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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140371
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】電流制限回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/00 20060101AFI20241003BHJP
   H02M 1/00 20070101ALI20241003BHJP
【FI】
H02M3/00 J
H02M1/00 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051485
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(74)【代理人】
【識別番号】100135714
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 一生
(74)【代理人】
【識別番号】100167612
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 直行
(72)【発明者】
【氏名】森田 智章
【テーマコード(参考)】
5H730
5H740
【Fターム(参考)】
5H730AS02
5H730BB82
5H730FD31
5H730FG22
5H740BB07
5H740MM11
(57)【要約】
【課題】出力電流の上限を所定の値に制限することのできる電流制限回路を提供する。
【解決手段】電流制限回路110は、出力端子2に供給される第1電流I1に応じたモニタ電圧Vm1を出力する電流モニタ回路1と、モニタ電圧Vm1に基づき、第1電流I1が閾値電流Ith1を超えた時に、第2電流I2を出力端子2に供給し、第1電流I1の上昇を抑制する補助電源回路11とを備え、補助電源回路11は、モニタ電圧Vm1の上昇に応じて下降する制御電圧Vs2の下限値を閾値電圧Vs3に制限する制限回路23と、制御電圧Vs2に基づき、第2電流I2を生成するための補助電流Isを出力する電流生成回路8とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力電流の上限を所定の値に制限するための電流制限回路であって、
第1電圧により生成されて出力端子に供給される第1電流に応じたモニタ電圧を出力する電流モニタ回路と、
前記第1電圧よりも高い第2電圧が供給され、前記モニタ電圧に基づき、前記第1電流が閾値電流を超えた時に、第2電流を前記出力端子に供給し、前記第1電流の上昇を抑制する補助電源回路と
を備え、
前記補助電源回路は、
前記モニタ電圧の上昇に応じて下降する制御電圧を生成する制御電圧生成回路と、
前記第2電流の上限値に応じた閾値電圧を生成する閾値電圧生成回路と、
前記制御電圧の下限値を前記閾値電圧に制限する制限回路と、
前記第2電圧と前記制御電圧との差分電圧に基づき、前記第2電流を生成するための補助電流を出力する電流生成回路と、
を備える、
電流制限回路。
【請求項2】
前記制御電圧生成回路は、
正入力端子に前記モニタ電圧が入力され、負入力端子に前記閾値電流に応じた上限電圧が入力され、前記モニタ電圧と前記上限電圧の差動電圧を出力する第1差動増幅器と、
制御電極に前記差動電圧が入力される第1トランジスタと、
第1主電極に前記第2電圧が入力され、第2主電極に前記第1トランジスタの第1主電極が接続されている第2トランジスタと、
第1端が前記第1トランジスタの第2主電極に接続され、第2端がグランドに接続された抵抗と
を備え、
前記第1トランジスタと前記第2トランジスタの接続点から前記制御電圧が出力される、
請求項1に記載の電流制限回路。
【請求項3】
前記閾値電圧生成回路は、
第1主電極に前記第2電圧が入力される第3トランジスタと、
第1端が前記第3トランジスタの第2主電極に接続され、第2端が前記グランドに接続された可変定電流源と
を備え、
前記第3トランジスタと前記可変定電流源の接続点から前記閾値電圧が出力される、
請求項2に記載の電流制限回路。
【請求項4】
前記制限回路は、
第1主電極に前記第2電圧が接続され、第2主電極に前記第1トランジスタと前記第2トランジスタの接続点が接続された第4トランジスタと、
負入力端子に前記制御電圧が入力され、正入力端子に前記閾値電圧が入力され、出力端子が前記第4トランジスタの制御電極に接続された第3差動増幅器と
を備えた、
請求項3に記載の電流制限回路。
【請求項5】
前記電流生成回路は、
前記第2電圧が供給されるスイッチング電源と、
