(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014047
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】集排水溝の受け枠、蓋体の取付構造、並びに集排水溝の施工方法
(51)【国際特許分類】
E03F 5/04 20060101AFI20240125BHJP
E03F 5/06 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
E03F5/04 E
E03F5/04 F
E03F5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022116602
(22)【出願日】2022-07-21
(71)【出願人】
【識別番号】391006304
【氏名又は名称】ソイル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142594
【弁理士】
【氏名又は名称】阪中 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100090686
【弁理士】
【氏名又は名称】鍬田 充生
(72)【発明者】
【氏名】▲徳▼田 裕幸
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063CA02
2D063CB07
2D063CB26
(57)【要約】
【課題】締結部材(ボルト及びナット)が腐食しても、再利用可能な受け枠と、この受け枠を備えた蓋体の取付構造、並びに集排水溝の施工方法を提供する。
【解決手段】集排水溝の上部に配置した受け枠3の受け部5で蓋体を支持し、前記蓋体と前記受け部5とをボルト及びナットで締結し、集排水溝を施工する。このような施工において、前記受け部5に、前記ボルト及びナットのうち一方の締結部材(六角ナット)31が開口部22を通じて装着可能な装着空間23を備えた装着部21を形成し;この装着部の装着空間22内で前記一方の締結部材31の回転を第1の規制部(開口部22の両側壁24a,24b)で規制し、前記一方の締結部材31に対する他方の締結部材(ボルト)の螺合に伴って、前記装着空間23からの前記一方の締結部材31が抜けるのを第2の規制部(天井壁26)で規制し、前記受け枠3と前記蓋体とを締結し、集排水溝を施工する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集排水溝に配設可能な蓋体を受け部で支持して、前記蓋体と前記受け部とをボルト及びナットで締結するための受け枠であって、
前記受け部に形成され、前記ボルト及びナットのうち一方の締結部材が装着可能な装着空間を備えた装着部を有し;この装着部の装着空間内に少なくとも部分的に前記一方の締結部材が装着された状態で、前記一方の締結部材の回転を規制可能な第1の規制部と;前記一方の締結部材に対する他方の締結部材の螺合に伴って、前記装着部の装着空間からの前記一方の締結部材の抜けを規制可能な第2の規制部とを備えている、受け枠。
【請求項2】
前記装着部が、前記一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部と;この開口部の両側部から奥部方向に延びて形成され、前記装着空間内で前記一方の締結部材が回転するのを規制可能な第1の規制部と;前記装着空間の上部壁で形成され、前記装着空間から前記一方の締結部材が軸方向に抜けるのを規制可能な第2の規制部とを備えている請求項1記載の受け枠。
【請求項3】
前記装着部が、所定間隔をおいて前記受け部に立設して固定され、少なくとも多角部を有する前記一方の締結部材がスライド式に装着可能な開口部を形成する両側壁と、この両側壁の上部に架け渡して形成され、前記両側壁と関連して前記装着空間を形成する上部壁と、この上部壁に形成され、前記ボルトの軸部が挿通可能な挿通部とを備えており;
前記両側壁の内壁に沿って開口部から奥部方向に延び、前記一方の締結部材を支持可能な支持部と;
前記両側壁で形成され、前記装着空間内で前記一方の締結部材の前記多角部の回転を規制可能な第1の規制部と;
前記上部壁で形成され、前記装着空間から前記一方の締結部材が軸方向に抜けるのを規制可能な第2の規制部とを備えている請求項1又は2記載の受け枠。
【請求項4】
前記装着空間に通じて前記装着部の縦方向に延びて開口し、前記一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部と;前記装着部に対して装着可能であり、前記装着部の開口部からの前記一方の締結部材の脱離を規制するための脱離防止部材を備えている請求項1又は2記載の受け枠。
【請求項5】
前記脱離防止部材が、前記装着部に対して装着可能なリング状の形態を有している請求項4記載の受け枠。
【請求項6】
前記装着空間に通じて前記装着部の縦方向に延びて開口し、前記一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部と;この開口部に対して前記装着部の反対側に位置して形成され、前記装着空間内の所定部に前記一方の締結部材を位置させるためのストッパー壁又はストッパー部とを備えており、
前記装着部のうち前記ストッパー壁又はストッパー部の下端部に対応する部位に前記装着空間と通じる連通口が形成されている請求項1又は2記載の受け枠。
【請求項7】
アンカーを備えている請求項1又は2記載の受け枠。
【請求項8】
集排水溝に配設された受け枠の受け部に対して、蓋体を、ボルト及びナットで締結して取り付けるための取付構造であって、
前記装着空間を備えた装着部を有する請求項1又は2記載の受け枠と;
前記ボルト及びナットのうち、前記装着部の装着空間内に、回転が規制された状態で少なくとも部分的に装着された一方の締結部材と;
前記装着空間からの前記一方の締結部材の抜けが規制された状態で、前記一方の締結部材に対して螺合され、前記一方の締結部材と関連して、前記受け部と蓋体とを締結する他方の締結部材とを備えている、蓋体の取付構造。
【請求項9】
腐食した前記ボルト及びナットを、新たなボルト及びナットに交換可能である、請求項8記載の蓋体の取付構造。
【請求項10】
集排水溝の上部に受け枠を配置してコンクリートを打設し、前記受け枠と蓋体とをボルト及びナットで締結する集排水溝の施工方法であって、
前記集排水溝の上部に、前記装着空間を備えた装着部を有する請求項1又は2記載の前記受け枠を配置してコンクリートを打設し、前記ボルト及びナットのうち、前記装着部の装着空間に少なくとも部分的に装着された一方の締結部材に対して、前記蓋体を前記受け部に配置した状態で、前記ボルト及びナットのうち他方の締結部材を螺合して前記受け枠と前記蓋体とを締結する、集排水溝の施工方法。
【請求項11】
腐食した前記ボルト及びナットの螺合を解除し、新たなボルト及びナットのうち一方の締結部材を装着部の装着空間に装着し、前記蓋体を前記受け部に配置した状態で、前記新たなボルト及びナットのうち他方の締結部材を前記一方の締結部材に螺合する、請求項10記載の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速道路を含む道路の路肩や中央分離帯などの集排水構造(側溝、横断溝などの集排水溝又は集排水路)に、グレーチングなどの蓋体とともに適用可能な受け枠、この受け枠を備えた蓋体の取付構造、並びに、このような取付構造を有する集排水構造(集排水溝又は集排水路)の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路の路肩、道路の横断域、工場の集排水域には、路面の冠水や、車両の通行による雨水などの跳ね上げを抑制するため、通常、U字状溝などの集排水溝(側溝を含む)が形成されている。また、路面と同じ高さ位置に、グレーチングなどの蓋体を載置した集排水溝も知られている。しかし、このような集排水溝(側溝)では、車両の走行に伴って蓋体の上下動音や位置ずれ音が発生したり、集排水溝から蓋体が跳ね上がり、車両事故が生じるケースがある。特に、高速道路で蓋体が跳ね上がると、重大な事故が生じるおそれがある。そのため、集排水溝の所定位置に、底板部にボルトが溶着された受け枠を配置し、この受け枠の周囲にコンクリートを打設して集排水路を形成し、前記受け枠に固定された前記ボルトにグレーチングなどの蓋体の装着孔を装着してナットで固定した構造が採用されている。また、集排水溝の施工には、アンカー付きの受け枠を使用し、コンクリートに対する結合力を高めることも行われている。
