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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140310
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】車両用ドアハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/12 20140101AFI20241003BHJP
   E05B 79/20 20140101ALI20241003BHJP
   E05B 79/06 20140101ALI20241003BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
E05B85/12 A
E05B79/20
E05B79/06 A
B60J5/04 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051396
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000138462
【氏名又は名称】株式会社ユーシン
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】三浦 玲貴
(72)【発明者】
【氏名】高岡 真之輔
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250HH01
2E250LL01
2E250PP13
2E250QQ08
(57)【要約】
【課題】操作レバーの大型化を抑制しつつ操作性を向上する。
【解決手段】車両用ドアハンドル装置10では、操作レバー30及びワイヤレバー34がベース20に回動可能に連結されている。ワイヤレバー34には、ラッチ機構52に連結されたワイヤ38の一端部が連結されている。操作レバー30が初期位置から回動方向一方側へ操作されると、ワイヤレバー34が操作レバー30の回動に連動して回動(作動)する。ここで、ワイヤレバー34が、操作レバー30から入力される操作量を増幅してワイヤ38を引っ張る。このため、車両用ドアハンドル装置10の操作性を向上するために操作レバー30に対する操作量を小さくしても、ワイヤレバー34によってワイヤ38のラッチ機構52に対する引張量(作動量)を確保することができる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用ドアに設けられたベースと、
前記ベースに回動可能に連結された操作レバーと、
前記ベースに設けられ、前記操作レバーの回動に連動する連動部材と、
前記連動部材とラッチ機構とを連結し、前記連動部材が作動することで前記ラッチ機構を引っ張ってラッチ状態からラッチ解除状態に切替えるワイヤと、
を備え、
前記連動部材は、前記操作レバーから入力される操作量を増幅して前記ワイヤを引っ張る車両用ドアハンドル装置。
【請求項2】
前記操作レバーは前記車両用ドアの上下方向を軸方向として前記ベースに回動可能に連結され、
前記連動部材は、前記操作レバーに対して前記車両用ドアの前後方向の一方側に配置され、
前記車両用ドアの厚み方向において、前記連動部材が、前記操作レバーと重なる位置に配置されている請求項1に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項3】
前記連動部材の全体が、前記操作レバーの前記厚み方向の寸法範囲内に配置されている請求項2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項4】
前記連動部材は、前記厚み方向を軸方向として前記ベースに回動可能に連結されると共に、前記操作レバーからの操作力が入力される入力部と、前記ワイヤが連結されるワイヤ連結部と、を有しており、
前記厚み方向から見て、前記連動部材の回動軸線と前記入力部との間の距離が、前記回動軸線と前記ワイヤ連結部との間の距離よりも短い請求項2に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項5】
前記操作レバーは、前記入力部と当接可能に構成されたカム部を有しており、
前記操作レバーの回動時に前記カム部が前記入力部に当接し前記入力部が前記カム部を摺動することで、前記連動部材が作動する請求項4に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項6】