正入力端子に前記制御電圧が入力され、負入力端子に前記スイッチング電源の出力に応じて前記第2電圧から下降する信号電圧が入力される第2差動増幅器と
を備え、
前記スイッチング電源は、前記第2差動増幅器の出力に応じてオンオフされることにより、補助電流を出力する
請求項4に記載の電流制限回路。
【請求項6】
第1端が前記スイッチング電源の出力に接続されたインダクタと、第1端が前記インダクタの第2端に接続され、第2端が前記グランドに接続されたキャパシタとを備えた整流回路が設けられ、
前記補助電流は、前記整流回路により整流され、前記第2電流が生成される
請求項5に記載の電流制限回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流制限回路に関する。
【背景技術】
【0002】
負荷等に電圧や電流を供給するための電源回路には、一般的に、電源回路を保護するために、電源回路を流れる過電流を防止するための回路が搭載されている。
【0003】
そのような回路の一例として、特許文献1には、過電流保護回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-136418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば、第1電源により生成される第1電圧が入力端子に印加され、出力端子に一定の電流を供給する電源回路において、入力端子から出力端子に供給される電流が閾値に達した場合、入力端子から出力端子に流れる電流を抑制するために、第1電源以外に補助電源回路を設けて、補助電源回路からも出力端子に電流を供給する場合が考えられる。
【0006】
このような電源回路では、補助電源回路自身や付属部品等の定格電流を超えないように、補助電源回路の出力電流の上限を所定の値に制限する必要がある。
【0007】
本開示の目的は、補助電源回路から出力される電流の上限を所定の値に制限することのできる電流制限回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様は、出力電流の上限を所定の値に制限するための電流制限回路であって、第1電圧により生成されて出力端子に供給される第1電流に応じたモニタ電圧を出力する電流モニタ回路と、第1電圧よりも高い第2電圧が供給され、モニタ電圧に基づき、第1電流が閾値電流を超えた時に、第2電流を出力端子に供給し、第1電流の上昇を抑制する補助電源回路とを備える。補助電源回路は、モニタ電圧の上昇に応じて下降する制御電圧を生成する制御電圧生成回路と、第2電流の上限値に応じた閾値電圧を生成する閾値電圧生成回路と、制御電圧の下限値を閾値電圧に制限する制限回路と、第2電圧と制御電圧との差分電圧に基づき、第2電流を生成するための補助電流を出力する電流生成回路とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様によれば、補助電源回路から出力される電流の上限を所定の値に制限することのできる電流制限回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、電源回路の一例を示す回路図である。
図2A図2Aは、図1の電源回路の第1電流I1の電流値を表す図である。
図2B図2Bは、図1の電源回路の第2電流I2の電流値を表す図である。
図2C図2Cは、図1の電源回路の第3電流I3の電流値を表す図である。
図3図3は、図1の電源回路に設けられる参考例に係る補助電源回路の一例を示す回路図である。
図4A図4Aは、参考例に係る補助電源回路のモニタ電圧Vm1の電圧値を表す図である。
図4B図4Bは、参考例に係る補助電源回路の差動電圧Vs1の電圧値を表す図である。
図4C図4Cは、参考例に係る補助電源回路の制御電圧Vs2の電圧値を表す図である。
図5図5は、実施形態に係る電流制限回路で用いられる補助電源回路の一例を示す回路図である。
図6A図6Aは、実施形態に係る電流制限回路を備えた電源回路のモニタ電圧Vm1の電圧値を表す図である。
図6B図6Bは、実施形態に係る電流制限回路を備えた電源回路の差動電圧Vs1の電圧値を表す図である。
図6C図6Cは、実施形態に係る電流制限回路を備えた電源回路の制御電圧Vs2の電圧値を表す図である。
図7A図7Aは、実施形態に係る電流制限回路を備えた電源回路の第1電流I1の電流値を表す図である。
図7B図7Bは、実施形態に係る電流制限回路を備えた電源回路の第2電流I2の電流値を表す図である。