【0003】
例えば、特開2010-180640号公報(特許文献1)には、側溝の上面に載置される蓋と蓋との間に取付空間部を設け、この取付空間部に、グレーチング受け枠をセットし、セットされたグレーチング受け枠と、このグレーチング受け枠に隣接する各々蓋の側面とを連結し、グレーチング受け枠内に予め固定された固定ボルトと、グレーチングに形成されたナット操作孔とを利用して、ナットを固定ボルトに締結し、グレーチング受け枠にグレーチングを固定した取付構造が記載されている。
【0004】
特許第5547843号公報(特許文献2)には、水路の上部に備えられ、溝蓋を配設するための溝蓋用受枠が記載され、溝蓋を受ける受枠本体を、一対の受板部材と、所定間隔をあけて前記受板部材の端部に架け渡された一対の側板部材とで矩形枠状に形成し、前記受板部材を、固定ボルトが溶着された所定長さの底板部と壁板部とで形成し、高さ調整ボルト・ナットで受け枠の高さを調整し、受け枠の下部に無収縮モルタルを注入するとともに、受け枠の周囲にコンクリートを打設して硬化させ、固定ボルトの雄ネジ部をグレーチングの固定孔に挿通させ、袋ナットで締結してグレーチングを固定して設置すること、着脱可能とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-180640号公報
【特許文献2】特許第5547843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、集排水溝などの水路内は、雨水など水、水分などにより金属が腐食しやすい環境にある。特に、路面に、融雪剤、凍結防止剤などの薬剤が散布された状況では、さらに金属が腐食しやすくなる。さらには、通常、ボルト・ナットの耐食性は、グレーチングなどの蓋体に比べて低い。そのため、時間の経過に伴って、前記受け枠と蓋体とを締結するボルト・ナットが腐食し、ボルトとナットとの螺合を解除できなくなり、蓋体が交換不能となる。すなわち、ボルト・ナットの腐食とともに、次第にボルトが痩せていき、強引にボルトからナットを外すと、ナットでの再締結不能となる。特に、ボルトのネジ部が先行して腐食するため、締結力も低下し、強引にボルトからナットを外すと、ネジ部が潰れ、ナットによる再締結ができなくなる。
【0007】
このような事態になると、集排水路構造の一部の部材(ボルト・ナット)が腐食したにも拘わらず、少なくとも受け枠、腐食が著しい場合には、集排水路のうち前記受け枠とその周辺部(コンクリート打設部)を補修又は改修する必要がある。しかも、受け枠の底板部に溶着された固定ボルト、高さ調整ボルト・ナットがモルタル及びコンクリートに埋設された状態で腐食するため、受け枠の交換(又は取り替え)には、大がかりな工事を必要とする。また、受け部に対してボルトのネジ部だけを現場で溶接することも可能であるが、ボルトを受け部に溶接しても、ボルトの溶接強度が向上することは期待できない。特に、アンカー付きの受け枠を用いると、アンカーがコンクリート内に埋設されているため、集排水路全体を大きく補修又は改修して再構築する必要がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、締結部材が腐食しても、再利用可能な受け枠(受け部材)、この受け枠を備えた蓋体の取付構造、及びこの取付構造を備えた集排水溝の施工方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、メンテナンス性に優れ、腐食した締結部材を簡単に脱着して新たな締結部材に交換可能な受け枠(受け部材)、この受け枠を備えた蓋体の取付構造、及び集排水路溝の施工方法を提供することにある。
【0010】
本発明のさらに他の目的は、集排水路を大幅に補修又は改修することなく、損傷したボルト固定部及び集排水路溝を最小限のコストで補修又は改修可能な受け枠(受け部材)、この受け枠を備えた蓋体の取付構造、及び集排水路溝の施工方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、受け枠の受け部に装着空間を備えた装着部を形成し、前記装着空間内に、回転及び抜けが規制された状態で、ボルト又はナットを装着又は収容し、蓋体を介して、前記装着空間内のボルト又はナットに対してナット又はボルトを螺合すると、ボルト・ナットが腐食したとしても、螺合を解除することにより、腐食したボルト又はナットを前記装着空間から容易に脱着でき、新たなボルト・ナットと交換可能であることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
すなわち、本発明の受け枠(受け部材)は、[1]集排水溝(集排水路)に配設可能な蓋体を受け部で支持して、前記蓋体と前記受け部とをボルト及びナットで締結又は固定するための受け枠であって、前記受け部に形成され、前記ボルト及びナットのうち一方の締結部材が装着可能(着脱可能に装着可能)な装着空間(又は収容空間)を備えた装着部を有し;この装着部の装着空間(又は収容空間)内に少なくとも部分的に前記一方の締結部材が装着又は収容された状態で、前記一方の締結部材の回転を規制可能な第1の規制部と;前記一方の締結部材に対する他方の締結部材の螺合に伴って、前記装着部の装着空間(又は収容空間)からの前記一方の締結部材の抜けを規制可能な第2の規制部とを備えている。
【0013】
前記受け枠[1]の態様において、[2]前記装着部は、前記一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部と;この開口部の両側部から奥部方向に延びて形成され、前記装着空間内で前記一方の締結部材が回転するのを規制可能な第1の規制部と;前記装着空間の上部壁(天井壁など)で形成され、前記装着空間から前記一方の締結部材が軸方向(縦方向)に抜けるのを規制可能な第2の規制部とを備えていてもよい。
【0014】
前記受け枠[1]又は[2]の態様において、[3]前記装着部は、所定間隔をおいて前記受け部に立設して固定され、少なくとも多角部を有する前記一方の締結部材がスライド式に装着可能な開口部を形成する両側壁と、この両側壁の上部に架け渡して形成され、前記両側壁と関連して前記装着空間を形成する上部壁(天井壁など)と、この上部壁(天井壁など)に形成され、前記ボルトの軸部が挿通可能な挿通部(挿通孔などの孔状、切欠き状、スリット状などの挿通部)とを備えていてもよく;前記両側壁の内壁に沿って開口部から奥部方向に延び、前記一方の締結部材を支持可能な支持部(一対の延出部又は支持壁)と; 前記両側壁で形成され、前記装着空間内で前記一方の締結部材の前記多角部の回転を規制可能な第1の規制部と;前記上部壁(天井壁など)で形成され、前記装着空間から前記一方の締結部材が軸方向(又は縦方向)に抜けるのを規制可能な第2の規制部とを備えていてもよい。この態様[3]において、前記両側壁と上部壁(天井壁など)とで縦断面コ字状の形態の装着部を形成してもよく;前記両側壁と上部壁(天井壁など)とで前記装着空間を形成してもよい。
【0015】
前記受け枠[1]~[3]のいずれかの態様において、[4]前記装着空間に通じて前記装着部の縦方向(軸方向)に延びて開口し、前記一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部と;前記装着部に対して装着可能であり、前記装着部の開口部からの前記一方の締結部材の脱離を規制するための脱離防止部材を備えていてもよい。
【0016】
