IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 横河電子機器株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-鳥獣被害防止システム 図1
  • 特開-鳥獣被害防止システム 図2
  • 特開-鳥獣被害防止システム 図3
  • 特開-鳥獣被害防止システム 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140412
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】鳥獣被害防止システム
(51)【国際特許分類】
   G01S 13/56 20060101AFI20241003BHJP
   G01S 13/86 20060101ALI20241003BHJP
   G01S 13/87 20060101ALI20241003BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01S13/56
G01S13/86
G01S13/87
G08B25/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051544
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000232357
【氏名又は名称】株式会社YDKテクノロジーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100181124
【弁理士】
【氏名又は名称】沖田 壮男
(72)【発明者】
【氏名】内野 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】上野 光司
(72)【発明者】
【氏名】立木 駿一
(72)【発明者】
【氏名】佐野 直樹
(72)【発明者】
【氏名】内田 広果
【テーマコード(参考)】
5C087
5J070
【Fターム(参考)】
5C087AA11
5C087AA32
5C087BB19
5C087BB20
5C087BB22
5C087DD03
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG66
5C087GG84
5J070AB15
5J070AC02
5J070AC06
5J070AD02
5J070AE10
5J070AF01
5J070AK31
5J070BA01
5J070BD01
5J070BD08
(57)【要約】
【課題】有害鳥獣に対してより的確な威嚇が可能な鳥獣被害防止システムを提供する。
【解決手段】監視領域の侵入物を検出するレーダ装置と、侵入物に対する警報を発する警報装置と、レーダ装置が前記侵入物を検出すると、警報装置に作動信号を出力するコントローラとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の侵入物を検出するレーダ装置と、
前記侵入物に対する警報を発する警報装置と、
前記レーダ装置が前記侵入物を検出すると、前記警報装置に作動信号を出力するコントローラと
を備えることを特徴とする鳥獣被害防止システム。
【請求項2】
前記レーダ装置は、
前記監視領域に検出媒体を照射するとともに前記監視領域における前記検出媒体の反射媒体に基づいて前記侵入物を検出するレーダ本体と、
前記レーダ本体における前記検出媒体の照射方向を設定する走査装置と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の鳥獣被害防止システム。
【請求項3】
前記監視領域の映像を監視領域映像として撮像する撮像装置をさらに備え、
前記コントローラは、前記レーダ装置が前記侵入物を検出することに加え、前記監視領域映像に前記侵入物が存在すると判定すると、前記警報装置に作動信号を出力することを特徴とする請求項1又は2に記載の鳥獣被害防止システム。
【請求項4】
前記レーダ装置は、前記監視領域の周囲の異なる場所に複数設けられていることを特徴とする請求項1に記載の鳥獣被害防止システム。
【請求項5】
前記レーダ装置は、前記監視領域の周囲又は前記監視領域の内部の1ヶ所に設けられることを特徴とする請求項2に記載の鳥獣被害防止システム。
【請求項6】
前記監視領域は、複数の小領域に区分されており、