前記操作レバーと前記連動部材との間には、前記前後方向に移動可能に構成された中継部材が設けられており、
前記中継部材が前記操作レバーの回動に連動して移動することで、前記中継部材から前記入力部に前記操作力が入力されて前記連動部材が作動する請求項4に記載の車両用ドアハンドル装置。
【請求項7】
前記中継部材の全体が前記操作レバーの前記厚み方向の寸法範囲内に配置されている請求項6に記載の車両用ドアハンドル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアハンドル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の車両のインサイドハンドル装置(車両用ドアハンドル装置)では、操作ハンドル(操作レバー)を初期回転位置から回動させることで、操作力が、操作ハンドルに連結されたケーブル(ワイヤ)を介してドアロック装置のラッチ制御部に伝達されて、ラッチに対する解除動作が行われる。具体的には、ケーブルが、操作ハンドルの回転軸に対して偏心した位置で操作ハンドルに連結されており、操作ハンドルの回転時にケーブルがドアロック装置を引っ張ることで、操作ハンドルの操作力がラッチ制御部に伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6131103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記車両のインサイドハンドル装置において、例えば、操作ハンドルの操作量を小さくすることで、操作ハンドルの操作性を向上することができる。しかしながら、操作ハンドルの操作量を小さくすると、ケーブルのドアロック装置に対する引張量(作動量)を十分に確保することができなくなる可能性がある。一方、操作ハンドルにおいて、回転軸と、ケーブルと連結される部分と、の間の距離を長くすることで、ケーブルにおける十分な引張量(作動量)を確保することができる。しかしながら、この場合には、操作ハンドルが大型化するという問題がある。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、操作レバーの大型化を抑制しつつ操作性を向上することができる車両用ドアハンドル装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1又はそれ以上の実施形態は、車両用ドアに設けられたベースと、前記ベースに回動可能に連結された操作レバーと、前記ベースに設けられ、前記操作レバーの回動に連動する連動部材と、前記連動部材とラッチ機構とを連結し、前記連動部材が作動することで前記ラッチ機構を引っ張ってラッチ状態からラッチ解除状態に切替えるワイヤと、を備え、前記連動部材は、前記操作レバーから入力される操作量を増幅して前記ワイヤを引っ張る車両用ドアハンドル装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の1又はそれ以上の実施形態によれば、操作レバーの大型化を抑制しつつ操作性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る車両用ドアハンドル装置が適用された車両を模式的に示す車幅方向外側から見た側面図である。
図2図1に示される車両のサイドドアの車室内側から見た側面図である。
図3図2に示される車両用ドアハンドル装置を拡大して示す拡大図である。
図4図3に示される車両用ドアハンドル装置の車幅方向外側から見た側面図である。
図5図3に示される車両用ドアハンドル装置の車幅方向内側斜め後方側から見た分解斜視図である。
図6図3に示される車両用ドアハンドル装置の車幅方向外側斜め後方側から見た分解斜視図である。
図7図3に示される車両用ドアハンドル装置の車両上側から見た断面図(図3の7-7線断面図)である。
図8図3に示される車両用ドアハンドル装置の車両後側から見た断面図(図3の8-8線断面図)である。
図9】第2実施形態に係る車両用ドアハンドル装置を模式的に示す車幅方向内側から見た側面図である。
図10図9に示される車両用ドアハンドル装置の車両上側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
