(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140349
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】乳性飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/38 20210101AFI20241003BHJP
A23L 2/58 20060101ALI20241003BHJP
A23C 9/152 20060101ALI20241003BHJP
A23C 9/154 20060101ALI20241003BHJP
A23L 2/52 20060101ALI20241003BHJP
A23L 29/238 20160101ALI20241003BHJP
A23L 2/70 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
A23L2/38 P
A23L2/00 M
A23C9/152
A23C9/154
A23L2/52
A23L2/58
A23L29/238
A23L2/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051449
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(72)【発明者】
【氏名】西尾 莉紗
(72)【発明者】
【氏名】山口 航
【テーマコード(参考)】
4B001
4B041
4B117
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC03
4B001AC06
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4B001AC21
4B001AC43
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(57)【要約】
【課題】外観において白色以外の色を有する乳性飲料において透明性を高めることができる新規な技術を提供する。
【解決手段】大豆多糖類と着色成分とを含有し、ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、波長720nmにおける濁度が0.1以下である、容器詰めの乳性飲料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大豆多糖類と着色成分とを含有し、
ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、
波長720nmにおける濁度が0.1以下である、乳性飲料。
【請求項2】
前記乳性飲料の酸度が0.10g/100ml以上0.39g/100ml以下である、請求項1に記載の乳性飲料。
【請求項3】
前記乳性飲料の大豆多糖類の含有量が0.001質量%以上0.04質量%以下である、請求項1または2に記載の乳性飲料。
【請求項4】
前記乳性飲料のpHが2.8以上3.3以下である、請求項1または2に記載の乳性飲料。
【請求項5】
前記乳性飲料の無脂乳固形分量が1.0質量%以下である、請求項1または2に記載の乳性飲料。
【請求項6】
波長720nmにおける濁度が0.02以上0.1以下である、請求項1または2に記載の乳性飲料。
【請求項7】
大豆多糖類と着色成分とを含有し、ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、且つ酸度が0.10g/100ml以上0.39g/100ml以下、大豆多糖類の含有量が0.001質量%以上0.04質量%以下、無脂乳固形分量が1.0質量%以下、およびpHが2.8以上3.3以下である飲料を調製し、
得られた飲料を加熱することを含む、外観において白色以外の色を有する乳性飲料の透明性を高める方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は乳性飲料に関し、特に、外観において白色以外の色を有することを視認できる乳性飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
乳を含み、該乳由来の風味を楽しむことができる乳性飲料が親しまれている。乳性飲料においては、消費者等が乳を想起することができるようにすることなどを意図し、白色の外観を呈するように構成された飲料が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
また、乳性飲料においては、例えばフルーツオレと称される飲料のような、外観において白色に加えて白色以外の色も有し、白濁している乳性飲料(例えば、白色と果汁を想起させる色とが混ざったような色をしており、透けて見えない飲料など)も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、外観において白色以外の色を有する乳性飲料において透明性を高めることができる新規な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、外観において白色以外の色を有する乳性飲料であって、より透明性を高めた飲料を提供することを着想した。