前記警報装置は、前記小領域毎に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の鳥獣被害防止システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鳥獣被害防止システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、鳥獣威嚇用爆音機が開示されている。この鳥獣威嚇用爆音機は、電磁弁と点火プラグをコントローラで制御することにより一定量のガスを爆発筒1内に噴射して点火及び爆発させ、その際の爆発音によって有害鳥獣を威嚇し退散せしめるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3151117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記鳥獣威嚇用爆音機は、メイン基板に設けられたタイマー回路により一定の時間内に爆発音を間欠的に発生させるものであり、有害鳥獣が居ない状態でも爆発音を発生させている。すなわち、上記鳥獣威嚇用爆音機は、無用な爆発音を発生させ得るものである。このような無用な爆発音は、近隣住民に対する騒音問題、有害鳥獣が爆発音に慣れることによる威嚇効果の低下等を招来させる。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、有害鳥獣に対してより的確な威嚇が可能な鳥獣被害防止システムの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、鳥獣被害防止システムに係る第1の解決手段として、監視領域の侵入物を検出するレーダ装置と、前記侵入物に対する警報を発する警報装置と、前記レーダ装置が前記侵入物を検出すると、前記警報装置に作動信号を出力するコントローラとを備える、という手段を採用する。
【0007】
本発明では、鳥獣被害防止システムに係る第2の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記レーダ装置は、前記監視領域に検出媒体を照射するとともに前記監視領域における前記検出媒体の反射媒体に基づいて前記侵入物を検出するレーダ本体と、前記レーダ本体における前記検出媒体の照射方向を設定する走査装置とを備える、という手段を採用する。
【0008】
本発明では、鳥獣被害防止システムに係る第3の解決手段として、上記第1または第2の解決手段において、前記監視領域の映像を監視領域映像として撮像する撮像装置をさらに備え、前記コントローラは、前記レーダ装置が前記侵入物を検出することに加え、前記監視領域映像に前記侵入物が存在すると判定すると、前記警報装置に作動信号を出力する、という手段を採用する。
【0009】
本発明では、鳥獣被害防止システムに係る第4の解決手段として、上記第1の解決手段において、前記レーダ装置は、前記監視領域の周囲の異なる場所に複数設けられている、という手段を採用する。
【0010】
本発明では、鳥獣被害防止システムに係る第5の解決手段として、上記第2の解決手段において、前記レーダ装置は、前記監視領域の周囲又は前記監視領域の内部の1ヶ所に設けられる、という手段を採用する。
【0011】
本発明では、鳥獣被害防止システムに係る第6の解決手段として、上記第1又は第2の解決手段において、前記監視領域は、複数の小領域に区分されており、前記警報装置は、前記小領域毎に設けられている、という手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、有害鳥獣に対してより的確な威嚇が可能な鳥獣被害防止システムを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る鳥獣被害防止システムの機能構成を示すシステム構成図である。
図2】本発明の一実施形態における耕作地(監視領域)及びレーダの配置を示す模式図である。
図3】本発明の一実施形態に係る鳥獣被害防止システムの動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の一実施形態におけるレーダの配置の変形例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る鳥獣被害防止システムAは、耕作地Xにおける有害鳥獣の侵入を抑制することにより、農業における鳥獣被害を防止するシステムである。耕作地Xは、本発明における監視領域に相当する。
【0015】