以下、図1図8を用いて、第1実施形態に係る車両用ドアハンドル装置10について説明する。図1及び図2に示されるように、車両用ドアハンドル装置10は、車両(自動車)Vにおける車両用ドアとしてのサイドドア50に設けられており、サイドドア50は、車両Vの車幅方向両側部にそれぞれ配置されている。なお、図面において適宜示される矢印UP、矢印FR、矢印INは、それぞれ車両Vの車両上側、車両前側、車幅方向内側(車室内側)を示している。以下の説明において、上下、前後の方向を用いて説明するときには、特に断りのない限り、車両上下方向、車両前後方向を示すものとする。
【0010】
以下、車両Vの右側部に設けられたサイドドア50を用いて、車両用ドアハンドル装置10について説明する。サイドドア50では、その前端部が、図示しないヒンジ機構によって上下方向を軸方向として車両Vの車体に回動可能に連結されており、サイドドア50の開閉時には、サイドドア50が前端部を中心として回動される。そして、サイドドア50の閉状態において、サイドドア50の厚み方向が車幅方向と一致し、サイドドア50の前後方向が車両Vの前後方向と一致している。
【0011】
車両用ドアハンドル装置10は、サイドドア50の下部内に設けられており、サイドドア50の車幅方向内側部分を構成するドアインナパネル50Aから車幅方向内側へ操作可能に露出している。また、サイドドア50には、ラッチ機構52が設けられており、ラッチ機構52は、サイドドア50の閉状態を保持してサイドドア50の開閉を禁止するラッチ状態、又は、サイドドア50の開閉を許可するラッチ解除状態に切替可能に構成されている。ラッチ機構52は、モータ52Aを有しており、モータ52Aが作動することで、ラッチ機構52がラッチ状態又はラッチ解除状態に電動で切替わるようになっている。
【0012】
また、詳細については後述するが、乗員(操作者)Pが車両用ドアハンドル装置10を操作することで、ラッチ機構52を、手動で作動させて、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替えるようになっている。また、乗員Pが車両用ドアハンドル装置10を操作することで、モータ52Aを作動させて、ラッチ機構52をラッチ状態又はラッチ解除状態に電動で切替わるようになっている。すなわち、車両用ドアハンドル装置10は、モータ52Aを駆動させてラッチ機構52を電動で作動させるための機能と、ラッチ状態のラッチ機構52を手動で作動させるための機能と、の2つの機能を有している。
【0013】
図3図8に示されるように、車両用ドアハンドル装置10は、ベース20と、操作レバー30と、連動部材としてのワイヤレバー34と、スイッチ装置40と、を含んで構成されている。以下、車両用ドアハンドル装置10の各構成について説明する。
【0014】
(ベース20について)
ベース20は、車幅方向内側へ開放され且つ前後方向を長手方向とする略矩形凹状に形成されており、ベース20の内部が、後述する操作レバー30を収容するためのレバー収容部20Aとして構成されている。ベース20は、サイドドア50の内部に配置されて、図示しない位置でサイドドア50に固定されている。レバー収容部20Aでは、前部のみにベース底壁20Bが形成されており、レバー収容部20Aの後部は、車幅方向に貫通している。ベース底壁20Bの後端部には、上下方向中間部において、切欠部20C(図6参照)が形成されており、切欠部20Cは、車幅方向から見て後側へ開放された凹状に形成されている。
【0015】
レバー収容部20Aの前壁は、車幅方向内側から見て、上側へ向かうに従い前側へ傾斜すると共に、上側から見て、車幅方向内側へ向かうに従い前側へ傾斜している。また、レバー収容部20Aの前部における内側の側面は、照明部20Dとして構成されている。
【0016】
ベース20のベース底壁20Bには、複数(本実施の形態では、3箇所)の固定ボス20Eが形成されている。固定ボス20Eは、車幅方向を軸方向とする略円筒状に形成されて、ベース底壁20Bから車幅方向外側へ突出している。1箇所の固定ボス20Eは、切欠部20Cの上側に位置しており、他の2箇所の固定ボス20Eは、切欠部20Cよりも下側で且つ前後方向に間隔を空けてそれぞれ位置している。
【0017】
