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特開2024-140313体験走行支援制御装置および体験走行支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140313
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】体験走行支援制御装置および体験走行支援方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20241003BHJP
   G01C 21/34 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01C21/26 C
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051401
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 綾子
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 和幸
(72)【発明者】
【氏名】石井 恒太郎
(72)【発明者】
【氏名】笠原 隆司
(72)【発明者】
【氏名】中野 尚史
【テーマコード(参考)】
2F129
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD21
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE81
2F129EE94
2F129FF02
2F129FF20
2F129GG17
2F129HH02
2F129HH12
(57)【要約】
【課題】ユーザの走行体験を適切に支援すること。
【解決手段】制御部20は、マイクロモビリティでの体験走行を支援する体験走行支援制御装置であって、体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な体験要素を抽出する体験要素抽出部31と、体験要素抽出部31によって抽出された体験要素を表示部19に表示するよう制御する表示制御部39とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロモビリティでの体験走行を支援する体験走行支援制御装置であって、
体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な体験要素を抽出する体験要素抽出部と、
前記体験要素抽出部によって抽出された前記体験要素を表示部に表示するよう制御する表示制御部と、
を備える、体験走行支援制御装置。
【請求項2】
前記マイクロモビリティの走行回数、走行距離および走行時間の少なくともいずれかを含む走行経験を示すユーザ情報を取得するユーザ情報取得部、
を備え、
前記体験要素抽出部は、体験走行の体験目的および前記ユーザ情報に応じて、体験要素を抽出する、
請求項1に記載の体験走行支援制御装置。
【請求項3】
前記体験要素抽出部によって抽出された前記体験要素に対するユーザの選択操作を受け付ける操作受付部と、
前記操作受付部によって選択された前記体験要素を含む経路を探索する探索部、
を備える、
請求項1に記載の体験走行支援制御装置。
【請求項4】
前記体験目的は、前記マイクロモビリティの性能体験、または、前記マイクロモビリティの交通ルール確認を含み、
前記体験要素抽出部は、前記体験目的が性能体験である場合、性能体験に適した道路、施設、および、名所の少なくともいずれかを抽出し、前記体験目的が交通ルール確認である場合、交通ルール確認に適した道路、施設、および、名所の少なくともいずれかを抽出する、
請求項1に記載の体験走行支援制御装置。
【請求項5】
マイクロモビリティでの体験走行を支援する体験走行支援方法であって、
体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な体験要素を抽出する体験要素抽出ステップと、
前記体験要素抽出ステップによって抽出された前記体験要素を表示部に表示するよう制御する表示制御ステップと、
を含む、体験走行支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、体験走行支援制御装置および体験走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