さらに、前記受け枠[1]~[4]のいずれかの態様において、[5]前記脱離防止部材は、前記装着部に対して装着可能なリング状の形態を有していてもよい。
【0017】
前記受け枠[1]~[5]のいずれかの態様において、[6]前記装着空間に通じて前記装着部の縦方向(軸方向)に延びて開口し、前記一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部と;この開口部に対して前記装着部の反対側に位置して形成され、前記装着空間内の所定部に前記一方の締結部材を位置させる(又は位置決めする)ためのストッパー壁(位置決め壁)又はストッパー部(位置決め部)を備えており、
前記装着部のうち前記ストッパー壁又はストッパー部の下端部に対応する部位に前記装着空間と通じる連通口(又は連通孔)が形成されていてもよい。前記受け枠[1]~[6]のいずれかの態様において、[7]受け枠は、アンカーを備えていてもよい。
【0018】
本発明は、[8]集排水溝に配設された受け枠の受け部に対して、蓋体を、ボルト及びナットで締結又は固定して取り付けるための取付構造も包含する。この取付構造は、前記装着空間を備えた装着部を有する前記[1]~[7]のいずれかの態様の受け枠(受け部材)と;前記ボルト及びナットのうち、前記装着部の装着空間内に、回転が規制された状態で、少なくとも部分的に装着された一方の締結部材と;前記装着空間からの前記一方の締結部材の抜けが規制された状態で、前記一方の締結部材に対して螺合され、前記一方の締結部材と関連して、前記受け部と蓋体とを締結する他方の締結部材とを備えていてもよい。
【0019】
前記蓋体の取付構造[8]の態様において、[9]腐食した前記ボルト及びナットを、新たなボルト及びナットに交換可能であってもよい。この態様において、前記受け枠を交換することなく、新たなボルト及びナットに交換可能であってもよい。
【0020】
本発明は、さらに、[10]集排水溝の上部に受け枠を配置してコンクリートを打設し、前記受け枠と蓋体とをボルト及びナット(締結部材)で締結する集排水溝ユニットの施工方法も包含する。この方法では、前記集排水溝の上部に、前記装着空間を備えた装着部を有する前記[1]~[7]のいずれかの態様の受け枠(受け部材)を配置してコンクリートを打設し、前記ボルト及びナットのうち、前記装着部の装着空間に少なくとも部分的に装着された一方の締結部材に対して、前記蓋体を前記受け部に配置した状態で、前記ボルト及びナットのうち他方の締結部材を螺合して前記受け枠と前記蓋体とを締結してもよい。
【0021】
前記集排水溝ユニットの施工方法[10]の態様において、[11]腐食した前記ボルト及びナットの螺合を解除し、新たなボルト及びナットのうち一方の締結部材を装着部の装着空間に装着し、前記蓋体を前記受け部に配置した状態で、前記新たなボルト及びナットのうち他方の締結部材を螺合してもよい。
【0022】
なお、本明細書において、「集排水溝」は、側溝、横断溝、集水枡などの集排水路、集排水構造と同義に用いる。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、受け枠の受け部に形成した装着部の装着空間又は収容空間内に、ボルト及びナットのうち一方の締結部材が装着又は収容可能であるため、前記受け枠と蓋体とを締結する締結部材(ボルト及びナット)が腐食しても、前記装着空間又は収容空間の一方の締結部材を交換可能であり、新たな締結部材(ボルト及びナット)で前記受け枠と蓋体とを締結可能である。そのため、前記受け枠(並びに蓋体)を再利用可能であり、メンテナンス性に優れており、腐食した締結部材を簡単に脱着して新たな締結部材に交換可能である。さらに、ボルト・ナットがコンクリート内に埋設されないことと相まって、集排水路(集排水溝)を大幅に補修又は改修することなく、損傷したボルト固定部及び集排水溝を最小限のコストで補修又は改修可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は本発明の受け枠の一例とグレーチングとの関係を示す概略分解斜視図である。
【
図2】
図2は
図1の受け枠及びグレーチングを用いて施工した集排水溝の一例を示す概略断面図である。
【
図3】
図3は
図1の受け枠の装着部に長ナットが装着された状態を示す概略部分断面図である。
【
図4】
図4は
図1の受け枠の装着部に長ナット及び脱離防止部材を装着する状態を示す概略分解斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【
図5】
図5は
図1の装着部に長ナットを装着する状態を示す概略分解斜視図である。
【
図6】
図6は
図1の装着部に脱離防止部材を装着する状態を示す概略分解斜視図である。
【
図7】
図7は
図1の装着部に長ナット及び脱離防止部材を装着した状態を示す概略斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【
図8】
図8は
図1の装着部にボルトを螺合する状態を示す概略分解斜視図である。
【
図9】
図9は、下方から見たとき、
図8のボルトを螺合する状態を示す概略分解斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【
図10】
図10は
図1の受け枠及びグレーチングの施工状態を示す概略斜視図である。
【
図11】
図11は本発明の受け枠の他の例の装着部にナット及び脱離防止部材を装着した状態を示す概略斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【
図12】
図12は本発明の受け枠のさらに他の例の装着部を示す概略斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【
図13】
図13は本発明の受け枠のさらに他の例の装着部にボルト及び脱離防止部材を装着した状態を示す概略斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【
図14】
図14は本発明の受け枠の別の例の装着部を示す概略分解斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に、添付図面を参照しつつ本発明を詳細に説明する。
図1は本発明の受け枠の一例と蓋体としてのグレーチングとの関係を示す概略分解斜視図であり、
図2は前記受け枠及びグレーチングを用いて施工した集排水溝(側溝、横断溝などの通水溝)の一例を示す概略断面図であり、
図3~
図10は、
図1の装着部に対する一方の締結部材及び脱離防止部材の配設状態、並びに他方の締結部材による締結状態を示す概略図である。なお、
図4,
図7,
図9において、前記受け部に接合された装着部が図示され、受け部を含む受け枠は省略されている。
【0026】
この例では、予め断面U字状に成形された側溝ブロック(コンクリートブロック)1の敷設により通水溝(集排水溝)2が形成され、この通水溝の上部開口部に、架設した状態で、アンカー6を備えた四角枠状の受け枠3を配置し、所定位置(この例では、前記通水溝2の上部内壁と、前記受け枠3の外側と)に、型枠としての木枠(図示せず)を配置し、型枠内にコンクリート又はモルタル7を打設している。なお、前記アンカー6は、前記受け枠3の側壁から下方(又は斜め外向きの下方)に延びており;前記通水溝2の上部開口部に隣接する上部壁に、前記アンカー6を介して、受け枠3が立設した形態で配置され、前記型枠内にコンクリート又はモルタル7を打設している。そのため、前記受け枠3と硬化したコンクリート又はモルタル7とが高い結合強度で一体化する。コンクリート又はモルタル7が硬化した後、前記型枠(木枠)を除去することにより、前記受け枠3が前記通水溝の上部開口部に敷設される。
【0027】
