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  • 特開-ハーブの育種法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140332
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】ハーブの育種法
(51)【国際特許分類】
   A01H 1/02 20060101AFI20241003BHJP
   A01H 5/12 20180101ALI20241003BHJP
【FI】
A01H1/02
A01H5/12
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051426
(22)【出願日】2023-03-28
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-21
(71)【出願人】
【識別番号】722009718
【氏名又は名称】佐々木 優
(72)【発明者】
【氏名】佐々木優
【テーマコード(参考)】
2B030
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB04
2B030AD14
2B030AD16
2B030AD20
2B030CA03
2B030CA04
2B030CB02
(57)【要約】
【課題】 ハーブの新品種を気温や陽光、人工光そして植える距離を調整し、利用することにより意図的に突然変異を起こし新品種として変異させ、調香して育種する方法が無かった。
【解決手段】 親ハーブを植え付け、気温Tが10℃≦T≦35℃の時に、根の長短の相性を配慮した上かつ、陽光や自然光を調整することで突然変異を意図的に起こし、香りを調香してより香りの整った品種を誕生させる。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カルボ酸を含む土に2品種乃至4品種の親ハーブを植え付け、気温Tが10℃≦T≦35℃の条件下でリンを含む液肥を毎日与えつつ育成し、根及び気孔を通じたガス交換を利用して交雑させるハーブの育種法であって、
交雑させる親ハーブの組み合わせは、相対的に根の長い品種と根の短い品種との組み合わせ、及び、異なる香りの系統の組み合わせであり、
隣り合う親ハーブの植付位置間の距離を、プラスチック容器での育種の場合は15センチ以上25センチ以下、路地育種の場合は10センチ以上、15センチ以下としたことを特徴とするハーブの育種法。
【請求項2】
交雑して得られたハーブを収穫する工程と、
60分以上90分以内の間、外気に晒した状態で前記ハーブを放置する工程と、
前記放置する工程の後、24時間以上72時間以内の時間をかけて前記ハーブに香気成分を含ませた養液を吸収させる工程と、
を経て前記ハーブの香りを変異させることを特徴とする請求項1に記載のハーブの育種法。
【請求項3】
日中の気温T1が10℃≦T1≦20℃、夜間の気温T2が0≦T2≦10℃となる環境下で前記ハーブを2日以上5日以下の期間外気に晒した状態で放置する第1のストレス付与工程と、
ハーブを捕食する虫類により茎葉に傷を負わせる第2のストレス付与工程と、を経てハーブを捕食させる虫類に、葉と茎が最大30%捕食された状態で、7日から14日放置観察し生命維持ストレスを前草に行き届かせた状態を経て前記ハーブに香気成分を生成させることを特徴とする請求項2に記載のハーブの育種法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
今まで偶然や難しい技術及びゲノム編集などでようやく誕生していたハーブの新品種を気温や陽光、人工光そして植える距離を調整し、利用することにより意図的に突然変異を起こし新品種として変異させ、調香して育種する。
【背景技術】
【0002】
ハーブを突然変異を利用して意図的に新品種とする育種法は現在までなかった。
【0003】
ハーブ同士の自然交雑は稀に起こるが、香りが整っておらず香りの良い品種は極々稀にしか誕生できない。
【0004】