入力された行動予定時間で移動可能な範囲を算出し、その移動範囲に存在するレジャースポットに基づいたルートを探索する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006-091021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、電動キックボード、電動自転車、および、電動車椅子などのようなマイクロ(超小型)モビリティのような普及途中のモビリティでは、走行体験をしたいというユーザの要望がある。そこで、マイクロモビリティのような普及途中のモビリティにおいて、ユーザの走行体験を適切に支援することが望まれる。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、ユーザの走行体験を適切に支援することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る体験走行支援制御装置はマイクロモビリティでの体験走行を支援する体験走行支援制御装置であって、体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な体験要素を抽出する体験要素抽出部と、前記体験要素抽出部によって抽出された前記体験要素を表示部に表示するよう制御する表示制御部とを備える。
【0007】
本発明に係る体験走行支援方法は、マイクロモビリティでの体験走行を支援する体験走行支援方法であって、体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な体験要素を抽出する体験要素抽出ステップと、前記体験要素抽出ステップによって抽出された前記体験要素を表示部に表示するよう制御する表示制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザの走行体験を適切に支援することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第一実施形態に係る体験走行支援装置の構成例を示す概略図である。
図2図2は、体験可能な体験要素を提示する画面の一例を示す図である。
図3図3は、体験要素情報記憶部に記憶された体験要素情報の一例を示す図である。
図4図4は、第一実施形態に係る体験走行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第二実施形態に係る体験走行支援装置の構成例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る体験走行支援制御装置および体験走行支援方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0011】
[第一実施形態]
<体験走行支援装置>
図1は、第一実施形態に係る体験走行支援装置の構成例を示す概略図である。体験走行支援装置1は、マイクロモビリティの体験走行を支援する装置である。体験走行支援装置1は、例えば、体験走行の体験目的に適した走行を支援する。体験走行支援装置1は、マイクロモビリティ用の端末装置またはユーザが所持する電子機器である。
【0012】
体験目的とは、マイクロモビリティで走行することで得られる体験(体験走行)を体験要素として細分化したものを、ユーザが所望するであろうと思われる目的ごとに探索できるように分類したものである。体験目的とは、例えば、「走りやすさ優先」というような道路の走りやすさを優先する目的、「ワクワクしたい」というような走行を楽しむ目的、または、「ゆっくり走りたい」というような余裕を持って走行する目的などである。体験目的とは、例えば、マイクロモビリティの「交通ルール確認」、または、マイクロモビリティの「性能体験」などである。
【0013】
マイクロモビリティとは、自動車よりコンパクトで機動性が高く地域の手軽な移動の足となる1人または2人乗り程度の車両である。マイクロモビリティは、例えば、電動キックボード、電動自転車、および、電動車椅子などである。
【0014】
体験走行とは、マイクロモビリティを目的地までの単なる移動手段とする走行ではなく、マイクロモビリティによる走行自体を体験する走行である。体験走行は、色々な走行方法を試す走行である。体験走行は、例えば、「走りやすさ優先」した体験を目的とする走行、「ワクワクしたい」といったような楽しむ体験を目的とする走行、「ゆっくり走りたい」といったような余裕を持って走る体験を目的とする走行、「交通ルール確認」する体験を目的とする走行、および、マイクロモビリティの装備に応じた「性能体験」を目的とする走行、などとして抽出される。
【0015】
体験走行支援装置1は、カメラ11と、操作部12と、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信部13と、地図情報記憶部14と、体験要素情報記憶部15と、表示部19と、体験走行支援制御装置(以下、「制御部」という。)20と、を備える。
【0016】
カメラ11は、マイクロモビリティの周辺を撮影するカメラである。カメラ11は、例えば、マイクロモビリティの前方および後方を向いて配置される複数のカメラで構成されてもよい。カメラ11は、例えば、全天周や半天周を撮影可能な単一のカメラであってもよい。カメラ11は、撮影した映像データを制御部20の映像取得部21へ出力する。
