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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140343
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241003BHJP
   H01L 23/02 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H01L23/02 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051439
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】▲吉▼田 一輝
(72)【発明者】
【氏名】藤原 雅宏
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 優之
【テーマコード(参考)】
4M118
【Fターム(参考)】
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA10
4M118BA14
4M118CA02
4M118FA06
4M118GC07
4M118GC11
4M118GD04
4M118HA02
4M118HA07
4M118HA11
4M118HA25
4M118HA30
(57)【要約】
【課題】高い矩形性を有するフレームを形成する半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、半導体素子10と、基板20と、透明基板30と、フレーム40とを備える半導体装置1の製造方法であって、透明基板30に対して、印刷版をセットするセット工程と、印刷版を用いた印刷法により、透明基板30上に、熱硬化性材料を用いてフレームの材料を印刷する印刷工程と、印刷版を取り外すことなく、フレームの材料を加熱し、フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程と、仮硬化工程後に、印刷版を取り外すリセット工程と、リセット工程後に、フレームの材料を本硬化させてフレーム40を得る本硬化工程と、本硬化工程後のフレーム40が形成された透明基板30、または、本硬化工程前のフレームの材料が形成された透明基板30を、半導体素子10が搭載された基板20に組み合わせる組合工程とを含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体素子と、
前記半導体素子が搭載された基板と、
前記基板と対向するように配置された透明基板と、
前記半導体素子を囲うように、前記基板と前記透明基板との間に配置されたフレームと、
を備える半導体装置の製造方法であって、
前記透明基板に対して、印刷版をセットするセット工程と、
前記印刷版を用いた印刷法により、前記透明基板上に、熱硬化性材料または光硬化性および熱硬化性材料を用いて前記フレームの材料を印刷する印刷工程と、
前記印刷版を取り外すことなく、前記フレームの材料を加熱し、前記フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程と、
前記仮硬化工程後に、前記印刷版を取り外すリセット工程と、
前記リセット工程後に、前記フレームの材料に加熱、光照射、または、光照射および加熱を行い、前記フレームの材料を本硬化させて前記フレームを得る本硬化工程と、
前記本硬化工程後の前記フレームが形成された前記透明基板、または、前記本硬化工程前の前記フレームの材料が形成された前記透明基板を、前記半導体素子が搭載された前記基板に組み合わせる組合工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項2】
半導体素子と、
前記半導体素子と対向するように配置された透明基板と、
前記半導体素子の機能領域を囲うように、前記半導体素子と前記透明基板との間に配置されたフレームと、
を備える半導体装置の製造方法であって、
前記透明基板に対して、印刷版をセットするセット工程と、
前記印刷版を用いた印刷法により、前記透明基板上に、熱硬化性材料または光硬化性および熱硬化性材料を用いて前記フレームの材料を印刷する印刷工程と、
前記印刷版を取り外すことなく、前記フレームの材料を加熱し、前記フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程と、
前記仮硬化工程後に、前記印刷版を取り外すリセット工程と、
前記リセット工程後に、前記フレームの材料に加熱、光照射、または、光照射および加熱を行い、前記フレームの材料を本硬化させて前記フレームを得る本硬化工程と、
前記本硬化工程後の前記フレームが形成された前記透明基板、または、前記本硬化工程前の前記フレームの材料が形成された前記透明基板を、前記半導体素子に組み合わせる組合工程と、
