(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140326
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電解装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/461 20230101AFI20241003BHJP
C25B 9/13 20210101ALI20241003BHJP
C25B 15/08 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C02F1/461 Z
C25B9/13
C25B15/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051418
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】592250414
【氏名又は名称】株式会社テックコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】岡 力矢
【テーマコード(参考)】
4D061
4K021
【Fターム(参考)】
4D061DA01
4D061DB07
4D061DB09
4D061EA02
4D061EB01
4D061EB14
4D061EB16
4D061EB19
4D061ED12
4D061ED13
4D061FA03
4K021AA01
4K021AA03
4K021AB13
4K021BA05
4K021CA08
4K021CA09
4K021CA10
4K021DC03
(57)【要約】
【課題】電解槽への逆流を抑制できる電解装置を提供すること。
【解決手段】液体が流れる第1配管(62)と、ポンプと、前記ポンプから送られる電解質溶液を電気分解して電解液およびガスを生成する電解槽(5)と、前記電解槽(5)と前記第1配管(62)とを接続する細管(72)であって、断面が前記第1配管(62)における前記細管(72)の接続部位の断面よりも小さく、前記電解槽(5)内の前記電解液および前記ガスを前記第1配管(62)に送る細管(72)と、を備える電解装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる第1配管と、
ポンプと、
前記ポンプから送られる電解質溶液を電気分解して電解液およびガスを生成する電解槽と、
前記電解槽と前記第1配管とを接続する細管であって、断面が前記第1配管における前記細管の接続部位の断面よりも小さく、前記電解槽内の前記電解液および前記ガスを前記第1配管に送る細管と、を備える電解装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電解装置において、
前記液体は、前記電解質溶液である電解装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電解装置において、
前記ポンプから前記電解質溶液が前記第1配管に吐出され、
前記第1配管からは第2配管が分岐し、前記第2配管は、前記電解質溶液を前記電解槽に送る電解装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一つに記載の電解装置において、
前記第1配管は、絞り部を備え、前記細管は、前記絞り部に接続する電解装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電解装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気分解により次亜塩素酸水を生成した後に希釈する電解装置が知られている(例えば、特許文献1)。なお、電解とは、電気分解の略である。特許文献1の電解装置では、電極筒の上部にケーシングが接続され、ケーシングおよび電極筒の中心軸に沿うように電極棒が設けられている。ケーシングの内周面には、希釈水の流入口及び排出口が、互いに向き合うように、かつ、互いを結んだ線が電極棒を避けるように設けられている。電極筒内で生成された次亜塩素酸水がケーシング内まで上昇し、流入口から排出口へ向けて直線的に流れる希釈水に混合されることで、希釈された次亜塩素酸水が生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電解装置では、電極筒の電極棒周りの円筒状の空間の上方に、ケーシング内の電極棒周りの円筒状の空間が連続して設けられている。希釈水をケーシングに送り出すポンプの運転時には、希釈水は、流入口からケーシング内に勢いよく進み、電極筒内へ落ち込むことなく排出口まで直線的に進む。一方、ポンプの運転停止時には、ポンプの吐出側に残った希釈水が流入口からケーシング内へ惰性で進むところ、勢いが落ちているため、その一部が電極筒内へ落ち込み、電極筒内の塩水に混入する。このことが、運転再開時に生成される次亜塩素酸水の品質に悪影響を与える。
