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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140337
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】絶縁電源
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H02M3/28 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051431
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】池田 昌隆
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS01
5H730BB43
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE07
5H730EE61
5H730EE73
5H730EE74
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】第1のハイサイド用出力電源から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源から出力される電圧との差を抑制できる電源装置を提供する。
【解決手段】本発明は、第1の絶縁トランスT1の第1、第2の1次巻線L1、L2に接続された直流入力電源11と、第1の2次巻線L11の一端に接続された抵抗Bの端と、抵抗Bの他端に接続された第1のダイオード(Di-B)のアノードと、第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4と、第1の2次巻線L11の一端に接続された抵抗Aの一端と、抵抗Aの他端に電気的に接続された第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21の一端と、1次巻線L21の他端に電気的に接続された第1の2次巻線L11の他端と、2次巻線L22の一端に電気的に接続された第2のダイオード(Di-A)のアノードと、第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6と、ローサイド用出力電源S3、VCC1、VCC2を有する絶縁電源である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の1次巻線、第2の1次巻線、第1の2次巻線、第2の2次巻線及び第3の2次巻線を有する第1の絶縁トランスと、
前記第1の絶縁トランスの前記第1の1次巻線及び前記第2の1次巻線に電気的に接続された直流入力電源と、
前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の一端に電気的に接続された第1の抵抗の一端と、
前記第1の抵抗の他端に電気的に接続された第1のダイオードのアノードと、
前記第1のダイオードのカソード及び前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の他端に電気的に接続された第1のハイサイド用出力電源と、
前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の一端に電気的に接続された第2の抵抗の一端と、
前記第2の抵抗の他端に電気的に接続された第2の絶縁トランスの1次巻線の一端と、
前記第2の絶縁トランスの1次巻線の他端に電気的に接続された前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の他端と、
前記第2の絶縁トランスの2次巻線の一端に電気的に接続された第2のダイオードのアノードと、
前記第2のダイオードのカソード及び前記第2の絶縁トランスの前記2次巻線の他端に電気的に接続された第2のハイサイド用出力電源と、
前記第1の絶縁トランスの前記第2の2次巻線及び前記第3の2次巻線の側に接続されたローサイド用出力電源と、
を有することを特徴とする絶縁電源。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の抵抗は、前記第2の抵抗と同一の抵抗値を有し、
前記第2の絶縁トランスの前記1次巻線と前記2次巻線の比は1:1であることを特徴とする絶縁電源。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第1の絶縁トランスの第1の2次巻線は無制御巻線であることを特徴とする絶縁電源。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記第1の絶縁トランスの前記第2の2次巻線は制御巻線であり、前記第1の絶縁トランスの前記第3の2次巻線は無制御巻線であり、
前記第2の2次巻線の一端は前記第3の2次巻線の一端に電気的に接続され、
前記第2の2次巻線の他端は第3のダイオードのアノードに電気的に接続され、