【0017】
操作部12は、体験走行支援装置1に対する各種操作を受付可能である。操作部12は、体験走行支援装置1に対する物理的な操作手段、表示部19に配置されたタッチパネル、または、音声入力手段などによって構成される。例えば、操作部12は、出発地および目的地の入力を受け付け、経路を探索する操作を受付可能である。例えば、操作部12は、体験走行の体験目的を選択する操作を受付可能である。例えば、操作部12は、経路や体験要素の案内を開始する操作を受付可能である。操作部12は、受け付けた操作を示す操作情報を体験走行支援装置1の操作受付部22へ出力する。
【0018】
GNSS受信部13は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部13は、受信したGNSS信号を位置情報取得部23に出力する。
【0019】
地図情報記憶部14は、地図情報を記憶する。地図情報は、例えば、道路の形状、交差点、道路幅、勾配、段差の有無などを含む道路地図である。地図情報は、例えば、車道に加えて歩道、自転車道など、また、マイクロモビリティが通行可能な道路の種類や交通規制の情報などを含む。地図情報は、例えば、施設、施設における通路や設備、名所などの情報を含む。地図情報記憶部14は、記憶している地図情報を制御部20の探索部32へ出力する。地図情報記憶部14は、図示しない通信部などによる通信機能を介して、道路の交通量の傾向や、車両などの統計的な平均移動速度、渋滞情報や周囲の人や物による混雑状態などを含めて地図情報をリアルタイムまたは非リアルタイムに更新し取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0020】
体験要素情報記憶部15は、体験要素情報を記憶する。体験要素情報記憶部15は、記憶している体験要素情報を制御部20の体験要素抽出部31へ出力する。体験要素情報記憶部15は、通信部などによる通信機能を介して体験要素情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0021】
体験要素情報は、体験走行によって体験可能な体験要素を示す情報である。体験要素情報は、体験目的ごとに、体験目的に適した体験要素を示す情報である。体験要素情報は地図情報記憶部14の、例えば、道路の形状、交差点、道路幅、勾配、段差、施設、施設における通路や設備、名所などの体験要素を地図情報と対応付けて記憶する。体験要素情報は、あらかじめ記憶されている情報以外にも、ユーザによるフィードバック意見や、体験コーナーやトレーニング施設の各設備の管理者により随時更新される蓄積データであってもよい。
【0022】
例えば、体験目的「走りやすさ優先」には、カーブが少なく走りやすい形状の道路、渋滞の少ない交差点、余裕のある道路幅などを対応付けて体験要素情報として記憶する。例えば、急な勾配がない道路、段差がない道路、側溝がない道路、階段ではない歩道、歩行者の少ない通路などを、体験目的「走りやすさ優先」に対応付けて記憶する。
【0023】
例えば、体験目的「ワクワクしたい」には、ワクワクする道路、施設、および、名所などを対応付けて体験要素情報として記憶する。例えば、ラウンドアバウトの交差点、交通量が交通量閾値以下の道路、歩車分離された道路などを、体験目的「ワクワクしたい」に対応付けて記憶する。例えば、建物空地等の街並みが変化に富んでいたり、特徴的な街並みであったりする道路を、体験目的「ワクワクしたい」に対応付けて記憶する。例えば、交差点を曲がった後にランドマークが見える、個性的なループ橋など、景色がよい道路や名所などを、体験目的「ワクワクしたい」に対応付けて記憶する。
【0024】
例えば、体験目的「ゆっくり走りたい」には、ゆっくり走ることができる道路、施設、および、名所などを対応付けて体験要素情報として記憶する。例えば、交差点から交差点間が長い道路、マイクロモビリティの走行可能な部分の通行幅が広い道路、人通りが少ない道路、車通りが少ない道路を、体験目的「ゆっくり走りたい」に対応付けて記憶する。
【0025】
例えば、体験目的「性能体験」には、性能体験ができる態様の道路、勾配、施設、および、施設における通路や設備などを対応付けて体験要素情報として記憶する。より詳しくは、例えば、マイクロモビリティに適度かつその動力性能を実感できるような勾配の坂、例えば、交差点間が長い道路、走行可能な部分の通行幅が広い道路、人通りや車通りが少ない道路などユーザが比較的自由にマイクロモビリティを操作走行することが許される道路、例えば、電動キックボードの走行で、走行時の転倒リスクやスタックなどの恐れがないこと、ユーザへの事前の注意喚起など十分に考慮されたテスト走行コース施設、例えば、電動車椅子に搭乗して、段差の走破性や転回性などを順次あるいは個別に試せる体験コーナーやトレーニング施設の各設備を、体験目的「性能体験」に対応付けて記憶する。
【0026】
