(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140309
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
E05B 85/12 20140101AFI20241003BHJP
E05B 81/76 20140101ALI20241003BHJP
B60J 5/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E05B85/12 A
E05B81/76
B60J5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051395
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 玲貴
(72)【発明者】
【氏名】高岡 真之輔
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250KK02
2E250LL01
2E250MM03
2E250PP13
2E250QQ02
2E250QQ03
2E250RR11
2E250SS05
(57)【要約】
【課題】利便性を向上する。
【解決手段】車両用ドアハンドル装置10では、光源45が、操作レバー30の車幅方向外側に設けられ、発光された光を操作レバー30側へ照射する。また、操作レバー30は、光源45からの光が通過する前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを有しており、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mが、レバー収容部20Aの側面側へ開口されている。これにより、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを通過する光によって、レバー収容部20Aの内側の側面を照明することができる。すなわち、光源45からの光によって操作レバー30の周囲が照明されるため、夜間における操作レバー30の位置を乗員Pが認識し易くなる。したがって、車両用ドアハンドル装置10の利便性を向上することができる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアに設けられ、前記車両用ドアの厚み方向の一方側へ開放された凹状の収容部を有するベースと、
前記収容部の内部に配置され、前記ベースに回動可能に連結されると共に、初期位置から回動方向一方側へ回動することでラッチ機構をラッチ状態からラッチ解除状態に機械的に切替える操作レバーと、
前記操作レバーに対して前記厚み方向の他方側に設けられ、発光された光を前記操作レバー側へ照射する光源と、
を備え、
前記操作レバーは、前記光源からの光が通過する出光部を有しており、前記出光部が前記収容部の側面側へ開口している車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記収容部における前記出光部と対向する側面が、前記厚み方向の一方側へ向かうに従い前記操作レバーから離間する方向に傾斜している請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記出光部が前記操作レバーの周方向に沿って延在されている請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記操作レバーは、前記厚み方向の他方側へ開放された有底箱状に形成されており、
前記出光部が前記操作レバーの側壁に形成されている請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
前記操作レバーの前記厚み方向の他方側には、前記ラッチ機構のモータを駆動させるためのスイッチ装置が設けられており、
前記スイッチ装置は、
光を透過可能に構成され、初期位置から回動方向他方側へ回動する前記操作レバーによって押圧されて移動するスイッチ可動部と、
前記スイッチ装置の内部に設けられ、移動する前記スイッチ可動部によって押圧されてオンオフ状態が切替わるスイッチと、
前記スイッチ装置の内部に設けられ、発光された光を前記スイッチ可動部側へ照射する前記光源と、
を含んで構成されている請求項1~請求項4の何れか1項に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
前記操作レバーの初期位置から回動方向一方側への回動時には、前記操作レバーが前記収容部の開口側へ移動し、
前記操作レバーの初期位置から回動方向他方側への回動時には、前記操作レバーが前記収容部の底面側へ移動する請求項5に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
前記厚み方向に直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に直交する方向を第2方向とし、
