33は、
図6に示すように、幹部33Aと、幹部33Aから分岐される第1部33B及び第2部33Cと、を有する。幹部33Aは、第1電極30及び第1半導体部31とは非重畳の配置とされる。第1部33B及び第2部33Cは、いずれも第1電極30及び第1半導体部31と重畳して配され、第2電極32の延在方向(X軸方向)に沿って延在する。第1部33Bは、第2電極32に対してY軸方向について間隔を空けた位置に配されている。第1部33Bは、第2電極32に並行して延在しているので、第1部33Bと第2電極32との間の間隔は、ほぼ一定とされる。第2部33Cは、第2電極32に対してY軸方向について第1部33B側(
図6の上側)とは反対側(
図6の下側)に間隔を空けて配されている。第2部33Cは、第2電極32に並行して延在しているので、第2部33Cと第2電極32との間の間隔は、ほぼ一定とされる。第2部33Cと第2電極32との間の間隔は、第1部33Bと第2電極32との間の間隔とほぼ同じとされる。
【0039】
このような構成によれば、第1電極30にハイレベルの電位(第1電位)が印加され、第2トランジスタT2が駆動されるタイミングでは、第3電極33がハイレベルの電位(第3電位)とされるのに対し、第2電極32がローレベルの電位(第2電位)とされている。従って、第3電極33よりも低電位とされる第2電極32から第1半導体部31のチャネル領域を介して第3電極33へと電子が移動する。ここで、第3電極33は、
図6及び
図7に示すように、第2電極32に対してそれぞれ間隔を空けた位置にて第2電極32を挟む配置とされる第1部33B及び第2部33Cを有しているから、電子の移動経路が、第2電極32から第3電極33の第1部33Bへ向かう経路と、第2電極32から第3電極33の第2部33Cへ向かう経路と、に分散される。これにより、電子の集中が避けられるから、本実施形態のように第2電極32と第3電極33との電位差が大きくて電界強度が高い場合であっても、ホットキャリアの発生が抑制され、ゲート絶縁膜34や第1電極30へのホットキャリア注入が生じ難くなる。ホットキャリア注入が生じ難くなることで、第2トランジスタの電気的な特性が変化し難くなり、ゲート回路部15の動作に不具合が生じ難くなる。また、従来のように、第2電極32及び第3電極33が、段差の生じるような積層構造とはなっていないから、良好な歩留まりが担保される。
【0040】
以上説明したように本実施形態の第2トランジスタ(トランジスタ)T2は、第1電極30と、第1電極30に対して少なくとも一部が重畳して配されていて半導体材料からなる第1半導体部31と、第1電極30と第1半導体部31との間に介在するゲート絶縁膜(第1絶縁膜)34と、第1半導体部31の一部に対して重畳して配されて第1半導体部31に接続される第2電極32と、第2電極32と同層に位置し第1半導体部31の一部に対して重畳して配されて第1半導体部31に接続される第3電極33と、を備え、第2電極32は、第3電極33よりも低電位とされ、第3電極33は、第2電極32に対して間隔を空けて配される第1部33Bと、第2電極32に対して第1部33B側とは反対側に間隔を空けて配される第2部33Cと、を有する。
【0041】
当該第2トランジスタT2における閾値電圧以上の電圧が第1電極30に印加されると、第1半導体部31にチャネル領域が生じる。これに伴って、第3電極33よりも低電位とされる第2電極32からチャネル領域を介して第3電極33へと電子が移動する。第3電極33は、第2電極32に対してそれぞれ間隔を空けた位置にて第2電極32を挟む配置とされる第1部33B及び第2部33Cを有しているから、電子の移動経路が、第2電極32から第3電極33の第1部33Bへ向かう経路と、第2電極32から第3電極33の第2部33Cへ向かう経路と、に分散される。これにより、電子の集中が避けられるから、第2電極32と第3電極33との電位差が大きくなる等、電界強度が高い場合であっても、ホットキャリアの発生が抑制され、ゲート絶縁膜34や第1電極30へのホットキャリア注入が生じ難くなる。従来のように、第2電極32及び第3電極33が、段差の生じるような積層構造とはなっていないから、良好な歩留まりが担保される。
【0042】
また、第1電極30は、ゲート絶縁膜34の下層側に位置し、第1半導体部31は、ゲート絶縁膜34の上層側に位置し、第2電極32及び第3電極33は、第1半導体部31の上層側に位置する。ゲート絶縁膜34の下層側に位置する第1電極30に電圧が印加されると、ゲート絶縁膜34の上層側に位置する第1半導体部31にチャネル領域が生じる。これに伴って、第1半導体部31の上層側に位置する第2電極32及び第3電極33の間で電子が移動する。