【0005】
本発明は、電解槽への逆流を抑制できる電解装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば以下の通りである。以下では、図の符号を参照のために用いている。
(1)液体が流れる第1配管(62,62A,64)と、
ポンプ(3)と、
前記ポンプ(3)から送られる電解質溶液を電気分解して電解液およびガスを生成する電解槽(5)と、
前記電解槽(5)と前記第1配管(62,62A,64)とを接続する細管(72)であって、断面が前記第1配管(62,62A,64)における前記細管(72)の接続部位の断面よりも小さく、前記電解槽(5)内の前記電解液および前記ガスを前記第1配管(62,62A,64)に送る細管(72)と、を備える電解装置(1,1A)。
(2)(1)に記載の電解装置(1,1A)において、
前記液体は、前記電解質溶液である電解装置(1,1A)。
(3)(2)に記載の電解装置(1)において、
前記ポンプ(3)から前記電解質溶液が前記第1配管(62,62A)に吐出され、
前記第1配管(62,62A)からは第2配管(71)が分岐し、前記第2配管(71)は、前記電解質溶液を前記電解槽(5)に送る電解装置(1)。
(4)(1)から(3)のいずれか一つに記載の電解装置(1,1A)において、
前記第1配管(62A,64)は、絞り部(621)を備え、前記細管(72)は、前記絞り部(621)に接続する電解装置(1,1A)。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図2】電解槽および電解槽の下流の配管の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図を参照して実施形態を説明する。
図1は、電解装置1の構成を示す図である。
電解装置1では、電解質溶液の循環流路6に電解質溶液タンク2、ポンプ3(第1ポンプ)、気液分離部4が、流れ方向に順に設けられている。循環流路6の流れ方向におけるポンプ3と気液分離部4との間からは分岐流路7が分岐し、気液分離部4の上流にて循環流路6に合流する。分岐流路7に電解槽5が設けられている。循環流路6は、電解質溶液タンク2とポンプ3を繋ぐ配管61、ポンプ3と気液分離部4を繋ぐ配管62(第1配管)、気液分離部4と電解質溶液タンク2とを繋ぐ配管63を備える。分岐流路7は、配管62から分岐して電解槽5に接続する配管71(第2配管)、電解槽5と配管62とを繋ぐ細管72を備える。
【0009】
電解質溶液タンク2は、ハロゲン化物を含まないNaOH等の電解質を含む電解質溶液を貯留する。
【0010】
ポンプ3は、配管61を介して電解質溶液タンク2から電解質溶液を吸い上げ、電解質溶液を、配管62を介して気液分離部4に送るとともに、その一部を配管71を介して電解槽5に送る。電解槽5に送られた電解質溶液は、電気分解により生成ガスを含んだ後、細管72を介して配管62に送られて配管62内の電解質溶液に混合し、気液分離部4に送られる。
【0011】
気液分離部4は、生成ガスを電解質溶液から分離して外部へ送るとともに、電解質溶液を配管63を介して電解質溶液タンク2に送る。
【0012】
図2は、電解槽5および配管62の関係を示す図である。
電解槽5は、電解質溶液を貯留する電解槽本体51と、陽極52および陰極53とを備える一室型電解槽であり、無隔膜である。電解質溶液は、電解槽本体51の下部に接続する配管71から電解槽本体51内に圧送され、陽極52および陰極53により電気分解される。陽極52では、水酸化物イオン、あるいは電解質溶液が中性または酸性の場合には水、が酸化され、気泡状の酸素ガスが生成される。陰極53では、水素イオン、あるいは電解質溶液が中性または塩基性の場合には水、が還元され、気泡状の水素ガスが生成される。電気分解による気泡状の生成ガス(酸素ガスおよび水素ガス)は、電解槽本体51の上部に進む。本実施形態では、ハロゲン化物を含まない電解質を利用するため、電解液は、気泡状の生成ガスを含むものの、成分は電解質溶液と変わらない。
【0013】