鋭意研究の結果、本発明者は、外観において白色以外の色を有する乳性飲料を構成するにあたり、乳と大豆多糖類を飲料中に含有させるとともに、酸度、大豆多糖類の含有量、無脂乳固形分量およびpHがそれぞれ所定の範囲である飲料とし、該飲料について加熱することで、透明性を高めることができることを見出した。
【0007】
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
大豆多糖類と着色成分とを含有し、
ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、
波長720nmにおける濁度が0.1以下である、乳性飲料。
[2]
前記乳性飲料の酸度が0.10g/100ml以上0.39g/100ml以下である、[1]に記載の乳性飲料。
[3]
前記乳性飲料の大豆多糖類の含有量が0.001質量%以上0.04質量%以下である、[1]または[2]に記載の乳性飲料。
[4]
前記乳性飲料のpHが2.8以上3.3以下である、[1]から[3]のいずれか一つに記載の乳性飲料。
[5]
前記乳性飲料の無脂乳固形分量が1.0質量%以下である、[1]から[4]のいずれか一つに記載の乳性飲料。
[6]
波長720nmにおける濁度が0.02以上0.1以下である、[1]から[5]のいずれか一つに記載の乳性飲料。
[7]
大豆多糖類と着色成分とを含有し、ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、且つ酸度が0.10g/100ml以上0.39g/100ml以下、大豆多糖類の含有量が0.001質量%以上0.04質量%以下、無脂乳固形分量が1.0質量%以下、およびpHが2.8以上3.3以下である飲料を調製し、
得られた飲料を加熱することを含む、外観において白色以外の色を有する乳性飲料の透明性を高める方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、外観において白色以外の色を有する乳性飲料において透明性を高めることができる新規な技術を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、外観(容器詰め飲料である場合にはその内容物の外観)において白色以外の色を有する乳性飲料の、透明性の向上に関する。
【0010】
本明細書において、乳性飲料とは、乳を含み、飲んだときに乳の風味(味および香り)を感じることができる飲料をいう。
本実施形態において、原材料として用いる乳は、動物又は植物由来のいずれの乳であってもよい。例えば、牛乳、山羊乳、羊乳、馬乳等の獣乳、豆乳等の植物乳を用いることができ、牛乳が一般的である。これらの乳は、単独又は二種類以上の混合物として用いることができる。また、これらの乳を、乳酸菌やビフィズス菌等の微生物を用いて発酵させた発酵乳として用いることもできる。
乳の形態は特に限定されず、例えば、全脂乳、脱脂乳、乳清、乳蛋白濃縮物が挙げられ、また、粉乳や濃縮乳から還元した乳も使用できる。
【0011】
また、本明細書において、外観において白色以外の色を有する、とは、飲料を視認したときに白色以外の色の存在を確認できることをいう。具体的には、飲料が白色以外の色を呈する外観を有している場合や、白色と他の色とが混ざったような色(例えば、白みがかった色、とも称される)を呈する外観を有している場合などが挙げられる。
【0012】
外観において白色以外の色を有する飲料として、具体的には、ハンターLab表色系における明度に係るL値が12以上22以下、色相・彩度に係るa値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上である飲料が例示できる。
【0013】
L値、a値、b値は例えば分光測色色差計を用いて測定することができる。
L値:12以上22以下、a値:-1以下1以上、b値:-1以下または1以上である飲料の外観において白色以外の色を有するといえることは、例えばハンターLab表色系の色度図からも理解できる。本実施形態の乳性飲料において、L値は、12以上22以下が好ましい。L値は、飲料の透明性を高める効果を得る点から、19以下がより好ましく、17以下がさらにより好ましく、16以下がさらにより一層好ましい。
【0014】
L値、a値、b値の調整は、例えば、飲料に色を付与することができる成分である着色成分の添加などにより行うことができる。
着色成分としては、着色料や後述する果汁に含まれる色素などを挙げることができる。
着色料を添加する場合、着色料は天然色素であってもよく、また、合成着色料であってもよい。