【0043】
また、本実施形態に係るアレイ基板(回路基板)12は、上記記載の第2トランジスタT2と、第2トランジスタT2が設けられるガラス基板(基板)12GSと、を備える。このようなアレイ基板12によれば、良好な歩留まりが担保され、ホットキャリアの発生が抑制されているので、高い信頼性が得られる。
【0044】
また、第1電極30に対して第2トランジスタT2における閾値電圧以上とされる第1電位を供給する第2端子(第1電位供給部)IT2と、第2電極32に対して第1電位よりも低い第2電位を供給する第3端子(第2電位供給部)IT3と、第3電極33に対して第2電位よりも高い第3電位を供給する第1端子(第3電位供給部)IT1と、を備える。第2端子IT2によって第2トランジスタT2における閾値電圧以上とされる第1電位が第1電極30に印加されると、第1半導体部31にチャネル領域が生じる。第2電極32には、第3端子IT3によって第1電位よりも低い第2電位が供給されるとともに、第3電極33には、第1端子IT1によって第2電位よりも高い第3電位が供給されているから、チャネル領域が生じると、電子は、常に第2電極32から第3電極33へ向けて移動する。第3電極33は、第2電極32を挟む配置とされる第1部33B及び第2部33Cを有しているから、電子の移動経路を分散させることができ、それにより、ホットキャリアの発生が抑制される。
【0045】
また、本実施形態に係る液晶パネル(表示装置)10は、上記記載のアレイ基板12と、アレイ基板12に対して対向配置される対向基板11と、を備える。このような液晶パネル10によれば、アレイ基板12において高い信頼性が得られているから、液晶パネル10に関しても高い信頼性が得られる。
【0046】
<実施形態2>
実施形態2を
図8または
図9によって説明する。この実施形態2では、第2電極132及び第3電極133の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0047】
本実施形態に係る第2トランジスタT102に備わる第3電極133は、
図8及び
図9に示すように、平面に視て三つ股状の分岐構造とされる。第3電極133は、幹部133A、第1部133B及び第2部133Cに加えて、第3部133Dを有する。第3部133Dは、第1電極130及び第1半導体部131と重畳して配され、第1部133B及び第2部133Cの延在方向(X軸方向)に沿って延在する。第3部133Dは、第2部133Cに対してY軸方向について第1部133B側(
図8の上側)とは反対側(
図8の下側)に間隔を空けて配されている。第3部133Dは、第1部133B及び第2部133Cに並行して延在しているので、第3部133Dと第1部133Bとの間の間隔は、ほぼ一定とされる。
【0048】
これに対し、第2電極132は、
図8及び
図9に示すように、平面に視て二股状の分岐構造とされる。詳しくは、第2電極132は、幹部132Aと、幹部132Aから分岐される第4部132B及び第5部132Cと、を有する。幹部132Aは、第1電極130及び第1半導体部131とは非重畳の配置とされる。第4部132B及び第5部132Cは、いずれも第1電極130及び第1半導体部131と重畳して配され、第1部133B、第2部133C及び第3部133Dの延在方向(X軸方向)に沿って延在する。第4部132Bは、第1部133Bと第2部133Cとの間に挟まれており、第1部133Bと第2部133Cとに対してY軸方向についてそれぞれ間隔を空けて配されている。第4部132Bは、第1部133B及び第2部133Cに並行して延在しているので、第4部132Bと第1部133Bとの間の間隔と、第4部132Bと第2部133Cとの間の間隔と、は、いずれもほぼ一定とされる。第4部132Bと第1部133Bとの間の間隔は、第4部132Bと第2部133Cとの間の間隔とほぼ同じとされる。第5部132Cは、第2部133Cと第3部133Dとの間に挟まれており、第2部133Cと第3部133Dとに対してY軸方向についてそれぞれ間隔を空けて配されている。第5部132Cは、第2部133C及び第3部133Dに並行して延在しているので、第5部132Cと第2部133Cとの間の間隔と、第5部132Cと第3部133Dとの間の間隔と、は、いずれもほぼ一定とされる。第5部132Cと第2部133Cとの間の間隔は、第5部132Cと第3部133Dとの間の間隔とほぼ同じとされる。