前記四角枠状の受け枠3は、立設した四角形状(四角枠状)の側壁4と、互いに対向する側壁の下部から内方に延出し、格子構造を有する平面四角形状のグレーチング11を支持するための受け部(内方へ延出する延出支持壁)5を有しており、互いに対向する受け部の両側部には、ボルト・ナットを着脱又は交換可能に装着するための装着部(又は装着ユニット)21が立設して溶接され、前記受け部5と一体化して固定されている。なお、この例では、前記受け部5は、前記受け枠3の側壁下端部から全周に亘り内方に延出している。また、四角形状の側壁4とグレーチング11のコーナー部には、前記受け部5と締結するための締結域(締結板部)12が形成され、その締結域には、ボルトの軸部が挿通可能な孔部13が形成されている。
【0028】
さらに、この例では、前記装着部(又は装着ユニット)21は、所定間隔をおいて前記受け部5に固定された両側壁24a,24bと、この両側壁の上端部に架け渡された天井壁26とを備えており、縦断面コ字状の形態を有している。前記受け枠3の前記両側壁24a,24bは、受け枠3の内方に面して、断面六角形状の長ナット(六角高ナット)31を装着するための開口部(縦方向に延びる開口部)22を形成し、前記受け部5と両側壁24a,24bと天井壁26とで、前記長ナット31を装着又は収容するための断面コ字状の装着空間(又は収容空間)23を形成している。なお、前記天井壁26には、前記長ナット31と螺合するため、前記長ナット31に対して螺合可能なボルト32の軸部が挿通可能な挿通部(又は挿通孔)27が形成されている。
【0029】
前記両側壁24a,24bの下部には、前記両側壁24a,24bの内壁に沿って前記開口部22から奥部方向に延びる支持部(支持壁)25a,25bが形成されている。このような支持部25a,25bに載置された状態で、前記断面六角形状の長ナット31が、前記開口部22から奥部方向にスライド式に前記装着空間23に装着可能である。そのため、前記長ナット31が、前記受け部5に溜まる水などの流体と接触するのを抑制でき、前記長ナット31の腐食を抑制できる。
【0030】
さらに、前記装着空間23に長ナット31が装着された状態で、前記開口部22の両側壁24a,24bを前記長ナット31に対する回転規制部(第1の規制部)として機能させることができる。すなわち、断面六角形状の長ナット31の対向壁(対向辺)の厚みは、前記両側壁24a,24bの間隔に対応しており、断面六角形状の長ナット31の角部を前記開口部22に向けて(又は長ナット31の対向部又は対向辺を前記両側壁24a,24bに沿わせて)前記装着空間23に装着すると、前記開口部22の両側壁(装着空間23内で対向する対向側壁)24a,24bが、前記長ナット31の回転を規制し、前記装着空間23内で前記長ナット31は回転不能となる。
【0031】
前記天井壁26は、前記装着空間23から前記長ナット31が軸方向(縦方向)に移動して抜けるのを規制するための第2の規制部(抜け規制部又は抜け防止部)として機能する。すなわち、断面六角形状の長ナット31の高さは、支持部(支持壁)25a,25bからの装着空間23の高さに対応している。そのため、前記長ナット31にボルトを螺合しても、前記天井壁26で長ナット31の上方(縦方向)への移動が規制される。このように、前記装着空間23に装着された前記長ナット31は、両側壁24a,24b及び天井壁26により、回転及び上方(縦方向)への抜けが規制されている。
【0032】
なお、装着部(又は装着ユニット)21において、前記開口部22に隣接する前記両側壁(両側壁の奥部)24a,24bには、前記支持部(支持壁)25a,25bの上部壁と若干の間隔をおいて、前記両側壁24a,24bから横方向に延びるストッパー壁28が形成され、このストッパー壁で前記長ナット31が前記受け枠3の後部側壁側(受け枠3の側壁4側)に脱離するのを防止し、前記長ナット31を前記装着空間23内の所定の位置に位置させている。すなわち、ストッパー壁28を位置決め壁として機能させている。また、このストッパー壁28の下部壁と、前記支持部(支持壁)25a,25bの上部壁との間には、前記装着空間23内と通じる開放したスリット状の連通口(通気通水口)29が形成されている。そのため、ストッパー壁28で前記長ナット31の過度な侵入を規制できるとともに、前記スリット状の連通口29で通気でき、前記装着空間23内に水などの液体が流入又は滞留しても、前記スリット状の連通口29を通じて排出でき、前記長ナット31及びボルト32の腐食を抑制できる。
【0033】
さらに、前記装着部21の開口部22(前記両側壁24a,24bの間)からの前記長ナット31が脱離するのを規制するため、前記装着部21(装着部21の外周部)には、四角枠状の脱離防止部材30が装着可能である。この例では、前記装着部21に対する装着性を向上させるため、四角枠状の脱離防止部材には、切離部(受け枠3の側壁4側で切離された切離部)が形成され、前記ストッパー壁28で支持された形態で、前記装着部21に脱離防止部材30が装着可能である。
【0034】
そして、前記装着空間23に前記長ナット31を装着した状態で、前記受け枠3の受け部(延出支持壁)5に前記グレーチング11を配設し、座金(ワッシャー)33を介して、前記ボルト32の軸部(又は雄ネジ部)を、前記グレーチング11のコーナー部の締結域12の孔部13、並びに前記天井壁26の挿通部27から挿入し、前記ボルト32の雄ネジ部を前記装着空間23の長ナット31の雌ネジ部に螺合することにより、前記受け部5と前記グレーチング11とを締結可能である。前記長ナット31に対するボルト32の螺合に伴って、前記長ナット31が前記締結域12の締結板部に引き寄せられ、前記長ナット31が前記支持部25a,25bから遊離してもよい(上部方向に浮遊して浮遊空間を形成ししてもよい)。このような施工により、集排水溝(又は側溝)において、前記受け枠3を備えたグレーチング11の取付構造及び通水路(集排水路)を形成できる。
【0035】
なお、集排水溝(又は側溝)では、経年変化により、耐食性の高いグレーチング11に比べて、前記ボルト32及び長ナット31の腐食が早期に進行し、ボルト32・ナット31の締結力も低下する。特に、ボルト32・ナット31のネジ部の腐食が優先的に進行し、ボルト32とナット31との螺合を解除して、再び螺合しても締結力は回復しない。そのため、ボルト32・ナット31がコンクリートに埋設された従来の技術では、集排水路のうち、少なくとも受け枠及びその周辺のコンクリート打設部を補修又は改修する必要がある。
【0036】
しかし、前記受け枠3及びグレーチング11の取付構造を利用すると、前記のように、前記支持部25a,25bによる長ナット31の支持(受け部5と長ナット31との間に形成される遊離空間)、前記連通口(通気通水口)29による排水や通気などを利用して、前記ボルト32及び長ナット31の腐食を抑制できる。また、前記長ナット31に対するボルト32の螺合に伴って、前記長ナット31が前記支持部25a,25bから遊離して浮遊空間を形成できるため、長ナット31の腐食をさらに有効に抑制できる。特に、前記ボルト32及び長ナット31が腐食しても、前記ボルト32と長ナット31との螺合(螺着)を解除すると、前記装着部21の開口部22を通じて、前記装着空間(収容空間)23から長ナット31を容易に取り出すことができ、新たな長ナットとボルトとに交換可能である。そのため、集排水路のメンテナンス性に優れ、集排水路を大幅に補修又は改修することなく、損傷したボルト32及びナット31の固定部を最小限のコストで補修又は改修すればよく、長ナット31及びボルト32を交換するだけで、受け枠3及びグレーチング11を再利用できる。
【0037】
[受け枠又は受け部材]
なお、受け枠(受け部材)は、集排水溝(集排水路)に配設可能な蓋体を支持可能な受け部を備え、ボルト及びナットで前記蓋体と前記受け部(又は前記装着部)とが締結又は固定可能であればよい。前記受け枠は、蓋体の形態に応じて、例えば、多角枠状(四角枠状、六角枠状など)、円形枠状、楕円枠状などの形態を有していてもよく、四角枠状又は円形枠状、特に四角枠状の形態を有している場合が多い。前記受け枠は、少なくとも対向する側壁(少なくとも一対の対向する側壁)を有する場合が多く、周方向において対向する側壁(例えば、対向する二対の側壁)が対向していてもよい。前記受け部は、グレーチングなどの蓋体を支持可能な形態で形成でき、受け枠の側壁から周方向に所定間隔をおいて又は前記側壁の周方向に沿って内方に突出又は延出していてもよい。好ましい態様では、前記受け部は、四角枠状の受け枠の対向する少なくとも一対の側壁(特に、側壁下部)から対向する方向(内方)に、所定の幅で前記側壁に沿って延びていてもよく、全周に亘り(対向する二対の側壁)から所定の幅で内方に延出していてもよい。