を含む、半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記印刷工程における前記フレームの材料の印刷と、前記仮硬化工程における前記フレームの材料の加熱とは、同時に行われる、請求項1または2に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、CMOSセンサまたはCCDセンサなどのイメージセンサである固体撮像装置が知られている。このような半導体装置は、例えば、半導体素子(半導体チップ)と、半導体素子が搭載された基板と、基板と対向するように配置された透明基板と、半導体素子を囲うように、基板と透明基板との間に配置されたフレームとを備え、半導体素子が基板と、透明基板と、フレームとで封止された中空構造を有する(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、光硬化性樹脂層または光硬化性と熱硬化性を兼ねた樹脂層をスクリーン印刷することによってフレームを形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010-129643号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のように、光硬化性樹脂層または熱硬化性樹脂層をスクリーン印刷することによってフレームを形成する場合、スクリーン版におけるメッシュへの目詰まりを防ぐためにスクリーン版を取り外してからUV照射または加熱を行っているが、印刷材料がダレてしまい、フレームの矩形性が低下してしまう。
【0006】
本発明は、高い矩形性を有するフレームを形成する半導体装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体素子と、前記半導体素子が搭載された基板と、前記基板と対向するように配置された透明基板と、前記半導体素子を囲うように、前記基板と前記透明基板との間に配置されたフレームとを備える半導体装置の製造方法であって、前記透明基板に対して、印刷版をセットするセット工程と、前記印刷版を用いた印刷法により、前記透明基板上に、熱硬化性材料または光硬化性および熱硬化性材料を用いて前記フレームの材料を印刷する印刷工程と、前記印刷版を取り外すことなく、前記フレームの材料を加熱し、前記フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程と、前記仮硬化工程後に、前記印刷版を取り外すリセット工程と、前記リセット工程後に、前記フレームの材料に加熱、光照射、または、光照射および加熱を行い、前記フレームの材料を本硬化させて前記フレームを得る本硬化工程と、前記本硬化工程後の前記フレームが形成された前記透明基板、または、前記本硬化工程前の前記フレームの材料が形成された前記透明基板を、前記半導体素子が搭載された前記基板に組み合わせる組合工程とを含む。
【0008】
本発明に係る別の半導体装置の製造方法は、半導体素子と、前記半導体素子と対向するように配置された透明基板と、前記半導体素子の機能領域を囲うように、前記半導体素子と前記透明基板との間に配置されたフレームとを備える半導体装置の製造方法であって、前記透明基板に対して、印刷版をセットするセット工程と、前記印刷版を用いた印刷法により、前記透明基板上に、熱硬化性材料または光硬化性および熱硬化性材料を用いて前記フレームの材料を印刷する印刷工程と、前記印刷版を取り外すことなく、前記フレームの材料を加熱し、前記フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程と、前記仮硬化工程後に、前記印刷版を取り外すリセット工程と、前記リセット工程後に、前記フレームの材料に加熱、光照射、または、光照射および加熱を行い、前記フレームの材料を本硬化させて前記フレームを得る本硬化工程と、前記本硬化工程後の前記フレームが形成された前記透明基板、または、前記本硬化工程前の前記フレームの材料が形成された前記透明基板を、前記半導体素子に組み合わせる組合工程とを含む。
【0009】
上記の半導体装置の製造方法において、前記仮硬化工程では、前記印刷工程において印刷を行う前記透明基板の印刷面とは反対の裏面側から加熱してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、半導体装置において、高い矩形性を有するフレームを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る半導体装置を受光面側から示す概略図である。
図2】第1実施形態に係る半導体装置の概略断面図であって、図1に示すII-II線断面図である。
図3A】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるセット工程を示す概略図である。
図3B】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における印刷工程を示す概略図である。
図3C】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における仮硬化工程を示す概略図である。
図3D】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるリセット工程を示す概略図である。
図3E】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における本硬化工程を示す概略図である。
図3F】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板の個片化工程を示す概略図である。
図3G】第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板と半導体素子搭載基板との組立工程を示す概略図である。
図4】第2実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
図5】第2実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板と半導体素子搭載基板との組立工程を示す概略図である。
