IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ラピステクノロジー株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-静電容量測定装置 図1
  • 特開-静電容量測定装置 図2
  • 特開-静電容量測定装置 図3
  • 特開-静電容量測定装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140415
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】静電容量測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 27/26 20060101AFI20241003BHJP
   H01G 13/00 20130101ALI20241003BHJP
   G01R 19/165 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
G01R27/26 C
H01G13/00 361C
G01R19/165 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051547
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】320012037
【氏名又は名称】ラピステクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 康喜
【テーマコード(参考)】
2G028
2G035
5E082
【Fターム(参考)】
2G028AA02
2G028BB06
2G028CG07
2G028DH13
2G028FK01
2G035AB06
2G035AC16
2G035AD13
2G035AD23
2G035AD26
2G035AD29
2G035AD47
2G035AD49
2G035AD56
5E082MM36
(57)【要約】
【課題】プローブを用いることなくキャパシタの静電容量の測定を行う。
【解決手段】静電容量測定装置は、オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、測定ノードと電源ノードとを非接続状態とする充電用スイッチと、測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる定電流回路と、測定ノードの電圧と、第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較するコンパレータと、充電用スイッチがオフ状態となってからコンパレータの出力が反転するまでの所要時間を計測する処理を行う処理部と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする充電用スイッチと、
前記測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる定電流回路と、
前記測定ノードの電圧と、前記第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較するコンパレータと、
前記充電用スイッチがオフ状態となってから前記コンパレータの出力が反転するまでの所要時間を計測する処理を行う処理部と、
を含む静電容量測定装置。
【請求項2】
前記測定ノードに接続され、オン状態となることにより、前記キャパシタに蓄積された電荷を放電する放電用スイッチを更に含む
請求項1に記載の静電容量測定装置。
【請求項3】
前記処理部は、前記充電用スイッチ及び前記放電用スイッチのオンオフを制御する
請求項2に記載の静電容量測定装置。
【請求項4】
前記所要時間は、前記充電用スイッチがオフ状態となってから前記コンパレータの出力が反転するまでのカウンタのカウント値である
請求項1に記載の静電容量測定装置。
【請求項5】
前記カウント値を記録するメモリを更に含む
請求項4に記載の静電容量測定装置。
【請求項6】
前記処理部は、前記カウント値に基づいて、前記キャパシタの静電容量を算出する
請求項4に記載の静電容量測定装置。
【請求項7】
オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された第1の測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記第1の測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする第1の充電用スイッチと、
前記第1の測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる第1の定電流回路と、