前記第3のダイオードのカソード及び前記第3の2次巻線の他端は、前記ローサイド用出力電源に接続されていることを特徴とする絶縁電源。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記第1及び第2のハイサイド用出力電源は、SiC-MOSFETやGaNデバイスの駆動電源に用いられることを特徴とする絶縁電源。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁電源に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速スイッチング素子である、SiC-MOSFETやGaNデバイスの採用が増えてきているが、SiC-MOSFETやGaNデバイスはSi-MOSFETに比べてゲート駆動電圧範囲が狭いため、ゲート電圧の管理が重要である。例えば、スイッチング電源でフルブリッジ回路を構成する際、ゲート駆動用として絶縁電源を使用する場合がある。絶縁電源は、1入力・多出力で構成され、比較的負荷の軽いゲート駆動用絶縁電源部は、無制限の巻き線を使用することが多い。これに関連する技術が特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-263739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
フルブリッジ回路のハイサイド用出力電源に2個の絶縁電源が必要な場合、トランスのピン数制限により、ほぼ同じ負荷である第1のハイサイド用出力電源から別の絶縁トランスで第2のハイサイド用出力電源を生成する構成とする。第1のハイサイド用出力電源と第2のハイサイド用出力電源については、ほぼ同じ負荷であるので同じ電圧を出力したいが、他の巻き線の負荷状態によって電圧に差が生じることがある。
【0005】
そこで、第1のハイサイド用出力電源から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源から出力される電圧との差を抑制することが求められる。
【0006】
本発明の種々の態様は、第1のハイサイド用出力電源から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源から出力される電圧との差を抑制できる電源装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0008】
[1]第1の1次巻線、第2の1次巻線、第1の2次巻線、第2の2次巻線及び第3の2次巻線を有する第1の絶縁トランスと、
前記第1の絶縁トランスの前記第1の1次巻線及び前記第2の1次巻線に電気的に接続された直流入力電源と、
前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の一端に電気的に接続された第1の抵抗の一端と、
前記第1の抵抗の他端に電気的に接続された第1のダイオードのアノードと、
前記第1のダイオードのカソード及び前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の他端に電気的に接続された第1のハイサイド用出力電源と、
前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の一端に電気的に接続された第2の抵抗の一端と、
前記第2の抵抗の他端に電気的に接続された第2の絶縁トランスの1次巻線の一端と、
前記第2の絶縁トランスの1次巻線の他端に電気的に接続された前記第1の絶縁トランスの前記第1の2次巻線の他端と、
前記第2の絶縁トランスの2次巻線の一端に電気的に接続された第2のダイオードのアノードと、
前記第2のダイオードのカソード及び前記第2の絶縁トランスの前記2次巻線の他端に電気的に接続された第2のハイサイド用出力電源と、
前記第1の絶縁トランスの前記第2の2次巻線及び前記第3の2次巻線の側に接続されたローサイド用出力電源と、
を有することを特徴とする絶縁電源。
【0009】
本発明の一態様に係る上記[1]の絶縁電源は、第1の絶縁トランスの第1の2次巻線の一端に電気的に接続された第1の抵抗の一端と、前記第1の抵抗の他端に電気的に接続された第1のダイオードのアノードと、第1の絶縁トランスの第1の2次巻線の一端に電気的に接続された第2の抵抗の一端と、前記第2の抵抗の他端に電気的に接続された第2の絶縁トランスの1次巻線の一端を有する。このため、第1の抵抗を実装した場合と実装しない場合を比較すると、第1の抵抗を実装した場合の方が第1のダイオード及び第2のダイオードに流れる電流値が近くなり、第1のハイサイド用出力電源及び第2のハイサイド用出力電源の各々の出力電圧のアンバランスを抑制でき、出力電圧の差を抑制することができる。
【0010】
[2]上記[1]において、
前記第1の抵抗は、前記第2の抵抗と同一の抵抗値を有し、
前記第2の絶縁トランスの前記1次巻線と前記2次巻線の比は1:1であることを特徴とする絶縁電源。
【0011】
本発明の一態様に係る上記[2]の絶縁電源では、第1の抵抗が前記第2の抵抗と同一の抵抗値を有し、第2の絶縁トランスの1次巻線と2次巻線の比を1:1とすることにより、第1のハイサイド用出力電源から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源から出力される電圧との差をより抑制することができる。
【0012】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記第1の絶縁トランスの第1の2次巻線は無制御巻線であることを特徴とする絶縁電源。
【0013】
[4]上記[1]又は[2]において、
前記第1の絶縁トランスの前記第2の2次巻線は制御巻線であり、前記第1の絶縁トランスの前記第3の2次巻線は無制御巻線であり、
前記第2の2次巻線の一端は前記第3の2次巻線の一端に電気的に接続され、
前記第2の2次巻線の他端は第3のダイオードのアノードに電気的に接続され、
前記第3のダイオードのカソード及び前記第3の2次巻線の他端は、前記ローサイド用出力電源に接続されていることを特徴とする絶縁電源。
【0014】
[5]上記[1]又は[2]において、
前記第1及び第2のハイサイド用出力電源は、SiC-MOSFETやGaNデバイスの駆動電源に用いられることを特徴とする絶縁電源。
