(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140418
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】封止材用樹脂組成物、及び該封止材用樹脂組成物で封止された電子部品
(51)【国際特許分類】
C08L 57/00 20060101AFI20241003BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20241003BHJP
C08K 5/37 20060101ALI20241003BHJP
C08K 5/13 20060101ALI20241003BHJP
C08K 3/013 20180101ALI20241003BHJP
C08L 101/00 20060101ALI20241003BHJP
C08L 63/00 20060101ALI20241003BHJP
C08G 75/045 20160101ALI20241003BHJP
H01L 23/29 20060101ALI20241003BHJP
【FI】
C08L57/00
C08F290/06
C08K5/37
C08K5/13
C08K3/013
C08L101/00
C08L63/00
C08G75/045
H01L23/30 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051550
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000004341
【氏名又は名称】日油株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 滉
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直志
【テーマコード(参考)】
4J002
4J030
4J127
4M109
【Fターム(参考)】
4J002BC032
4J002BC072
4J002BE011
4J002BG002
4J002BQ001
4J002CC182
4J002CD001
4J002CD011
4J002CD021
4J002CD031
4J002CD041
4J002CD051
4J002CD061
4J002CD121
4J002CD131
4J002CD201
4J002CF271
4J002CK022
4J002DE078
4J002DE088
4J002DE138
4J002DE148
4J002DE238
4J002DJ008
4J002DJ018
4J002EJ027
4J002EJ047
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4J002FD012
4J002FD018
4J002FD146
4J002FD147
4J002GJ02
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4J030BA42
4J030BB07
4J030BB65
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4M109EA01
4M109EA02
4M109EA15
4M109EB12
4M109EB14
4M109EC09
(57)【要約】
【課題】未硬化の状態では室温下において高い保管安定性を有し、硬化後は基材への高い密着性を有し、バリア性に優れる封止材用樹脂組成物、および封止材用樹脂組成物を用いて封止された電子部品を提供にすること。
【解決手段】(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールと、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールと、(C)フィラーと、(D)硬化性化合物を含有する、電子部品の封止材用樹脂組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールと、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールと、(C)フィラーと、(D)硬化性化合物を含有する、電子部品の封止材用樹脂組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の封止材用樹脂組成物を用いて封止された電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に使用する封止材用樹脂組成物に関するものである。詳細には、未硬化の状態では室温下において高い保管安定性を有し、硬化後は基材への高い密着性を有し、且つ、バリア性に優れる封止材用樹脂組成物に関するものである。また、前記封止材用樹脂組成物からなる封止材を用いて封止した電子部品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
テレビやスマートフォン等の電子機器は、その内部を機械的、化学的作用から保護するために、樹脂組成物で封止されている。近年、電子機器の軽薄短小化が進み、電子部品の縮小が要求され、更にその薄型化が所望されている。このパッケージの軽薄短小化の要求に応えるために、封止材にも高機能化が求められ、具体的には、更なるバリア性及び基材への密着性の向上が要求されている。封止材用樹脂組成物は一般に、光硬化性樹脂であるアクリル樹脂とシリカ等のフィラーとから構成されているが、上述の高性能化に応じるため、封止材用樹脂組成物に種々の添加剤を配合する技術が提案されている(特許文献1)。
【0003】
また、アクリル樹脂等を含む樹脂組成物のポットライフを向上させるため、重合禁止剤の添加や硬化剤の潜在化等が有用であることが知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-072999号公報
【特許文献2】特開2014-077024号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のように、封止材の性能向上のためにフィラーを添加する場合、フィラーの充填量に伴い基材への密着性が低下し、剥がれやすくなる問題があった。
【0006】
加えて、電子部品の軽薄短小化に伴い、封止部の体積も軽薄短小化される中、より精密に封止材を塗工することが必要となっているが、封止材用樹脂組成物は室温下で取り扱う際に樹脂組成物の粘度が変化しやすく、室温下における保管安定性に問題があった。封止材用樹脂組成物の粘度が上昇すると、塗工時に封止材の塗工ムラが生じやすくなり、粘度が上昇した封止材用樹脂組成物を精密に塗布するためには、塗工条件を随時変更する必要があった。しかしながら、特許文献2に記載の方法でも時間経過とともに粘度上昇が生じるため、室温下における保管安定性には依然として課題があった。また、重合禁止剤等を添加した場合は封止材用樹脂組成物の硬化性が阻害される問題もあった。
【0007】
本発明の課題は、未硬化の状態では室温下において高い保管安定性を有し、硬化後は基材への高い密着性を有し、バリア性に優れる封止材用樹脂組成物、および封止材用樹脂組成物を用いて封止された電子部品を提供にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
すなわち、本発明は下記の〔1〕~〔2〕である。