前記第1の測定ノードの電圧と、前記第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較する第1のコンパレータと、
オン状態となることにより、前記キャパシタの他端が接続された第2の測定ノードと前記電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記第2の測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする第2の充電用スイッチと、
前記第2の測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる第2の定電流回路と、
前記第2の測定ノードの電圧と、前記第2の電圧とを比較する第2のコンパレータと、
前記第1の充電用スイッチがオフ状態となってから前記第1のコンパレータの出力が反転するまでの所要時間及び前記第2の充電用スイッチがオフ状態となってから前記第2のコンパレータの出力が反転するまでの所要時間をそれぞれ計測する処理を行う処理部と、
を含む静電容量測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、静電容量測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
キャパシタの静電容量の測定に関する技術として、以下の技術が知られている。特許文献1には、電流値IFの定電流をキャパシタに印加する定電流印加部と、定電流印加開始からの経過時間を測定する経過時間測定部と、経過時間が基準時間tに達したときのキャパシタ電圧を測定する電圧測定部と、IF、t、キャパシタ電圧に基づいて静電容量を算出する静電容量算出部とを備えた静電容量測定装置が記載されている。
【0003】
特許文献2には、演算増幅器とキャパシタとスイッチとを備え、スイッチを制御することによりサンプリング動作を2回行い、1回目と2回目のチャージ電圧の差を取ることでノイズ成分を除去しつつ、被検出キャパシタの容量値を電圧に変換して出力する静電容量検出回路であって、演算増幅器の反転入力端子と演算増幅器の出力端子との間に直列に接続される第1のスイッチ及びホールドキャパシタを備えることを特徴とする静電容量検出回路が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-39771号公報
【特許文献2】特開2012-37439号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャパシタの静電容量(キャパシタンス)を測定する方法として、以下の方法が挙げられる。例えば、測定対象のキャパシタを充電し、キャパシタに蓄積された電荷を定電流Iで放電したときのキャパシタ電圧の低下分ΔVと、放電時間tからキャパシタの静電容量Cを測定することが可能である。すなわち静電容量Cは、下記の(1)式によって表される。
=I×t/ΔV ・・・(1)
【0006】
キャパシタ電圧の低下分ΔVは、キャパシタにプローブを接触させることにより測定される。しかしながら、例えばLSI(Large Scale Integration)に搭載されるpFオーダの微小な静電容量を有するキャパシタは、プローブの寄生容量が問題となる。プローブの寄生容量が測定対象のキャパシタの静電容量に対して無視できない場合には、上記の方法では静電容量の高精度な測定を行うことが困難である。
【0007】
測定値に対してプローブの寄生容量相当分をキャンセルする補正を行うことも考えられるが、量産品製造におけるテスト工程において、そのような対応を行うことは現実的ではない。
【0008】
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、プローブを用いることなくキャパシタの静電容量の測定を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
開示の技術に係る静電容量測定装置は、オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする充電用スイッチと、前記測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる定電流回路と、前記測定ノードの電圧と、前記第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較するコンパレータと、前記充電用スイッチがオフ状態となってから前記コンパレータの出力が反転するまでの所要時間を計測する処理を行う処理部と、を含む。
【0010】