昭和30年代、非特許文献1の著者によるゲノム編集技術や従来技術での優良品種の育種が研究されていた。しかし、育種の結果が出るまでに種が発芽しある程度成長しなければ形状や香りの確認が出来ない。このことと、育種段階において香りのコントロールと新たな好気性の結合も出来なかった。ということか問題としてあげられる。それを参考にして育種期間を最大4週程度に短縮し、香りのコントロールと新たな香気成分の結合を可能にしたのが当発明であるハーブの育種法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】細胞遺伝学的方法によるハッカ属植物の育種学的基礎研究,出版社 岡山大学農学部作物学第2研究室,著者 池田長守
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術及び自然交雑では花粉を使用するため、成功の有無を確認するには発芽させる必要があるため、成功していても数年かかってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、カルボ酸を含む土に2品種乃至4品種の親ハーブを植え付け、気温Tが10℃≦T≦35℃の条件下でリンを含む液肥を毎日与えつつ育成し、根及び気孔を通じたガス交換を利用して交雑させるハーブの育種法であって、
交雑させる親ハーブの組み合わせは、相対的に根の長い品種と根の短い品種との組み合わせ、及び、異なる香りの系統の組み合わせであり、
隣り合う親ハーブの植付位置間の距離を、プラスチック容器での育種の場合は15センチ以上25センチ以下、路地育種の場合は10センチ以上、15センチ以下としたことを特徴とするハーブの育種法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、交雑して得られたハーブを収穫する工程と、
60分以上90分以内の間、外気に晒した状態で前記ハーブを放置する工程と、
前記放置する工程の後、24時間以上72時間以内の時間をかけて前記ハーブに香気成分を含ませた養液を与える工程を経て前記ハーブの香りを変異させることを特徴とする請求項1に記載のハーブの育種法である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、日中の気温T1が10℃≦T1≦20℃、夜間の気温T2が0℃≦T2≦10℃となる環境下で前記ハーブを2日以上5日以下の期間外気に晒した状態で放置する第1のストレス付与工程と、ハーブを捕食する虫類により茎葉に傷を負わせる第2のストレス付与工程を経て前記ハーブに香気成分を生成させることを特徴とする請求項2に記載のハーブの育種法である。
【発明の効果】
【0010】
従来では花粉での育種やゲノム育種がメインなため成功率が低く成功しても数年の育種期間そして多額の育種費用がかかる。請求項1に係る発明によれば、根によるガス交換システムを利用して交雑するので、育種費用と育種期間を低減することが可能となる。例えば、育種費用は1品種1000円程度まで削減でき、育種期間を2週間から4週間へ短縮した。
【0011】
成功しても従来技術では種族同士での良い相性が分からず苦戦していた。良い相性とは根の長いハーブと根の短いハーブは相性が良く14日から21日程度と期間が短い。この条件を満たさない根の長さが長いもの同士だと15週間から20週間程度かかってしまう。香りの相性も調香技術が必要である。実施例としてラベンダーとバジルの組み合わせは非常に相性が良く、素晴らしい香りとなった。
【0012】
当発明の育種法は花粉を使用せず土中の根によるガスや香気成分のやり取りを利用すると共に気温を10℃≦T≦35℃にすること。栄養素に特にリンを強化し与えることにより香りを強く良くする。葉の気孔も利用し、光合成も利用することにより更に多くの香気成分をハーブに吸収させる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】香気成分分析 最終結果表
【発明を実施するための形態】
【0014】
親ハーブの植え方について。プラスチック容器等の左右の端を5センチ以上、15センチ以下程度とし、容器の中央は15センチ以上、25センチ以下程度の条件で植える。