図6】第2実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。
図7】第3実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板と半導体素子搭載基板との組立工程を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。また、便宜上、ハッチングや部材符号等を省略する場合もあるが、かかる場合、他の図面を参照するものとする。
【0013】
[第1実施形態]
(半導体装置)
図1は、第1実施形態に係る半導体装置を受光面側から示す概略図であり、図2は、第1実施形態に係る半導体装置の概略断面図であって、図1に示すII-II線断面図である。図1および図2に示す半導体装置1は、例えば、CMOSセンサまたはCCDセンサなどのイメージセンサ(固体撮像装置)であり、所謂箱型の半導体装置である。半導体装置1は、半導体素子10と、基板20と、透明基板30と、フレーム(リブ材)40とを備える。
【0014】
<半導体素子>
半導体素子10は、例えば、CMOSセンサまたはCCDセンサなどのイメージセンサの半導体チップ(固体撮像素子)である。半導体チップは、例えばシリコン基板(wafer)で構成されており、複数の機能素子が2次元状に配置された機能領域12を有する。例えば、半導体チップが固体撮像素子の場合、機能領域12は、2次元状に配置された複数の画素(例えば、複数のフォトダイオード)を含む撮像領域である。機能領域12上に、カラーフィルターまたはマイクロレンズ等が配置されてもよい。半導体素子10は、基板20に搭載されている。
【0015】
<基板>
基板20は、配線基板である。基板20と半導体素子10とは、例えば、ボンディングワイヤ等の配線22によって電気的に接続されている。また、基板20には、例えば、半導体素子10と外部との信号および電力の受け渡しのために、半田ボール等の導電性部材24が電気的に接続されている。
【0016】
基板20としては、例えばポリイミド、ポリエステル、セラミック、エポキシ、ビスマレイミドトリアジン、フェノール樹脂等の有機物や、紙やガラス繊維不織布などに前記の有機物を含侵させて加熱硬化させた構造物、アルミナ、窒化アルミニウム、酸化ベリリウム、窒化ケイ素などのセラミック、金属基板などが挙げられる。この中で好ましいものとしてはガラスエポキシ基板、セラミック基板が挙げられる。これら絶縁基板の表面または内部に、金属配線パターン、金属バンプ、金属ビア、または金属膜被覆スルーホールを有する回路を形成することができる。
【0017】
<透明基板>
透明基板30は、基板20と対向するように、具体的には、基板20の2つの主面のうち、半導体素子10が搭載された主面と対向するように配置されている。透明基板30にはガラス、アクリル樹脂、またはポリカーボネート等の透明プラスチックを用いることができ、信頼性の観点からガラスが好ましい。ガラスの種類は特に限定されないが、石英ガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。
【0018】
必要に応じて透明基板30の表面に赤外線反射膜(又は赤外線カットフィルター)、反射防止膜(ARコート)、保護膜、強化膜等の被覆膜を形成することができる。特に反射防止膜や赤外線反射膜(又は赤外線カットフィルター)は撮像画像の光学的ノイズが低減するため好ましい。特に被膜を反射防止膜とする場合には、TiO、Nb、Ta、CaF、SiO、Al、MgS、ZrO、NiO、あるいはMgFから選ばれる数種類の多層膜とすることが好ましい。
【0019】
これらの被覆膜はガラスの両面或いは片面に設ける事ができる。両面に設ける場合は被覆の種類は同じものであってもよく異なるものであってもよい。1つの面に同じ機能を有する異種の被覆膜を積層させることも可能であるし、異なる機能を有する異種の被膜を積層することも可能である。積層数についても特に限定されず数層から数十層の多層にすることができる。
【0020】
<フレーム>
フレーム(リブ材)40は、半導体素子10を囲うように、基板20と透明基板30との間に配置されている。フレーム40と基板20とは、例えば接着剤50を用いて接着されている。一方、フレーム40と透明基板30とは、フレーム40の材料の接着力により接着されている。
【0021】
フレーム40としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、またはシリコーン樹脂等の光硬化性樹脂、熱硬化性樹脂、または光硬化性および熱硬化性樹脂が挙げられる。後述するように、本硬化を光照射により行う場合、樹脂中に熱硬化性基と光硬化性基とを有する、熱および光硬化性樹脂であってもよいし、熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂をブレンドしたものを用いてもよい。
【0022】
また、後述するように、本硬化を熱照射(加熱)により行う場合、仮硬化にて光硬化性基(光硬化性樹脂)を硬化させ、本硬化にて熱硬化性基(熱硬化性樹脂)を硬化させることによりフレームを形成する。また、本硬化を光照射により行う場合、仮硬化にて熱硬化性基(熱硬化性樹脂)を硬化させ、本硬化にて光硬化性基(光硬化性樹脂)を硬化させることによりフレームを形成する。
【0023】
なお、フレーム40として、接着性を有する光硬化性樹脂、または光硬化性および熱硬化性樹脂を用いる場合、後述するように、接着剤50を用いずに、仮硬化後のフレーム材料を、半導体素子10が搭載された基板20上に配置させ、本硬化を行ってもよい(不図示)。