〔1〕(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールと、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールと、(C)フィラーと、(D)硬化性化合物を含有する電子部品の封止材用樹脂組成物。
【0009】
〔2〕前記の〔1〕に記載の封止材用樹脂組成物を用いて封止された電子部品。
【発明の効果】
【0010】
本発明の封止材用樹脂組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。但し、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されない。
【0011】
(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールのフェノール性水酸基は(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールのチオール基の分極に寄与し、硬化時には(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールと(D)硬化性化合物との反応を促進すると推察される。その結果、より緻密なポリマーネットワークを形成し、バリア性に優れる電子部品の封止材用樹脂組成物が得られる。さらに(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールのフェノール性水酸基は(C)フィラーと樹脂との相溶性を向上させ、(C)フィラーの表面への樹脂のなじみが良くなり、基材への密着性が優れると推察される。その上、封止材用組成物を室温下において保管した場合では、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールは(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールからのチイルラジカルの発生を強力に阻害し、室温下において高い保管安定性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、(A)チオール基を2~6個有する多官能チオール、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノール、(C)フィラー、及び(D)硬化性化合物を含む事を特徴とする封止材用樹脂組成物である。
【0013】
本発明において数値範囲を示す「○○~××」とは、別途記載が無い限り、その下限値(「○○」)や上限値(「××」)を含む概念である。すなわち、正確には「○○以上××以下」を意味する。
【0014】
以下に、本発明について詳しく説明する。本発明の封止材用樹脂組成物は、電子部品の封止材に使用するものであり、下記(A)、(B)、(C)、(D)を必須成分とする。
【0015】
<(A)チオール基を2~6個有する多官能チオール>
(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールは、1分子中に2~6個のチオール基を有する化合物であればよく、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物を含有することで、他成分との間でチオール-エン又は、チオール-エポキシ反応が進行し、基材への密着性を高めることができる。形成されるチオエーテル結合は、C、O、Nといった原子の結合と比べ、結合角を柔軟に変化できるため硬化物は柔軟性が高く、封止材の基材への密着性を高めることができる。また、チオエーテル結合から成る硬化物は、結合角の高柔軟性を有し、原子同士が結合の隙間を埋めるように高密度に硬化できるため、湿気に対するバリア性が高く、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができる。(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールは、下記式1で表される化合物が好ましい。
【化1】
(式中のaは2~6の整数であり、R
1は2~6価で炭素数10~60の有機基である。)
【0016】
式中のaは、電子部品の封止材のバリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができるという観点から3~6の整数が好ましい。式中のaがこの範囲内であれば、硬化後の硬化収縮が小さく、基材への密着性が低下することなく良好な硬化物が得られる。その中でも、バリア性の観点で、式中のaが6であることが最も好ましい。また、R1も同様の観点から、3~6価が好ましい。R1の炭素数は10~60であり、好ましくは10~45であり、より好ましくは12~30である。R1の炭素数がこの範囲内であれば、封止材用樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分であり、封止材はバリア性に優れ、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができる。
【0017】
有機基とは、Cを含有し、さらにSi、N、P、O、及びSからなる群から選択される少なくとも1種の元素を含んでもよい基である。有機基は、繰り返し単位を有する重合体であってもよい。また、その構造中に、例えば、ケトン基、エステル基、エーテル基、ヒドロキシル基、アミド基、チオエーテル基、イソシアヌレート基、グリコールウリル等の基を含んでもよい。(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールとしては、具体的に、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオナート)、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオナート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールエタントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、1,2,3-トリス(2-メルカプトエチルチオ)プロパン、1,2,3-トリス(3-メルカプトプロピルチオ)プロパン、4-メルカプトメチル-1,8-ジメルカプト-3,6-ジチアオクタン、5,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,7-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、4,8-ジメルカプトメチル-1,11-ジメルカプト-3,6,9-トリチアウンデカン、テトラキス(2-メルカプトエチルチオメチル)メタン、テトラキス(3-メルカプトプロピルチオメチル)メタン、1,3,5-トリス(メルカプトエチレンオキシ)ベンゼン、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート等が挙げられる。
【0018】
上記式1で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール骨格を有する多官能チオール、ジペンタエリスリトール骨格を有する多官能チオール、イソシアヌレート骨格を有する多官能チオールが好ましい。その中でも、封止材用樹脂組成物の硬化物の柔軟性を高め、且つ、封止材のバリア性を優れ、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができるため、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレートが好ましい。
