IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ TDK株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-回路基板 図1
  • 特開-回路基板 図2
  • 特開-回路基板 図3
  • 特開-回路基板 図4
  • 特開-回路基板 図5
  • 特開-回路基板 図6
  • 特開-回路基板 図7
  • 特開-回路基板 図8
  • 特開-回路基板 図9
  • 特開-回路基板 図10
  • 特開-回路基板 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024140456
(43)【公開日】2024-10-10
(54)【発明の名称】回路基板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/28 20060101AFI20241003BHJP
【FI】
H05K3/28 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023051593
(22)【出願日】2023-03-28
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115738
【弁理士】
【氏名又は名称】鷲頭 光宏
(74)【代理人】
【識別番号】100121681
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 和文
(72)【発明者】
【氏名】公文 幹宏
(72)【発明者】
【氏名】杉岡 照康
【テーマコード(参考)】
5E314
【Fターム(参考)】
5E314BB05
5E314BB10
5E314GG24
(57)【要約】
【課題】環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板において、閉塞空間の形成を防止する。
【解決手段】回路基板10は、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、導体パターンは、ランドパターン部41,42と、ランドパターン41,42を接続する接続部51とを含む。接続部51は、ランドパターン部41に接続された区間61と、ランドパターン部42に接続された区間62と、区間61,62を接続する区間63とを含む。区間63の幅W13は、区間61,62の幅W11,W12よりも広い。これにより、区間63における単位面積当たりのハンダSの量が他の領域よりも少なくなることから、閉塞空間の形成が防止される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、
前記導体パターンは、第1及び第2のランドパターン部と、前記第1のランドパターン部と前記第2のランドパターン部を接続する第1の接続部とを含み、
前記第1の接続部は、前記第1のランドパターン部に接続された第1の区間と、前記第2のランドパターン部に接続された第2の区間と、前記第1の区間と前記第2の区間を接続する第3の区間とを含み、
前記第3の区間の少なくとも一部は、前記第1及び第2の区間よりも幅が広い、
回路基板。
【請求項2】
前記導体パターンは、第3及び第4のランドパターン部と、前記第1のランドパターン部と前記第3のランドパターン部を接続する第2の接続部と、前記第2のランドパターン部と前記第4のランドパターン部を接続する第3の接続部と、前記第3のランドパターン部と前記第4のランドパターン部を接続する第4の接続部とをさらに含み、
前記第1の接続部の前記第3の区間の少なくとも一部は、前記第2乃至第4の接続部よりも幅が広い、
請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記第1の接続部の前記第1及び第2の区間は、前記第2乃至第4の接続部と同じ幅を有する、
請求項2に記載の回路基板。
【請求項4】
前記第1の接続部の前記第1及び第2の区間は、前記第2乃至第4の接続部よりも幅が細い、
請求項2に記載の回路基板。
【請求項5】
前記第1の接続部の前記第3の区間は、前記導体パターンが存在しない開口部を囲む環状構造を有する、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の回路基板。
【請求項6】
環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、
前記導体パターンは、第1及び第2のランドパターン部を含む少なくとも3つのランドパターン部と、前記第1のランドパターン部と前記第2のランドパターン部を接続する第1の接続部を含む少なくとも3つの接続部とを含み、
前記第1の接続部は、他の接続部よりも幅が細い、