【0024】
<接着剤>
接着剤50としては、UV硬化型または熱硬化型の接着剤を用いることができる。接着剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、またはシリコーン樹脂などの硬化性樹脂が好ましい。また、接着剤としては、粘度調整等の観点からシリカなどの充填材を含んでいてもよい。
【0025】
このようにして、半導体装置1では、基板20、透明基板30およびフレーム40によって、半導体素子10が封止されている。また、半導体装置1は、半導体素子10の上方に空間を有する中空構造である。
【0026】
(半導体装置の製造方法)
次に、図3A図3Gを参照して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図3Aは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるセット工程を示す概略図であり、図3Bは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における印刷工程を示す概略図である。図3Cは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における仮硬化工程を示す概略図であり、図3Dは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるリセット工程を示す概略図であり、図3Eは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法における本硬化工程を示す概略図である。図3Fは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板の個片化工程を示す概略図であり、図3Gは、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板と半導体素子搭載基板との組立工程を示す概略図である。
【0027】
まず、図3Aに示すように、大判透明基板30Z(または透明基板30)に対して、印刷版Mをセットする(セット工程)。また、印刷版Mに、印刷材料である光硬化性材料、熱硬化性材料、または、光硬化性および熱硬化性材料、およびスキージSをセットする。
【0028】
印刷版Mの表面は、撥水加工が施されていてもよい。撥水加工としては、フッ素樹脂やシリコーン樹脂系の撥液材塗布等が挙げられる。これにより、版離れを向上することができ、フレーム形状の矩形形状性を向上することができる。
【0029】
次に、図3Bに示すように、印刷版Mを用いた印刷法、例えばスクリーン印刷法により、大判透明基板30Z(または透明基板30)上に、光硬化性材料、熱硬化性材料、または、光硬化性および熱硬化性材料を用いて複数(または1つ)のフレームの材料40Zを印刷する(印刷工程)。具体的には、印刷版M上において、スキージSをスライドして、複数(または1つ)のフレームの材料40Zを印刷する。
【0030】
次に、図3Cに示すように、複数(または1つ)のフレームの材料40Zに紫外光を照射し、複数(または1つ)のフレームの材料40Zを仮硬化させる(仮硬化工程)。或いは、複数(または1つ)のフレームの材料40Zを加熱し、複数(または1つ)のフレームの材料40Zを仮硬化させる(仮硬化工程)。仮硬化とは、上記フレームの材料に光照射または加熱を行う工程においてフレームの材料の硬化が更に進行する余地が残された状態をさす。仮硬化工程のUV光照射条件としては、例えば照度70mW/cm、照射時間15秒である。或いは、仮硬化工程の加熱条件としては、例えば温度100度、時間60秒である。
【0031】
仮硬化工程では、印刷版Mを取り外すことなく光照射または加熱を行う。これにより、印刷材料のダレを抑制し、高い矩形性を有するフレームを形成することができる。特に厚膜のアスペクト比が高いフレームを形成する際に、精度良く高い矩形性を有するフレームを形成できるため好ましい。
【0032】
仮硬化工程では、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行ってもよいし、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面側から光照射または加熱を行ってもよい。
【0033】
なお、仮硬化工程では、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行うと好ましい。これにより、印刷工程と仮硬化工程とを同時に行うことができる。すなわち、大判透明基板30Z(または透明基板30)上に複数(または1つ)のフレームの材料40Zを印刷しながら、印刷された複数(または1つ)のフレームの材料40Zに対して、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行うことができる。これにより、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面と印刷版Mとの間に生じる印刷材料のにじみをも抑制することができる。
【0034】
次に、図3Dに示すように、印刷版Mを取り外す(リセット工程)。
【0035】