路地栽培の場合、プラスチック容器の時と間隔が異なり、10センチ以上、15センチ以下程度となる。根の長短、気温、肥料、光についてはプラスチック容器の時と同じである。その理由として路地には指定の範囲外だと他植物であるブタクサ等の周辺植物と結合し、香りや成分に変化が出るためである。そのため10センチ以上、15センチ以下程度の間は植物の無い状態とし純粋に育種したいハーブのみとする。これにより香りや香気成分をコントロール出来る。
【0015】
当発明の根の長短と植える距離、自然光と気温などの調整を行うことにより、従来技術では数年要した、成功の有無の確認を当発明実施から、2週間から4週間で確認できる。そして成功率も90%以上と非常に高い。発明者の実験では97%成功した。
【0016】
非特許文献での陽光の加減調整について。文献には日当たりは半日陰とある。春の中頃から秋の終わりまでは日当たりの良いところでも充分成長する。秋以降は日当たりが弱いためほぼ成長はない。人工光では光量が足りず、成長に変化は無かった。植物工場の設備があれば秋以降でも育種は可能である。室内かつ自然光だけでは育種は出来なかった。よってよりよい品種を作るかつ育苗を冬季に行うには植物工場設備が必要である。
【0017】
土については、栄養の強いカルボ酸を含む培養土が最適である。より成長が速く茎の太さも0.2センチから0.4センチ程度太く葉の大きさも0.3センチ程度大きく香りも強かった。
【0018】
肥料については、プラスチック等の容器での育種時はカルボ酸入の培養土を使用できるそのためリンを含む液肥等を1容器に6滴程度、育種したハーブの香りを見て強い又は強くなってきた時は0から4滴に調整し、香りが弱い場合は7もしくは8滴で調整することで香りの補強と成長促進ができる。路地の際は2坪程度の広さに15ミリ程度液肥を必要とした。
【0019】
気温について。これまでの研究を元にプラスチック容器等で外気温10℃台で曇天の多い秋。10月17日頃に育種を初めて試みた。後の項目でこの時誕生した第1号品種について記載する。同時に行った3品種同時に育種する実験も行った。気温が20℃程度の気温が続いた日も数日程度あった。この条件下で実験は成功し、3品種共に形質と香りの違いが顕著であった。その後3週間程度で品種として安定した。気温は10℃≦T≦35℃が適切である。この気温以外では失敗し黒くなり枯れていた。
【0020】
植え方について。カルボ酸を含む土を充填した容器に2品種乃至4品種の親ハーブとして例えばミントを植え付け、容器の内壁から植付位置までの最短距離を5センチ以上、15センチ以下程度とし、親ミント同士の植付位置の間隔は15センチ以上、25センチ以下程度の条件で植える。理由として根によるガス交換や香気成分の交換をハーブ同士が行い、変化が起こる新しいハーブが土中より新芽が出現しやすくなるからである。容器としては種々の素材のものを使用することができるが、プラスチック製のものが好ましい。
【0021】
香りのコントロールの方法として、プラスチック容器に指定の距離で植えかつ指定の相性で植えることで親ハーブ以外の所から新しい品種の新芽を出すのは既に記載の通りである。その後そのまま新芽を成長させることにより親ミントが新芽が親ハーブを吸収しより香りの強い新芽へと変化する。
育種する際、メントールやフルーツフレーバーが主張しすぎない中間の香りの強さになったタイミングで親ハーブをプラスチック容器から撤去する。それによりその時から新芽の香りの変化の強弱を止めることができる、
そして親ハーブも新しい品種へと変わる。メカニズムは、新芽は親ハーブに比べ香りと生命力が弱い。そのため親ミントが新芽に養分と香気成分を分け与える。まさに親子である。そして養分と香気成分を親ミントからもらった新芽は強く成長し親ハーブを捕食して1人前になる。このことから、育種する際適切と思われる香りの強さになったタイミングで親ミントを撤去することで香りの強弱を調整出来る。
【0022】
植物が近くにいる植物に養分と香りを分け与えるということから有用成分のあるスギナとヨモギを近くに新しく出来た品種を植えた。結果同じ事が起こった。ヨモギについてはヨモギの持つ有用成分とエストロゲン成分のみ隣りにいたミントに移った。スギナについては、香りが移ることはなく、スギナの持つシリカを隣のミントに養分として提供された。これによりそのミントは茎が0.5ミリ程度太くなり、葉も0.2ミリ程度大きくなった。この時、隣にいたミントこそ研究の基盤となる第1号新品種のひじり聖ミントである。この品種は、ラベンダーミントとバジルミントを記載の技術で育種して誕生した品種である。この聖ミントにスギナとヨモギの養分と香気成分が加わることにより完全にラベンダーミントとバジルミントを超越した品種となった。
