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特開2024-140360情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140360
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/38 20120101AFI20241003BHJP
【FI】
G06Q20/38 310
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051466
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】521019761
【氏名又は名称】G.U.テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】近藤 秀和
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA71
5L055AA71
(57)【要約】
【課題】価値情報を発行することに伴う供託金または保証金の送金などを効率的かつ安全に実現可能なシステムを提供する。
【解決手段】電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する送金部と、前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録する返還部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する送金部と、
前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録する返還部と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記送金部は、前記価値情報の発行に関する金額のうちの少なくとも一部の金額を前記保証金として、当該保証金に相当する前記デジタル通貨を前記保証金収納用のアドレスに送金する取引を前記ブロックチェーンに記録する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記送金部は、NFTである前記価値情報の発行に伴う保証金に相当するデジタル通貨を、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスから前記保証金収納用のアドレスに送金する取引を前記ブロックチェーンに記録し、
前記返還部は、前記ユーザのアドレスから前記事業者のアドレスに前記NFTが返還されたことに関する前記事業者の承認を示す情報を取得した場合、前記保証金収納用のアドレスから、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに返還する取引を前記ブロックチェーンに記録する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記返還部は、前記供託金または前記保証金に対応する前記価値情報に設定される有効期限が経過した場合、前記デジタル通貨を前記事業者のアドレスに返還する取引を前記ブロックチェーンに記録する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記情報処理システムは、NFTである前記価値情報の発行に伴う前記保証金の金額に基づいて、前記価値情報の発行に関する金額である発行金額を算出する発行金額算出部をさらに備え、
前記送金部は、前記発行金額で前記NFTがユーザに発行される場合、前記保証金に相当する前記デジタル通貨を前記保証金収納用のアドレスに送金する取引を前記ブロックチェーンに記録する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記返還部は、前記デジタル通貨が前記事業者に返還不可能と判定される場合、前記事業者とは異なる事業者に、前記デジタル通貨が前記事業者に返還不可能であることを通知する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項7】
コンピュータが、
電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録することと、
前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録することと、
を備える情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録することと、
前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録することと、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電子マネーの発行、換金などの履歴をブロックチェーンに記録して管理するシステムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-57742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のシステムは、電子マネーの発行、換金などをブロックチェーンに記録して供託金を特定することで、電子マネーの流通を管理可能とするシステムである。なお、電子マネーの発行に伴う供託は、現金を供託所に納付する供託、債券による供託、履行保証保全(信託)契約の締結によって実現される。すなわち、電子マネーの発行金額に応じた供託を当該システム上で実現することはできない。
【0005】
そのため、電子マネーなどの電子的な価値を示す価値情報を発行することに伴う供託金または保証金の送金、払戻をシステムによって効率的かつ安全に取り扱うことができる仕組みの実現が求められている。