【0019】
(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールは、市販品を用いてもよく、また合成したものを用いてもよい。合成の方法としては、具体的に、ペンタエリスリトール等の多価アルコールと、3-メルカプトプロピオン酸等のメルカプト基含有カルボン酸とから、公知の方法でエステル化反応させることにより得ることができる。
【0020】
<(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノール>
(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールは、1分子中にフェノール性水酸基を2個以上有するものであればよく、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物を含有することで、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールのフェノール性水酸基は(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールのチオール基(S-H結合)の分極に寄与し、硬化時には(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールと(D)硬化性化合物との反応を促進すると推察される。その結果、より緻密なポリマーネットワークを形成し、バリア性に優れる電子部品の封止材用樹脂組成物が得られる。さらに(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールのフェノール性水酸基が(C)フィラーと樹脂との相溶性を向上させ、フィラーの表面への樹脂のなじみが良くなり、基材への密着性が優れると推察される。その上、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールは、封止材用組成物を室温下において保管した場合、(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールからのチイルラジカルの発生を強力に阻害する。
【0021】
(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールとしては、具体的に、4,4’-イソプロピリデンジフェノール2,2-メチレン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンゼンプロピオンアミド)、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコールビス[3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオールビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、テトラキス-[メチレン-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、カテコール、4-メチルカテコール、4-クロロカテコール、tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、2-メチルハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6-ジメチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、レソルシノール、2-メチルレソルシノール、5-メチルレソルシノール、2-ニトロレソルシノール、4-ヘキシルレソルシノール、4-クロロレソルシノール、2-アセチルレソルシノール、5-アセチルレソルシノール、4,6-ジ-クロロレソルシノール、2,5-ジ-tert-ブチルソルシノール、ピロガロール、フロログルシン、1,2,4-ベンゼントリオール、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソブチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸n-オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリル等が挙げられる。
【0022】
その中でも、フェノール性水酸基の酸解離定数(pKa)が低く、未硬化の状態では室温下における保管安定性を向上させ、硬化時には(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールと(D)硬化性化合物との反応を促進されることで、より緻密なポリマーネットワークを形成でき、且つ、(C)フィラーと樹脂成分の相溶性を向上させ、基材への密着性を向上させることができることから、フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールの中でも、1つの芳香環中に2~3個のフェノール性水酸基がある事が好ましい。具体的には、カテコール、4-メチルカテコール、4-クロロカテコール、tert-ブチルカテコール、3,5-ジ-tert-ブチルカテコール、ハイドロキノン、クロロハイドロキノン、メトキシハイドロキノン、ブロムハイドロキノン、2-メチルハイドロキノン、tert-ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、2,6-ジメチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-ブチルハイドロキノン、2,5-ジ-tert-アミルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、テトラメチルハイドロキノン、レソルシノール、2-メチルレソルシノール、5-メチルレソルシノール、2-ニトロレソルシノール、4-ヘキシルレソルシノール、4-クロロレソルシノール、2-アセチルレソルシノール、5-アセチルレソルシノール、4,6-ジ-クロロレソルシノール、2,5-ジ-tert-ブチルソルシノール、ピロガロール、フロログルシン、1,2,4-ベンゼントリオール、没食子酸、没食子酸メチル、没食子酸エチル、没食子酸プロピル、没食子酸イソブチル、没食子酸ブチル、没食子酸イソアミル、没食子酸 n-オクチル、没食子酸ドデシル、没食子酸ヘキサデシル、没食子酸ステアリルが挙げられる。また、同様の観点から、1つの芳香環中に3個のフェノール性水酸基があることが最も好ましく、具体的には、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エチルが挙げられる。
【0023】
<(C)フィラー>
(C)フィラーは、無機物および/または有機物から成るフィラーである。(C)フィラーは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。(C)フィラーを含有することで、封止材用組成物の粘度調整やチクソ性を向上させることが出来る。基材への密着性は樹脂成分と基材との物理的相互作用によって向上されるが、フィラーを添加することで、樹脂成分と基材との物理的相互作用が阻害されやすく密着性が低下しやすかった。一方で(C)フィラーと(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールと併用することで、樹脂成分とフィラーの相溶性が高くなり、(C)フィラーの表面への樹脂のなじみが良くなり、封止材用樹脂組成物の基材への密着性を損ねず、粘度やチクソ性を調整することができる。