次に、図3Eに示すように、複数(または1つ)のフレームの材料40Zに光照射(例えば紫外光)、加熱、または、光照射および加熱を行い、複数(または1つ)のフレームの材料40Zを本硬化させる。これにより、複数のフレーム40を得る(本硬化工程)。本硬化とは、表面および内部の全体が乾燥および硬化している状態とすることをいう。本硬化工程のUV光照射条件としては、例えば照度140mW/cm、照射時間10秒である。或いは、本硬化工程の加熱条件としては、例えば温度150度、時間:30分である。
【0036】
本硬化工程では、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行ってもよいし、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面側から光照射または加熱を行ってもよい。生産性の観点からは、印刷面側から光照射または加熱を行うことが好ましい。
【0037】
次に、図3Fに示すように、大判透明基板30Z(または透明基板30)を切断ラインCLに沿って切断して個片化する(個片化工程)。これにより、フレーム40が形成された複数の透明基板30を得る。
【0038】
次に、図3Gに示すように、フレーム40に接着剤50を塗布し、フレーム40が形成された透明基板30を、半導体素子10が搭載された基板20に組み合わせて接着する(組合工程)。このとき、基板20の裏面側に、半田ボール等の導電性部材24を組み合わせて接着してもよい。これにより、図2に示す半導体装置1が得られる。
【0039】
なお、個片化工程と組合工程との順序は逆であってもよい。例えば、複数のフレーム40が形成された大判透明基板30と、複数の半導体素子10が搭載された大判基板20とを組み合わせた後に個片化して、図2に示す半導体装置1を得てもよい。
【0040】
また、組合工程は本硬化工程の前に行われてもよい。特にフレーム材料として接着性を有する樹脂を用いた場合、仮硬化工程後であって本硬化工程前のフレームの材料40Zが形成された透明基板30を、半導体素子10が搭載された基板20に接着させ、その後、本硬化工程を行ってもよい。これによれば、接着剤50を用いなくてもよい。
【0041】
以上説明したように、第1実施形態の半導体装置の製造方法によれば、印刷工程後、印刷版Mを取り外すことなく、フレームの材料40Zに光照射または加熱を行い、フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程を含む。これにより、印刷材料のダレを抑制し、高い矩形性を有するフレーム40を形成することができる。
【0042】
また、第1実施形態の半導体装置の製造方法によれば、仮硬化工程では、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行ってもよい。これにより、印刷工程と仮硬化工程とを同時に行うことができる。すなわち、大判透明基板30Z(または透明基板30)上に複数(または1つ)のフレームの材料40Zを印刷しながら、印刷された複数(または1つ)のフレームの材料40Zに対して、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から、光照射または加熱を行うことができる。これにより、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面と印刷版Mとの間に生じる印刷材料のにじみをも抑制することができる。
【0043】
[第2実施形態]
(半導体装置)
図4は、第2実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。図4に示す半導体装置1Aは、所謂GoC(Glass on Chip)型の半導体装置である。第2実施形態の半導体装置1Aは、上述した第1実施形態の半導体装置1と比較して、フレーム40が半導体素子10上に配置されており、フレーム40の外で、半導体素子10と基板20とがボンディングワイヤ等の配線22によって電気的に接続されている点で異なる。
【0044】
具体的には、半導体素子10は基板20に搭載されており、透明基板30は半導体素子10と対向するように配置されている。フレーム(リブ材)40は、半導体素子10の機能領域12を囲うように、半導体素子10と透明基板30との間に配置されている。半導体素子10と基板20とは、フレーム40の外で、ボンディングワイヤ等の配線22によって電気的に接続されている。ボンディングワイヤ等の配線22は、ポッティング樹脂60で覆われて保護されている。
【0045】
(半導体装置の製造方法)
次に、図5を参照して、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図5は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板と半導体素子搭載基板との組立工程を示す概略図である。
【0046】
上述同様に、図3A図3Fに示す工程により、フレーム40が形成された透明基板30を得る。
【0047】
次に、図5に示すように、フレーム40に接着剤50を塗布し、フレーム40が形成された透明基板30を、基板20に搭載された半導体素子10と組み合わせて接着する(組合工程)。このとき、ボンディングワイヤ等の配線22に樹脂をポッティングし、ボンディングワイヤ等の配線22をポッティング樹脂60で覆ってもよい。また、基板20の裏面側に、半田ボール等の導電性部材24を組み合わせて接着してもよい。これにより、図4に示す半導体装置1Aが得られる。
【0048】
なお、この第2実施形態でも、組合工程は本硬化工程の前に行われてもよい。特にフレーム材料として接着性を有する樹脂を用いた場合、仮硬化工程後であって本硬化工程前のフレームの材料40Zが形成された透明基板30を、半導体素子10に接着させ、その後、本硬化工程を行ってもよい。これによれば、接着剤50を用いなくてもよい。
