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特開2024-140335バイパススイッチング素子の故障検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140335
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】バイパススイッチング素子の故障検出装置
(51)【国際特許分類】
   H02H 7/00 20060101AFI20241003BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H02H7/00 L
H02J1/00 309R
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051429
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌隆
(72)【発明者】
【氏名】南 祐輔
【テーマコード(参考)】
5G053
5G165
【Fターム(参考)】
5G053AA03
5G053BA01
5G053DA03
5G165BB05
5G165LA02
5G165MA10
5G165NA04
5G165PA01
(57)【要約】
【課題】突防回路のバイパススイッチング素子(SW素子)が故障しているか否かを検出できるSW素子の故障検出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、突防抵抗11とSW素子12を備えた突防回路21と、突防抵抗11又はSW素子12に電気的に接続されたインバータ回路22と、突防回路21を通してインバータ回路22に電流を供給する電源20と、SW素子12の故障検出部25を有し、故障検出部25は、SW素子12のオン・オフ信号を供給する機能(a)と、機能(a)によりSW素子12をオフ状態で電源20により突防抵抗11に電流を供給し、電流が突防抵抗11に流れるか否かを判定する機能(b)と、機能(a)によりSW素子12をオン状態で電源20により突防抵抗11に電流を供給し、電流が突防抵抗11をバイパスするSW素子12に流れるか否かを判定する機能(c)を有するSW素子の故障検出装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
突防抵抗と前記突防抵抗をバイパスするスイッチング素子を備えた突防回路と、
前記突防抵抗又は前記スイッチング素子に電気的に接続されたインバータ回路と、
前記突防回路を通して前記インバータ回路に電流を供給する電源と、
前記スイッチング素子の故障検出部と、
を有し、
前記故障検出部は、
前記スイッチング素子にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)と、
前記機能(a)により前記スイッチング素子にオフさせる信号を供給し、前記スイッチング素子をオフさせた状態で前記電源により前記突防抵抗に電流を供給し、前記電流が前記突防抵抗に流れるか否かを判定する機能(b)と、
前記機能(a)により前記スイッチング素子にオンさせる信号を供給し、前記スイッチング素子をオンさせた状態で前記電源により前記突防抵抗に電流を供給し、前記電流が前記突防抵抗をバイパスするスイッチング素子に流れるか否かを判定する機能(c)と、
を有することを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記故障検出部は、
前記機能(b)により前記電流が前記突防抵抗に流れず、前記スイッチング素子に流れることが判定された場合に、前記スイッチング素子が故障していることを検知する機能(d)と、
前記機能(c)により前記電流が前記スイッチング素子に流れず、前記突防抵抗に流れることが判定された場合に、前記スイッチング素子が故障していることを検知する機能(e)と、
を有することを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記機能(d)は、前記突防抵抗又は前記スイッチング素子に流れた電流を電圧に変換し、前記電圧に基づいて前記電流が前記突防抵抗に流れたか否かを判定するものであり、
前記機能(e)は、前記突防抵抗又は前記スイッチング素子に流れた電流を電圧に変換し、前記電圧に基づいて前記電流が前記スイッチング素子に流れたか否かを判定するものであることを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記故障検出部は、
前記スイッチング素子にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)を有する制御素子と、
前記制御素子により前記スイッチング素子をオン又はオフさせた状態で前記電源により前記スイッチング素子又は前記突防抵抗に電流を供給した際、前記スイッチング素子又は前記突防抵抗に流れた電流を電圧に変換する機能を有する検出回路と、
を有し、
前記制御素子は、前記検出回路で変換された電圧に基いて前記電流が前記スイッチング素子又は前記突防抵抗のどちらに流れたかを判定する機能を有することを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項において、
前記スイッチング素子はトランジスタであることを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイパススイッチング素子の故障検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
初期診断時にインバータ回路を動かす際、系統などの電源を用いるが、過大な突入電流が流れないように突防抵抗を用いた突防回路を実装することがある。突防抵抗を経由して初期充電が完了した後、インバータ回路を動作させるが、突防抵抗を経由したままインバータ回路を動作させると、損失が大きく、突防抵抗の破損の恐れがある。これに関連する技術が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-035847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の突防抵抗による損失や破損を防止するため、突防抵抗をバイパスするスイッチング素子を設け、インバータ回路の動作時はスイッチング素子をオンさせて損失を抑える構成とすることがある。