ベース20の後端部には、後述するワイヤレバー34を収容するためのリヤ収容部20Fが設けられている。リヤ収容部20Fは、車幅方向外側へ開放された凹状に形成されると共に、リヤ収容部20Fの前端部がレバー収容部20Aに連通している。リヤ収容部20Fは、ベース20の車幅方向内側端面に対して車幅方向外側へ一段下がった位置に配置されており、リヤ収容部20Fの下端部が下側へ開放されている。リヤ収容部20Fの後端部には、ワイヤガイド部20Gが一体に設けられている。ワイヤガイド部20Gは、前後方向から見て上側へ開放されたU字形ブロック状に形成され、リヤ収容部20Fの後端部の車幅方向外側に位置すると共に、リヤ収容部20Fの後端部から後側へ延出している。
【0018】
なお、ベース20の車幅方向内側には、ベゼル22が設けられており、ベゼル22は、サイドドア50に取付けられている。ベゼル22は、車幅方向を板厚方向とし且つ前後方向を長手方向とする略矩形板状に形成されて、車両用ドアハンドル装置10の化粧板として機能している。ベゼル22には、ベース20のレバー収容部20Aの開口部に対応するベゼル孔22Aが貫通形成されており、ベゼル孔22Aによってレバー収容部20Aが車幅方向内側へ露出している。
【0019】
(操作レバー30について)
操作レバー30は、車幅方向外側へ開放され且つ前後方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。具体的には、操作レバー30は、車幅方向を板厚方向とし且つ前後方向に延在された略矩形板状のレバー本体30Aと、レバー本体30Aの上端部から車幅方向外側へ延出されたレバー上壁30Bと、レバー本体30Aの下端部から車幅方向外側へ延出されたレバー下壁30Cと、レバー本体30Aの前端部から車幅方向外側へ延出されたレバー前壁30D(図7図9参照)と、レバー本体30Aの後端部から車幅方向外側へ延出されたレバー後壁30Eと、を含んで構成されている。レバー前壁30Dの延出量が、レバー上壁30B、レバー下壁30C、及びレバー後壁30Eの延出量と比べて大幅に小さく設定されている。
【0020】
操作レバー30は、ベース20のレバー収容部20A内に収容されており、上下方向を軸方向として回動可能にベース20に連結されている。具体的には、上下方向を軸方向とするレバー軸32が、ベース20の上壁及び下壁の後端部に架け渡されて、操作レバー30のレバー上壁30B及びレバー下壁30Cの後端部を回動可能に支持している。これにより、平面視で、操作レバー30が、初期位置(図7において実線にて示される操作レバー30の位置)から反時計回り(回動方向一方側へ)に回動した第1操作位置(図7において2点鎖線にて示される操作レバー30-1の位置)と、初期位置から時計回り(回動方向他方側)に回動した第2操作位置(図7において2点鎖線にて示される操作レバー30-2の位置)と、の間を回動可能に構成されている。なお、レバー軸32には、図示しないリターンスプリングが設けられており、リターンスプリングによって操作レバー30が初期位置に保持されている。
【0021】
操作レバー30の初期位置では、操作レバー30の車幅方向内側面(表面)がベース20の車幅方向内側端面と略面一となるように、操作レバー30が配置されている。すなわち、操作レバー30の全体が、レバー収容部20A内に収容されている。操作レバー30の前端部は、レバー収容部20Aの前端部に対応して、車幅方向内側から見て、上側へ向かうに従い前側へ傾斜している。また、乗員Pの指がレバー収容部20Aの前面と操作レバー30の前端部との間に挿入できるように、操作レバー30が所定の隙間を空けてレバー収容部20Aの前面の後側に位置している。
【0022】
レバー本体30Aの前部の略中央部には、後述するスイッチ装置40を押圧するためのスイッチ押圧部30Fが設けられている。スイッチ押圧部30Fは、前後方向を板厚方向とする略三角形プレート状に形成されて、レバー本体30Aから車幅方向外側へ突出している。スイッチ押圧部30Fには、補強リブ30Gが一体に形成されている。補強リブ30Gは、上下方向を板厚方向としてスイッチ押圧部30Fの上下方向中央部から後側へ突出すると共に、レバー本体30Aに接続されている。
【0023】
操作レバー30のレバー後壁30Eの外周部には、下部において、カム部としてのレバーカム30H(図4図6参照)が一体に設けられている。レバーカム30Hは、上下方向に延在された略柱状に形成されている。レバーカム30Hの上面には、カム面30H1が形成されている。カム面30H1は、平面視でレバー軸32の周方向に延在されており、レバー軸32の周方向一方側(操作レバー30の回動方向一方側)へ向かうに従い下側へ傾斜している。
【0024】
(ワイヤレバー34について)