【0023】
スギナの持つシリカと耐寒性。これを聖ミントが飢餓状態になったとき、より養分と香気成分を吸収しやすく、収穫から外気に晒した状態で、60分以上、90分以下程度放置する工程の経過時、葉が萎れ、茎に活気が無くなり下を向く。これをサインとする。この時に近くにいるスギナとヨモギが養分であるシリカそしてヨモギのエストロゲン等の有用成分。そして耐寒性までもスギナとヨモギで強化することにより聖ミントはより強く有用成分を含む事になった。24時間から72時間の養液を吸収させる理由として、ハーブを飢餓状態にさせることで、水から養液を一気に吸い上げてかつ養液をハーブの体内全てに行き渡らせるためそして養液を通し香気成分をハーブ内でストレス反応時に出現する成分と香気成分を結合させ新たな成分へと変化させるためである。
そして、養液とは、分子量が低分子であり200付近から220の分子量を超えない香気成分であるアロマオイルをやパウダー状のスパイスを湯温、40℃程度に溶かして調香したものである。それに、リンを含む液肥を混ぜたものである。混ぜたあとは常温に戻しハーブに与え吸収させる。
【0024】
気温ストレスなどにより香りが変化し耐性が付くことにより、葉が厚みを増し丸みを帯びる。その状態で冬季を迎え気温が10℃以下になると茎はチョコレート色から赤紫色になる第一のストレス付与工程とは外気温と自然要因を利用することにより香気成分を熟成させて、香りに深みとまろやかさや柔らかさを持たせ香りを操作するためである。葉も赤紫から赤黒くなる。この状態になると香りがさらにまろやかになる。そして夏季の20℃≦T≦33℃程度の気温になると甘い香りは残るものの、バジルやスパイスの香りが20%程度増加する。この割合で夏季も安定する。そしてこの状態で16年安定している。そして日中の気温が10℃≦T≦20℃程度の気温と、夜間の気温が0℃≦T≦10℃程度の気温でこの範囲の気温変化による気温ストレスとオンブバッタとトノサマバッタを筆頭とする虫類にハーブを捕食する捕食者により、全草に傷を負わされた際、それをハーブが補修するときに精製された成分が気温ストレスとのストレスの相乗効果で通常ミントやハーブが持つことのできない、マツタケオールやマツタケアセテート等を精製することを特徴とする。
【0025】
冬季では夏から秋にかけ、オンブバッタやトノサマバッタ等の虫類に捕食され葉に食された穴が残る。それによりハーブや聖ミントがこれ以上捕食されないために対策を講じ、遺伝子と香気成分を結合させ変化させる第2のストレス付与工程。まず、捕食対策をするためアントシアニンをハーブの体内に生成する。このアントシアニンにより葉と茎を緑から赤紫へ変化させる。これにより耐捕食性が付与される。これにより耐性付与前は70%捕食されていたが、アントシアニンによる耐性付与により40%被害が減少した。
【0026】
もう1つのハーブやミントが持つことのない成分を生成することに成功した。それがマツタケオールとマツタケアセテートである。育種時においてもマツタケ及び赤松の成分も一切使用しておらず近郊にこれらもない。そのためマツタケ胞子が飛来することもない。このことから、ハーブが捕食により生命維持ストレスを感じ気温も作用しハーブの体内で複数の香気成分が化学反応を起こし結合した。それを要因としマツタケオールを筆頭に通常持てない成分をハーブに持たせることに成功した。
【0027】
茎や葉等の特性について。農林水産省新品種の特性表で当発明で育種した聖ミントで比較した。結果、特性表に記載のものと全て違いが顕著であった。葉や茎の聖ミントの数値を記載する。
【0028】
聖ミントを2022年7月7日屋外にて計測。背丈160センチ程度、葉の縦5・5センチ程度、葉の横幅4・0センチ程度。
2022年7月19日計測。背丈172センチ程度、葉の縦幅と葉の横幅は同じであった。茎や葉の色は同日共にチョコレート色もしくは赤紫色であった。
2022年1月12日。同じ場所のビニールハウス内。背丈230センチ程度、葉の縦幅2センチ程度、葉の横幅1センチ程度。となりビニールハウス内では気温と陽光は充分で成長促進していたが、栄養不足で葉が小さかった。改善することで屋外より大きくなる。