例えば、体験目的「交通ルール確認」には、交通ルールの確認ができる態様の道路、交差点などを対応付けて体験要素情報として記憶する。体験要素情報としては、例えば、歩道と自転車道と車道が平行する道路、自転車横断帯が併設された横断歩道、二段階右折が想定された交差点、軽車両を除く条件が設定された一方通行路や進入禁止看板の面した道、歩者分離式信号がある交差点、信号がない横断歩道、任意に設定された手押しゾーンや通り抜け防止ポールが敷地内に設置された施設、階段がある道路などを、体験目的「交通ルール確認」に対応付けて記憶する。ここで交通ルールについて、ユーザが使用するモビリティの種類が考慮されていると好適である。また、例えば電動キックボードにおける速度規制に応じた速度制限灯の使用を前提とした歩道通行者モードのようなモード切替状態が、歩道に詳細な属性情報としてさらに対応付けて記憶されていてもよい。
【0027】
図3を用いて、体験要素情報の一例を説明する。図3は、体験要素情報記憶部に記憶された体験要素情報の一例を示す図である。図3に示す例は、体験目的が電動キックボードの性能体験である場合の一例である。性能体験に対応する、体験要素ごとに、体験可能な性能を示す内容詳細1、ユーザに提示する説明を示す内容詳細2、地図情報との対応(施設設置場所)、危険度情報の5段階評価、および、★が多いほど高評価であることを示す評価値が記憶されている。例えば、体験要素「狭い路地」、内容詳細1「すり抜け性能」、内容詳細2「狭い場所の走破性を試しましょう。周囲に気をつけて」、地図情報との対応(施設設置場所)「〇〇町〇〇路地」、危険度情報の5段階評価「4」、評価値「★」が体験要素情報の1つとして記憶されている。例えば、体験要素「カーブ」、内容詳細1「急カーブ」、内容詳細2「Rxxの急カーブです、見通しは良いですが速度に気をつけて」、地図情報との対応(施設設置場所)「〇〇町○○カーブ」、危険度情報の5段階評価「2」、評価値「★★」が体験要素情報の1つとして記憶されている。
【0028】
表示部19は、一例としては、体験走行支援装置に固有の表示装置、または、他のシステムと共用した表示装置などである。表示部19は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)または有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイなどを含むディスプレイである。表示部19は、体験走行支援装置1から出力された映像信号に基づいて、体験要素情報を案内する映像などを表示する。
【0029】
<体験走行支援制御装置>
制御部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置である。制御部20は、図示しない記憶部に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行する。制御部20は、映像取得部21と、操作受付部22と、位置情報取得部23と、走行情報取得部24と、地図情報取得部25と、体験要素抽出部31と、探索部32と、案内部33と、表示制御部39とを備える。
【0030】
映像取得部21は、マイクロモビリティの周辺を撮影した映像データを取得する。具体的には、映像取得部21は、カメラ11が撮影した映像データを取得する。
【0031】
映像取得部21によって取得された映像データのうち、マイクロモビリティが所定時間以上停止した際に撮影された映像データは、停止時間情報および撮影位置情報とともに、地図情報記憶部14に対応付けて記憶するようにしてもよい。
【0032】
映像取得部21によって取得された映像データのうち、マイクロモビリティが体験要素において所定時間以上停止した際に撮影された映像データは、停止時間情報および撮影位置情報とともに、体験要素情報記憶部15に記憶するようにしてもよい。
【0033】
操作受付部22は、操作部12が受け付けた操作の操作情報を取得する。操作受付部22は、例えば、一般的なナビゲーション装置などにおいて出発地および目的地の設定操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部22は、例えば、出発地および目的地が設定されると、出発地および目的地の位置情報を含む制御信号を出力する。操作受付部22は、例えば、体験走行の体験目的を選択する操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部22は、例えば、体験要素に対応する場所を通過地点として、出発地から目的地までの経路を探索する操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部22は、例えば、経路の案内を開始する操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。操作受付部22は、例えば、体験要素抽出部31によって抽出された体験要素に対するユーザの選択操作を示す操作情報を取得して制御信号を出力する。