図7C図7Cは、実施形態に係る電流制限回路を備えた電源回路の第3電流I3の電流値を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面を参照して、実施形態を説明する。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。なお、以下で説明する実施形態は、包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の設置位置及び接続形態は、一例であり、本開示に限定する主旨ではない。また、以下の実施形態における構成要素のうち、最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。さらに、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
【0012】
また、以下に示す参考例および実施形態には、同様の構成要素が含まれている場合があり、同様の構成要素には共通の符号を付与し、重複する説明を省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る電流制限回路110が適用される参考例に係る電源回路100の一例を示す図である。以下では、電源回路100の構成を説明した後に、実施形態に係る電流制限回路110の説明を行う。
【0014】
(参考例)
図2A、2B、2Cは、参考例に係る電源回路100の第1電流I1、第2電流I2、第3電流I3の電流値を表す図である。
【0015】
図1に示す電源回路100は、出力端子2に所定の大きさの定電流を供給するための回路である。電源回路100は、第1電圧V1を供給する第1直流電源と、出力端子2と、電流モニタ回路1と、補助電源回路10とを備える。電流モニタ回路1は、第1直流電源による第1電圧V1(例えば、+5V)により生成されて出力端子2に供給される第1電流I1に応じたモニタ電圧Vm1を出力する。補助電源回路10は、第2直流電源から第1電圧V1よりも高い第2電圧V2(例えば、+12V)が供給され、モニタ電圧Vm1に基づき、第1電流I1が第1閾値電流Ith1を超えた時に第2電流I2を出力端子2に供給する。補助電源回路10は、高周波で動作するスイッチング電源であり、高周波の補助電流Isを出力する。補助電源回路10は、例えば、IC(Integrated Circuit)のような部品により構成することができる。
【0016】
補助電流Isは、第1端が補助電源回路10の出力に接続されたインダクタLと、インダクタLの第2端とグランドの間に接続されたキャパシタCにより構成された整流回路により整流されて、直流の第2電流I2となる。第2電流I2の大きさは、補助電流Isの振幅の大きさのおよそ半分程度となる。出力端子2には、第1電流I1と第2電流I2の和である第3電流I3が所定の大きさの定電流として供給される。
【0017】
ここで、図2Cに示すように、電源回路100が時間tに比例して増加する第3電流I3を出力端子2に供給するように動作させる場合を考える。
【0018】
このとき、時刻0~t1の間は、電源回路100は、図2Aに示すように、第1電圧V1により生成された第1電流I1のみを出力端子2に供給する。そして、時刻t1において、第1電流I1が第1電源の性能などによって決定された第1閾値電流Ith1に達したことを電流モニタ回路1により検出されると、補助電源回路10が補助電流Isを出力し、第2電流I2が出力端子2に供給されるようになる。すると、図2Aに示すように、時刻t1で、第1電圧V1により生成される第1電流I1が減少する。そして、図2Cに示すように、時刻t1を超えて、第3電流I3を増加させていくと、図2Aに示すように、第1電流I1の上昇が抑制されて、図2Bに示すように、第2電流I2を上昇させるように補助電源回路10が動作する。なお、図2Aにおいて、第1電流I1の変化の様子を分かりやすく書いてあるが、時刻t1より後の第1電流I1の増加は、時刻t1より前の第1電流I1の増加に対して極めて小さく、時刻t1より後の第2電流I2の増加に対して無視できる程度の量である。
【0019】
図3は、電源回路100を図2A、2B、2Cのように第1電流I1、第2電流I2、第3電流I3を動作させるための補助電源回路10の一例を示す回路図である。補助電源回路10は、制御電圧生成回路21と電流生成回路8を備える。
【0020】