【0029】
良い相性とは根の長いハーブと根の短いハーブは相性が良く14日から21日程度と期間が短い。この条件を満たさない根の長さが長いもの同士だと15週間から20週間程度かかってしまう。香りの相性も調香技術が必要である。実施例としてラベンダーとバジルの組み合わせは非常に相性が良く、素晴らしい香りとなった。ラベンダーとバナナは相性が良くなくかなりの育種期間を要した。
【実施例0030】
聖ミントを筆頭に様々な香りで全て違う品種を47品種成功させた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ブレンドハーブティー。
【0032】
蒸留法によるアロマオイルやフローラルウォーターの抽出。
【0033】
ハーブを原料としたジャムやアイスなどの嗜好品。
【0034】
聖ミントの成分を使うもしくは、増強しての代替医療のサポート。
【0035】
当発明の品種を使って、各品種で上記を実施できる。

図1
【手続補正書】
【提出日】2023-08-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルボ酸を含む土に2品種乃至4品種の親ハーブを植え付け、気温Tが10℃≦T≦35℃の条件下でリンを含む液肥を毎日与えつつ育成し、根及び気孔を通じたガス交換を利用して交雑させるハーブの育種法であって、
交雑させる親ハーブの組み合わせは、相対的に根の長い品種と根の短い品種との組み合わせ、及び、異なる香りの系統の組み合わせであり、
隣り合う親ハーブの植付位置間の距離を、プラスチック容器での育種の場合は15センチ以上25センチ以下、路地育種の場合は10センチ以上、15センチ以下としたことを特徴とするハーブの育種法。
【請求項2】
交雑して得られたハーブを収穫する工程と、
60分以上90分以内の間、外気に晒した状態で前記ハーブを放置する工程と、
前記放置する工程の後、24時間以上72時間以内の時間をかけて前記ハーブに香気成分を含ませた養液を吸収させる工程と、
を経て前記ハーブの香りを変異させることを特徴とする請求項1に記載のハーブの育種法。
【請求項3】
日中の気温T1が10℃≦T1≦20℃、夜間の気温T2が0≦T2≦10℃となる環境下で前記ハーブを2日以上5日以下の期間外気に晒した状態で放置する第1のストレス付与工程と、
ハーブを捕食する虫類により茎葉に傷を負わせる第2のストレス付与工程と、を経てハーブを捕食させる虫類に、葉と茎が最大30%捕食された状態で、7日から14日放置観察し生命維持ストレスを前草に行き届かせた状態を経て前記ハーブに香気成分を生成させることを特徴とする請求項2に記載のハーブの育種法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
今まで偶然や難しい技術及びゲノム編集などでようやく誕生していたハーブの新品種を気温や陽光、人工光そして植える距離を調整し、利用することにより意図的に突然変異を起こし新品種として変異させ、調香して育種する。
【背景技術】
【0002】
ハーブを突然変異を利用して意図的に新品種とする育種法は現在までなかった。
【0003】
ハーブ同士の自然交雑は稀に起こるが、香りが整っておらず香りの良い品種は極々稀にしか誕生できない。
【0004】
昭和30年代、非特許文献1の著者によるゲノム編集技術や従来技術での優良品種の育種が研究されていた。しかし、育種の結果が出るまでに種が発芽しある程度成長しなければ形状や香りの確認が出来ない。このことと、育種段階において香りのコントロールと新たな好気性の結合も出来なかった。ということか問題としてあげられる。それを参考にして育種期間を最大4週程度に短縮し、香りのコントロールと新たな香気成分の結合を可能にしたのが当発明であるハーブの育種法である。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】細胞遺伝学的方法によるハッカ属植物の育種学的基礎研究,出版社 岡山大学農学部作物学第2研究室,著者 池田長守