この鳥獣被害防止システムAは、図1に示すように、レーダ本体1、雲台2、コントローラ3、電源4及び複数(n×m)個の爆音機E11~Enmを備えている。n及びmは、図2に示すように、矩形状の耕作地Xを複数に区分した矩形状の小エリア11~nmに対応するものであり、例えば2以上の自然数である。
【0016】
すなわち、本実施形態に係る鳥獣被害防止システムAは、(n×m)個の小エリア11~nmに区分された耕作地Xを監視対象とし、当該耕作地Xに鳥獣が侵入することによる被害の発生を防止するものである。
【0017】
これら構成要素のうち、レーダ本体1及び雲台2は、本発明におけるレーダ装置Lを構成している。また、複数個の爆音機E11~Enmは、本発明における警報装置Eを構成している。すなわち、鳥獣被害防止システムAは、レーダ装置Lと、警報装置Eと、コントローラ3とに加え、電源4を備えている。
【0018】
レーダ本体1は、コントローラ3から入力される制御信号に基づいて耕作地Xにおける有害鳥獣等の浸入物を検出する侵入検出装置である。このレーダ本体1は、図1に示すように、送信アンテナ1a、受信アンテナ1b、送受信部1c及び信号処理部1dを構成要素として備えている。
【0019】
送信アンテナ1aは、送受信部1cから入力される送信信号に基づいて所定波長の電波(送信波)を耕作地Xに照射する。受信アンテナ1bは、耕作地Xにおける送信波の反射波を受信し、当該反射波を示す受信信号を送受信部1cに出力する。
【0020】
上記電波(送信波)の波長域は、例えばマイクロ波帯である。すなわち、送信アンテナ1aは、マイクロ波帯の送信波を高効率で耕作地Xに照射する性能を備える。また、受信アンテナ1bは、マイクロ波帯の反射波を高効率で受信する性能を備える。なお、送信波は本発明における検出媒体であり、上記反射波は本発明における反射媒体である。
【0021】
送受信部1cは、上記送信信号の生成に加え、上記受信信号に復調処理を施すことにより、耕作地Xにおける複数の検出地点の状態を示す信号(状態信号)を順次取得する。送受信部1cは、上記状態信号を信号処理部1dに出力する。送受信部1cは、例えば周知の2周波ドップラー方式に基づいて送信信号を生成する。
【0022】
ここで、送信信号に基づいて送信アンテナ1aから耕作地Xに照射され、また耕作地Xで反射することにより受信アンテナ1bで受信信号に変換される反射波は、レーダ本体1から耕作地Xの検出地点までの距離(検出距離)と検出地点に存在する物体の移動速度(検出速度)を耕作地情報として含んでいる。すなわち、送受信部1cが信号処理部1dに出力する状態信号は、耕作地Xの検出地点における検出距離と検出速度との両方を耕作地情報として含んでいる。
【0023】
信号処理部1dは、このような状態信号に所定の信号処理を施すことにより耕作地Xにおける侵入物を検知する。すなわち、信号処理部1dは、耕作地Xの検出地点における検出距離と検出速度に基づいて、耕作地X(静物)とは異なる侵入物(動物)を検知する。
【0024】
このようなレーダ本体1は、図2(a)に示すように耕作地Xにおける四隅の1つ近傍かつ耕作地Xの外側に設けられている。すなわち、レーダ本体1は、耕作地Xの四隅の1つ近傍かつ耕作地Xの外側から耕作地Xに向けて送信波を照射することにより侵入物を検出する。
【0025】
レーダ本体1は耕作地Xに対して1つ設けられ、その設置位置は、図2(a)に示すように耕作地Xの四隅の1つ近傍かつ耕作地Xの外側が好ましいものの、これに限定されない。例えば、図2(b)に示すように、耕作地Xの内側、例えば耕作地Xの中心近傍に設けてもよい。
【0026】
雲台2は、コントローラ3から入力される制御信号に基づいてレーダ本体1における送信波の照射方向を設定する走査装置である。雲台2は、レーダ本体1を支持するとともに当該レーダ本体1の向きを左右方向及び上下方向に順次変更する電動式のパンチルト機構を備えており、被支持物であるレーダ本体1の送信波を耕作地Xの全領域に亘って二次元的に走査する。
【0027】
図2(a)に示すようにレーダ本体1を耕作地Xの四隅の1つ近傍かつ耕作地Xの外側に設置した場合、他の設置位置に比べて雲台2の可動範囲を狭くすることができる。この雲台2の可動範囲を狭くすることは、耕作地Xに対する送信波の照射位置精度を向上させるものである。レーダ本体1の送信波は、雲台2が走査機能を発揮することによって、耕作地X中の各地点に高精度に位置決めされて照射される。
【0028】