前記操作レバーは、前記厚み方向から見て、前記第1方向に延在され、長手方向一端部において前記第2方向を軸方向として前記ベースに回動可能に連結されており、
前記操作レバーの長手方向中間部には、前記光源からの光によって照明されるレバー側照明部が形成されている請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項8】
前記操作レバーには、前記厚み方向の一方側へ開放された溝部が形成されており、
前記溝部の一方の側面が前記レバー側照明部とされ、前記溝部の他方側の側壁には、前記光源からの光が通過する透光口が貫通形成されており、前記透光口が前記レバー側照明部側へ開口している請求項7に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項9】
前記操作レバーにおける前記レバー側照明部よりも前記第1方向の他方側部分は、操作者が操作する操作部とされており、
前記出光部が、前記レバー側照明部よりも前記第1方向の他方側に位置している請求項7又は請求項8に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両用ドアのラッチ解除装置(車両用ドアハンドル装置)では、アウトハンドル(操作レバー)を初期位置から第1操作位置へ回動させることでラッチ解除用電動モータが作動して、ラッチ機構を電動でラッチ状態又はラッチ解除状態に切替える。また、バッテリからラッチ機構への電力不足等の非常時には、アウトハンドルを初期位置から第2操作位置へ回動させることで非常用ラッチ解除手段が作動して、ラッチ機構を手動でラッチ状態からラッチ解除状態に切替えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記車両用ドアのラッチ解除装置では、以下に示す点において改善の余地がある。すなわち、アウトハンドルはサイドドアのパネルに対して外側に位置しているものの、夜間時等では、アウトハンドルの位置が認識し難い。また、同様に、サイドドアの内側に位置しているインナハンドルにおいても、夜間時等は、インナハンドルの位置が認識し難い。このため、操作者に対する利便性が低下する可能性がある。したがって、上記車両用ドアのラッチ解除装置では、利便性を向上するという点において改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、利便性を向上することができる車両用ドアハンドル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両用ドアに設けられ、前記車両用ドアの厚み方向の一方側へ開放された凹状の収容部を有するベースと、前記収容部の内部に配置され、前記ベースに回動可能に連結されると共に、初期位置から回動方向一方側へ回動することでラッチ機構をラッチ状態からラッチ解除状態に機械的に切替える操作レバーと、前記操作レバーに対して前記厚み方向の他方側に設けられ、発光された光を前記操作レバー側へ照射する光源と、を備え、前記操作レバーは、前記光源からの光が通過する出光部を有しており、前記出光部が前記収容部の側面側へ開口している車両用ドアハンドル装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、利便性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る車両用ドアハンドル装置が適用された車両を模式的に示す車幅方向外側から見た側面図である。
【
図2】
図1に示される車両のサイドドアの車室内側から見た側面図である。
【
図3】
図2に示される車両用ドアハンドル装置を拡大して示す拡大図である。
【
図4】
図3に示される車両用ドアハンドル装置の車幅方向外側から見た側面図である。
【
図5】
図3に示される車両用ドアハンドル装置の車幅方向内側斜め後方側から見た分解斜視図である。
【
図6】
図3に示される車両用ドアハンドル装置の車幅方向外側斜め後方側から見た分解斜視図である。
【
図7】
図3に示される車両用ドアハンドル装置の車両上側から見た断面図(
図3の7-7線断面図)である。
【
図8】
図7に示される操作レバーの操作部周辺を拡大して示す拡大断面図である。
【
図9】
図3に示される車両用ドアハンドル装置の車両後側から見た断面図(
図3の9-9線断面図)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本実施形態に係る車両用ドアハンドル装置10について説明する。
図1及び
図2に示されるように、車両用ドアハンドル装置10は、車両(自動車)Vにおける車両用ドアとしてのサイドドア50に設けられており、サイドドア50は、車両Vの車幅方向両側部にそれぞれ配置されている。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印INは、それぞれ車両Vの車両上側、車両前側、車幅方向内側(車室内側)を示している。以下の説明において、上下、前後の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向を示すものとする。また、前後方向が本発明の第1方向に対応し、上下方向が本発明の第2方向に対応している。