開示の技術に係る他の静電容量測定装置は、オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された第1の測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記第1の測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする第1の充電用スイッチと、前記第1の測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる第1の定電流回路と、前記第1の測定ノード電圧と、前記第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較する第1のコンパレータと、オン状態となることにより、前記キャパシタの他端が接続された第2の測定ノードと前記電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記第2の測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする第2の充電用スイッチと、前記第2の測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる第2の定電流回路と、前記第2の測定ノードの電圧と、前記第2の電圧とを比較する第2のコンパレータと、前記第1の充電用スイッチがオフ状態となってから前記第1のコンパレータの出力が反転するまでの所要時間及び前記第2の充電用スイッチがオフ状態となってから前記第2のコンパレータの出力が反転するまでの所要時間をそれぞれ計測する処理を行う処理部と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
開示の技術によれば、プローブを用いることなくキャパシタの静電容量の測定を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】開示の技術の実施形態に係る静電容量測定装置の構成の一例を示す図である。
図2】開示の技術の実施形態に係る静電容量測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図3】開示の技術の他の実施形態に係る静電容量測定装置の構成の一例を示す図である。
図4】開示の技術の他の実施形態に係る静電容量測定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与し、重複する説明は省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
図1は、開示の技術の第1の実施形態に係る静電容量測定装置10の構成の一例を示す図である。静電容量測定装置10は半導体基板上に設けられた集積回路である。静電容量測定装置10は、集積回路に内蔵されたキャパシタ100の静電容量を測定する機能を有する。静電容量測定装置10は、定電流回路20、放電用スイッチ22、充電用スイッチ23、コンパレータ30、クロック信号発生器50及び処理部40を含んで構成されている。処理部40は、カウンタ41及びメモリ42を有するマイクロコンピュータである。
【0015】
キャパシタ100の一端は、静電容量を測定するための測定ノード101である。キャパシタ100の他端は、電位VSSに接続されている。電位VSSは、グランド電位であってもよい。定電流回路20はカレントミラー回路であり、電流源21によって生成された電流と同じ大きさの一定電流を流すトランジスタ(図示せず)が測定ノード101に接続されている。定電流回路20は、一定の大きさの電流を測定ノードから流出させる。
【0016】
充電用スイッチ23は、一端が電圧V1(>VSS)が印加された電源ノード110に接続され、他端が測定ノード101に接続されている。充電用スイッチ23がオン状態となることにより、測定ノード101と電源ノード110とが接続状態となり、キャパシタ100が電圧V1で充電される。充電用スイッチ23がオフ状態となることにより、測定ノード101と電源ノード110とが非接続状態となる。
【0017】
放電用スイッチ22は、一端が電位VSSに接続され、他端が測定ノード101に接続されている。放電用スイッチ22がオン状態となることにより、測定ノード101と電位VSSとが接続状態となり、キャパシタ100に蓄積された電荷が放電される。
【0018】
コンパレータ30は、測定ノード101の電圧のレベルと、基準電圧V2とを比較する。基準電圧V2は、電源ノード110における電圧V1よりも低い(V1>V2)。コンパレータ30の非反転入力端子は、測定ノード101に接続され、コンパレータ30の反転入力端子には基準電圧V2が入力される。コンパレータ30は、測定ノード101の電圧が、基準電圧V2よりも高い場合にハイレベルの信号を出力し、測定ノード101の電圧が、基準電圧V2よりも低い場合にローレベルの信号を出力する。コンパレータ30の出力信号は処理部40に供給される。
【0019】