【0038】
必要であれば、前記受け枠の上縁部からは、側方(側部外方向)へ延出壁が延出していてもよい。
【0039】
前記受け枠は、必ずしもアンカーを備えている必要はないが、アンカーを備えた受け枠を利用すると、コンクリートなどとの結合力を向上できる。受け枠(例えば、受け枠の側壁)から延びるアンカーの形態は特に制限されず、直線状の棒状体であってもよく、少なくとも1つの変曲部(屈曲部又は湾曲部)を有する形態(変曲又は屈曲部などで形成され、コンクリートなどとの結合力を高めるための係止部を有する形態)、例えば、棒状体が下方向又は斜め下外方向に延びて横方向に湾曲又は屈曲した形態、ループ状棒状体(幅狭に湾曲したのループ状棒状体など)が湾曲部を下方向又は斜め下外方向に向けて延びた形態、さらには前記湾曲部がさらに横方向に湾曲又は屈曲した形態などであってもよい。
【0040】
[装着部]
前記受け枠の受け部には、前記ボルト及びナットのうち一方の締結部材が装着可能な装着空間(又は収容空間)を備えた装着部を形成すればよく、この装着部は、溶接などの手段により前記受け部に固定又は溶着してもよい。このような装着部は、前記受け部に間隔をおいて形成でき、例えば、受け枠の受け部の対向部(例えば、四角枠状の受け枠では、少なくとも受け部の両側部、少なくとも対角部などの受け部のコーナー部など)に複数の装着部を形成してもよい。
【0041】
前記装着部は、前記受け部から立設した形態で形成してもよい。このような装着部は少なくとも内壁(側壁の内壁)が対向して立設した形態を有していてもよい。具体的には、前記装着部の横断面形状(少なくとも前記装着部の内壁の横断面形状)は、例えば、所定間隔をおいて平行に延びる両側壁状の形態、コ字状又はU字状の形態(例えば、開口部で開口した中空筒状(開口部で開口した横断面四角枠状など)の形態)などであってもよく;前記装着部の側面形状は、少なくとも両側壁が受け部と接合又は一体化して立設し、前記両側壁の上部から互いに近づく方向に延び、所定間隔をおいて対向し、締結部材の抜けを規制する抜け規制部(規制壁)を有する形態、少なくとも両側壁が受け部と接合又は一体化して立設し、前記両側壁の上部が上部壁(天井壁など)で連結された断面コ字状又はアーチ状若しくはドーム状の形態であってもよく、受け部と接合又は一体化した底部壁又は底部枠を有する箱形状(ボックス状)の形態などであってもよい。開口部で開口した中空筒状若しくは箱形状(ボックス状)の形態の装着部は、例えば、前記受け枠の内方に面した第1の側壁を有する中空筒状若しくは箱形状の形態の装着部において、前記第1の側壁に開口部が形成された形態、例えば、横断面コ字状又はU字状の形態であってもよい。
【0042】
好ましい態様では、前記装着部は、少なくとも内壁が平行に延びて対向している形態、例えば、両側壁の上部から互いに近づく方向に延びて、所定間隔をおいて対向する延出壁(抜け規制壁)を有する形態(縦断面逆L字状壁が対向する形態)、縦断面下部開口のコ字状の形態、横断面コ字状の形態などの形態を有していてもよく;縦断面下部開口のコ字状の形態のように、上部壁(又は天井壁)を有する形態を有していてもよい。この上部壁は、両側壁の高さ方向の途中部から横方向に延びていてもよく、天井壁として形成してもよい。
【0043】
前記装着部は、前記ボルト及びナットのうち一方の締結部材を前記装着空間に装着するための開口部を備えていてもよく、一方の締結部材は、前記装着部の装着空間(収容空間)に対して上部から装着してもよく、側部、例えば、受け枠の内方から見たとき、前記装着部が形成された受け枠の側壁側(背面側)、内方側(前面側)、側方側(側面側)から装着してもよい。好ましい態様では、前記受け部から立設した形態の装着部は、前記一方の締結部材が、側部、特に内方側(前面側)から前記装着空間(収容空間)に装着してもよい。具体的には、開口部が受け枠の内方を向いた形態、すなわち、受け枠の内方から装着可能な開口部を備えていてもよく、少なくとも開口部に隣接する両側壁を備えていてもよい。
【0044】
なお、前記装着空間(収容空間)と通じた開口部は、前記装着部の縦方向(軸方向)の全長に亘り形成する必要はなく、前記装着部の適所、特に少なくとも下部に形成すればよい。好ましい態様では、立設した形態の前記装着部の縦方向(軸方向)に沿って(又は延びて)開口しており、装着部の全長に亘り開口部が開口していてもよい。前記開口部は、一方の締結部材がスライド式に装着空間(又は収容空間)に装着可能であってもよい。特に、前記開口部からは、少なくとも多角部(特に、互いに平行に延びる対向辺を有する多角部)を有する前記一方の締結部材をスライド式に装着可能であってもよい。すなわち、前記開口部の両側壁の内壁は、開口部側が狭まって又は拡がって形成してもよいが、互いにほぼ平行に延びているのが好ましい。前記一方の締結部材の多角部(六角ナット、六角ボルトの六角頭部など)は、前記開口部の両側壁の内壁と同様に、対向する辺の延長線が互いに交差する方向に延びて形成されていてもよいが、互いにほぼ平行に形成されているのが好ましい。
【0045】
なお、第1の規制部により前記一方の締結部材(一方の締結部材の多角部)の回転が規制可能である限り、前記装着部の装着空間(又は収容空間)には、前記一方の締結部材(一方の締結部材の多角部)の少なくとも一部が装着又は収容可能であってもよく、前記一方の締結部材(一方の締結部材の多角部)全体が装着又は収容可能であってもよい。
【0046】
[装着部の変更例]
前記装着部の縦方向(軸方向)の長さは、前記長ナット(高ナット)に対応して大きな長さで形成する必要はなく、前記装着空間(又は収容空間)内に装着した締結部材の種類(ナットの高さ、ボルトの頭部の高さ(頭高))に応じて形成でき、前記装着部には、緊密に又は余裕をもって前記締結部材を装着してもよい。例えば、通常のナットであれば、前記装着部の縦方向(軸方向)の長さは小さくてもよい。
図11は本発明の受け枠の他の例の装着部を示す概略斜視図である。なお、以下、前記
図3~
図10と同様の部材及び要素には、同じ符号を付して説明する。また、
図11において、前記受け部に接合された装着部が図示され、受け部を含む受け枠は省略されている。
【0047】
この例では、装着部41の高さ及び両側壁44a,44bに架設する天井壁46の高さが小さく形成され、前記装着部41の装着空間(収容空間)43には、前記長ナット31に代えて、高さの低い通常の六角ナット51が装着又は収容されている点を除き、前記
図7と同様の構造を有している。すなわち、受け部(支持部45a,45bを含む)と、前記装着部41の開口部42に隣接する両側壁44a,44bと、挿通部47が形成された天井壁46とで高さの低い装着空間(又は収容空間)43を形成し、前記六角ナット51をストッパー壁48で位置決めして装着空間(又は収容空間)43に装着又は収容した状態で、脱離防止部材50を前記装着部41に装着している。
【0048】
前記支持部は必ずしも必要ではない。
図12は本発明の受け枠のさらに他の例の装着部を示す概略斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。この例で示す装着部21は、開口部22に隣接する両側壁24a,24bの下部内壁に沿って前記開口部22から奥部方向に延びる支持部(支持壁)が形成されていない点を除き、
図7に示す装着部21と同様の形態を有しおり、天井壁26には、装着空間23に装着された長ナット31に対して螺合可能なボルト32の軸部が挿通可能な挿通部(又は挿通孔)27が形成されている。
【0049】