ワイヤレバー34は、車幅方向を板厚方向とし且つ略上下方向に延在された略長尺板状に形成されている。具体的には、ワイヤレバー34は、ワイヤレバー34の長手方向中間部を構成する被支持部34Aと、被支持部34Aから前側へ延出された第1アーム部34Bと、被支持部34Aから下方側へ延出された第2アーム部34Cと、を含んで構成されている。ワイヤレバー34は、ベース20のリヤ収容部20F内に収容されて、車幅方向を軸方向として回動可能にベース20に連結されている。具体的には、車幅方向を軸方向とするレバーピン36がベース20に設けられている。レバーピン36は、リヤ収容部20Fから車幅方向外側へ突出しており、ワイヤレバー34の被支持部34Aがレバーピン36に回動可能に支持されている。そして、ワイヤレバー34及びレバーピン36が、平面視で、操作レバー30の厚み方向の寸法W(図7参照)の範囲内に配置されている。すなわち、ワイヤレバー34及びレバーピン36が、操作レバー30よりも車幅方向に突出しないように、車幅方向において、ワイヤレバー34及びレバーピン36が、操作レバー30と重なる位置に配置されている。
【0025】
第1アーム部34Bの先端部には、下側へ突出した入力部としてのアーム当接部34Dが設けられている。アーム当接部34Dの下端部は、車幅方向外側へ円弧状に屈曲されて、操作レバー30におけるレバーカム30Hの車幅方向外側端部の上側に近接して配置されている。アーム当接部34Dの下端部は、レバーカム30Hのカム面30H1に当接可能に構成されている。そして、乗員Pの操作によって操作レバー30が初期位置から第1操作位置へ回動されるときには、カム面30H1がアーム当接部34Dに当接して、操作レバー30の操作力がワイヤレバー34に入力される。具体的には、操作レバー30の第1操作位置への回動時には、アーム当接部34Dがカム面30H1上を摺動し、カム面30H1によってアーム当接部34Dが上側へ押し上げられて、車幅方向外側から見て、ワイヤレバー34が反時計回り(図4の矢印A方向側)に回動する構成になっている。すなわち、操作レバー30の回動方向一方側への回動に連動してワイヤレバー34が回動(作動)する構成になっている。
【0026】
第2アーム部34Cは、被支持部34Aから下側且つ後側へ延出しており、第2アーム部34Cの下端部が下側へ折れている。第2アーム部34Cの下端部には、ワイヤ連結部34Eとして構成されている。ワイヤ連結部34Eには、円形状の連結孔34Fが貫通形成されている。連結孔34Fには、ワイヤ38(図4及び図7)の一端部が連結されており、ワイヤ38は、ワイヤ連結部34Eから後側へ延出される共に、ワイヤガイド部20G内に配策されている。ワイヤ38の他端部は、ラッチ機構52に連結されている。そして、操作レバー30の第1操作位置への回動に連動して、ワイヤレバー34が回動されると、ワイヤ38がラッチ機構52を前方側へ引っ張るように設定されている。これにより、ラッチ機構52が、手動で作動して、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替わるようになっている。なお、伝達部材として機能するワイヤ38に代えて、金属製の棒状のロッドなどを使用してもよい。
【0027】
また、ワイヤレバー34では、車幅方向から見て、ワイヤレバー34の回動軸線ALとアーム当接部34Dとの間の距離L1(図4参照)が、回動軸線ALと連結孔34Fの中心との間の距離L2(図4参照)よりも短く設定されている。すなわち、ワイヤレバー34は、操作レバー30からアーム当接部34Dに入力される操作量を増幅して、ワイヤ38を前方側へ引っ張るように構成されている。
【0028】
(スイッチ装置40について)
スイッチ装置40は、固定ハウジング41と、可動ハウジング42と、スイッチ基板43と、を含んで構成されている。固定ハウジング41は、車幅方向内側へ開放され且つ上下方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されている。固定ハウジング41は、ベース20のベース底壁20Bの車幅方向外側に配置されている。具体的には、固定ハウジング41の上部が、ベース20の切欠部20Cの車幅方向外側に位置している。固定ハウジング41の側壁の外周部には、3箇所の固定片41Aが一体に形成されている。固定片41Aは、ベース20の固定ボス20Eに対応する位置において、車幅方向を板厚方向とし且つ固定ボス20Eの車幅方向外側に配置されている。そして、固定ボス20Eに螺合される固定ネジ46によって、固定片41Aがベース20に固定されている。