【0006】
そこで、本発明は、価値情報を発行することに伴う供託金または保証金の送金などを効率的かつ安全に実現可能なシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る情報処理システムは、電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する送金部と、前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録する返還部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る情報処理方法は、コンピュータが、電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録することと、前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録することと、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して前記価値情報が発行される場合、前記価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録することと、前記デジタル通貨が前記事業者または前記ユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、前記事業者のアドレスまたは前記ユーザのアドレスに前記デジタル通貨を返還する取引を前記ブロックチェーンに記録することと、を実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、価値情報を発行することに伴う供託金または保証金の送金などを効率的かつ安全に実現可能なシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図2】供託金管理用データベースD111を示す図である。
図3】保証金管理用データベースD112を示す図である。
図4】第1の変形例に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
図5】情報処理システムにおける供託金管理処理を示すフロー図である。
図6】情報処理システムにおける保証金管理処理を示すフロー図である。
図7】コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の概要について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム10の構成の一例を示す図である。なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。ソフトウェアは、例えば、ブロックチェーン上で動作するプログラム(スマートコントラクト)であってもよい。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されてもよい。
【0013】
情報処理システム10は、例えば、電子的な価値を示す価値情報を発行者が発行することに伴う供託または保証金収納について、スマートコントラクトを実行し、供託金または保証金に相当するデジタル通貨(例えばステーブルコイン)に関する取引をブロックチェーンに記録するシステムである。
【0014】
電子的な価値を示す価値情報は、例えば、電子的に保存された残高を用いて電子決済を行うためのデータ(以下、「電子マネー」という。)と、ブロックチェーン上で取引されるトークンとを含む。
【0015】
電子マネーは、例えば、資金決済法に規定されている、前払式支払手段発行者が取り扱う価値情報(例えば「Suica(登録商標)電子マネー」)や資金移動業者が取り扱う価値情報(例えば「PayPay(登録商標)マネー」)などである。
【0016】
トークンは、例えば、ブロックチェーン上で取引されるトークンであるNFT(Non Fungible Token)である。NFTは、非代替性の性質を持つトークンである。そのため、NFTと関連付けられているデジタルコンテンツ(例えば、写真、動画、サービスの会員券を示すデータなど)は非代替性を有する。すなわち、NFTを用いることによって、デジタルコンテンツの所有者を証明できる。そのため、ユーザは例えば、所定のサービスを享受するための会員券と関連付けられたNFTを購入することで、当該サービスの会員であることを証明することができる。
【0017】
供託金は、例えば、価値情報を保有するユーザの損害を補償するための金銭であって、当該価値情報の発行者があらかじめ所定の機関等に預ける金銭をいう。具体的には、供託金は、例えば、電子マネーの発行者(前払式支払手段発行者、または資金移動業者)が、電子マネーの発行額に応じて供託所等に送金する履行保証金である(資金決済法14条、43条など)。例えば、ユーザが電子マネーを使用することによって電子マネーの発行金額(所定の事業者が発行した総発行金額)が変動したことに伴い、発行事業者が供託所等に供託しなければならない供託金の金額(例えば、当該総発行金額の半額)が変動する。
【0018】
保証金は、例えば、ユーザが所定のサービスを享受する会員になるための担保として支払う金銭をいう。そして、ユーザがサービスの会員でなくなる場合、支払い済みの保証金の少なくとも一部が当該ユーザに返還される。
【0019】
デジタル通貨は、例えば、ブロックチェーンによって管理される、価値を有するトークン(データ)である。デジタル通貨は、電子的な通貨として流通し、取引に用いられる。デジタル通貨は、例えば、ステーブルコイン、法定デジタル通貨(CBDC)、ビットコインなどの仮想通貨を含む。
【0020】
ブロックチェーンは、仮想通貨や各種トークンの取引に用いられるシステムである。ブロックチェーンは、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。