【0034】
位置情報取得部23は、マイクロモビリティの現在位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では、位置情報取得部23は、GNSS受信部13が取得した電波の信号に基づいて、マイクロモビリティの位置情報を取得する。位置情報取得部23は、GNSSに限定せず、公知の位置検出技術、または複数の位置検出技術を組み合わせて位置情報を取得してもよい。例えば、監視カメラなどにより撮影されたマイクロモビリティの映像データから地物映像などを分析して特定された位置情報や、例えば、移動体通信ネットワークなどの基地局を利用した位置情報や、例えば、屋内施設に設置された位置ビーコン信号に基づいて算出された位置情報を取得してもよい。位置情報取得部23は、取得した位置情報を探索部32へ出力する。
【0035】
走行情報取得部24は、マイクロモビリティの走行情報をマイクロモビリティの車体に配置した図示しない各種センサなどから取得する。
【0036】
走行情報は、例えば、車速、および、停止時間を示す情報である。走行情報は、推測航法などの位置情報の補完や、ユーザによるマイクロモビリティの運転操作状態を検出する場合などに利用してもよい。
【0037】
地図情報取得部25は、地図情報記憶部14から地図情報を取得する。
【0038】
体験要素抽出部31は、体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な道路、施設、および、名所などのような体験要素を体験要素情報記憶部15と地図情報から抽出する。体験要素は、経路の探索とともに抽出してもよい。より詳しくは、体験要素抽出部31は、マイクロモビリティの現在位置の周辺、現在位置と目的地とを含む所定範囲内、または、目的地の周辺において、選択された体験目的に対応する体験要素と、それらを経由するように経路を探索し抽出する。
【0039】
体験要素抽出部31は、例えば、「走りやすさ優先」、「ワクワクしたい」、「ゆっくり走りたい」といった体験目的の条件に応じた体験要素を体験要素情報記憶部15から抽出する。体験要素抽出部31は、例えば、「性能体験」、「交通ルール確認」といった体験目的の条件に応じた体験要素を体験要素情報記憶部15から抽出する。
【0040】
体験要素抽出部31は、体験要素が複数ある場合、すべてを抽出結果に含めてもよいし、順に抽出してもよい。また、あるいは所定の条件に応じて、優先度を考慮して選出した体験要素を抽出してもよい。例えば、上述のように経路の探索とともに抽出する場合、抽出された複数の体験要素から、通常の出発地から目的地までの経路からの距離が小さい体験要素を優先してもよい。
【0041】
探索部32は、マイクロモビリティの経路を探索する。簡単のため本実施形態では、出発地はマイクロモビリティの現在位置として説明する。探索部32は、第一探索部321と、第二探索部322とを備える。
【0042】
第一探索部321は、設定された目的地までの経路探索を行う。より詳しくは、第一探索部321は、操作受付部22が受け付けた操作情報と、出発地および目的地の位置情報と、地図情報記憶部14が記憶した地図情報とに基づいて、経路を探索する。第一探索部321の経路を探索する方法は、公知の経路探索方法を使用可能であり、限定されない。第一探索部32による経路の探索は、一般的な車両用ナビゲーション装置と同様である。
【0043】
第二探索部322は、体験要素を探索する。第二探索部322は、操作受付部22が受け付けた操作情報に応じた出発地および目的地の位置情報と、体験要素抽出部31の抽出結果と、地図情報記憶部14が記憶した地図情報とに基づいて、体験要素を含む経路を探索してもよい。
【0044】
第二探索部322は、目的地が設定されている場合、体験要素抽出部31によって抽出された体験要素を含む、設定された目的地までの経路探索を行う。より詳しくは、第二探索部322は、出発地および目的地の位置情報と、地図情報記憶部14が記憶した地図情報とに基づいて、体験要素を経由する経路を探索する。第二探索部322は、体験要素を経由するような経路が探索されるので、第一探索部321と異なる経路が探索される。第二探索部322によって探索される経路は、出発地から目的地へ向かう際に、最短経路に比べて遠回りをしたり、同じ道路を引き返したりする経路となることもある。
【0045】
第二探索部322は、目的地が設定されていない場合、体験要素抽出部31の抽出結果と、地図情報記憶部14が記憶した地図情報とに基づいて、体験要素を探索する。体験要素の場所が、出発地と離れている場合は、体験要素の場所までの片道の経路を探索してもよいし、あるいは体験要素の場所を経由して出発地へ戻ってくる経路を探索してもよい。
【0046】
第二探索部322は、マイクロモビリティでしか走行できない道路を含むように経路を探索してもよい。例えば、第二探索部322は、普通車両が通行できない道幅の狭い道路や、マイクロモビリティの通行が許可された歩道などを少なくとも含むように経路を探索してもよい。これにより、マイクロモビリティの走行によってのみ得られる体験が積極的に提示できる。