天然色素としては、アカネ色素、アナトー色素、アルカネット色素、イモカロテン、ウコン色素、エビ色素、オキアミ色素、オレンジ色素、カカオ色素、カニ色素、カラメル色素、カロブ色素、クサギ色素、クチナシ色素、クロロフィリン、クロロフィル、酵素処理ルチン(抽出物)、ルチン(抽出物)、コウリャン色素、コチニール色素、シアナット色素、シコン色素、シタン色素、スピルリナ色素、タマネギ色素、デュナリエラカロテン、唐辛子色素、トウモロコシ色素、トマト色素、ニンジンカロテン、パーム油カロテン、ビートレッド、ピーナッツ色素、ファフィア色素、ブドウ果皮色素、ペカンナッツ色素、ベニコウジ黄色素、ベニコウジ色素、ベニノキ末色素、ベニバナ赤色素、ベニバナ黄色素、ヘマトコッカス藻色素、マリーゴールド色素、ムラサキイモ色素、ムラサキトウモロコシ色素、ログウッド色素、赤キャベツ色素、アカゴメ色素、アカダイコン色素、アズキ色素、イカスミ色素、ウグイスカグラ色素、ウコン、エルダーベリー色素、オリーブ茶、カウベリー色素、グースベリー色素、クランベリー色素、クロレラ末、ココア、サフラン、サフラン色素、サーモンベリー色素、シソ色素、ストロベリー色素、ダークスイートチェリー色素、チェリー色素、チコリ色素、茶、チンブルベリー色素、デュベリー色素、海苔色素、ハイビスカス色素、麦芽抽出物、ハクルベリー色素、パプリカ粉末、ブドウ果汁色素、ブラックカーラント色素、ブラックベリー色素、プラム色素、ブルーベリー色素、ボイセンベリー色素、ホワートルベリー色素、マルベリー色素、モレロチェリー色素、ラズベリー色素、レッドカーラント色素、ローガンベリー色素等が挙げられる。
合成着色料としては、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色40号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号、食用緑色3号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用青色1号、食用青色2号、三二酸化鉄、二酸化チタン、β-カロテン、リボフラビン、リボフラビン酪酸エステル、リボフラビン5’-リン酸エステルナトリウム、銅クロロフィル、銅クロロフィリンナトリウム、鉄クロロフィリンナトリウム、ノルビキシンカリウム、ノルビキシンナトリウム等が挙げられる。
【0015】
また、本明細書において、透明性とは、一方向における一方側から飲料の外観を目で見たときに、他方側に配置した物体を飲料を介して確認できる程度に関する。飲料の透明性が高まると他方側の物体を飲料を介してよりはっきりと視認できるようになる。
【0016】
本実施形態においては、乳と大豆多糖類とを含有させるとともに、酸度、大豆多糖類の含有量、無脂乳固形分量およびpHがそれぞれ所定の範囲である乳性飲料を調製する。具体的には、酸度:0.10g/100ml以上0.39g/100ml以下、大豆多糖類の含有量:0.001質量%以上0.04質量%以下、無脂乳固形分量:1.0質量%以下およびpH:2.8以上3.3以下である乳性飲料を調製する。そして、得られた飲料を加熱することで、外観において白色以外の色を有する該乳性飲料の透明性を高めることができる。
【0017】
本明細書において、酸度(クエン酸酸度)とは、飲料100ml中に含まれる酸の量をクエン酸に換算した場合のグラム数[無水クエン酸g/100ml]を指す。飲料の酸度は、JAS規格の酸度測定法に定められた方法、具体的には、0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。なお、飲料が炭酸飲料である場合には、酸度の測定に供する前に炭酸ガスを常法により脱気した後、測定に供する。
酸度は、例えば、上述のクエン酸のほか、飲料中に含まれる有機酸量を調整することで調整することができる。
本実施形態の乳性飲料において、クエン酸酸度は、0.10g/100ml以上0.39g/100mlであり、0.15g/100ml以上0.30g/100ml以下が好ましく、0.18g/100ml以上0.25g/100ml以下であることがさらにより好ましい。
【0018】
大豆多糖類とは、大豆に由来する水溶性の多糖類をいう。
大豆多糖類は、特に限定されないが、例えば、乳蛋白質の安定化剤として知られたものが使用でき、大豆製品の製造工程において副生するオカラ(繊維状の絞りかす)から抽出精製された多糖類であって、含有されるガラクツロン酸のカルボキシル基に由来して酸性下マイナスに帯電しているものなどが使用できる。市販品としては、例えば、商品名「SM-1200」(三栄源エフ・エフ・アイ社製)などが挙げられる。
本実施形態の乳性飲料において、大豆多糖類の含有量は、0.001質量%以上0.04質量%以下である。大豆多糖類の含有量の下限値は、乳蛋白質の安定化効果を得る点から、好ましくは0.005質量%以上、より好ましくは0.01質量%以上である。一方、大豆多糖類の含有量の上限値は、飲料の透明性を高める効果を得る点から、好ましくは0.035質量%以下、より好ましくは0.025質量%以下である。
【0019】
本明細書において無脂乳固形分(SNF)とは、乳から水分及び脂質を除いた残りの成分をいい、蛋白質、乳糖および無機質などにより構成されている。
本実施形態において、無脂乳固形分量は、1.0質量%以下である。また、無脂乳固形分量は0.9質量%以下が好ましく、0.7質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下がさらにより好ましく、0.4質量%以下がさらにより一層好ましい。
飲料における無脂乳固形分量の調整は、例えば、原材料として使用される乳の形態や量を調整するなどして行うことができる。また、飲料中の無脂乳固形分量は、例えば製造に用いられる原材料に基づき算出することができるほか、ケルダール法などにより測定することができる。
【0020】