【0021】
スマートコントラクトは、例えば、ブロックチェーン上で、トランザクションや外部情報をトリガーとして既定のルールにしたがって実行されるプログラムあるいはコンピュータプロトコルをいう。
【0022】
<<構成の概要>>
図1を参照して、情報処理システム10の構成の概要について説明する。図1に示すように、情報処理システム10は、例えば、情報処理装置100と、発行者装置200と、ユーザ端末300とを含む。
【0023】
情報処理システム10を構成する各装置は、通信ネットワークにより互いに通信可能に接続されている。通信ネットワークは、有線ネットワークまたは無線ネットワークである。なお、図示していないが、情報処理システム10は、情報処理装置100と、発行者装置200と、ユーザ端末300とのそれぞれを複数含んで構成されていてもよい。
【0024】
情報処理装置100は、例えば、供託金管理処理と、保証金管理処理とを実行する装置である。
【0025】
供託金管理処理は、例えば、電子的な価値情報を発行する事業者(以下、「発行事業者」という。)が電子マネーを発行する場合、電子マネーの発行金額に対応する供託金に相当するデジタル通貨を供託する取引をブロックチェーンに記憶する。供託金管理処理では、当該供託金が当該発行事業者に返還されるための条件が充たされる場合、当該発行事業者にデジタル通貨を返還する取引をブロックチェーンに記録する。
【0026】
具体的には、情報処理装置100は、発行事業者が発行した電子マネーの発行金額に基づき、供託金の金額を特定する。情報処理装置100は、当該供託金の金額に相当するデジタル通貨を、ブロックチェーンにおける発行事業者のアドレスから供託用のアドレスに送金する取引を記録するスマートコントラクト(以下、「第1送金コントラクト」という。)を実行する。そして、情報処理装置100は、例えば、当該発行事業者から発行された電子マネーの発行金額が減少した場合、発行事業者が供託した供託金の少なくとも一部に相当するデジタル通貨を、ブロックチェーンにおける供託用のアドレスから発行事業者のアドレスに返還する取引を記録するスマートコントラクト(以下、「第1返還コントラクト」という。)を実行する。
【0027】
供託用のアドレスとは、例えば、供託所、もしくは供託金を管理する事業者(例えば銀行や信託会社など)のブロックチェーン上のアドレスである。
【0028】
保証金管理処理は、例えば、発行事業者が所定のサービスに関連付けられたNFTを発行する場合、NFTの購入の際にユーザが発行事業者に支払った保証金に相当するデジタル通貨を保証金として保全する取引をブロックチェーンに記憶する。保証金管理処理では、当該保証金が当該ユーザに返還されるための条件が充たされる場合、当該ユーザにデジタル通貨を返還する取引をブロックチェーンに記録する。
【0029】
具体的には、情報処理装置100は、NFTを購入したユーザが、発行事業者に支払った保証金の金額を特定する。情報処理装置100は、保証金に相当するデジタル通貨を、ブロックチェーンにおけるユーザのアドレスから保証金収納用のアドレスに送金する取引を記録するスマートコントラクト(以下、「第2送金コントラクト」という。)を実行する。そして、情報処理装置100は、例えば、当該ユーザが当該NFTを発行事業者に返還した場合、支払った保証金に相当するデジタル通貨を、ブロックチェーンにおける保証金収納用のアドレスからユーザのアドレスに送金する取引を記録するスマートコントラクト(以下、「第2返還コントラクト」という。)を実行する。
【0030】
保証金収納用のアドレスとは、例えば、NFTを発行した発行事業者のブロックチェーン上のアドレスであってもよいし、保証金の管理を発行事業者から委託された事業者のアドレスであってもよい。
【0031】
発行者装置200は、発行事業者の操作入力を受け付ける装置である。発行者装置200は、ユーザに発行した価値情報に関する情報を情報処理装置100に送信する。また、発行者装置200は、ユーザ端末300から取得するユーザの要求(以下、「発行要求」という。)に基づき、ユーザ端末300に価値情報(電子マネーやNFT)を発行する処理を実行する。
【0032】
情報処理装置100および発行者装置200は、例えば、クラウドコンピュータ、サーバコンピュータ、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットフォーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA、電子メールクライアントなど)、あるいは他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットフォームであってもよい。
【0033】
ユーザ端末300は、発行者装置200との間で各種情報を送受信する装置である。ユーザ端末300は、ユーザの操作入力を受け付けて、発行者装置200から発行される価値情報を取得および返還する機能を有する。
【0034】
ユーザ端末300は、例えば、スマートフォン、携帯電話(フィーチャーフォン)、パーソナルコンピュータ(例えば、デスクトップ、ラップトップ、タブレットなど)、メディアコンピュータプラットフォーム(例えば、ケーブル、衛星セットトップボックス、デジタルビデオレコーダ)、ハンドヘルドコンピュータデバイス(例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、電子メールクライアントなど)、ウェアラブル端末(メガネ型デバイス、時計型デバイスなど)、他種のコンピュータ、またはコミュニケーションプラットフォームであってもよい。
【0035】
<<処理の概要>>
次に、図1を参照しつつ、情報処理システム10の処理の概要について説明する。
【0036】