電解槽本体51の上部、例えば天面511に、細管72が接続する。電解槽本体51の天面511等の上部内壁面の開口と、配管62の内壁面の開口とが細管72により接続される。電解槽本体51の上部に上がってきた気泡状の生成ガス、および電解質溶液(電解液)は、電解槽本体51内に圧送される電解質溶液により細管72を介して配管62内に押し出され、配管62内を流れる電解質溶液に混合される。
【0014】
細管72の断面の大きさは、配管62の細管72が接続する部位の断面(配管62の軸を含む断面)よりも小さい。例えば、細管72が接続する部位の前後の配管62は、円形であり、直径20mmである。細管72の断面の大きさは、気泡状の生成ガスおよび電解質溶液が細管72内を円滑に通過できる最低限の大きさであることが好ましい。細管72の直径は例えば4mmであり、その長さは10mmである。細管72の直径が2mmの場合、生成ガスの気泡のサイズと適合せず、細管72内を気泡状の生成ガスおよび電解質溶液は円滑に通過できなかった。
【0015】
本実施形態では、下記のとおりの効果を得る。
1)配管62と電解槽5とが細管72で接続されるため、電解槽5内への電解質溶液の逆流を防ぐことでできる。特に、ポンプ3の運転停止時に流速の低下した配管62内の電解質溶液が電解槽5に逆流することを防ぐことができる。そのため、電解槽5内に発生気泡が停滞せず、または逆流により滞留しないため、電解効率を向上させることができる。
2)本実施形態では、ハロゲン化物を含まない電解質を含む電解質溶液を電気分解するので、ハロゲンガスが生じず電解質が消費されない。そのため、電解槽5の電解質濃度が変化せず、一定に保持できることから、電解効率を落とすことなく、電気分解を行える。
3)電解装置1を停止させた場合でも、電解槽5内に押し出される電解質溶液と配管62内の電解質溶液は同一のため、運転再開時にも電解効率を低下させる影響は少ない。
【0016】
図3は、配管62Aを示す図である。
配管62Aは、絞り部621を備え、この絞り部621に細管72が接続してもよい。絞り部621は、例えば円形の配管であり、直径が12mmである。従って、配管62Aにおいて絞り部621の始端および終端には段付部が形成される。
【0017】
このような配管62Aでは、絞り部621にて、電解質溶液の流速を上げることで、絞り部621内ではその圧力を低下させることができる。そのため、電解槽5から配管62Aへ生成ガスおよび電解質溶液を送りやすくできる。
【0018】
図4は、電解装置1Aの構成を示す図である。
電解装置1Aは、電解質としてハロゲン化物を含む電解質溶液を電気分解し、生成した電解水を液体に混合するものであり、本実施形態では微酸性電解水を生成する。電解装置1Aでは、電解質溶液タンク2から電解質溶液が配管61を介してポンプ3により吸い出される。本実施形態では、電解質溶液として希塩酸、または塩酸に塩化ナトリウムを加えた水溶液を使用する。ポンプ3は、配管62を介して電解槽5に電解質溶液を送る。電解槽5は、電解質溶液を電気分解し、電解液と気泡状のガスを生成する。本実施形態では、電解液として次亜塩素酸水を生成するとともに、気泡状の水素ガスおよび塩素ガスを生成する。電解槽5内の電解液と気泡状の生成ガスは、電解槽5に伝搬されるポンプ3の吐出圧により、細管72を介して配管64に圧送される。
【0019】
電解槽5から電解液と気泡状のガスが細管72を介して配管64内に圧送される機構は、
図2,3の前述の機構と同様である。すなわち、細管72は、断面が配管64における細管72の接続部位の断面よりも小さく、かつ、電解液と気泡状のガスが円滑に通過できる大きさとなっている。配管64に絞り部があってもよく、この絞り部に細管72が接続してもよい。
【0020】
配管64には、ポンプ31(第2ポンプ)から液体が吐出される。配管64内を流れる液体に、細管72から圧送される電解液および気泡状のガスが混合する。本実施形態では、ポンプ31により配管64に水道水が送られ、次亜塩素酸水が微酸性pH5~6.5となるように希釈される。
【0021】
電解装置1Aも、電解装置1と同様、電解液の出口である細管72から電解槽5への逆流を防止できる。また、適宜の電解質溶液を電気分解でき、その電解水を適宜の液体に混合できる。
【0022】
本発明は、その特徴から逸脱することなく、実施形態で実施できる。実施形態、変形例、効果は単なる例示であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。実施形態および変形例の特徴、構造は、追加でき、また代替の構成を得るために様々な方法で組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0023】
1,1A…電解装置、3…ポンプ、5…電解槽、62,62A,64…第1配管、72…細管。