回路基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は回路基板に関し、特に、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、回路基板の表面は、外部端子として用いられるランドパターンを除いてソルダーレジストで覆われることが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-113391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、回路基板の薄型化等を目的としてソルダーレジストを省略すると、回路基板の表面に設けられた導体パターンが全て露出することから、ランドパターン以外の部分にもハンダが流れ込む。このため、回路基板の表面に露出する導体パターンが環状構造を有している場合、環状のハンダによって囲まれた空間が閉塞されるおそれがあった。
【0005】
本開示においては、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板において、閉塞空間の形成を防止する技術が説明される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面による回路基板は、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、導体パターンは、第1及び第2のランドパターン部と、第1のランドパターン部と第2のランドパターン部を接続する第1の接続部とを含み、第1の接続部は、第1のランドパターン部に接続された第1の区間と、第2のランドパターン部に接続された第2の区間と、第1の区間と第2の区間を接続する第3の区間とを含み、第3の区間の少なくとも一部は、第1及び第2の区間よりも幅が広い。
【0007】
本開示の他の側面による回路基板は、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、導体パターンは、第1及び第2のランドパターン部を含む少なくとも3つのランドパターン部と、1のランドパターン部と第2のランドパターン部を接続する第1の接続部を含む少なくとも3つの接続部とを含み、第1の接続部は、他の接続部よりも幅が細い。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板において、閉塞空間の形成を防止する技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示に係る技術の一実施形態による回路基板10の構造を説明するための模式的な断面図である。
図2図2(a)は環状構造を有する導体パターンの例を示す平面図である。図2(b)は、図2(a)に示す導体パターンに供給されたハンダがリフローによって流動した様子を示す模式的な平面図である。
図3図3(a)は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第1の例を説明するための平面図である。図3(b)及び(c)は、それぞれ図3(a)に示す導体パターンに供給されたハンダがリフローによって流動した様子を示す模式的な平面図及び断面図である。
図4図4は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第2の例を説明するための平面図である。
図5図5は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第3の例を説明するための平面図である。
図6図6は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第4の例を説明するための平面図である。
図7図7は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第5の例を説明するための平面図である。
図8図8は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第6の例を説明するための平面図である。
図9図9は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第7の例を説明するための平面図である。
図10図10(a)は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第8の例を説明するための平面図である。図10(b)は、図10(a)に示す導体パターンに供給されたハンダがリフローによって流動した様子を示す模式的な平面図である。
図11図11は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第9の例を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る技術の実施形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は、本開示に係る技術の一実施形態による回路基板10の構造を説明するための模式的な断面図である。
【0012】
図1に示すように、本実施形態による回路基板10は、複数の導体層L1~L4と複数の絶縁層111~113が交互に積層された構造を有している。導体層L1~L4には、それぞれ導体パターン11~14が設けられる。導体パターン11と導体パターン12は絶縁層111を貫通するビア導体15を介して接続され、導体パターン12と導体パターン13は絶縁層112を貫通するビア導体16を介して接続され、導体パターン13と導体パターン14は絶縁層113を貫通するビア導体17を介して接続される。特に限定されるものではないが、絶縁層112にはRFICなどの電子部品18が埋め込まれている。電子部品18は、ビア導体19を介して導体パターン12に接続される。