【0029】
可動ハウジング42は、光を透過可能な材料(本実施の形態では、透明の樹脂材)によって形成されている。可動ハウジング42は、車幅方向外側へ開放され且つ上下方向を長手方向とする略矩形箱状に形成されており、車幅方向から見た可動ハウジング42の外形が固定ハウジング41の内周部の形状に対応している。そして、可動ハウジング42が、固定ハウジング41の内部に配置されると共に、車幅方向に移動可能に固定ハウジング41に連結されている。
【0030】
可動ハウジング42の上部には、車幅方向内側へ突出したスイッチ側出光部42Aが設けられている。スイッチ側出光部42Aは、車幅方向内側から見て、矩形状に形成され、ベース20の切欠部20C内に配置されると共に、切欠部20Cから車幅方向内側へ突出して、ベース20のレバー収容部20A内に収容されている。また、前述したスイッチ押圧部30Fの先端部がスイッチ側出光部42Aの略中央部の車幅方向内側に隣接配置されている。これにより、操作レバー30が初期位置から第2操作位置へ回動することで、スイッチ押圧部30Fがスイッチ側出光部42Aを車幅方向外側へ押圧して、可動ハウジング42が車幅方向外側へ移動する構成になっている。可動ハウジング42の車幅方向内側壁部の下部には、前後方向中間部において、スイッチボス42B(図8参照)が一体に形成されている。スイッチボス42Bは、略十字形柱状に形成されて、可動ハウジング42から車幅方向外側へ突出している。
【0031】
図7及び図8に示されるように、スイッチ基板43は、車幅方向を板厚方向として固定ハウジング41内に配置されており、固定ハウジング41の底壁に固定されている。スイッチ基板43の車幅方向内側面には、スイッチ44が設けられている。スイッチ44は、所謂プッシュスイッチとして構成され、車両Vの制御部54に電気的に接続されている。スイッチ44は、スイッチボス42Bの車幅方向外側に隣接して配置されている。そして、操作レバー30の第2操作位置への操作によって、可動ハウジング42が車幅方向外側へ移動することで、スイッチボス42Bによってスイッチ44がオン状態に切替わり、制御部54へ出力信号を出力する。これにより、制御部54がラッチ機構52のモータ52Aを駆動させて、ラッチ機構52が電動で作動するようになっている。
【0032】
スイッチ基板43の車幅方向内側面の上部には、光源45が設けられている。光源45は、制御部54に電気的に接続されており、制御部54の制御によって発光する。光源45は、発光された光を、可動ハウジング42のスイッチ側出光部42Aへ向けて照射する。そして、光源45の光が、スイッチ側出光部42Aによって上下方向及び前後方向に広がるように、スイッチ側出光部42Aから車幅方向内側(操作レバー30側)へ出光されるようになっている。さらに、操作レバー30側へ出光された光が、操作レバー30の側部を通過して、ベース20の照明部20Dが照明される。
【0033】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の車両用ドアハンドル装置10の作用及び効果について説明する。
【0034】
上記のように構成された車両用ドアハンドル装置10では、操作レバー30が、ベース20のレバー収容部20Aに回動操作可能に収容されている。そして、車両Vからの降車時には、乗員Pが操作レバー30の前部を車幅方向外側へ押して、操作レバー30を初期位置から第2操作位置に回動させる。これにより、操作レバー30のスイッチ押圧部30Fがスイッチ装置40の可動ハウジング42を押して、可動ハウジング42が車幅方向外側へ移動する。よって、可動ハウジング42のスイッチボス42Bがスイッチ44を押圧して、スイッチ44から制御部54へオン信号が出力される。スイッチ44から制御部54へオン信号が出力されると、制御部54の制御によってラッチ機構52のモータ52Aが駆動して、ラッチ機構52が、ラッチ状態からラッチ解除状態に切替わる。その結果、サイドドア50の開閉が許可された状態になる。
【0035】