このような装着部21を利用しても、前記と同様に、前記装着空間23に長ナット31を装着した状態で、受け部にグレーチングを配設し、座金(ワッシャー)を介して、ボルトの雄ネジ部を前記装着空間23の長ナット31の雌ネジ部に螺合することにより、前記受け部と前記グレーチングとを締結可能である。
【0050】
なお、前記装着部の装着空間(収容空間)には、ナット及びボルトのうち一方の締結部材を装着又は収容すればよく、前記装着空間(又は収容空間)内にはナットに限らず、ボルトを装着又は収容してもよい。
図13は、本発明の受け枠のさらに他の例の装着部を示す概略斜視図であり、
図13において、前記受け部に接合された装着部が図示され、受け部を含む受け枠は省略されている。この例では、受け枠3の受け部5には、受け枠3内方に向いて開口部52が開口した横断面コ字状の装着部51が形成され、この装着部51は、前記開口部52に隣接して、対向して平行に内壁が延びる両側壁54a,54bと、この両側壁の下部に形成され、開口部52から奥部の方向に平行に延びる支持部55a,55bと、前記開口部52に対して前記両側壁54a,54bの奥部に位置し、この支持部55a,55bに対して、高さ方向に隣接して両側壁54a,54bに対して横方向に架設されたストッパー壁58と、前記両側壁54a,54bに架設され、六角ボルト61の軸部(ネジ部)61bが開口部52から挿通可能な切欠き部で形成された挿通部57が形成された天井壁56とを備えている。この天井壁56の挿通部(切欠き部)57のうち、後部側(奥部壁)は開口部52の方向に拡がって湾曲した湾曲壁として形成されている。また、前記受け部5と前記装着部51の両側壁54a,54bと天井壁56とで、前記ボルト61の頭部61aを装着又は収容するための断面コ字状の装着空間(又は収容空間)53を形成している。前記支持部55a,55bには、前記開口部52からスライド式に移動させてボルト61の頭部61aが載置され、この頭部と一部の軸部(ネジ部)61bとが装着空間(又は収容空間)53に装着又は収容され、前記ボルト61の軸部(ネジ部)61bが前記挿通部(切欠き部)57から突出している。この例でも、前記支持部55a,55bとストッパー壁58の下部壁との間には、装着空間(又は収容空間)53と連通する連通口(図示せず)が形成され、前記装着部51には脱落防止枠体60が装着されている。
【0051】
このような受け枠3でも、前記装着空間53に装着又は収容され、前記天井壁56から突出するボルト61の軸部(ネジ部)61bに、前記と同様に、グレーチング(図示せず)の締結域の孔部を通し、前記突出する軸部(ネジ部)61bに対してナット(図示せず)を螺合することにより、前記受け枠3にグレーチングを締結できる。
【0052】
なお、前記
図13に示す例において、天井壁には、前記挿通部として、ボルトの軸部の径に対応して前記開口部から奥部方向に延びる切欠き部を形成してもよい。また、この切欠き部の奥部に位置し、かつ前記ボルトの軸部又は頭部が接触可能な壁部(例えば、ボルトの軸部を受容して接触可能な湾曲壁部)を形成し、この壁部をストッパー壁又はストッパー部(若しくは位置決め部)として利用してもよく;このストッパー壁又はストッパー部(位置決め壁)は、前記ボルトの頭部と接触可能な高さ位置で形成してもよく、前記開口部とは反対側(奥部)の前記両側壁から突出又は延出する突出部又は延出部で形成してもよく、前記開口部とは反対側(奥部)の前記両側壁から延出して奥部を閉じる後部側壁で形成してもよく、前記支持部に対して高さ方向に隣接して横方向に架設して、ボルトの軸部又は頭部と接触可能な規制壁で形成してもよい。このような切欠き部の奥部の壁部(例えば、前記
図13において、前記天井壁56の切欠き部57の奥部壁(湾曲壁))は、ボルトの軸部又は頭部と接触してストッパー壁として機能させることが可能であるため、前記ストッパー壁58は必ずしも必要ではない。
【0053】
なお、前記装着部の挿通部は、前記挿通孔などの孔部、切欠き部に限らず、ボルトの軸部が挿入可能なスリット状挿通部(天井壁を横断するスリット状挿通部)であってもよい。
【0054】
図14は本発明の別の例の装着部を示す概略分解斜視図であり、受け部を含む受け枠は省略されている。この例では、装着部71は、受け部から互いに対向して立設する一対の両側壁74a,74bと、この両側壁の上端部を連結する天井壁76(76a,76b)とで縦断面コ字状の形態で形成され、前記天井壁76には、開口部72から奥部方向に所定の幅で延び、ボルト81の軸部81bが挿入可能なスリット状挿通部77が形成され、前記両側壁74a,74bの奥部はストッパー壁78で連結されている。すなわち、前記装着部の項で記載のように、前記天井壁76は、開口部72から奥部終端に至るまで、所定幅のスリット状挿通部77で切離され(スリット状挿通部が天井壁を横断し)、このスリット状挿通部により、天井壁76は所定の間隔をおいて互いに近づく方向に延びて対向する延出規制部(規制壁)76a,76bを形成している。
【0055】
このような装着部71において、前記延出規制部(規制壁)76a,76bは、前記装着部71の開口部72を通じて装着空間(収容空間)73に装着又は収容されたボルト81の頭部81aの抜け(スリット状挿通部77からの抜け)を規制する抜け規制部(係合部)として機能する。なお、この例では、開口部72から両側壁74a,74bの内壁に沿って奥部方向に延びる支持部は形成されていないが、このような支持部を形成してもよい。
【0056】
[支持部]
前記のように、前記装着空間(又は収容空間)に一方の締結部材が装着又は収容可能である限り、前記支持部(支持壁)は必ずしも必要ではない。例えば、前記装着空間(又は収容空間)に装着された一方の締結部材(例えば、ナット)に対する他方の締結部材(例えば、ボルト)の螺合に伴って、前記装着空間(又は収容空間)内で一方の締結部材が受け部又は支持部から遊離して浮遊空間を形成できるため、支持部がなくても装着空間(又は収容空間)内で一方の締結部材の腐食を抑制できる。好ましい態様では、前記支持部は、開口部の両側壁の内壁に沿って開口部から奥部方向に延びていてもよい。すなわち、前記支持部(延出部又は延出壁)は、前記開口部の両側壁の内壁に沿って前記開口部から装着空間(又は収容空間)の内方に延出していてもよい。前記支持部は、前記開口部側の前記支持部の端面が、前記装着部(又は両側壁)の開口部の端面と面一となって奥部方向に延びていてもよく、前記開口部から前方に突出又は延出して奥部方向に延びていてもよく、前記開口部から奥部に所定間隔をおいた箇所から奥部方向に延びていてもよい。前記支持部には、装着部の開口部からの締結部材の装着を円滑にするため、装着部の開口部から奥部方向にいくにつれて高さが大きくなるスロープ(傾斜部)を形成してもよく、このスロープから奥部方向にいくにつれて同じ高さの支持部を形成してもよい。
【0057】
前記支持部は、前記受け部と関連して、前記一方の締結部材(又はその多角部)の案内部(スライド装着するためのガイド部)として形成してもよく、例えば、前記一方の締結部材(又はその多角部)を前記支持部に載置した状態で、前記支持部に沿って摺動しつつ案内し、スライド式に装着空間(又は収容空間)に装着してもよく、前記一方の締結部材(又はその多角部)を前記受け部に載置して、前記支持部に沿って、前記受け部を摺動しつつ案内し、スライド式に装着空間(又は収容空間)に装着してもよい。後者の支持部(支持壁又は案内部)は、後述する第1の規制部として機能させることもできる。
【0058】
好ましい態様では、前記支持部は、前記一方の締結部材を支持するための支持部(受け部に対して通気空間を形成する部位)として機能させることができ、前記一方の締結部材が前記受け部に接触するのを抑制又は防止できる。このような支持部で前記一方の締結部材を支持すると、前記受け部と前記一方の締結部材との間に通気空間を確保でき、前記一方の締結部材の腐食を抑制できる。また、前記支持部とともに両側壁の下端面を溶着することにより、溶着面積が大きくなり、前記受け部に対する前記両側壁の溶着強度を高めることができる。
【0059】
[第1の規制部(回転規制壁)]