処理部40は、放電用スイッチ22及び充電用スイッチ23のオンオフを制御する。これにより、キャパシタ100における充放電が制御される。処理部40は放電用スイッチ22をオン状態としてキャパシタ100に蓄積された電荷を放電させた後、放電用スイッチ22をオフ状態とし、その後、充電用スイッチ23をオン状態としてキャパシタ100を電圧V1で充電する。処理部40は、キャパシタ100の充電完了後に、充電用スイッチ23をオフ状態とする。キャパシタ100に蓄積された電荷は定電流回路20によって定電流で放電される。
【0020】
処理部40は、カウンタ41を用いて、充電用スイッチ23がオフ状態となってからコンパレータ30の出力がハイレベルからローレベルに反転するまでの所要時間を計測する。すなわち、上記所要時間は、カウンタ41のカウント値である。カウンタ41は、クロック信号発生器50から出力されるクロック信号のサイクルでカウントを行う。上記所要時間に相当するカウント値は、メモリ42に記録される。メモリ42は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。処理部40は外部から要求に応じて、メモリ42に記録されたカウント値を読み出す処理を行う。
【0021】
図2は、静電容量測定装置10の動作の一例を示すタイムチャートである。図2には、上から順に、放電用スイッチ22の状態、充電用スイッチ23の状態、測定ノード101の電圧、コンパレータ30の出力信号及びカウンタ41のカウント値の時間推移が示されている。
【0022】
時刻t1において、処理部40は、放電用スイッチ22をオン状態に制御する。これにより、キャパシタ100に蓄積された電荷が放電される。時刻t2において処理部40は、放電用スイッチ22をオフ状態に制御する。時刻t3において処理部40は、充電用スイッチ23をオン状態に制御する。これにより、キャパシタ100の一端が、測定ノード101を介して電源ノード110に接続され、キャパシタ100の充電が開始される。測定ノード101の電圧は、電圧V1に向けて上昇する。測定ノード101の電圧が基準電圧V2を超える時刻t4においてコンパレータ30の出力はハイレベルに遷移する。
【0023】
測定ノード101の電圧が電圧V1に達した後の時刻t5において、処理部40は、充電用スイッチ23をオフ状態に制御する。これによりキャパシタ100の充電が停止する。時刻t5においてカウンタ41はカウントを開始させる。キャパシタ100に蓄積された電荷は、定電流回路20によって放電される。放電電流の大きさは、定電流回路20によって制御される一定の大きさである。キャパシタ100に蓄積された電荷の放電に伴って、測定ノード101の電圧は徐々に低下する。
【0024】
測定ノード101の電圧が、基準電圧V2を下回る時刻t6においてコンパレータ30の出力はハイレベルからローレベルに反転する。時刻t6においてカウンタ41はカウントを停止させる。時刻t5から時刻t6までの期間におけるカウンタ41のカウント値は、メモリ42に記録される。
【0025】
処理部40は、外部から要求に応じて、メモリ42に記録されたカウント値を読み出す処理を行う。メモリ42に記録されたカウント値に基づいて、キャパシタ100の静電容量を算出することが可能である。キャパシタ100の静電容量をC、カウンタ41のカウント値をN、定電流回路20が測定ノード101から流出させる電流(すなわちキャパシタ100の放電電流)をI、クロック信号の周波数(すなわち、単位時間あたりのカウント数)をfとしたとき、キャパシタ100の静電容量Cは下記の(2)式によって表すことができる。
C=I×N/{(V1-V2)×f} ・・・(2)
なお、上記の演算を処理部40が実施することにより、処理部40がキャパシタ100の静電容量Cを算出してもよい。
【0026】
以上のように、開示の技術の実施形態に係る静電容量測定装置10は、オン状態となることにより、測定対象のキャパシタ100の一端が接続された測定ノード101と電圧V1を生じる電源ノード110とを接続状態とし、オフ状態となることにより、測定ノード101と電源ノード110とを非接続状態とする充電用スイッチ23と、測定ノード101から一定の大きさの電流を流出させる定電流回路20と、測定ノード101の電圧と、電圧V1よりも低い基準電圧V2とを比較するコンパレータと、充電用スイッチ23がオフ状態となってからコンパレータ30の出力が反転するまでの所要時間を計測する処理を行う処理部40と、を含む。本実施形態に係る静電容量測定装置10によれば、キャパシタ100の静電容量に応じたカウント値を得ることができる。このカウント値を(2)式にあてはめることで、キャパシタ100の静電容量を算出することが可能である。本実施形態に係る静電容量測定装置10によれば、プローブを用いることなくキャパシタ100の静電容量の測定を行うことが可能となる。したがって、LSIに搭載されるような静電容量がpFオーダのキャパシタであっても高精度な静電容量測定が可能となる。
【0027】
[第2の実施形態]