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来技術及び自然交雑では花粉を使用するため、成功の有無を確認するには発芽させる必要があるため、成功していても数年かかってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、フルボ酸を含む土に2品種乃至4品種の親ハーブを植え付け、気温Tが10℃≦T≦35℃の条件下でリンを含む液肥を毎日与えつつ育成し、根及び気孔を通じたガス交換を利用して交雑させるハーブの育種法であって、

交雑させる親ハーブの組み合わせは、相対的に根の長い品種と根の短い品種との組み合わせ、及び、異なる香りの系統の組み合わせであり、

隣り合う親ハーブの植付位置間の距離を、プラスチック容器での育種の場合は15センチ以上25センチ以下、路地育種の場合は10センチ以上、15センチ以下としたことを特徴とするハーブの育種法である。
【0008】
請求項2に記載の発明は、交雑して得られたハーブを収穫する工程と、
60分以上90分以内の間、外気に晒した状態で前記ハーブを放置する工程と、
前記放置する工程の後、24時間以上72時間以内の時間をかけて前記ハーブに香気成分を含ませた養液を与える工程を経て前記ハーブの香りを変異させることを特徴とする請求項1に記載のハーブの育種法である。
【0009】
請求項3に記載の発明は、日中の気温T1が10℃≦T1≦20℃、夜間の気温T2が0℃≦T2≦10℃となる環境下で前記ハーブを2日以上5日以下の期間外気に晒した状態で放置する第1のストレス付与工程と、ハーブを捕食する虫類により茎葉に傷を負わせる第2のストレス付与工程を経て前記ハーブに香気成分を生成させることを特徴とする請求項2に記載のハーブの育種法である。
【発明の効果】
【0010】
従来では花粉での育種やゲノム育種がメインなため成功率が低く成功しても数年の育種期間そして多額の育種費用がかかる。請求項1に係る発明によれば、根によるガス交換システムを利用して交雑するので、育種費用と育種期間を低減することが可能となる。例えば、育種費用は1品種1000円程度まで削減でき、育種期間を2週間から4週間へ短縮した。
【0011】
成功しても従来技術では種族同士での良い相性が分からず苦戦していた。良い相性とは根の長いハーブと根の短いハーブは相性が良く14日から21日程度と期間が短い。この条件を満たさない根の長さが長いもの同士だと15週間から20週間程度かかってしまう。香りの相性も調香技術が必要である。実施例としてラベンダーとバジルの組み合わせは非常に相性が良く、素晴らしい香りとなった。
【0012】
当発明の育種法は花粉を使用せず土中の根によるガスや香気成分のやり取りを利用すると共に気温を10℃≦T≦35℃にすること。栄養素に特にリンを強化し与えることにより香りを強く良くする。葉の気孔も利用し、光合成も利用することにより更に多くの香気成分をハーブに吸収させる事が出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】香気成分分析 最終結果表
【発明を実施するための形態】
【0014】
親ハーブの植え方について。プラスチック容器等の左右の端を5センチ以上、15センチ以下程度とし、容器の中央は15センチ以上、25センチ以下程度の条件で植える。

路地栽培の場合、プラスチック容器の時と間隔が異なり、10センチ以上、15センチ以下程度となる。根の長短、気温、肥料、光についてはプラスチック容器の時と同じである。その理由として路地には指定の範囲外だと他植物であるブタクサ等の周辺植物と結合し、香りや成分に変化が出るためである。そのため10センチ以上、15センチ以下程度の間は植物の無い状態とし純粋に育種したいハーブのみとする。これにより香りや香気成分をコントロール出来る。
【0015】
当発明の根の長短と植える距離、自然光と気温などの調整を行うことにより、従来技術では数年要した、成功の有無の確認を当発明実施から、2週間から4週間で確認できる。そして成功率も90%以上と非常に高い。発明者の実験では97%成功した。
【0016】
非特許文献での陽光の加減調整について。文献には日当たりは半日陰とある。春の中頃から秋の終わりまでは日当たりの良いところでも充分成長する。秋以降は日当たりが弱いためほぼ成長はない。人工光では光量が足りず、成長に変化は無かった。植物工場の設備があれば秋以降でも育種は可能である。室内かつ自然光だけでは育種は出来なかった。よってよりよい品種を作るかつ育苗を冬季に行うには植物工場設備が必要である。
