(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140318
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】機器取付パネル及びその機器取付パネルを備えた制御装置
(51)【国際特許分類】
H05K 5/03 20060101AFI20241003BHJP
H05K 5/02 20060101ALI20241003BHJP
H05K 5/06 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H05K5/03 B
H05K5/02 A
H05K5/06 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051408
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000992
【氏名又は名称】弁理士法人ネクスト
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 洋祐
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AB03
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB08
4E360AB23
4E360AB33
4E360BA08
4E360BB30
4E360BC20
4E360BD02
4E360BD05
4E360BD07
4E360EA14
4E360EA18
4E360EA29
4E360ED02
4E360ED07
4E360GA22
4E360GA29
4E360GA52
4E360GA53
4E360GB99
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】機器取付孔とその近傍のネジ穴との位置関係を特定した機器取付パネル及びその機器取付パネルを備えた制御装置を提供する。
【解決手段】パネル20は、複数の機器取付孔を形成した板金板60であって、複数の機器取付孔のうち、少なくとも1つの機器取付孔61の内側に板金板60の一部を打ち抜き蓋62として残した板金板60を備え、板金板60は、打ち抜き蓋62と機器取付孔61の縁部61Aとの間を分離するスリット63と、スリット63の途中部分で、打ち抜き蓋62と機器取付孔61の縁部61Aとを連結し、必要に応じて打ち抜き蓋62を押圧することにより、打ち抜き蓋62を機器取付孔61から破断可能な第1及び第2破断用連結部64A,64Bと、機器取付孔61の縁部61Aから外側の板金板60上の位置であって、板金板60の板厚の2倍以内の位置に穴の縁部が形成された第1~第4ネジ穴65A~65Dと、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機器取付孔を形成した板金板であって、前記複数の機器取付孔のうち、少なくとも1つの機器取付孔の内側に前記板金板の一部を打ち抜き蓋として残した板金板を備えた機器取付パネルであって、
前記板金板は、
前記打ち抜き蓋と前記機器取付孔の縁部との間を分離するスリットと、
前記スリットの途中部分で、前記打ち抜き蓋と前記機器取付孔の前記縁部とを連結し、必要に応じて前記打ち抜き蓋を押圧することにより、前記打ち抜き蓋を前記機器取付孔から破断可能な破断用連結部と、
前記機器取付孔の前記縁部から外側の前記板金板上の位置であって、前記板金板の板厚の2倍以内の位置に穴の縁部が形成されたネジ穴と、
を有することを特徴とする機器取付パネル。
【請求項2】
前記板金板の表面には、前記スリット及び前記ネジ穴を塞ぐシールが貼り付けられ、
前記シールには、前記スリット及び前記ネジ穴を内側に分離する環状のハーフカット部、ミシン目その他の線状シール切断部のいずれかを形成したことを特徴とする請求項1に記載の機器取付パネル。
【請求項3】
前記板金板の板厚が、0.8~1.5mmである場合、前記シールの前記環状のハーフカット部、ミシン目その他の線状シール切断部のいずれかは、前記ネジ穴の中心から外側に2.5~5mmの範囲内の位置に形成したことを特徴とする請求項2に記載の機器取付パネル。
【請求項4】
前記機器取付孔は、4つの直線部と前記直線部を接続する4つの屈曲部からなる前記縁部を有する略矩形状の孔であり、