図3は、開示の技術の第2の実施形態に係る静電容量測定装置10Aの構成の一例を示す図である。第1の実施形態に係る静電容量測定装置10は、測定対象のキャパシタ100の一方の端子が電位VSSに接続されている場合に適用されるものであった。これに対して第2の実施形態に係る静電容量測定装置10Aは、測定対象のキャパシタ100が差動端子のノードである場合に適用されるものである。第2の実施形態に係る静電容量測定装置10Aは、第1の実施形態に係る静電容量測定装置10を構成する定電流回路20、電流源21、放電用スイッチ22、充電用スイッチ23、コンパレータ30からなる回路セットを2セット含んで構成される。
【0028】
キャパシタ100の一端は、第1の測定ノード101であり、キャパシタ100の他端は、第2の測定ノード102である。静電容量測定装置10Aは、第1の測定ノード101に対して設けられた定電流回路20A、電流源21A、放電用スイッチ22A、充電用スイッチ23A、コンパレータ30Aを含む第1の回路セットを有する。静電容量測定装置10Aは、第2の測定ノード102に対して設けられた定電流回路20B、電流源21B、放電用スイッチ22B、充電用スイッチ23B、コンパレータ30Bを含む第2の回路セットを有する。第1及び第2の回路セットの第1及び第2の測定ノード101、102に対する接続関係は、第1の実施形態に係る回路セットと同様であるので説明は省略する。
【0029】
コンパレータ30A、30Bの出力信号は、それぞれ処理部40に供給される。処理部40は、放電用スイッチ22A、22B及び充電用スイッチ23A、23Bのオンオフを制御する。これにより、キャパシタ100における充放電が制御される。
【0030】
図4は、静電容量測定装置10Aの動作の一例を示すタイムチャートである。図4には、上から順に、充電用スイッチ23Aの状態、放電用スイッチ22Aの状態、充電用スイッチ23Bの状態、放電用スイッチ22Bの状態、第1の測定ノード101の電圧、コンパレータ30Aの出力信号、第2の測定ノード102の電圧、コンパレータ30Bの出力信号及びカウンタ41のカウント値の時間推移が示されている。なお、図4において充電用スイッチ23A及び23Bをそれぞれ充電用スイッチ1、2と表記し、放電用スイッチ22A、22Bをそれぞれ放電用スイッチ1、2と表記し、コンパレータ30A、30Bをそれぞれコンパレータ1、2と表記している。
【0031】
時刻t11において、処理部40は、充電用スイッチ23A及び放電用スイッチ22Bをそれぞれオン状態に制御する。これにより、キャパシタ100の一端が第1の測定ノード101を介して電源ノード110に接続され、キャパシタ100の他端が第2の測定ノード102を介して電位VSSに接続される。これにより、キャパシタ100の充電が開始され、第1の測定ノード101の電圧は、電圧V1に向けて上昇する。第1の測定ノード101の電圧が基準電圧V2を超える時刻t12においてコンパレータ30Aの出力はハイレベルに遷移する。
【0032】
第1の測定ノード101の電圧がV1に達した後の時刻t13において、処理部40は、充電用スイッチ23Aをオフ状態に制御する。これによりキャパシタ100の充電が停止する。時刻t13においてカウンタ41はカウントを開始させる。キャパシタ100に蓄積された電荷は、定電流回路20Aによって放電される。放電電流の大きさは、定電流回路20Aによって制御される一定の大きさである。キャパシタ100に蓄積された電荷の放電に伴って、第1の測定ノード101の電圧は徐々に低下する。
【0033】
第1の測定ノード101の電圧が、基準電圧V2を下回る時刻t14においてコンパレータ30Aの出力はハイレベルからローレベルに反転する。時刻t14においてカウンタ41はカウントを停止させる。時刻t13から時刻t14までの期間におけるカウンタ41のカウント値N1は、メモリ42に記録される。
【0034】
時刻t15において、処理部40は、放電用スイッチ22Aをオン状態に制御する。放電用スイッチ22Bもオン状態に維持される。これにより、キャパシタ100に蓄積された電荷が放電される。
【0035】
時刻t16において、処理部40は、放電用スイッチ22Bをオフ状態に制御するとともに充電用スイッチ23Bをオン状態に制御する。放電用スイッチ22Aはオン状態に維持される。これにより、キャパシタ100の一端が第1の測定ノード101を介して電位VSSに接続され、キャパシタ100の他端が第2の測定ノード102を介して電源ノード110に接続される。これにより、キャパシタ100の充電が開始され、第2の測定ノード102の電圧は、電圧V1に向けて上昇する。第2の測定ノード102の電圧が基準電圧V2を超える時刻t17においてコンパレータ30Bの出力はハイレベルに遷移する。
【0036】
第2の測定ノード102の電圧がV1に達した後の時刻t18において、処理部40は、充電用スイッチ23Bをオフ状態に制御する。これによりキャパシタ100の充電が停止する。時刻t18においてカウンタ41はカウントを開始させる。キャパシタ100に蓄積された電荷は、定電流回路20Bによって放電される。放電電流の大きさは、定電流回路20Bによって制御される一定の大きさである。キャパシタ100に蓄積された電荷の放電に伴って、第2の測定ノード102の電圧は徐々に低下する。