【0049】
このような構成によれば、第2トランジスタT102が駆動されるのに伴って第1半導体部131に生じたチャネル領域を介して第2電極132から第3電極133へ向かう電子の移動経路は、次にようになる。すなわち、電子の移動経路は、第2電極132の第4部132Bから第3電極133の第1部133Bへ向かう経路と、第2電極132の第4部132Bから第3電極133の第2部133Cへ向かう経路と、第2電極132の第5部132Cから第3電極133の第2部133Cへ向かう経路と、第2電極132の第5部132Cから第3電極133の第3部133Dへ向かう経路と、に分散される。本実施形態によれば、上記した実施形態1よりも電子の移動経路が多くなるので、ホットキャリアがより生じ難くなる。
【0050】
以上説明したように本実施形態によれば、第3電極133は、第2部133Cに対して第1部133B側とは反対側に間隔を空けて配される第3部133Dを有しており、第2電極132は、第1部133Bと第2部133Cとの間に挟まれて第1部133Bと第2部133Cとに対してそれぞれ間隔を空けて配される第4部132Bと、第2部133Cと第3部133Dとの間に挟まれて第2部133Cと第3部133Dとに対してそれぞれ間隔を空けて配される第5部132Cと、を有する。このようにすれば、電子の移動経路が、第2電極132の第4部132Bから第3電極133の第1部133Bへ向かう経路と、第2電極132の第4部132Bから第3電極133の第2部133Cへ向かう経路と、第2電極132の第5部132Cから第3電極133の第2部133Cへ向かう経路と、第2電極132の第5部132Cから第3電極133の第3部133Dへ向かう経路と、に分散される。これにより、ホットキャリアがより生じ難くなる。
【0051】
<実施形態3>
実施形態3を
図10または
図11によって説明する。この実施形態3では、上記した実施形態1から第2トランジスタT202の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0052】
本実施形態に係る第2トランジスタT202は、
図10に示すように、第4電極36及び第5電極37を備える。第4電極36及び第5電極37は、いずれも平面に視てX軸方向に沿って延在する所定幅の帯状とされる。第4電極36及び第5電極37は、いずれも全域にわたって第1電極230及び第1半導体部231と重畳して配されている。第4電極36は、第2電極232に対してY軸方向について第3電極233の第1部233B側に配されている。第4電極36は、第2電極232と第3電極233の第1部233Bとの間に挟まれており、第2電極232と第3電極233の第1部233Bとに対してそれぞれ間隔を空けて配されている。第4電極36は、第2電極232及び第1部233Bに並行して延在しているので、第4電極36と第2電極232との間の間隔と、第4電極36と第1部233Bとの間の間隔と、は、いずれもほぼ一定とされる。第4電極36と第2電極232との間の間隔は、第4電極36と第1部233Bとの間の間隔とほぼ同じとされる。第5電極37は、第2電極232に対してY軸方向について第3電極233の第2部233C側に配されている。第5電極37は、第2電極232と第3電極233の第2部233Cとの間に挟まれており、第2電極232と第3電極233の第2部233Cとに対してそれぞれ間隔を空けて配されている。第5電極37は、第2電極232及び第2部233Cに並行して延在しているので、第5電極37と第2電極232との間の間隔と、第5電極37と第2部233Cとの間の間隔と、は、いずれもほぼ一定とされる。第5電極37と第2電極232との間の間隔は、第5電極37と第2部233Cとの間の間隔とほぼ同じとされる。第5電極37と第2電極232との間の間隔は、第5電極37と第2部233Cとの間の間隔とほぼ同じとされる。
【0053】
第4電極36及び第5電極37は、
図11に示すように、第2金属膜のうち、第2電極232及び第3電極233とは別の部分からなる。つまり、第4電極36及び第5電極37は、第2電極232及び第3電極233と同層に位置している。第4電極36及び第5電極37は、半導体膜からなる第1半導体部231上に直接的に積層され、それぞれが第1半導体部231の一部ずつに接続されている。このような構成とされる第4電極36及び第5電極37は、
図10及び