ステップS10において、発行者装置200は、例えば、ユーザ端末300から取得した発行要求に基づき、価値情報(例えば、電子マネーやNFTなど)を発行する。
【0037】
ステップS11において、情報処理装置100は、発行された価値情報の金額に基づき、供託金または保証金(以下、まとめて「供託金等」ということがある。)の金額を特定する。
【0038】
例えば、供託金管理処理において、情報処理装置100は、資金決済法の規定に基づき、発行された電子マネーに対応する供託金の金額を特定する。また、例えば、保証金管理処理において、情報処理装置100は、NFTが発行される際にユーザが支払った保証金の金額を特定する。
【0039】
ステップS12において、情報処理装置100は、供託金等の金額に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録するスマートコントラクト(第1送金コントラクトまたは第2送金コントラクト)を実行する。
【0040】
ステップS13において、情報処理装置100は、発行事業者またはユーザに供託金等が返還されるための条件が充たされた場合、供託金等に相当するデジタル通貨を発行事業者のアドレスまたはユーザのアドレスに返還する取引を記録するスマートコントラクト(第1返還コントラクトまたは第2返還コントラクト)を実行する。
【0041】
このように、情報処理システム10は、価値情報の発行に伴う供託金等をデジタル通貨によってブロックチェーン上で改ざん困難に管理することで、供託金等を電子的に取り扱うことができる。これにより、供託金等の管理の安全性を確保しつつ、当該管理の効率化を実現できる。
【0042】
===情報処理装置100===
図1を参照して、情報処理装置100の構成について説明する。図1に示すように、情報処理装置100は、記憶部110、供託金特定部120、保証金特定部130、送金部140、返還部150、を含む。これら各部の機能は、例えば、図7に示すメモリ1002等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサ1001が実行したりすることにより実現される。
【0043】
記憶部110は、例えば、供託金管理用データベースD111、保証金管理用データベースD112を含む。
【0044】
図2を参照して、供託金管理用データベースD111について説明する。図2は、供託金管理用データベースD111の一例を示す図である。供託金管理用データベースD111は、例えば、発行された価値情報が電子マネーである場合、価値情報とユーザとを関連付けて格納するデータベースである。なお、供託金管理用データベースD111は、情報処理装置100が記憶していなくてもよい。例えば、供託金管理用データベースD111は、発行者装置200が記憶していてもよいし、他の装置(不図示)が記憶していてもよい。
【0045】
図2に示すように、供託金管理用データベースD111は、例えば、[ユーザID]、[保有価値情報]、[発行金額]の項目を含む。[ユーザID]は、価値情報を保有しているユーザを一意に識別可能な識別符号が格納される。[保有価値情報]は、ユーザが保有している価値情報の名称を示す情報が格納される。[発行金額]は、価値情報の金額を示す情報が格納される
【0046】
保証金管理用データベースD112について説明する。図3は、保証金管理用データベースD112を示す図である。保証金管理用データベースD112は、例えば、発行された価値情報がNFTである場合、価値情報を取得したユーザと保証金とを含む情報に関するデータベースである。なお、保証金管理用データベースD112は、情報処理装置100が記憶していなくてもよい。例えば、保証金管理用データベースD112は、
発行者装置200が記憶していてもよいし、他の装置(不図示)が記憶していてもよい。
【0047】
図3に示すように、保証金管理用データベースD112は、例えば、[ユーザID]、[保有価値情報]、[発行金額]、[保証金額]の項目を含む。[ユーザID]には、価値情報を保有しているユーザを一意に識別可能な識別符号が格納される。[保有価値情報]には、ユーザが保有している価値情報の名称を示す情報が格納される。[発行金額]には、価値情報の金額を示す情報が格納される。[保証金額]は、価値情報が発行される際にユーザが支払った保証金の金額を示す情報が格納される。
【0048】
供託金特定部120は、例えば、価値情報が電子マネーである場合、電子マネーの発行金額に対応する供託金の金額を特定する。具体的には、供託金特定部120は、例えば、発行事業者が発行した電子マネーの発行金額に応じて、資金決済法に規定される条件に基づき供託金の金額を特定してもよいし、発行事業者によって予め定められた供託金の金額(例えば電子マネーの発行金額の合計と同額)を特定してもよい。また、供託金特定部120は、例えば供託金の金額を示す情報を発行者装置200から取得してもよい。
【0049】
資金決済法に規定される条件とは、例えば、基準日(3月末あるいは9月末)において、発行済の前払式支払手段(電子マネー)の未使用残高が1000万円を超えたときは、その未使用残高の2分の1以上の額に相当する金銭を供託しなければならないという条件(資金決済法14条)である。
【0050】
保証金特定部130は、例えば、価値情報がNFTである場合、所定のサービスに関連付けられたNFT(例えば会員券)を購入したユーザが、サービスに入会する際に発行事業者に支払う保証金の金額を特定する。具体的には、保証金特定部130は、例えば、保証金の金額を示す情報、NFTの発行金額を示す情報およびNFTを特定可能な情報のうちの少なくともいずれかの情報を発行者装置200から取得する。保証金特定部130は、例えば取得した当該情報に基づき、当該会員券の保証金の金額を特定する。
【0051】