【0024】
無機物から成る(C)フィラーとしては、具体的に、シリカ、シリコンカーバイト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、チタニア、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。この中でも、ポリフェノールと相互作用があり、封止材のバリア性を損ねず、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑える性能を維持しつつ印刷時のレベリング性を向上できる観点から、シリカが好ましい。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。上記シリカのうち市販されているものとしては、アドマテックス社製「SO-C1」、「SO-C2」、日本アエロジル株式会社製「AEROSIL 200」、「AEROSIL 300」、「AEROSIL 380」、「AEROSIL RX-200」等が挙げられる。
【0025】
無機物および/または有機物から成るフィラーの中でも、有機物から成る(C)フィラーが室温下の保管安定性の観点からより好ましく、具体的には、アクリル粒子、ウレタン粒子、スチレン粒子、メラミン粒子、アクリル―スチレン粒子等が挙げられる。この中でも、封止材用樹脂組成物の柔軟性および基材へのポリフェノールと相互作用があり、封止材のバリア性を損ねず、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑える性能を維持しつつ印刷時のレベリング性を向上できる観点から、アクリル粒子、ウレタン粒子が好ましい。
【0026】
(C)フィラーの形状は特に指定しないが、好ましくは球状である。平均粒子径は印刷時のレベリング性を低下させない観点から好ましくは30μm以下である。より好ましくは15μm以下である。なお、平均粒子径は、マイクロトラック・ベル社製マイクロトラックMT-3300II等の市販のレーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することができる。具体的には、フィラー0.1~0.5gとPMA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)30gをビーカに秤量し、超音波分散機にて予備分散させたものを試料として、粒度測定を行った。予備分散として用いる超音波分散は、一定条件下で行う方が好ましく、超音波分散機としてUS-300T(日本精機製作所社製)を用い、電流値300μAの下で、60秒間の一定条件で予備分散させた。また、レーザー回折式粒度分布測定装置は、前記のマイクロトラックMT-3300IIを使用した。サンプルの調整から調整サンプルの測定までは5分以内に行い、測定結果として表示された、累積平均径50%の値を平均粒子径の値とした。
【0027】
<(D)硬化性化合物>
(D)硬化性化合物は、光や熱等によって硬化する化合物であれば特に限定されないが、(メタ)アクリレート化合物、(メタ)アリル化合物、エポキシ化合物である場合が好ましく、(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、ウレタン(メタ)アクリレート、エステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられ、(メタ)アリル化合物としては、例えば、多官能(メタ)アリル化合物等が挙げられ、エポキシ化合物としては、例えば、エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0028】
[ウレタン(メタ)アクリレート]
ウレタン(メタ)アクリレートは、ポリイソシアネート化合物とポリオール化合物、およびヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物、またはポリイソシアネート化合物およびヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物を公知の方法で反応させることで得られる。ウレタン(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。このような化合物が含有するウレタン基は、ウレタン基同士および他の極性基と水素結合のような強い相互作用を発現できる。また、上記の水素結合は共有結合と比べて柔軟であることから、封止材用樹脂組成物の硬化物は、柔軟性を保つことができる。ウレタン(メタ)アクリレートは、分子内にウレタン結合を有するものであれば、特に限定されないが、好ましくは2~3個の(メタ)アクリル基を有する化合物であり、(メタ)アクリル基の数がこの範囲であることで、封止材用樹脂組成物の硬化物の柔軟性が高く、基材への高い密着性を有することができる。
【0029】
前記ポリイソシアネート化合物は、公知の化合物を用いることができる。例えば、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートが挙げられる。より具体的には、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートポリイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添ジフェニルジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ジイソシアネートの三量体であるイソシアヌル骨格含有トリイソシアネート等が挙げられる。その中でも、封止材用樹脂組成物の硬化物の柔軟性が高く、基材への密着性が優れる観点から、2価のジイソシアネート化合物が好ましい。
【0030】
前記ポリオール化合物は、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、炭化水素からなるポリオールが挙げられる。ポリオール化合物は、反応後得られるウレタン(メタ)アクリレート化合物の柔軟性の観点から、2価のジオール化合物が好ましい。
【0031】
前記ポリエステルポリオールは、ジカルボン酸化合物とポリオール化合物を縮合反応させた化合物を用いることができる。また、塩基性化合物の存在下で、ジヒドロキシカルボン酸に環状エステル類を開環付加重合したポリエステルポリオールを使用することもできる。前記ジカルボン酸化合物としては、具体的に、コハク酸、アジピン酸、ピメリン酸、セバシン酸等が挙げられる。その中でも、アジピン酸、ピメリン酸が好ましい。また、ポリオール化合物は、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物が挙げられる。ジオール化合物は、具体的に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。トリオール化合物は、具体的に、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。その中でも、基材への密着性の観点により、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0032】
