(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140299
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】アイデア創出支援装置、アイデア創出支援方法、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
G06F 16/36 20190101AFI20241003BHJP
【FI】
G06F16/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051382
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232092
【氏名又は名称】NECソリューションイノベータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115255
【弁理士】
【氏名又は名称】辻丸 光一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100201732
【弁理士】
【氏名又は名称】松縄 正登
(74)【代理人】
【識別番号】100154081
【弁理士】
【氏名又は名称】伊佐治 創
(74)【代理人】
【識別番号】100227019
【弁理士】
【氏名又は名称】安 修央
(72)【発明者】
【氏名】浅沼 爽汰
(72)【発明者】
【氏名】菅原 収吾
(72)【発明者】
【氏名】渡部(丸山) 佳織
(72)【発明者】
【氏名】山本 純一
【テーマコード(参考)】
5B175
【Fターム(参考)】
5B175DA01
5B175FB04
5B175GB04
5B175KA12
(57)【要約】
【課題】 思考の偏りを推定し、アイデアの発想を支援できるアイデア創出支援装置を提供する。
【解決手段】 本発明のアイデア創出支援装置は、観念分析用情報取得部、解析部、及び観念ネットワーク生成部を含み、
前記観念分析用情報取得部は、観念分析用情報を取得し、
前記解析部は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成部は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
観念分析用情報取得部、解析部、及び観念ネットワーク生成部を含み、
前記観念分析用情報取得部は、観念分析用情報を取得し、
前記解析部は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成部は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する、アイデア創出支援装置。
【請求項2】
前記解析部は、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、前記テキストを形態素解析して前記観念単語を抽出し、形態素解析後のテキストについて係受け解析することで前記観念単語間の関係性を抽出する、請求項1記載のアイデア創出支援装置。
【請求項3】
単語選択部、および新機軸生成部を含み、
前記単語選択部は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択し、
前記新機軸生成部は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する、請求項1または2記載のアイデア創出支援装置。
【請求項4】
前記新機軸生成部は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成する、請求項3記載のアイデア創出支援装置。
【請求項5】
前記新機軸生成部は、前記新機軸候補スコアが所定のスコア範囲内に属する新機軸候補単語を生成する、請求項4記載のアイデア創出支援装置。
【請求項6】
問情報生成部を含み、
前記単語選択部は、前記新機軸候補単語を選択し、
前記問情報生成部は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する、請求項3記載のアイデア創出支援装置。
【請求項7】
観念分析用情報取得工程、解析工程、及び観念ネットワーク生成工程を含み、
前記観念分析用情報取得工程は、観念分析用情報を取得し、
前記解析工程は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成工程は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する、アイデア創出支援方法。
【請求項8】
前記解析工程は、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、前記テキストを形態素解析して前記観念単語を抽出し、形態素解析後のテキストについて係受け解析することで前記観念単語間の関係性を抽出する、請求項7記載のアイデア創出支援方法。
【請求項9】
観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を含み、
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成し、
前記各手順を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を含み、
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成し、
前記各手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アイデア創出支援装置、アイデア創出支援方法、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、様々な企業においてイノベーションを起こすために試行錯誤がされている。これに伴い、様々なアイデア創出を支援するしくみが知られている(例えば、特許文献1、2、3等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-8987号公報
【特許文献2】特開2015-184971号公報
【特許文献3】特開2021-157509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1~3のようなしくみを利用していても、人は、アイデアを想起する際に、無意識のうちに既存の枠組みや思考バイアスにとらわれてしまうことがある。しかしながら、既存の枠組みや思考バイアスの存在は認知しづらく、このような状態に陥ってしまうと、ありきたりなアイデアや似たようなアイデアしか生まれず、イノベーションに繋がりにくいといった課題がある。
【0005】