【0047】
案内部33は、探索された内容に沿った案内を行う。経路を案内する方法については、公知の経路案内方法を使用可能であり、限定されない。
【0048】
表示制御部39は、表示部19に対する表示を制御する。例えば、表示制御部39は、探索部32が探索した内容に沿った案内の映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。表示制御部39は、例えば、目的地の設定要否を設定する設定画面の映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。
【0049】
表示制御部39は、例えば、通常走行を行うか、色々な走行方法を試す体験走行を行うかを選択する選択画面の映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。表示制御部39は、例えば、体験目的を選択する選択画面の映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。
【0050】
表示制御部39は、例えば、体験要素抽出部31によって抽出された体験要素を表示部19に表示させる映像信号を出力する。表示制御部39は、例えば、複数の体験要素を、リスト画像、または、サムネイル画像などで表示してもよい。
【0051】
図2は、体験可能な体験要素を提示する画面の一例を示す図である。表示制御部39は、第二探索部322が探索した体験可能な体験要素を提示する映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。図2では、体験要素の場所とともに経路を示す地図画像100が表示されている。地図画像100には、出発地画像101、目的地画像102、体験要素を経由する経路である体験要素経由経路画像103と、体験要素の内容を文字で説明する体験要素説明画像104、体験要素説明画像105および体験要素説明画像106が含まれる。体験要素経由経路画像103は、第二探索部322によって探索された、体験要素を含む、出発地から目的地までの経路である。図2では、狭い路地、カーブ、坂道の3つの性能体験に対応する体験要素が経路に含まれ、体験要素経由経路画像103ではこれらの体験要素の主要な区間を太い実線により明示している。図2ではさらに、第一探索部321によって探索される体験要素を含まない通常経路画像110を比較用にオプションとして表示している。通常経路画像110は、出発地から目的地までの、例えば最短距離を示す経路である。
【0052】
<体験走行支援装置における情報処理>
次に、図4を用いて、体験走行支援装置10における情報処理について説明する。図4は、第一実施形態に係る体験走行支援装置における処理の一例を示すフローチャートである。本フローチャートの説明においても出発地に関する操作などの処理は簡単のため省略し、現在位置を出発地とするものとして説明する。最初に、例えば、マイクロモビリティ1による走行を開始する前に、体験走行支援装置1が起動する。体験走行支援装置1を起動すると、制御部20は、表示制御部39によって、色々な走行方法を試す体験走行を行うか否かを選択する選択画面を表示部19に表示する。ユーザは、色々な走行方法を試す体験走行を行うか否かの選択操作を行う。
【0053】
制御部20は、色々な走行方法を試す体験走行を行うか否かを判定する(ステップS101)。より詳しくは、制御部20は、操作受付部22によって、色々な走行方法を試す体験走行を行うことを選択する操作を受け付けたか否かを判定する。制御部20は、色々な走行方法を試す体験走行を行うと判定する場合(ステップS101でYes)、ステップS104へ進む。制御部20は、色々な走行方法を試す体験走行を行うと判定しない場合(ステップS101でNo)、ステップS102へ進む。
【0054】
色々な走行方法を試す体験走行を行うと判定しない場合(ステップS101でNo)、制御部20は、目的地を設定する(ステップS102)。より詳しくは、制御部20は、表示制御部39によって、目的地の設定画面を表示部19に表示する。制御部20は、操作受付部22によって、出発地および目的地の設定操作と、出発地から目的地までの経路を探索する操作とを受け付ける。制御部20は、ステップS103へ進む。
【0055】
制御部20は、経路を探索する(ステップS103)。より詳しくは、制御部20は、操作受付部22によって、出発地および目的地の設定操作と、出発地から目的地までの経路を探索する操作とを受け付けると、第一探索部321によって、出発地から目的地までの経路を探索する。制御部20は、ステップS111へ進む。
【0056】