前記環状エステル類は、通常、ラクトン類で構成してもよい。ラクトン類(又は環状モノエステル類)としては、具体的に、β-プロピオラクトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、δ-バレロラクトン、δ-カプロラクトン、ε-カプロラクトン、γ-バレロラクトン、γ-カプロラクトン、γ-カプリロラクトン、γ-ラウロラクトン、エナントラクトン、ドデカノラクトン、ステアロラクトン、アルキル-ε-カプロラクトン等の炭素数が3~20のラクトンが好ましく、炭素数が4~15のラクトンより好ましい。
【0033】
前記ポリエーテルポリオールは、公知の化合物を用いることができる。具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のジオール化合物、ポリオキシプロピレントリオール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレントリオール等のトリオール化合物が挙げられる。その中でも、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシプロピレントリオールが好ましい。
【0034】
前記ポリカーボネートポリオールは、炭酸ジエステルとポリオール化合物のエステル交換により得られる化合物を用いることができる。炭酸ジエステルとしては、具体的に、ジフェニルカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチレンカーボネート等が挙げられる。その中でも、ジエチレンカーボネートが好ましい。ポリオール化合物は、例えば、ジオール化合物、トリオール化合物が挙げられる。ジオール化合物としては、具体的に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられる。トリオール化合物としては、具体的に、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン等が挙げられる。その中でも、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0035】
前記炭化水素からなるポリオールは、公知の化合物を用いることができる。炭化水素からなるポリオールとしては、具体的に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール等のジオール化合物、グリセリン、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールプロパン等のトリオール化合物が挙げられる。その中でも、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリンが好ましい。
【0036】
前記ヒドロキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物は、公知の化合物を用いることができる。具体的には、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシシクロオクチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等を使用できる。その中でも、封止材用樹脂組成物の硬化物のバリア性を高めるという観点から2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0037】
ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は、封止材が基材への密着性を保持できるという観点から1,600以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。また、バリア性の低下を抑制するという観点から20,000以下であることが好ましく、12,500以下がより好ましい。すなわち、封止材用樹脂組成物の硬化物の基材への密着性が優れ、且つ、バリア性に優れるものとなるためには、ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は1,600~20,000が好ましく、2,000~12,500がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレート化合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンの検量線を使用して求められる。
【0038】
[エステル(メタ)アクリレート]
エステル(メタ)アクリレートは、アルコール類と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。エステル(メタ)アクリレートは、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。エステル(メタ)アクリレートとしては、具体例に、N-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、アクリロイルモルホリン、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルポリエトキシ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールモノエトキシ(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールポリエトキシ(メタ)アクリレート、p-クミルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノール(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンポリエトキシトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸のエステルジアクリレートやネオペンチルグリコールとヒドロキシピバリン酸のエステルのε-カプロラクトン付加物のジアクリレート等のモノマー類が挙げられる。
【0039】
[エポキシ(メタ)アクリレート]
エポキシ(メタ)アクリレートは、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応により公知の方法で得られる。原料となるエポキシ樹脂としては、特に限定されるものではないが、2官能以上のエポキシ樹脂であり、具体的には、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の2官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、2官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。
【0040】
[多官能(メタ)アリル化合物]
多官能(メタ)アリル化合物は、(メタ)アリル基を2個以上有するものである。多官能(メタ)アリル化合物は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。多官能(メタ)アリル化合物を含有することで、封止材用樹脂組成物の硬化物の架橋ネットワークの形成に優れるため、封止材のバリア性に優れ、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができる。
【0041】