【0017】
土については、栄養の強いフルボ酸を含む培養土が最適である。より成長が速く茎の太さも0.2センチから0.4センチ程度太く葉の大きさも0.3センチ程度大きく香りも強かった。
【0018】
肥料については、プラスチック等の容器での育種時はフルボ酸入の培養土を使用できるそのためリンを含む液肥等を1容器に6滴程度、育種したハーブの香りを見て強い又は強くなってきた時は0から4滴に調整し、香りが弱い場合は7もしくは8滴で調整することで香りの補強と成長促進ができる。路地の際は2坪程度の広さに15ミリ程度液肥を必要とした。
【0019】
気温について。これまでの研究を元にプラスチック容器等で外気温10℃台で曇天の多い秋。10月17日頃に育種を初めて試みた。後の項目でこの時誕生した第1号品種について記載する。同時に行った3品種同時に育種する実験も行った。気温が20℃程度の気温が続いた日も数日程度あった。この条件下で実験は成功し、3品種共に形質と香りの違いが顕著であった。その後3週間程度で品種として安定した。気温は10℃≦T≦35℃が適切である。この気温以外では失敗し黒くなり枯れていた。
【0020】
植え方について。フルボ酸を含む土を充填した容器に2品種乃至4品種の親ハーブとして例えばミントを植え付け、容器の内壁から植付位置までの最短距離を5センチ以上、15センチ以下程度とし、親ミント同士の植付位置の間隔は15センチ以上、25センチ以下程度の条件で植える。理由として根によるガス交換や香気成分の交換をハーブ同士が行い、変化が起こる新しいハーブが土中より新芽が出現しやすくなるからである。容器としては種々の素材のものを使用することができるが、プラスチック製のものが好ましい。
【0021】
香りのコントロールの方法として、プラスチック容器に指定の距離で植えかつ指定の相性で植えることで親ハーブ以外の所から新しい品種の新芽を出すのは既に記載の通りである。その後そのまま新芽を成長させることにより親ミントが新芽が親ハーブを吸収しより香りの強い新芽へと変化する。

育種する際、メントールやフルーツフレーバーが主張しすぎない中間の香りの強さになったタイミングで親ハーブをプラスチック容器から撤去する。それによりその時から新芽の香りの変化の強弱を止めることができる、

そして親ハーブも新しい品種へと変わる。メカニズムは、新芽は親ハーブに比べ香りと生命力が弱い。そのため親ミントが新芽に養分と香気成分を分け与える。まさに親子である。そして養分と香気成分を親ミントからもらった新芽は強く成長し親ハーブを捕食して1人前になる。このことから、育種する際適切と思われる香りの強さになったタイミングで親ミントを撤去することで香りの強弱を調整出来る。
【0022】
植物が近くにいる植物に養分と香りを分け与えるということから有用成分のあるスギナとヨモギを近くに新しく出来た品種を植えた。結果同じ事が起こった。ヨモギについてはヨモギの持つ有用成分とエストロゲン成分のみ隣りにいたミントに移った。スギナについては、香りが移ることはなく、スギナの持つシリカを隣のミントに養分として提供された。これによりそのミントは茎が0.5ミリ程度太くなり、葉も0.2ミリ程度大きくなった。この時、隣にいたミントこそ研究の基盤となる第1号新品種のひじり聖ミントである。この品種は、ラベンダーミントとバジルミントを記載の技術で育種して誕生した品種である。この聖ミントにスギナとヨモギの養分と香気成分が加わることにより完全にラベンダーミントとバジルミントを超越した品種となった。
【0023】
スギナの持つシリカと耐寒性。これを聖ミントが飢餓状態になったとき、より養分と香気成分を吸収しやすく、収穫から外気に晒した状態で、60分以上、90分以下程度放置する工程の経過時、葉が萎れ、茎に活気が無くなり下を向く。これをサインとする。この時に近くにいるスギナとヨモギが養分であるシリカそしてヨモギのエストロゲン等の有用成分。そして耐寒性までもスギナとヨモギで強化することにより聖ミントはより強く有用成分を含む事になった。24時間から72時間の養液を吸収させる理由として、ハーブを飢餓状態にさせることで、水から養液を一気に吸い上げてかつ養液をハーブの体内全てに行き渡らせるためそして養液を通し香気成分をハーブ内でストレス反応時に出現する成分と香気成分を結合させ新たな成分へと変化させるためである。