【0005】
そこで、インバータ回路を動作させる前に、突防回路のスイッチング素子が故障していないかを検出することが求められる。
【0006】
本発明の種々の態様は、突防回路のスイッチング素子が故障しているか否かを検出できるバイパススイッチング素子の故障検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0008】
[1]突防抵抗と前記突防抵抗をバイパスするスイッチング素子を備えた突防回路と、
前記突防抵抗又は前記スイッチング素子に電気的に接続されたインバータ回路と、
前記突防回路を通して前記インバータ回路に電流を供給する電源と、
前記スイッチング素子の故障検出部と、
を有し、
前記故障検出部は、
前記スイッチング素子にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)と、
前記機能(a)により前記スイッチング素子にオフさせる信号を供給し、前記スイッチング素子をオフさせた状態で前記電源により前記突防抵抗に電流を供給し、前記電流が前記突防抵抗に流れるか否かを判定する機能(b)と、
前記機能(a)により前記スイッチング素子にオンさせる信号を供給し、前記スイッチング素子をオンさせた状態で前記電源により前記突防抵抗に電流を供給し、前記電流が前記突防抵抗をバイパスするスイッチング素子に流れるか否かを判定する機能(c)と、
を有することを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【0009】
本発明の一態様に係る上記[1]のバイパススイッチング素子の故障検出装置は、故障検出部において、スイッチング素子をオフさせた状態で電源により突防抵抗に電流を供給し、前記電流が突防抵抗に流れるか否かを判定する機能(b)と、スイッチング素子をオンさせた状態で電源により突防抵抗に電流を供給し、前記電流が突防抵抗をバイパスするスイッチング素子に流れるか否かを判定する機能(c)を有する。このため、スイッチング素子の故障を検出することが可能となる。
【0010】
[2]上記[1]において、
前記故障検出部は、
前記機能(b)により前記電流が前記突防抵抗に流れず、前記スイッチング素子に流れることが判定された場合に、前記スイッチング素子が故障していることを検知する機能(d)と、
前記機能(c)により前記電流が前記スイッチング素子に流れず、前記突防抵抗に流れることが判定された場合に、前記スイッチング素子が故障していることを検知する機能(e)と、
を有することを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【0011】
[3]上記[2]において、
前記機能(d)は、前記突防抵抗又は前記スイッチング素子に流れた電流を電圧に変換し、前記電圧に基づいて前記電流が前記突防抵抗に流れたか否かを判定するものであり、
前記機能(e)は、前記突防抵抗又は前記スイッチング素子に流れた電流を電圧に変換し、前記電圧に基づいて前記電流が前記スイッチング素子に流れたか否かを判定するものであることを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【0012】
本発明の一態様に係る上記[3]のバイパススイッチング素子の故障検出装置は、スイッチング素子をオフさせた状態で電源により突防抵抗に電流を供給し、突防抵抗又は突防抵抗をバイパスするスイッチング素子に流れた電流を電圧に変換し、突防抵抗とスイッチング素子に流れる電流の差を利用し、前記電圧に基づいて前記突防抵抗に前記電流が流れたか否かを判定し、また、スイッチング素子をオンさせた状態で電源により突防抵抗に電流を供給し、突防抵抗又は突防抵抗をバイパスするスイッチング素子に流れた電流を電圧に変換し、前記電圧に基づいて前記電流がスイッチング素子に流れたか否かを判定する。これにより、スイッチング素子の故障を検出することが可能となる。
【0013】
[4]上記[3]において、
前記故障検出部は、
前記スイッチング素子にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)を有する制御素子と、
前記制御素子により前記スイッチング素子をオン又はオフさせた状態で前記電源により前記スイッチング素子又は前記突防抵抗に電流を供給した際、前記スイッチング素子又は前記突防抵抗に流れた電流を電圧に変換する機能を有する検出回路と、
を有し、
前記制御素子は、前記検出回路で変換された電圧に基いて前記電流が前記スイッチング素子又は前記突防抵抗のどちらに流れたかを判定する機能を有することを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。
【0014】
本発明の一態様に係る上記[4]のバイパススイッチング素子の故障検出装置では、スイッチング素子をオン又はオフさせた状態で前記電源により前記スイッチング素子又は前記突防抵抗に電流を供給した際に、制御素子によって電流がスイッチング素子又は突防抵抗のどちらに流れたかを判定することができる。これにより、スイッチング素子の故障を検出することが可能となる。
【0015】
[5]上記[1]から[4]のいずれか一項において、
前記スイッチング素子はトランジスタであることを特徴とするバイパススイッチング素子の故障検出装置。なお、トランジスタには、Si-MOSFET、SiC-MOSFET及びGaN-FETなどのデバイスが含まれる。
【0016】