多官能(メタ)アリル化合物としては、具体的に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸ジ(メタ)アリルエステル、イソフタル酸ジ(メタ)アリルエステル、フタル酸ジ(メタ)アリルエステル、ヘキサヒドロフタル酸ジ(メタ)アリルエステル、ジ(メタ)アリルメチルグリシジルイソシアヌレート、マグノロール、ジ(メタ)アリルジフェニルシラン、トリメチロールプロパンジ(メタ)アリルエーテル、2,2’-ビス(3-(メタ)アリル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-(メタ)アリル-4-アリルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-(メタ)アリル-4-グリシジルオキシフェニル)プロパン、1,3-ジ(メタ)アリル-5-グリシジルイソシアヌレート、1,3-ジ(メタ)アリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アリルエーテル、グリセリントリ(メタ)アリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、1,3,4,6テトラ(メタ)アリルグリコールウリル、1,3,4,6テトラ(メタ)アリル-3a-メチルグリコールウリル、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アリルエーテル、テトラ(メタ)アリルオキシエタン等が挙げられる。
【0042】
多官能(メタ)アリル化合物の中でも、電子部品の封止材の着色を防ぐことができ、また、封止材のバリア性を優れ、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができ、更には、封止材用樹脂組成物の硬化物の強靭性を高め、基材への密着性を高めることができるという観点からイソシアヌレート骨格を有する(メタ)アリル化合物、ペンタエリスリトール骨格を有する(メタ)アリル化合物等が好ましい。中でも、具体的には、1,3-ジアリル-5-グリシジルイソシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテルが好ましい。
【0043】
[エポキシ樹脂]
エポキシ樹脂は、エポキシ基を2個以上有するものである。エポキシ樹脂は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。エポキシ樹脂としては、具体的に、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールFノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン骨格を有するフェノールノボラック型エポキシ樹脂、その他、カテコール、レゾルシノール等の2官能フェノール類のジグリシジルエーテル化物、2官能アルコール類のジグリシジルエーテル化物、およびそれらのハロゲン化物、水素添加物等が挙げられる。
【0044】
<(E)光重合開始剤>
(E)光重合開始剤は、上記(A)、上記(D)の光による硬化反応を促進するために添加され、封止材用樹脂組成物の硬化に必要な光照射を少なくすることができる。(E)光重合開始剤は、1種のみを単独で使用することもできるし、2種以上を併用することもできる。光重合開始剤としては、例えば、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤、光アニオン重合開始剤等があげられる。光ラジカル重合開始剤は、反応時間を短縮する際に用いることが好ましく、光カチオン重合開始剤は、接着力を向上させる際に用いることが好ましく、光アニオン重合開始剤は、耐水性を付与する際に用いることが好ましい。
【0045】
光ラジカル重合開始剤は、具体的に、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、1,2-オクタンジオン-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-(O-ベンゾイルオキシム)、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3イル]エタノン-1-(O-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0046】
光カチオン重合開始剤は、具体的に、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ビス(4-tert-ブチルフェニル)ヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、シクロプロピルジフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアルセナート、2-(3,4-ジメトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート、トリフェニルスルホニウムブロミド、トリ-p-トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、トリ-p-トリルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等が挙げられる。
【0047】
光アニオン重合開始剤は、具体的に、アセトフェノンo-ベンゾイルオキシム、ニフェジピン、2-(9-オキソキサンテン-2-イル)プロピオン酸1,5,7-トリアザビシクロ[4,4,0]デカ-5-エン、2-ニトロフェニルメチル4-メタクリロイルオキシピペリジン-1-カルボキシラート、1,2-ジイソプロピル-3-〔ビス(ジメチルアミノ)メチレン〕グアニジウム2-(3-ベンゾイルフェニル)プロピオナート、1,2-ジシクロヘキシル-4,4,5,5,-テトラメチルビグアニジウムn-ブチルトリフェニルボラート等が挙げられる。
【0048】
<その他成分>
本発明の封止材用樹脂組成物は、本発明の目的を阻害しない範囲において、界面活性剤、シランカップリング剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定化剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、密着付与剤、可塑剤、消泡剤、遮光材、導電材、スペーサー等の添加剤を含有していてもよい。
【0049】
<組成比>
本発明の封止材用樹脂組成物における(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノールの質量モル濃度は、室温下の保管安定性と電子部品の封止材のバリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができるという観点から、(A)、(B)、及び、(D)の合計((B)の質量モル濃度(mmol/100g)=(B)の質量部(g)/(B)の分子量(g/mmol)/(A)と(B)と(D)の合計質量部(g)×100)に対して、好ましくは0.01~40(mmol/100g)であり、より好ましくは0.08~23(mmol/100g)である。
【0050】