制御電圧生成回路21は、第1差動増幅器3と、第1トランジスタQ1と、第2トランジスタQ2と、第1抵抗R1とを備える。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2は、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)により構成されている。第1差動増幅器3は、正入力端子+にモニタ電圧Vm1が入力され、負入力端子-に第1閾値電流Ith1に応じた上限電圧Vth1が入力され、モニタ電圧Vm1と上限電圧Vth1の差動電圧Vs1を出力する。第1差動増幅器3の増幅率は、第1差動増幅器3に接続されている抵抗により適宜設定することができる。差動電圧Vs1は、第1トランジスタQ1の制御電極(例えば、ゲート)に入力される。第2トランジスタQ2は、第1主電極(例えば、ドレイン)に第2電圧V2が入力され、第2主電極(例えば、ソース)に第1トランジスタQ1の第1主電極(例えば、ドレイン)が接続され、制御電極(例えば、ゲート)に第1電圧V1と第2電圧V2の和の電圧が入力されている。第1抵抗R1は、第1端が第1トランジスタQ1の第2主電極に接続され、第2端がグランドに接続されている。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の接続点からは、制御電圧Vs2が出力される。
【0021】
電流生成回路8は、スイッチング電源5と、第2差動増幅器4と、第2抵抗R2とを備える。スイッチング電源5には、第2電圧V2が供給されており、第2電圧V2から高周波の補助電流Isを生成する。第2抵抗R2は、第1端に第2電圧V2が入力されており、第2端がスイッチング電源5に接続されている。第2抵抗R2の第2端の信号電圧Vm2は、補助電流IsがゼロのときにはV2となり、補助電流Isの上昇に伴ってV2から下降していく。第2差動増幅器4は、正入力端子+に制御電圧Vs2が入力され、負入力端子―に信号電圧Vm2が入力される。スイッチング電源5は、第2差動増幅器4の出力に応じてオンオフされることにより、振幅がV2-Vs2に応じた高周波の補助電流Isを出力する。
【0022】
次に、参考例の補助電源回路10の動作を説明する。図4A、4B、4Cは、補助電源回路10のモニタ電圧Vm1、差動電圧Vs1、制御電圧Vs2の電圧値を表す図である。
【0023】
図4Aに示すように、モニタ電圧Vm1は、図2Aの第1電流I1の変化に応じて変化する。そして、モニタ電圧Vm1が第1閾値電流Ith1に対応した値である上限電圧Vth1よりも小さいときは、図4Bに示すように、第1差動増幅器3の出力する差動電圧Vs1はゼロとなる。このとき、第1トランジスタQ1はオフ状態となり、図4Cに示すように、制御電圧Vs2は第2電圧V2と等しくなる。この時、第2差動増幅器4の出力はゼロとなるため、スイッチング電源5の出力である補助電流Isもゼロとなる。このため、出力端子2には、第3電流I3として第1電流I1のみが供給される。
【0024】
そして、モニタ電圧Vm1が時刻t1で上限電圧Vth1に達すると、第1差動増幅器3は差動電圧Vs1としてVm1-Vth1に比例した正の電圧を出力するようになる。すると、第1トランジスタQ1が差動電圧Vs1の値に応じてオンとなり、第1抵抗R1に電流が流れることにより、図4Cに示すように、制御電圧Vs2が下降し始める。すると、スイッチング電源5が、第2差動増幅器4の出力に応じてオンオフされ、振幅がV2-Vs2に応じた高周波の補助電流Isを出力するようになり、出力端子2には第3電流I3として第1電流I1と第2電流I2の和の直流電流が供給される。
【0025】
そして、時刻t1を経過すると、出力端子2に第3電流I3として第1電流I1と第2電流I2の和の直流電流が供給されることにより、第1電流I1の増加率が減少するため、モニタ電圧Vm1の増加率も減少する。第1差動増幅器3は、この増加率の減少したモニタ電圧Vm1の大きさに応じて、所望の大きさの第2電流I2が生成されるように、差動電圧Vs1の増幅率が設定されている。
【0026】
このような構成により、電源回路100では、第1電流I1が第1閾値電流Ith1以下の時には、第3電流I3として第1電流I1のみが出力端子2に供給され、第1電流I1が第1閾値電流Ith1を超えた時には、第3電流I3として第1電流I1と第2電流I2の和の直流電流が出力端子2に供給される。
【0027】
しかしながら、補助電源回路10では、第2電流I2を生成するための高周波の補助電流Isの上限を決める構成がないため、補助電流Isが補助電源回路10やインダクタLの定格電流を超えて上昇してしまうおそれがある。また、補助電流Isの上昇に伴い、第2電流I2、第3電流I3も上昇するため、第2電流I2、第3電流I3が外付けの部品などの定格電流を超えて上昇してしまうおそれがある。
【0028】
(実施形態)
図5は、図1に示した電源回路100に適用可能な実施形態に係る補助電源回路11の一例を示す回路図である。実施形態では、電流モニタ回路1と補助電源回路11により、電源回路100の出力電流の上限を所定の値に制限する電流制限回路110を構成している。
【0029】