色々な走行方法を試す体験走行を行うと判定する場合(ステップS101でYes)、制御部20は、体験目的を選択する(ステップS104)。より詳しくは、制御部20は、表示制御部39によって、体験目的を選択する選択画面を表示部19に表示する。制御部20は、操作受付部22によって、ユーザによる体験目的の選択操作を受け付ける。制御部20は、ステップS105へ進む。
【0057】
制御部20は、目的地を自分で設定するか否かを判定する(ステップS105)。より詳しくは、制御部20は、表示制御部39によって、目的地の設定要否を設定する設定画面を表示部19に表示する。制御部20は、操作受付部22によって、目的地の設定要否を設定する操作を受け付ける。制御部20は、操作受付部22によって、目的地を自分で設定することを選択する操作を受け付けたか否かを判定する。制御部20は、目的地を自分で設定すると判定する場合(ステップS105でYes)、ステップS106へ進む。制御部20は、目的地を自分で設定すると判定しない場合(ステップS105でNo)、ステップS107へ進む。
【0058】
目的地を自分で設定すると判定する場合(ステップS105でYes)、制御部20は、目的地を設定する(ステップS106)。より詳しくは、制御部20は、表示制御部39によって、目的地の設定画面を表示部19に表示する。制御部20は、操作受付部22によって、ユーザによる出発地および目的地の設定操作と、出発地から目的地までの経路を探索する操作とを受け付ける。制御部20は、ステップS108へ進む。
【0059】
目的地を自分で設定すると判定しない場合(ステップS105でNo)、制御部20は、現在位置を目的地として設定する(ステップS107)。制御部20は、ステップS108へ進む。
【0060】
制御部20は、体験要素を含む出発地から目的地への経路を探索する(ステップS108)。より詳しくは、制御部20は、選択された体験目的に応じた体験要素の場所を抽出し、抽出した体験要素と地図情報に基づいて、第二探索部322によって、体験要素を含んだ、出発地から目的地までの経路を探索する。体験要素が複数抽出された場合はそれらを組み合わせた経路を、あるいは体験要素の組み合わせパターンを適宜変えて経路を探索する(後述する)。ここで、現在位置が目的地に設定されている場合は、体験要素の場所を探索し経路の探索は必須としないが、体験要素の場所が出発地と離れている場合は、体験要素の場所までの片道の経路を探索、あるいは体験要素の場所を経由して出発地に戻ってくる経路を探索してもよい。まとめると、第二探索部322は、体験要素抽出部31の抽出結果と、出発地および目的地の位置情報と、地図情報記憶部14が記憶した地図情報とに基づいて、体験要素の場所や体験要素の場所を経由する経路を探索する。制御部20は、ステップ109へ進む。
【0061】
制御部20は、探索された体験要素を提示する(ステップS109)。より詳しくは、制御部20は、表示制御部39によって、第二探索部322が探索した体験要素を提示する映像を表示部19に表示させる映像信号を出力する。映像信号は体験要素の場所までの経路を含んでよい。体験要素が複数抽出された場合は、複数の体験要素や、体験要素を組み合わせるパターンを選択可能な態様で提示する映像を表示させる。制御部20は、ステップS110へ進む。
【0062】
制御部20は、体験要素を決定するか否かを判定する(ステップS110)。体験要素は経路を含んでよい。より詳しくは、制御部20は、操作受付部22によって、体験要素を決定する操作を受け付けたか否かを判定する。例えば、制御部20は、操作受付部22によって、提示した体験要素を選択する操作と、体験要素を決定する操作とが受け付けられたか否かを判定する。制御部20は、体験要素を決定すると判定する場合(ステップS110でYes)、ステップS111へ進む。制御部20は、体験要素を決定すると判定しない場合(ステップS110でNo)、ステップS108の処理を再度実行する。体験要素が複数抽出されていた場合で体験要素の次の組み合わせのパターンの次候補がある場合は、ステップS108の処理で次候補の体験要素に変更して再探索する。
【0063】
制御部20は、経路または/および体験要素を案内する(ステップS111)。より詳しくは、制御部20は、案内部33によって、探索された経路、または、決定した体験要素に沿った案内を行う。
【0064】
<効果>
上述したように、本実施形態では、体験走行の体験目的に応じて、体験走行によって体験可能な道路、施設、および、名所などのような体験要素を抽出する。本実施形態では、抽出された体験要素を表示部19に表示する。本実施形態によれば、ユーザの走行体験を適切に支援することができる。
【0065】
本実施形態では、抽出された体験要素から選択された体験要素を含む経路を探索することができる。本実施形態によれば、ユーザの走行体験を適切に支援することができる。
【0066】