本発明の封止材用樹脂組成物における(C)フィラーの含有量は、基材への密着性を高める観点から、(A)と(D)の合計100質量部に対して、好ましくは200質量部以下であり、より好ましくは150質量部以下であり、さらに好ましくは90質量部以下である。また、(C)フィラーの含有量は、封止材のバリア性を高め、過酷な湿熱試験に曝されても透湿度の上昇を抑えることができるという観点から、(A)と(D)の合計100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上であり、さらに好ましくは5質量部以上である。
【0051】
本発明の封止材用樹脂組成物が、基材への高い密着性を有し、且つ、優れたバリア性を発現するためには、(A)チオール基を2~6個有する多官能チオールのチオール基量と(D)硬化性化合物の官能基量の割合(チオール基量/硬化性化合物の官能基量)が0.5~5.0であることが好ましく、0.7~3.0であることがより好ましい。
【0052】
前記封止材用樹脂組成物の固形分中、(A)チオール基を2~6個有する多官能チオール、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノール、(C)フィラー、及び(D)硬化性化合物の合計の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
【0053】
(E)光重合開始剤を使用する場合、前記封止材用樹脂組成物の固形分中、(A)チオール基を2~6個有する多官能チオール、(B)フェノール性水酸基を2個以上有するポリフェノール、(C)フィラー、(D)硬化性化合物、及び(E)光重合開始剤の合計の割合は、70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、95質量%以上であることがよりさらに好ましい。
【0054】
<電子部品>
本発明の封止材用樹脂組成物は、電子部品の広範な用途に使用できるものであるが、とりわけ、プリント配線板用封止材、ビルドアップ基板用封止材、LED用封止材、太陽電池基板用封止材、液晶表示装置用封止材の電子部品用途に使用することができる。
【0055】
<電子部品の形成>
本発明の電子部品は、基材に本発明の封止材用樹脂組成物を塗布し、光照射により封止材用樹脂組成物を硬化させることで形成することや、2つの基材の一方に本発明の封止材用樹脂組成物を塗布した後、基材を重ね合わせ、光照射により封止材用樹脂組成物を硬化させることで形成される。
【0056】
上記封止材用樹脂組成物の塗布方法は特に制限されず、具体的には、ディスペンサ塗工やインクジェット法、スクリーン印刷法や、シリンジや刷毛にて手塗りする方法等が適用される。
【0057】
上記封止材用樹脂組成物に光照射する光源としては特に制限されず、具体的には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯といった水銀灯やブラックライトランプ、LEDランプ、ハロゲンランプ、無電極ランプ、キセノンランプ、水銀蛍光灯、LED蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が適用される。
【実施例0058】
次に、実施例および比較例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。
【0059】
<評価方法>
各実施例および比較例における封止材用樹脂組成物は、下記に記載の方法によってその性能を評価した。
【0060】
<室温下における保管安定性>
室温下における保管安定性については、封止材用樹脂組成物を25℃/55%RHの恒温恒湿槽に保管した際の粘度上昇を基に評価を行った。粘度はRE80型粘度計(東機産業株式会社製、コーンローター:3°×R9.7)を使用し、測定対象の封止材用樹脂組成物(0.25~0.50mL)をローターの回転数1.0rpmにて、120秒間回転させた後の値とした(単位:Pa・s)。
得られた結果から下記式を用いて粘度上昇率を算出した。
((25℃保管後の粘度)/(配合時の初期粘度)-1)×100=粘度上昇率(%)
初期の粘度から粘度上昇率が30%超えるまでの日数を評価した。尚、初期の粘度から粘度上昇率が30%超えるまでの日数が多いほど、室温下における保管安定性に優れる。
◎:30日以上
〇:7日以上
×:7日未満
【0061】
<密着性>
2枚のPETフィルム(東洋紡社製コスモシャインA4300、厚さ100μm、25mm×100mm)の一方に、スクリーン印刷機を用いて、実施例および比較例で製造した封止材用樹脂組成物を塗布し、もう一方のPETフィルムを重ね合わせ、重ね合わせ長さ10mm(接着面積250mm2)、膜厚20μmに調整した。2枚のPETフィルムで挟み込んだ封止材用樹脂組成物に高圧水銀灯(i線換算の照度:100mW/cm2)を用いて、30秒照射(積算光量:3000mJ/cm2)することで、封止材用樹脂組成物を硬化させ試験片を得た。得られた試験片をJIS-K-6850に準拠し、引張試験機(株式会社島津製作所社製オートグラフAG-IS)にて引張せん断強度を測定した(測定環境:温度25℃、引張速度:5mm/min)。下記式より引張せん断強度を計算した。
(式):引張せん断強度(N/mm2)=最大荷重(N)/接着面積(mm2)
◎:15N/mm2以上で剥離する。
○:10N/mm2以上、15N/mm2未満で剥離する。
×:10N/mm2未満で剥離する。
【0062】
<バリア性>
バリア性については、ポリイミドフィルム(東レ・デュポン(株)製「カプトン100H」、商品名)上に、アプリケーター用いて封止材用樹脂組成物を100μmの厚さで塗工し、封止材用樹脂組成物に高圧水銀灯(i線換算の照度:100mW/cm2)を用いて、30秒照射(積算光量:3000mJ/cm2)することで、硬化した試験片を得た。得られた試験片の透湿度をJIS Z 0208「防湿包装材料の透過湿度試験方法」に準拠した方法にて透湿性を評価した。温湿度条件は40℃/90%RHで実施した。バリア性の評価基準は次の通りである。
◎:40g/m2・24h以下
○:40g/m2・24hより高く、100g/m2・24h以下
×:100g/m2・24hより高い
【0063】
<ウレタン(メタ)アクリレート化合物の合成>
(ジオール化合物(b-1)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-1)の原料1)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、アジピン酸150.2質量部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール161.3質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b-1)を得た(重量平均分子量:1,600)。
【0064】
(ジオール化合物(b-2)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-2)の原料2)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ジエチレンカーボネート175質量部、1,6-へキサンジオール185質量部、テトライソプロピルチタネート0.01質量部を反応器に仕込み、常圧下に窒素雰囲気中でジエチレンカーボネートを還流させながら、生成したエタノールをジエチレンカーボネートと共に系外に留去しながら反応を行った。生成したエタノールの留出が少なくなった時点から徐々に昇温し、200℃に達してエタノールの留出が止まった時点で放冷した。真空ポンプで減圧にし、再び加熱しながら過剰のジオール成分を留去して、ジオール化合物(b-2)を得た(重量平均分子量:2,100)。