【0010】
以下、車両Vの右側部に設けられたサイドドア50を用いて、車両用ドアハンドル装置10について説明する。サイドドア50では、その前端部が、図示しないヒンジ機構によって上下方向を軸方向として車両Vの車体に回動可能に連結されており、サイドドア50の開閉時には、サイドドア50が前端部を中心として回動される。そして、サイドドア50の閉状態において、サイドドア50の厚み方向が車幅方向と一致している。
【0011】
車両用ドアハンドル装置10は、サイドドア50の下部内に設けられており、サイドドア50の車幅方向内側部分を構成するドアインナパネル50Aから車幅方向内側へ操作可能に露出している。また、サイドドア50には、ラッチ機構52が設けられており、ラッチ機構52は、サイドドア50の閉状態を保持してサイドドア50の開閉を禁止するラッチ状態、又は、サイドドア50の開閉を許可するラッチ解除状態に切替可能に構成されている。ラッチ機構52は、モータ52Aを有しており、モータ52Aが作動することで、ラッチ機構52がラッチ状態又はラッチ解除状態に電動で切替わるようになっている。
【0012】
また、詳細については後述するが、乗員(操作者)Pが車両用ドアハンドル装置10を操作することで、ラッチ機構52を、手動で作動させて、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替えるようになっている。また、乗員Pが車両用ドアハンドル装置10を操作することで、モータ52Aを作動させて、ラッチ機構52をラッチ状態又はラッチ解除状態に電動で切替わるようになっている。すなわち、車両用ドアハンドル装置10は、モータ52Aを駆動させてラッチ機構52を電動で作動させるための機能と、ラッチ状態のラッチ機構52を手動で作動させるための機能と、の2つの機能を有している。
【0013】
図3~
図9に示されるように、車両用ドアハンドル装置10は、ベース20と、操作レバー30と、ワイヤレバー34と、スイッチ装置40と、を含んで構成されている。以下、車両用ドアハンドル装置10の各構成について説明する。
【0014】
(ベース20について)
ベース20は、車幅方向内側へ開放され且つ前後方向を長手方向とする略矩形凹状に形成されており、ベース20の内部が、後述する操作レバー30を収容するための収容部としてのレバー収容部20Aとして構成されている。ベース20は、サイドドア50の内部に配置されて、図示しない位置でサイドドア50に固定されている。レバー収容部20Aでは、前部のみにベース底壁20Bが形成されており、レバー収容部20Aの後部は、車幅方向に貫通している。ベース底壁20Bの後端部には、上下方向中間部において、切欠部20C(
図6参照)が形成されており、切欠部20Cは、車幅方向から見て後側へ開放された凹状に形成されている。
【0015】
レバー収容部20Aの前部における内側の側面は、照明部20Dとして構成されている。すなわち、照明部20Dは、照明部20Dの上面である上側照明面20D1と、照明部20Dの前面である前側照明面20D2と、照明部20Dの下面である下側照明面20D3と、を有している。レバー収容部20Aの周方向から見て、上側照明面20D1は、車幅方向内側へ向かうに従い上側へ傾斜し、前側照明面20D2は、車幅方向内側へ向かうに従い前側へ傾斜し、下側照明面20D3は、車幅方向内側へ向かうに従い下側へ傾斜している。車幅方向に対する前側照明面20D2の傾斜角度が、車幅方向に対する上側照明面20D1及び下側照明面20D3の傾斜角度よりも大きく設定されている。また、前側照明面20D2は、車幅方向内側から見て、上側へ向かうに従い前側へ傾斜している。
【0016】
ベース20のベース底壁20Bには、複数(本実施の形態では、3箇所)の固定ボス20Eが形成されている。固定ボス20Eは、車幅方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ベース底壁20Bから車幅方向外側へ突出している。1箇所の固定ボス20Eは、切欠部20Cの上側に位置しており、他の2箇所の固定ボス20Eは、切欠部20Cよりも下側で且つ前後方向に間隔を空けてそれぞれ位置している。
【0017】
ベース20の後端部には、後述するワイヤレバー34を収容するためのリヤ収容部20Fが設けられている。リヤ収容部20Fは、車幅方向外側へ開放された凹状に形成されると共に、リヤ収容部20Fの前端部がレバー収容部20Aに連通している。リヤ収容部20Fは、ベース20の車幅方向内側端面に対して車幅方向外側へ一段下がった位置に配置されており、リヤ収容部20Fの下端部が下側へ開放されている。リヤ収容部20Fの後端部には、ワイヤガイド部20Gが一体に設けられている。ワイヤガイド部20Gは、前後方向から見て上側へ開放されたU字形ブロック状に形成され、リヤ収容部20Fの後端部の車幅方向外側に位置すると共に、リヤ収容部20Fの後端部から後側へ延出している。