図11に示すように、いずれも第1半導体部231以外の電極・端子・配線等とは非接続とされる。つまり、第4電極36及び第5電極37は、いずれも電気的に孤立したフローティングノードであると言える。従って、第4電極36及び第5電極37は、いずれも第2トランジスタT202が駆動されたタイミングにおいて、ローレベルの電位とされる第2電極232よりも高電位とされ、ハイレベルの電位とされる第3電極233よりも低電位とされる。つまり、第4電極36及び第5電極37は、第2電極232の電位と第3電極233の電位との中間の電位とされる。
【0054】
このような構成によれば、第2トランジスタT202が駆動されるのに伴って第1半導体部231に生じたチャネル領域を介して第2電極232から第3電極233へ向かう電子の移動経路は、次のようになる。すなわち、電子の移動経路は、第2電極232から第4電極36を介して第3電極233の第1部233Bへ向かう経路と、第2電極232から第5電極37を介して第3電極233の第2部233Cへ向かう経路と、に分散される。本実施形態によれば、電子の移動経路に第4電極36及び第5電極37が追加されるので、ホットキャリアがより生じ難くなる。
【0055】
以上説明したように本実施形態によれば、第2電極232及び第3電極233と同層に位置し第1半導体部231の一部に対して重畳して配されて第1半導体部231に接続される第4電極36及び第5電極37を備え、第4電極36は、第2電極232と第1部233Bとの間に挟まれて第2電極232と第1部233Bとに対してそれぞれ間隔を空けて配され、第5電極37は、第2電極232と第2部233Cとの間に挟まれて第2電極232と第2部233Cとに対してそれぞれ間隔を空けて配され、第4電極36及び第5電極37は、いずれも第2電極232よりも高電位とされ、第3電極233よりも低電位とされる。第1半導体部231にチャネル領域が生じると、電子は、第2電極232から第4電極36を介して第3電極233の第1部233Bへと移動するとともに、第2電極232から第5電極37を介して第3電極233の第2部233Cへと移動する。電子の移動経路に第4電極36及び第5電極37が追加されるので、ホットキャリアがより生じ難くなる。
【0056】
<実施形態4>
実施形態4を
図12によって説明する。この実施形態4では、上記した実施形態1から第2トランジスタT302の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0057】
本実施形態に係る第2トランジスタT302は、
図12に示すように、第6電極38と、第2半導体部39と、第7電極40と、を備える。第6電極38は、平面形状が方形とされ、第1電極330に対してX軸方向について
図12の左側に間隔を空けた位置に配されている。第6電極38は、第1金属膜からなり、第1金属膜からなる接続部41によって第1電極330に接続されている。従って、第6電極38は、第1電極330と同電位とされる。第2半導体部39は、第1半導体部331に対してX軸方向について
図12の左側(第7電極40側)に間隔を空けた位置にて、第6電極38に対して平面に視て重畳して配されている。第2半導体部39は、平面形状が方形とされ、その平面に視た大きさが第6電極38よりも一回り小さい。第2半導体部39は、半導体膜からなり、その全域が第6電極38の一部(中央側部分)に対して平面に視て重畳配置されている。第3電極333は、第1部333B及び第2部333Cに連なる第6部333Eを有する。第6部333Eは、第1部333B及び第2部333Cのうちの第1半導体部331側とは反対側の各端部から
図12に示す左側(第2半導体部39側)に向けてX軸方向に沿って延出し、その延出端部が第2半導体部39の一部に対して重畳して配されている。第6部333Eは、第2半導体部39に接続されている。
【0058】
第7電極40は、平面に視て二股状の分岐構造とされる。第7電極40は、一部が、第6電極38及び第2半導体部39と重畳して配され、残りの部分が
図12の左側に向けて引き出されて内部ノードnodeAに接続されている(