前記ネジ穴は、そのネジ穴の中心位置が、前記4つの直線部のうち隣接する2つの直線部を延ばしたそれぞれの交点からなる四角形の線上若しくは外側に位置することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の機器取付パネル。
【請求項5】
前記機器取付孔は、4つの直線部と前記直線部を接続する4つの屈曲部からなる前記縁部を有する略矩形状の孔であり、
前記破断用連結部は、前記4つの直線部のうちの1つの直線部にのみ配置されることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の機器取付パネル。
【請求項6】
設置面と交差する一側面に開口を有する外側筐体と、
前記外側筐体の内部に、前記外側筐体から前記開口を介して引き出し可能に収納される内側筐体と、
請求項1~5のいずれか1項に記載の機器取付パネルと、
を備え、
前記機器取付パネルは、前記開口を封止可能な形状を有し、前記内側筐体の引出し方向の前面に配置され、前記内側筐体と共に引き出し可能であることを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、各種機器を取り付ける機器取付パネル及びその機器取付パネルを備えた制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パネル板に形成した機器取付孔の内側にパネル板の一部を打ち抜き蓋として残し、打ち抜き蓋と機器取付孔の縁部との間をスリットにて分離すると共に、スリットの途中部分に打ち抜き蓋と機器取付孔の縁部とを連絡しかつ、必要に応じて打ち抜き蓋を押圧して破断可能な破断用連結部を設けるようにした機器取付パネルが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、機器取付孔に、例えば電気機器を取り付けるためのコネクタを取り付ける場合、機器取付孔の近傍に形成されたネジ穴とコネクタ側に形成されたネジ穴とをネジで螺着させることにより行うことが考えられる。機器取付孔とその近傍のネジ穴との間隔が長ければ長いほど、設置面積のより大きいコネクタを用いる必要があるので、機器取付孔とその近傍のネジ穴との間隔を短くすることが好ましい。
【0005】
しかし、特許文献1に記載の機器取付パネルでは、機器取付孔に電気機器をどのようにして取り付けるかについては言及されていないので、機器取付孔とその近傍のネジ穴との位置関係は不明である。
【0006】
本願は、機器取付孔とその近傍のネジ穴との位置関係を特定した機器取付パネル及びその機器取付パネルを備えた制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本願の機器取付パネルは、複数の機器取付孔を形成した板金板であって、複数の機器取付孔のうち、少なくとも1つの機器取付孔の内側に板金板の一部を打ち抜き蓋として残した板金板を備えた機器取付パネルであって、板金板は、打ち抜き蓋と機器取付孔の縁部との間を分離するスリットと、スリットの途中部分で、打ち抜き蓋と機器取付孔の縁部とを連結し、必要に応じて打ち抜き蓋を押圧することにより、打ち抜き蓋を機器取付孔から破断可能な破断用連結部と、機器取付孔の縁部から外側の板金板上の位置であって、板金板の板厚の2倍以内の位置に穴の縁部が形成されたネジ穴と、を有することを特徴とする。
【0008】
上記目的を達成するため、本願の制御装置は、設置面と交差する一側面に開口を有する外側筐体と、外側筐体の内部に、外側筐体から開口を介して引き出し可能に収納される内側筐体と、請求項1~5のいずれか1項に記載の機器取付パネルと、を備え、機器取付パネルは、開口を封止可能な形状を有し、内側筐体の引出し方向の前面に配置され、内側筐体と共に引き出し可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願によれば、機器取付孔とその近傍のネジ穴との位置関係を特定した機器取付パネル及びその機器取付パネルを備えた制御装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本願の一実施形態に係る制御装置の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図1の制御装置の内側筐体を引き出した状態を示す図である。
【
図3】
図1の制御装置のパネルの板金板に形成された機器取付孔近傍の拡大斜視図である。