本発明の一態様に係る上記[5]のバイパススイッチング素子の故障検出装置では、スイッチング素子にトランジスタを用いているため、消費電力を少なくでき、高速なスイッチングが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明の種々の態様によれば、突防回路のスイッチング素子が故障しているか否かを検出できるバイパススイッチング素子の故障検出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一態様に係るバイパススイッチング素子の故障検出装置を説明するための模式図である。
図2図1に示す故障検出部25を説明するための模式図である。
図3図1に示すバイパススイッチング素子の故障検出装置のシミュレーション結果を示す図である。
図4図1に示すバイパススイッチング素子の故障検出装置のシミュレーション結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0020】
図1は、本発明の一態様に係るバイパススイッチング素子の故障検出装置を説明するための模式図である。図2は、図1に示す故障検出部25を説明するための模式図である。
【0021】
本発明の一態様に係るバイパススイッチング素子の故障検出装置は、突防抵抗11と前記突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12を備えた突防回路21と、
突防抵抗11又はスイッチング素子12に電気的に接続されたインバータ回路22と、
突防回路21を通してインバータ回路22に電流を供給する系統などの電源20と、
スイッチング素子12の故障検出部25を有している(図1及び図2参照)。
この故障検出部25は、スイッチング素子12にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)と、
この機能(a)によりスイッチング素子12にオフさせる信号を供給し、スイッチング素子12をオフさせた状態で系統などの電源20により突防抵抗11に電流を供給し、この電流が突防抵抗11に流れるか否かを判定する機能(b)と、
機能(a)によりスイッチング素子12にオンさせる信号を供給し、スイッチング素子12をオンさせた状態で系統などの電源20により突防抵抗11に電流を供給し、電流が突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12に流れるか否かを判定する機能(c)を有する。
【0022】
以下に詳細に説明する。
系統連系用DCACインバータにおいて、図1に示すように、インバータ回路22の後段に補器類を駆動するための各種リレー24、系統や自立発電を切り替えるためのリレー24を実装している。またインバータ回路22にはコンバータ回路23が電気的に接続されている。インバータ回路22の前段には突防回路21を介して系統などの電源20が電気的に接続されている。
【0023】
突防回路21は、図1に示す突防抵抗11とその突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12を備えており、突防回路21はインバータ回路22に電気的に接続されている。インバータ回路22は突防回路21を通して系統などの電源20から電流が供給される。突防回路21には故障検出部25が電気的に接続されており、故障検出部25によって突防回路21のスイッチング素子12が故障しているかを検出することが可能となっている。なお、スイッチング素子12はトランジスタであるとよく、トランジスタには、Si-MOSFET、SiC-MOSFET及びGaN-FETなどのデバイスが含まれる。スイッチング素子12にトランジスタを用いることで、消費電力を少なくでき、高速なスイッチングが可能となる。
【0024】
ここで、補器類などのユニットを動作させる前に、インバータ回路22を用いて、電圧を発生させ、各リレー24が破損していないかを確認する初期診断モードを実装している。
初期診断時に系統など電源20を用いてインバータ回路22を動かす際、過大な突入電流が流れないように突防抵抗11を用いた突防回路21を実装している。
【0025】
図2に示す突防抵抗11経由で初期充電が完了した後、インバータを動作させるが、突防抵抗11経由のままであると、損失が大きく、突防抵抗11が破損する恐れがある。そのため、突防抵抗11と並列にバイパス用のスイッチング素子12を設け、インバータ動作時は、スイッチング素子12をONさせ、突防抵抗11を経由せずにバイパス経路を通ることで損失を抑える構成としている。
【0026】
ただし、インバータを動作させる前に、バイパス用のスイッチング素子12が故障していないか検出することが望ましい。スイッチング素子12が故障していると、突防抵抗11経由のままでインバータが動作するため、上述したように損失が大きく、突防抵抗11が破損する恐れもあるからである。
【0027】
スイッチング素子12の故障判定を行うためには、通常、シャント抵抗や電流センサが必要となり、構成が複雑となる。しかし、本実施形態では、バイパススイッチング素子の故障検出装置を適用することで、バイパス用のスイッチング素子12が故障していないかを検出できるようにしている。つまり、マイコンなどの制御素子25bからスイッチング素子12へのON/OFF信号に連動して、スイッチング素子12がON/OFFできているか、後段に接続されたインバータ回路などの高負荷回路を動作させる前に、判定を行う。
【0028】
バイパススイッチング素子の故障検出装置の故障検出部25は、図2に示す制御素子25bを有する。この制御素子25bは、スイッチング素子12にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)と、この機能(a)によりスイッチング素子12にオフさせる信号を供給し、スイッチング素子12をオフさせた状態で系統などの電源20により突防抵抗11に電流を供給し、この電流が突防抵抗11に流れるか否かを判定する機能(b)を有している。なお、電源20が交流の場合、スイッチング素子12と電源20の間にダイオードブリッジなどの回路が必要となる。
また制御素子25bは、機能(b)により電流が突防抵抗11に流れず、スイッチング素子12に流れることが判定された場合に、スイッチング素子12が故障していることを検知する機能(d)を有する。この機能(d)は、突防抵抗11又はスイッチング素子12に流れた電流を電圧に変換し、その電圧に基づいて前記電流が突防抵抗11に流れたか否かを判定するものである。