そこで本発明は、思考の偏りを推定し、アイデアの発想を支援できるアイデア創出支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明のアイデア創出支援装置は、
観念分析用情報取得部、解析部、及び観念ネットワーク生成部を含み、
前記観念分析用情報取得部は、観念分析用情報を取得し、
前記解析部は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成部は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する。
【0007】
本発明のアイデア創出支援方法は、
観念分析用情報取得工程、解析工程、及び観念ネットワーク生成工程を含み、
前記観念分析用情報取得工程は、観念分析用情報を取得し、
前記解析工程は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成工程は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する。
【0008】
本発明のプログラムは、
観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を含み、
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成し、
前記各手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0009】
観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を含み、
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成し、
前記各手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、思考の偏りを推定できる。このため、本発明によれば、例えば、組織におけるアイデアの発想を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、実施形態1のアイデア創出支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施形態1のアイデア創出支援装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態1のアイデア創出支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1のアイデア創出支援装置において利用する観念ネットワークを説明するための模式図である。
【
図5】
図5は、実施形態2のアイデア創出支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態2のアイデア創出支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態3のアイデア創出支援装置の一例の構成を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施形態3のアイデア創出支援装置により出力される画面の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、本発明の実施形態について図を用いて説明する。本発明は、以下の実施形態には限定されない。以下の各図において、同一部分には、同一符号を付している。また、各実施形態の説明は、特に言及がない限り、互いの説明を援用でき、各実施形態の構成は、特に言及がない限り、組合せ可能である。
【0013】
[実施形態1]
本実施形態のアイデア創出支援装置について、
図1を用いて説明する。
図1は、本実施形態のアイデア創出支援装置10の一例の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、アイデア創出支援装置10(以下、「本装置10」ともいう)は、観念分析用情報取得部11、解析部12、及び、観念ネットワーク生成部13を含む。また、図示していないが、本装置10は、例えば、記憶部、入力部、及び出力部を含んでもよい。
【0014】
本装置10は、例えば、前記各部を含む1つの装置でもよいし、前記各部が、通信回線網を介して接続可能な装置でもよい。また、本装置10は、通信回線網を介して、後述する外部装置と接続可能である。通信回線網は、特に制限されず、公知のネットワークを使用でき、例えば、有線でも無線でもよい。通信回線網は、例えば、インターネット回線、WWW(World Wide Web)、電話回線、LAN(Local Area Network)、SAN(Storage Area Network)、DTN(Delay Tolerant Networking)、LPWA(Low Power Wide Area)、L5G(ローカル5G)、等があげられる。無線通信としては、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ローカル5G、LPWA等が挙げられる。前記無線通信としては、各装置が直接通信する形態(Ad Hoc通信)、インフラストラクチャ(infrastructure通信)、アクセスポイントを介した間接通信等であってもよい。本装置10は、例えば、システムとしてサーバに組み込まれていてもよい。また、本装置10は、例えば、本発明のプログラムがインストールされたパーソナルコンピュータ(PC、例えば、デスクトップ型、ノート型)、スマートフォン、タブレット端末等であってもよい。本装置10は、対象物を撮像可能な撮像端末(例えば、カメラ付きのスマートフォン、タブレット端末等)であってもよいし、前記撮像端末と通信可能な装置であってもよい。さらに、本装置10は、例えば、前記各部のうち少なくとも一つがサーバ上にあり、その他の前記各部が端末上にあるような、クラウドコンピューティングやエッジコンピューティング等の形態であってもよい。
【0015】
図2に、本装置10のハードウェア構成のブロック図を例示する。本装置10は、例えば、中央処理装置(CPU、GPU等)101、メモリ102、バス103、記憶装置104、入力装置105、出力装置106、通信デバイス107等を含む。本装置10の各部は、それぞれのインタフェース(I/F)により、バス103を介して相互に接続されている。
【0016】
中央処理装置101は、コントローラ(システムコントローラ、I/Oコントローラ等)等により、他の構成と連携動作し、本装置10の全体の制御を担う。本装置10において、中央処理装置101により、例えば、本発明のプログラムやその他のプログラムが実行され、また、各種情報の読み込みや書き込みが行われる。具体的には、例えば、中央処理装置101が、観念分析用情報取得部11、解析部12、及び、観念ネットワーク生成部13として機能する。本装置10は、演算装置として、CPU、GPU(Graphics Processing Unit)、APU(Accelerated Processing Unit)等の他の演算装置を備えてもよいし、これらの組合せを備えてもよい。