【0018】
なお、ベース20の車幅方向内側には、ベゼル22が設けられており、ベゼル22は、サイドドア50に取付けられている。ベゼル22は、車幅方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されて、車両用ドアハンドル装置10の化粧板として機能している。ベゼル22には、ベース20のレバー収容部20Aの開口部に対応するベゼル孔22Aが貫通形成されており、ベゼル孔22Aによってレバー収容部20Aが車幅方向内側へ露出している。
【0019】
(操作レバー30について)
操作レバー30は、車幅方向外側へ開放され且つ前後方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。具体的には、操作レバー30は、車幅方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略矩形板状のレバー本体30Aと、レバー本体30Aの上端部から車幅方向外側へ延出されたレバー上壁30Bと、レバー本体30Aの下端部から車幅方向外側へ延出されたレバー下壁30Cと、レバー本体30Aの前端部から車幅方向外側へ延出されたレバー前壁30D(
図7~
図9参照)と、レバー本体30Aの後端部から車幅方向外側へ延出されたレバー後壁30Eと、を含んで構成されている。レバー前壁30Dの延出量が、レバー上壁30B、レバー下壁30C、及びレバー後壁30Eの延出量と比べて大幅に小さく設定されている。これにより、操作レバー30の前端部には、前側へ開口する出光部としての前側出光部30F(
図7~
図9参照)が形成されている。換言すると、レバー前壁30Dには、切欠き状の前側出光部30Fが形成されている。
【0020】
操作レバー30は、ベース20のレバー収容部20A内に収容されており、上下方向を軸方向として回動可能にベース20に連結されている。具体的には、上下方向を軸方向とするレバー軸32が、ベース20の上壁及び下壁の後端部に架け渡されて、操作レバー30のレバー上壁30B及びレバー下壁30Cの後端部を回動可能に支持している。これにより、平面視で、操作レバー30が、初期位置(
図7において実線にて示される操作レバー30の位置)から反時計回り(回動方向一方側へ)に回動した第1操作位置(
図7において2点鎖線にて示される操作レバー30-1の位置)と、初期位置から時計回り(回動方向他方側)に回動した第2操作位置(
図7において2点鎖線にて示される操作レバー30-2の位置)と、の間を回動可能に構成されている。なお、レバー軸32には、図示しないリターンスプリングが設けられており、リターンスプリングによって操作レバー30が初期位置に保持されている。
【0021】
操作レバー30の初期位置では、操作レバー30の車幅方向内側面(表面)がベース20の車幅方向内側端面と略面一となるように、操作レバー30が配置されている。すなわち、操作レバー30の全体が、レバー収容部20A内に収容されている。操作レバー30の前端部は、前側照明面20D2に対応して、車幅方向内側から見て、上側へ向かうに従い前側へ傾斜しており、操作レバー30の前側出光部30Fが、前側照明面20D2側へ開口している。また、乗員Pの指が前側照明面20D2と操作レバー30の前端部との間に挿入できるように、操作レバー30が所定の隙間を空けて前側照明面20D2の後側に位置している。さらに、操作レバー30のレバー上壁30B及びレバー下壁30Cの前端部が、前側照明面20D2に対応して、平面視で車幅方向外側へ向かうに従い後側へ傾斜している。
【0022】
レバー本体30Aの前後方向中間部には、車幅方向内側へ開放され且つ上下方向に延在された溝部30Gが形成されており、溝部30Gは、車幅方向内側から見て、操作レバー30の前端部と平行に配置されるように、上側へ向かうに従い前側へ傾斜している。溝部30Gは、その延在方向において、貫通している。溝部30Gは、延在方向から見て、車幅方向内側へ開放された略V字形溝状に形成されている。具体的には、溝部30Gは、溝底壁30G1と、溝底壁30G1の前端部から車幅方向内側へ突出した溝前壁30G2と、溝底壁30G1の後端部から車幅方向内側且つ後側へ傾斜する方向へ突出した溝後壁30G3と、を含んで構成されている。溝後壁30G3における車幅方向内側面がレバー側照明部30Hとされている。溝前壁30G2には、透光口30J(
図5及び
図8参照)が前後方向に貫通形成されており、透光口30Jは、溝部30Gの延在方向を長手方向とする略矩形長孔状に形成されている。これにより、透光口30Jが、レバー側照明部30H側へ開口している。
【0023】