ここで、保証金特定部130は、例えば、NFTの発行金額を示す情報を取得する場合、NFTの発行金額のうちの少なくとも一部(例えば発行金額の10%)を保証金の金額として特定してもよい。これにより、情報処理装置100は、ユーザによる保証金の支払い手続きを省略できるため、保証金の支払い処理を効率化することができる。また、保証金特定部130は、例えば、NFTを特定可能な情報を取得する場合、保証金管理用データベースD112を参照して、当該NFTに対応する保証金の金額を特定する。
【0052】
送金部140は、供託金等の金額に相当するデジタル通貨を送金する取引をブロックチェーンに記録するスマートコントラクト(第1送金コントラクトまたは第2送金コントラクト)を実行する機能部である。
【0053】
具体的には、送金部140は、価値情報が電子マネーである場合、第1送金コントラクトを実行して、供託金特定部120で特定された供託金の金額に相当するデジタル通貨を、ブロックチェーンにおける発行事業者のアドレスから供託用のアドレスへ送金する取引を記録する。
【0054】
また、具体的には、送金部140は、価値情報がNFTである場合、第2送金コントラクトを実行して、保証金特定部130で特定された保証金の金額に相当するデジタル通貨を、ブロックチェーンにおけるユーザのアドレスから保証金収納用のアドレスへの送金する取引を記録する。
【0055】
また、具体的には、送金部140は、保証金特定部130においてNFTの発行金額のうち少なくとも一部の金額を保証金の金額として特定された場合、特定された金額に相当するデジタル通貨をブロックチェーンにおけるユーザのアドレスから保証金収納用のアドレスに送金する第2送金コントラクトを実行してもよい。
【0056】
返還部150は、発行事業者またはユーザに供託金等が返還されるための条件(以下、「返還条件」という。)が充たされた場合、供託金等に相当するデジタル通貨を、発行事業者のアドレスまたはユーザのアドレスに返還する取引をブロックチェーンに記録するスマートコントラクト(第1返還コントラクトまたは第2返還コントラクト)を実行する。
【0057】
返還条件は、価値情報が電子マネーである場合、発行された電子マネーの金額に基づく条件である。例えば、発行済の電子マネーが前払式支払手段である場合、基準日(例えば3月末や9月末)において、発行済の電子マネーの未使用残高が1000万円を下回った場合、供託金が不要となるため、供託された供託金の全額を発行事業者に返還可能である(資金決済法14条)。また、例えば、基準日において、発行済の電子マネー(前払式支払手段)の未使用残高が1000万円以上の場合、既に供託している供託金の金額が当該未使用残高の半額を上回っている場合、当該供託金の合計から当該未使用残高の半額を差し引いた金額を発行事業者に返還可能である。当該返還条件において、返還部150は、例えば、供託金管理データベースD111を参照して、発行済の電子マネーの合計金額を特定することで、当該合計金額に基づき、返還条件を充たすか否かを判定する。なお、返還条件は、このような資金決済法に基づく条件に限定されず、例えば発行事業者によって予め定められた条件であってもよい。具体的には、電子マネーの発行金額の合計と同額を供託することと発行事業者が定めた場合、電子マネーの発行金額の合計が1000万円から900万円となったときに、供託した1000万円のうち、100万円の供託金が発行事業者に返還可能ということでもよい。
【0058】
また、返還条件は、価値情報がNFTである場合、発行されたNFTが発行事業者に返還されたことを示す条件であってもよい。この場合、返還部150は、ユーザがNFTを発行事業者に返還したことを示す情報を発行者装置200から取得された場合、返還条件が充たされたと判定する。
【0059】
また、返還条件は、価値情報がNFTである場合、NFTが発行事業者に返還されたことを示す条件に、他の条件を加えた条件であってもよい。例えば、発行事業者にNFTが返還されたことに基づき保証金が返還可能であることを当該発行事業者が承認したという条件を返還条件に加えてもよい。この場合、返還部150は、NFTが返還されたことを示す情報と、保証金が返還可能であることついて発行事業者が承認済であることを示す情報とに基づき、返還条件が充たされたと判定する。
【0060】
また、返還条件は、価値情報がNFTである場合、NFTに設定されている有効期限が経過したことを示す条件であってもよい。この場合、返還部150は、NFTを管理するデータベース(不図示)を参照して、NFTの有効期限を示す情報に基づき、返還条件が充たされたか否かを判定する。
【0061】
これにより、情報処理システム10は、様々な条件によって保証金を返還する処理を実現できる。
【0062】
===変形例===
以下では、上述した情報処理システム10の構成と異なる構成についてのみ説明することとし、特に言及しない場合は上述した情報処理システム10と同様であるものとする。
【0063】
<<第1の変形例>>
次に、第1の変形例に係る情報処理システム10について説明する。図4は、第1の変形例に係る情報処理システム10の構成の一例を示す図である。第1の変形例に係る情報処理システム10は、価値情報がNFTである場合、ユーザが支払う保証金の金額に応じて、NFTの発行金額を特定する。
【0064】
第1の変形例に係る情報処理システム10は、例えば発行金額算出部160をさらに含む。発行金額算出部160は、価値情報がNFTである場合、NFTの購入時に支払う保証金の金額を示す情報(発行者装置200から取得される保証金を示す情報)に基づいて、NFTの発行金額を算出してもよい。具体的には、発行金額算出部160は、例えば、ユーザが支払う保証金の金額が高いほど、NFTの発行金額(例えばサービスの月々の支払額)を安くする。これにより、情報処理装置100は、価値情報の発行金額と保証金の金額とのバランスを調整できる。
【0065】
<<第2の変形例>>