【0037】
第2の測定ノード102の電圧が、基準電圧V2を下回る時刻t19においてコンパレータ30Bの出力はハイレベルからローレベルに反転する。時刻t19においてカウンタ41はカウントを停止させる。時刻t18から時刻t19までの期間におけるカウンタ41のカウント値N2は、メモリ42に記録される。メモリ42に記録されたカウント値N1及びN2を(2)式にあてはめることで、キャパシタ100の静電容量を算出することが可能である。
【0038】
本実施形態に係る静電容量測定装置10Aによれば、第1の実施形態に係る静電容量測定装置10と同様、プロ-ブを用いることなくキャパシタ100の静電容量の測定を行うことが可能となる。また、本実施形態に係る静電容量測定装置10Aによれば、1つのキャパシタ100について、充電方向が互いに異なる2つの静電容量(差動キャパシタンス)を測定することが可能である。なお、以上の説明では、カウント値N1及びN2の双方を取得する場合を例示したが、これらのうちの一方を取得してもよい。また、第1の測定ノード101に対して設けられた第1の回路セットと、第2の測定ノード102に対して設けられた第2の回路セットとの間で、電圧V1、基準電圧V2、定電流Iは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
【0039】
以上の第1及び第2の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする充電用スイッチと、
前記測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる定電流回路と、
前記測定ノードの電圧と、前記第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較するコンパレータと、
前記充電用スイッチがオフ状態となってから前記コンパレータの出力が反転するまでの所要時間を計測する処理を行う処理部と、
を含む静電容量測定装置。
【0040】
(付記2)
前記測定ノードに接続され、オン状態となることにより、前記キャパシタに蓄積された電荷を放電する放電用スイッチを更に含む
付記1に記載の静電容量測定装置。
【0041】
(付記3)
前記処理部は、前記充電用スイッチ及び前記放電用スイッチのオンオフを制御する
付記2に記載の静電容量測定装置。
【0042】
(付記4)
前記所要時間は、前記充電用スイッチがオフ状態となってから前記コンパレータの出力が反転するまでのカウンタのカウント値である
付記1から付記3のいずれか1つに記載の静電容量測定装置。
【0043】
(付記5)
前記カウント値を記録するメモリを更に含む
付記4に記載の静電容量測定装置。
【0044】
(付記6)
前記処理部は、前記カウント値に基づいて、前記キャパシタの静電容量を算出する
付記4又は付記5に記載の静電容量測定装置。
【0045】
(付記7)
オン状態となることにより、測定対象のキャパシタの一端が接続された第1の測定ノードと第1の電圧を生じる電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記第1の測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする第1の充電用スイッチと、
前記第1の測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる第1の定電流回路と、
前記第1の測定ノードの電圧と、前記第1の電圧よりも低い第2の電圧とを比較する第1のコンパレータと、
オン状態となることにより、前記キャパシタの他端が接続された第2の測定ノードと前記電源ノードとを接続状態とし、オフ状態となることにより、前記第2の測定ノードと前記電源ノードとを非接続状態とする第2の充電用スイッチと、
前記第2の測定ノードから一定の大きさの電流を流出させる第2の定電流回路と、
前記第2の測定ノードの電圧と、前記第2の電圧とを比較する第2のコンパレータと、
前記第1の充電用スイッチがオフ状態となってから前記第1のコンパレータの出力が反転するまでの所要時間及び前記第2の充電用スイッチがオフ状態となってから前記第2のコンパレータの出力が反転するまでの所要時間をそれぞれ計測する処理を行う処理部と、
を含む静電容量測定装置。
【符号の説明】
【0046】
10、10A 静電容量測定装置
20、20A、20B 定電流回路
22、22A、22B 放電用スイッチ
23、23A、23B 充電用スイッチ
30、30A、30B コンパレータ
40 処理部
41 カウンタ
42 メモリ
50 クロック信号発生器
100 キャパシタ
101 測定ノード、第1の測定ノード
102 第2の測定ノード
110 電源ノード
図1
図2
図3
図4