そして、養液とは、分子量が低分子であり200付近から220の分子量を超えない香気成分であるアロマオイルをやパウダー状のスパイスを湯温、40℃程度に溶かして調香したものである。それに、リンを含む液肥を混ぜたものである。混ぜたあとは常温に戻しハーブに与え吸収させる。
【0024】
気温ストレスなどにより香りが変化し耐性が付くことにより、葉が厚みを増し丸みを帯びる。その状態で冬季を迎え気温が10℃以下になると茎はチョコレート色から赤紫色になる第一のストレス付与工程とは外気温と自然要因を利用することにより香気成分を熟成させて、香りに深みとまろやかさや柔らかさを持たせ香りを操作するためである。葉も赤紫から赤黒くなる。この状態になると香りがさらにまろやかになる。そして夏季の20℃≦T≦33℃程度の気温になると甘い香りは残るものの、バジルやスパイスの香りが20%程度増加する。この割合で夏季も安定する。そしてこの状態で16年安定している。そして日中の気温が10℃≦T≦20℃程度の気温と、夜間の気温が0℃≦T≦10℃程度の気温でこの範囲の気温変化による気温ストレスとオンブバッタとトノサマバッタを筆頭とする虫類にハーブを捕食する捕食者により、全草に傷を負わされた際、それをハーブが補修するときに精製された成分が気温ストレスとのストレスの相乗効果で通常ミントやハーブが持つことのできない、マツタケオールやマツタケアセテート等を精製することを特徴とする。
【0025】
冬季では夏から秋にかけ、オンブバッタやトノサマバッタ等の虫類に捕食され葉に食された穴が残る。それによりハーブや聖ミントがこれ以上捕食されないために対策を講じ、遺伝子と香気成分を結合させ変化させる第2のストレス付与工程。まず、捕食対策をするためアントシアニンをハーブの体内に生成する。このアントシアニンにより葉と茎を緑から赤紫へ変化させる。これにより耐捕食性が付与される。これにより耐性付与前は70%捕食されていたが、アントシアニンによる耐性付与により40%被害が減少した。
【0026】
もう1つのハーブやミントが持つことのない成分を生成することに成功した。それがマツタケオールとマツタケアセテートである。育種時においてもマツタケ及び赤松の成分も一切使用しておらず近郊にこれらもない。そのためマツタケ胞子が飛来することもない。このことから、ハーブが捕食により生命維持ストレスを感じ気温も作用しハーブの体内で複数の香気成分が化学反応を起こし結合した。それを要因としマツタケオールを筆頭に通常持てない成分をハーブに持たせることに成功した。
【0027】
茎や葉等の特性について。農林水産省新品種の特性表で当発明で育種した聖ミントで比較した。結果、特性表に記載のものと全て違いが顕著であった。葉や茎の聖ミントの数値を記載する。
【0028】
聖ミントを2022年7月7日屋外にて計測。背丈160センチ程度、葉の縦5・5センチ程度、葉の横幅4・0センチ程度。

2022年7月19日計測。背丈172センチ程度、葉の縦幅と葉の横幅は同じであった。茎や葉の色は同日共にチョコレート色もしくは赤紫色であった。

2022年1月12日。同じ場所のビニールハウス内。背丈230センチ程度、葉の縦幅2センチ程度、葉の横幅1センチ程度。となりビニールハウス内では気温と陽光は充分で成長促進していたが、栄養不足で葉が小さかった。改善することで屋外より大きくなる。
【0029】
良い相性とは根の長いハーブと根の短いハーブは相性が良く14日から21日程度と期間が短い。この条件を満たさない根の長さが長いもの同士だと15週間から20週間程度かかってしまう。香りの相性も調香技術が必要である。実施例としてラベンダーとバジルの組み合わせは非常に相性が良く、素晴らしい香りとなった。ラベンダーとバナナは相性が良くなくかなりの育種期間を要した。
【実施例0030】
聖ミントを筆頭に様々な香りで全て違う品種を47品種成功させた。
【産業上の利用可能性】
【0031】
ブレンドハーブティー。
【0032】
蒸留法によるアロマオイルやフローラルウォーターの抽出。
【0033】
ハーブを原料としたジャムやアイスなどの嗜好品。
【0034】
聖ミントの成分を使うもしくは、増強しての代替医療のサポート。
【0035】
当発明の品種を使って、各品種で上記を実施できる。