【0017】
バス103は、例えば、外部装置とも接続できる。前記外部装置は、例えば、外部記憶装置(外部データベース等)、プリンタ、外部入力装置、外部表示装置、スピーカ等の音声出力装置、カメラ等の外部撮像装置、および加速度センサ、地磁気センサ、方向センサ等の各種センサ等があげられる。本装置10は、例えば、バス103に接続された通信デバイス107により、外部ネットワーク(前記通信回線網)に接続でき、外部ネットワークを介して、ユーザの端末等の他の装置と接続することもできる。
【0018】
メモリ102は、例えば、メインメモリ(主記憶装置)が挙げられる。中央処理装置101が処理を行う際には、例えば、後述する記憶装置104に記憶されている本発明のプログラム等の種々の動作プログラムを、メモリ102が読み込み、中央処理装置101は、メモリ102からデータを受け取って、プログラムを実行する。前記メインメモリは、例えば、RAM(ランダムアクセスメモリ)である。また、メモリ102は、例えば、ROM(読み出し専用メモリ)であってもよい。
【0019】
記憶装置104は、例えば、前記メインメモリ(主記憶装置)に対して、いわゆる補助記憶装置ともいう。前述のように、記憶装置104には、本発明のプログラムを含む動作プログラムが格納されている。記憶装置104は、例えば、記録媒体と、記録媒体に読み書きするドライブとの組合せであってもよい。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、内蔵型でも外付け型でもよく、HD(ハードディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-RW、MO、DVD、フラッシュメモリー、メモリーカード等が挙げられる。記憶装置104は、例えば、記録媒体とドライブとが一体化されたハードディスクドライブ(HDD)、及びソリッドステートドライブ(SSD)であってもよい。本装置10が、例えば、前記記憶部を含む場合、記憶装置104が前記記憶部として機能する。記憶装置104は、例えば、後述する観念分析用情報、テキスト、観念単語、観念単語間の関係性、観念ネットワーク、新機軸候補単語、新機軸候補スコア、問情報の少なくとも一つを記憶していてもよい。
【0020】
本装置10において、メモリ102及び記憶装置104は、ログ情報、外部データベース(図示せず)や外部の装置から取得した情報、本装置10によって生成した情報、本装置10が処理を実行する際に用いる情報等の種々の情報を記憶することも可能である。なお、少なくとも一部の情報は、例えば、メモリ102及び記憶装置104以外の外部サーバに記憶されていてもよいし、複数の端末にブロックチェーン技術等を用いて分散して記憶されていてもよい。
【0021】
本装置10は、例えば、さらに、入力装置105、出力装置106を備える。入力装置105は、例えば、タッチパネル、トラックパッド、マウス等のポインティングデバイス;キーボード;カメラ、スキャナ等の撮像手段;ICカードリーダ、磁気カードリーダ等のカードリーダ;マイク等の音声入力手段;等があげられる。出力装置106は、例えば、LEDディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示装置;スピーカ等の音声出力装置;プリンタ;等があげられる。本実施形態1において、入力装置105と出力装置106とは、別個に構成されているが、入力装置105と出力装置106とは、タッチパネルディスプレイのように、一体として構成されてもよい。
【0022】
つぎに、本実施形態のアイデア創出支援方法の一例を、
図3のフローチャートに基づき説明する。本実施形態のアイデア創出支援方法は、例えば、
図1から
図2に示すアイデア創出支援装置10を用いて、次のように実施する。なお、本実施形態のアイデア創出支援方法は、
図1から
図2のアイデア創出支援装置10の使用には限定されない。
【0023】
まず、観念分析用情報取得部11は、観念分析用情報を取得する(S1、観念分析用情報取得工程)。前記観念分析用情報は、例えば、組織や社会等の集団において共有されている観念を分析するための情報である。前記観念分析用情報の具体例としては、例えば、Wikipedia、ニュースサイト等のウェブサイト、書籍、論文、組織において保存されている組織データ等があげられる。観念分析用情報取得部11は、例えば、観念の分析を行う集団や、観念分析の目的に応じて取得する観念分析用情報の種類を適宜選択して取得することもできる。具体例として、組織で共有されている観念を分析する場合、観念分析用情報取得部11は、例えば、前記観念分析用情報として、前記組織データを取得できる。前記組織データは、例えば、前記組織において記録されているデータであれば特に制限されず、任意のデータを使用できる。前記組織データの具体例としては、例えば、前記組織が外部に公開している公開資料、組織内部向けの資料、チャット、メール等の記録、会議の議事録、通話の録音データ等があげられる。前記観念分析用情報の形式は、特に制限されず、例えば、テキストデータでもよいし、音声データでもよいし、画像データでもよいし、図表データでもよい。前記観念分析用情報は、例えば、テキストデータであることが好ましい。前記観念分析用情報が、例えば、テキストデータ以外のデータ(例えば、音声データ、画像データ、図表データ等)を含む場合、観念分析用情報取得部11は、前記観念分析用情報について、テキストデータに変換することが好ましい。観念分析用情報取得部11は、例えば、前記観念分析用情報が記録された端末から、前記観念分析用情報を取得できる。前記観念分析用情報が記録された端末は、特に制限されず、例えば、前記ウェブサイトのウェブサーバ、書籍をスキャンしたスキャナ、前記組織が管理するサーバ装置、PC、前記構成員が所有する端末等があげられる。観念分析用情報取得部11は、例えば、取得した前記観念分析用情報を記憶装置104またはメモリ102に記憶してもよい。
【0024】
本発明において、「組織」とは、特に制限されず、複数の構成員で構成されるものを意味する。前記組織の具体例としては、例えば、企業;官公庁;学校組織;各種団体;医療機関;スポーツチーム;等が挙げられる。また、前記組織は、例えば、企業、官公庁、学校組織等の一部分であってもよい。前記一部分の具体例としては、例えば、部署;営業所;事業所;研究所;等があげられる。本発明において「構成員」とは、特に制限されず、前記組織の構成員を意味する。前記構成員の具体例としては、例えば、従業員、職員、教員、学生、組合員、会員、医療従事者、選手等が挙げられる。
【0025】