また、pHの調整は、例えば、酸味料を使用する方法が挙げられるほか、発酵乳を使用する方法、果汁を使用する方法、またはこれらの方法を併用する方法により行うこともできるが、所望のpHとすることができれば特に限定されない。本実施形態の乳性飲料において、pHは2.8以上3.3以下である。また、pHは2.9以上3.3以下がより好ましい。
【0021】
本実施形態においては、本発明の効果を得ることができる範囲で必要に応じて他の成分を適宜、乳性飲料中に含ませることができ、特に限定されない。
本実施形態の乳性飲料において含有され得る他の成分としては、例えば、水の他、酸味料、果汁、糖度調整剤、乳タンパク質安定化剤、高甘味度甘味料、香料などが挙げられる。
【0022】
酸味料としては、例えば、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、酢酸、グルコン酸、コハク酸、フマル酸等の有機酸又はその塩、リン酸等の無機酸またはその塩などが挙げられる。
果汁としては、例えば、オレンジ、レモン、グレープフルーツ等の柑橘系の果汁や、イチゴ、メロン、ブドウ、モモ、リンゴ、バナナ、パインアップル、マンゴーなどの果汁が挙げられる。
【0023】
糖度調整剤としては、例えば、ショ糖、麦芽糖、果糖、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、オリゴ糖等の糖類や、エリスリトール、マルチトール、キシリトール等の糖アルコールや、難消化性デキストリン、寒天等の食物繊維などが挙げられる。
【0024】
乳蛋白質安定化剤としては、例えば、ペクチン、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアガムなどが挙げられる。なお、上述の大豆多糖類も乳蛋白質安定化剤として作用し得る。
【0025】
高甘味度甘味料としては、アセスルファムカリウム、スクラロース、ステビア、サッカリンナトリウム、アスパルテーム、グリチルリチン、グリチルリチン酸ジカリウム、ソーマチンなどが挙げられる。
【0026】
本実施形態に係る飲料の調製にあたっては、例えば、乳、大豆多糖類、着色成分、必要に応じて含有されるその他の成分を混合するなどすればよい。これら成分は別々に配合されても、また、同時に配合されてもよく、さらにその順番も特に限定されない。
【0027】
また、本実施形態においては、例えば上述のとおりにして得られた飲料について、加熱することで透明性を高める。加熱するときの飲料の温度は透明性を高めることができる限り特に限定されず、所望する透明性の程度などに応じて当業者が適宜設定でき、例えば65℃以上とすることができる。また加熱時間についても限定されず、当業者が適宜設定することができる。
具体的には、例えば、後述の殺菌処理における加熱条件(65℃で10分間相当以上の条件(例えば、80~120℃で1~300秒間))と同じ加熱条件とすることができる。
【0028】
本実施形態に係る飲料の製造においては、得られた飲料に対して、均質化処理や殺菌処理を行なうようにしてもよい。
均質化処理は、通常、ホモゲナイザーを用いて行うことができる。均質化条件は特に限定されないが、温度5~25℃で圧力10~50MPaの条件が好ましく挙げられる。また、均質化処理は、殺菌処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
殺菌処理は、65℃で10分間相当以上の条件(例えば、80~120℃で1~300秒間)で飲料を加熱するなどして行うことができる。また、殺菌処理の方法は当該方法に限定されるものではなく、通常のプレート式殺菌、チューブラー式殺菌、レトルト殺菌、バッチ殺菌、オートクレーブ殺菌等の方法を採用することができる。また、殺菌処理は、均質化処理の前後のいずれか、もしくは両方で行うか、または容器充填前後のいずれか、もしくは両方で行うことができる。
また、本実施形態においては、上述の透明性を高めるための加熱処理と殺菌のための加熱処理とを併せて行うようにしてもよい。
【0029】
本実施形態に係る乳性飲料は、容器詰めの飲料とすることができる。
容器としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等のプラスチック製、ガラス製、紙製、アルミ製、スチール製の容器が挙げられる。このうち、透明な容器(内容物を透けて見ることができ、内容物の外観を開封することなく確認できる容器)に充填されている飲料は内溶液を視認しやすいため、本実施形態に係る飲料としては透明な容器に容器詰めされることが好ましい。
容器詰めの乳性飲料とする方法としては、例えば、容器に飲料をホットパック充填し、充填した容器を冷却する方法、又は容器充填に適した温度まで飲料を冷却して、予め洗浄殺菌した容器に無菌充填する方法などにより行うことができ、特に限定されない。
【0030】
以上、本実施形態によれば、外観において白色以外の色を有する乳性飲料において、濁っていて透明性がない(透けて見えない)ものよりも透明性を高めることができる。その結果、例えば、大豆多糖類と着色成分とを含有し、ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、波長720nmにおける濁度が0.1以下である乳性飲料を提供することができる。乳の含有を視覚的に想起させることができるため、波長720nmにおける濁度が0.02以上0.1以下が好ましい。また、より透明性を高めた飲料を得る点から、波長720nmにおける濁度は、0.09以下がより好ましく、0.08以下がさらにより好ましく、0.07以下がさらにより一層好ましい。