また、操作レバー30における溝部30Gよりも前側部分が、操作部30Kとされており、操作部30Kは、乗員Pの操作レバー30への操作部位として構成されている。具体的には、操作者の指等を操作部30Kの前端部に引掛けて、操作レバー30を車幅方向内側へ引くことで、操作レバー30が初期位置から第1操作位置側へ回動される。一方、操作者が操作部30Kを車幅方向外側へ押すことで、操作レバー30が初期位置から第2操作位置側へ回動される。
【0024】
操作部30Kは、レバー収容部20Aにおける照明部20Dの内側に位置している。換言すると、車幅方向内側から見て、前述したレバー側照明部30H及び照明部20Dによって、操作部30Kを囲んでいる。操作部30Kにおけるレバー上壁30Bには、出光部としての上側出光部30L(
図5、
図6、及び
図9参照)が貫通形成されており、上側出光部30Lは、前後方向に延在された略矩形長孔状に形成されている。これにより、上側出光部30Lがベース20の上側照明面20D1側へ開口している。また、操作部30Kにおけるレバー下壁30Cには、出光部としての下側出光部30M(
図6~
図9参照)が貫通形成されており、下側出光部30Mは、前後方向に延在された略矩形長孔状に形成されている。これにより、下側出光部30Mがベース20の下側照明面20D3側へ開口している。
【0025】
操作部30Kにおけるレバー本体30Aの略中央部には、後述するスイッチ装置40を押圧するためのスイッチ押圧部30Nが設けられている。スイッチ押圧部30Nは、前後方向を板厚方向とする略三角形プレート状に形成されて、レバー本体30Aから車幅方向外側へ突出している。スイッチ押圧部30Nには、補強リブ30Pが一体に形成されている。補強リブ30Pは、上下方向を板厚方向としてスイッチ押圧部30Nの上下方向中央部から後側へ突出すると共に、レバー本体30Aに接続されている。
【0026】
操作レバー30のレバー後壁30Eの外周部には、下部において、レバーカム30R(
図4~
図6参照)が一体に設けられている。レバーカム30Rは、上下方向に延在された略柱状に形成されている。レバーカム30Rの上面には、カム面30R1が形成されている。カム面30R1は、平面視でレバー軸32の周方向に延在されており、レバー軸32の周方向一方側(操作レバー30の回動方向一方側)へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0027】
また、操作レバー30の車幅方向外側開口部は、入光部30S(
図8及び
図9参照)として構成されており、後述する光源からの光を操作レバー30の内部へ取り込む部位とされている。
【0028】
(ワイヤレバー34について)
ワイヤレバー34は、車幅方向を板厚方向とし且つ略上下方向に延在された略長尺板状に形成されている。具体的には、ワイヤレバー34は、ワイヤレバー34の長手方向中間部を構成する被支持部34Aと、被支持部34Aから前側へ延出された第1アーム部34Bと、被支持部34Aから下方側へ延出された第2アーム部34Cと、を含んで構成されている。ワイヤレバー34は、ベース20のリヤ収容部20F内に収容されて、車幅方向を軸方向として回動可能にベース20に連結されている。具体的には、車幅方向を軸方向とするレバーピン36がベース20に設けられている。レバーピン36は、リヤ収容部20Fから車幅方向外側へ突出しており、ワイヤレバー34の被支持部34Aがレバーピン36に回動可能に支持されている。
【0029】
第1アーム部34Bの先端部には、下側へ突出したアーム当接部34Dが設けられている。アーム当接部34Dの下端部は、車幅方向外側へ円弧状に屈曲されて、操作レバー30におけるレバーカム30Rの車幅方向外側端部の上側に近接して配置されている。アーム当接部34Dの下端部は、レバーカム30Rのカム面30R1に当接可能に構成されている。そして、乗員Pの操作によって操作レバー30が初期位置から第1操作位置へ回動されるときには、アーム当接部34Dがカム面30R1上を摺動し、カム面30R1によってアーム当接部34Dが上側へ押し上げられて、車幅方向外側から見て、ワイヤレバー34が反時計回り(
図4の矢印A方向側)に回動する構成になっている。すなわち、操作レバー30の回動方向一方側への回動に連動してワイヤレバー34が回動する構成になっている。
【0030】
第2アーム部34Cは、被支持部34Aから下側且つ後側へ延出しており、第2アーム部34Cの下端部が下側へ折れている。第2アーム部34Cの下端部には、ワイヤ連結部34Eとして構成されている。ワイヤ連結部34Eには、円形状の連結孔34Fが貫通形成されている。連結孔34Fには、ワイヤ38(
図4及び