【0029】
また制御素子25bは、機能(a)によりスイッチング素子12にオンさせる信号を供給し、スイッチング素子12をオンさせた状態で系統などの電源20により突防抵抗11に電流を供給し、この電流が突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12に流れるか否かを判定する機能(c)を有している。
また制御素子25bは、機能(c)により電流がスイッチング素子12に流れず、突防抵抗11に流れることが判定された場合に、スイッチング素子12が故障していることを検知する機能(e)を有する。この機能(e)は、突防抵抗11又はスイッチング素子12に流れた電流を電圧に変換し、この電圧に基づいて前記電流がスイッチング素子12に流れたか否かを判定するものである。
【0030】
本実施形態によれば、故障検出部25において、スイッチング素子12をオフさせた状態で電源20により突防抵抗11に電流を供給し、この電流が突防抵抗11に流れるか否かを判定する機能(b)と、スイッチング素子12をオンさせた状態で電源20により突防抵抗11に電流を供給し、この電流が突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12に流れるか否かを判定する機能(c)を有する(図1、2参照)。このため、スイッチング素子12の故障を検出することが可能となる。
【0031】
また、本実施形態では、スイッチング素子12をオフさせた状態で電源20により突防抵抗11に電流を供給し、突防抵抗11又は突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12に流れた電流を電圧に変換し、突防抵抗11とスイッチング素子12に流れる電流の差を利用し、その電圧に基づいて突防抵抗11に前記電流が流れたか否かを判定する。また、スイッチング素子12をオンさせた状態で電源20により突防抵抗11に電流を供給し、突防抵抗11又は突防抵抗11をバイパスするスイッチング素子12に流れた電流を電圧に変換し、この電圧に基づいて前記電流がスイッチング素子12に流れたか否かを判定する(図1、2参照)。これにより、スイッチング素子12の故障を検出することが可能となる。
【0032】
言い換えると、故障検出部25は、図2に示す検出回路25a及び制御素子25bを備えている。制御素子25bは、スイッチング素子12にオンさせる信号及びオフさせる信号を供給する機能(a)を有する。検出回路25aは、制御素子25bによりスイッチング素子12をオン又はオフさせた状態で系統などの電源20によりスイッチング素子12又は突防抵抗11に電流を供給した際、スイッチング素子12又は突防抵抗11に流れた電流を電圧に変換する機能を有する。そして、制御素子25bは、検出回路25aで変換された電圧に基いて電流がスイッチング素子12又は突防抵抗11のどちらに流れたかを判定する機能を有する。
【0033】
つまり、スイッチング素子12をオン又はオフさせた状態で系統などの電源20によりスイッチング素子12又は突防抵抗11に電流を供給した際に、制御素子25bによって電流がスイッチング素子12又は突防抵抗11のどちらに流れたかを判定することができる(図2参照)。これにより、スイッチング素子12の故障を検出することが可能となる。
【0034】
図3及び図4は、図1に示すバイパススイッチング素子の故障検出装置のシミュレーション結果を示す図である。図3及び図4において、青色は突防抵抗11に流れる電流を示し、水色は突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12であるMOSFETの信号を示し、赤色はINV正弦波(インバータの正弦波)を示し、緑色は異常検出電圧を示している。
【0035】
図3(a)は、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12がオープン、かつ、インバータ負荷無の場合に、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12の信号(水色)をONにしても、異常検出電圧(緑色)が発生したことを示している。
【0036】
図3(b)は、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12がオープン、かつ、インバータ負荷有の場合に、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12の信号(水色)をONにしても、異常検出電圧(緑色)が発生したことを示している。
【0037】
図4(c)は、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12がショート、かつ、インバータ負荷無の場合に、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12の信号(水色)をONにすると、異常検出電圧(緑色)がHiに張り付いたことを示している。
【0038】
図4(d)は、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12がショート、かつ、インバータ負荷有の場合に、突防抵抗11のバイパス用のスイッチング素子12の信号(水色)をONにすると、インバータ動作前のON区間のみ異常検出電圧(緑色)がHiに張り付いたことを示している。
【0039】
図3及び図4に示すように、バイパス用のスイッチング素子12の動作、及び、インバータ動作は、マイコンなどの制御素子で制御しているので、バイパス用のスイッチング素子12をON、かつ、インバータ動作をさせない期間で、制御素子が検出する波形から、スイッチング素子12の故障の有無を判断することができる。
【符号の説明】
【0040】
11 突防抵抗
12 スイッチング素子
20 系統などの電源
21 突防回路
22 インバータ回路
25 故障検出部
25a 検出回路
25b 制御素子
図1
図2
図3
図4