また、例えば、車両Vのバッテリからラッチ機構52への電力不足等によってラッチ機構52の電動駆動が不可能となる緊急時には、乗員Pが操作レバー30の前端部を車幅方向内側へ引いて、操作レバー30を初期位置から第1操作位置に回動させる。これにより、操作レバー30のレバーカム30Hがワイヤレバー34のアーム当接部34Dを押して、ワイヤレバー34が、回動すると共に、ワイヤ38を前側へ引っ張る。よって、ワイヤ38がラッチ機構52を前側へ引っ張り、ラッチ機構52に操作レバー30の操作力が伝達される。このため、当該操作力によって、ラッチ機構52が、作動して、ラッチ状態からラッチ解除状態に機械的に切替わる。その結果、サイドドア50の開閉が許可された状態になる。
【0036】
以上説明したように、車両用ドアハンドル装置10では、操作レバー30及びワイヤレバー34がベース20に回動可能に連結されている。また、ワイヤレバー34には、ラッチ機構52に連結されたワイヤ38の一端部が連結されている。そして、操作レバー30が初期位置から回動方向一方側へ操作されると、ワイヤレバー34が操作レバー30の回動に連動して回動(作動)する。これにより、操作レバー30に入力された操作力が、ワイヤ38に伝達されて、ワイヤ38がラッチ機構52を引っ張り、ラッチ機構52がラッチ状態からラッチ解除状態に切り替る。
【0037】
ここで、ワイヤレバー34が、操作レバー30から入力される操作量を増幅してワイヤ38を引っ張る。このため、車両用ドアハンドル装置10の操作性を向上するために操作レバー30に対する操作量を小さくしても、ワイヤレバー34によってワイヤ38のラッチ機構52に対する引張量(作動量)を確保することができる。すなわち、操作レバー30によってワイヤ38を直接引っ張る構成と比べて、操作レバー30の大型化を抑制しつつ、ワイヤ38のラッチ機構52に対する引張量を確保することができる。以上により、操作レバー30の大型化を抑制しつつ、車両用ドアハンドル装置10の操作性を向上することができる。
【0038】
また、操作レバー30は、上下方向を軸方向としてベース20に回動可能に連結されており、ワイヤレバー34は、操作レバー30の後側に配置されている。さらに、車幅方向において、ワイヤレバー34が、操作レバー30と重なる位置に配置されている。より詳しくは、ワイヤレバー34の全体が、操作レバー30の車幅方向の寸法Wの範囲内に配置されている。これにより、車両用ドアハンドル装置10において操作レバー30の操作量を増幅させるためのワイヤレバー34を、操作レバー30とは別に設けても、サイドドア50の厚み方向における車両用ドアハンドル装置10の大型化を抑制できる。
【0039】
また、ワイヤレバー34では、ワイヤレバー34の回動軸線ALとアーム当接部34Dとの間の距離L1が、回動軸線ALと連結孔34Fの中心との間の距離L2よりも短く設定されている。これにより、簡易な構成で、操作レバー30からアーム当接部34Dに入力される操作量を増幅して、ワイヤ38を引っ張ることができる。
【0040】
また、操作レバー30は、アーム当接部34Dと当接可能に構成されたレバーカム30Hを有しており、操作レバー30の回動方向一方側への回動時に、レバーカム30Hのカム面30H1がアーム当接部34Dに当接し、アーム当接部34Dがカム面30H1を摺動することで、ワイヤレバー34が作動する。このため、レバーカム30H及びアーム当接部34Dによってカム機構を構成し、当該カム機構によって、上下方向を軸方向とする操作レバー30の回動運動を、サイドドア50の厚み方向を軸方向とするワイヤレバー34の回動運動に変換して、ワイヤ38を引っ張ることができる。また、操作レバー30によってワイヤレバー34を直接的に作動させることができる。これにより、部品点数の増加を抑制しつつ、車両用ドアハンドル装置10の小型化を図ることができる。
【0041】
(第2実施形態)
以下、図9及び図10を用いて第2実施形態に係る車両用ドアハンドル装置100(以下、単に車両用ドアハンドル装置100という)について説明する。第2実施形態の車両用ドアハンドル装置100では、以下に示す点を除いて、第1実施形態の車両用ドアハンドル装置10と同様に構成されている。なお、図9及び図10では、車両用ドアハンドル装置10と同様に構成されている部材には、同一の符号を付している。
【0042】
すなわち、車両用ドアハンドル装置100では、操作レバー30のレバーカム30Hのカム面30H1が、レバーカム30Hの後面を構成している。カム面30H1は、平面視で、後方側へ凸となる略円弧状に形成されると共に、車幅方向内側へ向かうに従い後側へ傾斜している。具体的には、レバー軸32の軸線からカム面30H1までの距離が車幅方向内側へ向かうに従い長くなるように構成されている。また、操作レバー30において、スイッチ押圧部30Fが省略されており、操作レバー30の第2操作位置側への回動時に、操作レバー30のレバー本体30Aが、スイッチ装置40の可動ハウジング42を直接的に押圧する構成になっている。