図7)の一端部が連結されており、ワイヤ38は、ワイヤ連結部34Eから後側へ延出される共に、ワイヤガイド部20G内に配策されている。ワイヤ38の他端部は、ラッチ機構52に連結されている。そして、操作レバー30の第1操作位置への回動に連動して、ワイヤレバー34が回動されると、ワイヤ38がラッチ機構52を前方側へ引っ張るように設定されている。これにより、ラッチ機構52が、手動で作動して、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替わるようになっている。すなわち、本発明における「ラッチ機構をラッチ状態からラッチ解除状態に機械的に切替える」とは、操作レバー30への操作力を、ワイヤ38を介してラッチ機構52に伝達し、伝達された操作力によって、ラッチ機構52を、作動させて、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替えることをいう。なお、伝達部材として機能するワイヤ38に代えて、金属製の棒状のロッドなどを使用してもよい。
【0031】
(スイッチ装置40について)
スイッチ装置40は、固定ハウジング41と、スイッチ可動部としての可動ハウジング42と、スイッチ基板43と、を含んで構成されている。固定ハウジング41は、車幅方向内側へ開放され且つ上下方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。固定ハウジング41は、ベース20のベース底壁20Bの車幅方向外側に配置されている。具体的には、固定ハウジング41の上部が、ベース20の切欠部20Cの車幅方向外側に位置している。固定ハウジング41の側壁の外周部には、3箇所の固定片41Aが一体に形成されている。固定片41Aは、ベース20の固定ボス20Eに対応する位置において、車幅方向を板厚方向とし且つ固定ボス20Eの車幅方向外側に配置されている。そして、固定ボス20Eに螺合される固定ネジ46によって、固定片41Aがベース20に固定されている。
【0032】
可動ハウジング42は、光を透過可能な材料(本実施の形態では、透明の樹脂材)によって形成されている。可動ハウジング42は、車幅方向外側へ開放され且つ上下方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されており、車幅方向から見た可動ハウジング42の外形が固定ハウジング41の内周部の形状に対応している。そして、可動ハウジング42が、固定ハウジング41の内部に配置されると共に、車幅方向に移動可能に固定ハウジング41に連結されている。
【0033】
可動ハウジング42の上部には、車幅方向内側へ突出したスイッチ側出光部42Aが設けられている。スイッチ側出光部42Aは、車幅方向内側から見て、矩形状に形成され、ベース20の切欠部20C内に配置されると共に、切欠部20Cから車幅方向内側へ突出して、ベース20のレバー収容部20A内に収容されている。スイッチ側出光部42Aは、操作レバー30の入光部30Sよりも若干車幅方向外側に位置しており、前述したスイッチ押圧部30Nの先端部がスイッチ側出光部42Aの略中央部の車幅方向内側に隣接配置されている。これにより、操作レバー30が初期位置から第2操作位置へ回動することで、スイッチ押圧部30Nがスイッチ側出光部42Aを車幅方向外側へ押圧して、可動ハウジング42が車幅方向外側へ移動する構成になっている。可動ハウジング42の車幅方向内側壁部の下部には、前後方向中間部において、スイッチボス42B(
図9参照)が一体に形成されている。スイッチボス42Bは、略十字形柱状に形成されて、可動ハウジング42から車幅方向外側へ突出している。
【0034】
図7及び
図9に示されるように、スイッチ基板43は、車幅方向を板厚方向として固定ハウジング41内に配置されており、固定ハウジング41の底壁に固定されている。スイッチ基板43の車幅方向内側面には、スイッチ44が設けられている。スイッチ44は、所謂プッシュスイッチとして構成され、車両Vの制御部54に電気的に接続されている。スイッチ44は、スイッチボス42Bの車幅方向外側に隣接して配置されている。そして、操作レバー30の第2操作位置への操作によって、可動ハウジング42が車幅方向外側へ移動することで、スイッチボス42Bによってスイッチ44がオン状態に切替わり、制御部54へ出力信号を出力する。これにより、制御部54がラッチ機構52のモータ52Aを駆動させて、ラッチ機構52が電動で作動するようになっている。
【0035】
スイッチ基板43の車幅方向内側面の上部には、光源45が設けられている。光源45は、制御部54に電気的に接続されており、制御部54の制御によって発光する。光源45は、発光された光を、可動ハウジング42のスイッチ側出光部42Aへ向けて照射する。そして、光源45の光が、スイッチ側出光部42Aによって上下方向及び前後方向に広がるように、スイッチ側出光部42Aから車幅方向内側(操作レバー30側)へ出光されるようになっている(
図7~
図9の矢印BM参照)。さらに、操作レバー30側へ出光された光が、操作レバー30の前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30M内を直接的に通過して、ベース20の照明部20Dが照明される構成になっている。また、操作レバー30側へ出光された光が、操作レバー30の透光口30Jを通過して、操作レバー30のレバー側照明部30Hが照明される構成になっている。