【
図4】機器取付孔とネジ穴との位置関係の一例を示す図である。
【
図5】
図1の制御装置のパネルの板金板表面にシールを貼ったときの機器取付孔近傍の拡大斜視図である。
【
図6】1つの機器取付孔にコネクタを取り付ける前後の様子を示す図である。
【
図7】
図1の制御装置のパネルの板金板に形成された機器取付孔にコネクタを取り付けた後の外観を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本願の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の説明に用いる図面では、基本的構成の一部が省略されて描かれていることがあり、描かれた各部の寸法比等は必ずしも正確ではない。各図において、前後方向D1、上下方向D2、及び左右方向D3は、各図に記載された通りである。
【0012】
図1は、本願の一実施形態に係る制御装置10の外観を示している。制御装置10は、外部機器を制御するものであり、本実施形態では、外部機器として、レーザ発振器を備えたレーザヘッド(図示せず)を接続し、レーザヘッドを制御することにより、加工対象物の加工面上で2次元走査してマーキング(印字)加工を行うようにしている。
【0013】
制御装置10は、
図1に示すように、前面に開口30A(
図2参照)を有する箱状の外側筐体30と、その開口30Aを封止するパネル20と、を備えている。そして、パネル20と外側筐体30とは、複数のネジ100によりネジ止めされている。パネル20上には、電源スイッチ21、各種コネクタ22、複数のLEDからなるインジケータ23、レーザヘッドと制御装置10とを接続するケーブル(図示せず)を接続する端子25、商用電源(例えば、100V)を供給するための電源ケーブル(図示せず)を接続する端子26、LANケーブル(図示せず)を接続するための端子27、及びUSBケーブル(図示せず)を接続するための端子28等が設けられている。つまり、パネル20は、操作パネルとしての機能を備えている。
【0014】
パネル20は、ネジ100によるネジ止めを外すと、
図2に示すように、前方に引き出すことができるように構成されている。パネル20の裏側には、内側筐体40が連結され、内側筐体40は、左右一対のレール50(ただし、
図2には右側のレールは図示されていない)上に設置されている。したがって、パネル20を前方に引き出すと、レール50を介して内側筐体40が外側筐体30内から引き出される。
【0015】
パネル20は、
図1に示すように、複数の機器取付孔を形成した板金板60と、板金板60の表面全体に貼付されたシール70とを備えている。複数の機器取付孔には、電源スイッチ21、各種コネクタ22、インジケータ23及び端子25~28を取り付けるための、符号を付さない機器取付孔に加え、増設電気機器を取り付けるための2個の機器取付孔61,61(
図3参照)が含まれる。
【0016】
図3は、シール70が貼付されていない板金板60の、2個の機器取付孔61,61周辺を示している。
図3に示すように、2個の機器取付孔61,61は、板金板60上、左右に並んで形成されている。なお、機器取付孔61,61はいずれも、同一形状であるので、以下、左側の機器取付孔61を代表させて説明する。
【0017】
機器取付孔61は、4つの第1~第4直線部61A1~61A4と、隣接する直線部を接続する第1~第4屈曲部61A5~61A8とにより構成される縁部61Aにより区画され、これら直線部61A1~61A4と屈曲部61A5~61A8とにより略矩形状をなしている。
【0018】
機器取付孔61の内側には、板金板60の一部である打ち抜き蓋62を残し、打ち抜き蓋62と機器取付孔61との間は、スリット63により分離されている。そして、スリット63において、第4直線部61A4と、その第4直線部61A4に上方向に隣接する第4屈曲部61A8との間には、打ち抜き蓋62と機器取付孔61の縁部61Aとを連結する第1破断用連結部64Aが形成され、第4直線部61A4と、その第4直線部61A4に下方向に隣接する第3屈曲部61A7との間には、打ち抜き蓋62と機器取付孔61の縁部61Aとを連結する第2破断用連結部64Bが形成されている。
【0019】
このように、第1破断用連結部64Aと第2破断用連結部64Bは、機器取付孔61を構成する第4直線部61A4の上端と下端に形成されているが、1つの直線部であれば、第4直線部61A4に限らず、他の第1~第3直線部61A1~61A3のいずれかの両端部に形成されていてもよい。また、破断用連結部の個数も、2つに限らず、1つでも、3つ以上であってもよい。ただし、破断用連結部は、