【0043】
車両用ドアハンドル装置100では、中継部材としてのスライダ102が、操作レバー30とワイヤレバー34との間に設けられている。スライダ102は、前後方向を軸方向とする略円柱状に形成されており、前後方向に移動可能にベース20に連結されている。スライダ102の前端部は、略半球状に形成されて、カム面30H1の車幅方向外側端部の車幅方向外側に隣接して位置している。スライダ102の後端面は、上側から見て、後側へ凸となる略円弧状に形成されている。そして、操作レバー30の初期位置から第1操作位置への回動時には、カム面30H1によってスライダ102の前端部を押圧して、スライダ102が後方側へ移動するようになっている。すなわち、スライダ102が操作レバー30の回動に連動して後方側へ移動する。また、平面視で、スライダ102の全体が、操作レバー30の車幅方向の寸法Wの範囲内に配置されている。
【0044】
ワイヤレバー34は、操作レバー30の後側に所定の隙間を空けて配置されている。第2実施形態のワイヤレバー34では、第1アーム部34Bが被支持部34Aから後側に延出されると共に、車幅方向外側へ屈曲されている。アーム当接部34Dは、第1アーム部34Bの先端部における上端部から前側へ突出すると共に、上側へ屈曲されている。アーム当接部34Dは、スライダ102の後側に隣接配置されている。第2アーム部34Cは、被支持部34Aから下側へ延出されており、第2アーム部34Cの下端部がワイヤ連結部34Eとされている。そして、第2実施形態においても、ワイヤレバー34の全体が、操作レバー30の車幅方向の寸法Wの範囲内に配置されている。
【0045】
また、ワイヤ38の一端部がクリップ104を介してワイヤ連結部34Eに連結されている。これにより、操作レバー30の初期位置から回動方向一方側への回動時には、スライダ102が、後側へ移動し、アーム当接部34Dを後側へ押圧して、ワイヤレバー34が車幅方向内側から見て、時計回り(図9の矢印A方向側)に回動する。すなわち、操作レバー30の回動に連動してワイヤレバー34が作動して、ワイヤレバー34に連結されたワイヤ38によってラッチ機構52を前方側へ引っ張る。
【0046】
そして、第2実施形態においても、車幅方向から見て、ワイヤレバー34の回動軸線ALとアーム当接部34Dとの間の距離L1が、回動軸線ALと連結孔34Fの中心との間の距離L2よりも短く設定されている。これにより、第1実施形態と同様に、ワイヤレバー34が、操作レバー30から入力される操作量を増幅してワイヤ38を引っ張る。したがって、第2実施形態においても、操作レバー30の大型化を抑制しつつ、車両用ドアハンドル装置100の操作性を向上することができる。
【0047】
また、第2実施形態では、前後方向に移動可能に構成されたスライダ102が、操作レバー30とワイヤレバー34との間に設けられている。そして、スライダ102が操作レバー30の回動に連動して移動することで、スライダ102からワイヤレバー34のアーム当接部34Dに操作力が入力されて、ワイヤレバー34が作動する。これにより、上下方向を軸方向とする操作レバー30の回動運動を、スライダ102の直線運動に変換して、操作レバー30の操作力をワイヤレバー34に伝達することができる。したがって、ワイヤレバー34を良好に回動させることができる。
【0048】
また、スライダ102の全体が、操作レバー30の車幅方向の寸法Wの範囲内に配置されている。これにより、車両用ドアハンドル装置100において操作レバー30の操作力をワイヤレバー34に伝達するためのワイヤレバー34を設けても、サイドドア50の厚み方向における車両用ドアハンドル装置10の大型化を抑制できる。
【符号の説明】
【0049】
10 車両用ドアハンドル装置
20 ベース
30 操作レバー
30H レバーカム(カム部)
34 ワイヤレバー(連動部材)
34D アーム当接部(入力部)
34E ワイヤ連結部
38 ワイヤ
50 サイドドア(車両用ドア)
52 ラッチ機構
100 車両用ドアハンドル装置
102 スライダ(中継部材)
L1 連動部材の回動軸線と入力部との間の距離
L2 回動軸線とワイヤ連結部との間の距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10