実施形態の電流制限回路110では、補助電源回路11が、補助電流Isの上限値を制限するための構成として、閾値電圧生成回路22と制限回路23を更に備えているという点が、参考例の補助電源回路10に対して相違している。その他の電流制限回路110を備えた電源回路100の構成は、参考例の電源回路100と同一のため、詳細な説明は省略する。
【0030】
上述の通り、図5に示す実施形態の補助電源回路11は、図3に示した参考例の補助電源回路10に対して、閾値電圧生成回路22と、制限回路23を更に備える。閾値電圧生成回路22は、補助電流Is、第2電流I2、第3電流I3の上限値に応じた閾値電圧Vs3を生成するための回路である。制限回路23は、制御電圧Vs2の下限値を閾値電圧Vs3に制限するための回路である。
【0031】
閾値電圧生成回路22は、第3トランジスタQ3と、可変定電流源6とを備える。第3トランジスタQ3は、例えば、MOSFETにより構成されている。第3トランジスタQ3の第1主電極(例えば、ドレイン)には、第2電圧V2が入力されている。可変定電流源6は、第1端が第3トランジスタQ3の第2主電極(例えば、ソース)に接続され、第2端がグランドに接続されている。第3トランジスタQ3と可変定電流源6の接続点から閾値電圧Vs3が出力される。可変定電流源6の電流値を調整することにより、所望の補助電流Is、第2電流I2、または第3電流I3の上限値に応じて閾値電圧Vs3を任意に設定することができる。
【0032】
制限回路23は、第4トランジスタQ4と、第3差動増幅器7とを備える。第4トランジスタQ4は、例えば、MOSFETにより構成されている。第4トランジスタQ4は、第1主電極(例えば、ドレイン)に第2電圧V2が入力され、第2主電極(例えば、ソース)に第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の接続点が接続されている。第3差動増幅器7は、負入力端子-に制御電圧Vs2が入力され、正入力端子+に閾値電圧Vs3が入力され、出力端子が第4トランジスタQ4の制御電極(例えば、ゲート)に接続されている。
【0033】
電流生成回路8の第2差動増幅器4の正入力端子+には、下限値を閾値電圧Vs3に制限された制御電圧Vs2が入力される。
【0034】
次に、図6A、6B、6Cおよび図7A、7B、7Cを用いて、実施形態に係る電流制限回路110を備えた電源回路100の動作について説明する。図6A、6B、6Cは、電流制限回路110を備えた電源回路100のモニタ電圧Vm1、差動電圧Vs1、制御電圧Vs2の電圧値を表す図である。図7A、7B、7Cは、電流制限回路110を備えた電源回路100の第1電流I1、第2電流I2、第3電流I3の電流値を表す図である。
【0035】
図6A、6B、6Cおよび図7A、7B、7Cにおいて、時刻t2に達するまでの電流制限回路110を備えた電源回路100の動作は、図4A、4B、4Cを参照して説明した参考例に係る電源回路100の動作と同一のため、詳細な説明を省略する。
【0036】
時刻t1を超えると、図6Bのような差動電圧Vs1の上昇に伴い、図6Cのように制御電圧Vs2が第2電圧V2から下降していく。そして、第3差動増幅器7の出力に応じて第4トランジスタQ4がオンしていくことにより、第4トランジスタQ4の第2主電極の電位が制御電圧Vs2と等しく変化していく。制御電圧Vs2が下降していき、時刻t2において、制御電圧Vs2が閾値電圧Vs3に等しくなると、第3差動増幅器7により第4トランジスタQ4の第2主電極の電位も閾値電圧Vs3と等しくなる。そして、時刻t2を超えて、更に差動電圧Vs1が上昇していっても、第3差動増幅器7により第4トランジスタQ4の第2主電極の電位が閾値電圧Vs3に維持されるため、図6Cに示すように、制御電圧Vs2の下限値が閾値電圧Vs3に制限されることになる。
【0037】
このため、時刻t2以降は、第2差動増幅器4の正入力端子+には、閾値電圧Vs3の定電圧が入力されるようになり、スイッチング電源5は、第2差動増幅器4の出力に応じてオンオフされることにより、振幅がV2-Vs3の定電圧に応じて振幅の制限された高周波の補助電流Isを出力する。
【0038】
そして、時刻t2以降は、図7Bに示すように、第2電流I2はIth2に制限され、図7Cに示すように、第1電流I1と第2電流I2の和である第3電流I3は、Ith3=Ith1+Ith2に制限されることになる。
【0039】
以上、実施形態に係る電流制限回路110によれば、補助電流Is、第2電流I2、第3電流I3等の出力電流の上限を所定の値に制限することができるため、補助電源回路11やインダクタL、外付けの部品などの定格電流を超えて上昇してしまうことを防止することができる。
【0040】