【0065】
(ジオール化合物(b-3)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-3)の原料3)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、アジピン酸144.3質量部、1,6-ヘキサンジオール202.1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から6時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b-3)を得た(重量平均分子量:1,000)。
【0066】
(ジオール化合物(b-4)の製造:ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-4)の原料4)
攪拌機、精留塔、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ピメリン酸158.5質量部、3-メチル-1,5-ペンタンジオール202.1質量部を仕込み、窒素雰囲気下で140℃まで加熱、攪拌した。これに、テトラブチルチタネート0.01質量部を仕込み、220℃まで昇温、脱水反応を行った。その後、引き続き220℃でホールドし、脱水反応を行った。脱水反応開始から18時間後、内容物を冷却し、ジオール化合物(b-4)を得た(重量平均分子量:1,750)。
【0067】
(ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-1の製造))
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、上記で得られたジオール化合物(b-1)160.3質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ジブチルチンラウレート0.1質量部と、ポリイソシアネート化合物として3-イソシアナトメチル-3,5,5-トリメチルシクロヘキシルイソシアナート44.5質量部を加え、発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら3時間攪拌した。更に、重合禁止剤としてメトキノンを0.1質量部と、(メタ)アクリレート化合物としてアクリル酸2-ヒドロキシエチル23.2質量部を加えて、85℃で2時間攪拌して、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-1)を得た(重量平均分子量:6,500、官能基数:2)。
【0068】
表1のジオール化合物、ポリイソシアネート化合物およびアクリレート化合物を用いた以外は上記方法と同様にしてウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-2)~(D-5)を得た。
【0069】
(ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-6の製造))
攪拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、(メタ)アクリレート化合物として「プラクセル FA2D」(ダイセル化学社製、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシエチルアクリレート) 51.6質量部を仕込み、攪拌を開始した。次いで、ジブチルチンラウレート0.1質量部と、ポリイソシアネート化合物として「デュラネートTPA-100」(旭化成社製、NCO=23.1%) 53.8質量部と、重合禁止剤としてメトキノン0.1質量部を加えて、発熱に注意しながら内温を80℃に上昇させた後、温度を保ちながら3時間攪拌して、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(D-6)を得た(重量平均分子量:3,000、官能基数:3)。
【0070】
【0071】
以下に、使用した材料の一覧を記載する。
(A-1) 多官能チオール:ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)(東京化成工業株式会社製)
(A-2) 多官能チオール:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)(東京化成工業株式会社製)
(A-3) 多官能チオール:トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート(東京化成工業株式会社製)
(A-4) 多官能チオール:エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオナート) (東京化成工業株式会社製)
(B-1) ポリフェノール:ピロガロール(東京化成工業株式会社製)
(B-2) ポリフェノール:カテコール(東京化成工業株式会社製)
(B-3) ポリフェノール:没食子酸(東京化成工業株式会社製)
(B-4) ポリフェノール:没食子酸エチル(東京化成工業株式会社製)
(B-5) 単官能フェノール:4-メトキシフェノール(和光純薬工業株式会社製)
(B-6) トリフェニルホスファイト(東京化成工業株式会社製)
(C-1) フィラー:J4P[平均粒子径:2.2μm](根上工業株式会社製アクリル粒子)
(C-2) フィラー:FH-S008[平均粒子径:8μm](日本エクスラン工業株式会社製アクリル粒子)
(C-3) フィラー:SO-C1[平均粒子径:0.3μm](株式会社アドマテックス製シリカ粒子)
(C-4) フィラー:AEROSIL RX-200[平均粒子径:0.012μm](日本アエロジル株式会社製シリカ粒子)
(C-5) フィラー:P-400T[平均粒子径:15μm](根上工業株式会社製ウレタン粒子)
(C-6) フィラー:C-600T[平均粒子径:10μm](根上工業株式会社製ウレタン粒子)
(D-7) 硬化性化合物:トリアリルイソシアヌレート(東京化成工業株式会社製)
(E) 光重合開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
【0072】
<実施例1-26、比較例1-4>
上記の成分を下記表2-4に示す量を、プラネタリーミキサーに加え、2時間混合し、硬化性樹脂組成物を得た。得られた各硬化性樹脂を用いて、上記の評価を行った。結果を表2-4に示す。
【0073】
【0074】
【0075】
【0076】
上記試験の結果、各実施例の封止材用樹脂組成物は、(A)~(D)成分を含有することで、未硬化の状態では室温下において高い保管安定性を有し、硬化後は高い密着性を有し、バリア性に優れていた。
【0077】
一方、比較例1では、本発明の(B)成分ではない単官能フェノール化合物を使用したため、封止材用樹脂組成物の硬化物はバリア性が低いものであった。
【0078】
比較例2では、保管安定性向上する目的で使用される化合物であって、フェノール性水酸基を含まない化合物を使用したため、未硬化の状態では室温下において保管安定性が低下し、封止材用樹脂組成物の硬化物は基材への密着性が低く、バリア性が低いものであった。
【0079】
比較例3では、(C)成分を含まないため、封止材用樹脂組成物の硬化後のバリア性が低下した。
【0080】
比較例4では、(A)成分を含まないため、封止材用樹脂組成物の硬化物は基材への密着性が低いものであった。