すなわち、雲台2は、送信波を耕作地X中の各地点に高精度に位置決めして照射することにより、侵入物の位置及び移動方向を高精度に検出するために設けられている。送信波を二次元的に走査する手法としては、例えばフェーズドアレイアンテナのように送信波の照射方向を電気的に変更するものがあるが、これに対して雲台2は、送信波の照射方向を機械的に変更するものである。このような雲台2によれば、送信波の照射方向を高精度に変更することが可能である。
【0029】
コントローラ3は、レーダ装置L及び警報装置Eを制御するための制御信号を生成する。このコントローラ3は、専用の監視制御プログラムに基づいてレーダ装置L及び警報装置Eを制御するソフトウエア制御装置であり、耕作地Xの形状や広さ及びレーダ本体1の耕作地Xとの位置関係等応じて送信波の照射範囲を自在に変更する。
【0030】
すなわち、コントローラ3は、送信波が耕作地Xの全領域に的確に照射されるように、つまり耕作地Xの全領域について侵入物を的確に転出できるようにレーダ装置Lを制御する。また、コントローラ3は、レーダ装置Lの検出結果に応じて警報装置Eを適切に作動させる。
【0031】
電源4は、レーダ装置L、警報装置E、コントローラ3及び警報装置Eに作動電力を供給する電力回路である。この電源4は、レーダ装置L、警報装置E、コントローラ3及び警報装置Eの仕様に応じた電圧(電源電圧)の直流電力を系統電力から生成する。例えば、コントローラ3と警報装置Eとで電源電圧が異なる場合、電源4は、コントローラ3に適した電源電圧の直流電力をコントローラ3に出力し、また警報装置Eに適した電源電圧の直流電力を警報装置Eに出力する。
【0032】
複数の爆音機E11~Enmは、耕作地Xの侵入物に対する警報として爆発音を発する発音器である。これらの爆音機E11~Enmは、図2に示す耕作地Xの小エリア11、小エリア12、…、小エリアnm(小領域)に対応して(n×m)個設けられている。例えば、爆音機E11は耕作地Xの小エリア11(小領域)に設けられ、爆音機Enmは耕作地Xの小エリアnm(小領域)に設けられる。
【0033】
次に、本実施形態に係る鳥獣被害防止システムAの動作について、図3に示すフローチャートに沿って説明する。
【0034】
コントローラ3は、監視制御プログラムを実行することにより、所定の設定タイミング(時刻または周期)に制御信号を生成してレーダ本体1及び雲台2に出力する。すなわち、コントローラ3は、内部時計が計時する時刻又は周期が設定タイミングになったか否かを判断し(ステップS1)、この判断が「Yes」になると制御信号をレーダ本体1及び雲台2に出力することによりレーダ装置Lを作動させる(ステップS2)。
【0035】
レーダ装置Lは、作動することによって耕作地Xの全域に亘る複数の検出地点について検出距離及び検出速度を取得し、耕作地Xに侵入物が存在するかを判断する(ステップS3)。そして、レーダ装置Lは、ステップS3の判断が「Yes」になると、耕作地Xにおけるどの小エリア11~nmに侵入物が存在するかを特定する(ステップS4)。
【0036】
さらに、レーダ装置Lは、ステップS4の処置が完了すると、耕作地Xにおける侵入物の移動方向を特定する(ステップS5)。レーダ装置Lは、ステップS5の処理が完了すると、ステップS4の処理結果つまり侵入物の存在エリア及びステップS5の処理結果つまり侵入物の移動方向をコントローラ3に出力する。
【0037】
コントローラ3は、レーダ装置Lから入力される侵入物の存在エリア及び侵入物の移動方向に基づいて、複数の爆音機E11~Enmのうち作動させるべき爆音機を選定する(ステップS6)。例えば小エリア11が侵入物の存在エリアであった場合、コントローラ3は、小エリア11に設けられた爆音機E11を選定する。
【0038】
そして、コントローラ3は、作動対象として選定した爆音機に作動信号を出力することにより作動させる(ステップS7)。コントローラ3は、例えばステップS6において爆音機E11を作動対象に選定した場合、爆音機E11のみに作動信号を出力する。この結果、複数の爆音機E11~Enmのうち、爆音機E11のみが爆音を発生させる。
【0039】
また、侵入物の移動方向が小エリア11から小エリア12に向かい方向であった場合、コントローラ3は、小エリア11に設けられた爆音機E11に加えて、小エリア12に設けられた爆音機E12を作動対象として選定する。そして、コントローラ3は、作動対象として選定した爆音機E11及び爆音機E12に作動信号を出力することにより、爆音機E11及び爆音機E12に爆音を発生させる。
【0040】