【0015】
本発明の一態様に係る上記[5]の絶縁電源では、第1及び第2のハイサイド用出力電源が、SiC-MOSFETやGaNデバイスの駆動電源に用いられる場合、SiC-MOSFETやGaNデバイスはSi-MOSFETに比べてゲート駆動電圧範囲が狭いけれど、第1のハイサイド用出力電源から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源から出力される電圧との差を抑制することにより、ゲート電圧を制御性よく管理することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の種々の態様によれば、第1のハイサイド用出力電源から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源から出力される電圧との差を抑制できる電源装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一態様に係る絶縁電源を説明するための回路図である。
図2図1に示す絶縁電源を適用した回路図の一例である。
図3図1に示す絶縁電源において第1の抵抗(抵抗B)を実装しない時の波形例であって、制御巻線の負荷が軽い時及び制御巻線の負荷が重い時の各々の第1のダイオード(Di-B)及び第2のダイオード(Di-A)に流れる電流を示す図である。
図4図1に示す絶縁電源において第1の抵抗(抵抗B)を実装した時の波形例であって、制御巻線の負荷が軽い時及び制御巻線の負荷が重い時の各々の第1のダイオード(Di-B)及び第2のダイオード(Di-A)に流れる電流を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0019】
図1は、本発明の一態様に係る絶縁電源を説明するための回路図である。
【0020】
本発明の一態様に係る絶縁電源は、第1の1次巻線L1、第2の1次巻線L2、第1の2次巻線L11、第2の2次巻線L12及び第3の2次巻線L13を有する第1の絶縁トランスT1と、
前記第1の絶縁トランスT1の前記第1の1次巻線L1及び前記第2の1次巻線L2に電気的に接続された直流入力電源11と、
前記第1の絶縁トランスT1の前記第1の2次巻線L11の一端に電気的に接続された第1の抵抗(抵抗B)の一端と、
前記第1の抵抗(抵抗B)の他端に電気的に接続された第1のダイオード(Di-B)のアノードと、
前記第1のダイオード(Di-B)のカソード及び前記第1の絶縁トランスT1の前記第1の2次巻線L11の他端に電気的に接続された第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4と、
前記第1の絶縁トランスT1の前記第1の2次巻線L11の一端に電気的に接続された第2の抵抗(抵抗A)の一端と、
前記第2の抵抗(抵抗A)の他端に電気的に接続された第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21の一端と、
前記第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21の他端に電気的に接続された前記第1の絶縁トランスT1の前記第1の2次巻線L11の他端と、
前記第2の絶縁トランスT2の2次巻線L22の一端に電気的に接続された第2のダイオード(Di-A)のアノードと、
前記第2のダイオード(Di-A)のカソード及び前記第2の絶縁トランスT2の前記2次巻線L22の他端に電気的に接続された第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6と、
前記第1の絶縁トランスT1の前記第2の2次巻線L12及び前記第3の2次巻線L13の側に接続されたローサイド用出力電源S3、VCC1、VCC2と、を有する。
【0021】
以下に詳細に説明する。
図1に示す絶縁電源は、第1の1次巻線L1、第2の1次巻線L2、第1の2次巻線L11、第2の2次巻線L12及び第3の2次巻線L13を有する第1の絶縁トランスT1を有する。
【0022】
第1の絶縁トランスT1の第1の1次巻線L1及び第2の1次巻線L2は直流入力電源11に電気的に接続されている。詳細には、直流入力電源11のプラス端子は第1の1次巻線L1の一端に電気的に接続されており、第1の1次巻線L1の他端はN型MOSFET12のドレイン端子に電気的に接続されている。N型MOSFET12のゲート電極は、NPNフォトトランジスタ13のコレクタ端子及び第1の絶縁トランスT1の第2の1次巻線L2の一端に電気的に接続されている。第1の絶縁トランスT1の第2の1次巻線L2の他端はグランドに電気的に接続されており、グランドはNPNフォトトランジスタ13のエミッタ端子に電気的に接続されている。NPNフォトトランジスタ13のエミッタ端子はN型MOSFET12のソース端子に電気的に接続されており、N型MOSFET12のソース端子は直流入力電源11のマイナス端子に電気的に接続されている。NPNフォトトランジスタ13のオン・オフが制御可能に構成され、N型MOSFET12のドレイン電流が調整可能に構成されている。
【0023】
第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の一端は第1の抵抗(抵抗B)の一端に電気的に接続されており、第1の抵抗(抵抗B)の他端は第1のダイオード(Di-B)のアノードに電気的に接続されている。なお、第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11は無制御巻線であってもよい。
【0024】