【0036】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の車両用ドアハンドル装置10の作用及び効果について説明する。
【0037】
上記のように構成された車両用ドアハンドル装置10では、操作レバー30が、ベース20のレバー収容部20Aに回動操作可能に収容されている。そして、車両Vからの降車時には、乗員Pが操作レバー30の操作部30Kを車幅方向外側へ押して、操作レバー30を初期位置から第2操作位置に回動させる。これにより、操作レバー30のスイッチ押圧部30Nがスイッチ装置40の可動ハウジング42を押して、可動ハウジング42が車幅方向外側へ移動する。よって、可動ハウジング42のスイッチボス42Bがスイッチ44を押圧して、スイッチ44から制御部54へオン信号が出力される。スイッチ44から制御部54へオン信号が出力されると、制御部54の制御によってラッチ機構52のモータ52Aが駆動して、ラッチ機構52が、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替わる。その結果、サイドドア50の開閉が許可された状態になる。
【0038】
また、例えば、車両Vのバッテリからラッチ機構52への電力不足等によってラッチ機構52の電動駆動が不可能となる緊急時には、乗員Pが操作レバー30の操作部30Kを車幅方向内側へ引いて、操作レバー30を初期位置から第1操作位置に回動させる。これにより、操作レバー30のレバーカム30Rがワイヤレバー34のアーム当接部34Dを押して、ワイヤレバー34が、回動すると共に、ワイヤ38を前側へ引っ張る。よって、ワイヤ38がラッチ機構52を前側へ引っ張り、ラッチ機構52に操作レバー30の操作力が伝達される。このため、当該操作力によって、ラッチ機構52が、作動して、ラッチ状態からラッチ解除状態に機械的に切替わる。その結果、サイドドア50の開閉が許可された状態になる。
【0039】
ところで、上述のように、車両用ドアハンドル装置10では、操作レバー30が、ベース20のレバー収容部20Aに回動操作可能に収容されている。このため、例えば、夜間等では、レバー収容部20A内に収容された操作レバー30の位置を乗員Pが認識し難くなり、利便性が低下する可能性がある。
【0040】
ここで、車両用ドアハンドル装置10では、光源45が、操作レバー30の車幅方向外側に設けられており、発光された光を操作レバー30側へ照射する。また、操作レバー30は、光源45からの光が通過する前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを有しており、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mが、レバー収容部20Aの側面側へ開口されている。具体的には、前側出光部30Fがレバー収容部20Aの前側照明面20D2側へ開口され、上側出光部30Lがレバー収容部20Aの上側照明面20D1側へ開口され、下側出光部30Mがレバー収容部20Aの下側照明面20D3側へ開口されている。これにより、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを通過する光によって、レバー収容部20Aの内側の側面(照明部20D)を照明することができる。すなわち、光源45からの光によって操作レバー30の周囲が照明されるため、夜間における操作レバー30の位置を乗員Pが認識し易くなる。したがって、車両用ドアハンドル装置10の利便性を向上することができる。
【0041】
また、光源45からの光によって照明されるベース20の照明部20Dでは、照明部20Dの周方向から見て、前側照明面20D2が車幅方向内側へ向かうに従い前側へ傾斜しており、上側照明面20D1が車幅方向内側へ向かうに従い上側へ傾斜しており、下側照明面20D3が車幅方向内側へ向かうに従い下側へ傾斜している。これにより、照明される照明部20Dの車幅方向内側から見た面積を大きくすることができる。よって、夜間における操作レバー30の位置を乗員Pが一層認識し易くなる。したがって、車両用ドアハンドル装置10の利便性を一層向上することができる。
【0042】
また、操作レバー30において、前側出光部30Fが上下方向に延在され、上側出光部30L及び下側出光部30Mが前後方向に延在されている。すなわち、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mが、操作レバー30の周方向に延在されている。これにより、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを通過する光によって、ベース20の照明部20Dを操作レバー30の周方向に沿って照明することができる。これにより、車幅方向内側から見た操作レバー30の外形をより一層認識することができる。したがって、車両用ドアハンドル装置10の利便性をより一層向上することができる。
【0043】