図3を参照)。従って、第2トランジスタT302が駆動されたタイミングでは、第7電極40は、内部ノードnodeAと同じハイレベルの電位とされる。詳しくは、第7電極40は、幹部40Aと、幹部40Aから分岐される第7部40B及び第8部40Cと、を有する。幹部40Aは、第6電極38及び第2半導体部39とは非重畳の配置とされる。第7部40B及び第8部40Cは、いずれも第6電極38及び第2半導体部39と重畳して配され、第3電極333の第6部333Eの延在方向(X軸方向)に沿って延在する。第7電極40は、第2電極332及び第3電極333と同じ第2金属膜からなる。従って、第7部40B及び第8部40Cは、重畳する第2半導体部39の一部ずつに対して接続されている。第7部40Bは、第3電極333の第6部333Eに対してY軸方向について間隔を空けた位置に配されている。第7部40Bは、第6部333Eに並行して延在しているので、第7部40Bと第6部333Eとの間の間隔は、ほぼ一定とされる。第8部40Cは、第3電極333の第6部333Eに対してY軸方向について第7部40B側(
図12の上側)とは反対側(
図12の下側)に間隔を空けて配されている。第8部40Cは、第6部333Eに並行して延在しているので、第8部40Cと第6部333Eとの間の間隔は、ほぼ一定とされる。第8部40Cと第6部333Eとの間の間隔は、第7部40Bと第6部333Eとの間の間隔とほぼ同じとされる。
【0059】
本実施形態に係る第3電極333は、各半導体部331,39以外の電極・端子・配線等とは非接続とされる。つまり、第3電極333は、電気的に孤立したフローティングノードであると言える。従って、第3電極333は、第2トランジスタT302が駆動されたタイミングにおいて、ローレベルの電位とされる第2電極332よりも高電位とされ、ハイレベルの電位とされる第7電極40よりも低電位とされる。つまり、第3電極333は、第2電極332の電位と第7電極40の電位との中間の電位とされる。
【0060】
このような構成によれば、第1電極330及び第6電極38にハイレベルの電位が印加され、第2トランジスタT302が駆動されるタイミングでは、第7電極40がハイレベルの電位とされるのに対し、第2電極332がローレベルの電位とされている。従って、第3電極333よりも低電位とされる第2電極332から第1半導体部331のチャネル領域を介して第3電極333へと電子が移動するとともに、第7電極40よりも低電位とされる第3電極333から第2半導体部39のチャネル領域を介して第7電極40へと電子が移動する。第2電極332から第3電極333へと移動する電子の移動経路は、第2電極332から第3電極333の第1部333Bへ向かう経路と、第2電極332から第3電極333の第2部333Cへ向かう経路と、に分散されている。第3電極333から第7電極40へと移動する電子の移動経路は、第3電極333の第6部333Eから第7電極40の第7部40Bへ向かう経路と、第3電極333の第6部333Eから第7電極40の第8部40Cへ向かう経路と、に分散されている。このように、本実施形態によれば、電子の移動経路の分散が図られるから、ホットキャリアがより生じ難くなる。
【0061】
以上説明したように本実施形態によれば、第1電極330と同電位とされる第6電極38と、第6電極38に対して少なくとも一部がゲート絶縁膜を介して重畳して配されていて半導体材料からなる第2半導体部39と、第2電極332及び第3電極333と同層に位置し第2半導体部39の一部に対して重畳して配されて第2半導体部39に接続される第7電極40と、を備え、第3電極333は、第2半導体部39の一部に対して重畳して配されて第2半導体部39に接続される第6部333Eを有し、第7電極40は、第6部333Eに対して間隔を空けて配される第7部40Bと、第6部333Eに対して第7部40B側とは反対側に間隔を空けて配される第8部40Cと、を有する。当該第2トランジスタT302における閾値電圧以上の電圧が第1電極330及び第6電極38に印加されると、第1半導体部331及び第2半導体部39のそれぞれにチャネル領域が生じる。すると、電子は、第2電極332から第3電極333の第1部333Bへと移動するとともに、第2電極332から第3電極333の第2部333Cへと移動してから、第3電極333の第6部333Eから第7電極40の第7部40Bへと移動するとともに、第3電極333の第6部333Eから第7電極40の第8部40Cへと移動する。このように、電子の移動経路の分散が図られるから、ホットキャリアがより生じ難くなる。
【0062】
<実施形態5>
実施形態5を
図13または
図14によって説明する。この実施形態5では、上記した実施形態1から第2トランジスタT402の構成を変更した場合を示す。なお、上記した実施形態1と同様の構造、作用及び効果について重複する説明は省略する。
【0063】
本実施形態に係る第2トランジスタT402は、