第1のダイオード(Di-B)のカソード及び第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の他端は第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4に電気的に接続されている。詳細には、第1のダイオード(Di-B)のカソードは、第1のコンデンサ21の一端、第1の抵抗22の一端、第2のコンデンサ23の一端及び第1のハイサイド用出力電源VCC3に電気的に接続されている。また、第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の他端は、第1のコンデンサ21の他端、第1のツェナーダイオード24のアノード、第3のコンデンサ25の一端及び第1のハイサイド用出力電源VCC4に電気的に接続されている。また、第1のツェナーダイオード24のカソードは、第2の抵抗22の他端、第2のコンデンサ23の他端、第3のコンデンサ25の他端及び第1のハイサイド用出力電源S1に電気的に接続されている。
【0025】
第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の一端は第2の抵抗(抵抗A)の一端に電気的に接続されており、第2の抵抗(抵抗A)の他端は第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21の一端に電気的に接続されている。第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21の他端は第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の他端に電気的に接続されている。また、第2の絶縁トランスT2の2次巻線L22の一端は第2のダイオード(Di-A)のアノードに電気的に接続されている。
【0026】
第2のダイオード(Di-A)のカソード及び第2の絶縁トランスT2の2次巻線L22の他端は第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6に電気的に接続されている。詳細には、第2のダイオード(Di-A)のカソードは、第4のコンデンサ31の一端、第2の抵抗32の一端、第5のコンデンサ33の一端及び第2のハイサイド用出力電源VCC5に電気的に接続されている。また、第2の絶縁トランスT2の2次巻線L22の他端は、第4のコンデンサ31の他端、第2のツェナーダイオード34のアノード、第6のコンデンサ35の一端及び第2のハイサイド用出力電源VCC6に電気的に接続されている。また、第2のツェナーダイオード34のカソードは、第5の抵抗32の他端、第5のコンデンサ33の他端、第6のコンデンサ35の他端及び第2のハイサイド用出力電源S2に電気的に接続されている。
【0027】
第1の絶縁トランスT1の第2の2次巻線L12及び第3の2次巻線L13の側はローサイド用出力電源(制御電源)S3、VCC1、VCC2に接続されている。第1の絶縁トランスT1の第2の2次巻線L12は制御巻線であり、第1の絶縁トランスT1の第3の2次巻線L13は無制御巻線である。詳細には、第1の絶縁トランスT1の第2の2次巻線L12の他端は第3のダイオード(Di-C)のアノードに電気的に接続されている。第3のダイオード(Di-C)のカソードは、第7のコンデンサ41の一端、フォトダイオード42のアノード、第3の抵抗43の一端及びローサイド用出力電源VCC1に電気的に接続されている。また、第1の絶縁トランスT1の第2の2次巻線L12の一端は、第7のコンデンサ41の他端、第8のコンデンサ44の一端、シャントレギュレータ45のアノード及びローサイド用出力電源S3(GND)に電気的に接続されている。シャントレギュレータ45のカソードはフォトダイオード42のカソードに電気的に接続されている。シャントレギュレータ45のリファレンスは、第3の抵抗43の他端及び第4の抵抗46の一端に電気的に接続されている。また、第1の絶縁トランスT1の第2の2次巻線L12の一端は第1の絶縁トランスT1の第3の2次巻線L13の一端に電気的に接続されており、第1の絶縁トランスT1の第3の2次巻線L13の他端は第4のダイオード47のカソードに電気的に接続されており、第4のダイオード47のアノードは第8のコンデンサ44の他端及びローサイド用出力電源VCC2に電気的に接続されている。また、フォトダイオード42は電流の制御が可能に構成されている。
【0028】
本実施形態の絶縁電源によれば、第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の一端に電気的に接続された第1の抵抗(抵抗B)の一端と、第1の抵抗(抵抗B)の他端に電気的に接続された第1のダイオード(Di-B)のアノードと、第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11の一端に電気的に接続された第2の抵抗(抵抗A)の一端と、第2の抵抗(抵抗A)の他端に電気的に接続された第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21の一端を有している。このため、第1の抵抗(抵抗B)を実装した場合と実装しない場合を比較すると、図4に示す第1の抵抗(抵抗B)を実装した場合の方が図3に示す第1の抵抗(抵抗B)を実装しない場合に比べて、第1のダイオード(Di-B)及び第2のダイオード(Di-A)に流れる電流値が近くなり、第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4及び第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6の各々の出力電圧のアンバランスを抑制でき、出力電圧の差を抑制することができる。