【0049】
この第2実施形態の半導体装置の製造方法でも、図3Bに示す印刷工程後、図3Cに示す工程、すなわち、印刷版Mを取り外すことなく、フレームの材料40Zに光照射または加熱を行い、フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程を含む。これにより、印刷材料のダレを抑制し、高い矩形性を有するフレーム40を形成することができる。
【0050】
また、第2実施形態の半導体装置の製造方法でも、仮硬化工程では、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行ってもよい。これにより、印刷工程と仮硬化工程とを同時に行うことができる。これにより、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面と印刷版Mとの間に生じる印刷材料のにじみをも抑制することができる。
【0051】
[第3実施形態]
(半導体装置)
図6は、第3実施形態に係る半導体装置の概略断面図である。図6に示す半導体装置1Bは、所謂CSP(Chip Size Package)型の半導体装置である。第3実施形態の半導体装置1Bは、上述した第2実施形態の半導体装置1Aと比較して、基板20を備えず、半導体素子10の裏面に形成されたパッド等の電極によって、外部との電気的な接続を直接的に行う点で異なる。
【0052】
具体的には、透明基板30は、半導体素子10と対向するように配置されている。フレーム(リブ材)40は、半導体素子10の機能領域12を囲うように、半導体素子10と透明基板30との間に配置されている。半導体素子10の裏面には、パッド等の電極25が形成されており、パッド等の電極25には、半田ボール等の導電性部材24が電気的に接続されている。
【0053】
(半導体装置の製造方法)
次に、図7を参照して、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。図7は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法におけるフレーム付き透明基板と半導体素子搭載基板との組立工程を示す概略図である。
【0054】
上述同様に、図3A図3Fに示す工程により、フレーム40が形成された透明基板30を得る。
【0055】
次に、図7に示すように、フレーム40に接着剤50を塗布し、フレーム40が形成された透明基板30を、半導体素子10と組み合わせて接着する(組合工程)。このとき、半導体素子10の裏面側のパッド等の電極25に、半田ボール等の導電性部材24を組み合わせて接着してもよい。これにより、図6に示す半導体装置1Bが得られる。
【0056】
なお、この第3実施形態でも、組合工程は本硬化工程の前に行われてもよい。特にフレーム材料として接着性を有する樹脂を用いた場合、仮硬化工程後であって本硬化工程前のフレームの材料40Zが形成された透明基板30を、半導体素子10に接着させ、その後、本硬化工程を行ってもよい。これによれば、接着剤50を用いなくてもよい。
【0057】
この第3実施形態の半導体装置の製造方法でも、図3Bに示す印刷工程後、図3Cに示す工程、すなわち、印刷版Mを取り外すことなく、フレームの材料40Zに光照射または加熱を行い、フレームの材料を仮硬化させる仮硬化工程を含む。これにより、印刷材料のダレを抑制し、高い矩形性を有するフレーム40を形成することができる。
【0058】
また、第3実施形態の半導体装置の製造方法でも、仮硬化工程では、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面とは反対の裏面側から光照射または加熱を行ってもよい。これにより、印刷工程と仮硬化工程とを同時に行うことができる。これにより、大判透明基板30Z(または透明基板30)の印刷面と印刷版Mとの間に生じる印刷材料のにじみをも抑制することができる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、種々の変更および変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、CMOSセンサまたはCCDセンサなどのイメージセンサの半導体チップである半導体素子(固体撮像素子)10を備える半導体装置(固体撮像装置)1について例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、種々の機能を有する半導体素子を備える種々の中空構造の半導体装置に適用可能である。
【0060】
また、上述した実施形態では、所謂箱型の半導体装置(図2)、所謂GoC(Glass on Chip)型の半導体装置(図4)および所謂CSP(Chip Size Package)型の半導体装置(図6)について例示した。しかし、本発明の特徴はこれに限定されず、種々のタイプの半導体装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B 半導体装置
10 半導体素子
12 機能領域
20 基板
22 配線
24 導電性部材
25 電極
30 透明基板
30Z 大判透明基板
40 フレーム
40Z フレームの材料
50 接着剤
60 樹脂
M 印刷版
S スキージ
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4
図5
図6
図7