図14に示すように、いわゆるトップゲート型とされる。具体的には、アレイ基板412のガラス基板(基板)412GSには、下層側から順に、ベースコート膜42と、第1半導体部431を構成する半導体膜と、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)43と、第1電極430を構成する第1金属膜(第1導電膜)と、第1層間絶縁膜(第2絶縁膜)44と、第2電極432及び第3電極433を構成する第2金属膜(第2導電膜)と、第2層間絶縁膜(第3絶縁膜)45と、が少なくとも積層形成されている。半導体膜は、例えば低温ポリシリコン(LTPS:low-temperature poly silicon)等からなる。ベースコート膜42、ゲート絶縁膜43、第1層間絶縁膜44及び第2層間絶縁膜45は、それぞれ窒化ケイ素(SiN
x)、酸化ケイ素(SiO
2)等の無機材料からなる。第1金属膜からなる第1電極430は、半導体膜からなる第1半導体部431に対してゲート絶縁膜43が介在して上層側に重畳して配されている。
【0064】
第1電極430は、
図13に示すように、平面に視て二股状の分岐構造とされる。第1電極430は、幹部430Aと、幹部430Aから分岐される第9部430B及び第10部430Cと、を有する。幹部430Aは、第1半導体部431とは非重畳の配置とされる。第9部430B及び第10部430Cは、いずれも第1半導体部31と重畳して配され、第2電極432の延在方向(X軸方向)に沿って延在する。第9部430Bは、第2電極432に対してY軸方向について間隔を空けた位置に配されている。第9部430Bは、第2電極432に並行して延在しているので、第9部430Bと第2電極432との間の間隔は、ほぼ一定とされる。第10部430Cは、第2電極432に対してY軸方向について第9部430B側(
図13の上側)とは反対側(
図13の下側)に間隔を空けて配されている。第10部430Cは、第2電極32に並行して延在しているので、第10部430Cと第2電極432との間の間隔は、ほぼ一定とされる。第10部430Cと第2電極432との間の間隔は、第9部430Bと第2電極432との間の間隔とほぼ同じとされる。
【0065】
第3電極433は、
図13に示すように、第1部433Aが、第1電極430の第9部430Bに対して第2電極432側(
図13の下側)とは反対側(
図13の上側)に間隔を空けて配されている。第3電極433は、第2部433Bが第1電極430の第10部430Cに対して第2電極432側(
図13の上側)とは反対側(
図13の下側)に間隔を空けて配されている。第1部433Aと第9部430Bとの間の間隔は、第2部433Bと第10部430Cとの間の間隔とほぼ同じとされる。
【0066】
ゲート絶縁膜43及び第1層間絶縁膜44には、
図14に示すように、第1コンタクトホールCH1、第2コンタクトホールCH2及び第3コンタクトホールCH3が設けられている。第1コンタクトホールCH1は、ゲート絶縁膜43及び第1層間絶縁膜44のうち、第2電極432及び第1半導体部431と重畳する位置に設けられている。第2電極432及び第1半導体部431は、第1コンタクトホールCH1を通して接続されている。第2コンタクトホールCH2は、ゲート絶縁膜43及び第1層間絶縁膜44のうち、第3電極433の第1部433B及び第1半導体部431と重畳する位置に設けられている。第3電極433の第1部433B及び第1半導体部431は、第2コンタクトホールCH2を通して接続されている。第3コンタクトホールCH3は、ゲート絶縁膜43及び第1層間絶縁膜44のうち、第3電極433の第2部433C及び第1半導体部431と重畳する位置に設けられている。第3電極433の第2部433C及び第1半導体部431は、第3コンタクトホールCH3を通して接続されている。
【0067】
以上説明したように本実施形態によれば、第1半導体部431は、ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)43の下層側に位置し、第1電極430は、ゲート絶縁膜43の上層側に位置しており、第1電極430の上層側で第2電極432及び第3電極433の下層側に配される第1層間絶縁膜(第2絶縁膜)44を備え、ゲート絶縁膜43及び第1層間絶縁膜44のうち、第2電極432及び第1半導体部431と重畳する位置に第1コンタクトホールCH1が設けられ、第1部433B及び第1半導体部431と重畳する位置に第2コンタクトホールCH2が設けられ、第2部433C及び第1半導体部431と重畳する位置に第3コンタクトホールCH3が設けられる。ゲート絶縁膜43の上層側に位置する第1電極430に電圧が印加されると、ゲート絶縁膜43の下層側に位置する第1半導体部431にチャネル領域が生じる。これに伴って、第1層間絶縁膜44の上層側に位置する第2電極432及び第3電極433の間で電子が移動する。電子は、第2電極432から第1コンタクトホールCH1を通して第1半導体部431のチャネル領域に到達すると、第2コンタクトホールCH2を通して第3電極433の第1部433Bへと移動するとともに、第3コンタクトホールCH3を通して第3電極433の第2部433Cへと移動する。