つぎに、解析部12は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し(S2A)、前記観念単語間の関係性を解析する(S2B)(S2、解析工程)。前記単語間の関係性とは、例えば、前記観念分析用情報に含まれるテキスト中の文章において、観念単語同士が正/負のいずれの関係があるのかを示す情報である。解析部12は、例えば、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、自然言語処理により前記テキストから前記観念単語を抽出できる。前記自然言語処理は、例えば、いわゆる構文解析の手法が適用でき、その種類は特に制限されない。以下、解析部12の処理について、具体例を挙げて説明するが、本発明は以下の例示にはなんら制限されない。解析部12は、例えば、前記テキストについて形態素解析を行い、文章を品詞に分解する。そして、解析部12は、例えば、分解後の文章において、例えば、動詞の主語又は目的語となる名詞について、前記観念単語として抽出できる。つぎに、解析部12は、例えば、分解後の文章について、前記観念単語を対象として、係受け解析を行う。つぎに、解析部12は、例えば、前記観念単語にかかっている単語について、ポジティブ/ネガティブ解析を行い、前記単語の属性(正または負)を解析する。そして、解析部12は、例えば、前記単語の属性を、前記観念単語の属性とできる。前記単語のポジティブ/ネガティブ解析は、例えば、極性辞書に基づいて解析できる。前記極性辞書は、例えば、本装置10の前記記憶部に記憶されていてもよいし、本装置外部に記憶されている極性辞書を参照してもよい。そして、解析部12は、例えば、前記文章に含まれる観念単語の属性同士を乗算することにより、前記観念単語間の関係性を解析できる。前記「観念単語の属性同士を乗算する」とは、具体的に、例えば、観念単語Aの属性がポジティブ(正)であり、観念単語Bの属性がネガティブ(負)である場合、観念単語Aと観念単語Bとの関係性は、「正(+)×負(-)=負(-)」であるとし、観念単語Aの属性がポジティブ(正)であり、観念単語Bの属性がポジティブ(正)である場合、観念単語Aと観念単語Bとの関係性は、「正(+)×正(+)=正(+)」であるとし、観念単語Aの属性がネガティブ(負)であり、観念単語Bの属性がネガティブ(負)である場合、観念単語Aと観念単語Bとの関係性は、「負(-)×負(-)=正(+)」であるとするような処理を意味する。これにより、解析部12は、前記文章中に含まれる観念単語間の関係性を解析できる。なお、本発明において、用語「観念」は、例えば、「信念」ということもあり、「バイアス」や「固定観念」と言い換えることもできる。
【0026】
つぎに、観念ネットワーク生成部13は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する(S3、観念ネットワーク生成工程)。前記観念ネットワークは、例えば、前記観念単語をノード、前記観念単語間の関係性をエッジとして接続された有向グラフである。S1において、前記観念分析用情報として前記組織データが取得されている場合、前記観念ネットワークは、例えば、前記組織の観念を示す組織の観念ネットワークとして使用できる。
【0027】
解析部12および観念ネットワーク生成部13の処理について、具体例を挙げて説明する。以下の説明においては、前記観念分析用情報から、例えば、「WEB広告を強化することで、顧客の増加を目指します。」、および、「生産コストを削減することで、利益の増加を図ります。」というテキストが抽出された場合を例に挙げて説明するが、本発明は以下の例示にはなんら限定および制限されない。まず、解析部12は、「WEB広告を強化することで、顧客の増加を目指します。」、および、「生産コストを削減することで、利益の増加を図ります。」のそれぞれについて、形態素解析を行い、文章を品詞に分解する。その結果、前記文章は、「WEB/広告/を/強化/する/こと/で/、/顧客/の/増加/を/目指し/ます/。」、および、「生産/コスト/を/削減/する/こと/で/、/利益/の/増加/を/図り/ます/。」といった要素に分解できる。この際、前者の文章からは、「広告」「顧客」が前記観念単語として抽出でき、後者の文章からは、「コスト」「利益」が前記観念単語として抽出できる。そして、解析部12は、
図4に示すように、前者の文章について、「広告」「顧客」を対象とした係受け解析を行い、「広告」にかかっている「強化」および「顧客」にかかっている「増加」について、ポジティブ/ネガティブ解析を行う。前者の文章においては、「広告」に対して「強化」という正の用語がかかり、「顧客」に対しても「増加」という正の用語がかかっていることから、解析部12は、観念単語「広告」および観念単語「顧客」について、正の関係性(プラスのバイアス)があると解析する。同様に、解析部12は、後者の文章について、「コスト」「利益」を対象とした係受け解析を行い、「コスト」にかかっている「削減」および「利益」にかかっている「増加」について、ポジティブ/ネガティブ解析を行う。後者の文章において、「コスト」は、「削減」という負の用語がかかり、「利益」に対しては「増加」という正の用語がかかっていることから、解析部12は、観念単語「コスト」および観念単語「利益」について、負の関係性(マイナスのバイアス)があると解析する。解析部12は、同様にして、前記観念分析用情報から観念単語の抽出と観念単語間の関係性の解析を実行する。そして、観念ネットワーク生成部13は、
図4に示すように、抽出された観念単語「広告」「顧客」「コスト」「利益」をノードとして、各観念単語間の関係性をエッジとした有向グラフを、前記組織における観念ネットワークとして生成できる。
【0028】
なお、上記の例示では、観念単語が2つ(ペア)となる文章の処理について例示したが、本発明により解析可能な文章は上記の例には何ら制限されず、2以上の観念単語が含まれる文章であれば、前記観念分析用情報として使用できる。具体例として、例えば、「WEB広告を強化することで顧客の増加を目指し、組織の更なる発展を目指します。」という文章であれば、解析部12は、まず、前記文章を形態素解析し、「WEB/広告/を/強化/する/こと/で/顧客/の/増加/を/目指し/、/組織/の/更なる/発展/を/目指し/ます/。」に分解する。つぎに、解析部12は、例えば、観念単語として、「広告」「顧客」「組織」を抽出する。つぎに、解析部12は、例えば、「広告」にかかっている「強化(正)」、「顧客」にかかっている「増加(正)」、「組織」にかかっている「発展(正)」から、「広告と顧客」「広告と組織」「顧客と組織」の関係を解析する。そして、観念ネットワーク生成部13は、前記解析結果に基づいて前記観念ネットワークを生成できる。
【0029】