図6を用いて後述するように、打ち抜き蓋62を機器取付孔61から除去するときに、打ち抜き蓋62を押圧して破断するので、押圧により破断し易く、かつ弱い押圧では破断し難い個数及び/又は幅であることが好ましい。
【0020】
機器取付孔61の4隅にはそれぞれ、第1~第4ネジ穴65A~65Dが形成されている。第1~第4ネジ穴65A~65Dは、打ち抜き蓋62が除去された後の機器取付孔61にコネクタを取り付けるためのものである。なお、板金板60の板厚が、例えば0.8~1.5mmである場合、第1~第4ネジ穴65A~65Dをバーリング穴にする必要がある。このように板金板60の板厚が薄い場合、第1~第4ネジ穴65A~65Dをバーリング穴にしないと、ネジが締着し難くなるからである。
【0021】
図4は、機器取付孔61と第1~第4ネジ穴65A~65Dとの位置関係の一例を示している。
図4の例では、機器取付孔61の縁部61Aと第1~第4ネジ穴65A~65Dのそれぞれとの位置関係は、第1~第4ネジ穴65A~65Dのいずれに対しても同じである。このため、第1ネジ穴65Aを代表させて、機器取付孔61の縁部61Aと第1ネジ穴65Aとの位置関係について説明する。
【0022】
図4に示すように、第1ネジ穴65Aの中心65A1は、機器取付孔61を構成する第1直線部61A1を右方向に延長した第1直線L1と、機器取付孔61を構成する第2直線部61A2を上方向に延長した第2直線L2との交点上に位置している。つまり、第1直線L1と第2直線L2との交点上に第1ネジ穴65Aの中心65A1が位置するように、第1ネジ穴65Aを形成している。そして、第1ネジ穴65Aは、第1ネジ穴65Aの縁部65A2と機器取付孔61の縁部61Aとの距離d1が板金板60の板厚の2倍以内に収まる位置に形成されている。このように第1ネジ穴65Aの形成位置を特定したのは、機器取付孔61に取り付けるコネクタの大きさを可及的に小さくするためである。なお、距離d1が板金板60の板厚の2倍以内であれば、第1ネジ穴65Aを、その中心65A1が第1直線L1と第2直線L2との交点より外側に位置するような位置に形成してもよい。尚、本実施形態のように、第1ネジ穴65Aをバーリング穴にした場合、その縁部65A2はバーリング加工により形成された凸部(フランジ)の外側の縁部分を指している。
【0023】
図5は、シール70が貼付された板金板60の、2個の機器取付孔61,61周辺を示している。
図5に示すように、シール70上には、各機器取付孔61,61を囲んで、線状シール切断部71,71が形成されている。線状シール切断部71,71はいずれも、同一形状であるので、以下、左側の線状シール切断部71を代表させて説明する。
【0024】
線状シール切断部71は、機器取付孔61と同様に略矩形状をなし、4つの第1~第4直線部71A1~71A4と、隣接する直線部を接続する4つの第1~第4屈曲部71B1~71B4とにより構成されている。そして、第1~第4直線部71A1~71A4の略中央位置にそれぞれ、第1~第4繋ぎ目72A~72Dが形成され、第1~第4直線部71A1~71A4の第1~第4繋ぎ目72A~72Dを除く部分と、第1~第4屈曲部71B1~71B4とには、ミシン目が形成されている。このようにミシン目を形成するのは、
図6を用いて後述するように、打ち抜き蓋62を機器取付孔61から除去するときに、打ち抜き蓋62と一緒に、線状シール切断部71の内側のシール70の一部もシール70から除去されるが、そのシール70の一部を線状シール切断部71から除去し易くするためである。したがって、シール70の一部を線状シール切断部71から除去し易いものであれば、線状シール切断部71としては、ミシン目に限らず、ハーフカット等の他の態様のものを採用してもよい。
【0025】
図4には、第1ネジ穴65Aと線状シール切断部71との位置関係の一例も示されている。上述のように、板金板60の板厚が、例えば0.8~1.5mmである場合、第1~第4ネジ穴65A~65Dをバーリング穴にする必要がある。なお、第1~第4ネジ穴65A~65Dをバーリング穴にしたとき、各第1~第4ネジ穴65A~65Dの周りに多少の窪みが生ずる。なお、生ずる窪みの程度は、第1~第4ネジ穴65A~65Dのいずれについてもほぼ同様であるので、以下、第1ネジ穴65Aを代表させて説明する。