【0013】
回路基板10の一方の表面101上には、LCRを代表とする受動素子やICなどの電子部品を含む実装部品30が搭載されている。実装部品30の端子電極31は、ハンダSを介して導体層L4の導体パターン14に接続される。このような構造を有する回路基板10は、マザーボード等の別の回路基板20に搭載される。回路基板20の端子電極21は、ハンダSを介して導体層L1の導体パターン11に接続される。
【0014】
本実施形態による回路基板10は、表面101,102がソルダーレジストで覆われておらず、導体層L1,L4の導体パターン11,14が露出している。つまり、導体層L1においては、回路基板20の端子電極21に接続されるランドパターン部のみならず全ての導体パターン14が露出し、導体層L4においては、実装部品30の端子電極31に接続されるランドパターン部のみならず全ての導体パターン11が露出する。
【0015】
導体層L1,L4に設けられる複数のランドパターン部は、導体層L1,L4において他の導体パターンを介して接続されている場合がある。図1に示す例では、符号Aで示す部分において複数のランドパターン部が導体層L1上で接続されており、符号Bで示す部分において複数のランドパターン部が導体層L4上で接続されている。
【0016】
複数のランドパターン部が同じ導体層上で接続されている場合、図2(a)に示す例のように、導体パターンが環状構造を形成することがある。図2(a)に示す例では、4つのランドパターン部41~44と、これらを接続する4つの接続部51~54によって環状構造が形成されている。この場合、ハンダSを介して端子電極21又は31との接続を行うと、図2(b)に示すように、環状のハンダSによって囲まれた閉塞空間Pが形成されるおそれがある。このような閉塞空間Pが形成されると、フラックスに含まれる揮発成分や、絶縁層111~113から生じたガスや水分が、放出されることなく閉塞空間Pに留まってしまい、腐食の発生など信頼性を低下させる要因となる。また、閉塞空間Pに蓄積されたガスは、リフロー時に膨張することにより空間を押し広げ、ランドパターン部の一部がハンダSと接しない状態となり、接続信頼性が低下する恐れもある。さらに、リフロー時に閉塞空間Pに蓄積されたガスがハンダSの壁を破って飛散する恐れもある。
【0017】
本開示による回路基板10は、導体パターンがこのような環状構造を有している場合であっても、閉塞空間Pが形成されないよう、ランドパターン部同士を接続する接続部の形状を変更している。
【0018】
図3(a)は、導体層L1,L4における導体パターンの形状の第1の例を説明するための平面図である。図3(a)に示す第1の例では、導体パターンが4つのランドパターン部41~44と4つの接続部51~54を含んでいる。ランドパターン部41,42はX方向に配列され、ランドパターン部43,44はX方向に配列され、ランドパターン部41,43はY方向に配列され、ランドパターン部42,44はY方向に配列されている。接続部51はX方向に延在し、ランドパターン部41,42を接続する。接続部52はY方向に延在し、ランドパターン部41,43を接続する。接続部53はY方向に延在し、ランドパターン部42,44を接続する。接続部54はX方向に延在し、ランドパターン部43,44を接続する。これにより、ランドパターン部41~44と接続部51~54は、環状構造となる。
【0019】
そして、図3(a)に示す第1の例では、接続部51の幅が局所的に拡大されている。具体的に説明すると、接続部51は、ランドパターン部41に接続された区間61と、ランドパターン部42に接続された区間62と、区間61と区間62を接続する区間63とを含み、区間63の幅W13が区間61,62の幅W11,W12よりも拡大されている。これらの幅は、当該接続部の延在方向に対して直交する方向における導体パターンのサイズとして定義される。したがって、区間61~63の幅W11~W13は、Y方向における導体パターンのサイズである。他の接続部52~54の幅W2~W4は一定である。区間61,62の幅W11,W12は、接続部52~54の幅W2~W4と同じであっても構わない。また、ランドパターン部41~44のX方向における幅W21及びY方向における幅W22は、幅W2~W4よりも大きい。
【0020】
このような形状により、ハンダSを介して端子電極21又は31との接続を行うと、図3(b)に示すように、区間63における単位面積当たりのハンダSの量が他の領域よりも少なくなり、その結果、図3(c)に示すように区間63においてハンダSの壁に穴Qが形成される。これは、ランドパターン部41,42に供給されたハンダSがリフローによって区間61,62から区間63に流れ込むものの、区間63の幅W13が区間61,62の幅W11,W12よりも拡大されていることから、単位面積当たりのハンダSの量が区間63において局所的に減少するためである。このようなメカニズムにより、図3(a)に示す第1の例では、環状のハンダSによって囲まれた閉塞空間Pが形成されることなく、ハンダSの壁に穴Qを形成することが可能となる。
【0021】