本装置10は、例えば、前記出力部により、生成した前記観念ネットワークを出力してもよい。前記観念ネットワークの出力先は、特に制限されず、例えば、任意の出力先に出力できる。前記出力部は、前記観念ネットワークをディスプレイ等の出力装置106に出力してもよいし、バス103を介して接続された通信デバイス107により、外部装置への出力でもよい。前記外部装置は、例えば、プリンタ等の出力装置、前記組織の構成員の端末、前記構成員の管理者の端末、本装置10の管理者の端末等があげられる。本装置10は、例えば、出力された観念ネットワークを確認した組織の構成員らのレスポンスについて、前記観念分析用情報として収集し、前記観念ネットワークをさらに生成することもできる。これにより、組織において共有される観念の分析も可能になる。
【0030】
本実施形態のアイデア創出支援装置10によれば、観念分析用情報に基づいて組織が共有する観念の関係性を示す観念ネットワークを生成できる。このため、本実施形態のアイデア創出支援装置10によれば、例えば、組織の構成員により無意識に共有されている固定観念や、思考のバイアス、既存の枠組み等を可視化することができる。このため、本実施形態のアイデア創出支援装置10によれば、例えば、前記観念ネットワークに基づいて議論を行うことにより、既存の枠組みや固定観念にとらわれない発想でのアイデア創出を支援することができる。
【0031】
[実施形態2]
実施形態2は、本発明のアイデア創出支援装置の他の例である。
【0032】
本実施形態のアイデア創出支援装置は、実施形態1のアイデア創出支援装置10の構成に加えて、単語選択部、および新機軸生成部を含むこと以外は前記実施形態1のアイデア創出支援装置10と同様であり、その説明を援用できる。本実施形態のアイデア創出支援装置10Aは、例えば、単語選択部14、および新機軸生成部15を含み、単語選択部14は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択し、新機軸生成部15は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する。
【0033】
図5は、本実施形態のアイデア創出支援装置10Aの一例の構成を示すブロック図である。
図5に示すように、アイデア創出支援装置10Aは、実施形態1のアイデア創出支援装置10の構成に加えて、単語選択部14、および新機軸生成部15を含む。アイデア創出支援装置10Aのハードウェア構成は、
図2のアイデア創出支援装置10のハードウェア構成において、中央処理装置101が、
図1のアイデア創出支援装置10の構成に代えて、
図5のアイデア創出支援装置10Aの構成を備える以外は同様である。以下、単語選択部14の処理(S11)、および新機軸生成部15(S12)の処理を説明する。単語選択部14、および新機軸生成部15の処理は、例えば、前記実施形態1で説明した
図3のフローチャートにおける任意の位置に適宜挿入できるが、
図6のフローチャートに示すように、S3の後に挿入されることが好ましい。
【0034】
まず、前記実施形態1のS1からS3と同様にしてS1からS3を実施し、組織の観念ネットワークを生成する。
【0035】
つぎに、単語選択部14は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択する(S11、単語選択工程)。前記観念単語の選択は、例えば、本装置10Aが自動的に選択してもよいし、本装置10Aのユーザにより選択された任意の観念単語でもよい。S11において選択される観念単語の数は、特に制限されず、1つでもよいし、2以上の複数でもよいが、複数であることが好ましく、2つ(ペア)であることがさらに好ましい。観念単語が複数である場合、例えば、選択される観念単語は、例えば、前記観念ネットワークにおいて関係がある(すなわち、選択された観念単語同士にエッジが存在する)ことが好ましい。
【0036】
つぎに、新機軸生成部15は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する(S12、新機軸生成工程)。また、新機軸生成部15は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成してもよい。
【0037】
S12における新機軸生成部15の処理の一例を説明するが、本発明は以下の例示に限定されない。新機軸生成部15は、例えば、多数の文章データを学習させた自然言語処理モデルを用いて前記新機軸候補単語を生成できる。前記自然言語処理モデルは、特に制限されず、例えば、BERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)があげられるが、これには限定されない。具体的に、まず、新機軸生成部15の処理に先立ち、前記自然言語処理モデル(例えば、BERT)に対し、多数の文章データを学習させる。前記自然言語処理モデルに学習させる文章データの種類は、特に制限されず、例えば、公開されている文章であればよい。前記文章データの具体例としては、例えば、Wikipedia、ニュースサイト等のウェブサイト、書籍、論文等があげられる。学習済みの自然言語処理モデルにおいては、学習された単語について、複数の要素で構成されたベクトルとしてあらわされる。新機軸生成部15は、前記学習済みの自然言語処理モデルを用いて、前記観念単語を観念単語ベクトルに変換する。そして、新機軸生成部15は、例えば、前記観念単語ベクトルの直行ベクトルを算出する。また、前記選択された前記観念単語が複数ある場合、例えば、新機軸生成部15は、例えば、前記複数の観念単語の観念ベクトルの平均を算出し、前記観念ベクトルの平均の直行ベクトルを算出してもよいし、前記複数の観念単語ベクトルを合成した合成ベクトルの直行ベクトルを算出してもよい。前記選択された観念単語が、例えば、2つの観念単語(観念単語ペア)である場合、新機軸生成部15は、例えば、前記2つの観念単語の2つの観念ベクトルのウェッジ積を算出することで前記直行ベクトルを算出できる。そして、新機軸生成部15は、例えば、前記直行ベクトルに基づいて新機軸候補単語を抽出できる。この場合、新機軸生成部15は、例えば、前記直行ベクトルの成分を前記自然言語処理モデルにより単語に復元し、復元した単語を前記新機軸候補単語として生成できる。
【0038】
また、新機軸生成部15は、例えば、さらに、前記直行ベクトルに基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成してもよい。この場合、新機軸生成部15は、例えば、前記新機軸候補スコアとして、前記直行ベクトルの類似度を算出する。前記直行ベクトルの類似度は、例えば、コサイン類似度があげられる。そして、新機軸生成部15は、例えば、前記直行ベクトルの類似度(新機軸候補スコア)が所定の条件を満たす単語を選択し、選択した単語を新機軸候補単語として生成できる。前記所定の条件は、特に制限されず、例えば、前記類似度が高い単語から順に選択してもよいし、前記類似度が所定の範囲に含まれる単語を選択してもよい。新機軸生成部15は、例えば、前記新機軸候補単語を1つ生成してもよいし、2以上の複数生成してもよい。
【0039】