【0026】
第1ネジ穴65Aの周りに多少の窪みが生じたときに、線状シール切断部71を第1ネジ穴65Aの縁部に位置するようにすると、線状シール切断部71と第1ネジ穴65Aの周りの窪みとの間に隙間が生じ、シール70の接着性が弱まり、これにより第1~第4ネジ穴65A~65Dから制御装置10内への防塵性及び防水性が弱まる虞がある。これに対処するために、第1ネジ穴65Aの中心65A1と線状シール切断部71との距離d2が2.5~5mmの範囲内になるように、線状シール切断部71の位置を設定するようにしている。
【0027】
以下、以上のように構成されたパネル20から打ち抜き蓋62を除去し、打ち抜き蓋62が除去された機器取付孔61にコネクタ80を取り付ける方法について、
図6を参照して説明する。
【0028】
図6(a)は、打ち抜き蓋62が除去される前の機器取付孔61をパネル20の内側から見た状態を示している。この状態から打ち抜き蓋62を除去するとき、作業者は、パネル20の内側から打ち抜き蓋62を押圧する。
【0029】
図6(b)は、打ち抜き蓋62が押圧された様子をパネル20の外側から見た状態を示している。
図6(b)に示すように、打ち抜き蓋62が押圧されると、打ち抜き蓋62は、第1及び第2破断用連結部64A,64Bを中心に矢印A方向に回動する。そして、作業者が、打ち抜き蓋62を矢印A方向と反対の方向への回動と、矢印A方向への回動とを繰り返すことで、第1及び第2破断用連結部64A,64Bは破断し、打ち抜き蓋62は機器取付孔61から除去される。
【0030】
図6(c)は、打ち抜き蓋62が除去された後の機器取付孔61をパネル20の外側から見た状態を示している。
図6(c)に示すように、打ち抜き蓋62が除去されると、打ち抜き蓋62と一緒に、打ち抜き蓋62を囲むシール70の一部が線状シール切断部71から除去されるので、機器取付孔61の縁部61Aと機器取付孔61を囲むシール70の縁部70Aとの間には、板金板60が現れている。ただし、
図6(b)では、図示の都合上、打ち抜き蓋62を囲むシール70の一部が線状シール切断部71から除去される様子は示されていない。
【0031】
図6(d)は、打ち抜き蓋62が除去された後の機器取付孔61にコネクタ80を取り付けた状態を示している。
図6(d)に示すように、コネクタ80は、4つのネジ81A~81Dによりパネル20上に取り付けられる。
【0032】
図7は、
図6で説明した手順に従って、2個の機器取付孔61,61のそれぞれに、コネクタ81,82を取り付けた状態を示している。ただし、一方の機器取付孔61、例えば左側の機器取付孔61にのみコネクタ81を取り付け、右側の機器取付孔61には、コネクタ82を取り付けず、右側の機器取付孔61は、線状シール切断部71が形成されたシール70が貼り付けられた状態で塞がっていてもよい。
【0033】
以上説明したように、本実施形態のパネル20は、複数の機器取付孔を形成した板金板60であって、複数の機器取付孔のうち、少なくとも1つの機器取付孔61の内側に板金板60の一部を打ち抜き蓋62として残した板金板60を備えたパネル20であって、板金板60は、打ち抜き蓋62と機器取付孔61の縁部61Aとの間を分離するスリット63と、スリット63の途中部分で、打ち抜き蓋62と機器取付孔61の縁部61Aとを連結し、必要に応じて打ち抜き蓋62を押圧することにより、打ち抜き蓋62を機器取付孔61から破断可能な第1及び第2破断用連結部64A,64Bと、機器取付孔61の縁部61Aから外側の板金板60上の位置であって、板金板60の板厚の2倍以内の位置に穴の縁部が形成された第1~第4ネジ穴65A~65Dと、を有することを特徴とする。
【0034】
このように、本実施形態のパネル20では、板金板60の板厚の2倍以内の位置に穴の縁部が形成された第1~第4ネジ穴65A~65Dを有するので、機器取付孔61とその近傍の第1~第4ネジ穴65A~65Dとの位置関係を特定することが可能となる。
【0035】
また、板金板60の表面には、スリット63及び第1~第4ネジ穴65A~65Dを塞ぐシール70が貼り付けられ、シール70には、スリット63及び第1~第4ネジ穴65A~65Dを内側に分離する環状のハーフカット部、ミシン目その他の線状シール切断部71のいずれかを形成したことを特徴とする。
【0036】