【0068】
<他の実施形態>
本明細書が開示する技術は、上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されず、例えば次のような実施形態も技術的範囲に含まれる。
【0069】
(1)第3電極33,133,233,333,433は、幹部33A,133A,433Aから4以上の部位に分岐される分岐構造でもよい。その場合、第2電極32,132,232,332,432を、幹部132Aから3以上の部位に分岐される分岐構造とすることができる。
【0070】
(2)実施形態3に記載の構成において、第3電極233が、平面に視て三つ股状の分岐構造でもよい。その場合、第2電極232を、平面に視て二股状の分岐構造とし、第4電極36及び第5電極37を2つずつ設置すればよい。
【0071】
(3)実施形態4に記載の構成において、第3電極333のうち、第2電極332側の部分を、平面に視て三つ股状の分岐構造とし、第7電極40側の部分を、平面に視て二股状の分岐構造としてもよい。その場合、第2電極332を、平面に視て二股状の分岐構造とし、第7電極40を、平面に視て三つ股状の分岐構造とすればよい。
【0072】
(4)実施形態5に記載の構成において、各コンタクトホールCH1,CH2,CH3の平面形状は、例えば正方形、円形等でもよいが、それ以外にも例えば横長の方形、横長の長円形、横長の楕円形等でもよい。また、1つの第2トランジスタT2,T102,T202,T302,T402に備わる各コンタクトホールCH1,CH2,CH3の数は、1つずつでもよく、また複数ずつでもよい。
【0073】
(5)ゲート回路部15を構成する単位回路20の具体的な回路構成は、図示以外にも適宜に変更可能である。
【0074】
(6)ドライバ13は、アレイ基板12,412に対してFOG(Film On Glass)実装されるフレキシブル基板に対してCOF(Chip On Film)実装されていても構わない。
【0075】
(7)アレイ基板12,412は、ガラス製のガラス基板12GS,412GSに代えて、合成樹脂製の樹脂基板を備えてもよい。
【0076】
(8)ゲート回路部15は、表示領域AAに対してX軸方向について片側のみに配されてもよい。
【0077】
(9)液晶パネル10の平面形状は、横長の長方形、正方形、円形、半円形、長円形、楕円形、台形等でもよい。
【0078】
(10)液晶パネル10は、透過型以外にも、外光を利用して表示を行う反射型や半透過型であっても構わない。
【0079】
(11)液晶パネル10以外の種類の表示パネルでもよい。
【符号の説明】
【0080】
10…液晶パネル(表示装置)、11…対向基板、12,412…アレイ基板(回路基板)、12GS,412GS…ガラス基板(基板)、30,130,330,430…第1電極、31,131,231,331,431…第1半導体部、32,132,232,332,432…第2電極、33,133,233,333,433…第3電極、33B,133B,333B,433B…第1部、33C,133C,333C,433C…第2部、34…ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)、36…第4電極、37…第5電極、38…第6電極、39…第2半導体部、40…第7電極、40B…第7部、40C…第8部、43…ゲート絶縁膜(第1絶縁膜)、44…第1層間絶縁膜(第2絶縁膜)、132B…第4部、132C…第5部、133D…第3部、333E…第6部、CH1…第1コンタクトホール、CH2…第2コンタクトホール、CH3…第3コンタクトホール、IT1…第1端子(第3電位供給部)、IT2…第2端子(第1電位供給部)、IT3…第3端子(第2電位供給部)、T2,T102,T202,T302,T402…第2トランジスタ(トランジスタ)