新機軸生成部15は、例えば、さらに、前記直行ベクトルと、共起ネットワークとを用いて前記新機軸候補単語を生成してもよい。この場合、まず、予め前記多数の文章データに基づいて、単語間の共起ネットワークを生成しておく。前記共起ネットワークは、前記文章データにおいて、同一文章中に同時に現れる単語をつなぐことによって生成できる、単語の特徴を表すネットワークである。そして、新機軸生成部15は、例えば、前記共起ネットワークにおけるコミュニティを抽出する。前記コミュニティは、例えば、密に結びついた部分ネットワークを意味する。新機軸生成部15は、例えば、前記共起ネットワーク中において、内部の頂点間の結合が密で、外部の頂点との結合が疎である部分を抽出することで前記コミュニティを抽出・生成できる。なお、新機軸生成部15による前記共起ネットワークおよびコミュニティの生成は、例えば、公知のテキスト分析手法が適宜使用できる。前記共起ネットワークおよび前記コミュニティは、例えば、本装置10Aのメモリ102または記憶装置104に記憶されていてもよいし、外部の記憶装置に記憶されていてもよい。新機軸生成部15は、例えば、前述と同様にして、前記直行ベクトルに基づいて単語を選択する。そして、前記共起ネットワークを参照し、前記共起ネットワークにおいて、前記選択した単語が含まれるコミュニティを選択する。そして、新機軸生成部15は、例えば、前記コミュニティにおいて、中心性の高い単語を前記新機軸候補単語として生成できる。前記中心性の高い単語は、例えば、前記コミュニティにおける次数中心性の高い単語を意味する。新機軸生成部15は、例えば、前記コミュニティに含まれる各単語について、次数中心性を算出し、算出した次数中心性に基づいて前記中心性の高い単語を選択できる。新機軸生成部15は、例えば、前記次数中心性が最も高い単語を前記新機軸候補単語として生成してもよいし、前記次数中心性が所定の条件を満たす単語を前記新機軸候補単語として生成してもよい。後者の場合、新機軸生成部15が生成する単語の数は、例えば、1つでもよいし、複数でもよい。前記所定の条件は特に制限されず、例えば、前記次数中心性が高い順から順に選択する条件でもよいし、前記次数中心性が所定の範囲に含まれる単語を選択する条件でもよい。新機軸生成部15が、例えば、前記直行ベクトルと共起ネットワークとを用いて前記新機軸候補単語を生成することで、例えば、選択された観念単語から適度に離れた単語を取得することが期待できる。また、例えば、生成された単語が、「時間」「ブランド」等の意味が広く概念的な単語であれば、新たな発想につながりやすいと考えられるが、「申告分離課税」等の利用範囲が限定的な単語は、新たな発想につながりにくいと考えられる。新機軸生成部15が、例えば、前記共起ネットワークにおいて、中心性が高い単語を新機軸候補単語として生成することにより、例えば、よりアイデア創出に利用しやすい単語を新機軸候補単語として生成することが可能になる。
【0040】
なお、新機軸生成部15は、上記の例示には限定されず、例えば、他の学習済み新機軸生成器に前記選択された観念単語を入力し、前記新機軸生成器により生成された単語を前記新機軸候補単語として生成してもよい。前記新機軸生成器は、特に制限されず、例えば、BERT等の自然言語処理モデルに多数の文章データを学習させ、入力された単語に対して、MASK予測により新たな単語を出力するように学習させられた機械学習モデルがあげられる。なお、前記自然言語処理モデルは、BERTには限定されず、任意の自然言語処理モデルが使用できる。また、新機軸生成部15は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成してもよい。この場合、前記新機軸候補スコアは、例えば、前記入力された観念単語に対する、候補単語のMASK予測のスコアがあげられる。前記所定の条件は、特に制限されず、例えば、閾値以上/未満といった条件でもよいし、所定の範囲内に収まる、といった条件でもよいが、後者が好ましい。また、前記所定の範囲は、特に制限されず、任意の範囲を設定できるが、前記MASK予測のスコアが閾値未満(例えば、0.001~1、0.01~1、0.01~0.1)であることが好ましい。MASK予測のスコアの条件をこのような範囲に設定することより、例えば、既存の枠組みから少し離れた単語を前記新機軸候補単語として生成することができるようになる。
【0041】
本装置10Aは、例えば、前記出力部により、前記新機軸候補単語を出力可能であってもよい。前記出力は、例えば、ディスプレイ等の出力装置106に出力してもよいし、バス103を介して接続された通信デバイス107により、外部装置への出力でもよい。前記出力部は、例えば、前記新機軸候補単語と、前記新機軸候補単語の生成元となった前記観念単語の組み合わせを出力してもよい。出力部による出力先は、例えば、前述の通りである。
【0042】
本実施形態のアイデア創出支援装置10Aによれば、選択された観念単語に基づいて新機軸候補単語を生成できる。このため、本実施形態のアイデア創出支援装置10Aによれば、前記観念単語にとらわれない自由な発想を着想するためのきっかけとなりうる新機軸候補単語を生成できるため、新規なアイデアの創出を支援できる。
【0043】
[実施形態3]
実施形態3は、本発明のアイデア創出支援装置の他の例である。
【0044】
本実施形態のアイデア創出支援装置は、実施形態2のアイデア創出支援装置10Aの構成に加えて、問情報生成部を含むこと以外は前記実施形態2のアイデア創出支援装置10Aと同様であり、その説明を援用できる。本実施形態のアイデア創出支援装置10Bは、例えば、問情報生成部16を含む。アイデア創出支援装置10Bにおいて、単語選択部14は、前記新機軸候補単語を選択し、問情報生成部16は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する。
【0045】
図7は、本実施形態のアイデア創出支援装置10Bの一例の構成を示すブロック図である。
図7に示すように、アイデア創出支援装置10Bは、実施形態2のアイデア創出支援装置10Aの構成に加えて、問情報生成部16を含む。アイデア創出支援装置10Bのハードウェア構成は、
図2のアイデア創出支援装置10のハードウェア構成において、中央処理装置101が、
図1のアイデア創出支援装置10の構成に代えて、
図7のアイデア創出支援装置10Bの構成を備える以外は同様である。以下、問情報生成部16の処理を説明する。問情報生成部16の処理は、例えば、前記実施形態2で説明した
図6のフローチャートにおける任意の位置に適宜挿入できる。
【0046】
問情報生成部16の処理に先立ち、単語選択部14は、前記新機軸候補単語を選択する(単語選択工程)。前記新機軸候補単語の選択は、例えば、本装置10Bが自動的に選択してもよいし、本装置10Bのユーザにより選択された任意の新機軸候補単語でもよい。単語選択部14が選択する新機軸候補単語の数は、特に制限されず、例えば、1つでもよいし、2以上の複数でもよい。