また、操作レバー30は、車幅方向外側へ開放された有底箱状に形成されており、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mが、操作レバー30の側壁に形成されている。これにより、簡易な構成で、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを操作レバー30の側部に形成して、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mを通過する光によって操作レバー30の周囲を照明することができる。
【0044】
また、操作レバー30の車幅方向外側には、ラッチ機構52のモータ52Aを駆動させるためのスイッチ装置40が設けられている。スイッチ装置40は、光を透過可能に構成された可動ハウジング42と、スイッチ装置40の内部に設けられたスイッチ44及び光源45と、を含んで構成されている。そして、光源45が、発光された光を可動ハウジング42側へ照射する。これにより、可動ハウジング42を透過する光を操作レバー30側へ照射して、ベース20の照明部20Dを照明することができる。よって、モータ52Aを駆動させるためのスイッチ44と、照明用の光源45と、をスイッチ装置40の内部にまとめて配置することができる。換言すると、スイッチ44及び光源45の配置スペースを集約することができる。また、スイッチ44を押圧するための可動ハウジング42を、光源45から照射する光を拡散させるレンズとして機能させることができる。
【0045】
また、操作レバー30の初期位置から第1操作位置側への回動時には、操作レバー30がレバー収容部20Aの開口側へ移動し、操作レバー30の初期位置から第2操作位置側への回動時には、操作レバー30がレバー収容部20Aの底面側へ移動する。すなわち、車両Vの緊急時以外の通常時には、操作レバー30が、レバー収容部20Aの内部において、初期位置と第2操作位置との間を回動する。これにより、操作レバー30の第2操作位置への通常操作時において、ベース20の照明部20Dを常に照明して、操作レバー30の位置を認識させることができる。
【0046】
また、操作レバー30は、車幅方向から見て、前後方向を長手方向とする矩形状に形成されており、操作レバー30の後端部が、上下方向を軸方向としてベース20に回動可能に連結されている。そして、操作レバー30の前後方向中間部には、光源45からの光によって照明されるレバー側照明部30Hが形成されている。これにより、操作レバー30の周囲への照明に加えて、操作レバー30の中間部も照明することができる。したがって、操作レバー30の位置を効果的に認識することができる。
【0047】
また、操作レバー30には、車幅方向外側へ開放された溝部30Gが形成されており、溝部30Gの後側面がレバー側照明部30Hとされている。溝部30Gの溝前壁30G2には、光源45からの光が通過する透光口30Jが貫通形成されており、透光口30Jがレバー側照明部30H側へ開口している。これにより、例えば、操作レバー30にレンズ等を設けることなく、透光口30Jを通過する光によって操作レバー30の表面(車幅方向内側面)を照明することができる。したがって、操作レバー30のコストアップを抑制しつつ、操作レバー30の中間部を照明することができる。
【0048】
また、操作レバー30では、前側出光部30F、上側出光部30L、及び下側出光部30Mが、レバー側照明部30Hよりも前側に位置しており、操作レバー30における溝部30Gよりも前側部分が操作部30Kとされている。これにより、操作レバー30における操作部30Kの周囲を照明することができる。したがって、乗員Pによって操作される部位である操作部30Kの位置をより効果的に認識させることができる。
【0049】
なお、本実施形態では、スイッチ装置40におけるスイッチ側出光部42Aが、操作レバー30の入光部30Sよりも若干車幅方向外側に位置しているが、スイッチ側出光部42Aの先端部が入光部30Sから操作レバー30の内部に食い込むように、スイッチ側出光部42Aを車幅方向内側へ延ばしてもよい。
【0050】
また、本実施形態においては、出光部として、前側出光部30F、上側出光部30L、及び、下側出光部30Mを設けているが、どれか1つのみ設けるようにしてもよい。また、前側出光部30Fと下側出光部30M、又は、前側出光部30Fと上側出光部30L、又は、上側出光部30Lと下側出光部30Mのように2つのみ設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0051】
10 車両用ドアハンドル装置
20A レバー収容部(収容部)
30 操作レバー
30F 前側出光部(出光部)
30G 溝部
30H レバー側照明部
30J 透光口
30K 操作部
30L 上側出光部(出光部)
30M 下側出光部(出光部)
40 スイッチ装置
42 可動ハウジング(スイッチ可動部)
44 スイッチ
45 光源
50 サイドドア(車両用ドア)
52 ラッチ機構
52A モータ