次に、第2の変形例に係る情報処理システム10について説明する。第2の変形例に係る情報処理システム10は、例えば、供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスから発行事業者またはユーザに供託金等に相当するデジタル通貨が返還不可能であると判定される場合、所定のユーザに返還不可能であることを通知することを実現するシステムである。
【0066】
返還不可能である場合とは、発行事業者のアドレスまたはユーザのアドレスが使用不可能となる場合であって、例えば発行事業者がデフォルト(債務不履行)した場合やユーザが秘密鍵を使用できなくなった場合などである。
【0067】
具体的には、価値情報が電子マネーである場合、返還部150は、例えば発行事業者から発行事業者のアドレスが使用不可能であることを示す情報を取得する。返還部150は、発行事業者のアドレスに対応する秘密鍵の管理を委託されている事業者(例えば信託銀行など)に、発行事業者に供託金を返還不可能であることを示す情報を送信する。
【0068】
また、具体的には、価値情報がNFTである場合、返還部150は、例えば発行事業者またはユーザから発行事業者のアドレスまたはユーザのアドレスが使用不可能であることを示す情報を取得する。返還部150は、発行事業者のアドレスまたはユーザのアドレスに対応する秘密鍵の管理を委託されている事業者(以下、「委託者」という。)に、発行事業者またはユーザに保証金を返還不可能であることを示す情報を送信する。
【0069】
この場合、委託者は、返還不可能であることを示す情報に基づき、発行事業者またはユーザの秘密鍵を用いて、供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスから所定のユーザのアドレスに供託金等を移転させるスマートコントラクトを実行させる。
【0070】
これにより、第2の変形例に係る情報処理システムは、発行事業者またはユーザのアドレスが使用不可能となる事象が発生した場合において、供託金等の払い戻しを可能にする。また、ユーザおよび発行事業者は、価値情報とデジタル通貨を安全に管理、運用をすることができる。
【0071】
<<第3の変形例>>
まず、第3の変形例に係る情報処理システム10について説明する。第3の変形例に係る情報処理システム10は、発行事業者からユーザに発行されたNFTを当該ユーザが担保としてNFTを管理する事業者(以下、「担保管理者」という。)に預け入れることで、担保管理者から当該NFTに相当するデジタル通貨をユーザに付与することを実現するシステムである。担保管理者は、発行事業者でもよいし、その他の事業者であってもよい。
【0072】
送金部140は、例えば、ユーザ端末300からの要求に基づき、ユーザが保有する所定のNFT(以下、「ロックアップNFT」という。)をロックアップするスマートコントラクトを実行する。ロックアップとは、NFTの保有者が当該NFTを他の者に売却できないように設定されることをいう。そして、送金部140は、ロックアップNFTに相当するデジタル通貨を、担保管理者のアドレスからユーザのアドレスに送金するスマートコントラクトを実行する。ここで、送金部140は、例えば、保証金管理用データベースD112を参照して、ロックアップNFTに相当するデジタル通貨を特定する。
【0073】
返還部150は、ユーザのアドレスから担保管理者のアドレスに、ロックアップNFTに相当するデジタル通貨が送金(返還)された場合、ロックアップNFTに対するロックアップを解除する。
【0074】
なお、ロックアップNFTに有効期限を設定してもよい。この場合、ユーザからデジタル通貨が担保管理者に返還されずに有効期限が経過した場合、ロックアップNFTをユーザのアドレスから担保管理者のアドレスに移動させるスマートコントラクトを実行する。このように、価値情報とデジタル通貨を運用する仕組みを応用して、価値情報に対応するデジタル通貨を貸し出す仕組みを提供することができる。
【0075】
===発行者装置200===
発行者装置200の構成について説明する。図1に示すように、発行者装置200は、例えば、情報送受信部201、記憶部202を含む。これら各部の機能は、例えば、図7に示すメモリ1002等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサ1001が実行したりすることにより実現される。
【0076】
情報送受信部201は、情報処理装置100およびユーザ端末300との間で各種情報を送受信する。情報送受信部201は、例えば、供託金等に関する情報、各種スマートコントラクトを実行させるための情報、返還条件が充たされたことを示す情報などを、情報処理装置100に送信する。情報送受信部201は、例えば、価値情報に関する情報、ユーザに関する情報などを、ユーザ端末300との間で送受信する。
【0077】
記憶部202は、各種情報を記憶する。記憶部202は、例えば、情報処理装置100の記憶部110に記憶される、供託金管理用データベースD111および保証金管理用データベースD112を記憶していてもよい。この場合、情報処理装置100は、記憶部202における供託金管理用データベースD111および保証金管理用データベースD112を参照して、各種処理を実行してもよい。
【0078】
===ユーザ端末300===
ユーザ端末300の構成について説明する。図1に示すように、ユーザ端末300は、例えば、情報送受信部301、記憶部302を含む。これら各部の機能は、例えば、図7に示すメモリ1002等の記憶領域を用いたり、記憶領域に格納されたプログラムをプロセッサ1001が実行したりすることにより実現される。
【0079】
情報送受信部301は、例えば価値情報の発行要求を発行者装置200に送信する。情報送受信部301は、例えば保有する価値情報に関する情報を情報処理装置100または発行者装置200に送信してもよい。記憶部302は、各種情報を記憶する。
【0080】