このような鳥獣被害防止システムAによれば、侵入物である有害鳥獣は、爆音機E11又は爆音機E11及び爆音機E12の爆音に拠って威嚇される。この結果、有害鳥獣(侵入物)は、耕作地Xの外部に逃走するので、有害鳥獣(侵入物)による耕作地Xの農業的な被害を防止することができる。
【0041】
また、本実施形態における爆音は、レーダ装置Lが耕作地Xに有害鳥獣(侵入物)を検出した場合のみに発せられる。すなわち、本実施形態に係る鳥獣被害防止システムAは、監視領域の侵入物を検出するレーダ装置Lと、侵入物に対する警報を発する警報装置Eと、レーダ装置Lが侵入物を検出すると、警報装置Eに作動信号を出力するコントローラ3とを備えるので、有害鳥獣(侵入物)に対してより的確な威嚇が可能である。
【0042】
また、本実施形態におけるレーダ装置Lは、耕作地X(監視領域)に検出媒体を照射するとともに耕作地X(監視領域)における送信波(検出媒体)の反射波(反射媒体)に基づいて侵入物を検出するレーダ本体1と、レーダ本体1における送信波(検出媒体)の照射方向を設定する雲台2(走査装置)とを備えるので、有害鳥獣(侵入物)の場所を精度よく検知することが可能である。
【0043】
また、本実施形態では、レーダ装置Lは耕作地X(監視領域)の周囲又は耕作地X(監視領域)の内部の1ヶ所に設けられるので、最小限の個数のレーダ装置Lで有害鳥獣(侵入物)を検知することができる。したがって、本実施形態によれば、装置コストの上昇を抑制することが可能である。
【0044】
さらに、本実施形態では、耕作地X(監視領域)が複数の小エリア11、小エリア12、…、小エリアnm(小領域)に区分されており、爆音機E11~Enmは、小エリア11、小エリア12、…、小エリアnm(小領域)毎に設けられている。したがって、本実施形態によれば、有害鳥獣(侵入物)を爆音によって効果的に威嚇することが可能であり、よって有害鳥獣(侵入物)による耕作地Xの農業的な被害を効果的に防止することが可能である。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例が考えられる。
(1)上記実施形態では、耕作地X(監視領域)の周囲又は耕作地X(監視領域)の内部の1ヶ所にレーダ装置Lを設けたが、本発明はこれに限定されない。レーダ装置Lを耕作地X(監視領域)の周囲の異なる場所に複数設けてもよい。例えば図4に示すように、矩形状の耕作地X(監視領域)の四隅に各々設けてもよい。
【0046】
(2)上記実施形態では、レーダ装置Lを耕作地Xにおける侵入検出装置としたが、本発明はこれに限定されない。レーダ装置Lに加え、耕作地X(監視領域)の映像を監視領域映像として撮像する監視カメラ(撮像装置)を侵入検出装置としてさらに備えてもよい。
【0047】
このようにレーダ装置L及び監視カメラ(撮像装置)を侵入検出装置とする場合、コントローラ3は、レーダ装置Lが侵入物を検出することに加え、監視領域映像に侵入物が存在すると判定すると、警報装置Eに作動信号を出力する。このような変形例によれば、侵入物である有害鳥獣の検知精度を監視カメラ(撮像装置)を設けない場合に比較して向上させることが可能である。
【0048】
(3)上記実施形態では、小エリア11、小エリア12、…、小エリアnm(小領域)毎に爆音機E11~Enmを設けたが、本発明はこれに限定されない。耕作地X(監視領域)の大きさや形状にも依るが、耕作地Xを単一のエリアとし、単一の爆音機を設けてもよい。
【0049】
(4)上記実施形態では、耕作地Xの検出地点における検出距離と検出速度との両方を耕作地情報として取得するレーダ本体1を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば、検出距離のみを耕作地情報として取得するレーダ本体を採用してもよい。
【0050】
(5)上記実施形態では、電波を検出媒体とするレーダ本体1を採用したが、本発明はこれに限定されない。例えば光や音を検出媒体とするレーダ本体を採用してもよい。
【0051】
(6)上記実施形態では、耕作地Xの侵入物に対する爆発音を警報として発する爆音機E11~Enm(発音器)を警報装置Eとして採用したが、本発明はこれに限定されない。爆発音に代えて、光等や有害鳥獣(侵入物)が好まない周波数帯の音等を警報とする警報装置を採用してもよい。
【符号の説明】
【0052】
A 鳥獣被害防止システム
L レーダ装置
E 警報装置
E11~Enm 爆音機
X 耕作地(監視領域)
1 レーダ本体
2 雲台
3 コントローラ
4 電源
図1
図2
図3
図4