【0047】
つぎに、問情報生成部16は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する(問情報生成工程)。前記問情報は、例えば、前記観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、前記組織における固定観念(思考バイアス)を破壊することを支援できるような質問、投げかけの情報である。問情報生成部16は、例えば、問雛形情報に前記観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方を当てはめることにより、前記問情報を生成できる。具体的に、例えば、問情報生成部16は、下記表1に示すような問雛形において、[新機軸]に前記新機軸候補単語を、[バイアス1]および[バイアス2]に、前記観念単語を当てはめることで前記問情報を生成できる。
【0048】
【0049】
本装置10Bは、前記出力部により、前記問情報について出力してもよい。この場合、前記出力部は、例えば、前記問情報と併せて、前記観念単語同士の関係性を示すグラフ等の各種情報を閲覧可能に出力してもよい。前記出力先は、例えば、前述と同様である。
【0050】
具体例を用いて、本装置10Bの利用例について説明するが、本発明は以下の例示にはなんら制限されない。まず、本装置10Bによりアイデアの創出をするユーザ(例えば、前記組織の構成員)は、例えば、まず出力された観念ネットワークから、前記観念単語のペア(例えば、「品質」と「価格」)を選択する。本装置10Bは、選択された観念単語に基づき、前記観念ネットワークから、「品質」と「価格」の関係性について説明する文章(例えば、「品質が高いと価格が高い」)と、前記関係性について示すグラフを表示する。そして、本装置10Bは、前記観念単語のペアに基づいて、前記実施形態2に記載のようにして、新機軸候補単語(「時間」「定義」「温度」「コスト」)を生成し、前記ユーザに出力する。ユーザは、前記新機軸候補単語群を確認し、例えば、前記新機軸候補単語として、「時間」を選択(入力)する。本装置10Bは、選択された観念単語(「品質」と「価格」)、および新機軸候補単語(「時間」)を前記問雛形にあてはめ、問情報「時間を最大化(または最小化)すると品質と価格の関係はどうなるでしょう?」を出力する。この際、本装置10Bは、
図8に示すように、前記グラフに、選択された新機軸候補単語に基づく軸を追加して表示してもよい。
【0051】
本実施形態のアイデア創出支援装置10Bによれば、例えば、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成できる。このため、本実施形態のアイデア創出支援装置10Bによれば、前記観念単語にとらわれない自由な発想を着想するためのきっかけとなりうる問いかけを生成できるため、新規なアイデアの創出を支援できる。
【0052】
[実施形態4]
本実施形態のプログラムは、前述のアイデア創出支援方法の各工程を、コンピュータに実行させるためのプログラムである。具体的に、本実施形態のプログラムは、コンピュータに、観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を実行させるためのプログラムである。
【0053】
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する。
【0054】
また、本実施形態のプログラムは、コンピュータを、観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順として機能させるプログラムということもできる。
【0055】
本実施形態のプログラムは、前記本発明のアイデア創出支援装置およびアイデア創出支援方法における記載を援用できる。前記各手順は、例えば、「手順」を「処理」と読み替え可能である。また、本実施形態のプログラムは、例えば、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。前記記録媒体は、例えば、非一時的なコンピュータ可読記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)である。前記記録媒体は、特に制限されず、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、ハードディスク(HD)、フラッシュメモリー(例えば、SSD(Solid State Drive)、USBフラッシュメモリー、SD/SDHCカード等)、光ディスク(例えば、CD‐R/CD‐RW、DVD‐R/DVD‐RW、BD‐R/BD‐RE等)、光磁気ディスク(MO)、フロッピー(登録商標)ディスク(FD)等があげられる。また、本実施形態のプログラム(例えば、プログラミング製品、又はプログラム製品ともいう)は、例えば、外部のコンピュータから配信される形態であってもよい。前記「配信」は、例えば、通信回線網を介した配信でもよいし、有線で接続された装置を介した配信であってもよい。本実施形態のプログラムは、配信された装置にインストールされて実行されてもよいし、インストールされずに実行されてもよい。
【0056】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解しうる様々な変更をできる。
【0057】
<付記>
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のように記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
観念分析用情報取得部、解析部、及び観念ネットワーク生成部を含み、
前記観念分析用情報取得部は、観念分析用情報を取得し、
前記解析部は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成部は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する、アイデア創出支援装置。
(付記2)
前記解析部は、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、前記テキストを形態素解析して前記観念単語を抽出し、形態素解析後のテキストについて係受け解析することで前記観念単語間の関係性を抽出する、付記1記載のアイデア創出支援装置。
(付記3)
単語選択部、および新機軸生成部を含み、
前記単語選択部は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択し、
前記新機軸生成部は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する、付記1または2記載のアイデア創出支援装置。