なお、上述の実施形態は本発明の一例である。このため、本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
【0041】
(付記)
(付記1:図1、5、6A、6B、6C、7A、7B、7C)
出力電流Is,I2,I3の上限を所定の値に制限するための電流制限回路110は、第1電圧V1により生成されて出力端子2に供給される第1電流I1に応じたモニタ電圧Vm1を出力する電流モニタ回路1と、第1電圧V1よりも高い第2電圧V2が供給され、モニタ電圧Vm1に基づき、第1電流I1が閾値電流Ith1を超えた時に、第2電流I2を出力端子2に供給し、第1電流I1の上昇を抑制する補助電源回路11とを備える。補助電源回路11は、モニタ電圧Vm1の上昇に応じて下降する制御電圧Vs2を生成する制御電圧生成回路21と、第2電流I2の上限値に応じた閾値電圧Vs3を生成する閾値電圧生成回路22と、制御電圧Vs2の下限値を閾値電圧Vs3に制限する制限回路23と、第2電圧V2と制御電圧Vs2との差分電圧に基づき、第2電流I2を生成するための補助電流Isを出力する電流生成回路8とを備える。付記1に記載の電流制限回路110によれば、補助電流Is、第2電流I2、第3電流I3の上限を所定の値に制限することができるため、補助電源回路11やインダクタL、または外付けの部品などの定格電流を超える電流が流れることを防止することができる。
【0042】
(付記2:図5
付記1に記載の電流制限回路110において、制御電圧生成回路21は、正入力端子+にモニタ電圧Vm1が入力され、負入力端子-に閾値電流Ith1に応じた上限電圧Vth1が入力され、モニタ電圧Vm1と上限電圧Vth1の差動電圧Vs1を出力する第1差動増幅器3と、制御電極に差動電圧Vs1が入力される第1トランジスタQ1と、第1主電極に第2電圧V2が入力され、第2主電極に第1トランジスタQ1の第1主電極が接続されている第2トランジスタQ2と、第1端が第1トランジスタQ1の第2主電極に接続され、第2端がグランドに接続された抵抗R1とを備える。第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の接続点から制御電圧Vs2が出力される。
【0043】
(付記3:図5
付記2に記載の電流制限回路110において、閾値電圧生成回路22は、第1主電極に第2電圧V2が入力される第3トランジスタQ3と、第1端が第3トランジスタQ3の第2主電極に接続され、第2端がグランドに接続された可変定電流源6とを備える。第3トランジスタQ3と可変定電流源6の接続点から閾値電圧Vs3が出力される。
【0044】
(付記4:図5
付記3に記載の電流制限回路110において、制限回路23は、第1主電極に第2電圧V2が入力され、第2主電極に第1トランジスタQ1と第2トランジスタQ2の接続点が接続された第4トランジスタQ4と、負入力端子-に制御電圧Vs2が入力され、正入力端子+に閾値電圧Vs3が入力され、出力端子が第4トランジスタQ4の制御電極に接続された第3差動増幅器7とを備える。
【0045】
(付記5:図5
付記4に記載の電流制限回路110において、電流生成回路8は、第2電圧V2が供給されるスイッチング電源5と、正入力端子+に制御電圧Vs2が入力され、負入力端子-にスイッチング電源5の出力に応じて第2電圧V2から下降する信号電圧Vm2が入力される第2差動増幅器4とを備える。スイッチング電源5は、第2差動増幅器4の出力に応じてオンオフされることにより、補助電流Isを出力する。
【0046】
(付記6:図1,5)
付記5に記載の電流制限回路110において、第1端がスイッチング電源5の出力に接続されたインダクタLと、第1端がインダクタの第2端に接続され、第2端がグランドに接続されたキャパシタCとを備えた整流回路が設けられ、補助電流Isは、整流回路により整流され、第2電流I2が生成される。
【符号の説明】
【0047】
1 電流モニタ回路
2 出力端子
3 第1差動増幅器
4 第2差動増幅器
5 スイッチング電源
6 定電流源
7 第3差動増幅器
8 電流生成回路
11 補助電源回路
21 制御電圧生成回路
22 閾値電圧生成回路
23 制限回路
100 電源回路
110 電流制限回路
C キャパシタ
I1 第1電流
I2 第2電流
I3 第3電流
Is 補助電流
Ith1 第1閾値電流(閾値電流)
L インダクタ
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
V1 第1電圧
V2 第2電圧
Vm1 モニタ電圧
Vm2 信号電圧
Vs1 差動電圧
Vs2 制御電圧
Vs3 閾値電圧
Vth1 上限電圧
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C