このように、シール70によりスリット63及び第1~第4ネジ穴65A~65Dを塞ぐようにしたので、スリット63及び第1~第4ネジ穴65A~65Dから制御装置10内に塵やミスト等が浸入することを防止できる。
【0037】
また、板金板60の板厚が、0.8~1.5mmである場合、シール70の環状のハーフカット部、ミシン目その他の線状シール切断部71のいずれかは、第1~第4ネジ穴65A~65Dの中心から外側に2.5~5mmの範囲内の位置に形成したことを特徴とする。
【0038】
このように、板金板60の板厚が0.8~1.5mmである場合、第1~第4ネジ穴65A~65Dをバーリング穴にする必要があるので、第1~第4ネジ穴65A~65Dの周りに多少の窪みが生ずる。そのため、シール70の環状のハーフカット部、ミシン目その他の線状シール切断部71のいずれかは、第1~第4ネジ穴65A~65Dの中心から外側に2.5~5mmの範囲内の位置に形成するようにして、シール70と板金板60との接着性を高め、第1~第4ネジ穴65A~65Dから制御装置10内への防塵性及び防水性を担保するようにしている。
【0039】
また、機器取付孔61は、4つの直線部と第1~第4直線部61A1~61A4を接続する4つの屈曲部61A5~61A8からなる縁部61Aを有する略矩形状の孔であり、第1~第4ネジ穴65A~65Dは、そのネジ穴の中心位置が、4つの第1~第4直線部61A1~61A4のうち隣接する2つの直線部を延ばしたそれぞれの交点からなる四角形の線上若しくは外側に位置することを特徴とする。
【0040】
これにより、機器取付孔61に取り付けるコネクタの大きさを可及的に小さくすることが可能となる。
【0041】
また、機器取付孔61は、4つの第1~第4直線部61A1~61A4と第1~第4直線部61A1~61A4を接続する4つの第1~第4屈曲部61A5~61A8からなる縁部61Aを有する略矩形状の孔であり、第1及び第2破断用連結部64A,64Bは、4つの第1~第4直線部61A1~61A4のうちの1つの第4直線部61A4にのみ配置されることを特徴とする。
【0042】
これにより、打ち抜き蓋62を機器取付孔61から除去するとき、作業者は、それほど力を加えなくても第1及び第2破断用連結部64A,64Bを破断することができるので、打ち抜き蓋62を機器取付孔61から容易に除去することができる。
【0043】
本実施形態の制御装置10は、設置面と交差する一側面に開口30Aを有する外側筐体30と、外側筐体30の内部に、外側筐体30から開口30Aを介して引き出し可能に収納される内側筐体40と、パネル20と、を備え、パネル20は、開口30Aを封止可能な形状を有し、内側筐体40の引出し方向の前面に配置され、内側筐体40と共に引き出し可能であることを特徴とする。
【0044】
これにより、上記特徴を有するパネル20を適用した制御装置10を実現することが可能となる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0046】
(1)上記実施形態では、増設電気機器を取り付けるための機器取付孔61の個数を2個としたが、2個に限らず、1個でも、3個以上でもよい。また、機器取付孔61の形状も、略矩形状に限らず、円形状や楕円形状等の他の形状であってもよい。
【0047】
(2)上記実施形態では、被制御対象の外部機器として、レーザヘッドを採用したが、これに限らない。
【0048】
(3)上記実施形態では、インジケータ23として、LEDを採用したが、これに限らず、例えばLEDディスプレイを採用し、LEDディスプレイ上に文字や図形を表示するようにしてもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では、パネル20は、スイッチ類やインジケータ、各種接続端子が設けられていたが、何れかが欠けていてもよいし、何れも備えないものであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
10…制御装置、20…パネル(機器取付パネル)、30…外側筐体、30A…開口、40…内側筐体、60…板金板、61…機器取付孔、61A1~61A4…第1~第4直線部、61A5~61A8…第1~第4屈曲部、61A…縁部、62…打ち抜き蓋、63…スリット、64A,64B…第1及び第2破断用連結部、65A~65D…第1~第4ネジ穴、65A1…中心、71…線状シール切断部、71A1~71A4…第1~第4直線部、71B1~71B4…第1~第4屈曲部、72A~72D…第1~第4繋ぎ目。