なお、波長720nmにおける濁度は、例えば、分光光度計を用い、光路長1cmとして測定することができる。
【実施例0031】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0032】
[試験1]
表1に記載の成分を混合して飲料を調製し、得られた飲料を95℃達温殺菌にて殺菌および加熱した後、無色透明なペットボトルに充填し、容器詰め飲料を得た。
【0033】
この容器詰飲料について、以下の官能評価基準に沿って評価した。
外観については絶対評価での2段階で評価した。各パネリストは、一方向における一方側から飲料の外観を目で見たときに、他方側に配置した物体を飲料を介して確認できる場合に透明と評価するようにして試験を行った。そのうえで、5人のパネリスト全員が飲料の外観が透明と評価したときに飲料の外観が透明であると判定した(パネリスト全員が透明と評価:○、透明でないと評価したパネリストがいる:×)。
また、ハンターLab表色系の測定値(分光測色色差計(コニカミノルタ社製CM-5)により測定)および目視(パネリスト全員が白色以外の色を有すると評価:○、白色のみであると判定したパネリストがいる:×)により、外観において白色以外の他の色が存在することを確認した。なお、試験1でアカダイコン色素を添加した飲料においては、例えば果汁を含む飲料を想起させる赤色の外観を呈していた。
【0034】
また、各容器詰め飲料について波長720nmの濁度(波長720nmの吸光度)を測定した。具体的には、分光光度計((株)日立製作所製、U-5100)を用い、光路長1cm(1cmセル)として、サンプルを希釈することなく測定に供した。また、水をブランクとして用いて測定した。また、試験3で測定した波長660nmの濁度(波長660nmの吸光度)も同様の方法で測定した。
【0035】
また、飲用したときの香味(具体的には乳風味を有するといえるか否か)について、5人のパネリストにて評価した。パネリスト全員が乳風味を有すると評価した場合、乳風味を有する飲料と判定した(表では乳風味:○)。
【0036】
【0037】
実施例である飲料4について、パネリスト全員が透明な飲料と評価した。
なお、飲料4は、ハンターLab表色系におけるL値が12以上22以下、a値が-1以下または1以上、b値が-1以下または1以上であり、波長720nmにおける濁度が0.1以下を満足するが、以下の試験において同様にL値、a値、b値、濁度についてのこれらの範囲を満足する飲料は、飲料4と同様、パネリスト全員が透明な飲料と評価した。
表1中に示した飲料のうち実施例の飲料4と比較例の飲料3はパネリスト全員がいずれも乳風味が感じられると評価した。これらの飲料は乳を含むため、乳性飲料に該当する。
【0038】
[試験2]
表2、3に記載の成分を混合して飲料を調製し、得られた飲料を95℃達温殺菌にて殺菌および加熱した後、無色透明なペットボトルに充填し、容器詰め飲料を得た。
飲料の外観、風味について試験1と同様の方法で評価を行った。
【0039】
【0040】
【0041】
実施例である飲料4~8については、パネリスト全員が透明な飲料と評価した。また、実施例である飲料4~8はいずれも乳風味を有すると判定された。飲料9は透明な飲料であると評価された一方、酸味が目立ち、乳風味を有するとはいえないと評価したパネリストがいたため、乳風味を有するとはいえないと判定した。
【0042】
[試験3]
表4に記載の成分を混合して飲料を調製し、得られた飲料を95℃達温殺菌にて殺菌および加熱した後、無色透明なペットボトルに充填し、容器詰め飲料を得た。
飲料の外観、風味について試験1と同様の方法で評価を行った。
【0043】
【0044】
実施例である飲料11~13について、パネリスト全員が透明な飲料と評価した。なお、試験3で評価したいずれの飲料とも乳風味を有すると判定された。
【0045】
[試験4]
表5、6に記載の成分を混合して飲料を調製し、得られた飲料を95℃達温殺菌にて殺菌および加熱した後、無色透明なペットボトルに充填し、容器詰飲料を得た。
飲料の外観、風味について試験1と同様の方法で評価を行った。
【0046】
【0047】
【0048】
実施例である飲料15~17について、パネリスト全員が透明な飲料と評価した。また、実施例である飲料15~17について、乳風味を有すると判定された。一方、飲料21は透明な飲料であると評価された一方、乳風味を有するとはいえないと評価したパネリストがいたため、乳風味を有するとはいえないと判定した。
【0049】
[試験5]
表7に記載の成分を混合して飲料を調製し、得られた飲料を95℃達温殺菌にて殺菌および加熱した後、無色透明なペットボトルに充填し、容器詰め飲料を得た。
飲料の外観および飲料の風味について、試験1と同様の方法で評価を行った。
【0050】
【0051】
試験5で実施例である飲料22は緑色の外観を呈していた。また、実施例である飲料23は黄色の外観を呈しており、実施例である飲料24は青色の外観を呈していた。
実施例である飲料4、22~24について、パネリスト全員が透明な飲料と評価した。また、実施例である飲料4、22~24について、いずれも乳風味を有すると判定された。