(付記4)
前記新機軸生成部は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成する、付記3記載のアイデア創出支援装置。
(付記5)
前記新機軸生成部は、前記新機軸候補スコアが所定のスコア範囲内に属する新機軸候補単語を生成する、付記4記載のアイデア創出支援装置。
(付記6)
問情報生成部を含み、
前記単語選択部は、前記新機軸候補単語を選択し、
前記問情報生成部は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する、付記3から5のいずれか一項に記載のアイデア創出支援装置。
(付記7)
観念分析用情報取得工程、解析工程、及び観念ネットワーク生成工程を含み、
前記観念分析用情報取得工程は、観念分析用情報を取得し、
前記解析工程は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成工程は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成する、アイデア創出支援方法。
(付記8)
前記解析工程は、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、前記テキストを形態素解析して前記観念単語を抽出し、形態素解析後のテキストについて係受け解析することで前記観念単語間の関係性を抽出する、付記7記載のアイデア創出支援方法。
(付記9)
単語選択工程、および新機軸生成工程を含み、
前記単語選択工程は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択し、
前記新機軸生成工程は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する、付記7または8記載のアイデア創出支援方法。
(付記10)
前記新機軸生成工程は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成する、付記9記載のアイデア創出支援方法。
(付記11)
前記新機軸生成工程は、前記新機軸候補スコアが所定のスコア範囲内に属する新機軸候補単語を生成する、付記10記載のアイデア創出支援方法。
(付記12)
問情報生成工程を含み、
前記単語選択工程は、前記新機軸候補単語を選択し、
前記問情報生成工程は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する、付記9から11のいずれか一項に記載のアイデア創出支援方法。
(付記13)
観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を含み、
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成し、
前記各手順を、コンピュータに実行させるためのプログラム。
(付記14)
前記解析手順は、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、前記テキストを形態素解析して前記観念単語を抽出し、形態素解析後のテキストについて係受け解析することで前記観念単語間の関係性を抽出する、付記13記載のプログラム。
(付記15)
単語選択手順、および新機軸生成手順を含み、
前記単語選択手順は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択し、
前記新機軸生成手順は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する、付記13または14記載のプログラム。
(付記16)
前記新機軸生成手順は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成する、付記15記載のプログラム。
(付記17)
前記新機軸生成手順は、前記新機軸候補スコアが所定のスコア範囲内に属する新機軸候補単語を生成する、付記16記載のプログラム。
(付記18)
問情報生成手順を含み、
前記単語選択手順は、前記新機軸候補単語を選択し、
前記問情報生成手順は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する、付記15から17のいずれか一項に記載のプログラム。
(付記19)
観念分析用情報取得手順、解析手順、及び観念ネットワーク生成手順を含み、
前記観念分析用情報取得手順は、観念分析用情報を取得し、
前記解析手順は、前記観念分析用情報から観念単語を抽出し、前記観念単語間の関係性を解析し、
前記観念ネットワーク生成手順は、前記観念単語間の関係性に基づいて、観念ネットワークを生成し、
前記各手順を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
(付記20)
前記解析手順は、前記観念分析用情報からテキストを抽出し、前記テキストを形態素解析して前記観念単語を抽出し、形態素解析後のテキストについて係受け解析することで前記観念単語間の関係性を抽出する、付記19記載の記録媒体。
(付記21)
単語選択手順、および新機軸生成手順を含み、
前記単語選択手順は、前記観念ネットワークに含まれる観念単語を少なくとも一つ選択し、
前記新機軸生成手順は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語を生成する、付記19または20記載の記録媒体。
(付記22)
前記新機軸生成手順は、選択された前記観念単語に基づいて、新機軸候補単語の新機軸候補スコアを算出し、前記新機軸候補スコアが所定の条件を満たす新機軸候補単語を生成する、付記21記載の記録媒体。
(付記23)
前記新機軸生成手順は、前記新機軸候補スコアが所定のスコア範囲内に属する新機軸候補単語を生成する、付記22記載の記録媒体。
(付記24)
問情報生成手順を含み、
前記単語選択手順は、前記新機軸候補単語を選択し、
前記問情報生成手順は、前記選択された観念単語および新機軸候補単語の少なくとも一方に基づいて、問情報を生成する、付記21から23のいずれか一項に記載の記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明によれば、例えば、無意識に共有されている固定観念や、思考のバイアス、既存の枠組み等を可視化することができ、さらに、このような固定観念を破壊するためのヒントとなる情報を出力できる。このため、本発明は、人間によるアイデアの想像が必要な分野において広く有用である。
【符号の説明】
【0059】
10 アイデア創出支援装置
11 観念分析用情報取得部
12 解析部
13 観念ネットワーク生成部
14 単語選択部
15 新機軸生成部
16 問情報生成部
101 中央処理装置
102 メモリ
103 バス
104 記憶装置
105 入力装置
106 出力装置
107 通信デバイス