===処理手順===
図5図6を参照して、本実施形態に係る情報処理システム10の処理手順について説明する。図5は、情報処理システム10における供託金管理処理の一例を示すフロー図である。図6は、情報処理システム10における保証金管理処理の一例を示すフロー図である。
【0081】
<<供託金管理処理>>
【0082】
供託金管理処理について説明する。以下では、発行事業者は電子マネーを発行するものとして説明する。
【0083】
ステップS100において、ユーザ端末300は、電子マネーの発行要求を発行者装置200に送信する。
【0084】
ステップS101において、発行者装置200は、発行要求に基づきユーザ端末300に電子マネーを発行する。発行者装置200は、発行した電子マネーの金額を示す情報を情報処理装置100に送信する。
【0085】
ステップS102において、情報処理装置100は、供託金管理用データベースD111を参照し、発行された電子マネーの発行金額に基づき、当該電子マネーの発行金額の総計に対応する供託金の金額を特定する。
【0086】
ステップS103において、情報処理装置100は、第1送金コントラクトを実行して、特定した供託金の金額に相当するデジタル通貨を、発行事業者のアドレスから供託用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する。なお、発行者装置200が第1送金コントラクトを実行してもよい。
【0087】
ステップS104において、情報処理装置100は、供託金管理用データベースD111を参照し、返還条件を充たす場合、発行事業者に返還可能な供託金の金額を特定する。情報処理装置100は、返還金額を示す情報を発行者装置200から取得してもよい。
【0088】
ステップS105において、情報処理装置100は、第1返還コントラクトを実行して、特定した発行事業者に返還可能な供託金の金額に相当するデジタル通貨を、供託用のアドレスから発行事業者のアドレスに返還する取引をブロックチェーンに記録する。なお、発行者装置200が第1返還コントラクトを実行してもよい。
【0089】
これにより、価値情報の発行に伴う供託金に関する取引を、ブロックチェーンに記録することによって実現することができる。
【0090】
<<保証金管理処理>>
保証金管理処理について説明する。以下では、発行事業者はNFTを発行するものとして説明する。また、ユーザはNFTの購入と、保証金の支払とをデジタル通貨によって行うものとする。
【0091】
ステップS200において、ユーザ端末300は、発行者装置200に価値情報の発行要求を送信する。
【0092】
ステップS201において、発行者装置200は、取得した発行要求に基づきユーザ端末300にNFTを発行する。
【0093】
ステップS202において、情報処理装置100は、発行者装置200から、保証金の金額を特定するための情報(保証金の金額を示す情報、NFTの発行金額を示す情報およびNFTを特定可能な情報のうちの少なくともいずれかの情報)を取得する。
【0094】
ステップS203において、情報処理装置100は、ステップS202で取得した情報に基づき、当該NFTに対応する保証金の金額を特定する。
【0095】
ステップS204において、情報処理装置100は、第2送金コントラクトを実行して、特定した保証金の金額に相当するデジタル通貨を、ユーザのアドレスから保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する。なお、発行者装置200が第2送金コントラクトを実行してもよい。
【0096】
ステップS205において、情報処理装置100は、発行者装置200から取得した情報に基づき、返還条件を充たす場合、第2返還コントラクトを実行し、保証金に相当するデジタル通貨を、保証金収納用のアドレスからユーザのアドレスに返還する取引をブロックチェーンに記録する。なお、発行者装置200が第2返還コントラクトを実行してもよい。
【0097】
これにより、ユーザが支払った保証金に関する取引を、ブロックチェーンに記録することによって実現することができる。
【0098】
===ハードウェア構成===
図7を参照して、情報処理装置100、発行者装置200、ユーザ端末300をコンピュータ1000により実現する場合のハードウェア構成の一例について説明する。なお、情報処理装置100、発行者装置200、ユーザ端末300の各種機能は、複数台の装置に分けて実現できる。
【0099】
図7は、コンピュータのハードウェア構成の一例を示す図である。図7に示すように、コンピュータ1000は、例えば、プロセッサ1001と、メモリ1002と、記憶装置1003と、入力I/F部1004と、データI/F部1005と、通信I/F部1006および表示部1007を含む。
【0100】
プロセッサ1001は、メモリ1002に記憶されているプログラムを実行することによりコンピュータ1000における各種の処理を制御する制御部である。
【0101】
メモリ1002は、例えば、RAM(Random Access Memory)等の記憶媒体である。メモリ1002は、プロセッサ1001によって実行されるプログラムのプログラムコードや、プログラムの実行時に必要となるデータを一時的に記憶する。
【0102】
記憶装置1003は、例えば、ハードディスクドライブ(HDD)やフラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。記憶装置1003は、オペレーティングシステムや、上記各構成を実現するための各種プログラムを記憶する。
【0103】
入力I/F部1004は、ユーザからの入力を受け付けるためのデバイスである。入力I/F部1004の具体例としては、キーボードやマウス、タッチパネル、各種センサ、ウェアラブル・デバイス等である。入力I/F部1004は、例えばUSB(Universal Serial Bus)等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続されてもよい。