前記一方の締結部材は、前記装着部の装着空間(又は収容空間)内に少なくとも部分的に装着又は収容された状態で、第1の規制部(回転規制壁)により回転が規制可能であればよく、前記第1の規制部(回転規制壁)は、前記開口部に隣接する両側壁の内壁から内方に突出する1又は複数の突出部で形成してもよく、前記のように、前記一方の締結部材が前記受け部に接触する可能性があるものの、前記支持部(延出部又は案内部)で形成してもよい。好ましくは、前記第1の規制部(回転規制壁)は、前記のように、両側壁の内壁で形成できる。すなわち、第1の規制部は、前記開口部の両側部から奥部方向に延びて形成してもよい。
【0060】
前記装着空間(収容空間)内では、少なくとも部分的に前記一方の締結部材が装着された状態で、前記一方の締結部材の回転を規制すればよく、前記一方の締結部材の前記多角部の回転を規制してもよい。例えば、前記一方の締結部材の前記多角部の幅に対応する間隔で、前記開口部の対向する内壁(両側部の内壁)を形成すると、前記多角部の側壁を前記開口部の対向内壁と摺接しつつ装着空間内に装着でき、前記装着空間内で前記一方の締結部材の前記多角部が回転するのを簡単な構造で有効に規制できる。具体的には、締結部材としてのボルト・ナットの多角部(例えば、四角ナット、六角ナットなどの多角部、四角ボルト、六角ボルトなどの多角頭部)の対向する辺(互いに平行に延びる辺)の幅に対応して、対向する前記開口部の内壁(両側部の内壁)を形成することにより、前記多角部を開口部から装着空間(収容空間)内にスライド式に装着でき、前記装着空間(収容空間)の内壁(対向する内壁)で前記多角部が回転するのを有効に規制できる。
【0061】
[第2の規制部(抜け防止部)]
前記装着部は、前記一方の締結部材に対する他方の締結部材の螺合に伴って、前記装着空間に装着された前記一方の締結部材が、前記装着空間から抜け又は脱離するのを規制するための第2の規制部(抜け防止部)を備えている。この第2の規制部は、ボルト・ナットの締結に伴って、ナット又はボルトの頭部と係合可能な係合部(又はナット又はボルトの頭部の上昇を規制する規制部)を形成する。このような第2の規制部により、前記装着空間(収容空間)から前記一方の締結部材が軸方向(縦方向)に移動して抜けるのを規制でき、ボルト・ナットの締結力を向上できる。
【0062】
この第2の規制部は、前記天井壁(スリット状挿通部が形成された天井壁又は抜け規制部(係合部)を含む)に限らず、前記装着部(前記装着空間)の上部内壁から内方に突出又は延出する突出部又は延出部(延出壁)で形成してもよく、前記装着部(前記装着空間)の上部内壁から延びて互いに連結する上部壁で形成してもよい。好ましい第2の規制部は、強度の高い規制部を簡単な構造で形成するため、前記装着部の天井壁(前記装着部(前記装着空間)の上端部内壁から延びて互いに連結する壁)で形成してもよい。そのため、第2の規制部は、ナット又はボルトの頭部と係合可能な規制壁ということもできる。
【0063】
なお、ボルト・ナットの締結に伴って、前記装着部(前記装着空間)に装着又は収容された前記第1の締結部材は、受け部から遊離していてもよく、受け部と接触していてもよい。
【0064】
[挿通部]
前記装着部は、さらに、ボルトの軸部又はネジ部(前記装着空間に装着されたナットに対するボルトの軸部、若しくは前記装着空間に装着されたボルトの軸部)が挿通可能な挿通部(又は挿通孔)を備えていてもよい。このような挿通部(又は挿通孔)は、前記装着部の上部内壁(前記装着空間の上部内壁)から内方に突出又は延出する突出部又は延出部の内方域(空間部)で形成してもよく、前記装着部の上部壁、特に天井壁に形成してもよい。
【0065】
なお、挿通部は、ボルトの軸部又はネジ部が挿通可能であれば特に制限されず、前記のように、ボルトの軸部又はネジ部が挿通可能な形態、例えば、孔状、切欠き状、スリット状などの形態であってもよい。また、挿通部は、前記第2の規制部を形成するサイズで形成できる。
【0066】
[ストッパー壁(位置決め部)]
前記装着部のうち前記開口部に対して反対側には、必ずしもストッパー壁(位置決め壁)又はストッパー部(位置決め部)を形成する必要はない。また、ストッパー壁(位置決め壁)又はストッパー部(位置決め部)は、両側壁に横方向に帯状に架設した形態で形成する必要はなく;前記一方の締結部材を前記装着空間内の所定位置に位置させるため、ストッパー部(位置決め部)を、前記両側壁の後部側壁(開口部に対向する対向壁又は後部側壁)から横方向に突出させて、位置決め突出部として形成してもよく、上部壁(天井壁など)から下方に突出又は延出して、位置決め突出部として形成してもよく、底部壁を有する箱形状(ボックス状)の形態の装着部では、底部壁から上方に突出又は延出して、位置決め突出部として形成してもよい。さらに、横断面形状がコ字状の装着部では、前記開口部に対して反対側に位置する対向壁(後部又は奥部壁)をストッパー壁として利用してもよく、開口部の奥部に位置決め凸部を形成し、前記装着空間内の所定部に前記一方の締結部材を位置させてもよい。ストッパー壁(位置決め壁)又はストッパー部(位置決め部)を形成することにより、前記一方の締結部材の過度な侵入を規制でき、前記装着空間内の所定部に前記一方の締結部材を位置させて所定の位置に装着(位置決め)できる。そのため、ストッパー壁又はストッパー部を形成すると、前記装着空間内の前記一方の締結部材に対して他方の締結部材を効率よく締結できる。
【0067】
このストッパー壁又はストッパー部は、前記装着空間内に装着する前記一方の締結部材に対応する形態に形成してもよく、例えば、ストッパー壁の内壁には、ボルト・ナットのうち前記多角部を有する一方の締結部材を前記装着空間内に装着するとき、前記多角部の向きに応じて、多角部の辺に対応する平坦な内壁、多角部の角部に対応するV状溝部を有する内壁、多角部の隣接する角部を含む辺に対応する断面コ字状又は台形状溝部を形成してもよい。
【0068】
さらに、前記装着部と前記ストッパー壁又はストッパー部の下端部との間には、必ずしも前記装着空間に通じるスリット状の連通口(通気通水口又は隙間部、連通部)を形成する必要はなく、横断面コ字状の装着部のように、前記装着部の開口部に対向する対向域は、対向壁又は後部側壁で塞いでもよい。好ましい形態では、前記連通口(連通部)は、前記装着空間に通じる形態で形成され、前記支持部の上部壁と若干の間隔をおいて形成する必要はなく、前記装着部の適所に形成可能であり、前記対向壁(側壁)において、前記受け部と連なって(前記受け部の表面に沿って)形成してもよく、前記対向壁(側壁)の高さ方向の下部、中間部や上部に形成してもよく、前記対向壁又は後部側壁の高さ方向の下部、中間部や上部に形成してもよい。また、前記スリット状の連通口(通気通水口)に代えて、1又は複数の孔部(連通孔)を形成してもよい。このような連通口(連通孔)、特に、前記装着部の開口部に対向する開放口の下部に位置する対向壁又は後部側壁(例えば、前記ストッパー壁又はストッパー部)の下部に連通口(連通孔)を形成すると、前記装着空間内に水などの液体が流入又は滞留しても、前記連通口を通じて排出でき、前記長ナット及びボルトの腐食を抑制できる。
【0069】
[脱離防止部材]
前記装着部の開口部から前記装着空間内の前記一方の締結部材が脱離又は脱落するのを規制又は防止するための脱離防止部材は必ずしも必要ではないが、脱離防止部材を装着部に装着すると、前記一方の締結部材が脱離又は脱落するのを有効に防止できる。前記脱離防止部材は、前記装着部に対して装着可能な枠状又はリング状の形態を有していてもよく、必ずしも切離部は必要ではない。
【0070】
前記脱離防止部材は、前記形態に限らず、前記開口部からの前記一方の締結部材の脱離を規制又は防止できればよく、前記装着部に対して結束可能な結束線(鉄線など)などで形成してもよく、前記装着部の側壁と一方の締結部材との間に装着可能な楔状の部材などで形成してもよい。前記脱離防止部材は、金属、プラスチックなどで形成してもよい。
【0071】
[蓋体]