しかも、区間61,62の幅W11,W12を接続部52~54の幅W2~W4と同じとすれば、区間63の幅W13のみを拡大するだけで足りることから、設計が容易となる。一方、区間61,62の幅W11,W12を接続部52~54の幅W2~W4よりも細くすれば、区間63に流れ込むハンダSの量が減少することから、区間63における単位面積当たりのハンダSの量をより減少させることが可能となる。
【0022】
ここで、図3(a)に示す第1の例では、区間63の幅W13が一定であるが、図4に示す第2の例のように、区間61,62から離れるにしたがって区間63の幅W13が拡大する形状であっても構わない。また、図5に示す第3の例や、図6に示す第4の例のように、区間63を構成し、Y方向に突出する突出部63a,63bのX方向における位置が異なっていても構わない。さらに、図7に示す第5の例のように、接続部51をクランク状とすることにより、区間63の幅W13を拡大しても構わない。また、図8に示す第6の例のように、クランク状の接続部51を複数設けても構わない。さらに、図9に示す第7の例のように、区間63に導体パターンが存在しない開口部64を形成することにより、区間63を環状構造としても構わない。このような開口部64を設ければ、ハンダSの流動が開口部64において阻害されるため、ハンダSの壁に穴Qが形成されやすくなる。
【0023】
また、図10(a)に示す第8の例のように、接続部51の幅W1を他の接続部52~54の幅W2~W4よりも細くしても構わない。これによれば、他の接続部52~54と比べ、接続部51に流れ込むハンダSの量が減少することから、図10(b)に示すように、接続部51にハンダSの壁に穴Qを形成することができる。図10(a)の構成において、隣接するパッド接続抵抗を減らす目的においては、図11に示す第9の例のように、幅の細い接続部51を複数設けても構わない。
【0024】
以上、本開示に係る技術の実施形態について説明したが、本開示に係る技術は、上記の実施形態に限定されることなく、その主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本開示に係る技術の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0025】
本開示に係る技術には、以下の構成例が含まれるが、これに限定されるものではない。
【0026】
本開示の一側面による回路基板は、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、導体パターンは、第1及び第2のランドパターン部と、第1のランドパターン部と第2のランドパターン部を接続する第1の接続部とを含み、第1の接続部は、第1のランドパターン部に接続された第1の区間と、第2のランドパターン部に接続された第2の区間と、第1の区間と第2の区間を接続する第3の区間とを含み、第3の区間の少なくとも一部は、第1及び第2の区間よりも幅が広い。これによれば、第3の区間における単位面積当たりのハンダの量が他の領域よりも少なくなることから、閉塞空間の形成が防止される。
【0027】
上記の回路基板において、導体パターンは、第3及び第4のランドパターン部と、第1のランドパターン部と第3のランドパターン部を接続する第2の接続部と、第2のランドパターン部と第4のランドパターン部を接続する第3の接続部と、第3のランドパターン部と第4のランドパターン部を接続する第4の接続部とをさらに含み、第1の接続部の第3の区間の少なくとも一部は、第2乃至第4の接続部よりも幅が広くても構わない。これによれば、第3の区間における単位面積当たりのハンダの量をより低減することが可能となる。
【0028】
上記の回路基板において、第1の接続部の第1及び第2の区間は、第2乃至第4の接続部と同じ幅を有していても構わない。これによれば、導体パターンの設計が容易となる。或いは、第1の接続部の第1及び第2の区間は、第2乃至第4の接続部よりも幅が細くても構わない。これによれば、第3の区間に流れ込むハンダの量をより減少させることが可能となる。
【0029】
上記の回路基板において、第1の接続部の第3の区間は、導体パターンが存在しない開口部を囲む環状構造を有していても構わない。これによれば、ハンダの流動が開口部において阻害されることから、ハンダの壁に穴が形成されやすくなる。
【0030】
本開示の他の側面による回路基板は、環状構造を有する導体パターンが表面に露出する回路基板であって、導体パターンは、第1及び第2のランドパターン部を含む少なくとも3つのランドパターン部と、1のランドパターン部と第2のランドパターン部を接続する第1の接続部を含む少なくとも3つの接続部とを含み、第1の接続部は、他の接続部よりも幅が細い。これによれば、第1の接続部に流れ込むハンダの量が他の接続部に流れ込むハンダの量よりも少なくなることから、第1の接続部にハンダの壁に穴を形成することが可能となる。
【符号の説明】
【0031】
10 回路基板
11~14 導体パターン
15~17,19 ビア導体
18 電子部品
20 回路基板
21 端子電極
30 実装部品
31 端子電極
41~44 ランドパターン部
51~54 接続部
61~63 区間
63a,63b 突出部
64 開口部
101,102 回路基板の表面
111~113 絶縁層
L1~L4 導体層
P 閉塞空間
Q 穴
S ハンダ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11