なお、図3は、図1に示す絶縁電源において第1の抵抗(抵抗B)を実装しない時の波形例であって、制御巻線の負荷が軽い時及び制御巻線の負荷が重い時の各々の第1のダイオード(Di-B)及び第2のダイオード(Di-A)に流れる電流を示す図である。図4は、図1に示す絶縁電源において第1の抵抗(抵抗B)を実装した時の波形例であって、制御巻線の負荷が軽い時及び制御巻線の負荷が重い時の各々の第1のダイオード(Di-B)及び第2のダイオード(Di-A)に流れる電流を示す図である。
【0029】
また、本実施形態では、第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11が無制御巻線であっても、図1に示すように第1の抵抗(抵抗B)及び第2の抵抗(抵抗A)を実装することにより、第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6から出力される電圧との差を抑制することができる。
【0030】
図1に示す絶縁電源において、第1の抵抗(抵抗B)は第2の抵抗(抵抗A)と同一の抵抗値を有し、第2の絶縁トランスT2の1次巻線L21と2次巻線L22の比は1:1であるとよい。これにより、第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6から出力される電圧との差をより抑制することができる。また、第1の抵抗(抵抗B)及び第2の抵抗(抵抗A)に流れる電流がパルス状であるため、実装した抵抗の損失を抑制しつつ、第1及び第2のハイサイド用出力電源のアンバランス解消を極小にすることが可能である。
【0031】
上記の第1及び第2のハイサイド用出力電源は、SiC-MOSFETやGaNデバイスの駆動電源に用いられるとよい。SiC-MOSFETやGaNデバイスはSi-MOSFETに比べてゲート駆動電圧範囲が狭いけれど、第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4から出力される電圧と第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6から出力される電圧との差を抑制することにより、ゲート電圧を制御性よく管理することが可能となる。
【0032】
また、本実施形態では、第1の抵抗(抵抗B)及び第2の抵抗(抵抗A)を第1の絶縁トランスT1の第1の2次巻線L11側に実装しているが、第1及び第2のハイサイド用出力電源側にダミー抵抗を接続する方法も考えられる。しかし、そのようにすると、本実施形態の絶縁電源の出力電流が直流であるため、ダミー抵抗の損失が大きくなり、絶縁トランスの製造バラツキなどにより第1及び第2のハイサイド用出力電源のアンバランス解消が難しくなる。従って、本実施形態の絶縁電源は、上記の第1及び第2のハイサイド用出力電源側にダミー抵抗を接続する方法に比べて優れている。
【0033】
図2は、図1に示す絶縁電源を適用した回路図の一例である。
図2に示すドライブ回路50は図1に示す絶縁電源に対応し、図2に示す符号「S1」、「VCC3」、「VCC4」は図1に示す第1のハイサイド用出力電源S1、VCC3、VCC4に対応する。また図2に示す符号「S2」、「VCC5」、「VCC6」は図1に示す第2のハイサイド用出力電源S2、VCC5、VCC6に対応し、図2に示す符号「VCC1」、「VCC2」は図1に示すローサイド用出力電源VCC1、VCC2に対応する。
【0034】
制御素子51はドライブ回路50を制御し、第1~第4のN型MOSFET61~64のゲート電極は制御素子51によって制御される。
【0035】
第9のコンデンサ71の一端は、第1のN型MOSFET61のドレイン端子及び第2のN型MOSFET62のドレイン端子に電気的に接続されている。第1のN型MOSFET61及び第2のN型MOSFET62の各々のゲート電極及びソース端子は、ドライブ回路50に電気的に接続されている。第1のN型MOSFET61のソース端子は、第1のインダクタ73の一端及び第3のN型MOSFET63のドレイン端子に電気的に接続されている。第1のインダクタ73の他端は、第10のコンデンサ72の一端及び第1の出力端子75に電気的に接続されている。第2のN型MOSFET62のソース端子は、第2のインダクタ74の一端及び第4のN型MOSFET64のドレイン端子に電気的に接続されている。第2のインダクタ74の他端は、第10のコンデンサ72の他端及び第2の出力端子76に電気的に接続されている。第3のN型MOSFET63及び第4のN型MOSFET64の各々のゲート電極及びソース端子は、ドライブ回路50に電気的に接続されている。
【0036】
第9のコンデンサ71の他端は、第3の出力端子77、ドライブ回路50、第3のN型MOSFET63のソース端子及び第4のN型MOSFET64のソース端子に電気的に接続されている。
【0037】
図1に示す絶縁電源は、図2に示す回路に適用するのが好適である。また、図1に示す絶縁電源は、Si-MOSFETに比べてゲート駆動電圧範囲が狭いSiC-MOSFETやGaNデバイスの駆動電源に適用するのが好適である。
【符号の説明】
【0038】
11 直流入力電源
T1 第1の絶縁トランス
L1 第1の1次巻線
L2 第2の1次巻線
L11 第1の2次巻線
L12 第2の2次巻線
L13 第3の2次巻線
T2 第2の絶縁トランス
L21 1次巻線
L22 2次巻線
Di-B 第1のダイオード
Di-A 第2のダイオード
Di-C 第3のダイオード
S1、VCC3、VCC4 第1のハイサイド用出力電源
S2、VCC5、VCC6 第2のハイサイド用出力電源
S3、VCC1、VCC2 ローサイド用出力電源
図1
図2
図3
図4