【0104】
データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部からデータを入力するためのデバイスである。データI/F部1005の具体例としては、各種記憶媒体に記憶されているデータを読み取るためのドライブ装置等がある。データI/F部1005は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、データI/F部1005は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000へと接続される。
【0105】
通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部の装置と有線又は無線により、インターネットNを介したデータ通信を行うためのデバイスである。通信I/F部1006は、コンピュータ1000の外部に設けられることも考えられる。その場合、通信I/F部1006は、例えばUSB等のインタフェースを介してコンピュータ1000に接続される。
【0106】
表示部1007は、各種情報を表示するためのデバイスである。表示部1007の具体例としては、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ、ウェアラブル・デバイスのディスプレイ等が挙げられる。表示部1007は、コンピュータ1000の外部に設けられてもよい。その場合、表示部1007は、例えばディスプレイケーブル等を介してコンピュータ1000に接続される。また、入力I/F部1004としてタッチパネルが採用される場合には、表示部1007は、入力I/F部1004と一体化して構成することが可能である。
【0107】
===まとめ===
情報処理システム10は、電子的な価値を示す価値情報を発行する事業者からユーザに対して価値情報が発行される場合、価値情報の発行に伴う供託金または保証金に相当するデジタル通貨を供託用のアドレスまたは保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する送金部140と、デジタル通貨が事業者またはユーザに返還されるための所定の条件が充足される場合、事業者のアドレスまたはユーザのアドレスにデジタル通貨を返還する取引をブロックチェーンに記録する返還部150と、を備える。これにより、情報処理システム10は、供託金等の管理の安全性を確保しつつ、当該管理の効率化を実現できる。
【0108】
また、情報処理システム10の送金部140は、価値情報の発行に関する金額のうちの少なくとも一部の金額を保証金として、当該保証金に相当するデジタル通貨を保証金収納用のアドレスに送金する取引を前記ブロックチェーンに記録する。これにより、情報処理システム10は、ユーザによる保証金の支払い手続きを省略できるため、保証金の支払い処理を効率化することができる。
【0109】
また、情報処理システム10の送金部140は、NFTである価値情報の発行に伴う保証金に相当するデジタル通貨を、事業者のアドレスまたはユーザのアドレスから保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録し、返還部150は、NFTがユーザのアドレスから事業者のアドレスに返還されたことを事業者が承認した場合、保証金収納用のアドレスから、事業者のアドレスまたはユーザのアドレスに返還する取引をブロックチェーンに記録する。これにより、情報処理システム10は、様々な条件によって保証金を返還する処理を実現できる。
【0110】
また、情報処理システム10の返還部150は、供託金または保証金に対応する価値情報に設定される有効期限が経過した場合、デジタル通貨を事業者のアドレスに返還する取引をブロックチェーンに記録する。これにより、情報処理システム10は、様々な条件によって保証金を返還する処理を実現できる。
【0111】
また、情報処理システム10は、NFTである価値情報の発行に伴う保証金の金額に基づいて、価値情報の発行に関する金額である発行金額を算出する発行金額算出部160をさらに備え、送金部140は、発行金額でNFTがユーザに発行される場合、保証金に相当するデジタル通貨を保証金収納用のアドレスに送金する取引をブロックチェーンに記録する。これにより、情報処理システム10は、価値情報の発行金額と保証金の金額とのバランスを調整できる。
【0112】
また、情報処理システム10の返還部150は、デジタル通貨が事業者に返還不可能と判定される場合、事業者とは異なる事業者に、デジタル通貨が事業者に返還不可能であることを通知する。これにより、発行事業者またはユーザのアドレスが使用不可能となる事象が発生した場合において、供託金等の払い戻しを可能にする。ユーザおよび発行事業者は、価値情報とデジタル通貨を安全に管理、運用をすることができる。
【0113】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。実施形態が備える各要素ならびにその配置、材料、条件、形状およびサイズ等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、異なる実施形態で示した構成同士を部分的に置換しまたは組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0114】
10…情報処理システム、100…情報処理装置、110…記憶部、120…供託金特定部、130…保証金特定部、140…送金部、150…返還部、160…発行金額算出部、200…発行者装置、300…ユーザ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7