本実施形態では、体験目的が性能体験である場合、性能体験に適した道路、施設、および、名所の少なくともいずれかを抽出することができる。本実施形態では、体験目的が交通ルール確認である場合、交通ルール確認に適した道路、施設、および、名所の少なくともいずれかを抽出することができる。このように、本実施形態によれば、マイクロモビリティのような普及途中のモビリティにおける、ユーザの走行体験を適切に支援することができる。
【0067】
[第二実施形態]
図5は、第二実施形態に係る体験走行支援装置の構成例を示す概略図である。第二実施形態の体験走行支援装置1Aは、基本的な構成は第一実施形態と同様である。第一実施形態と同様の構成には、同一または対応する符号を付して説明を省略する。体験走行支援装置1Aは、ユーザ情報記憶部16Aと、制御部20Aにおけるユーザ情報取得部26Aとを備える点と、体験要素抽出部31Aにおける処理とが第一実施形態と異なる。
【0068】
本実施形態では、体験要素には、あらかじめランク付けがされている。例えば、ランクは、数値が大きいほど初心者向けであり、数値が小さいほど経験者向けであるものとする。
【0069】
ユーザ情報記憶部16Aは、ユーザ情報を記憶する。ユーザ情報記憶部16Aは、記憶しているユーザ情報を制御部20Aのユーザ情報取得部26Aへ出力する。ユーザ情報記憶部16Aは、通信部などによる通信機能を介してユーザ情報を取得する外部サーバ等の記憶装置であってもよい。
【0070】
ユーザ情報は、例えば、ユーザのマイクロモビリティの走行に関して初心者であるか、経験豊富であるかの指標となる情報であり、マイクロモビリティの体験走行の体験回数、走行回数、走行距離および走行時間などといったユーザの走行経験の履歴を示す。ユーザ情報は、これに限定せず、利用したマイクロモビリティの種類や利用環境など各種情報を含んでもよい。ユーザ情報は、顔認証など公知の技術を使用して個人や家族を特定し、ユーザ毎にユーザ情報を記憶し、また任意のタイミングで情報をアップデートする。ユーザ情報は自動車保険などの各種サービスと連携して情報の一部または全部を共有して活用するデータでもよい。
【0071】
ユーザ情報取得部26Aは、ユーザ情報記憶部16Aからユーザ情報を取得する。
【0072】
体験要素抽出部31Aは、体験走行の体験目的およびユーザ情報に応じて、体験要素を抽出する。本実施形態では、体験要素抽出部31Aは、例えば、体験回数が少ないほど、、走行回数が少ないほど、走行距離が短いほど、または、走行時間が短いほど、ランクの数値が大きい初心者向けの体験要素を優先して抽出する。体験要素抽出部31Aは、例えば、体験回数が多いほど、走行回数が多いほど、走行距離が長いほど、または、走行時間が長いほど、ランクの数値が小さい経験者向けの体験要素を優先して抽出する。
【0073】
体験要素抽出部31Aは、例えば、ある体験要素について体験回数が1回以上ある場合、前回体験していない別の体験要素を優先するように抽出してもよい。
【0074】
<効果>
上述したように、本実施形態では、体験走行の体験目的およびユーザ情報に応じて、体験要素を抽出する。本実施形態によれば、走行回数、走行時間、または、走行距離に応じて、適切な体験要素を抽出できる。本実施形態によれば、ユーザの走行体験を適切に支援することができる。
【0075】
図示した体験走行支援装置の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0076】
体験走行支援装置の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0077】
上記に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記に記載した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【0078】
<変形例>
上記では、体験走行を行うか否かは、ユーザの操作によるものとしたが、これに限定されない。例えば、まず、体験走行支援装置1が起動すると、目的地の設定画面を表示し、目的地が設定されない場合、体験走行を行うようにしてもよい。
【0079】
体験目的の「性能確認」は、ユーザ情報の体験回数または走行回数が2回目以上である場合にのみ、選択できるように制限してもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 体験走行支援装置
11 カメラ
12 操作部
13 GNSS受信部
14 地図情報記憶部
15 体験要素情報記憶部
16A ユーザ情報記憶部
19 表示部
20 制御部(体験走行支援制御装置)
21 映像取得部
22 操作受付部
23 位置情報取得部
24 走行情報取得部
25 地図情報取得部
26A ユーザ情報取得部
31 体験要素抽出部
32 探索部
321 第一探索部
322 第二探索部
33 案内部
39 表示制御部
101 出発地画像
102 目的地画像
103 体験要素経由経路画像
104 体験要素説明画像
105 体験要素説明画像
106 体験要素説明画像
110 通常経路画像
図1
図2
図3
図4
図5