蓋体としては、グレーチングに限らず、集水部が、孔状、格子状(又は網目状(メッシュ状))、スリット状の形態の開口部で形成された慣用の蓋体が利用でき、側溝、横断溝、U字溝、集水桝、溝蓋などの用途に応じて選択できる。蓋体は、前記受け枠の受け部に配置可能であり、かつ前記装着部において締結部材で受け部と締結可能であればよい。集水効率が高く、機械的強度を高めるためには、好ましい蓋体はグレーチングである。グレーチングは、集排水溝(集排水路)の長さ方向に対して略直交する方向(集排水路の幅方向)に延び、かつ集排水路の長さ方向に間隔をおいて配設された複数のメインバー(又はベアリングバー)と、支持バーとを備えていてもよく、この支持バーは、複数のメインバーの端部に接合可能なエンドバー(又はエンドプレート);幅方向(又は一対のエンドバー間)に間隔をおいて、メインバーを横断する方向(特に、集排水路の長さ方向)に延びて複数のメインバーに接合可能であり、メインバーとともに格子(又は格子構造)を形成するクロスバー(ツイストバー)などを備えていてもよい。
【0072】
グレーチングなどの蓋体の表面には、スリップ防止のため、エンボス加工などにより凹凸形状を形成してもよい。前記蓋体には、さらに蓋体を移動(上下動、運搬動)させるための、把持部を形成してもよく;必要であれば、車両との接触などにより、集排水路溝本体から蓋体が脱離するのを防止するため、蓋体と集排水路溝本体とを鎖(チェーン)で連結してもよい。
【0073】
前記蓋体は、受け枠の装着部で締結可能であればよく、蓋体の締結域は必ずしも必要ではない。前記蓋体の締結域(締結部位又は締結板状部)は、コーナー部に限らず、受け部の前記装着部に対応する位置に形成すればよく、この締結域は、ボルトの軸部が挿通可能な挿通部(又は挿通孔)を有する板状部で形成してもよい。例えば、前記装着空間に装着された前記第1の締結部材としてのナットに対しては、このナットに対して螺合可能な第2の締結部材としてのボルトの軸部、前記装着空間に装着された前記第1の締結部材としてのボルトに対しては、このボルトの軸部が挿通可能であってもよい。なお、蓋体は、鋳鉄などの金属で形成してもよく、グレーチングは、一般構造用圧延鋼材、ステンレススチール、高張力鋼などの金属で形成してもよい。
【0074】
[締結部材]
なお、締結部材としてのボルト・ナットは、前記装着空間に装着されて回転が規制可能であり、かつ前記装着空間から高さ方向(軸方向)への抜けが規制可能であれば特に制限されないが、多角部を有しているのが好ましい。このような多角部を有するボルト・ナットとしては、前記長ナット(高ナット)及びボルトに限らず、通常のナット、例えば、四角ナット、六角ナット、六角袋ナット、フランジナット、スプリングナットなどの多角ナット、四角ボルト、六角ボルト、六角袋ボルト、座金組み込みボルトなどの多角ボルトなどが例示できる。好ましいボルト及び/又はナットは、前記装着部の対向する内壁に沿わせて装着可能な多角部が対向辺(互いに平行な辺)を有しているボルト及び/又はナット、例えば、多角部が四角形のボルト及び/又はナット、特に、六角形のボルト及び/又はナットである。
【0075】
なお、ボルト及び/又はナットは、炭素鋼、ステンレススチールなどの特殊鋼、チタンなどで形成してもよい。本発明では、ボルト及び/又はナットが腐食しても交換可能であるため、炭素鋼、ステンレススチールなどで形成してもよい。
【0076】
このような受け枠を利用した蓋体(又はグレーチング)の取付構造は、集排水路溝に配設された受け枠の受け部に対して、蓋体(又はグレーチング)が、ボルト及びナットで締結又は固定された取付構造を有している。すなわち、蓋体(又はグレーチング)の取付構造は、前記装着空間を備えた装着部を有する前記受け枠(受け部材)と;前記ボルト及びナットのうち、この受け枠(受け部材)の装着部の装着空間内に、回転が規制された状態で装着された一方の締結部材と;前記装着空間からの前記一方の締結部材の抜けが規制された状態で、前記一方の締結部材に対して螺合され、前記一方の締結部材と関連して、前記受け部と蓋体(又はグレーチング)とを締結する他方の締結部材とを備えている。すなわち、前記受け部と蓋体(又はグレーチング)との間に前記装着部が介在した形態で、前記装着空間内の一方の締結部材と他方の締結部材とを締結することにより、蓋体(又はグレーチング)の取付構造を形成できる。
【0077】
このような取付構造では、腐食の進行が早いボルト・ナット(締結部材)が、前記受け枠(受け部材)から分離した形態で、前記受け部と蓋体とを締結している。しかも、ボルト・ナット(締結部材)の締結状態では、装着部の装着空間内で一方の締結部材を受け部又は支持部から遊離又は浮遊させることができる。そのため、ボルト・ナット(締結部材)の腐食を抑制できるとともに、ボルト・ナット(締結部材)が腐食しても、新たなボルト・ナットに交換するだけで、前記受け部と蓋体とを再使用可能である。
【0078】
本発明は、前記受け枠(受け部材)及び蓋体の取付構造を利用して集排水溝(集排水路又は集排水路構造)を施工する方法も包含する。この方法では、集排水溝(集排水路)の上部(施工部)に受け枠(受け部材)を配置してコンクリートを打設し、受け枠と蓋体(又はグレーチング)とをボルト及びナット(締結部材)で締結することにより施工する。すなわち、前記集排水溝の上部(施工部)に、前記装着空間を備えた装着部を有する前記受け枠を配置してコンクリートを打設し、前記ボルト及びナットのうち、前記装着部の装着空間に装着された一方の締結部材に対して、前記蓋体(又はグレーチング)を前記受け部に配置した状態で、前記ボルト及びナットのうち他方の締結部材を螺合して前記受け枠と前記蓋体(又はグレーチング)とを締結する。
【0079】
なお、前記施工方法において、前記集排水溝の上部(施工部)は、所定の深さに床堀して、基礎砕石、モルタルなどで基礎工を施工し、形成された基礎の上に、側溝本体を設置して、側溝の周囲にコンクリートを打設してもよい。なお、アンカーを備えた受け枠は、コンクリート内にアンカーを埋設して施工できる。
【0080】
このような施工方法を採用すると、締結部材(前記ボルト及びナット)が経年変化により腐食しても、腐食した前記ボルト及びナットの螺合を解除し、新たなボルト及びナットのうち一方の締結部材を装着部の装着空間に装着して交換し、前記蓋体を前記受け部に配置した状態で、前記新たなボルト及びナットのうち他方の締結部材を前記一方の締結部材に螺合してもよい。このような方法は、メンテナンス性が高く、施工された受け部材及び蓋体を繰り返し利用できる。
【0081】
なお、前記蓋体の取付構造及び施工法方法において、前記装着部の前記装着空間内において、第2の規制部(抜け防止部)と一方の締結部材との間には、防音ゴム(防音パッキン若しくはクッションゴム)及び/又は座金(ワッシャー)を介在させてもよく、第2の締結部材と蓋体の締結部(締結域の板状部)との間には、座金(ワッシャー)を介在させてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、集水(排水)が必要とされる種々の場所、例えば、一般道路、高速道路(又は高架道路)、トンネル内の道路、アンダーパスなどの道路(歩道を含む)の路肩、横断域、中央分離帯など;工場、学校などの建造物の周辺部などにも適用可能であり、グレーチングなどの蓋体が固定して施工される場所、例えば、道路の側溝、横断溝、流雪溝、集水枡などの集排水溝(通水溝などの集排水路)に適用可能である。特に、集水枡に適用するのに適している。
【符号の説明】
【0083】
1…側溝ブロック
2…通水溝(集排水溝)
3…受け枠
4…側壁
5…受け部
6…アンカー
11…グレーチング
21,41,51…装着部
22,42,52…開口部
23,43,53…装着空間(又は収容空間)
24a,24b,44a,44b,54a,54b…両側壁
25a,25b,45a,45b,55a,55b…支持部
26,46,56…天井壁
27,47,57…挿通部(又は挿通孔)
28,48,58…ストッパー壁
29…連通口(通気通水口)
30,50,60…脱離防止部材
31,51…ナット
32,61…ボルト